JP2014098804A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性と低温定着性とのバランスに優れるトナーを製造でき、且つ副生する小粒径微粒子の少ないトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製するコア形成工程、前記コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、前記コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造するシェル形成工程を含むトナーの製造方法において、(1)コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったとき、前記シェル用重合性単量体及び前記シェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加し、且つ(2)シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造することを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
【選択図】なし
【解決手段】分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製するコア形成工程、前記コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、前記コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造するシェル形成工程を含むトナーの製造方法において、(1)コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったとき、前記シェル用重合性単量体及び前記シェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加し、且つ(2)シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造することを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
【選択図】なし
Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置の現像に用いることが出来るトナーの製造方法に関するものである。
近年、トナーを用いた画像形成においては、従来と比較してより高精細かつ高解像度の画像形成が求められている。それに伴い、トナーにおいてはその小粒径化及び粒度分布の狭小化が求められており、小粒径で粒度分布の狭いトナーを得やすい懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの重合法を用いたトナーが注目されている。
一方、電子写真方式を用いたレーザープリンターや複写機においては、近年急速に高速化が進んでおり、より高現像性、高転写性及び低温定着性に優れたトナーが求められている。
前記の目的を同時に達成するために、トナーは真球状で表面組成が均一であることが求められている。また、前記目的の同時の達成のため、トナー外層(シェル層)が耐熱性及び耐久性を保つよう設計され、トナー内層(コア層)が低温定着性を持つよう設計された、所謂コアシェル構造を持つトナーが好適に用いられる。それらの特性を満足するトナー粒子を得やすい製造方法として、重合法の中でも特に懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法が注目されている。懸濁重合法は、重合性単量体及び着色剤を含む重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁及び造粒して、その後重合することでトナー粒子を得る方法である。
例えば、特許文献1には、分散剤を含有する水系分散媒体中で、単量体組成物を懸濁重合するトナーの製造方法において、ガラス転移温度が80℃以下の重合体を形成するコア用単量体を含有するコア用単量体組成物を、重合転化率が80%以上となるまで懸濁重合し、次いでコア成分の重合体より高いガラス転移温度の重合体を形成するシェル用単量体を含有するシェル用単量体組成物を重合するコアシェル型トナーの製造方法が開示されている。特許文献2には、分散剤を含有する水系分散媒体中で、単量体組成物を懸濁重合するトナーの製造方法において、ガラス転移温度が70℃以下の重合体を形成するコア用単量体を含有するコア用単量体組成物をマクロモノマーの存在下で懸濁重合し、次いでコア成分の重合体より高いガラス転移温度の重合体を形成するシェル用単量体を含有するシェル用単量体組成物を重合するコアシェル型トナーの製造方法が開示されている。
特許文献3には、分散剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤及び極性樹脂を含有するコア用単量体組成物を、重合開始剤を用いて懸濁重合してコア用着色微粒子を製造し、次いでシェル用単量体及び重合開始剤を添加して重合するコアシェル型トナーの製造方法が開示されている。特許文献4には、コア用重合性単量体組成物を水系分散媒体中で分散させて、コア用重合開始剤の存在下で重合してコア粒子を形成し、コア粒子が分散する水系分散媒体にシェル用重合性単量体とシェル用重合開始剤を添加して重合するコアシェル型トナーの製造方法において、コア用重合性単量体組成物の重合温度とコア用重合開始剤の10時間半減期温度とが所定の関係を有し、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を添加する際の水系分散媒体の温度とシェル用重合開始剤の10時間半減期温度とが所定の関係を有するトナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献に開示された方法により製造されるトナーは、近年の高速印刷に伴う低温定着性のより高い要求に対しては十分とは言えない。したがって、従来のトナーは、高速印刷に使用される場合、耐熱性に優れるものは低温定着性が十分でなく、低温定着性を重視すると耐熱性が犠牲にされる等、耐熱性と低温定着性とのバランスを取ることが困難になってきていた。
本発明の課題は、耐熱性と低温定着性とのバランスに優れるトナーを製造でき、且つ副生する小粒径微粒子の少ないトナーの製造方法を提供することである。
本発明者らは、トナーの製造における重合条件について鋭意検討を重ねた結果、コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が特定割合以上になったときにシェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を水系分散液に添加し、且つシェル形成工程における重合温度を特定範囲とし、当該重合温度とシェル用重合開始剤の10時間半減期温度とを特定の関係とすることにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
即ち、本発明によれば、分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製するコア形成工程、前記コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、前記コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造するシェル形成工程を含むトナーの製造方法において、(1)コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったとき、前記シェル用重合性単量体及び前記シェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加し、且つ(2)シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造することを含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
本発明の製造方法において、前記シェル用重合開始剤は、20℃の水100gに対する溶解度が5g以上の水溶性重合開始剤であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記シェル用重合開始剤の10時間半減期温度T2が45〜65℃であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1が65〜85℃であることが好ましい。
上記の如き本発明のトナーの製造方法によれば、前記重合温度T1を特定の範囲内とし(式(I))、且つ、前記重合温度T1及び前記10時間半減期温度T2を特定の関係とすることにより(式(II))、耐熱性と低温定着性のバランスに優れ、且つ、製造過程において副生する小粒径微粒子が少ないためトナー特性に優れるトナーが提供される。
本発明のトナーの製造方法は、分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製するコア形成工程、前記コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、前記コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造するシェル形成工程を含むトナーの製造方法において、(1)コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったとき、前記シェル用重合性単量体及び前記シェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加し、且つ(2)シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造することを含むことを特徴とする。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
以下、本発明の製造方法により製造されるトナーについて説明する。
本発明により得られるトナーは、コアシェル型着色樹脂粒子を含有し、好適にはさらに外添剤を含有する。
以下、本発明に用いられるコアシェル型着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られるコアシェル型着色樹脂粒子、当該コアシェル型着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び当該製造方法により得られるトナーについて、順に説明する。
本発明により得られるトナーは、コアシェル型着色樹脂粒子を含有し、好適にはさらに外添剤を含有する。
以下、本発明に用いられるコアシェル型着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られるコアシェル型着色樹脂粒子、当該コアシェル型着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び当該製造方法により得られるトナーについて、順に説明する。
1.コアシェル型着色樹脂粒子の製造方法
本発明に用いられるコアシェル型着色樹脂粒子は、以下に示すプロセスを含む懸濁重合法により製造される。
本発明に用いられるコアシェル型着色樹脂粒子は、以下に示すプロセスを含む懸濁重合法により製造される。
1−1.コア用重合性単量体組成物の調製工程
まず、コア用重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、コア用重合性単量体組成物の調製を行う。コア用重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア型分散機を用いる。
まず、コア用重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、コア用重合性単量体組成物の調製を行う。コア用重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア型分散機を用いる。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
コア用重合性単量体として、例えば、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれか1つと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくともいずれか1つとを組み合わせて用いる場合、好適な使用割合は、(スチレン及び/又はスチレン誘導体):(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル)=60質量%:40質量%〜80質量%:20質量%が好ましく、65質量%:35質量%〜75質量%:25質量%がより好ましい。スチレン及び/又はスチレン誘導体の使用割合が上記よりも高すぎる場合には、コアが硬くなりすぎる結果、低温定着性に劣るおそれがある。また、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの使用割合が上記よりも高すぎる場合には、コアが柔らかくなりすぎる結果、耐熱性に劣るおそれがある。
本発明においては、従来よりも比較的低い耐熱温度を有し且つ低温定着性に優れる着色樹脂粒子のコアに対し、強固なシェルを被覆することにより、耐熱性を維持しつつ、より低温定着性を向上させることが好ましい。
本発明においては、従来よりも比較的低い耐熱温度を有し且つ低温定着性に優れる着色樹脂粒子のコアに対し、強固なシェルを被覆することにより、耐熱性を維持しつつ、より低温定着性を向上させることが好ましい。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜3質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜3質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、コア用重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性(耐熱性)と低温定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いること
ができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10
質量部である。
ができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10
質量部である。
定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。離型剤の示差走査熱量分析(DSC)により測定される融点は、55〜85℃であることが好ましく、60〜75℃であることがより好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもジペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートがより好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもジペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートがより好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
1−2.懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、少なくともコア用重合性単量体及び着色剤を含むコア用重合性単量体組成物を、分散剤を含む水系分散媒中に分散させ、コア用重合開始剤を添加した後、コア用重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
本発明では、少なくともコア用重合性単量体及び着色剤を含むコア用重合性単量体組成物を、分散剤を含む水系分散媒中に分散させ、コア用重合開始剤を添加した後、コア用重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
コア用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留するコア用重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
コア用重合開始剤は、前記のように、コア用重合性単量体組成物が水系分散媒中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系分散媒中へ分散される前のコア用重合性単量体組成物へ添加されても良い。
コア用重合性単量体組成物の重合に用いられる、コア用重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本発明において、水系分散媒とは、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系分散媒には、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、且つ環境安定性が優れたものとなる。
1−3.重合工程
本発明においては、コア層となる着色樹脂粒子(以下、コア着色樹脂粒子と称する場合がある)の外側に、コア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子を用いる。コアシェル型着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
本発明においては、コア層となる着色樹脂粒子(以下、コア着色樹脂粒子と称する場合がある)の外側に、コア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子を用いる。コアシェル型着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
本発明の製造方法においては、この重合工程において、コア形成工程及びシェル形成工程を有する。以下、これら2つの工程について、順に説明する。
1−3−1.コア形成工程
本発明におけるコア形成工程は、上記1−2の項において説明したような分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製する工程である。
