JP4468482B2 - 重合トナーの製造方法、トナー用結着樹脂の製造方法及びトナー - Google Patents

重合トナーの製造方法、トナー用結着樹脂の製造方法及びトナー Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット方式記録法などの方法によって形成される静電荷潜像を顕像化するために用いるトナーおよびその製造方法に関するものである。
電子写真法による画像形成方法としては種々の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段によって静電荷像担持体(以下、「感光体」ともいう)上に静電潜像を形成する。次いでトナーを用いて現像することにより該静電潜像を可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナーによる該可視像を転写した後、熱あるいは圧力により該記録媒体上にトナー画像として定着させて複写物を得るものである。このような画像形成装置としては、プリンターや複写機などがある。
近年、プリンター装置はLEDレーザービームプリンターが市場の主流になっており、より高解像度、すなわち、従来の300dpi、400dpiから、600dpi、1200dpiへと移行してきている。これに伴って、現像方式もより高精細化が要求されるようになってきている。また、複写機においてもデジタル化による高機能化が進みつつあり、プリンターと同様、高解像度・高精細化の現像方式が要求されてきている。
通常、これらプリンターや複写機に使用されるトナーは、結着樹脂と、染料、顔料、カーボンブラック、磁性体等の着色剤を主構成材料とする微粒子であり、その粒径は5〜30μm程度のものが用いられている。
トナーは、一般に結着樹脂としての熱可塑性樹脂中に、上記着色剤や必要に応じて荷電制御剤、ワックス等を溶融混合して均一に分散させた後、こうして得られた樹脂組成物を微粉砕し、分級して所望の粒子径とする、いわゆる粉砕法によって製造されている。このトナーの製造において上記構成材料が満たすべき要件としては、例えば、上記樹脂組成物は十分に脆く、経済的に可能な製造装置にて微粉砕し得るものでなければならないという点が挙げられる。ところが、樹脂組成物の脆性を高くすると、微粉砕して得られる粒子の粒径範囲が広くなり易いという問題が生じる。また、トナー化した後も、現像器内において使用中にさらに微粉化され易く、トナー粒子の破断面に着色剤が露出することによって現像性の低下を引き起こすという問題も生じる。
一方、このような粉砕法によるトナーの問題点を克服するべく、懸濁重合法による重合トナーの製造方法が提案されている。懸濁重合法は、重合性単量体に着色剤や必要に応じて多官能性単量体、連鎖移動剤、荷電制御剤やワックス等のトナー粒子中に内包する必要のある物質を溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を、重合開始剤とともに分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁させ、これを加熱等の方法で重合することによって、所望の粒径を有するトナー粒子として得るものである。この方法によれば、粉砕工程を含まないため、樹脂材料に脆性は必要なく、軟質のものであっても使用することが可能となる。また、トナー粒子表面に着色剤が露出しにくいため、均一な摩擦帯電性を有し、耐久性に優れたトナー粒子を得ることができる。さらに、分級工程の省略も可能になるため、省エネルギー化や製造時間の短縮、収率の向上等、コストの削減効果も大きくなる。
ところが、上記着色剤として用いるカーボンブラックや一部の染料、顔料の中には重合反応を阻害しやすいものがある。また、懸濁重合法によって製造した重合トナー或いは懸濁重合法によって製造した樹脂においては、使用する重合開始剤の種類によっては未反応の重合性単量体がトナー粒子或いは樹脂粒子中に残留してしまうことがある。残存する重合性単量体の量が多くなり過ぎると、個々のトナー粒子の帯電量が不均一となってカブリが生じ易くなり、また、トナー担持体の汚染や感光体へのフィルミングが発生し易くなって、画質の低下を引き起こすという問題が生じる。
また、懸濁重合法における重合開始剤の利用効率は必ずしも十分ではなく、その一部が重合反応に関与することなく分解物残渣としてトナー粒子或いは樹脂中に残留してしまうことがある。分解物残渣は、重合開始剤の分解によって生じた遊離基(ラジカル)が反応系内のほかの化合物から水素原子を引き抜いたり、ラジカル同士が不均化あるいは再結合したりして生成するもので、主にアルコールやカルボン酸、炭化水素といった化合物である。これらの分解物でも、低沸点のものであれば重合後に加熱・減圧等の操作を行うことによって留去することができ、水溶性を有するものであれば水系媒体中に溶出させることが可能である。しかし、比較的高分子量で高沸点かつ難溶性の化合物になると除去は困難となり、トナー粒子中に残留してしまうことになる。
このような分解物残渣もまた、帯電安定性の低下や、長期使用における画質低下の原因となり、定着時においては溶融したトナーが加熱ローラーに付着し易くなって、これが被定着シートを汚染する、いわゆる高温オフセットの原因の一つとなっている。また、このような分解物が多量に生成することによって重合開始剤の利用効率が低下すると、未反応の重合性単量体量を増大させる原因にもなる。
従来から、未反応の重合性単量体や重合開始剤に由来する分解物残渣がトナー粒子中に残留することを防止するための検討は盛んに行われており、以下に例示するような種々の方法が提案されている。
