JP2017090509A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 湿式法によってトナー粒子を製造する際に、トナー粒子中の残留有機揮発物質を効率よく低減できるトナー粒子の製造方法を提供することである。【解決手段】 重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る重合工程、及び、該水系媒体中に該トナー粒子が分散した分散液から有機揮発物質を除去する蒸留工程、を有するトナー粒子の製造方法であって、該重合工程または該蒸留工程において、該水系媒体に過硫酸塩を添加し、該過硫酸塩が添加された該分散液中に、該蒸留工程において、塩基性成分を含有する水蒸気を導入することを特徴とするトナー粒子の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は電子写真、静電印刷、磁気記録のような、画像形成方法において静電荷画像を顕像化するためのトナー粒子の製造方法に関する。
近年、トナー粒子の製造方法として、重合性単量体、着色剤、離型剤等の混合物を懸濁重合法、乳化重合凝集法等の湿式トナーに関する提案が盛んにおこなわれている。
上記した湿式トナーは、離形剤を内包できる特性や形状を制御しやすい等の特性などにより従来の粉砕トナーに比べ、現像性や転写性が優れている。しかし、トナー中に重合性単量体や溶剤などの残留有機揮発物質を完全に除去することが難しく、何れの手法でも、僅少の残留有機揮発物質がトナー中に残存してしまう。残留有機揮発物質がトナー中に残存すると、トナーを静電画像形成装置で使用する場合、画像定着時の加熱加圧等により残留有機揮発物質がトナー中から揮発して作業環境を悪化させたり、不快な臭気を発生させたりする。
近年、残留有機揮発物質の規制は、世界的に厳しくなっており、湿式トナーにおいても、残留有機揮発物質を低減することが求められている。
一方で、湿式トナーの残留有機揮発物質を低減するためには、例えば、以下のような方法が検討されている。
(I)重合後のトナー分散液を蒸留工程において、残留有機揮発物質を低減する方法。
(II)トナー分散液を脱水後、乾燥工程において、残留有機揮発物質を低減する方法。
(I)の方法としては、例えば特許文献1に、重合終了後の重合体粒子の水系分散液に減圧下で供給熱量を段階的または連続的に増加させて、トナー粒子中から、揮発性有機化合物を留去する方法が開示されている。
また、別な(I)の方法としては、特許文献2に、重合終了後、大気圧中において、重合体粒子の水系分散液に飽和水蒸気を供給し、トナー粒子中から、揮発性有機化合物を留去する方法が開示されている。
一方で、上記した蒸留工程後のトナー粒子分散液中の残留有機揮発物質の濃度を極限まで減少させるためには、蒸留工程の前工程である、重合工程終了後のトナー粒子分散液自体の残留有機揮発物質の濃度を可能な限り減少させることも有効である。この点に関しては、特許文献3や特許文献4に開示されているような、開始剤の2段階添加は、重合工程後のトナー粒子の重合度を高めることに有効であるため、トナー粒子分散液中の残留有機揮発物質の濃度を減少することができる。
他方、(II)の方法としては、例えば特許文献5に、湿式法で生成されたトナー粒子を乾燥処理を行う容器に供給した後、容器内へ真空蒸気を供給し、トナー粒子に含まれる残留有機揮発物質を除去する方法が開示されている。
特許第4092527号公報 特許第3332394号公報 特許第3308812号公報 特開平11−160909号公報 特開2011−209429号公報
特許文献1に開示の方法では、蒸留工程を減圧下のもと、水蒸気を供給するため、気液界面部における発泡が非常に激しいことが予想され、残留有機揮発物質を十分に除去する水蒸気を供給できないことが予想される。また、減圧水蒸気を供給しているため、水蒸気の温度自体が低く、水蒸気による、残留有機揮発物質を低減する効果が低いと予想される。
特許文献2に開示の方法は、特許文献1に開示の方法に比べ、大気圧での操作のため、投入する水蒸気量/水蒸気圧力も大きいことが予想され、残留有機揮発物質の削減効果も高いと思われるが、近年の環境規制に対応するためには、十分なものではない。
特許文献3や特許文献4に開示の開始剤の2段階添加において、重合工程の後半(例えば、重合転化率が80%以上となった後)に水溶性の開始剤を添加することが残留有機揮発物質の濃度を減少させるためには効果的である。油溶性の開始剤の場合、水との馴染みが悪く、また、重合転化率が80%以上のトナー粒子との馴染みも悪いため、重合工程の後半では開始剤としてうまくトナー粒子に作用することができず、残留有機揮発物質の濃度を減少しない。水溶性の開始剤の中でも過硫酸塩が、残留有機揮発物質の濃度を減少させるためには、効果的である。
しかし、過硫酸塩が分解されて硫酸イオンが発生すると、スラリーのpHが酸性側に低下してしまう。また、過硫酸塩の分解温度は、100℃付近のため、一般的な重合温度の60〜90℃では完全に分解せずに残存してしまう。残存した過硫酸塩は次工程の蒸留工程でも分解されて、スラリーのpHが低下してしまう。スラリーのpHが、蒸留中に低下するとトナー表面に吸着している水系分散剤が、溶解し始め、また、温度も高いため、トナー粒子の合一や粗大化という問題が生じてしまう。
そのため、重合工程の後半に水溶性の開始剤として過硫酸塩を添加した場合は、過硫酸塩を添加した後の重合工程や蒸留工程において、トナー粒子の合一を抑制するために、スラリー中に塩基性成分を添加し、所望のpHに維持する必要がある。
塩基性成分を粉体のまま投入すると、タンク内部の蒸気との接触により、タンク内部に粉体が舞うことが予想される。粉体が舞うと、タンク内壁面や投入口に付着しやすいため、水系中に塩基性成分を溶解したものを添加する方法が一般的である。蒸留中に塩基性成分が溶解した水系媒体を投入する場合、かかる水系媒体を温調して投入しないと、タンク内部の温度が低下し、残留有機揮発物質の除去効率が低下してしまう。しかし、かかる水系媒体を温調するためには、専用の設備が必要になるため好ましくない。
以上の問題により、トナー粒子分散液中の残留有機揮発物質の濃度を減少するために過硫酸塩の投入量を増加することは難しく、トナー粒子の合一を抑制しながら蒸留効率を維持することが課題であった。