本発明におけるコア形成工程は、上記1−2の項において説明したような分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製する工程である。
懸濁重合は、主に、コア用重合性単量体組成物を加熱することにより始まる。コア用重合性単量体組成物の加熱温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、コア形成工程はコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったときに終了するため、コア形成工程に要する時間は、重合反応の効率にもよるが、好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
1−3−2.シェル形成工程
本発明におけるシェル形成工程は、コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造する工程である。
本発明におけるシェル形成工程は、コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造する工程である。
コア着色樹脂粒子を用いてコアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。
in situ重合法によるシェル形成方法を以下に説明する。
コア着色樹脂粒子が分散している水系分散媒中に、シェル用重合性単量体とシェル用重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子が得られる。
コア着色樹脂粒子が分散している水系分散媒中に、シェル用重合性単量体とシェル用重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子が得られる。
シェル用重合性単量体としては、コア用重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独で又は2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
本発明においては、コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上になったときに、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を添加し、シェル形成工程を開始する(条件(1))。このように、コア用重合性単量体の重合の最終段階でシェル形成を始めることにより、コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体との共重合を防止でき、その結果、コア層とシェル層の相分離を促し、強固なシェルを構築できる。
本発明においては、さらに、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造する(条件(2))。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II)
上記式(I)に示すように、本発明においては、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1は60〜95℃である。当該重合温度T1が60℃未満である場合には、シェル形成速度が遅くなるため、シェル形成が不完全となる結果、得られたトナーが耐熱性に劣るおそれがある。当該重合温度T1が95℃を超える場合には、シェル用重合開始剤の分解速度が速いため、コアシェル着色樹脂粒子以外の小粒径微粒子が副生するおそれもある。
当該重合温度T1は、65〜85℃であることが好ましく、70〜80℃であることがより好ましい。
当該重合温度T1は、65〜85℃であることが好ましく、70〜80℃であることがより好ましい。
上記式(II)に示すように、本発明においては、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度T2は(T1−30)℃〜(T1−5)℃である。当該10時間半減期温度T2が(T1−30)℃未満である場合には、T1がT2よりも高すぎるため、シェル用重合開始剤の分解速度が速くなりすぎ、その結果、コアシェル着色樹脂粒子以外の小粒径微粒子が副生するおそれがある。また、当該10時間半減期温度T2が(T1−5)℃を超える場合には、T1がT2と近すぎるか、又はT2がT1よりも高くなるため、シェル形成の反応速度が遅くなり、シェル形成が不完全となる結果、得られたトナーが耐熱性に劣るおそれがある。
当該10時間半減期温度T2は、45〜65℃であることが好ましく、50〜60℃であることがより好ましい。
このように、本発明においては、当該重合温度T1に合わせて、当該10時間半減期温度T2を従来よりも比較的低く設定することにより、コア着色樹脂粒子に対しシェルを強固に形成することを目的とする。
なお、シェル重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
当該10時間半減期温度T2は、45〜65℃であることが好ましく、50〜60℃であることがより好ましい。
このように、本発明においては、当該重合温度T1に合わせて、当該10時間半減期温度T2を従来よりも比較的低く設定することにより、コア着色樹脂粒子に対しシェルを強固に形成することを目的とする。
なお、シェル重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
シェル用重合開始剤は、20℃の水100gに対する溶解度が5g以上の水溶性重合開始剤であることが好ましい。当該溶解度が5g未満である場合には、水系分散液中に必要量のシェル用重合開始剤を加えることができず、シェル形成が不完全に終わるおそれがある。
上述したように、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度T2は、その重合温度T1により規定される。したがって、本発明に使用できるシェル用重合開始剤の種類も重合温度T1により決まるため、一概には言えないが、例えば、過硫酸カリウム(10時間半減期温度 67℃、20℃の水100gに対する溶解度 5.2g)等の過硫酸金属塩や、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(2,2’−Azobis[N−(2−carboxyethyl)−2−methylpropionamidine]tetrahydrate、10時間半減期温度 57℃、20℃の水100gに対する溶解度 14.0g)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2’−Azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride、10時間半減期温度 56℃、20℃の水100gに対する溶解度 23.2g)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩(2,2’−Azobis(1−imino−1−pyrrolidino−2−methylpropane)dihydrochloride、10時間半減期温度 67℃、20℃の水100gに対する溶解度 100.0g)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](2,2’−Azobis[2−methyl−N−(2−hydroxyethyl)propionamide]、10時間半減期温度 86℃、20℃の水100gに対する溶解度 4.7g)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(2,2’−Azobis[2−(2−imidazolin−2−yl)propane]dihydrochloride、10時間半減期温度 44℃、20℃の水100gに対する溶解度 34.7g)等のアゾ系水溶性重合開始剤が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これら重合開始剤の中でも、アゾ系水溶性重合開始剤を用いることが好ましく、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、又は2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩を用いることがより好ましい。
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これら重合開始剤の中でも、アゾ系水溶性重合開始剤を用いることが好ましく、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、又は2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩を用いることがより好ましい。
シェル用重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。
1−4.洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られたコアシェル型着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
