JP2018119037A - 樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、有機揮発物質を含む処理液を、蒸発容器が組み込まれた循環系に循環させ、循環経路内に水蒸気を導入し、処理液を分散吐出して蒸留する有機揮発物質の除去方法が開示されている。
特許文献2には、蒸発容器から抜き出した処理液を循環経路内に設けた加熱装置によって加熱し、加熱した処理液を蒸発容器に戻す、有機揮発物質除去方法が開示されている。
これらの方法は、有機揮発物質の除去は行えるものの、処理液に加える熱量が限られるため処理時間が長くなる、除去出来る有機揮発物質に限りがあるなど、その効果は限定的であった。また、処理液を循環させるポンプや加熱装置に樹脂粒子が付着してしまい、揮発物質の除去効率を低下さたり、付着の除去のために装置を停止させなくてはならない等、生産性を低下させてしまうという問題があった。
重合性単量体等を使用した懸濁重合法、乳化重合凝集法や、結着樹脂等を溶剤中で造粒する溶解懸濁法等の湿式によるトナー粒子の製造方法においても、有機揮発物質の除去に関する提案が盛んにおこなわれている。
重合性単量体及び副生成物の如き有機揮発物質がトナー粒子に多く存在すると、トナーの流動性が低下して作業環境を悪化させたり、不快な臭気を発生させる場合がある。特に近年、環境に対する関心も高まっており、加熱加圧定着器で発生するトナー粒子由来の揮発成分を減少させることが要求されている。
特許文献3には、蒸発容器および外部循環経路を減圧し、蒸発容器から外部循環経路へ粒子の分散液を抜き出し、外部熱交換器にて加熱し蒸発容器に戻すことで有機揮発物質の除去を行う方法が開示されている。
この手法によって、粒子中の有機揮発物質を低減することは可能であるが、与えられる熱量が小さいため効果は限定的で、昨今の有機揮発物質除去の要求には十分に対応することが困難である。また、処理液を循環させるポンプや加熱装置に粒子が付着してしまい、有機揮発物質の除去効率を低下させたり、付着の除去のために装置を停止させなくてはならない等、生産性を低下させてしまう場合もある。
特許文献4には、蒸発容器の中の粒子の分散液を抜き出して外部循環経路に送り、100℃以上の飽和水蒸気を外部循環経路に吹き込むことで、有機揮発物質の除去を行うトナー粒子の製造方法が開示されている。
この方法では、従来の手法に比べ有機揮発物質の除去効率は著しく向上するものの、昨今の有機揮発物質除去の要求には十分に対応することが困難である。加えて、処理液の循環にポンプを使用するため、ポンプへの粒子の付着という課題は残存している。
化学製品からの有機揮発物質の除去とは異なるが、洗浄液の蒸留方法として、特許文献5がある。特許文献5では、洗浄液を蒸留再生させる手法として、蒸発容器の中の洗浄液を外部循環経路に送り、外部循環経路に組み込んだエジェクターを通過させる方法が開示されている。この方法では、エジェクターに気体を引き込み加圧状態とした後、加圧状態の洗浄液を蒸発容器に戻すことで圧力を開放し、この圧力変化を利用して洗浄液中の有機揮発物質を蒸発させ蒸留を行っている。
この手法は、液中の有機揮発物質を蒸発させることは出来るが、化学製品中の有機揮発物質を除去する場合では効果が限定的である。また、外部循環経路への洗浄液の送液にはポンプを使用することからポンプへの付着という課題は有している。詰まりの発生するポンプに代わり、液を循環させる方法として、機械的な動作部の無いエジェクターの利用などが考えられる。ただしエジェクターは形状により性能が決定し、製作後形状を変更する事も出来ないので、処理液に合わせ適切な形状設計を行う必要がある。
樹脂粒子に含まれる有機揮発物質を削減する方法として、樹脂粒子を重合する工程の後半で重合開始剤を追加で添加する方法が考えられる。また、重合開始剤を追加で添加することで、有機揮発成分の削減という効果以外の効果が得られるという方法が開示されている。特許文献6では、トナーの重合後半で水溶性開始剤を添加することで、スルホン酸系官能基を有する重合体を均一にトナー表面に固定化している。これにより、トナーの環境安定性、クリーニング性を向上させている。
また特許文献7では、トナーの重合後半でモノマーと水溶性開始剤を添加することで、トナーのコアとシェルを別々に重合している。これにより、定着性、保存性を向上させている。
特許文献8では、重合開始剤を2種添加し反応温度の異なる2段階の工程を経ることで、トナー用バインダー樹脂の有機揮発物質を削減している。また、2段階目の工程において反応系全体を加圧することで110℃以上の温度で反応させている。この手法では、2種の重合開始剤の添加、および110℃以上の温度での反応によって有機揮発物質を削減することができる。しかし、2段階目の工程では反応系全体を加圧しているため反応中に有機揮発物質を反応系外に除去することができず、有機揮発物質の削減の効率が悪いという課題がある。さらに、110℃以上という高温でトナーを反応させているため、トナーが軟化しトナー同士の合一が起こってしまうという課題がある。
即ち、本発明は、有機揮発物質の削減効率が高く、装置への付着が少なく、樹脂粒子同士の合一が少ない有機揮発物質除去装置を用いた樹脂粒子の製造方法を提供することである。
すなわち、難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を調製する調製工程と、
重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程と、
該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を得る重合工程と、
該樹脂粒子から有機揮発物質を除去する有機揮発物質除去工程と、を含む樹脂粒子の製造方法であって、
重合工程では、該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体の転化率が90.0%以上のときに重合開始剤を添加し、
該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性と該難水溶性無機微粒子の極性が逆極性であり、有機揮発物質除去工程では、蒸発容器および蒸発容器と連結した外部循環経路を有する有機揮発物質除去装置を使用し、外部循環経路には、エジェクターが設けられており、
該エジェクターは、
(i)ケーシングと、
(ii)該ケーシングの内部に気体を吹き込む、吹き込みノズルと、
(iii)該ケーシングの内部に吹き込まれた気体の作用によって、該ケーシング内部に該蒸発容器から排出された液体を吸入する吸入口と、
(iv)該液体及び該気体をケーシングから外部循環経路に排出する排出ノズルと、
を有するものであることを特徴とする樹脂粒子の製造方法である。
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