特許文献5に開示の方法では、残留有機揮発物質と蒸気との接触で共沸作用が起きるため、残留有機揮発物質を効果的に除去できるとある。
しかし、近年のトナー粒子は、市場からの低温定着性の要求に対し、低分子量、低Tg設計で対応している。そのため、トナー粒子が、蒸気と直接接触する特許文献5に開示の方法では、トナーの合一やトナー粒子から離形剤の溶出などを十分に抑制することは難しく、現像性などの画像弊害を生じてしまうと思われる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、トナー中の残留有機揮発物質を効率よく低減でき、かつトナー粒子の合一やトナー粒子からの離形剤の溶出などを十分に抑制することができるトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によるトナー粒子の製造方法は、
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る重合工程、及び、該水系媒体中に該トナー粒子が分散した分散液から有機揮発物質を除去する蒸留工程、を有するトナー粒子の製造方法であって、
該重合工程または該蒸留工程において、該水系媒体に過硫酸塩を添加し、
該過硫酸塩が添加された該分散液中に、該蒸留工程において、塩基性成分を含有する水蒸気を導入することを特徴とする。
本発明によれば、トナー品質を保持しながら、トナー粒子中に残存する有機揮発成分を短時間で効率よく低減できるトナー粒子の製造方法が提供される。
蒸留工程で使用される本発明の好適なシステムの断面図である。 本発明で使用されるトナー粒子製造フロー図の一例である。 蒸留中のpHの変化を示す図である。
本発明は重合性単量体等を使用した懸濁重合法、乳化重合凝集法などの湿式法によるトナー粒子の製造方法に好適に用いることができる。以下に、その一例として、本発明を懸濁重合法によるトナーの製造方法に用いた場合について説明する。
懸濁重合法とは、以下のようにしてトナー粒子を得る製造方法である。
重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒し、該重合性単量体組成物の粒子を形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る。
<重合性単量体組成物調製工程>
まず、重合性単量体および着色剤を少なくとも含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
<造粒工程>
無機分散安定剤を含む水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、水系媒体中に重合性単量体組成物の粒子を形成することによって重合性単量体組成物分散液を得る。造粒工程は例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行うことができる。高剪断力を有する撹拌機としては以下に例示する市販品を用いることができる。
ハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス工業(株)(旧特殊機化工業(株))製)、T.K.フィルミックス(プライミクス工業(株)(旧特殊機化工業(株))製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)。
無機分散安定剤の例を以下に挙げる。
炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物。
これらは、単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらは、水系媒体中に微粒子として存在することにより分散安定剤としての機能を発揮する。
<重合工程>
造粒工程により得られた重合性単量体組成物の分散液中の重合性単量体を重合することにより、重合体微粒子分散液を得る。重合性単量体を重合するためには、重合開始剤を重合中に添加する。重合開始剤の種類については後述するが、重合工程終了時の残留有機揮発物質を低減するためには、複数種使用することが好ましい。
重合工程初期に、油溶性の開始剤を添加する。
重合転化率が85%以上に到達した時点で、水溶性の開始剤である過硫酸塩を添加すると、重合性単量体の重合度が99%以上に到達しやすく、重合工程終了時の残留有機揮発物質が低減される。水溶性の開始剤である過硫酸塩は、重工程中に複数回に分割し、投入することもできる。過硫酸塩は、重合工程の次工程である蒸留工程中にも添加することができる。本発明における重合工程には撹拌手段を有し、温度調節可能な一般的な重合容器を用いることができる。
重合温度は40℃以上、一般的には60〜90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、重合工程終了時の残留有機揮発物質を低減しうる目的で重合工程の後半に昇温してもよい。重合容器に用いられる撹拌手段は分散された重合性単量体組成物を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌手段としては撹拌翼が適しており、例えば、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼のごとき一般的な撹拌翼を使用できる。本発明では、撹拌性能の高い、フルゾーン((株)神鋼環境ソリューション製)、ツインスター((株)神鋼環境ソリューション製)、マックスブレンド(住友重機械工業(株)製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業(株)製)、Hi−Fミキサー(綜研化学(株)製)等が好ましい。
<蒸留工程>
重合工程終了後、未反応の重合性単量体や副生成物等の残留有機揮発物質を除去するために、一部の水系媒体を蒸留工程により留去することができる。本発明においては、蒸留工程を減圧下または大気圧下のいずれのもとで行ってもよいが、好ましくは、蒸気流量を増加しても突沸しにくく、蒸留効率の高い大気圧下が良い。
本発明者らは、鋭意検討の結果、
重合工程または蒸留工程において、トナースラリー中に過硫酸塩を添加し、
