JP6849379B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明はトナー粒子の製造方法に関するものである。
電子写真法、静電記録法、磁気記録法などを利用した記録方法やトナージェット記録方式に用いられる電子写真用トナーとしては、以下のような製造方法が提案されている。重合性単量体等を使用した懸濁重合法、乳化重合凝集法、結着樹脂等を溶剤中で造粒する溶解懸濁法等の湿式によるトナー粒子の製造方法。
湿式によるトナー粒子の製造方法において、使用する有機溶媒や、重合性単量体及び副生成物などの有機揮発物質などがトナー粒子に多く存在すると、トナーの流動性が低下して作業環境を低下させたり、不快な臭気を発生させたりする場合がある。
特に近年、環境に対する関心も高まっており、加熱加圧定着器によって発生するトナー粒子由来の有機揮発物質を減少させることが要求されている。
特許文献1には、蒸発容器および外部循環経路を減圧し、蒸発容器から外部循環経路へトナー粒子の分散液を抜き出し、外部熱交換器にて加熱し蒸発容器に戻すといった湿式での有機揮発物質の除去方法が開示されている。 特許文献2には分散媒体から、トナー粒子を分離した後に、有機揮発成分の除去を行う方法として、減圧下にてトナー粒子を加熱し有機揮発成分を除去する手法が開示されている。
特許第3760970号公報 特開2003−223014号公報
特許文献1に開示されている方法によって、トナー粒子中の有機揮発物質を低減することは可能であるが、与えられる熱量が小さいため効果は限定的で、昨今の有機揮発物質除去の要求には十分に対応することが困難である。
特許文献2に開示されている方法では、従来の方法に比べて有機揮発物質の除去効率は著しく向上するものの、近年、有機揮発物質除去の要求が高まっていることから、さらなる有機揮発物質の除去が求められている。加えて、減圧下にて熱を加えるため、トナー粒子の劣化が発生し、近年の電子写真に求められる画質要求を満たせない場合がある。
本発明は、上述のような問題を解決したうえで有機揮発物質を除去する、トナー粒子の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は、有機揮発物質が少なく、画像弊害が少ないトナー粒子の製造方法を提供することである。
本発明者らは、トナー粒子中の有機揮発物質の除去に関して鋭意検討を行った結果、以下のトナー粒子の製造方法を見出した。
本発明によれば、
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する調整工程、
該調整工程の後、無機分散安定剤を含む水系媒体に該重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、重合性単量体組成物分散液を得る造粒工程、
該造粒工程の後、該重合性単量体組成物分散液に重合開始剤を添加し、該重合性単量体を重合することにより、重合体粒子の分散液を得る重合工程、
該重合工程の後、水系媒体中に有機ケイ素化合物を該重合体粒子の分散液に添加し、撹拌しながら該有機ケイ素化合物を重合する有機ケイ素重合体被覆工程、
該有機ケイ素重合体被覆工程の後、洗浄工程、固液分離工程および乾燥工程を経て、有機ケイ素重合体で覆われ、有機揮発物質を含有する被処理トナー粒子を得る工程、ならびに、
被処理トナー粒子を減圧環境下にさらして、有機揮発物質を除去する減圧工程
この順に経てトナー粒子を得るトナー粒子の製造方法であって、
該減圧工程に供される該被処理トナー粒子は、
i)結着樹脂、着色剤および離型剤を含有し、
ii)表面が有機ケイ素重合体で覆われており、
iii)65質量%スクロース水溶液 30gと、界面活性剤 6gと、該被処理トナー粒子 1gとを混合した分散液を、振幅40mm、振とう数350回/分で20分間振とうする試験を行った際に、試験前の被処理トナー粒子における該有機ケイ素重合体の質量を基準として、試験後の該有機ケイ素重合体の残存量が70質量%以上であって、
該減圧工程は、0.67kPa以上6.7kPa以下に減圧された容器内で行われるトナー粒子の製造方法が提供される。
本発明によれば、減圧下で有機揮発成分が除去され、電子写真の現像性を損なわないトナー粒子の製造方法を提供することができる。
メタノール濃度に対する透過率を示したグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトナー粒子の製造方法は、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合凝集法や、溶解懸濁法等の種々の方法で製造されたトナー粒子中の有機揮発物質を除去するために好適に用いることができる。
以下に、その一例として、本発明を懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法に用いた場合について説明する。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る製造方法である。
以下、懸濁重合法によるトナー粒子の製造法について、工程毎に説明する。
(重合性単量体組成物調製工程)
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤はあらかじめ媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
(造粒工程)
無機分散安定剤を含む水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、重合性単量体組成物分散液を得る。造粒工程は例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行うことができる。高剪断力を有する撹拌機としては特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。ハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス工業(株)製)、T.K.フィルミックス(プライミクス工業(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)などの市販のもの。
無機分散安定剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等。これらは、単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらは、水系媒体中に微粒子として存在することにより分散安定剤としての機能を発揮する。
(重合工程)
上述のようにして得られた重合性単量体組成物分散液に重合開始剤を添加し、重合性単量体を重合することにより、重合体粒子の分散液を得る。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。
