JP6611557B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真、静電印刷、磁気記録のような、画像形成方法において静電荷画像を顕像化するためのトナーおよびトナー粒子の製造方法に関するものである。特に、湿式法によってトナー粒子を製造する際に、製造時に発泡や粗大粒子の発生が少なく、また、残留有機揮発成分が少なく、環境安全性に優れた電子写真用トナーの製造方法に関する。
近年、トナー粒子の製造方法として、重合性単量体、着色剤、離型剤等の混合物を懸濁重合法、乳化重合凝集法等の湿式トナーに関する提案がおこなわれている。
上記した湿式トナーは、離形剤を内包できる特性や形状を制御しやすい等の特性などにより従来の粉砕トナーに比べ、現像性や転写性が優れている。しかし、トナー中に重合性単量体や溶剤などの残留有機揮発物質を完全に除去することが難しく、何れの手法でも、僅少の残留有機揮発物質がトナー中に残存してしまう。残留有機揮発物質がトナー中に残存すると、トナーを静電画像形成装置で使用する場合、画像定着時の加熱加圧等により残留有機揮発物質がトナー中から揮発して、不快な臭気を発生させたりすることがある。
近年、残留有機揮発物質の規制は、世界的に厳しくなっており、湿式トナーにおいても、残留有機揮発物質を低減することが求められている。
一方で、湿式トナーの残留有機揮発物質を低減するためには、例えば、
(I)重合後のトナー分散液を蒸留工程において、残留有機揮発物質を低減する方法、
(II)トナー分散液を脱水後、乾燥工程において残留有機揮発物質を低減する方法、
などが検討されている。
(I)の方法としては、重合終了後の重合体粒子の水系分散液に減圧下で供給熱量を段階的または連続的に増加させて、トナー粒子中から、揮発性有機化合物を留去する方法が提案されている(特許文献1)。
また、別な(I)の方法としては、重合終了後、大気圧中において、重合体粒子の水系分散液に飽和水蒸気を供給し、トナー粒子中から、揮発性有機化合物を留去する方法が提案されている(特許文献2)。
他方、(II)の方法としては、湿式法で生成されたトナー粒子を乾燥処理を行う容器に供給した後、容器内へ真空蒸気を供給し、トナー粒子に含まれる残留有機揮発物質を除去する方法が提案されている(特許文献3)。この方法では、残留有機揮発物質と蒸気との接触で共沸作用が起きるため、残留有機揮発物質を効果的に除去できると記載されている(特許文献3)。
特許4092527号公報 特許3332394号公報 特開2011−209429号公報
特許文献1に記載の方法では、蒸留工程を減圧下のもと、水蒸気を供給するため、気液界面部における発泡が非常に激しいことが予想され、残留有機揮発物質を十分に除去する水蒸気を供給できないことが予想される。また、減圧水蒸気を供給しているため、水蒸気の温度自体が低く、水蒸気による、残留有機揮発物質を低減する効果が低いと予想される。
特許文献2に記載の方法は、特許文献1に記載の方法に比べ、大気圧での操作のため、投入する水蒸気量/水蒸気圧力も大きいことが予想され、残留有機揮発物質の削減効果も高いと思われる。一方で、トナー粒子分散液中の残留有機揮発物質濃度が高い状態で、水蒸気を供給すると、理由は明確ではないが、残留有機揮発物質がトナー同士の合一を促進させると推測され、粗大粒子が増加してしまうおそれがある。そのため、この方法は、残留有機揮発物質の除去効果は、高いものの、残留有機揮発物質濃度が高い蒸留工程初期から中期において、トナー粒子同士の合一が生じ易いことが予想され、品質及び生産性を低下してしまうことが予想される。
また、近年のトナー粒子は、市場からの低温定着性の要求に対し、低分子量、低Tg設計で対応している。そのため、トナー粒子が、直接蒸気と接触する特許文献3に記載の方法では、トナーの合一やトナー粒子から離形剤の溶出などを市場において近年要求されるレベルまで抑制することは難しく、現像性などの画像弊害を生じてしまうことが予想される。
本発明は、上述の如き問題を解決したトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、トナー中の残留有機揮発物質を効率よく低減できるトナー製造方法を提供することである。
本発明者らはトナー中の残留有機揮発物質を効率よく低減する手段について鋭意検討を行った結果、以下の方法を見出した。
すなわち、本発明のトナー粒子の製造方法は、
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る重合工程、及び、
該トナー粒子の分散液に水蒸気を供給することによって、該トナー粒子の分散液から有機揮発物質を除去する蒸留工程、
を有するトナー粒子の製造方法において、
該蒸留工程が、大気圧下において行われ、
該蒸留工程の開始時に該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量B(ppm)が500ppm以上であり、
該蒸留工程の開始時の該水蒸気の供給熱量A(kJ/hr)を385kJ/hr以上525kJ/hr以下とし、
該蒸留工程の開始後、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量Bの測定を行い、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量B(ppm)が200ppm以下になったことを確認した後、該水蒸気の供給熱量A(kJ/hr)を625kJ/hr以上1625kJ/hr以下に変更することを特徴とする。
本発明によれば、トナー粒子中に残存する有機揮発成分を短時間で、トナー品質を保持しながら、効率よく低減できるトナー製造方法を提供することができる。
蒸留工程で使用される本発明の好適な容器の断面図である。 本発明で使用されるトナー粒子製造フロー図の一例である。