なお、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作の前に、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液について、コアシェル型着色樹脂粒子から揮発性物質(主にエーテル成分、及び重合性単量体)を除去する目的で、ストリッピング処理工程を設けてもよい。
重合により得られたコアシェル型着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
なお、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作の前に、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液について、コアシェル型着色樹脂粒子から揮発性物質(主にエーテル成分、及び重合性単量体)を除去する目的で、ストリッピング処理工程を設けてもよい。
ストリッピング処理時の水系分散液の温度は、60〜95℃であることが好ましい。当該温度が低すぎる場合には、十分なストリッピング効果が得られず、分散剤や重合性単量体等がトナーに残るおそれがある。当該温度が高すぎる場合には、水系分散液中の水が蒸発し過ぎ、後の処理が困難となるおそれがある。
ストリッピング処理には、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスの流量は、0.2〜1.0m3/(hr・kg)とすることが好ましい。当該流量が少なすぎる場合には、十分なストリッピング効果が得られず、分散剤や重合性単量体等がトナーに残るおそれがある。当該流量が多すぎる場合には、水系分散液中の水が蒸発し過ぎ、後の処理が困難となるおそれがある。
ストリッピング処理時間は、1〜24時間とすることが好ましい。
ストリッピング処理には、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスの流量は、0.2〜1.0m3/(hr・kg)とすることが好ましい。当該流量が少なすぎる場合には、十分なストリッピング効果が得られず、分散剤や重合性単量体等がトナーに残るおそれがある。当該流量が多すぎる場合には、水系分散液中の水が蒸発し過ぎ、後の処理が困難となるおそれがある。
ストリッピング処理時間は、1〜24時間とすることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水系分散液への酸又はアルカリの添加により、分散剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水系分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
2.コアシェル型着色樹脂粒子
上述した懸濁重合法により、コアシェル型着色樹脂粒子が得られる。以下、トナーを構成するコアシェル型着色樹脂粒子について述べる。
上述した懸濁重合法により、コアシェル型着色樹脂粒子が得られる。以下、トナーを構成するコアシェル型着色樹脂粒子について述べる。
コアシェル型着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、コアシェル型着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。コアシェル型着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
本発明におけるコアシェル型着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記コアシェル型着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
上記コアシェル型着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、コアシェル型着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度はコアシェル型着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、コアシェル型着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
3.トナーの製造方法
本発明においては、上記コアシェル型着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、コアシェル型着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
本発明においては、上記コアシェル型着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、コアシェル型着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、コアシェル型着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明では、外添剤を、コアシェル型着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。
4.本発明のトナー
本発明のトナーは、耐熱性と低温定着性のバランスに優れ、且つ、製造過程において副生する小粒径微粒子が少ないためトナー特性に優れるトナーである。
本発明のトナーは、耐熱性と低温定着性のバランスに優れ、且つ、製造過程において副生する小粒径微粒子が少ないためトナー特性に優れるトナーである。
耐熱性の指標としては、例えば、以下の方法により決定した耐熱温度が挙げられる。
所定量のトナーを容器に入れて密閉した後、当該容器を所定の温度条件下放置する。所定時間経過後、容器からトナーを篩いの上に移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)等にセットする。所定の振幅の条件下で所定時間振動した後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とする。この凝集したトナーの質量が所定の閾値以下となる最大の温度を、そのトナーの耐熱温度に決定する。
所定量のトナーを容器に入れて密閉した後、当該容器を所定の温度条件下放置する。所定時間経過後、容器からトナーを篩いの上に移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)等にセットする。所定の振幅の条件下で所定時間振動した後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とする。この凝集したトナーの質量が所定の閾値以下となる最大の温度を、そのトナーの耐熱温度に決定する。
低温定着性の指標としては、例えば、以下の方法により決定した最低定着温度が挙げられる。
所定のプリンターを用いて、所定の温度におけるトナーの定着率を測定する。定着率は、当該プリンターにより試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、所定のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算する。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。なお、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)等を用いて測定する。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
この定着試験において、定着率が所定の閾値以上となる定着温度を、そのトナーの最低定着温度に決定する。
所定のプリンターを用いて、所定の温度におけるトナーの定着率を測定する。定着率は、当該プリンターにより試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、所定のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算する。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。なお、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)等を用いて測定する。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
この定着試験において、定着率が所定の閾値以上となる定着温度を、そのトナーの最低定着温度に決定する。
耐熱温度は、55℃以上であることが好ましい。耐熱温度が55℃未満である場合には、高熱にさらされた場合にブロッキングが生じやすく、輸送後の品質が保証できなくなるおそれがある。また、耐熱温度が高く、いくら耐熱性に優れていたとしても、最低定着温度が高すぎる場合にはトナーとして使用することが難しい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.トナーの製造
[実施例1]