撹拌に用いられる撹拌羽根は重合性単量体組成物分散液を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌羽根又は撹拌手段としては、以下のものが挙げられる。パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼のごとき一般的な撹拌羽根、並びに、「フルゾーン」((株)神鋼環境ソリューション製)、「ツインスター」((株)神鋼環境ソリューション製)、「マックスブレンド」(住友重機械工業(株)製)、「スーパーミックス」(佐竹化学機械工業(株)製)及び「Hi-Fミキサー」(綜研化学(株)製)。
(洗浄工程、固液分離工程及び乾燥工程)
重合体粒子の表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子の分散液を酸またはアルカリで処理をする。この後、一般的な固液分離法により重合体粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水で重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離して湿潤重合体粒子を得る。得られた湿潤重合体粒子は公知の乾燥手段により乾燥される。
(分級工程)
こうして得られた重合体粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
次に、ケイ素化合物で重合体粒子の表面を被覆するケイ素化合物被覆工程を行う。ケイ素化合物被覆工程の方法は下記のケイ素化合物被覆工程A,B,Cのいずれかの方法で行うことができ、また、それらの組み合わせで行うことができるが特に限定されない。
(ケイ素化合物被覆工程A)
重合体粒子とケイ素化合物を混合することで、ケイ素化合物を被覆させた被処理トナー粒子を得る。ケイ素化合物は一種類で用いても、異なるものを併用しても良い。また、後述の外添剤を併用しても良い。ケイ素化合物は疎水化処理されたものがより好ましい。ケイ素化合物は重合体粒子100質量部に対し0.01質量部以上10質量部以下が用いられ、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下が用いられる。
(ケイ素化合物被覆工程B)
前述の重合性単量体組成物調製工程に有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物を含有させる。重合工程で重合性単量体および有機ケイ素化合物を重合させた後、前述の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、分級工程を経てケイ素化合物で覆われた被処理トナー粒子を得る。
(ケイ素化合物被覆工程C)
重合体粒子を得た後、水系媒体中に有機ケイ素化合物、または、有機ケイ素化合物と有機ケイ素重合体の混合物を添加し、撹拌しながら有機ケイ素化合物を重合する。その後、前述の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、分級工程を経てケイ素化合物で覆われた被処理トナー粒子を得る。
(減圧工程)
得られた被処理トナー粒子を減圧環境下にさらして、被処理トナー粒子中の有機揮発物質の除去を行う。
被処理トナー粒子は、下記i)〜iii)を満たす必要がある。
i)結着樹脂、着色剤および離型剤を含有する。
ii)表面がケイ素化合物で覆われている。
iii)下記の材料を混合した分散液を、振幅40mm、振とう数350回/分で20分間振とうする試験を行った際に、試験前の被処理トナー粒子におけるケイ素化合物の質量を基準として、試験後のケイ素化合物の残存量が70質量%以上である。
・65質量%スクロース水溶液 30g
・界面活性剤 6g
・被処理トナー粒子 1g
減圧工程は、0.67kPa以上6.7kPa以下に減圧された容器内で行われる。0.67kPa以上6.7kPa以下の圧力であれば、被処理トナー粒子中に含まれる有機揮発物質を良好に除去できる。0.67kPa以下の圧力にする場合、容器のシールの精度を上げなくてはならないばかりか、減圧ポンプの能力を大きくしなくてはならない等、装置コストが過剰となり生産性を大きく低下させることがある。また、圧力が著しく小さいことにより、被処理トナー粒子に含まれる離型剤等が表面に析出することがある。こうした粒子をトナーとして使用すると、カートリッジの構成部材を汚染するため、結果として現像性を低下させることがある。
6.7kPaより大きい場合、被処理トナー粒子中の有機揮発物質が除去できず残存することがある。
被処理トナー粒子は表面がケイ素化合物で被覆されている。本発明でのケイ素化合物での被覆とは、粒子の表面に容易に外れない強度で存在していることを意味する。これは、後述のケイ素化合物の残存量を指標とすることができる。
被処理トナー粒子はケイ素化合物の残存量が70質量%以上である。ケイ素化合物の残存量の算出方法については後述する。
ケイ素化合物が粒子の表面に被覆していることで、被処理トナー粒子の表面に離型剤等が析出することを防ぐことができる。そのため、現像性を低下させることなく、有機揮発物質を除去することができる。
ケイ素化合物の残存量が70質量%より小さい場合、被処理トナー粒子の表面のケイ素化合物が外れやすい状態で存在していることを意味している。この状態では、離型剤等が粒子の表面に析出することを防ぐ作用をしないため、現像性を低下させることがある。
被処理トナー粒子の温度を20℃以上60℃以下にすることが好ましい。この範囲であれば、有機揮発物質が揮発しやすく、被処理トナー粒子から除かれやすくなる。
20℃より小さい場合、有機揮発物質が揮発しにくくなるため、被処理トナー粒子から除かれにくくなることがある。
60℃より大きい場合、有機揮発物質は除去されやすくなるが、減圧下で温度がかかるため、被処理トナー粒子中の離型剤が軟化しやすくなり、被処理トナー粒子の表面に析出しやすくなることがある。また、被処理トナー粒子の結着樹脂も軟化しやすくなり、被処理トナー粒子同士が合一してしまうことがある。合一した粒子がトナー中に含まれると、現像性を低下させることがある。
ケイ素化合物の被処理トナー粒子へ被覆率が40%以上90%以下であることが好ましい。この範囲であれば、減圧下で処理することにより析出してくる離型剤の表面への析出を防ぐことができるため好ましい。
被覆率が70%より小さい場合、離型剤の表面への析出を防ぐ効果が限定的となることがある。
電子写真特性を損なうことなく、被処理トナー粒子の表面にケイ素化合物を90面積%より大きい範囲で存在させるのは実質的に困難である。90面積%より大きい範囲で存在させる場合、ケイ素化合物被覆工程でケイ素化合物を多量に使用することになる。一定量を超えてケイ素化合物を添加すると、被処理トナー粒子の表面に一様に存在せず、ケイ素化合物の厚みに差が生じ、トナー粒子の帯電性にバラつきが生じることがある。