蒸留工程において、分散液中に、塩基性成分を含有する水蒸気を導入する
ことが、トナー品質を保持しながら、残留有機揮発物質の除去に効果的であることを見出した。
過硫酸塩の分解に伴い酸性側にpHが徐々に低下していく。このとき、塩基性成分を含有する水蒸気では、pH変化を安定的に維持でき、かつ、一定の条件で蒸留操作を行うこともできるため、効率良く残留有機揮発物質を除去できる。一方、塩基性成分を含有する加温した水溶液を連続的に滴定した場合、投入操作に伴う蒸気圧低下、かつ、液温低下のため、残留有機揮発物質の除去効率が大きく低下してしまう。また、塩基性成分を含有する加温した水溶液を一度に投入した場合、pH変化が大きすぎるため、トナーの表面性が変化してしまうため好ましくない。
また本発明者らは、検討の結果、蒸留終了後の残留有機揮発物質を所望の範囲まで低減するためには、以下の1)、2)が有効であることを見出した。
1)重合終了後または蒸留開始時における、トナー粒子中の残留有機揮発物質を極限まで低減する。そのためには、重合工程において重合転化率が85%となった後に、水溶性の開始剤である過硫酸塩を添加する。
85%未満の時点で水溶性開始剤を添加すると、トナー粒子の表面付近の分子量がコア部に比べ低下するため、トナー表面近傍が柔らかくなった結果、耐久時の現像性が低下してしまう。以上より、あらかじめ添加したある油溶性開始剤により、トナー粒子の重合転化率を85%程度まで到達し、トナー粒子表面の組成を十分強固にした後、水溶性開始剤を添加し、残留有機揮発物質を除去することが好ましい。ただし、重合性単量体及び油溶性開始剤の種類や部数、また、反応温度や反応時間、そして水溶性開始剤の種類や添加時の温度によって、最適な重合転化率は、変化するため、必ずしもこの限りではない
また、過硫酸塩の添加量は、スラリー中のトナー100質量部に対し、0.2〜5.0質量部が好ましい。0.2質量部以上であれば、残留有機揮発物質を十分に低減することができ、5.0質量部以下であれば、過硫酸塩分解時のトナースラリーのpH変化が大きすぎないため、安定的にトナー品質を維持することができる。
2)重合時または蒸留時におけるpHを4.0〜7.0に維持することが好ましく、5.0〜6.0に維持することがより好ましい。トナー粒子の所望の分子量にもよるが、一般的に好ましい重合温度は、60℃〜90℃である。一方、過硫酸塩の分解温度は、約100℃であるため、重合中に添加した過硫酸塩は、上記した重合温度では、完全に分解せず、蒸留工程にも残存してしまう。過硫酸塩が分解すると硫酸イオンの発生に伴い、トナースラリーのpH低下が引き起こされる。pHが、4.0以上であればトナー粒子の表面に吸着している無機分散剤が溶解し始めることもなく、高温で蒸留工程を行う場合であっても、トナー粒子同士の合一が発生したり、扁平な粒子や粗大粒子が生じたりはしない。一方、pHが、7.0以下であればトナー粒子中の染料が、水系中に溶出することもなく、トナーの着色力が低下したりしない。
重合工程時においては、pHを所定の範囲に維持するためにアルカリ成分溶解水溶液を適宜添加することもできる。
しかし、蒸留工程において、pHを所定の範囲に維持するためにアルカリ成分溶解水溶液を添加すると、pHを調整することは可能であるが、差し水効果により、蒸留効率が著しく低下してしまう。特に、近年の環境基準を遵守するため、高効率の蒸留を行う際には、この傾向が強い。そこで、蒸留中に蒸留効率を低下させることなく、pHを調整するためには、塩基性成分を含有した水蒸気で蒸留を行うことが非常に有効であることを見出した。
塩基性成分を含有した水蒸気は、水蒸気の原料である水自体に塩基性成分を添加した塩基性水溶液から水蒸気を作成してもよい。または、水蒸気の供給配管中に塩基性成分を溶解した水溶液を適宜滴下したものを使用することもできる。本発明においては、いずれの方法を用いることが可能である。
本発明の水蒸気中に含まれる塩基性成分の沸点は、120℃〜200℃が好ましい。塩基性成分の沸点が120℃以上であれば、塩基性成分を含有する水蒸気が、蒸留タンクの内部に投入された際に、瞬時に気化することなく、安定的にpH調整を行うことができる。沸点が200℃以下であれば、塩基性成分が水蒸気中に含有されやすく、また一部の気化した塩基性成分が水蒸気配管中にて冷却されてドレン処理系へ排出されにくいため、定量的に蒸留タンクに塩基性成分を供給しやすく、安定的にpH調整を行うことができる。
本発明において使用する塩基性成分は、アミン化合物であることが好ましく、水に易混和性であるアルカノールアミン、または環式アミンであることがより好ましい。塩基性成分として、水に難混和性のアミンを使用した場合、水蒸気中の塩基性成分の含有割合が、変化しやすく、蒸留タンク中のpHを安定的に制御しにくいため好ましくない。
<洗浄工程、固液分離工程及び乾燥工程>
重合体粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合体粒子分散液を酸またはアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法により重合体粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
<分級工程>
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
<塩基性成分>
本発明のトナーに好適に用いられる塩基性成分としては、特に限定されるわけではないが、アミン化合物が用いられる。アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N , N -ジメチル− エタノールアミン、N -メチル− エタノールアミン、等のアルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、2‐ヒドロキシメチル‐2‐プロピルアミン等の脂肪族アミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、pドデシルアニリン、メチルベンジルアミン、アルキルジフェニルアミン、アルキルナフチルアミン、ヘキシルアニリン、オクチルアニリン、デシルアニリン、等の芳香族アミン;モルホリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペコリン、ピロリジン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン等の;環式アミンなどが挙げられる。