コア用重合性単量体としてスチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学製、商品名「#25B」)7部、帯電制御剤としてスチレン/アクリル樹脂(藤倉化成株式会社製、商品名「FCA−161P」)1部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.5部を、通常の攪拌装置で攪拌及び混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(吸熱ピーク:65℃、分子量:1,514)10部を添加、混合、及び溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。コア用重合性単量体組成物の調製はすべて室温下で行った。
[実施例1]
コア用重合性単量体としてスチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学製、商品名「#25B」)7部、帯電制御剤としてスチレン/アクリル樹脂(藤倉化成株式会社製、商品名「FCA−161P」)1部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.5部を、通常の攪拌装置で攪拌及び混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(吸熱ピーク:65℃、分子量:1,514)10部を添加、混合、及び溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。コア用重合性単量体組成物の調製はすべて室温下で行った。
他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.3部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.8部を溶解した水溶液を攪拌しながら徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこにコア用重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート(濃度80質量%、日油製、10時間半減期温度:76℃、希釈剤:トルエン(沸点111℃))を5.0部、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)0.75部、ジビニルベンゼン0.5部を添加後、乳化分散機(商品名「キャビトロン」、太平洋機工社製)を用いて22,500rpmの回転数で約1分間高剪断攪拌して、コア用重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
上記コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液を、攪拌翼を装着した反応器に加え、89℃まで昇温して温度が一定となるように制御し、重合反応を行った(コア形成工程)。次いで、コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が98%に達したときに、系内温度を75℃(シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1)まで冷却し、75℃に到達した15分後に、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート3部、及び、シェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(10時間半減期温度T2 57℃、20℃の水100gに対する溶解度 14.0g、和光純薬社製、商品名「VA−057」;以下、開始剤1と称する場合がある。)0.36部(0.87μmol)を添加した(シェル形成工程)。なお、開始剤1は、予めイオン交換水10部に溶解させたものを使用した。更に3時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のコアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
すなわち、実施例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。
すなわち、実施例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。
この後、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を80℃とし、窒素ガス流量0.6m3/(hr・kg)で5時間ストリッピング処理を行った後、水分散液を25℃まで冷却した。次いで、得られた水分散液を、25℃にて攪拌しながら、硫酸により系のpHを6.5以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を、数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機に入れ乾燥した。
上記により得られたコアシェル型着色樹脂粒子100部に、疎水化された個数平均一次粒子径が7nmのシリカ微粒子0.5部、疎水化された個数平均一次粒子径が50nmのシリカ微粒子1.2部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名「ヘンシェルミキサー」)を用いて混合して、実施例1のトナーを製造した。試験結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(10時間半減期温度T2 56℃、20℃の水100gに対する溶解度 23.2g、和光純薬社製、商品名「V−50」;以下、開始剤2と称する場合がある。)0.23部(0.85μmol)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のトナーを製造した。すなわち、実施例2においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも19℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(10時間半減期温度T2 56℃、20℃の水100gに対する溶解度 23.2g、和光純薬社製、商品名「V−50」;以下、開始剤2と称する場合がある。)0.23部(0.85μmol)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のトナーを製造した。すなわち、実施例2においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも19℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩(10時間半減期温度T2 67℃、20℃の水100gに対する溶解度 100.0g、和光純薬社製、商品名「VA−067」;以下、開始剤3と称する場合がある。)1.13部(2.98μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から85℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3のトナーを製造した。すなわち、実施例3においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩(10時間半減期温度T2 67℃、20℃の水100gに対する溶解度 100.0g、和光純薬社製、商品名「VA−067」;以下、開始剤3と称する場合がある。)1.13部(2.98μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から85℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3のトナーを製造した。すなわち、実施例3においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から65℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のトナーを製造した。すなわち、実施例4においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも8℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から65℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のトナーを製造した。すなわち、実施例4においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも8℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から85℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5のトナーを製造した。すなわち、実施例5においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも28℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から85℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5のトナーを製造した。