JP7271347B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法による画像形成に使用される静電荷像現像用のトナー粒子の製造方法に関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置に対する品質要求は厳しく、トナーに要求される性能も高度なものとなっている。特に、フルカラー複写機又はフルカラープリンタなどにおいては、小型化や省エネや環境対応への要求が強く求められており、耐久性や低温定着性、残留モノマーの低減の更なる向上が求められている。トナーとしても、より良好な耐久性や低温定着性を有することが求められている。
その要求に対して、重合によってトナーを製造する方法において、コア-シェル構造を有するトナーで、トナーの粒子径、平均円形度とトナーの硬度を適正な範囲にすることで、良好な保存性と定着性を得ることで高画質で耐久性に優れたトナーが得られる方法がある(特許文献1)。
また、特定の重合開始剤を含め、2種類以上の重合開始剤を用いて重合を行い、得られたポリマーの分子量分布において、低分子量側と高分子量側に夫々少なくとも1つのピークまたは肩を有するようにすることで定着性と耐久性に優れたトナーを得る方法がある(特許文献2)。
特開2007-171272号公報 特許第4557855号
しかしながら、残留モノマーでは未だ若干の課題が存在している。更に、高温高湿環境下や低温低湿環境下においては、耐久性に関して未だ若干の課題が存在している。
本発明の目的は、重合工程において特定の構造および物性を有する重合開始剤を水系媒体中で2種類と水溶性開始剤を用いることで、トナーバインダーのうち、高分子のものをトナー表層近傍に分布させ、保存性を向上させ、定着性に優れかつトナー粒子中の残留モノマー(重合性単量体)を低減させたトナー粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、重合性単量体、第1の重合開始剤および第2の重合開始剤を含有する重合性単量体組成物を調製する調製工程、水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、および、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させる重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤が、該重合性単量体に可溶な重合開始剤であり、
該第1の重合開始剤が、下記式(1)で示される化合物であり、
Figure 0007271347000001
(式(1)中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R10は、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)
該第1の重合開始剤の10時間半減期温度が、45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤が、下記式(2)または(3)で示される化合物であり、
Figure 0007271347000002
(式(2)中、R1は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R2は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
Figure 0007271347000003
(式(3)中、R4は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R5は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R6は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
該第2の重合開始剤の10時間半減期温度が、70.0℃以上115.0℃以下であり、
該調製工程において調製された該重合性単量体組成物中の該第1の重合開始剤の含有量が、該重合性単量体に対して2.5モル%以上20.0モル%以下であり、
該重合工程が、該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤によって、該重合性単量体を重合させる第1の重合工程、および、該第1の重合工程において該第2の重合開始剤の残存率が50%以上のときに、第3の重合開始剤を該水系媒体中に添加し、該重合性単量体をさらに重合させる第2の重合工程を有し、
該第3の重合開始剤が、水溶性の重合開始剤であり、
該第2の重合工程において該水系媒体中に該第3の重合開始剤を添加したときの該第2の重合開始剤の残存量が、該第3の重合開始剤の添加量に対して20.0モル%以上であることを特徴とするトナー粒子の製造方法に関する。
本発明によれば、定着性、保存性に優れ、残留モノマーを低減させたトナー粒子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、重合性単量体、第1の重合開始剤および第2の重合開始剤を含有する重合性単量体組成物を調製する調製工程、水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、および、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させる重合工程を有するトナー粒子の製造方法であり、下記の構成を満足することによって、本発明の効果が得られる。
i)該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤が、該重合性単量体に可溶な重合開始剤であり、
ii)該第1の重合開始剤が、下記式(1)で示される化合物であり、
Figure 0007271347000004
(式(1)中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R10は、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)
該第1の重合開始剤の10時間半減期温度が、45.0℃以上65.0℃以下であり、