例えば、特定の構造を有し、かつ10時間半減期温度が120℃以下である過酸化物を重合開始剤として用いることにより、重合開始剤の分解物残渣が低減されたトナー用樹脂を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、上記重合開始剤とは異なる他の特定構造を有し、10時間半減期温度が70℃以上である重合開始剤と、それ以外の重合開始剤との共存下で重合を行うことによって、未反応モノマー(重合性単量体)の残留が抑えられたトナー用樹脂を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、非磁性一成分現像剤用の重合トナーの製造において、重合開始剤として分子量が250以下で、10時間半減期温度が60乃至85℃である非芳香族系有機過酸化物を用い、かつ重合温度75乃至100℃の範囲内で懸濁重合を行うことによって、重合開始剤の分解物や残存モノマー(重合性単量体)などの量が抑制された重合トナーを製造する方法が提案されている(特許文献3参照)。
上記した従来技術の内、特許文献1に開示された方法は、重合開始剤として脂肪族系の有機過酸化物を用いるもので、通常のパーオキシカーボネート系有機過酸化物、モノカーボネート系有機過酸化物、ジアシル系有機過酸化物、ジカーボネート系有機過酸化物等の中でも、特に脂肪族炭化水素基の炭素数が制限されたものが包含される。この方法によれば、重合開始剤に由来する分解物は比較的低分子量のものとなる。したがって、この重合開始剤を用い、溶液重合法によってトナー用結着樹脂を作製した場合、分解物残渣は重合後の脱溶剤工程やトナー調製時の溶融混練工程で高温加熱されることによって揮発するため、トナー粒子中への残留を抑制することができるとされている。しかしながら、このような重合開始剤を懸濁重合トナーの製造に適用した場合は、上記したような高温加熱処理する工程を含まないために、トナー粒子中への残留を抑制することは困難である。また、一部の着色剤による重合阻害に対しても、これを抑えることが困難であった。
また、上記した特許文献2に開示された方法は、トナー用結着樹脂の製造工程において、水素の引き抜き反応が起こりにくいラジカルを生成する重合開始剤を用いるというものである。この方法によれば、ラジカルを長時間に渡って安定に存在させることができるため、単量体の利用効率が向上し、未反応単量体の残留を抑制することができるとされている。しかしながら、この重合開始剤は10時間半減期温度が高く、懸濁重合トナーの製造に用いる重合開始剤としては必ずしも好適とはいえない。また、この重合開始剤からは水素引き抜き反応が起こりにくいラジカルのみが生成される訳ではなく、さらに、他の重合開始剤を併用することが必要であって、分解物残渣の生成量を低減する効果は小さいことがわかった。
さらに、上記した特許文献3に開示された方法は、懸濁重合法による重合トナーの製造において、使用する重合開始剤の分子量と10時間半減期温度を規定したもので、これによって分解物残渣や未反応単量体の残留を抑制しようとするものである。しかしながら、分解物の物性は、単に重合開始剤の分子量によって一義的に決まるものではなく、分解物自体の分子量や分子構造によって支配されるものである。また、未反応単量体の量についても、単に重合開始剤の10時間半減期温度によってのみ決まるものではなく、10時間半減期温度と重合温度のバランスに拠るところが大きい。また、この方法は分解物残渣のトナー粒子中への残留を抑制しようとするものであって、分解物の生成そのものを抑制するものではない。本発明者等の検討によると、分解物残渣や未反応単量体の残留に関して、未だ改善の余地があった。
以上、説明したように、懸濁重合法による重合トナーにおいて、未反応の重合性単量体や分解物残渣のトナー粒子中への残留によって引き起こされる種々の不具合を解決することができる製造方法は、未だ得られていないのが現状である。
特開昭61−114245号公報 特開平07−181731号公報 特許第3336862号登録公報
本発明の目的は、上述した従来の問題点を解決した重合トナーおよびその製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明の目的は、重合阻害物質による影響が小さく、重合開始剤の利用効率を向上させることができる重合トナーの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、未反応の重合性単量体や重合開始剤に由来する分解物残渣の残留が抑制されたトナー用結着樹脂又は重合トナーの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、このような製造方法を用いることによって帯電安定性に優れ、且つ安定した画像を長期に渡って得ることができるトナーを提供することにある。
本発明の重合トナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、該水系媒体中で重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合する工程を含む重合トナーの製造方法であって、該重合開始剤が下記一般式(I)で示される構造を有し、且つ、該重合開始剤の分解によって生成する下記一般式(II)で示されるアルコールの1モル当りの水素結合解離エネルギーをD1(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR1と水素が結合した下記一般式(III)で示される化合物の1
モル当りの水素結合解離エネルギーをD2(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR2
と水素が結合した下記一般式(IV)で示される化合物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD3(kJ/mol)としたとき、D1乃至D3が、下記式(i)および(ii)の関係を満足し、一般式(I)中のR 1 が、下記一般式(V)で示される構造を有する
ことを特徴とする。
(i)D1−D2≧85kJ/mol
(ii)|D2−D3|≦30kJ/mol
Figure 0004468482