難水溶性無機微粒子を含む水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、重合性単量体組成物の粒子が分散した分散液を得る。造粒工程は、例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。高剪断力を有する撹拌機としては特に限定されるものではないが、例えば、ハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)の如き市販のものを用いることができる。
上述のようにして得られた分散液中において、重合性単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合する。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。重合の方法は特に限定されないが、重合開始剤を分散液に添加し、重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃で重合することが好ましい。重合温度は終始一定でもよいが徐々に昇温させるなどしてもよい。尚、重合開始剤は、重合性単量体組成物に予め添加しておいてもよい。撹拌に用いられる撹拌羽根は重合性単量体組成物分散液を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌羽根又は撹拌手段としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼のごとき一般的な撹拌羽根、並びに、「フルゾーン」(神鋼パンテック社製)、「ツインスター」(神鋼パンテック社製)、「マックスブレンド」(住友重機社製)、「スーパーミックス」(佐竹化学機械工業社製)及び「Hi−Fミキサー」(綜研化学社製)などが挙げられる。
0.0mV<ζ≦20.0mV
であることが好ましい。難水溶性無機微粒子のゼータ電位値が0.0mV<ζ、すなわち正極性であることで、負極性の粒子表面に難水溶性無機微粒子が多く吸着し、粒子同士の合一を抑制できるため好ましい。また難水溶性無機微粒子のゼータ電位値がζ≦20.0mVであることで、難水溶性無機微粒子が多く吸着した粒子に対し他の粒子がクーロン力により吸着し粒子が凝集してしまう、ということを防げるため好ましい。
続いて、重合工程を経て得られた粒子分散液中にある有機揮発物質を除去する。有機揮発物質除去工程に用いる有機揮発物質除去装置としては、例えば、図1に示す除去装置を用いることができる。有機揮発物質除去装置1は蒸発容器2と該蒸発容器と連結した外部循環経路3が具備される。蒸発容器には撹拌翼10が具備されていても良い。外部循環経路3には図2に示すエジェクター4が設けられる。エジェクター4にはケーシング5とケーシング内部に気体を吹き込む、吹き込みノズル6と、蒸発容器から排出される液体(分散液)を吸入する、吸入口9がある。
100.0℃≦T≦160.0℃
であることが好ましい。循環する際の温度が100.0℃以上であれば、有機揮発物質を効率良く除去することができるため好ましい。また循環する際の温度が160.0℃以下であれば、エジェクター内部や外部循環経路における圧力変動が抑えられ、分散液の循環が安定となるため好ましい。循環が不安定になると、局所的に熱が加わり外部循環経路の一部に分散液中の粒子の付着が発生し循環できなくなってしまう。なお循環する際の温度が100℃を超える場合は、背圧弁14を絞り外部循環経路3内を加圧状態にすることで100℃を超える温度にすることが可能である。
得られた粒子の表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、分散液を酸またはアルカリで処理をする。この後、一般的な固液分離法により粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水で粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離する。その後、公知の乾燥手段により乾燥される。
こうして得られた粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
本発明の製造方法により得られるトナーにおいては、公知の荷電制御剤を使用することができる。荷電制御剤の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるトナーは、着色剤として顔料を含有する。シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:4。
本発明の製造方法により得られるトナーは、ワックスを含有してもよい。その場合、ワックスの少なくとも1つは、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体のワックスであることが好ましく、特に、融点が50℃以上100℃以下の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
使用可能な重合性単量体としては具体的には次に例示される通りである。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン,p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体。
本発明において重合工程で最初に添加される重合開始剤(以下、「重合開始剤A」と称することもある。)としては、有機過酸化物系開始剤が挙げられる。有機過酸化物系開始剤としては以下のものが挙げられる。ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレート、tert−ヘキシル−パーオキシピバレート、ジ−tert−ブチル−パーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチル−ヒドロパーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシアセテート、tert−ヘキシル−パーオキシ−イソプロピルカーボネート、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ジベンゾイル−パーオキサイド、tert−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチル−パーオキシイソブチレート、1,1−ジ(tert−アミルパーオキシ)−シクロヘキサン、tert−アミル−パーオキシ−イソノナノエート、tert−アミル−パーオキシ−ノルマルオクトエート、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、tert−アミル−パーオキシ−イソプロピルカーボネート、tert−ブチル−パーオキシ−イソプロピルカーボネート、tert−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、tert−アミル−パーオキシベンゾエート、tert−アミル−パーオキシアセテート、tert−ブチル−パーオキシイソノナノエート、tert−ブチル−パーオキシベンゾエート、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−バレレート、エチル−3,3−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ブチレート、1,3−ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、ジ−tert−アミル−パーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチル−ヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3。
本発明の製造方法により得られるトナー粒子には、各種粉体特性を改良する目的で、外添剤を添加することができる。外添剤としては、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物;窒化ケイ素の如き窒化物;炭化ケイ素の如き炭化物;酸化ケイ素の如き酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの如き無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムの如き脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
トナー粒子のアスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
トナー粒子の体積基準のメディアン径(Dv50)、および個数基準のメディアン径(Dn50)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積基準のメディアン径(Dv50)、および個数基準のメディアン径(Dn50)を算出する。Dv50とDn50との比(Dv50/Dn50)が1に近いほど粒度分布がシャープである。
(1)測定に使用する資料は次の手順で調整した。
ヘッドスペースサンプラー:HEWLETT PACKARD 7694
オーブン温度:150℃
サンプル加熱時間:60分
サンプル ループ(Ni):1ml
ループ温度:170℃
トランスファーライン温度:190℃
加圧時間:0.50分
LOOP FILL TIME:0.01分
LOOP EQ TIME:0.06分
INJECT TIME:1.00分
GCサイクル時間:80分
キャリアーガス:He
GC:HEWLETT PACKARD 6890GC(検出器:FID)
カラム:HP−1(内径0.25μm×30m)
オーブン:(1)35℃:20分ホールド、(2)20℃/分で300℃まで昇温20分ホールド
INJ:300℃、スプリットレス、コンスタントプレッシャー(20psi)モード
DET:320℃
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
本発明における難水溶性無機微粒子のゼータ電位値(ζ)の測定は、Zetasizer Nano ZS(MALVERN社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「Dispersion Technology software 4.20」(MALVERN社製)を用いて算出した。具体的な測定方法は下記の通りである。
F(ka)selection Model:Smoluchowski
Dispersant:Water
Temperature:造粒時温度(通常は50℃乃至70℃)
Result Calculation:General Purpose
下記の手順によってトナーを製造した。
・スチレン 48質量部
・着色剤(C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントレッド57=1/1)
7質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.40質量部
続いて上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させた。
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・非晶性ポリエステル樹脂(Mw=10000、酸価=10.0mgKOH/g)
2.5質量部
・ワックス(日本精鑞社製、商品名=「パラフィンワックス135」、融点=58℃)
12質量部
を加えた。
過硫酸カリウムを添加する際の重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体の転化率を91.7%とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー2を得た。
過硫酸カリウムを添加する際の重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体の転化率を99.8%とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー3を得た。
過硫酸カリウムを過硫酸ナトリウムに置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー4を得た。
過硫酸カリウムを過硫酸アンモニウムに置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー5を得た。
分散安定剤を含む水系媒体を調製する際に加えるリン酸ナトリウムの量を28.5質量部に変更した以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー6を得た。
分散安定剤を含む水系媒体を調製する際に加えるリン酸ナトリウムの量を21.0質量部に変更した以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー7を得た。
tert−ブチル−パーオキシピバレートをtert−ヘキシル−パーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、10時間半減期温度:53℃)に置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー8を得た。