iii)該第2の重合開始剤が、下記式(2)または(3)で示される化合物であり、
Figure 0007271347000005
(式(2)中、R1は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R2は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
Figure 0007271347000006
(式(3)中、R4は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R5は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R6は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
該第2の重合開始剤の10時間半減期温度が、70.0℃以上115.0℃以下であり、
iv)該調製工程において調製された該重合性単量体組成物中の該第1の重合開始剤の含有量が、該重合性単量体に対して2.5モル%以上20.0モル%以下であり、
v)該重合工程が、該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤によって、該重合性単量体を重合させる第1の重合工程、および、該第1の重合工程において該第2の重合開始剤の残存率が50%以上のときに、第3の重合開始剤を該水系媒体中に添加し、該重合性単量体をさらに重合させる第2の重合工程を有し、
vi)該第3の重合開始剤が、水溶性の重合開始剤であり、
vii)該第2の重合工程において該水系媒体中に該第3の重合開始剤を添加したときの該第2の重合開始剤の残存量が、該第3の重合開始剤の添加量に対して20.0モル%以上であること。
本発明の効果が発現する理由は必ずしも明確にはなっていないが、本発明者らは次のように考えている。
重合開始剤はその構造によりそれぞれ親水性・疎水性を有する。第1の構造を有する重合開始剤は式(2)もしくは式(3)の構造を有する第2の重合開始剤と比較して疎水性の性質を有することになる。
水系媒体中で造粒、重合させトナー粒子を製造する場合、より親水性の物質がトナー粒子表面に分布することになる。その際、第1の重合開始剤は第2の重合開始剤より10時間半減期温度が低いため、式(1)の構造を有する重合開始剤により生成する重合性単量体から成る結着樹脂の分子量は式(2)もしくは式(3)の構造を有する重合開始剤により生成する結着樹脂の分子量より小さくなる。また、該第1の重合工程において式(2)もしくは式(3)の重合開始剤の残存率が50%以上のとき、水溶性の重合開始剤である第3の重合開始剤を水系媒体中に添加する。
第3の重合開始剤が水溶性の開始剤であることから、第2の重合開始剤と比較して親水性の性質を有することになる。第2の重合開始剤よりも親水性の性質を有することから第3の重合開始剤は第2の重合開始剤に比べトナー粒子前駆体表面に分布することになる。
第2の重合開始剤残存率が50%以上のときに、第3の重合開始剤を添加することで、トナー粒子表面近傍は第2の重合開始剤と第3の重合開始剤がともに作用する。トナー粒子前駆体表面近傍は第2の重合開始剤と第3の重合開始剤がともに作用することで第2の重合開始剤が選択的に作用している箇所に対して、生成する結着樹脂の分子量は高くなる。
従って本発明のトナー粒子製造方法の場合、分子量の大きい結着樹脂がトナー粒子表層側、分子量が小さい結着樹脂がトナー粒子中心部側に分布するトナー粒子が得られる。
また、10時間半減期温度が低い重合性開始剤を用いて重合性単量体を重合すると重合反応初期から重合開始剤が開裂してラジカルを発生して重合反応を行う。そのため、重合反応後期においては重合開始剤の大半は消費されてしまっているため、重合性単量体の減少は鈍化する。これに対して、本発明では10時間半減期温度が高い重合開始剤を併用しているため重合工程後期やその後の蒸留工程においても重合開始剤が残っているため、重合性単量体を重合することが可能で、重合工程もしくは蒸留工程において、残留モノマーがより低減したトナー粒子を得ることができる。
更には10時間半減期温度が高い重合開始剤のみの使用では生成する結着樹脂が高分子量のものとなり、トナー粒子の定着性が悪くなり易いが、10時間半減期温度が低い重合開始剤を併用しているため定着性も良好なトナー粒子が得られる。
第一の重合開始剤の10時間半減期温度が45.0℃未満であると、第二の重合開始剤との差が大きすぎるため結着樹脂の分子量や残留モノマーの調整が困難となる。65.0℃超の場合は第二構造を有する重合開始剤との差が小さいため、トナー粒子表層に分布する結着樹脂の分子量が十分大きくないため耐熱性が不十分となる。
重合開始剤を本発明に用いられる第1の重合開始剤と第2の重合開始剤のうち、いずれか一方では本発明の効果は得られない。いずれか一方のみであると生成される結着樹脂はトナー粒子表層部側と中心部側とも同一の均質な状態となるため、定着性と保存性の両立が困難となる。
第2の重合開始剤の10時間半減期温度が70.0℃未満であると、第一の重合開始剤との差が小さいため、トナー粒子表層に分布する結着樹脂の分子量が十分大きくないため耐熱性が不十分となる。また、残留モノマー低減効果も低下する。
第2の重合開始剤の10時間半減期温度が115.0℃超であると、第一の10時間半減期温度の重合開始剤との差が大きすぎるため結着樹脂の分子量や残留モノマーの調整が困難となる。具体的には第1の開始剤に最適な条件とすると第二の重合開始剤が重合反応のためにラジカルを生成する確率が低くなり重合反応自体が進行しづらくなるため残留モノマーの低減効率がかえって低下、またトナー表層側に分布する結着樹脂の分子が十分な分子量を得られないため本発明の効果が得られない。逆の場合は第一開始剤の分子量制御が困難で、定着性と保全性の両立が困難になる。また、第一の開始剤の開裂が速過ぎるため重合反応中期以降において重合が進行しづらくなり同様に残留モノマーの低減効率がかえって低下する。また残留モノマーが多いことでトナー粒子が可塑化され凝集し易くなる。
第2の重合開始剤の残存率が50%以上のときに、第3の重合開始剤を該水系媒体中に添加する。第2の重合開始剤の残存率が50%未満だと、未反応の重合性単量体が少なく、第三の重合開始剤がトナー粒子表面近傍の結着樹脂の高分子化に寄与せず、保存性の向上が望めない。