(式中、R1は、炭素数1乃至6の炭化水素基の水素原子の一部を水酸基で置換した基を示し、R2は、炭素数1乃至6の炭化水素基を示し、R3およびR4は、炭素数1乃至2の炭化水素基を示す。)
Figure 0004468482



Figure 0004468482

(式中、R 5 およびR 6 は、水素原子または炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R 5 とR 6 の炭素数の合計は4以下である。)
また、本発明のトナー用結着樹脂の製造方法は、少なくとも重合開始剤を用いて重合性単量体を重合する工程を含むトナー用結着樹脂の製造方法であって、前記重合開始剤を用いて重合性単量体を重合する工程が、重合性単量体を水系媒体中に分散させ、該水系媒体中で重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合する工程であり、該重合開始剤が上記一般式(I)で示される構造を有し、且つ、該重合開始剤の分解によって生成する上記一般式(II)で示されるアルコールの1モル当りの水素結合解離エネルギーをD1(kJ/mol)、上記一般式(I)中のR1と水素が結合した上記一般式(III)で示される化合
物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD2(kJ/mol)、上記一般式(I)中のR2と水素が結合した上記一般式(IV)で示される化合物の1モル当りの水素結合解
離エネルギーをD3(kJ/mol)としたとき、D1乃至D3が、上記式(i)および(ii)の関係を満足し、一般式(I)中のR 1 が、上記一般式(V)で示される構造を
することを特徴とする。
本発明によれば、重合トナー或いはトナー用結着樹脂の製造において、重合阻害物質による影響がなく、重合開始剤の利用効率を改善することができる。これによって未反応の重合性単量体や重合開始剤に由来する分解物残渣のトナー粒子中への残留を抑制することができる製造方法を提供することができる。
また、このような製造方法を用いることによって、帯電安定性に優れ、且つ安定した画像を長期に渡って得ることができる重合トナーを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、さらに詳しく説明する。
本発明者らは、重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、水系媒体中で重合開始剤を用いて該重合製単量体を重合する工程を含む重合トナーの製造において、特定の構造を有する重合開始剤が着色剤による重合阻害を受けにくいことを見出した。さらに、重合開始剤の構成を最適化することによって重合開始剤の利用効率を大幅に高めることが可能であり、また、未反応単量体や分解物残渣のトナー粒子中への残留を抑制することができることを見出した。これらの知見を得て、本発明を完成するに至った。また、重合開始剤の利用効率の改善は、トナー用結着樹脂の製造においても有効である。
上述した重合トナーの代表的な製造方法として、懸濁重合法を挙げることができる。懸濁重合法は、重合性単量体に重合開始剤や、必要に応じて多官能性単量体、連鎖移動剤等を加えた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁させて造粒を行い、これを加熱することによって重合を行う方法である。この方法によれば、前記重合性単量体組成物中に、予め着色剤やその他トナー粒子中に含有させる必要のある物質を溶解あるいは分散させて重合を行うことによって、直接、トナー粒子を製造することができる。
懸濁重合法による重合トナーは、以下のように製造される。
まず、トナー組成物、すなわち結着樹脂となる重合性単量体に少なくとも着色剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤、さらに他の添加剤、例えば、高分子重合体や分散剤等を適宜加えることができる。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意した分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁させて造粒を行う。このとき、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望の粒子サイズとすることにより、得られるトナー粒子の粒度分布をシャープにすることができる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合反応は、造粒後の懸濁液を50乃至90℃に昇温し、懸濁液の液滴粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら行う。
重合開始剤は、昇温による加熱によって容易に分解し、遊離基(ラジカル)を生成する。生成したラジカルは重合性単量体の不飽和結合に付加し、付加体のラジカルを新たに生成する。そして、生成した付加体のラジカルはさらに重合性単量体の不飽和結合に付加する。重合反応は、このような付加反応を連鎖的に繰り返すことによって進行する。
重合反応の後半あるいは重合反応終了後には、未反応の重合性単量体または副生成物を除去するために、水系分散媒の一部を反応系から留去することもできる。
そして、重合反応が完了した後は、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過し、十分に洗浄した後、乾燥する。このようにして懸濁重合法による重合トナーが得られる。
一般に、重合反応の阻害は、重合開始剤の分解によって生成するラジカルと極めて反応しやすい物質(重合阻害物質)が反応系に存在することによって引き起こされる。一部の着色剤は、重合阻害物質として働くため、このような着色剤の存在下では、重合性単量体の不飽和結合への付加反応よりも着色剤との直接的な反応が支配的となり、生成ラジカルの多くがこれに消費され、重合阻害が生じることになる。
重合トナーの製造において、重合開始剤として、一般式(I)に示す構造を有するパーオキシエステル系の有機過酸化物を使用することにより、このような重合阻害を回避できることがわかった。
Figure 0004468482