すなわち、実施例5においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも28℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](10時間半減期温度T2 86℃、20℃の水100gに対する溶解度 4.7g、和光純薬社製、商品名「VA−086」;以下、開始剤4と称する場合がある。)0.25部(0.87μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から89℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のトナーを製造した。すなわち、比較例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも3℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](10時間半減期温度T2 86℃、20℃の水100gに対する溶解度 4.7g、和光純薬社製、商品名「VA−086」;以下、開始剤4と称する場合がある。)0.25部(0.87μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から89℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のトナーを製造した。すなわち、比較例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも3℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(10時間半減期温度T2 44℃、20℃の水100gに対する溶解度 34.7g、和光純薬社製、商品名「VA−044」;以下、開始剤5と称する場合がある。)1.36部(4.21μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から55℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2のトナーを製造した。すなわち、比較例2においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも11℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(10時間半減期温度T2 44℃、20℃の水100gに対する溶解度 34.7g、和光純薬社製、商品名「VA−044」;以下、開始剤5と称する場合がある。)1.36部(4.21μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から55℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2のトナーを製造した。すなわち、比較例2においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも11℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が80質量%に達したときに、系内温度を75℃に冷却し、シェル形成工程を開始したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3のトナーを製造した。すなわち、比較例3においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が80質量%に達したときに、系内温度を75℃に冷却し、シェル形成工程を開始したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3のトナーを製造した。すなわち、比較例3においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも18℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から95℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4のトナーを製造した。すなわち、比較例4においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも38℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から95℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4のトナーを製造した。すなわち、比較例4においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも38℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
[参考例1]
実施例1において、コア用重合性単量体の添加量を、スチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部から、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部に替えたこと、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](開始剤4)0.25部(0.87μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から89℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、参考例1のトナーを製造した。すなわち、参考例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも3℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、コア用重合性単量体の添加量を、スチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部から、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部に替えたこと、シェル用重合開始剤として、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水塩(開始剤1)0.36部(0.87μmol)の替わりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](開始剤4)0.25部(0.87μmol)を使用したこと、及び、シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1を75℃から89℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、参考例1のトナーを製造した。すなわち、参考例1においては、10時間半減期温度T2を重合温度T1よりも3℃低く設定した。試験結果を表1に示す。
2.トナーの評価
上記実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナーの物性を測定及び評価した。詳細は以下の通りである。
上記実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナーの物性を測定及び評価した。詳細は以下の通りである。
2−1.耐熱温度の測定
トナー10gを100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダテスタPT−R」)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最大の温度を、耐熱温度とした。
トナー10gを100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダテスタPT−R」)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最大の温度を、耐熱温度とした。
2−2.最低定着温度の測定
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)について、定着ロールの温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃刻みで変化させ、それぞれの温度におけるトナーの定着率を測定した。
定着率は、改造プリンターにより試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分(黒ベタ領域)に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名「RD918」)を用いて測定した。
この定着試験において、定着率が80%以上となる最低定着ロール温度をトナーの最低定着温度とした。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)について、定着ロールの温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃刻みで変化させ、それぞれの温度におけるトナーの定着率を測定した。