第1の重合開始剤、第2の重合開始剤の構造としては、該第1の重合開始剤が式(1)の構造を有し、該第2の重合開始剤が式(2)もしくは式(3)の構造を有する。
Figure 0007271347000007
(式(1)中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R10は、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)
Figure 0007271347000008
(式(2)中、R1は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R2は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
Figure 0007271347000009
(式(3)中、R4は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R5は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R6は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
これは、本発明の作用効果を発現する原因である2種類の重合開始剤残基の親水性・疎水性のバランスがよりよくなるためである。すなわち、本発明の作用効果を発現する原因である2種類の重合開始剤のうち第1の重合開始剤の重合開始剤残基の酸素原子が1つ多いため親水性が強く、よりトナー粒子表面側に高分子量の結着樹脂が分布し、本発明の作用効果が強く発現するためである。
上記式(1)~(3)で示される化合物としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
<式(1)で示される化合物>
・t-へキシル パーオキシピバレート(パーへキシルPV 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度53.2℃)
7=CH3-CH2-CH2-、R8=CH3-、R9=CH3-、R10=CH3
・t-ブチル パーオキシネオデカノエート(パーブチルND 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度46.4℃)
7=CH3-、R8=CH3-、R9=CH3-、R10=C613
・t-ブチル パーオキシピバレート(パーブチルPV 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度54.6℃)
7=CH3-、R8=CH3-、R9=CH3-、R10=CH3
<式(2)で示される化合物>
・t-ブチル パーオキシイソブチレート(ルペロックス80 アルケマ吉富株式会社製;10時間半減期温度75℃)
1=(CH33C-、R2=CH3-、R3=CH3
・t-アミル パーオキシイソブチレート(ルペロックス580 アルケマ吉富株式会社製;10時間半減期温度73℃)
1=C25-(CH32C-、R2=CH3-、R3=CH3
・t-ブチル パーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーブチルO 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度72.1℃)
1=(CH33C-、R2=CH3CH2-、R3=CH3(CH23
・t-ブチル パーオキシアセテート(パーブチルA 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度101.9℃)
1=(CH33C-、R2=H、R3=H
<式(3)で示される化合物>
・t-ブチル パーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI 日本油脂株式会社製;10時間半減期温度98.7℃)
4=(CH33C-、R5=CH3-、R6=CH3
第1の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5モル%未満であると、反応の早い段階で重合開始剤がほとんど消費されてしまい第2の開始剤が残っていたとしても残留モノマーを低減しきれず、かつ残留モノマーの可塑効果によりトナー粒子の凝集もし易い。第1の重合開始剤の添加量が20.0モル%超であると、重合で生成する結着樹脂に関してオリゴマーが多く生成するため耐熱性が弱く凝集しやすい。
第3の重合開始剤は水溶性開始剤を使用する。重合工程の進行した段階から油溶性の開始剤を投入しても、油溶性開始剤は重合性単量体に作用することができず、トナー粒子表面の高分子量化には寄与しない。第三の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄または過酸化水素が挙げられる。
第3の重合開始剤を添加したときの、第2の重合開始剤の残存量が第3の重合開始剤の残存量に対して20.0モル%未満であると未反応の重合性単量体が少なく、第三の重合開始剤がトナー粒子表面近傍の結着樹脂の高分子化に寄与せず、保存性の向上が望めない。
第1の重合開始剤の添加量は第2の重合開始剤より多いと望ましい。これは、得られるトナー粒子の結着樹脂が高分子量成分と低分子量成分が適切な割合含有されるため、トナー粒子の定着性と耐熱性が双方とも良好になるためである。更に、該第2の重合開始剤の添加量が該第1の重合開始剤の添加量に対して5.0モル%以上60.0モル%以下であると望ましい。これは残留モノマーを低減させつつ、定着性と耐久性の両立という点でも望ましいためである。すなわち、第2重合開始剤由来の高分子量の結着樹脂がトナー粒子表層側に存在することで耐久性が向上するためであり、その割合が適度であるため定着性を阻害しないためである。
第2重合開始剤の添加量は第3重合開始剤より多いと望ましい。これは、第3重合開始剤がトナー表面で作用する際、第2の重合開始剤が選択的に作用する領域を残しつつ、トナー表面で作用するためである。