(式中、R1は、炭素数1乃至6の炭化水素基の水素原子の一部を水酸基で置換した基を示し、R2は、炭素数1乃至6の炭化水素基を示し、R3およびR4は、炭素数1乃至2の炭化水素基を示す。)
パーオキシエステル系有機過酸化物を加熱すると、下式(iii)に示すようにO−O結合が開裂して構造の異なる2種類のラジカル(アルコキシラジカルおよびアシルオキシラジカル)が生成するが、重合阻害の回避は、これら2種類のラジカルの重合阻害物質に対する反応活性の違いによって成し得たものと考えられる。すなわち、重合阻害物質に対してより活性を示す一方のラジカル種の存在によって、重合阻害物質に対してより不活性な他方のラジカル種は、重合阻害物質の影響を受けることなく重合性単量体との反応に寄与することが可能になると考えられる。
Figure 0004468482
これに対し、ジアシル系有機過酸化物やジカーボネート系有機過酸化物のように、O−O結合の開裂によって生成するラジカルが単一構造となる重合開始剤は、重合阻害物質による影響を受けやすいと考えられる。また、モノカーボネート系有機過酸化物は構造の異なるラジカルを生成するが、10時間半減期温度が90℃以上の高温となるため、懸濁重合法トナーの製造に用いる開始剤としては好ましくない。
また、重合開始剤の分解によって生成するラジカルが有効に利用されないと、このラジカルはやがて失活して分解物残渣となる。特に、パーオキシエステル系有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合、その利用効率を高くすることは困難で、ジアシル系有機過酸化物やジカーボネート系有機過酸化物に比べて重合反応に寄与しない分解物残渣の生成量が多くなる傾向があった。分解物残渣がトナー中に多く残留している場合には、帯電安定性の低下や、長期使用における画質低下、定着不良が引き起こされる。
本発明において、パーオキシエステル系重合開始剤の利用効率は、分解によって生成する構造の異なるラジカル間の安定性の差に依存しており、ラジカルの構造を最適化することによって改善できることがわかった。
アルコキシラジカルの一般的な反応として、下式(iv)に示す酸素原子のβ位におけるC−C結合の開裂反応(以下、β開裂という)と、下式(v)に示す反応系からの水素原子の引き抜き反応が知られている。
β開裂反応と水素引き抜き反応は競争的に起こると考えられる。β開裂反応が起こる場合には新たにアルキルラジカル(R1・)が生成し、これが重合性単量体に付加して重合反応に寄与することになるが、水素引き抜き反応が起こると、アルコールが生成されて、ラジカルは失活してしまうと考えられる。そして、このアルコールが重合開始剤の分解物残渣となる。
Figure 0004468482
一方、アシルオキシラジカルの一般的な反応としては、下式(vi)に示す脱炭酸反応が知られている。また、アシルオキシラジカルが反応系内の他の化合物から水素原子を引き抜いた場合には、下式(vii)に示すようにカルボン酸残渣が生成すると考えられる。通常、アシルオキシラジカルの脱炭酸反応は極めて速やかに進行するため、水素引き抜き反応はアルコキシラジカルに比べて起こりにくい。
すなわち、パーオキシエステル系有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合、重合反応に寄与するラジカル種は、主にアシルオキシラジカルの脱炭酸反応によって生成したアルキルラジカル(R2・)であると考えられる。
Figure 0004468482
したがって、重合開始剤を有効に利用し、分解物残渣の生成を抑制するためには、上記β開裂反応を効率よく起こさせる必要がある。β開裂反応は、アルコキシラジカルと新たに生成するアルキルラジカル(R1・)の安定性を比較したとき、アルキルラジカル(R1・)の安定性がより高い場合に起こり易くなる。
アルキルラジカルの安定性については、例えば、メチルラジカルに比べてエチルラジカルはより安定であり、第一級アルキルに比べると第二級アルキル、第三級アルキルの順により安定となることが知られている。これは、アルキルラジカルのβ位に存在するC−H結合の数の違いによるもので、水素原子の超共役による共鳴安定化の効果によるものと考えられている。したがって、上記β開裂反応の起こり易さは、アルキルラジカル(R1・)の構造に依存することになり、上述した序列に従うものと考えられる。
ラジカルの安定性を定量的に表す尺度として、水素の結合解離エネルギーを挙げることができる。結合解離エネルギーとは、例えば、上記ラジカルに水素原子が付加した状態をモデルとしたとき、このモデル分子から水素結合を解離させるのに必要な最小のエネルギーをいう。上記ラジカルと水素原子の基底状態におけるエネルギーの和から、上記モデル分子の基底状態のエネルギーを差し引いたものに等しい。したがって、水素の結合解離エネルギーが小さな値を示すもの程、ラジカルの安定性は高いことになる。
上記結合解離エネルギーは、量子化学計算によって求めることができる。半経験的分子軌道法は、化合物の分子の状態、例えば基底状態や励起状態における分子構造、生成エネルギー、結合エネルギー、最高被占軌道(HOMO)、最低空軌道(LUMO)等を計算で求めるもので、近年、有機化学の分野で多用される手法である。
本発明に用いた水素の結合解離エネルギーの値は、各々のラジカル種に水素原子を付加した単位モデル構造について、市販の半経験的分子軌道法プログラム(MOPAC93)を用い、AM1法によって算出したものである。
具体的には、ワークステーションINDIGO2(シリコングラフィクス社製)を計算機として使用し、化学計算統合ソフトウエアであるCerius2を用いて計算を行った。
まず、対象となる化合物について、Cerius2内にあるSketcher機能で分子構造を作製し、その分子構造に対し、DREIDING2.21プログラムを用いて力場計算を行い、CHARGE機能により電荷計算を行った。その後、Minimizer計算により、分子力場計算で構造を適正化した。得られた構造について、MOPAC93プログラムに対し、AM1パラメータ、Geometry Optimizationを指定して、構造適正化を行い、生成熱(HF1)を算出した。
次いで、上記化合物に対応するラジカル構造および水素原子に関しても同様の操作を行い、夫々の生成熱(HF2)および生成熱(HF3)を算出した。
そして、水素結合解離エネルギー(D)(kJ/mol)は、下式にしたがって算出した。
水素結合解離エネルギー(D)=HF2+HF3−HF1
本発明において、上記アルコキシラジカルの水素付加物の1モル当りの水素結合解離エネルギーD1と、アルキルラジカル(R1・)の水素付加物の1モル当りの水素結合解離エネルギーD2とのエネルギー差(D1−D2)は、85kJ/mol以上であることが好ましい。なお、上記エネルギー差(D1−D2)の理論的上限は、150kJ/mol程度である。
そして、単にこのような条件を満たすだけでは、必ずしも重合開始剤の利用効率を向上させることはできず、上記した条件に加えてさらに、アルキルラジカル(R1・)の水素付加物の1モル当りの水素結合解離エネルギーD2と、アルキルラジカル(R2・)の水素付加物の1モル当りの水素結合解離エネルギーD3とのエネルギー差の絶対値(|D2−D3|)が30kJ/mol以下であるとき、重合開始剤の利用効率が飛躍的に向上し、分解物残渣の生成を大幅に抑制できることがわかった。
これは、アルコキシラジカルとアシルオキシラジカルからそれぞれ生成する、2種類のアルキルラジカルの安定性に大きな隔たりがあると、より安定なアルキルラジカルを生成する側の反応が支配的となり、他方では水素原子の引き抜きが支配的となって重合に関与できなくなるためと考えられる。
また、アルコキシラジカルの一部がβ開裂せずに水素を引き抜いた場合、生成物を速やかに分散媒中に溶出させ、トナー粒子中への残留を防止する必要がある。したがって、生成物の分散媒に対する溶解性の観点から、前記一般式(I)中のR1は、炭素数1乃至6の炭化水素基の水素原子の一部を水酸基で置換した基である必要がある。これによって、水素の引き抜きによる生成物はより水溶性の高いジオールとなるため、トナー粒子中への残留を抑制することが容易になる。
また、前記一般式(I)中のR1は、下記一般式(V)に示す構造であることが、特に好ましい。これは、水酸基のような置換基がβ位の炭素と結合することによって、その共鳴効果のためにアルキルラジカル(R1・)としての安定性が増し、元のアルコキシラジカルのβ開裂反応をより効果的に起こすことができるためと考えられる。また、水酸基を導入することによって、得られる重合開始剤の10時間半減期温度を低下させることもでき、組み合わせる構成材料の選択性を広げることができる。一般式(V)において、R5およびR6の少なくとも一方は、水素原子であることが特に好適である。
Figure 0004468482