(外添工程)
減圧工程後、トナー粒子への各種特性付与を目的として外添剤とトナー粒子を混合することができる。
(重合性単量体)
本発明に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性のものまたは多官能性のものを使用することができる。
単官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン誘導体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート
、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンなどのビニルケトン類。
多官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独、あるいは2種以上組み合わせて、または上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。上述の単量体の中でもスチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、またはそれらとほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
<着色剤>
本発明に用いられる着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系/マゼンタ系/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、トナー中の分散性の点などの観点から選択される。
着色剤は、重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上、20質量部以下が通常用いられる。
<離型剤>
本発明に用いられる離型剤としては室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点でよい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックスなどが例示できる。ワックスは重合性単量体100質量部に対して1質量部以上40質量部以下、より好ましくは4〜30質量部含有されるのがよい。
<荷電制御剤>
本発明に用いられる荷電制御剤としては公知のものが利用できる。例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類。さらに、以下のものが挙げられる。尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、カリックスアレーン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩;ホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、またはフェロシアン化物)、高級脂肪酸の金属塩。これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの荷電制御剤は重合性単量体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下使用するのがよい。
<重合開始剤>
本発明に用いられる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤が挙げられる。アゾ系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル。
有機過酸化物系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレート。
また、酸化性物質と還元性物質を組み合わせたレドックス系重合開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)の無機過酸化物、4価のセリウム塩などの酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1〜6のアミン)、ヒドロキシルアミン等のアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6)、アスコルビン酸又はその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6)。重合開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され単独又は混合して利用される。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部が添加される。
<有機溶剤>
本発明で用いられる有機溶剤としては、種々の有機溶剤を用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。また、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。有機溶媒中に溶解あるいは分散させる樹脂がポリエステル骨格を有する樹脂である場合、以下の有機溶剤を用いたほうが、溶解性が高くて好ましい。酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系の溶媒もしくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系の溶媒。これらのなかでは溶媒除去性の高い酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
<有機溶媒中に添加する変性樹脂>
本発明で用いられる変性樹脂(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができる。例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等が用いられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
<活性水素基含有化合物>
本発明で用いられる活性水素基含有化合物は、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と反応可能な変性樹脂が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーである場合には、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基(−NH)、カルボキシ基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
<外添剤>