tert−ブチル−パーオキシピバレートを1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーオクタO」、10時間半減期温度:65℃)に置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー9を得た。
有機揮発物質除去工程において、外部循環経路を循環する際の分散液の液温を103.4℃とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー10を得た。
有機揮発物質除去工程において、外部循環経路を循環する際の分散液の液温を156.5℃とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー11を得た。
過硫酸カリウムを過リン酸カリウムに置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー12を得た。
過硫酸カリウムを過炭酸カリウムに置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー13を得た。
分散安定剤を含む水系媒体を調製する際に加えるリン酸ナトリウムの量を30.0質量部に変更し、過硫酸カリウムを2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)・二塩酸(和光純薬工業社製、商品名「V−50」、10時間半減期温度:56℃)に置き換えた以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー14を得た。
分散安定剤を含む水系媒体を調製する際に加えるリン酸ナトリウムの量を19.5質量部に変更した以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー15を得た。
有機揮発物質除去工程において、外部循環経路を循環する際の分散液の液温を97.8℃とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー16を得た。
有機揮発物質除去工程において、外部循環経路を循環する際の分散液の液温を163.7℃とした以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー17を得た。
図1に示す有機揮発物質除去装置のかわりに、図3に示す有機揮発物質除去装置を用いてポンプにより循環を行ったこと以外は実施例1と同様の条件、方法により実験を行った。しかし、有機揮発物質除去工程において循環が全く行われなかったため実験を中止した。外部循環経路を確認したところ、ポンプ付近に付着物が確認された。
図1に示す有機揮発物質除去装置のかわりに、図4に示す有機揮発物質除去装置を用いて99.7℃で有機揮発物質除去工程を行ったこと以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナー18を得た。
過硫酸カリウムを添加する際の重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体の転化率を88.2%とした以外は比較例2と同様の条件、方法によりトナー19を得た。
分散安定剤を含む水系媒体を調製する際に加えるリン酸ナトリウムの量を35.0質量部に変更した以外は比較例2と同様の条件、方法によりトナー20を得た。
過硫酸カリウムをV−50に置き換えた以外は比較例2と同様の条件、方法によりトナー21を得た。
A:8.0ppm未満
B:8.0ppm以上16.0ppm未満
C:16.0ppm以上24.0ppm未満
D:24.0ppm以上
A:1.20未満
B:1.20以上1.30未満
C:1.30以上
A:0.960以上
B:0.900以上0.960未満
C:0.900未満
Claims (7)
- 難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を調製する調製工程と、
重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程と、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を得る重合工程と、
該樹脂粒子から有機揮発物質を除去する有機揮発物質除去工程と、を含む樹脂粒子の製造方法であって、
該重合工程では、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体の転化率が90.0%以上のときに重合開始剤を添加し、
該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性と該難水溶性無機微粒子の極性が逆極性であり、
該有機揮発物質除去工程では、蒸発容器および該蒸発容器と連結した外部循環経路を有する有機揮発物質除去装置を使用し、
該外部循環経路には、エジェクターが設けられており、
該エジェクターは、
(i)ケーシングと、
(ii)該ケーシングの内部に気体を吹き込む、吹き込みノズルと、
(iii)該ケーシングの内部に吹き込まれた該気体の作用によって、該ケーシング内部に該蒸発容器から排出された液体を吸入する吸入口と、
(iv)該液体及び該気体をケーシングから該外部循環経路に排出する排出ノズルと、
を有するものであることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。 - 該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性が負である請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 該重合開始剤が過硫酸化合物である請求項1または2に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 該難水溶性無機微粒子のゼータ電位値の平均値をζとしたとき、
0.0mV<ζ≦20.0mV
である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。 - 重合開始剤を用いて重合することにより、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体の転化率を90.0%以上にする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 該樹脂粒子を含む該水系媒体が該外部循環経路を循環する際の温度をTとしたとき、
100.0℃≦T≦160.0℃
である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。 - 該樹脂粒子がトナー粒子である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
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