本発明は重合性単量体等を使用した懸濁重合法、乳化重合凝集法などの湿式法によるトナー粒子の製造方法に好適に用いることができる。以下に、その一例として、本発明を懸濁重合法によるトナーの製造方法に用いた場合について説明する。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒し、造粒された重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る製造方法である。
<重合性単量体組成物の調製工程>
重合性単量体および着色剤を少なくとも含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
<造粒工程>
無機分散安定剤を含む水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、水系媒体中に重合性単量体組成物の粒子を形成することによって重合性単量体組成物の分散液を得る。造粒工程は例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行うことができる。高剪断力を有する撹拌機としては、以下のような市販のものを用いることができる。
ハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス工業(株)製)、T.K.フィルミックス(プライミクス工業(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)。
無機分散安定剤としては、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらは、単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらは、水系媒体中に微粒子として存在することにより分散安定剤としての機能を発揮する。
<重合工程>
造粒工程により得られた重合性単量体組成物の分散液中の重合性単量体を重合することにより、重合体微粒子分散液を得る。本発明における重合工程には撹拌手段を有し、温度調節可能な一般的な重合容器を用いることができる。
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。重合容器に用いられる撹拌手段は分散された重合性単量体組成物を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。
撹拌手段としては撹拌翼が適しており、例えば、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼のごとき一般的な撹拌翼を使用できる。例えば以下のような撹拌性能の高い製品が好ましい。
フルゾーン((株)神鋼環境ソリューション製)、ツインスター((株)神鋼環境ソリューション製)、マックスブレンド(住友重機械工業(株)製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業(株)製)、Hi−Fミキサー(綜研化学(株)製)。
<蒸留工程>
重合工程終了後、未反応の重合性単量体や副生成物等の残留有機揮発物質を除去するために、一部水系媒体を蒸留工程により留去することができる。通常、蒸留工程は大気圧下もしくは減圧下で行うことができるが、本発明においては、鋭意検討の結果、大気圧下においてトナー粒子の分散液に、水蒸気の導入量を増加させながら蒸留工程を行うことが、残留有機揮発物質の除去に効果的であることを見出した。
減圧下での蒸留の場合、トナー粒子分散液内部からの泡の発生量は、真空度に比例し増加していく。そのため、大気圧下に比べ、突沸を抑制するのが難しい。そこで、減圧下で突沸を抑制し、安定的に蒸留操作を実施するためには、水蒸気を水系媒体中に投入する量が、大気圧下に比べ、少なくなってしまう。また、水蒸気の保持する熱量は、圧力に比例するが、減圧下では、高圧の水蒸気ほど、体積が膨張するため突沸しやすく、安定的に蒸留を行うには、低流量、低圧の水蒸気を使用せざるを得ない。上記の理由により、減圧下での蒸留は、十分に有機揮発物質を除去できることができない。
一方、大気圧下での蒸留は、高圧の飽和水蒸気を水系中に投入可能であり、水蒸気の保持する熱量は、圧力に比例して高くなるため、沸点が、100℃以上の有機揮発物質の除去に効果的である。しかし、水蒸気の温度は、圧力に比例し高くなるが、水蒸気の温度が高すぎると、トナー粒子同士の合一が顕著となり、粗大粒子の発生が増加し、画像弊害や収率の低下という問題を生じる。すなわち、如何にトナー粒子の同士の合一を抑制しながら、高圧かつ高流量の水蒸気を水系媒体中に投入できるかが、蒸留工程を効率良く実施するための課題である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、蒸留中の該トナー粒子の合一を抑制しながら、効率良く残留有機揮発物質を除去するためには、トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量と水蒸気の供給熱量との関係が重要であることを見出した。
すなわち、本発明において、該水蒸気の供給熱量をA(kJ/hr)、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量をB(ppm)としたとき、
前記蒸留工程の開始時は、下記式(1)かつ(2)を満たし、
前記水蒸気の量を増加させた後は、下記式(3)かつ(4)を満たすことが好ましい。
式(1) 500≦B
式(2) 385≦A≦525
式(3) B≦200
式(4) 625≦A≦1625
該水蒸気の供給熱量A(kJ/hr)とは、該水系媒体中の重合体粒子1kg当たりの熱量を意味する。また、この場合の水蒸気の潜熱(水が水蒸気に変化する際の潜熱)は、2259kJ/kg、水蒸気の顕熱は、2kJ/kg℃とする。
トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量Bが、500ppm以上で、かつ、水蒸気の供給熱量Aが、525kJ/hr以下の場合、トナー粒子同士の合一が、ほとんど生じないため、好ましい。その理由は、明確ではないが、トナー粒子に含まれる有機揮発成分量が少ないため、トナーの表面が可塑しにくいこと、更に、トナーの表面に存在する有機揮発成分が少ないためトナー粒子同士の静電反発力が低下しないこと、と思われる。