本発明の製造方法により得られたトナー粒子には、各種粉体特性を改良する目的で、外添剤を添加することができる。外添剤としては、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛などの金属酸化物の粒子;窒化ケイ素などの窒化物の粒子;炭化物炭化ケイ素などの炭化物の粒子;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機金属塩の粒子;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩の粒子;カーボンブラック粒子、シリカ粒子、ケイ素化合物粒子。
これら外添剤はトナー粒子100質量部に対し0.01質量部以上10質量部以下が用いられ、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下が用いられる。これらの外添剤は単独で用いても、併用しても良い。また、これらの外添剤は疎水化処理されたものがより好ましい。
<ケイ素化合物>
本発明に用いることができるケイ素化合物としては、特に限定されないがシリカや有機ケイ素化合物が好適に用いることができる。
Figure 0006849379
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、本発明において、有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子中に0.50質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.75質量%以上40.00質量%以下であることがより好ましい。
上記式(Z)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
<磁性材料>
本発明の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用でき、トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明に用いられる磁性材料としては以下のものが挙げられる。マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物。
これらの磁性体は、重合性単量体100質量部に対して20質量部以上200質量部以下、特に好ましくは重合性単量体100質量部に対して40質量部以上150質量部以下である。
本発明に磁性材料を用いる場合には、トナー粒子中での磁性材料の分散性を向上させるために、磁性材料の表面を疎水化処理することが好ましい。疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられる。中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤としては以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン。
以下に、懸濁重合法により得られるトナー粒子の各種測定方法について説明する。
<ケイ素化合物の残存量の算出>
本発明におけるケイ素化合物の残存量の算出は以下のように行った。
(サンプルの準備)
遊離前トナー:後述する実施例で作製した各種被処理トナー粒子をそのまま用いた。
遊離後トナー:50mL容量のバイアル瓶に、65質量%スクロース水溶液を30g、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤)を6g秤量し、被処理トナー粒子 1gと混合する。この混合物をいわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50(振幅40mm、振とう数350回/分)に設定して20分間振とうする。その後、混合物を遠心分離機にて処理し(3500rpmにて30分間)、被処理トナー粒子と水溶液とを分離する。後述する実施例で作製した被処理トナー粒子は比重差により、被処理トナー粒子が上層に、遊離外添剤が沈殿して、分離される。上層のトナーを回収し、濾過洗浄後、減圧乾燥により乾固させ、遊離後トナーを得る。
各元素の蛍光X線の測定は、JISK0119−1969に準ずるが、具体的には以下のとおりである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。
なお、X線管球のアノードとしてはRh(ロジウム)を用い、測定雰囲気は減圧、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、以下のペレットを用いる。
専用のプレス用アルミリングの中に被処理トナー粒子約0.4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」((株)前川試験機製作所製)を用いて、10MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約17mmに成型したペレット。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
(トナー中のSiOの定量)
トナー粒子100.0質量部に対して、シリカ(SiO)微粒子を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粒子を1.0質量部、1.5質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PET(ペンタエリトリトール)を分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。
この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象の遊離前トナー、遊離後トナーを、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中のSiO含有量を求める。
(ケイ素化合物の残存量の算出方法)
まず、上記方法にて遊離前トナー(試験前トナー)、遊離後トナー(試験後トナー)の各無機微粒子の含有量を求める。その後、遊離前トナーのシリカ微粒子含有部数をXa、遊離後トナーのシリカ微粒子含有部数をXbとし、下記式に基づき遊離率(質量%)を算出する。
遊離率(質量%)=(Xb)/(Xa)×100
<濡れ性変化率>
本発明においては、被処理トナー粒子等の濡れ性、すなわち疎水特性は、下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