第3重合開始剤の添加量は第2の重合開始剤の添加量に対して5.0モル%以上90.0モル%以下であると望ましい。これは残留モノマーを低減させつつ、定着性と耐久性の両立という点でも望ましいためである。すなわち、第3重合開始剤由来の高分子量の結着樹脂がトナー粒子表層側に存在することで耐久性が向上するためであり、その割合が適度であるため定着性を阻害しないためである。
第1あるいは第2の重合工程の途中で重合温度を上昇させることが好ましい。これは第1の重合開始剤の分解に適正な温度に対し、第2の重合開始剤の分解に適正な温度は10時間半減期温度の関係から高くなり、第2の重合開始剤の分解に時間がかかるためである。第2の重合開始剤が適切な速度で分解する温度に第1あるいは第2の重合工程の途中で重合温度上昇させることが好ましい。
該重合性単量体組成物が結晶性材料を含有すると望ましい。本発明に使用できる結晶性物質としては、ワックスや結晶性ポリエステル等、離型剤など公知のものを使用することができる。これは定着性の点で優れるため望ましいためである。
本発明のトナーの場合、トナー粒子表面近傍側には結着樹脂のうち、高分子量成分が分布しているため、結晶性物質がトナー粒子表面近傍には相溶しにくいため分布しにくい。そのため、結晶性物質により定着性を良化させつつも、トナー粒子表面への露出は抑制されるため耐久性も両立できるため望ましい。
本発明に使用する結晶性物質の融点Tmは、50℃以上90℃以下であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、60℃以上85℃以下である。該結晶性物質の融点Tmが、50℃以上90℃以下であると定着性の保存性の両立の点で望ましい。
本発明のトナーは、結晶性物質として、ワックスを含有してもよい。その場合、ワックスの少なくとも1つは、融点(温度20℃以上200℃以下の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上90℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体のワックスであることが好ましく、特に、融点が50℃以上90℃以下の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びフィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びキャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体など公知のワックスを用いることが可能である。これらは単独又は併せて用いることができる。
本発明のトナー中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましく、4質量部以上15質量部以下が更に好ましい。ワックスの添加量が下限値以上であるとオフセット防止効果が低くならず、上限値以下の場合は耐ブロッキング効果が低下せず、耐オフセット効果にも悪影響を与え難く、トナーのドラム融着やトナーの現像スリーブ融着を起こし難い。
本発明で用いられるワックスとしては炭化水素ワックスを用いている場合はより一層、耐ブロッキング効果、耐オフセット効果に優れ、トナーのトナー層規制部材やトナー担持体への融着を起こし難い。
ワックスとしては炭化水素ワックスを用い、かつ脂肪族のジオールと脂肪族のジカルボン酸により製造された結晶性ポリエステル樹脂もトナー粒子中に含有している場合、該結晶性ポリエステルとワックスとの相互作用により、結晶化が促進されやすいため、よりトナー粒子表層側においてワックスや結晶性ポリエステル樹脂が結着樹脂に相溶しにくく、重合工程中にトナー粒子が凝集しにくいため望ましい。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、ワックスをトナーから抽出することを必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法を用いることができる。例えば、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、DSCなどにより定量分析を行う。本発明ではTAインスツルメンツジャパン社製DSC-2920を用いて測定を行う。
測定時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得る。
該重合性単量体組成物が結晶性ポリエステル樹脂を含有すると更に望ましい。結晶性ポリエステル樹脂を含有すると定着性が優れるため望ましい。しかし、該重合工程において、該結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で重合反応を行う場合、結晶性ポリエステル樹脂の可塑効果により、より一層重合工程においてトナー粒子は凝集しやすくなる。それに対して本発明で用いられる第1の重合開始剤と第2の重合開始剤を用いることでトナー粒子表層側に高分子量の結着樹脂が分布することで耐熱性が向上する。そのためトナー粒子は凝集を抑制し、かつ結晶性ポリエステル樹脂の低温定着性の効果を活かせるため望ましい。その際、該第1の重合開始剤由来の高分子量の結着樹脂の方が該結晶性ポリエステル樹脂への相溶性が低いため、該結晶性ポリエステル樹脂はトナー粒子表層側に相溶した状態では存在しにくいため、可塑化されにくく、トナー粒子表層側の耐熱性が強固に維持できるためトナー粒子は凝集しにくくより望ましい。結晶性ポリエステル樹脂はワックスや離型剤と比較して分子量が大きいため、より一層その効果が大きいため望ましい。
該結晶性ポリエステル樹脂としては、2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。結晶性ポリエステルは、1種類のみを用いても、複数種を併用しても良い。更に、結晶性ポリエステルの他に非晶質のポリエステルをトナーに含有させても良い。
本発明において結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量測定(DSC)において昇温時に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有するポリエステルを指し、その測定は「ASTM D 3417-99」に準じて行う。
(顔料)
本発明のトナーは、着色剤として顔料を含有する。シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:4。