(式中、R5およびR6は、水素原子または炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R5とR6の炭素数の合計は4以下である。)
一方、前記一般式(I)中のR2についても、アシルオキシラジカルの一部が脱炭酸せずに水素を引き抜く可能性があり、これによって生成するカルボン酸の分散媒に対する溶解性を考慮する必要がある。したがって、Rは、炭素数1乃至6の炭化水素基である必要がある。
また、前記一般式(I)中のR1を上記一般式(V)に示す構造としたとき、R2は一般式(VI)に示す構造(第二級アルキル基)とすることで、重合開始剤の利用効率を最も効果的に向上させることができる。下記構造の場合に、特に良好に、重合開始剤の利用効率を高めつつ、10時間半減期温度が高くなるのを抑制することができる。
Figure 0004468482

(式中、R7およびR8は、炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R7とR8の炭素数の合計は5以下である。)
本発明において、前記重合開始剤の10時間半減期温度は、50乃至80℃の範囲であることが好ましい。10時間半減期温度が上記の範囲内である場合、重合温度を適度な範囲に設定することができ、重合開始剤の利用効率を高め、未反応単量体や分解物残渣の生成量を抑制しつつ、樹脂の分子量の制御を良好に行うことができる。また、10時間半減期温度が過度に高い場合には、製造コストが高くなってしまう。
このような条件を満足する重合開始剤の具体例としては、以下のものが例示される。例えば、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルプロピルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルプロピルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルペンチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルペンチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルブチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルブチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルプロピルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルプロピルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルペンチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジエチルペンチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1−メチル−1−エチルブチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1−メチル−1−エチルブチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1−メチル−1−エチルペンチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1−メチル−1−エチルペンチルパーオキシ−2−エチルブチレート等が挙げられる。
これらの中でも、特に、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシ−2−エチルブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルプロピルパーオキシイソブチレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルプロピルパーオキシ−2−エチルブチレートが好適である。
そして、重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対し、0.5乃至20質量部の範囲であることが好ましい。重合開始剤の使用量が上記範囲内である場合、未反応単量体や分解物残渣の生成量を抑制できることに加え、得られる樹脂の分子量の制御が容易となる。
このように、本発明は、重合トナー或いはトナー用結着樹脂の製造において使用する重合開始剤の構造を、生成するラジカルの安定性の観点から規定したものである。これによって利用効率の大幅な改善を達成でき、また、未反応の重合性単量体や分解物残渣のトナー粒子中への残留を抑制することができる。すなわち、単に重合開始剤の分子量(あるいは炭素数)や10時間半減期温度のみを規定しただけでは本発明の目的を達成することは困難である。
以上の通りであるから、本発明によれば、重合トナー或いはトナー用結着樹脂の製造において、重合阻害物質による影響を抑え、重合開始剤の利用効率を改善することができる。また、未反応単量体や重合開始剤に由来する分解物残渣のトナー粒子中への残留を抑制することが可能となる。
また、このような製造方法を用いることによって、帯電安定性に優れ、且つ安定した画像を長期に渡って得ることができる重合トナーの実現が可能となる。
本発明において用いることのできる重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
これらの単量体は、単独もしくは混合して使用することができる。これらの単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の点から好ましい。
また、本発明においては、必要に応じて連鎖移動剤を使用することができる。具体例としては、n−ペンチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタン、2−メチルブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、n−ペンタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸のアルキルエステル類、メルカプトプロピオン酸のアルキルエステル類、クロロホルム、四塩化炭素、臭化エチレン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.05乃至3質量部である。
また、本発明においては、少量の多官能性単量体を併用することができる。多官能性単量体としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等の二重結合を2個有するカルボン酸エステル、または、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、さらに、3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。
これらの多官能性単量体は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.01乃至1質量部である。
懸濁重合法では、水系媒体中に添加する分散安定剤として、公知の界面活性剤や有機分散剤、無機分散剤を使用することができる。これら中でも無機分散剤が、超微粉が生成しにくく、重合温度を変化させても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため、好適に使用することができる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合、そのまま水系媒体中に添加して用いてもよいが、より細かい粒子を得るため、該無機分散剤を生成し得る化合物を用いて水系媒体中にて無機分散剤粒子生成させて用いることもできる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、難水溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウムが副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて乳化微粒子が発生しにくくなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸あるいはアルカリを加えて溶解することにより、ほぼ完全に取り除くことができる。
また、これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2乃至20質量部使用することが好ましいが、必要に応じて、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。該界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
本発明において使用される着色剤としては、公知のものが使用できる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性粉体を例示することができる。また、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を併用して黒色に調色しても良い。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254等が好適に用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が好適に用いられる。
これらの着色剤は単独または混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。黒色着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して40乃至150質量部であることが好ましい。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部であることが好ましい。また、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択され、その好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部である。
これらの着色剤は、重合阻害性の他、水相移行性にも注意を払う必要があり、必要に応じて、疎水化処理等の表面改質を施すことが好ましい。例えば、染料系の着色剤を用いる場合には、予め染料の存在下に重合性単量体を重合させ、樹脂中に染料を取り込み、得られた着色重合体を単量体組成物に添加することができる。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他に、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフト処理を行ってもよい。
また、磁性粉体は、四三酸化鉄、γ−酸化鉄などの酸化鉄を主成分とするものであり、一般に親水性を有している。そのため、分散媒としての水との相互作用によって磁性粉体が粒子表面に偏在しやすく、得られるトナー粒子は表面に露出した磁性粉体のために流動性および摩擦帯電の均一性に劣るものとなりやすい。したがって、磁性粉体はカップリング剤によって表面を均一に疎水化処理することが好ましい。使用できるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられ、特にシランカップリング剤が好適に用いられる。
トナーには、定着性向上のために離型剤を含有させることが好ましい。使用可能な離型剤としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等、天然ワックスおよびその誘導体等が挙げられる。誘導体には、酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物等が含まれる。さらに、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等も使用できる。これらの離型剤は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの離型剤の中でも、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40乃至130℃の領域に最大吸熱ピークのピークトップ温度を有するものが好ましく、さらには45乃至120℃の領域に有するものがより好ましい。このような離型剤を用いることにより、低温定着性に大きく寄与しつつ、離型性をも効果的に発現することができる。最大吸熱ピークのピークトップ温度が上記の範囲内にある場合、定着時以外での離型剤の染み出しを抑制でき、帯電性の低下を抑制できる。また、耐高温オフセット性、低温定着性の両立を良好に達成することができる。更に、製造時においては、造粒中に離型剤成分が析出する等の不具合を生じにくい。
離型剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し1乃至30質量部であることが好ましく、3乃至20質量部であることがより好ましい。離型剤の含有量が上記範囲内にある場合には、十分な添加効果が得られ、良好な耐オフセット性が得られるともに、長期間の保存性に関しても良好となる。また、トナー中における分散状態も好適となり、流動性や帯電性を良好に維持することができる。
また、重合トナーの製造においては、上述した単量体組成物中に樹脂を添加して重合を行ってもよい。例えば、水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすために使用できなかったアミノ基、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基等の親水基を含有する単量体成分をトナー中に導入したいときは、これら単量体とスチレン、エチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形にして使用することが可能となる。
例えば、ポリエステル樹脂はエステル結合を数多く含む、比較的極性の高い樹脂である。このポリエステル樹脂を単量体組成物中に添加して重合を行った場合、水系分散媒中ではポリエステル樹脂が液滴の表面層に移行する傾向を示すため、重合の進行とともに粒子の表面部にポリエステル樹脂が偏在しやすくなる。その結果、得られるトナー粒子は表面状態や表面組成が均一なものとなり、帯電の均一性が向上するとともに、離型剤の内包を良好に行うことができる。したがって、現像性と耐ブロッキング性ともにより良好な重合トナーを得ることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えばトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
前記ポリエステル樹脂には、構成成分として少なくともアルコール成分と酸成分を含有する、通常のものを使用することができる。
アルコール成分の具体例としては、例えば2価のアルコールとして、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、又は下記一般式(VII)で表されるビスフェノール誘導体、又、下記式(VIII)で示されるジオール類等を挙げることができる。
Figure 0004468482

(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2乃至10である。)
Figure 0004468482