上記したアミン化合物の中でも、本発明において好ましいものは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N , N -ジメチル− エタノールアミン、N -メチル− エタノールアミン、等のアルカノールアミン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペコリン、ピロリジン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン等の;環式アミンである。
<重合性単量体>
本発明のトナーに好適に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性のものまたは多官能性のものを使用することができる。単官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート
、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体類;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類。
多官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独、あるいは2種以上組み合わせて、または上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。上述の単量体の中でもスチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、またはそれらとほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
<着色剤>
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系/マゼンタ系/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上、20質量部以下添加して用いられる。
着色剤を選択する上で、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。特に染料やカーボンブラックは重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。好ましくはこれらに表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。染料を表面処理する方法としては、予めこれら染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物等トナー用原料に添加する。さらにカーボンブラックについては上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えばポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
<離型剤>
本発明で用いられる離型剤としては室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点でよい。
ワックスとしては以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、及びこれらのブロック化合物。これらは低分子量成分が除去されており、示差走査熱量計によって得られる吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。OHPに定着した画像の透光性を向上させるためには特に直鎖状エステルワックスが好適に用いられる。直鎖状エステルワックスの含有量は、重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部が好ましく、4〜30質量部がより好ましい。
本発明においては、トナー粒子の可塑性を増し、低温領域での定着性をよくするために、融点が80℃より小さい第2の離型剤を併用することができる。第2の離型剤としては炭素数15〜100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいはモンタン系誘導体のワックスが好ましく用いられる。これらのワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものはより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明により製造されるトナーは荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが利用できる。例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類。さらに、以下のものが挙げられる。尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩;ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、またはフェロシアン化物)、高級脂肪酸の金属塩。これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
荷電制御剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
<重合開始剤>
本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、有機過酸化物系開始剤、過硫酸塩系開始剤がある。
アゾ系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル。
有機過酸化物系開始剤としては以下のものが挙げられる。
ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレート。