マゼンタ系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264及びC.I.ピグメントレッド269。
イエロー系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180及びC.I.ピグメントイエロー185。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、並びに、上記イエロー系、マゼンタ系及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
顔料がカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー180及びC.I.ピグメントイエロー185であると本発明の効果が高く望ましい。特に望ましくはカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122である。カーボンブラックの場合は、pHが6以上で吸油量(DBP)が30(cc/100g)以上120(cc/100g)以下であると好ましい。これは、本発明で用いられる重合開始剤が反応阻害されにくいためである。
これら顔料の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のトナーにおいては、本発明の効果を阻害しない範囲で各種特性付与を目的として公知の様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の3/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
これら添加剤の含有量は、トナー100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
これらの添加剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
また、これらの添加剤は疎水化処理されていてもよい。疎水化処理の方法としては、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることが好ましい。高湿下での無機微粉体の水分吸着を抑制することができ、さらには、規制部材や帯電部材などの汚染が抑制することができるため、高品位の画像が得られるためである。
トナーの重量平均粒径(D4)としては4.0μm以上12.0μm以下であると望ましく、4.0μm以上9.0μm以下であるとより望ましい。これは重量平均粒径が4.0μm未満であるとトナーの比表面積が大きいため長期使用において耐久性や耐熱性において問題が発生しやすく、重量平均粒径が12.0μmを超える場合はトナーの着色力及び画像の解像度の点で劣るため望ましくない。
〔重合性単量体〕
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン以外にもラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いても良い。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用する。
スチレン以外に用いる重合性単量体としてはスチレン誘導体、n-ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル系重合性単量体もしくはn-ブチルメタクリレートや2-エチルヘキシルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル系重合性単量体が望ましい。これは重合性単量体を重合して得られる結着樹脂の強度や柔軟性の点で優れているためである。
(製造方法)
本発明のトナーの製造方法として懸濁重合を用いるが、以下の如き製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。重合性単量体中にポリエステル樹脂などの極性樹脂、離型剤、着色剤、架橋剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめ、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の撹拌機またはホモミクサー、ホモジナイザーなどにより分散せしめる。 重合性単量体中に第一の重合開始剤、第二の重合開始剤を加え重合性単量体組成物を調製する調整工程を有する。重合性単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。第一の重合開始剤、第二の重合開始剤により第一の重合工程を進行させる。重合温度は40℃以上、通常50~120℃の温度に設定して重合を行う。重合温度が95℃以上の場合は重合反応を行う容器を加圧して水系媒体が蒸発するのを抑制しても良い。第一の重合温度は第一の重合開始剤の10時間半減期温度より0~30℃高い温度で行うことが好ましい。第一の重合工程にて第二の重合開始剤の残存率が50%以上のとき、第三の重合開始剤を水系媒体中に添加し、第二の重合工程を行う。第三の重合開始剤は水溶性の重合開始剤を使用する。第三の重合開始剤を添加したときの、第二の重合開始剤の残存量は第三の重合開始剤の添加量に対して20モル%以上である。
第2の重合工程において重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpHを変更しても良い。更に、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半に反応温度を上げても良い。反応終了後、生成したトナー粒子前駆体分散液を得る。次に該トナー粒子前駆体分散液を冷却、洗浄、ろ過により収集し、乾燥する。
<第2の重合開始剤残存率の計算方法>
第2の重合開始剤の残存率は以下の手順で計算した。使用する重合開始剤の1分半減期温度、1時間半減期温度、10時間半減期温度を入手した。入手した各半減期温度をマイクロソフト社製エクセル2016(16.0.4639.1000)32ビットにて散布図にてグラフ化した。作成したグラフから近似曲線のオプションにて累乗近似を選択し、近似曲線を得た。近似曲線の数式を表示し半減期の計算式を得た。半減期の計算式に第一の重合工程における温度を代入し、第二の重合開始剤の残存率を求めた。