定着率は、改造プリンターにより試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分(黒ベタ領域)に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名「RD918」)を用いて測定した。
この定着試験において、定着率が80%以上となる最低定着ロール温度をトナーの最低定着温度とした。
2−3.小粒径微粒子数の計測
重合工程後の着色樹脂粒子を含む水分散液3mLに、10%H2SO4 1mLを添加し、分散剤を完全に溶解させた。この溶液を濾紙(アドバンテック東洋社製、商品名「No.2」)に2mL滴下して濾過し、風乾して走査電子顕微鏡(SEM)用のサンプルを調製した。
風乾させた着色樹脂粒子に白金蒸着を行って、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名「S−4700」)を用い、加速電圧を5kVにし、5,000倍に拡大して観察した。
各サンプルについて、ランダムに5視野の画像撮影を行い、各画像において無作為に5個の着色樹脂粒子を選択し、これら25個の着色樹脂粒子表面に観察される小粒径微粒子の個数を数えた。これより、着色樹脂粒子1個あたりの小粒径微粒子の平均個数を算出した。
重合工程後の着色樹脂粒子を含む水分散液3mLに、10%H2SO4 1mLを添加し、分散剤を完全に溶解させた。この溶液を濾紙(アドバンテック東洋社製、商品名「No.2」)に2mL滴下して濾過し、風乾して走査電子顕微鏡(SEM)用のサンプルを調製した。
風乾させた着色樹脂粒子に白金蒸着を行って、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名「S−4700」)を用い、加速電圧を5kVにし、5,000倍に拡大して観察した。
各サンプルについて、ランダムに5視野の画像撮影を行い、各画像において無作為に5個の着色樹脂粒子を選択し、これら25個の着色樹脂粒子表面に観察される小粒径微粒子の個数を数えた。これより、着色樹脂粒子1個あたりの小粒径微粒子の平均個数を算出した。
2−4.カブリ試験(高温高湿(H/H)環境下)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)、及び評価対象のトナーを、温度35℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E0)とした。次に、測定対象トナーを用いて上記プリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E1〜E6)を測定した。色相(E1〜E6)と、基準値(E0)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とした。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、今回の評価においては、このカブリ値が1.0以下である場合に、トナーとして良好に使用できることとした。
以上の色相の測定には、分光光度計(グレダグマクベス社製、商品名「スペクトロアイ」)を用いた。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)、及び評価対象のトナーを、温度35℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E0)とした。次に、測定対象トナーを用いて上記プリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E1〜E6)を測定した。色相(E1〜E6)と、基準値(E0)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とした。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、今回の評価においては、このカブリ値が1.0以下である場合に、トナーとして良好に使用できることとした。
以上の色相の測定には、分光光度計(グレダグマクベス社製、商品名「スペクトロアイ」)を用いた。
実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナーの測定及び評価結果を、コア形成工程の条件及びシェル形成工程の条件と併せて表1に示す。なお、下記表1中、「St」の欄はスチレンの添加量(部)を、「BA」の欄はn−ブチルアクリレートの添加量(部)を、「HHカブリ」の欄はカブリ試験(高温高湿(H/H)環境下)で測定したトナーのカブリ値を、それぞれ示す。
また、開始剤1〜開始剤5の詳細をまとめたものを表2に示す。なお、下記表2中、「溶解度(g)」の欄は20℃の水100gに対する溶解度(g)を示す。
また、開始剤1〜開始剤5の詳細をまとめたものを表2に示す。なお、下記表2中、「溶解度(g)」の欄は20℃の水100gに対する溶解度(g)を示す。
3.トナーの評価のまとめ
以下、表1及び表2を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
表1及び表2より、比較例1のトナーは、10時間半減期温度T2が86℃の開始剤4を用いて、重合温度T1を89℃としたシェル形成工程を経て得られたトナーである。比較例1のトナーは最低定着温度が140℃と低い。したがって、比較例1のトナーにおいては、少なくとも低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、耐熱温度が52℃と低い。したがって、10時間半減期温度T2が重合温度T1よりも3℃しか低くないシェル形成工程を経て製造された比較例1のトナーは、シェル形成工程において、コア着色樹脂粒子の表面にシェル層が十分に形成されていないため、耐熱性に劣るという問題があることが分かる。
以下、表1及び表2を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
表1及び表2より、比較例1のトナーは、10時間半減期温度T2が86℃の開始剤4を用いて、重合温度T1を89℃としたシェル形成工程を経て得られたトナーである。比較例1のトナーは最低定着温度が140℃と低い。したがって、比較例1のトナーにおいては、少なくとも低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、耐熱温度が52℃と低い。したがって、10時間半減期温度T2が重合温度T1よりも3℃しか低くないシェル形成工程を経て製造された比較例1のトナーは、シェル形成工程において、コア着色樹脂粒子の表面にシェル層が十分に形成されていないため、耐熱性に劣るという問題があることが分かる。
なお、参考例1のトナーは従来の製造方法に則り製造されたトナーであり、表1及び表2より、参考例1のトナーは、コア用重合性単量体の添加量を、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部とした以外は、比較例1と同様である。参考例1のトナーは、耐熱温度が58℃と高い。したがって、比較例1のトナーと対照的に、参考例1のトナーにおいては、少なくとも耐熱性に問題は見られない。
しかし、参考例1のトナーは、最低定着温度が155℃と高い。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。したがって、比較例1の結果と比較すると明らかなように、参考例1のトナーは、耐熱性を高めるためにスチレン含有割合を高くしてコア着色樹脂粒子のガラス転移温度を上げ、且つ、低温定着性の向上を意図してシェル用重合開始剤の添加量を少なくしシェル層を薄くしたとしても、低温定着性に劣るという問題があることが分かる。
比較例1と参考例1とを対比することにより、重合温度T1と10時間半減期温度T2との差が3℃しかない従来の製造方法においては、コア着色樹脂粒子中のスチレン含有割合を高くしてガラス転移温度を上げると低温定着性が悪くなり(参考例1)、低温定着性を高めるためにコア着色樹脂粒子中のスチレン含有割合を低くすると耐熱性が悪くなるというように(比較例1)、いわば耐熱性の向上と低温定着性の向上との間に背反があることが分かる。
しかし、参考例1のトナーは、最低定着温度が155℃と高い。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。したがって、比較例1の結果と比較すると明らかなように、参考例1のトナーは、耐熱性を高めるためにスチレン含有割合を高くしてコア着色樹脂粒子のガラス転移温度を上げ、且つ、低温定着性の向上を意図してシェル用重合開始剤の添加量を少なくしシェル層を薄くしたとしても、低温定着性に劣るという問題があることが分かる。
比較例1と参考例1とを対比することにより、重合温度T1と10時間半減期温度T2との差が3℃しかない従来の製造方法においては、コア着色樹脂粒子中のスチレン含有割合を高くしてガラス転移温度を上げると低温定着性が悪くなり(参考例1)、低温定着性を高めるためにコア着色樹脂粒子中のスチレン含有割合を低くすると耐熱性が悪くなるというように(比較例1)、いわば耐熱性の向上と低温定着性の向上との間に背反があることが分かる。