過硫酸塩系開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され単独又は混合して利用される。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部が添加される。
<架橋剤>
本発明には各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリシジルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート。
<結着樹脂>
本発明の懸濁重合法及び溶解懸濁法で用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、などの単独重合体、又は共重合体などが挙げられる。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<外添剤>
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤はトナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、以下のものが挙げられる。
酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、酸化セリウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化クロム粒子、酸化錫粒子、酸化亜鉛粒子の如き金属酸化物粒子;窒化ケイ素粒子の如き窒化物粒子;炭化ケイ素粒子の如き炭化物粒子;硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子の如き無機金属塩粒子;ステアリン酸亜鉛粒子、ステアリン酸カルシウム粒子の如き脂肪酸金属塩粒子;カーボンブラック粒子、シリカ粒子。
これら外添剤はトナー粒子100質量部に対し0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。外添剤は単独で用いても、また複数併用しても良いがそれぞれ疎水化処理を行ったものがより好ましい。
<磁性材料>
本発明の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用でき、トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としてはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物。
これらの磁性体は体積平均粒径(Dv)が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものがよい。
磁性体の体積平均粒径(Dv)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体の投影面積に等しい円の相当径を求め、それをもとに体積平均粒径の算出を行う。
上記磁性体のトナー中への含有量は、重合性単量体100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。
また、上記磁性体の800kA/m印加時の磁気特性が、飽和磁化(σs)50〜200Am/kg、残留磁化(σr)2〜20Am/kgのものが好ましい。磁性体の磁気特性は、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業(株)製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。
<疎水化剤>
また、トナー粒子中でのこれらの磁性体の分散性を向上させるために、磁性体の表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられる。中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤としては以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン。
本発明により製造されるトナーは、前述したように、一成分及び二成分系現像剤のいずれとしても使用できる。
一成分系現像剤として磁性体をトナー中に含有させた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用して磁性トナーを搬送したり帯電する方法が用いられる。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送させる方法がある。
本発明の製造方法により得られるトナーを、二成分系現像剤として用いる場合には、トナーと共にキャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガンおよびクロム原子からなる単独または複合フェライト状態で構成される。
飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点からキャリア形状も重要であり、たとえば球状、扁平、不定形を選択し、更にキャリア表面状態の微細構造たとえば表面凹凸性をもコントロールすることが好ましい。一般的には上記金属の化合物を焼成、造粒することにより、あらかじめキャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられている。キャリアのトナーへの負荷を軽減するために以下の方法も利用することが可能である。
・金属化合物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法、
・直接金属化合物と重合性単量体との混練物を水系媒体中にて懸濁重合させて真球状に分散した重合キャリアを得る方法。
キャリアの粒径の測定は、シンパテック(SYNPATEC)社製で乾式分散機(ロドス<RODOS>)を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス<HELOS>)を用いてキャリアの体積基準のメジアン径として測定する。