<トナー粒子中の残留モノマーの定量方法>
トナー中の残留スチレンモノマーなどの残留モノマーの定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
トナー約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した約10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J-MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予めスチレンなど各種モノマーを用いて作成した検量線により、残留モノマーの残存量を算出する。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
<製造装置>
以下、本発明における製造装置について説明する。本発明では、公知のものが使用できるが、造粒工程における撹拌手段の一例としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi-Fミキサー(綜研化学社製)等の撹拌翼を有するものを用いることができる。他にも、高剪断力を付与できる撹拌機がより好ましい。高剪断撹拌機としては、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられたスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものが好ましく用いられる。具体的には、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)、Wモーション(エムテクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、シャープフローミル(太平洋機工社製)等が用いられる。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
〔実施例1〕
分散媒(水系媒体)
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
重合性単量体組成物
・スチレン 60質量部
・カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7質量部
・荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25質量部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、組成物を得た。
上記組成物に
・スチレン 20質量部
・n-ブチルアクリレート 20質量部
・極性樹脂 5質量部
(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物と、テレフタル酸及びイソフタル酸との縮重合反応により得られた飽和ポリエステル樹脂;重量平均分子量が13000、酸価が8mgKOH/g、ガラス転移温度が74℃)
フィッシャートロプシュワックス
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:融点83.0℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t-ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)10.0質量部と重合開始剤t-ブチルパーオキシイソブレート(アルケマ吉富社製、商品名「ルペロックス80」、分子量:160、10時間半減期温度:75.0℃)2.0質量部とを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンク中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで5分間撹拌し、pH5.2で造粒した。その後、重合タンクに移して、第一の重合工程をパドル撹拌翼で30回/分で撹拌しつつ70℃で重合開始剤t-ブチルパーオキシイソブレートの計算上の残存率が80%になるまで行った。イオン交換水10質量部に重合開始剤である過硫酸カリウム(分子量:270)を、1.0質量部を溶解させた水溶液を添加し、第二の重合工程をパドル撹拌翼で30回/分で、90℃に昇温し、3時間行った。
重合反応終了後、反応容器を冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間撹拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、乾燥して風力分級し、ブラック着色粒子を得た。
得られたブラック着色粒子100質量部と、疎水性シリカ1を1.5質量部、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合し、外添剤を有するトナー1を得た。得られたトナー1の物性等については表9に記載した。
〔実施例2~20、比較例1~10〕
表1に記載される通りに各原料の種類及び含有量、第三の重合開始剤の投入タイミング、温度条件を変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
表1に記載の第1の重合開始剤及び第2の重合開始剤のうち、比較例で使用の重合開始剤パーオクタND、パーオクタO、ルペロックスDIの構造と10時間半減期温度は以下の通りである。
・パーオクタND(日本油脂株式会社製;10時間半減期温度40.7℃)
Figure 0007271347000010
・パーオクタO(日本油脂株式会社製;10時間半減期温度65.3℃)
Figure 0007271347000011
・ルペロックスDI(アルケマ吉富株式会社製;10時間半減期温度129℃)
Figure 0007271347000012
Figure 0007271347000013
実施例1~20、比較例1~10で得られたトナーを、それぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。評価結果は表4に示す。「残留スチレンモノマー量」は上述の方法により求めた値である。