まず、メタノール60体積%と水40体積%とからなる含水メタノール液70mLを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、トナーを目開き150μmのメッシュで振るい、メッシュを通ったトナー0.1gを精秤して、上記含水メタノール液が入れられた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」((株)レスカ製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s−1(400rpm)の速度で攪拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3mL/分の滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図1に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。メタノール滴下透過率曲線の透過率50%でのメタノールの体積濃度を濡れ性半値とした。
減圧工程前の被処理トナー粒子の濡れ性半値をI、減圧工程の被処理トナー粒子の濡れ性半値をEとし、下記式に基づき濡れ性変化率 M(%)を算出する。
濡れ性変化率 M(%)=(E−I)/I×100
濡れ性変化率が大きい場合、減圧工程において被処理トナー粒子中の離型剤といった疎水性の高い物質が被処理トナー粒子の表面に析出してきたことが示唆される。
<有機揮発成分の測定>
トナー中の有機揮発成分として、残留スチレンモノマーの測定を行う。残留スチレンモノマーは少ないことが好ましく、10ppm以下であることが好ましい。残留スチレンモノマーの定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
トナー約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した約10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予めスチレンなど各種モノマーを用いて作成した検量線により、残留モノマーの残存量を算出する。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC : HP社 6890GC
カラム : HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス : He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン : (1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口 : 200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比 : 5.0:1.0
検出器 : 250℃(FID)
<無機微粒子の被覆率の変動係数の算出>
本発明における被覆率の変動係数は、電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。
S−4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
被覆率の変動係数の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、精度良く測定することができる。
S−4800の筐体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筐体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)トナーの個数平均粒径(D1)算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5,000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー粒子300個について粒径を測定して個数平均粒径(D1)を求める。なお、個々の粒子の粒径は、被処理トナー粒子を観察した際の最大径とする。
(4)焦点調整
(3)で得た、個数平均粒径(D1)の±0.1μmの粒子について、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10,000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50,000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(5)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー粒子一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー30粒子以上について画像を得る。
(6)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率を算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。
画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下のとおりである。
ソフトImage−ProPlus5.1J ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、あらかじめ選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2〜107と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って解析を行う。このとき、領域の面積(C)は24,000〜26,000ピクセルになるようにする。「処理」−2値化で自動2値化し、無機微粒子の無い領域の面積の総和(D)を算出する。
正方形の領域の面積C、無機微粒子の無い領域の面積の総和Dから下記式によって被覆率aが求められる。
被覆率a(%)=100−((D/C)×100)
上述したように、被覆率aの計算を被処理トナー粒子30粒子以上について行う。得られた全データの平均値を本発明における被覆率とする。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
〔実施例1〕
下記の手順によってトナーを製造した。
(顔料分散組成物調製工程)
下記の材料を、アトライタ(日本コークス工業(株)製)に導入し、半径5.00mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で300分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
・スチレン 22.1質量部
・C.I.ピグメントレッド155 1.38質量部
・C.I.ピグメントレッド122 2.30質量部