これらキャリアの体積基準のメジアン径は10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
二成分系現像剤を調製する場合のキャリアと本発明におけるトナーとの混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%〜15質量%が好ましく、4質量%〜13質量%がより好ましい。トナー濃度が2質量%以上であれば画像濃度が実用に際して要求される濃度となり、15質量%以下であればカブリや機内飛散が発生しにくく、画像の劣化および現像剤の消費量増加が起こりにくい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
本発明で用いた測定方法について以下に述べる。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
4)前記2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5)前記4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃〜40℃となる様に適宜調節する。
6)サンプルスタンド内に設置した前記1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<難水溶性無機物の体積基準のメジアン径の測定方法>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」((株)堀場製作所製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフトを用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)イオン交換水の溶媒屈折率を1.333に設定。難水溶性無機化合物の屈折率は、試料により設定を行う。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)難水溶性金属化合物を少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)を算出する。
<残留有機揮発物の測定用サンプルの作製>
水系媒体中のトナー粒子の残留有機揮発物測定の場合は、以下の手順であらかじめ乾燥したトナーを作製する。重合スラリーまたは、蒸留スラリーを加圧ろ過機により固液分離を行う。このときのろ過条件は、
ケーキ厚み:1.0〜1.5cm
加圧エアー:4.0〜5.0kg/cm
濾紙: 桐山製作所製 ロート用濾紙 NO.5A
上記条件で固液分離後、約30分間風乾した後、45℃の恒温乾燥機で、1.0時間乾燥させ、測定トナーを作製する。
<残留有機揮発物の測定>
ヘッドスペース法によるトナーのトルエン換算の有機揮発成分量の定量は以下のようにして測定することができる。
ヘッドスペース用バイアル瓶(容積22mL)にトナー300mgを精秤し、クリンパーを用いてクリンプキャップとフッ素樹脂コーティングされた専用セプタムでシールする。このバイアルをヘッドスペースサンプラーにセットし、下記条件でガスクロマトグラム(GC)分析を行う。そして、得られたGCチャートのピークの総面積値をデータ処理により算出する。この際、トナーを封入していない空のバイアルもブランクとして同時に測定し、ブランク測定における測定値についてはトナー測定データから差し引く。
一方、バイアルの中にトルエンのみを精秤したものを数点(0.1μL、0.5μL、1.0μL)準備し、トナーサンプルの測定を行う前に下記分析条件にてそれぞれ測定を行った後、トルエンの混合量とトルエン面積値から検量線を作成する。
トルエン換算の有機揮発成分量は、この検量線を元にトナーの有機揮発成分の面積値をトルエンの質量に換算し、更にトナー質量を基準とした量に換算することによって得られる。
<測定装置および測定条件>
ヘッドスペースサンプラー : HEWLETT PACKARD 7694
オーブン温度 : 150℃
サンプル加熱時間 : 60分
サンプル ループ(Ni) : 1mL
ループ温度 : 170℃
トランスファーライン温度 : 190℃
加圧時間 : 0.50分
LOOP FILL TIME : 0.01分
LOOP EQ TIME : 0.06分
INJECT TIME : 1.00分
GCサイクル時間 : 80分
キャリアーガス : He
GC : HEWLETT PACKARD 6890GC(検出器:FID)
カラム : HP−1(内径0.25μm×30m)
オーブン: (1)35℃:20分ホールド、(2)20℃/分で300℃まで昇温20分ホールド
INJ : 300℃、スプリットレス、コンスタントプレッシャー(20psi)モード
DET : 320℃
<粗大粒子>
上記、コールター・カウンターによる重量平均粒径(D4)を測定した時の、12.0μm以上の粒子は、帯電性能が低いため、風力分級時にカットされる。すなわち、12.0μm以上の粒子の割合が大きいほど、生産性が低いことを意味する。
<実施例1>
下記の手順によってトナー粒子1を製造した。水系媒体と重合性単量体組成物の総量が、20kgになるように、下記の比率で材料を調整した。
(水系媒体の調製)
イオン交換水380質量部に、NaPO:5.3質量部、10%塩酸2.1質量部を添加し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、130s−1にて撹拌しながら、60℃に加温した。これにイオン交換水:32質量部にCaCl:3.1質量部を溶解させた水溶液を添加し、30分間撹拌と温調を継続し、リン酸カルシウム水系媒体を調製した。このとき、生成したリン酸カルシウム水系媒体の体積基準のメジアン径をLA−920により測定したところ、0.15μmであった。
(重合性単量体組成物の調製)
下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて撹拌速度5.0回転/秒で撹拌し、溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 15.0質量部
・ポリエステル樹脂 5.0質量部
(テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10(質量比)の重縮合物、酸価11mgKOH/g、ガラス転移温度 Tg=74℃、重量平均分子量 Mw=11,000、数平均分子量 Mn=4,000)
・低分子量ポリスチレン樹脂 15.0質量部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・Pigment Yellow93 5.0質量部
・Solvent Yellow162 3.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 2.0質量部
・融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋(株)製)10.0質量部
上記混合液を温度60℃に加温した後にT.K.ホモミクサー(プライミクス工業(株)(旧特殊機化工業(株))製)にて、撹拌速度100回転/秒にて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤・パーヘキシルPV(10時間半減期温度53.2℃(日油(株)製))10.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてハイシェアミキサー(IKA製)を用いて撹拌速度150回転/秒で30分間攪拌し、重合性単量体組成物の分散液を得た。
(重合工程)
造粒工程終了後、重合性単量体組成物の分散液を、60℃で温調を行っている、重合タンクに移送した。分散液受入後、撹拌を開始するとともに、重合性単量体組成物の分散液を70℃に昇温させた。昇温後、70℃で5時間反応させた。5時間反応が終了した時点の分散液のpHを測定したところ、5.5であった。
次いで、過硫酸塩として過硫酸カリウムを重合性単量体組成物135.0質量部に対し3.0質量部添加した後、容器1内温度を85℃まで昇温し、更に85℃で2時間反応を行い、重合スラリーを得た。
85℃への昇温中及び反応時にpHを測定したところ、過硫酸カリウムの分解に伴い、pH低下が確認された。このため、中和成分として炭酸ナトリウムを重合性単量体組成物134質量部に対し、トータル5.0質量部を分割添加し、pHを5.0〜6.0の間に制御した。反応終了後、サンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、100ppmであった。重合終了時のサンプルの粒度測定をコールター・カウンター Multisizer 3により行った。重量平均粒径D4が6.50μmであった。結果を表1に示す。
(蒸留工程)
重合工程終了後、重合スラリーを、図1の蒸留タンク1に移送し、タンク内の撹拌を開始した。
次に、給水タンク18の内部にRO水(RO膜処理を施した水)1000kgと、エタノールアミン(沸点:170℃)80gとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、RO水とエタノールアミンは、均一に混和していた。
次に、給水タンクから簡易ボイラー17(K007:日本電熱(株)製)にボイラー水の供給を開始し、水蒸気の作成を開始した。
次いで、簡易ボイラーから、蒸留タンク1の内部に5kg/時間の流量で、塩基性成分としてエタノールアミンを含有する水蒸気の供給を開始した。
この時、水蒸気ラインの温度計12及び圧力計13は、それぞれ、200kPaと120℃を表示していた。その後、蒸留操作を5時間継続した時点で蒸留操作を終了した。
蒸留終了時、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、20ppmであった。結果を表1に示す。また、蒸留中のpHを経時で測定した結果を図3に示す。
蒸留終了時のサンプルの粒度測定をコールター・カウンター Multisizer 3により行った。重量平均粒径D4が6.50μmであった。この結果、蒸留中にトナー粒子の合一は、ほとんど生じておらず、良好な蒸留操作であった。
重合終了時と蒸留終了後のトナースラリーを加圧ろ過により固液分離を行い、ろ液の色見観察を行った。重合終了時のトナースラリーから得たろ液と蒸留終了後のトナースラリーから得たろ液のいずれもが、無色であり、pHの変化による染料の溶出は、生じていなかった。
<実施例2>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、モルホリン(沸点:129℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例3>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、アニリン(沸点:184℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。給水タンク18の内部にRO水とアニリンとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、不均一な混和状態であった。
重合終了時と蒸留終了後のトナースラリーを加圧ろ過により固液分離を行い、ろ液の色見観察を行った。重合終了時のトナースラリーから得たろ液の色味は無色であったが、蒸留終了時のトナースラリーから得たろ液の色見は、極淡黄色味を帯びていた。pHが、アルカリ性側に振れたことにより、染料が水系中に溶出したと思われる。ただし、トナー品質上及び生産上、問題になるレベルではなかった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例4>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、ジn-プロピルアミン(沸点:105℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。給水タンク18の内部にRO水とジn-プロピルアミンとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、不均一な混和状態であった。