各種画像評価は以下のようにして評価を行った。
<定着性>
低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用い、マシン及びトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れた。ウェイトアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重(0.98N)でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10sec以下のボンド紙を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 0007271347000014
<トナーの保存安定性評価>
トナーの保存安定性評価は、10gのトナーを100mlのポリカップに量り取り、50℃および55℃の恒温層の中へ3日間放置した後、200メッシュ(目開き)の篩性により評価した。測定装置として、デジタル振動計(DEGITAL VIBLATIONMETERMODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。
測定法としては、セットした200メッシュふるい(目開き75μm)上に評価用のトナーのせ、デジタル振動計の変位の値を0.50mm(peak-to-peak)になるように調整し、30秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の状態から保存安定性を評価した。以下に評価基準を示す。
Figure 0007271347000015
(評価機)
市販のLBP-2710(キヤノン株式会社製)のプロセススピードを220mm/sに改造し、市販のブラックカートリッジからトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した。その後、本発明のトナーを260g充填し、その他のシアン、イエロー及びマゼンタのカートリッジのトナーを抜いて各ステーションに挿入したものを用いた。
Figure 0007271347000016

Claims (4)

  1. 重合性単量体、第1の重合開始剤および第2の重合開始剤を含有する重合性単量体組成物を調製する調製工程、水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、および、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させる重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
    該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤が、該重合性単量体に可溶な重合開始剤であり、
    該第1の重合開始剤が、下記式(1)で示される化合物であり、
    Figure 0007271347000017
    (式(1)中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R10は、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)
    該第1の重合開始剤の10時間半減期温度が、45.0℃以上65.0℃以下であり、
    該第2の重合開始剤が、下記式(2)または(3)で示される化合物であり、
    Figure 0007271347000018
    (式(2)中、R1は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R2は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
    Figure 0007271347000019
    (式(3)中、R4は、炭素数1以上8以下のアルキル基を示し、R5は、水素原子または炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R6は、水素原子または炭素数1以上7以下のアルキル基を示す。)
    該第2の重合開始剤の10時間半減期温度が、70.0℃以上115.0℃以下であり、
    該調製工程において調製された該重合性単量体組成物中の該第1の重合開始剤の含有量が、該重合性単量体に対して2.5モル%以上20.0モル%以下であり、
    該重合工程が、該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤によって、該重合性単量体を重合させる第1の重合工程、および、該第1の重合工程において該第2の重合開始剤の残存率が50%以上のときに、第3の重合開始剤を該水系媒体中に添加し、該重合性単量体をさらに重合させる第2の重合工程を有し、
    該第3の重合開始剤が、水溶性の重合開始剤であり、
    該第2の重合工程において該水系媒体中に該第3の重合開始剤を添加したときの該第2の重合開始剤の残存量が、該第3の重合開始剤の添加量に対して20.0モル%以上であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記調製工程において調製された前記重合性単量体組成物中の前記第2の重合開始剤の含有量が、前記第1の重合開始剤に対して5.0モル%以上60.0モル%以下である請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記第2の重合工程における前記第3の重合開始剤の添加量が、前記調製工程において調製された前記重合性単量体組成物中の前記第2の重合開始剤の含有量に対して5.0モル%以上90.0モル%以下である請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記第1あるいは第2の重合工程において、重合温度を前記第1あるいは第2の重合工程の途中で上昇させる請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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