粒子同士が合一すると扁平な形状の粒子が生成されてしまう。球状の粒子と比べ扁平な粒子は、外添剤のトナー粒子表面への付着性が異なる。また、扁平な形状のため、トナーの流動性が球状に比べ低い値となってしまう。そのため、電子写真特性上、外添剤の遊離による現像性の低下や、流動性の低下によるボタが発生しやすくなるため、好ましくない。
また、前記Bが、500ppm以上で、かつ、水蒸気の供給熱量Aが、385kJ/hr以上の場合、水系媒体中への供給熱量が、小さすぎず、供給した熱量に対して、気化する水系媒体量の割合も低下せず、蒸留効率が大幅に低下することもないため好ましい。また、蒸留中に水系媒体量が増加しすぎることもなく、蒸留工程以降の工程が非効率になったりもしない。
また、前記Bが、200ppm以下で、かつ、該水蒸気の供給熱量Aが、1625kJ/hr以下の場合、トナー粒子同士の合一が、ほとんど生じないため、好ましい。理由は明確ではないが、水系媒体中への供給熱量が、大きすぎないため、トナー粒子表面が溶融したり、粘度が大きく低下したりせず、トナー粒子表面に存在する無機分散剤の遮蔽効果が維持され、結果として、トナー粒子同士の合一が促進されないためと思われる。
また、前記Bが、200ppm以下で、かつ、水蒸気の供給熱量Aが、625kJ/hr以上の場合、水系媒体中への供給熱量が、小さすぎることもない。このため、残留有機揮発成分を所望の量までに低下させるために、蒸留時間がかかり過ぎたり、蒸留効率が大幅に低下したりせず、好ましい。
上記の理由により、本発明において、蒸留工程は、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量Bが、500ppm以上の範囲では、該水蒸気の供給熱量Aを385kJ/hr以上525kJ/hr以下に制御することが好ましい。また、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量Bが、200ppm以下の範囲では、該水蒸気の供給熱量Aを625kJ/hr以上1625kJ/hr以下に制御することが、好ましい。
また、本発明者らは、鋭意検討した結果、効率良く残留有機揮発物質を除去するためには、該水蒸気の供給熱量Aと該蒸留工程における該水系媒体の質量C(kg)の関係が重要であることを見出した。すなわち、本発明において、A/C(kJ/kg・hr)が下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5) 0.0385≦A/C≦0.1600
本発明において、A/Cが、0.1600kJ/kg・hr以下の場合、蒸留タンク内の水系媒体に対しての水蒸気量が過大ではないため、タンク内部で水蒸気のショートパスが、起きたりしない。すなわち、単位水蒸気当たりの蒸留効率が低下したりしないため、このましい。また、蒸留タンク内に供給された多量の水蒸気が、一度に液化して、水系媒体中での体積減少により大きな空隙が生じることもなく、タンク内部での撹拌流れは安定し、結果として、タンク自体が振動したりせず、安定的な運転を行うことができるため好ましい。
一方、A/Cが、0.0385kJ/kg・hr以上の場合、蒸留タンク内の水系媒体に対しての水蒸気量が過小にならず、タンク内部の撹拌による水圧、及び水系媒体自体のヘッド圧と水蒸気の供給圧力とが拮抗したりしない。すなわち、蒸留タンク内部への定量的な水蒸気の供給が難しくなったりしない。その結果、一部の水系媒体が、水蒸気配管に逆流したり、蒸留の効率が低下したり、更には、水蒸気配管やバルブの閉塞を生じたりすることもなく好ましい。
本発明において、該水蒸気に不活性ガスを混合し、不活性ガスと飽和水蒸気との混合気体を該水系媒体に導入しながら蒸留操作を行うことも好ましい方法である。残留有機揮発成分は、投入した水蒸気量に比例し減少するが、上記したように一定量を超えると、単位水蒸気体積当たりの蒸留効率は、低下してしまう。そこで、あらかじめ該水蒸気に不活性ガスを混合した混合気体を投入すると、不活性ガスをキャリアーガスとして作用させることにより、水系媒体中での気化した残留有機揮発成分を効率良く除去できる。また、該水蒸気に不活性ガスを混合した混合気体の場合、水蒸気単体に比べ、蒸留タンク内部においての体積減少率が小さいため、タンク内部での撹拌流れの阻害も少なく、タンク自体の振動も少ないため好ましい。
蒸留工程は、蒸留工程が終了した時点でのトナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量が50ppm以下となるまで行うことが好ましい。
<洗浄工程、固液分離工程及び乾燥工程>
重合体粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合体粒子分散液を酸またはアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法により重合体粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
<分級工程>
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
<重合性単量体>
本発明のトナーに好適に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性のものまたは多官能性のものを使用することができる。
単官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体類;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類。
多官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独、あるいは2種以上組み合わせて、または上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。上述の単量体の中でもスチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、またはそれらとほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