(式中、R’は−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、または−CH2−C(CH32−である。)
また、3価以上のアルコールとして、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらのアルコール成分は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
酸成分の具体例としては、例えば2価のカルボン酸として、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸;無水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物及びテレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステル等を挙げることができる。特に、テレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステル又はその誘導体が好適である。
また、3価以上のカルボン酸を用いることにより、架橋させてもよい。架橋成分としては、トリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステルが使用できる。
また、ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に、1価のカルボン酸成分や1価のアルコ−ル成分を用いてもよい。例えば1価のカルボン酸成分として、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸等を添加することができる。また、1価のアルコール成分として、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等を添加することができる。
また、材料の分散性や定着性、画像特性の改良等を目的として、上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加してもよい。例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンおよびその置換体の単独重合体やスチレン系共重合体を単独で、あるいは混合して使用することができる。
さらに、重合性単量体を重合して得られる結着樹脂の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を、単量体組成物中に予め溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高い重合トナーを得ることができる。
これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部の範囲であることが好ましい。上記の範囲内で用いれば、十分な添加効果が得られ、トナーの物性設計がより容易になる。
また、トナーには、荷電特性の安定化を目的として、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。荷電制御剤としては公知のものを利用することができるが、内部に添加する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物を実質的に含まない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。また、ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合は、好ましくはトナー粒子100質量部に対して0.005乃至1.0質量部、より好ましくは0.01乃至0.3質量部である。
トナーの重量平均粒径(D4)は、より微小な潜像ドットを忠実に現像し、高画質な画像を得るため、3.0〜10.0μmであることが好ましい。
ここで、トナーの平均粒径および粒度分布は、コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(いずれもコールター社製)などを用いて測定することが可能である。本発明では、コールターマルチサイザーを用い、これに個数分布と体積分布を出力するインターフェイス(日科機社製)、およびPC9801パーソナルコンピューター(NEC社製)を接続した。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%のNaCl水溶液を使用した。
測定法としては、前記電解液100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1乃至5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。次いで、この電解液に超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を施し、前記コールターマルチサイザーにより、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2.0μm以上の粒子の体積および個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求める。
本発明によって得られるトナーの平均円形度は、0.970以上であることが好ましい。平均円形度とは、粒子の凹凸度合いを表す指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど小さな値となる。すなわち、平均円形度が0.970以上であるということは、トナー形状が実質的に球形であることを意味している。このような形状を有するトナーは、帯電が均一になりやすく、カブリやスリーブゴーストの抑制に効果的である。また、トナー担持体上に形成されるトナーの穂が均一であるため、現像部での制御が容易となる。さらに、球形であるが故に流動性も良好であり、現像器内でのストレスを受けにくいため、高湿度下での長期の使用においても帯電性が低下しにくい。そして、定着時においても熱や圧力がトナー全体に均一にかかりやすいため、定着性の向上にも寄与する。
なお、本発明における平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)を用いて測定を行った。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従って調整した分散液を前記フロー式粒子像測定装置に導入し、トータルカウントモードで3000個のトナー粒子を計測して、解析粒子径を円相当径3.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用し、解析粒子径を円相当径3.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
そして、本発明のトナーには、流動性向上剤が外部添加されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物等の疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
本発明のトナーは、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリアの体積平均粒径(Dv)は、10乃至100μmであることが好ましく、二成分系現像剤中のトナー濃度は、2乃至15質量%であることが好ましい。
以下、本発明の製造方法について、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定するものではない。
〔実施例1〕
顔料分散ペーストの作製
スチレン:78.0質量部
カーボンブラック:7.0質量部
上記材料を容器中で十分プレミックスした後、これを20℃以下に保ったままアトライター(三井三池化工機製)を用いて約4時間分散混合し、顔料分散ペーストを作製した。
トナー粒子の作製
イオン交換水1150質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液390質量部を投入し、撹拌しながら60℃に加温した後、1.0モル/リットル−CaCl2水溶液58質量部を添加してさらに撹拌を続け、Ca3(PO42からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
一方、上記顔料分散ペーストに以下の材料を加え、アトライター(三井三池化工機製)を用いて分散混合し、単量体組成物を調製した。
n−ブチルアクリレート:22.0質量部
ジビニルベンゼン:0.1質量部
飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA重縮合体、Mw:2万、Tg:60℃、酸価:10mgKOH/g):8.0質量部
荷電制御剤(BONTRON E−84(オリエント化学社)):1.0質量部
上記単量体組成物を60℃に加温し、これにエステルワックス(主成分C1939COOC2041、最大吸熱ピーク温度68.6℃)12.0質量部を添加して混合溶解した。
次いで、重合開始剤として、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部をさらに添加して溶解した。
これを前記水系媒体中に投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、60℃、窒素雰囲気下にて、10,000rpmで15分間撹拌して造粒を行った。
さらに、得られた懸濁液をパドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃にて10時間重合を行った。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散安定剤を溶解した後、濾過し、水洗および乾燥してトナー粒子を得た。
別途、重合開始から1時間毎及び重合終了後に反応容器から懸濁液の一部を抜き取り、残存するスチレンおよびn−ブチルアクリレートの量をガスクロマトグラフィー測定装置(横河アナリティカルシステムズ社製「6890N」)を用いて測定し、重合速度を求めたところ、重合阻害は生じていないことがわかった。
上記したスチレンおよびn−ブチルアクリレートの残存量は、具体的には、抜き取った懸濁液に対して20乃至50倍量のアセトンを加え、超音波分散器で約30分間処理した後、孔径0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過し、この濾液について上記ガスクロマトグラフィー測定装置を用いて測定したものである。
トナーの作製
上記トナー粒子100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンおよびシリコーンオイルで処理した、個数平均一次粒径12nm、BET比表面積が120m2/gの疎水性シリカ微粉体を1質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)を用いて混合し、トナーを調製した。
〔比較例1〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシピバレート6.4質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を65℃に下げたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
〔比較例2〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、t−ブチルパーオキシイソブチレート4.7質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を94℃に上げたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
〔比較例3〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、t−アミルパーオキシピバレート5.5質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を70℃に下げたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
比較例1乃至3について、実施例1と同様にして、スチレンおよびn−ブチルアクリレートの残存量から重合速度を求めたところ、いずれも重合阻害は生じていないことがわかった。
尚、比較例1乃至3における重合開始剤の添加量は、反応系における重合性単量体のモル量に対する重合開始剤の活性酸素量が、実施例1と等しくなるように調製して用いたものである。
また、重合温度は、いずれも使用する重合開始剤の10時間半減期温度に対して15℃高い温度とした。
実施例1および比較例1乃至3で用いた重合開始剤について、その構造を表1に、物性を表2に示した。