重合終了時と蒸留終了後のトナースラリーを加圧ろ過により固液分離を行い、ろ液の色見観察を行った。重合終了時のトナースラリーから得たろ液の色味は無色であったが、蒸留終了時のトナースラリーから得たろ液の色見は、極淡黄色味を帯びていた。pHが、アルカリ性側に振れたことにより、染料が水系中に溶出したと思われる。ただし、トナー品質上及び生産上、問題になるレベルではなかった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例5>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、pドデシルアニリン(沸点:220℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。給水タンク18の内部にRO水とジn-プロピルアミンとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、不均一な混和状態であった。
重合終了時と蒸留終了後のトナースラリーを加圧ろ過により固液分離を行い、ろ液の色見観察を行った。重合終了時のトナースラリーから得たろ液の色味は無色であったが、蒸留終了時のトナースラリーから得たろ液の色見は、極淡黄色味を帯びていた。pHが、アルカリ性側に振れたことにより、染料が水系中に溶出したと思われる。ただし、トナー品質上及び生産上、問題になるレベルではなかった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例6>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、ジイソプロピルアミン(沸点:84℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。給水タンク18の内部にRO水とジn-プロピルアミンとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、不均一な混和状態であった。
重合終了時と蒸留終了後のトナースラリーを加圧ろ過により固液分離を行い、ろ液の色見観察を行った。重合終了時のトナースラリーから得たろ液の色味は無色であったが、蒸留終了時のトナースラリーから得たろ液の色見は、極淡黄色味を帯びていた。pHが、アルカリ性側に振れたことにより、染料が水系中に溶出したと思われる。ただし、トナー品質上及び生産上、問題になるレベルではなかった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例7>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、pヘキシルアニリン(沸点:279℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。給水タンク18の内部にRO水とジn-プロピルアミンとを投入し、10分間撹拌して、ボイラー水を作成した。撹拌停止後、タンク内部を目視したところ、不均一な混和状態であった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<実施例8>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18に投入した添加物をエタノールアミンから、KOH(沸点:1320℃)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。KOHは、水蒸気中に含有されにくいため、蒸留中にpHが低下し、トナー粒子が少し粗大化してしまった。しかし製品としては、使用可能なレベルであった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<比較例1>
実施例1の蒸留工程において給水タンク18にRO水のみを供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。水蒸気中に塩基性成分が含有されていないため、蒸留中にpHが大きく低下し、製品としては、使用が困難なレベルまで、トナー粒子が粗大化してしまった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
<参考例1>
比較例1の蒸留中に、pH低下を抑制し、pHを5.0〜6.0の範囲に維持するために、蒸留タンク1の上部から5質量%炭酸ナトリウム水溶液を複数回添加した以外は、比較例1と同様の操作を行った。炭酸ナトリウム水溶液の添加時に蒸留タンク1の内部温度が、0.5℃〜1.0℃程度低下したために蒸留効率が低下したものと思われ、蒸留終了時の有機揮発成分が、十分に低い値ではなかった。
結果を表1、及び図3にまとめて記す。
1:蒸留タンク、2:撹拌翼、3:撹拌軸、4:撹拌モーター、5:気液界面、6:温度調節用のジャケット、7:蒸留容器内温度計、8:ジャケット温度計、9:容器排出弁、10:水蒸気配管、11:水蒸気バルブ、12:水蒸気温度計、13:水蒸気圧力計、14:凝縮水タンク、15:コンデンサ、16:ベントライン、17:簡易ボイラー、18:給水タンク

Claims (4)

  1. 重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る重合工程、及び、該水系媒体中に該トナー粒子が分散した分散液から有機揮発物質を除去する蒸留工程、を有するトナー粒子の製造方法であって、
    該重合工程または該蒸留工程において、該水系媒体に過硫酸塩を添加し、
    該過硫酸塩が添加された該分散液中に、該蒸留工程において、塩基性成分を含有する水蒸気を導入することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記塩基性成分が、沸点が120℃〜200℃の塩基性成分である請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記塩基性成分が、アミン化合物である請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記塩基性成分が、アルカノールアミンまたは環式アミンである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。

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