<着色剤>
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系/マゼンタ系/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上、20質量部以下添加して用いられる。
着色剤を選択する上で、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。特に染料やカーボンブラックは重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。好ましくはこれらに表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。染料を表面処理する方法としては、予めこれら染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物等トナー用原料に添加する。さらにカーボンブラックについては上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えばポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
<離型剤>
本発明で用いられる離型剤としては室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点でよい。
ワックスとしては以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、及びこれらのブロック化合物。これらは低分子量成分が除去されており、示差走査熱量計によって得られる吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。OHPに定着した画像の透光性を向上させるためには特に直鎖状エステルワックスが好適に用いられる。直鎖状エステルワックスは重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部、より好ましくは4〜30質量部含有されるのがよい。
本発明においては、トナー粒子の可塑性を増し、低温領域での定着性をよくするために、融点が80℃より小さい第2の離型剤を併用することができる。第2の離型剤としては炭素数15〜100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいはモンタン系誘導体のワックスが好ましく用いられる。これらのワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものはより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明により製造されるトナーは荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが利用できる。
例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類。さらに、以下のものが挙げられる。尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩;ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、またはフェロシアン化物)、高級脂肪酸の金属塩。これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
<重合開始剤>
本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤がある。アゾ系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル。
また、有機過酸化物系開始剤を用いることもできる。有機過酸化物系開始剤としては以下のものが挙げられる。ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレート。
また、酸化性物質と還元性物質を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)の無機過酸化物、4価のセリウム塩の如き酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、エチルアミンの如き炭素数1〜6のアミン)、ヒドロキシルアミン等のアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの如き還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6)、アスコルビン酸又はその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6)。開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され単独又は混合して利用される。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部が添加される。
<架橋剤>
本発明には各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート。
<結着樹脂>
本発明のトナー粒子の製造方法で用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、などの単独重合体、又は共重合体などが挙げられる。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<外添剤>