Figure 0004468482
Figure 0004468482

実施例1および比較例1乃至3で用いた各重合開始剤に由来する分解物としては、アルコキシラジカルが水素を引き抜いて生成する副生物として、2−メチルペンタン−2,4−ジオールまたはt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコールが考えられる。また、アシルオキシラジカルが水素を引き抜いて生成する副生物として、イソ酪酸またはピバリン酸が考えられる。これらのアルコールおよびカルボン酸は、いずれも高い水溶性を有しており、生成した場合は容易に分散媒中に溶出すると考えられる。
そこで、実施例1および比較例1乃至3について、上記アルコールと上記カルボン酸がすべて分散媒中に溶出するものと仮定して、重合終了後の分散媒中のアルコール量からアルコキシラジカルのアルコール転化率を算出し、また、カルボン酸量からアシルオキシラジカルのカルボン酸転化率を算出した。そして、これらの値から重合開始剤の利用率を以下のようにして求めた。
<アルコール転化率、カルボン酸転化率、重合開始剤利用率>
先ず、重合終了後に反応容器からスラリーの一部を抜き取り、孔径0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過した後、濾液中のアルコールおよびカルボン酸の濃度をガスクロマトグラフィー測定装置(横河アナリティカルシステムズ社製「6890N」)を用いて測定した。そして、得られた濃度から計算によって、アルコール量およびカルボン酸量を求めた。
アルコール転化率およびカルボン酸転化率は、それぞれ上で求めたアルコール量またはカルボン酸量と使用した重合開始剤の量から、下式によって求めた。
転化率(%)=[アルコール又はカルボン酸量(モル)/重合開始剤量(モル)]×100
また、こうして得られたアルコール転化率とカルボン酸転化率の値から、ラジカルの利用率を下式によって算出し、これを重合開始剤の利用率とした。
利用率(%)=[(100−アルコール転化率)+(100−カルボン酸転化率)]/2
結果を、表3に示した。

Figure 0004468482

表3から明らかなように、本発明の実施例においては、アルコキシラジカルのアルコール転化率、アシルオキシラジカルの酸転化率がともに低く、重合開始剤の利用率は極めて高いことがわかる。
これに対し、比較例においては、アシルオキシラジカルのカルボン酸転化率は低いものの、アルコキシラジカルの多くが利用されることなくアルコールに転化しており、その結果、重合開始剤の利用率は低くなることがわかった。
次に、実施例1および比較例1乃至3で得られた各トナーについて、重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)、平均円形度および分子量(メインピーク分子量Mp)の測定を行った。表4に結果を示す。尚、平均粒径と平均円形度の測定方法は上述の通りである。また、分子量の測定には、東ソー社製のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(HLC−8120GPC)を用い、以下のようにして測定した。
<メインピーク分子量(Mp)の測定>
まず、試料をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬し、樹脂成分の濃度が0.05乃至0.6質量%となるように抽出を行い、この抽出液を孔径0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過して試料溶液とする。次いで、カラムを40℃のヒートチャンバー中で安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを1ml/minの流速で流し、上記試料溶液を50乃至200μl注入して測定する。
試料の分子量の算出にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成した検量線を用い、その対数値とカウント数の関係から求める。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは東ソー社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を使用する。なお、カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を正確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのがよく、本発明においては、次の条件で測定される。
カラム:KF801,802,803,804,805,806,807(Shodex製)
カラム温度:40℃
solv.:THF

Figure 0004468482

表4から明らかなように、本発明の実施例によるトナーは、比較例のトナーに比べて粒度分布がシャープで高い円形度を有し、分子量(Mp)も低い値を示すことがわかる。
粒度分布や円形度のこのような違いは、比較例において、多量のアルコールが生成し溶出したことによって造粒安定性が損なわれ、乳化粒子が生成しやすくなったことによるものと考えられる。また、メインピーク分子量(Mp)の違いに関しては、本発明の実施例において重合開始剤の利用効率が向上したことによる効果であると考えられる。
〔実施例2〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシ−2−エチルブチレート6.8質量部を用いたこと、重合時の温度を81℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
〔比較例4〕
実施例1において、3−ヒドロキシ1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート5.5質量部を重合開始剤に用いたこと、重合時の温度80℃を90℃に上げたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
〔比較例5〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソブチレート6.4質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を73℃に下げたこと以外は、実施例1と同様にして比較例のトナーを作製した。
〔比較例6〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6.4質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を88℃に上げたこと以外は、実施例1と同様にして比較例のトナーを作製した。
〔比較例7〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート7.2質量部を用いたこと、重合時の温度80℃を85℃に上げたこと以外は、実施例1と同様にして比較例のトナーを作製した。
〔比較例8〕
実施例1において、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート6.0質量部に代えて、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート7.6質量部を用いたこと、重合時の温度を81℃としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例のトナーを作製した。
実施例2および比較例4乃至8について、実施例1と同様にして、スチレンおよびn−ブチルアクリレートの残存量から重合速度を求めたところ、いずれも重合阻害は生じていないことがわかった。
尚、実施例2および比較例4乃至8における重合開始剤の添加量は、反応系における重合性単量体のモル量に対する重合開始剤の活性酸素量が、実施例1と等しくなるように調製して用いたものである。
また、重合温度は、いずれも使用する重合開始剤の10時間半減期温度に対して15℃高い温度とした。
実施例2および比較例4乃至8で用いた重合開始剤について、その構造を表5に、物性を表6に示した。
Figure 0004468482
Figure 0004468482
次に、実施例2および比較例4乃至8で得られた各トナーについて、重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)、平均円形度およびピーク分子量(Mp)の測定を行った。結果を表7に示す。尚、測定方法は、それぞれ上述の通りである。
Figure 0004468482
表7から明らかなように、本発明に係る実施例のトナーは、粒度分布がシャープで高い円形度を有し、メインピーク分子量(Mp)も低い値を示すことがわかる。これらの中でも、R1基に水酸基を導入した重合開始剤を用いた実施例2のトナーは、特に良好な値を示している。
粒度分布や円形度のこのような違いから、実施例2においてもアルコールの生成が抑制され、重合開始剤の利用率が向上していることが示唆される。
さらに、実施例1乃至2および比較例4乃至8で得られた各トナーについて、以下に述べる方法で画出し試験を行った。
<画出し試験>
試験機には、市販のフルカラーレーザービームプリンター(LBP−2040,キヤノン製)の改造機を使用した。この改造機のプロセスカートリッジにトナーを充填し、必要に応じて逐次トナーを補給しながら、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、単色モードで16枚/分(A4サイズ紙)のプリント速度で5000枚の画出しを行った。
画出しの初期と耐久後に、通常の複写機用普通紙(75g/m)を転写材に用いてベタ画像を出力し、画像濃度を測定した。
なお、画像濃度は、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
また、5000枚の画出し後にトナー担持体を取り外し、トナーを拭き取った後に表面の汚染状態を顕微鏡により観察し、以下の基準で評価した。表8に、評価結果を示す。
A:特に汚染は見られない。
B:トナーの融着がわずかに見られる。
C:トナーの融着が見られる。
D:トナーの融着が顕著に見られる。
Figure 0004468482
表8から明らかなように、本発明に係る実施例のトナーは、画出し試験において、初期から良好な画像濃度を有しており、5000枚プリントアウト後もこれを維持していることがわかった。また、トナー担持体表面における汚染も見られなかった。
一方、比較例のトナーについて見ると、画像濃度は初期の段階から低く、特に、耐久枚数の増加にともなう低下が大きかった。さらに、5000枚プリントアウト後のトナー担持体表面には付着物が確認された。これらの結果から、比較例の各トナーは、アルコキシラジカルまたはアシルオキシラジカルからの高分子量の副生物が、分解物残渣としてトナー性能に影響を及ぼしていることが示唆された。
〔実施例3〕
トナー用結着樹脂の作製:
イオン交換水300質量部にポリビニルアルコール0.2質量部を溶解して水系媒体を調製した。一方、スチレン78.0質量部、n−ブチルアクリレート22.0質量部、重合開始剤として実施例1で使用した3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシイソブチレート2.5質量部を混合し、単量体組成物を調製した。この単量体組成物を前記水系媒体中に投入し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて15分間撹拌して懸濁分散液とした。窒素雰囲気下、上記懸濁分散液を85℃に昇温して重合を開始し、さらに、この温度に24時間保持して重合反応を完結させた。反応終了後、懸濁分散液を冷却し、濾別し、水洗および乾燥して、スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体を得た。
また、反応終了後の反応容器からスラリーの一部を抜き取って、上述した方法により、アルコール転化率、カルボン酸転化率、重合開始剤利用率を計算した。結果を表9に示す。
トナーの調製:
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体100.0質量部に対し、銅フタロシアニン(Pigment Blue 15:3)7.0質量部、ニグロシン化合物1.0質量部、パラフィンワックス(DSCにおける最大吸熱ピークの極大値74℃)3.0質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合した。
次いで、130℃に加熱した二軸混練押出し機によって溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した後、得られた微粉砕物を風力分級機で分級してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンおよびシリコーンオイルで処理した、個数平均一次粒径12nm、BET比表面積120m/gの疎水性シリカ微粉体を1質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)を用いて混合して、トナーを調製した。得られたトナーは、重量平均粒径(D4)が10.8μmであり、平均円形度が0.928であった。
得られたトナーに関して、実施例1と同様にして画出し試験を行い、評価を行った。評価結果を表10に示す。
Figure 0004468482
Figure 0004468482