・荷電制御剤(ボントロンE88;オリエント化学工業(株)製) 0.32質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.02部
・スルホン酸基含有樹脂(アクリベースFCA−1001−NS、藤倉化成製)
0.55質量部
(重合性単量体組成物調製工程)
下記材料を同一容器内に投入し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)を用いて、周速20m/秒にて混合・分散した。
・顔料分散組成物 26.62質量部
・スチレン 12.05質量部
・n−ブチルアクリレート 13.26質量部
・ポリエステル樹脂 1.90質量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体
5.68質量部
(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/αメチルスチレン=80.85/2.50/1.65/15.0、Mp=19,700、Mw=7,900、TgB=96℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1)
Mp:メインピーク分子量
Mw:重量平均分子量
Mn:数平均分子量
TgB:ガラス転移温度
さらに、60℃に加温した後、炭化水素ワックス(HNP−5;日本精蝋(株)製)4.26質量部を投入し、30分間分散・混合を行った。そして、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.26質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
(水系分散媒体調製工程)
造粒タンクにイオン交換水129.64質量部、リン酸ナトリウム12水和物2.35質量部、10質量%塩酸0.41質量部を添加しリン酸ナトリウム水溶液を作製し、60℃に加温した。イオン交換水9.52質量部に塩化カルシウム2水和物1.36質量部を溶解し塩化カルシウム水溶液を得た。前述のリン酸ナトリウム水溶液に塩化カルシウム水溶液を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)を用いて周速25m/秒にて30分間撹拌した。
(造粒工程)
水系分散媒体中に重合性単量体有組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)にて周速25m/秒で20分間撹拌し重合性単量体組成物の分散液を得た。
(反応工程)
重合性単量体組成物の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度73℃に昇温し4時間反応させた。その後、さらに85℃に昇温し、2時間反応させ重合体粒子の分散液を得た。その後、飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。重合体粒子の分散液の質量の1/4の留分を得た。その後、重合体粒子の分散液を冷却した。
(洗浄/濾過/乾燥 工程)
重合体粒子の分散液を冷却後、塩酸を加えpHを1.2にし、2時間撹拌した。その後、トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥し重合体粒子1を得た。
(被処理トナー粒子作製工程)
下記の材料を、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)で10分間、3500rpmにて混合して被処理トナー粒子を得た。
・重合体粒子1 100.0質量部
・ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子個数平均粒径:7nm) 1.0質量部
得られた被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量は80質量%、被覆率は50%であった。
(減圧工程)
被処理トナー粒子30kgをレーディゲミキサー VT-130(中央機工(株)製)に入れ、減圧容器内を0.67kPaとし、3時間処理を行った。処理中は、ベッカーショベル(撹拌翼)を80rpmで回転させ、被処理トナー粒子を撹拌した。被処理トナー粒子の温度は、減圧容器に具備されたジャケットに冷水または温水を入れることで40℃に調節した。
減圧工程終了後、得られた粒子をトナーとして現像性評価を行った。
得られたトナーの現像性評価を以下に示す方法で行った。
<現像性に関する評価>
評価機としてLBP7200C(キヤノン(株)製)の改造機を使用し、マゼンタカートリッジに得られたトナーを詰め替えた。高温高湿環境下(温度30℃、相対湿度80%)においてカブリの評価を行った。なお、カブリの評価は、5%の印字比率の画像を2,800枚印字後に行った。評価紙にはA4サイズのCLCカラーコピー用紙(キヤノン(株)製、秤量80g/m)を用いた。
(1)カブリ
耐久後に、白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」((有)東京電色製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と、記録材の白色度との差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターはグリーンフィルターを用いた。
A: 1.0%未満
B: 1.0%以上2.0%未満
C: 2.0%以上3.0%未満
D: 3.0%以上
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
処理時間を7分間として被処理トナー粒子作製工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例3〜4〕
減圧容器の圧力を表1に記載の圧力として減圧工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例5〜7〕
被処理トナー粒子の温度を表1に記載の温度に調整して減圧工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
被処理トナー粒子の温度を70℃に調整し減圧工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
減圧工程後、減圧容器を確認したところ、部分的にトナー粒子の融着が確認された。
〔実施例9〕
下記の材料を、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)で10分間、4000rpmにて混合して被処理トナー粒子作製工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。
・重合体粒子1 100.0質量部
・ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子個数平均粒径:7nm) 0.7質量部
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
下記の材料を、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)で12分間、4000rpmにて混合して被処理トナー粒子作製工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。
・重合体粒子1 100.0質量部
・ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子個数平均粒径:7nm) 0.3質量部
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例11〕
反応工程以降を次のとおりに行った。
(水系媒体Aの調整工程)
撹拌機、温度計を備えた容器に、イオン交換水 35.0質量部を秤量し、10質量%の塩酸を用いて、pHを3.0に調整した。
撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。
その後、メチルトリエトキシシラン15.0質量部を添加し、2時間撹拌し、水系媒体Aを得た。
(反応工程/被処理トナー粒子作製工程)
重合性単量体組成物の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌した。水系媒体A 20.4質量部を添加し、撹拌しつつ温度73℃に昇温し4時間反応させた。その後、さらに85℃に昇温し、2時間反応させ重合体粒子の分散液を得た。得られた重合体粒子はケイ素化合物が表面を覆う重合反応も同時に行われている。
その後、飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始してから20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。重合体粒子(被処理トナー粒子)の分散液の質量の1/4の留分を得た。
その後、重合体粒子(被処理トナー粒子)の分散液を冷却した。
(洗浄/濾過/乾燥 工程)
重合体粒子(被処理トナー粒子)の分散液を冷却後、塩酸を加えpHを1.2にし、2時間撹拌した。その後、トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥し被処理トナー粒子を得た。得られた被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量は80質量%、被覆率は95%であった。
(減圧工程)
被処理トナー粒子30kgをレーディゲミキサー VT-130(中央機工(株)製)に入れ、減圧容器内を1.34kPaし、3時間処理を行った。処理中は、ベッカーショベルを80rpmで回転させ、被処理トナー粒子を撹拌した。被処理トナー粒子の温度は、減圧容器に具備されたジャケットに冷水または温水を入れることで40℃に調節した。
上記以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナーを得た。
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔実施例12〜13〕
水系媒体Aの添加量が下記の値であること以外は実施例11と同様の条件、方法によりトナーを得た。
・実施例12 28.6質量部
・実施例13 13.4質量部
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
下記の材料をガラス瓶に入れ1分間振とうし、被処理トナー粒子作製工程を行った以外は実施例1と同様の条件、方法によりトナーを得た。
・重合体粒子1 100.0質量部
・ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子個数平均粒径:7nm) 1.0質量部
被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
処理時間を4分間として被処理トナー粒子作製工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た。被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
減圧容器の圧力を8.6kPaとして減圧工程を行った以外は実施例1と同様の条件方法によりトナーを得た被処理トナー粒子のケイ素化合物の残存量、被覆率、減圧工程の運転条件、濡れ性変化率、有機揮発性物質濃度、およびカブリの評価結果を表1に示す。
Figure 0006849379

Claims (2)

  1. 重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する調整工程、
    該調整工程の後、無機分散安定剤を含む水系媒体に該重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、重合性単量体組成物分散液を得る造粒工程、
    該造粒工程の後、該重合性単量体組成物分散液に重合開始剤を添加し、該重合性単量体を重合することにより、重合体粒子の分散液を得る重合工程、
    該重合工程の後、水系媒体中に有機ケイ素化合物を該重合体粒子の分散液に添加し、撹拌しながら該有機ケイ素化合物を重合する有機ケイ素重合体被覆工程、
    該有機ケイ素重合体被覆工程の後、洗浄工程、固液分離工程および乾燥工程を経て、有機ケイ素重合体で覆われ、有機揮発物質を含有する被処理トナー粒子を得る工程、ならびに、
    被処理トナー粒子を減圧環境下にさらして、有機揮発物質を除去する減圧工程
    この順に経てトナー粒子を得るトナー粒子の製造方法であって、
    該減圧工程に供される該被処理トナー粒子は、
    i)結着樹脂、着色剤および離型剤を含有し、
    ii)表面が有機ケイ素重合体で覆われており、
    iii)65質量%スクロース水溶液 30gと、界面活性剤 6gと、該被処理トナー粒子 1gとを混合した分散液を、振幅40mm、振とう数350回/分で20分間振とうする試験を行った際に、試験前の被処理トナー粒子における該有機ケイ素重合体の質量を基準として、試験後の該有機ケイ素重合体の残存量が70質量%以上であって、
    該減圧工程は、0.67kPa以上6.7kPa以下に減圧された容器内で行われる
    ことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 該減圧工程における被処理トナー粒子の温度が20℃以上60℃以下である請求項1に記載のトナー粒子の製造方法
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