本発明のトナー粒子の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤はトナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物の粒子;窒化ケイ素の如き窒化物の粒子;炭化物炭化ケイ素の如き炭化物の粒子;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの如き無機金属塩の粒子;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムの如き脂肪酸金属塩の粒子;カーボンブラック、シリカの粒子。
これら外添剤はトナー粒子100質量部に対し0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。外添剤は単独で用いても、また複数併用しても良いがそれぞれ疎水化処理を行ったものがより好ましい。
<磁性材料>
本発明のトナー粒子の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用でき、トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては以下のものが挙げられる。マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物。
これらの磁性体は体積平均粒径(Dv)が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものがよい。
磁性体の体積平均粒径(Dv)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体の投影面積に等しい円の相当径を求め、それをもとに体積平均粒径の算出を行う。
上記磁性体のトナー中への含有量は、重合性単量体100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、重合性単量体100質量部に対して40〜150質量部がより好ましい。
また、上記磁性体の800kA/m印加時の磁気特性が、飽和磁化(σs)50〜200Am/kg、残留磁化(σr)2〜20Am/kgのものが好ましい。磁性体の磁気特性は、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業(株)製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。
<疎水化剤>
また、トナー粒子中でのこれらの磁性体の分散性を向上させるために、磁性体の表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられる。中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤としては以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン。
本発明により製造されるトナーは、前述したように、一成分及び二成分系現像剤のいずれとしても使用できる。
一成分系現像剤として磁性体をトナー中に含有させた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用して磁性トナーを搬送したり帯電したりする方法が用いられる。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送させる方法がある。
本発明の製造方法により得られるトナーを、二成分系現像剤として用いる場合には、トナーと共にキャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガンおよびクロム原子からなる単独または複合フェライト状態で構成される。
飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点からキャリア形状も重要であり、たとえば球状、扁平、不定形を選択し、更にキャリア表面状態の微細構造たとえば表面凹凸性をもコントロールすることが好ましい。一般的には上記金属の化合物を焼成、造粒することにより、あらかじめキャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられている。
キャリアのトナーへの負荷を軽減するために、以下のような方法も利用することが可能である。
・金属化合物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法、
・直接金属化合物と重合性単量体との混練物を水系媒体中にて懸濁重合させて真球状に分散した重合キャリアを得る方法。
キャリアの粒径の測定は、シンパテック(SYNPATEC)社製で乾式分散機(ロドス<RODOS>)を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス<HELOS>)を用いてキャリアの体積基準のメジアン径として測定する。
これらキャリアの体積基準のメジアン径は10〜100μmが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
二成分系現像剤を調製する場合のキャリアと本発明におけるトナーとの混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%〜15質量%が好ましく、4質量%〜13質量%がより好ましい。トナー濃度が2質量%以上であれば画像濃度が低すぎることはなく、15質量%以下であればカブリや機内飛散を原因とする画像の劣化および現像剤の消費量増加が起こることもない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