Claims (8)

  1. 少なくとも重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、該水系媒体中で重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合する工程を含む重合トナーの製造方法であって、
    該重合開始剤が下記一般式(I)で示される構造を有し、且つ、
    該重合開始剤の分解によって生成する下記一般式(II)で示されるアルコールの1モル当りの水素結合解離エネルギーをD1(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR1と水素が結合した下記一般式(III)で示される化合物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD2(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR2と水素が結合した下記一般式(IV)で示される化合物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD3(kJ/mol)としたとき、D1乃至D3が、下記式(i)および(ii)の関係を満足し、
    前記一般式(I)中のR 1 が、下記一般式(V)で示される構造を有することを特徴とする重合トナーの製造方法。
    (i)D1−D2≧85kJ/mol
    (ii)|D2−D3|≦30kJ/mol
    Figure 0004468482
    (式中、R1は、炭素数1乃至6の炭化水素基の水素原子の一部を水酸基で置換した基を示し、Rは、炭素数1乃至6の炭化水素基を示し、R3およびR4は、炭素数1乃至2の炭化水素基を示す。)
    Figure 0004468482
    Figure 0004468482
    (式中、R 5 およびR 6 は、水素原子または炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R 5 とR 6 の炭素数の合計は4以下である。)
  2. 前記一般式(I)中のR2が、下記一般式(VI)で示される構造を有することを特徴と
    する請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
    Figure 0004468482
    (式中、R7およびR8は、炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R7とR8の炭素数の合計は5以下である。)
  3. 前記重合開始剤の10時間半減期温度が、50乃至80℃の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
  4. 前記重合開始剤の使用量が、前記重合性単量体100質量部に対し、0.5乃至20質量部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  5. 少なくとも重合開始剤を用いて重合性単量体を重合する工程を含むトナー用結着樹脂の製造方法であって、
    前記重合開始剤を用いて重合性単量体を重合する工程が、重合性単量体を水系媒体中に分散させ、該水系媒体中で重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合する工程であり、
    該重合開始剤が下記一般式(I)で示される構造を有し、且つ、
    該重合開始剤の分解によって生成する下記一般式(II)で示されるアルコールの1モル当りの水素結合解離エネルギーをD1(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR1と水素が結合した下記一般式(III)で示される化合物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD2(kJ/mol)、下記一般式(I)中のR2と水素が結合した下記一般式(IV)で示される化合物の1モル当りの水素結合解離エネルギーをD3(kJ/mol)としたとき、D1乃至D3が、下記式(i)および(ii)の関係を満足し、
    前記一般式(I)中のR 1 が、下記一般式(V)で示される構造を有することを特徴とするトナー用結着樹脂の製造方法。
    (i)D1−D2≧85kJ/mol
    (ii)|D2−D3|≦30kJ/mol
    Figure 0004468482
    (式中、R1は、炭素数1乃至6の炭化水素基の水素原子の一部を水酸基で置換した基を示し、Rは、炭素数1乃至6の炭化水素基を示し、R3およびR4は、炭素数1乃至2の炭化水素基を示す。)
    Figure 0004468482
    Figure 0004468482
    (式中、R 5 およびR 6 は、水素原子または炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R 5 とR 6 の炭素数の合計は4以下である。)
  6. 前記一般式(I)中のR2が、下記一般式(VI)で示される構造を有することを特徴と
    する請求項5に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
    Figure 0004468482
    (式中、R7およびR8は、炭素数1乃至4の炭化水素基を示し、R7とR8の炭素数の合計は5以下である。)
  7. 前記重合開始剤の10時間半減期温度が、50乃至80℃の範囲であることを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  8. 前記重合開始剤の使用量が、前記重合性単量体100質量部に対し、0.5乃至20質量部であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
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