表1より、比較例2のトナーは、重合温度T1を55℃としたシェル形成工程を経て得られたトナーである。比較例2のトナーは最低定着温度が130℃と低い。したがって、比較例2のトナーにおいては、少なくとも低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例2のトナーは、耐熱温度が48℃と低い。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も低い値である。したがって、重合温度T1を60℃未満としたシェル形成工程を経て製造された比較例2のトナーは、シェル形成工程において、主にメチルメタクリレートの重合反応が十分進行せず、その結果シェル層がコア着色樹脂粒子表面に十分に形成されないため、耐熱性に極めて劣るという問題があることが分かる。
しかし、比較例2のトナーは、耐熱温度が48℃と低い。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も低い値である。したがって、重合温度T1を60℃未満としたシェル形成工程を経て製造された比較例2のトナーは、シェル形成工程において、主にメチルメタクリレートの重合反応が十分進行せず、その結果シェル層がコア着色樹脂粒子表面に十分に形成されないため、耐熱性に極めて劣るという問題があることが分かる。
表1より、比較例3のトナーは、コア用重合性単量体の重合転化率が80質量%に達したときに、系内温度を75℃に冷却し、シェル形成工程を開始して得られたトナーである。比較例3のトナーは、最低定着温度が145℃と低い。したがって、比較例3のトナーにおいては、少なくとも低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例3のトナーは、耐熱温度が53℃と低い。したがって、コア用重合性単量体の重合転化率が90質量%未満のときにシェル形成工程に移行して製造された比較例3のトナーは、耐熱性に劣るという問題があることが分かる。
しかし、比較例3のトナーは、耐熱温度が53℃と低い。したがって、コア用重合性単量体の重合転化率が90質量%未満のときにシェル形成工程に移行して製造された比較例3のトナーは、耐熱性に劣るという問題があることが分かる。
表1及び表2より、比較例4のトナーは、10時間半減期温度T2が57℃の開始剤1を用いて、重合温度T1を95℃としたシェル形成工程を経て得られたトナーである。比較例4のトナーは、耐熱温度が56℃と低く、且つ、最低定着温度が145℃と低い。したがって、比較例4のトナーにおいては、少なくとも耐熱性及び低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例4のトナーは、小粒径微粒子数が100個を超える。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。また、比較例4のトナーは、高温高湿(H/H)環境下におけるカブリ値が5.9である。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。したがって、10時間半減期温度T2が重合温度T1よりも38℃も低いシェル形成工程を経て製造された比較例4のトナーは、シェル用重合開始剤の分解がシェル形成よりも早くなる結果、シェル用重合性単量体であるメチルメタクリレートが水中において独立した小粒径微粒子となることにより、トナー特性が悪化するという問題があることが分かる。
しかし、比較例4のトナーは、小粒径微粒子数が100個を超える。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。また、比較例4のトナーは、高温高湿(H/H)環境下におけるカブリ値が5.9である。この値は、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4、及び参考例1のトナー中、最も高い値である。したがって、10時間半減期温度T2が重合温度T1よりも38℃も低いシェル形成工程を経て製造された比較例4のトナーは、シェル用重合開始剤の分解がシェル形成よりも早くなる結果、シェル用重合性単量体であるメチルメタクリレートが水中において独立した小粒径微粒子となることにより、トナー特性が悪化するという問題があることが分かる。
一方、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも、コア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったときにシェル形成工程を開始し、且つ、重合温度T1が60〜95℃の範囲内であり、且つ、10時間半減期温度T2と重合温度T1との差が5〜30℃の範囲内であるシェル形成工程を経て製造されたトナーである。
表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも耐熱温度が56℃以上であり、優れた耐熱性を有する。また、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも最低定着温度が145℃以下であり、優れた低温定着性を有する。さらに、実施例1〜実施例5のトナーは、小粒径微粒子数が20個未満であり、且つ、高温高湿(H/H)環境下におけるカブリ値が1.0以下であり、優れたトナー特性を有することが分かる。
したがって、上述した条件(1)及び(2)をいずれも満たす製造方法により製造された実施例1〜実施例5のトナーは、従来は背反の関係にあった耐熱性の向上と低温定着性の向上をバランスよく達成し、且つ、小粒径微粒子の副生が抑制されるため優れたトナー特性を有することが分かる。
表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも耐熱温度が56℃以上であり、優れた耐熱性を有する。また、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも最低定着温度が145℃以下であり、優れた低温定着性を有する。さらに、実施例1〜実施例5のトナーは、小粒径微粒子数が20個未満であり、且つ、高温高湿(H/H)環境下におけるカブリ値が1.0以下であり、優れたトナー特性を有することが分かる。
したがって、上述した条件(1)及び(2)をいずれも満たす製造方法により製造された実施例1〜実施例5のトナーは、従来は背反の関係にあった耐熱性の向上と低温定着性の向上をバランスよく達成し、且つ、小粒径微粒子の副生が抑制されるため優れたトナー特性を有することが分かる。
なお、実施例4における重合温度T1は65℃であり、この重合温度T1は、実施例1〜実施例5の中で最も低い。したがって、実施例4においては、実施例1〜実施例3及び実施例5よりもメチルメタクリレート(シェル用重合性単量体)の反応性が比較的低くなるため、耐熱温度及び最低定着温度が実施例1〜実施例5の中でいずれも最も低くなる。
また、実施例5における重合温度T1は85℃であり、この重合温度T1は、実施例1〜実施例5の中で最も高い。したがって、実施例5においては、実施例1〜実施例4よりもメチルメタクリレート(シェル用重合性単量体)の反応性が高いことと、シェル用重合開始剤の分解が早くなりすぎるため、小粒径微粒子数が実施例1〜実施例5の中で最も多い。
また、実施例3におけるシェル用重合開始剤の添加量は1.13部(2.98μmol)であり、この添加量は、実施例1及び実施例2における添加量の3倍以上である。実施例3の小粒径微粒子数は、実施例1及び実施例2の小粒径微粒子数の2倍以上である。これは、実施例3において添加したシェル用重合開始剤は、その一部が小粒径微粒子の副生に費やされたためであると考えられる。
Claims (4)
- 分散剤を含む水系分散媒中において、コア用重合性単量体と着色剤とを含有するコア用重合性単量体組成物を懸濁重合することにより、コア着色樹脂粒子の水系分散液を調製するコア形成工程、
前記コア形成工程後に、シェル用重合性単量体及びシェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加して懸濁重合を行い、前記コア着色樹脂粒子の表面にシェル層を形成してコアシェル型着色樹脂粒子を製造するシェル形成工程を含むトナーの製造方法において、
(1)コア形成工程におけるコア用重合性単量体の重合転化率が90質量%以上となったとき、前記シェル用重合性単量体及び前記シェル用重合開始剤を前記水系分散液に添加し、且つ
(2)シェル形成工程における懸濁重合の重合温度をT1(℃)、シェル用重合開始剤の10時間半減期温度をT2(℃)としたとき、下記式(I)及び(II)を満たす条件下で懸濁重合してコアシェル型着色樹脂粒子を製造することを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
60≦T1≦95 (I)
T1−30≦T2≦T1−5 (II) - 前記シェル用重合開始剤は、20℃の水100gに対する溶解度が5g以上の水溶性重合開始剤である請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記シェル用重合開始剤の10時間半減期温度T2が45〜65℃である請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記シェル形成工程における懸濁重合の重合温度T1が65〜85℃である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
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-
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