本発明で用いた測定方法について以下に述べる。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出した。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いた。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いた。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行った。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定した。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れた。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
4)前記2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5)前記4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
6)サンプルスタンド内に設置した前記1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトで、グラフ/体積%と設定したときの「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、グラフ/個数%と設定したときの「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<難水溶性無機物の体積基準のメジアン径の測定方法>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」((株)堀場製作所製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフトを用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)イオン交換水の溶媒屈折率を1.333に設定。難水溶性無機化合物の屈折率は、試料により設定を行う。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)難水溶性金属化合物を少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)を算出する。
<残留有機揮発物の測定用サンプルの作製>
水系媒体中のトナー粒子の残留有機揮発物測定の場合は、以下の手順であらかじめ乾燥したトナーを作製する。重合スラリーまたは、蒸留スラリーを加圧ろ過機により固液分離を行う。このときのろ過条件は、以下のとおりである。
ケーキ厚み:1.0〜1.5cm
加圧エアー:4.0〜5.0kg/cm
濾紙: 桐山製作所製 ロート用濾紙 NO.5A
上記条件で固液分離後、約30分間風乾した後、45℃の恒温乾燥機で、1.0hr乾燥させ、測定トナーを作製する。
<残留有機揮発物の測定>
ヘッドスペース法によるトナーのトルエン換算の有機揮発成分量の定量は以下のようにして測定することができる。
ヘッドスペース用バイアル瓶(容積22mL)にトナー300mgを精秤し、クリンパーを用いてクリンプキャップとフッ素樹脂コーティングされた専用セプタムでシールする。このバイアルをヘッドスペースサンプラーにセットし、下記条件でガスクロマトグラム(GC)分析を行う。そして、得られたGCチャートのピークの総面積値をデータ処理により算出する。この際、トナーを封入していない空のバイアルもブランクとして同時に測定し、ブランク測定における測定値についてはトナー測定データから差し引く。
一方、バイアルの中にトルエンのみを精秤したものを数点(0.1μL、0.5μL、1.0μL)準備し、トナーサンプルの測定を行う前に下記分析条件にてそれぞれ測定を行った後、トルエンの仕込み量とトルエン面積値から検量線を作成する。
トルエン換算の有機揮発成分量は、この検量線を元にトナーの有機揮発成分の面積値をトルエンの質量に換算し、更にトナー質量を基準とした量に換算することによって得られる。
<測定装置および測定条件>
ヘッドスペースサンプラー : HEWLETT PACKARD 7694
オーブン温度 : 150℃
サンプル加熱時間 : 60分
サンプル ループ(Ni) : 1mL
ループ温度 : 170℃
トランスファーライン温度 : 190℃
加圧時間 : 0.50分
LOOP FILL TIME : 0.01分
LOOP EQ TIME : 0.06分
INJECT TIME : 1.00分
GCサイクル時間 : 80分
キャリアーガス : He
GC : HEWLETT PACKARD 6890GC(検出器:FID)
カラム: HP−1(内径0.25μm×30m)
オーブン: (1)35℃:20分ホールド、(2)20℃/分で300℃まで昇温20分ホールド
INJ: 300℃、スプリットレス、コンスタントプレッシャー(20psi)モード
DET: 320℃
<粗大粒子>
上記、コールター・カウンターによる重量平均粒径(D4)を測定したときの、12.0μm以上の粒子は、帯電性能が低いため、風力分級時にカットされる。すなわち、12.0μm以上の粒子の割合が大きいほど、生産性が低いことを意味する。
<アスペクト比>
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)により測定を行う。測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間核でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.19μm×0.19μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の長辺:短辺距離等が計測される。
アスペクト比とは、粒子像の長辺と短辺の比のことであり、次式で算出される。
アスペクト比C=短辺/長辺
粒子像が円形の時にアスペクト比は1になり、長編と短辺の差が大きくなればなるほど、また、粒子同士が合一し扁平な場合などは、特にアスペクト比は小さい値になる。各粒子のアスペクト比を算出後、得られたアスペクト比の相加平均値を算出し、その値を平均アスペクト比とする。トナー粒子のアスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、例えば以下の超音波分散器を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
・超音波分散器「VS−150」 (株)ヴェルヴォクリーア製 発振周波数50kHz、電気的出力150W 卓上型
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定し、トナー粒子のアスペクト比を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<実施例1>
下記の手順によってトナー粒子1を製造した。水系媒体と重合性単量体組成物の総量が、10000kgになるように、下記の比率で材料を調製した。
(水系媒体の調製)
イオン交換水380質量部に、NaPO:5.3質量部、10%塩酸2.1質量部を添加し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、2,500s−1にて撹拌しながら、60℃に加温した。これにイオン交換水:32質量部にCaCl:3.1質量部を溶解させた水溶液を添加し、60分間撹拌と温調を継続し、リン酸カルシウム水系媒体を調製した。このとき、生成したリン酸カルシウム水系媒体の重量平均粒径をLA920により、測定したところ、0.15μmであった。
(重合性単量体組成物の調製)
下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100s−1で溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 15.0質量部
・ポリエステル樹脂 5.0質量部
(テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10(質量比)の重縮合物、酸価11mgKOH/g、ガラス転移温度 Tg=74℃、重量平均分子量 Mw=11,000、数平均分子量 Mn=4,000)
・低分子量ポリスチレン樹脂 15.0質量部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・カーボンブラック 7.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 1.5質量部
・融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋(株)製)10.0質量部
上記混合液を温度60℃に加温した後にT.K.ホモミクサー(プライミクス工業(株)製)にて、4,000s−1にて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤・パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日油(株)製))10.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてハイシェアミキサー(IKA製)を用いて2,500s−1で30分間攪拌し、重合性単量体組成物の分散液を得た。
(重合工程)
造粒工程終了後、重合性単量体組成物の分散液を、60℃で温調を行っている、重合タンクに移送した。分散液受入後、撹拌を開始するとともに、重合性単量体組成物の分散液を70℃に昇温させた。昇温後、70℃で5時間反応させた。続いて、容器1内温度を85℃まで昇温し、更に85℃で1時間反応を行い、重合スラリーを得た。反応終了後、サンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の総量[式(1)のBに該当]の測定を行ったところ、500ppmであった。結果を表1に示す。
(蒸留工程)
重合工程終了後、重合スラリーを、図1の蒸留タンクに移送し、タンク内の撹拌を開始した。この時、タンク内部を目視観察したところ、気液界面上には、泡は全く存在していなかった。次いで、水蒸気バルブ11の開度を調整しながら、蒸留タンク内に475kg/hrの流量で水蒸気の供給を開始した。
この時、水蒸気ラインの温度計12及び圧力計13は、それぞれ、200kPaと120℃を表示していた。この水蒸気量をトナー成分1kg当たりの供給熱量に換算すると、455kJ/hr[式(2)の水蒸気の供給熱量Aに該当]となる。
タンク内の温度計7が示す温度が100℃に到達後、気化した水系媒体が、コンデンサ15にて冷却され、凝縮タンク14へ還流し始めたのが確認された。
タンク内の温度計が100℃に到達後も同条件にて、蒸留タンク中へ水蒸気の供給を継続し、昇温開始から、約2hrの時点で、凝縮タンク14内の還流した液量は、800kgであった。この時点で、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物[式(3)のBに該当]の測定を行ったところ、200ppmであった。
次いで、水蒸気バルブ11の開度を調整しながら、蒸留タンク内に1000kg/hrの流量で水蒸気の供給を開始した。
この時、水蒸気ラインの温度計12及び圧力計13は、それぞれ、200kPaと120℃を表示していた。この水蒸気量をトナー成分1kg当たりの供給熱量に換算すると、958kJ/hr[式(4)の水蒸気の供給熱量Aに該当]となる。
続いて、窒素バルブ16を徐々に開とし、窒素配管17より、蒸留タンク内に水蒸気とともに窒素ガスの供給を開始した。この時の窒素ガスの流量は、5L/分に調整した。その後、蒸留操作を3hr継続した時点で蒸留操作を終了した。
終了時、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、20ppmであった。
蒸留終了時のサンプルの粒度測定及びスペクト比の測定をコールタとFPIA3000により行った。重量平均粒径D4が6.5μm、12μm以上の粗大粒子数の割合は1.3%、アスペクト比は、0.923であった。この結果、蒸留中にトナーの合一は、ほとんど生じておらず、良好な蒸留操作であった。
蒸留中のタンク内の泡の状態は特に問題にならない程度の発泡であった。
蒸留スラリー移送後、タンク内の水蒸気バルブ内部と配管内部の目視確認を行ったが、トナーの付着は、確認されず、蒸留中の液の逆流も生じていなかった。
蒸留条件を表1、トナーの分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例2>
実施例1の蒸留中に供給した窒素ガスの供給を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例3>
実施例2の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。また、実施例2と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例4>
実施例2の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。また、実施例2と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例5>
(重合工程)
重合温度を以下のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1の重合中の温度を70℃で5時間反応させた後、昇温温度を80℃に変更し、1時間反応を行い、重合スラリーを得た。反応終了後、サンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物[式(1)のBに該当]の測定を行ったところ、700ppmであった。結果を表2に示す。
(蒸留工程)
実施例3と同様の操作を行った。また、実施例3と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例6>
実施例5の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例5と同様の操作を行った。また、実施例5と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例7>
実施例2の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。また、実施例2と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<実施例8>
実施例2の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。また、実施例2と同様、凝縮タンク14内の還流した液量が800kgの時点で、水蒸気量の変更を行った。蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<比較例1>
実施例2の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。
また、蒸留中の水蒸気量は、開始〜終了まで一定量で検討を行った。
蒸留中、タンク内部を目視確認したところ、気液界面全体完全に厚い泡でおおわれており、100℃に到達した時点で、突如、突沸が生じ、凝縮タンクが、ほぼスラリーで満たされてしまった。これ以上検討継続が困難ため、この時点で検討を中止した。蒸留条件を表1にまとめて記す。
<比較例2>
比較例1の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。蒸留終了時、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、150ppmと残留有機化合物の残存量は高く、効率良く蒸留が行われていなかったと思われる。
蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<比較例3>
重合工程までは、実施例1と同様の操作を行った。重合工程終了後、重合スラリーを、図1の蒸留タンクに移送し、タンク内の撹拌を開始した。この時、タンク内部を目視観察したところ、気液界面上には、泡は全く存在していなかった。次いで、水蒸気バルブ11の開度を調整しながら、蒸留タンク内に300kg/hrの流量で水蒸気の供給を開始した。この時、水蒸気ラインの温度計12及び圧力計13は、それぞれ、200kPaと120℃を表示していた。この水蒸気量をトナー成分1kg当たりの供給熱量に換算すると、287kJ/hr[式(2)の水蒸気の供給熱量Aに該当]となる。タンク内の温度計7が85℃に到達後、ベントライン18からタンク内部の圧力を減圧に調整し始め、最終的に絶対圧力で58kPaに調整した。
蒸留タンク内温度と圧力が、安定した時点で重合タンク内部を目視観察したところ、タンク内部が、大量のシャボンのような泡で満たされており、突沸のおそれがあるため、検討をこの時点で中止した。
<比較例4>
比較例1の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。蒸留終了時、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、117ppmと残留有機化合物の残存量は高く、効率良く蒸留が行われていなかったと思われる。
蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
<参考例1>
比較例1の蒸留中に供給した水蒸気量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。蒸留終了時、蒸留容器内部から蒸留スラリーのサンプリングを行い、トナー粒子中の残留有機揮発物の測定を行ったところ、30ppmと残留有機化合物の残存量は低かった。一方、トナー粒子のアスペクト比をFPIA3000により測定したところ、0.869と低い値であり、蒸留中に多数の粒子同士が、合一したと思われる。
蒸留条件を表1、トナー分析結果を表2にまとめて記す。
・発泡に関する評価
A:蒸留中のタンク内の泡の状態は特に問題にならない程度の発泡であった。
B:蒸留中、タンク内部を目視確認したところ、気液界面の中央部分に若干の泡の塊が確認された。
C1:蒸留中、タンク内部を目視確認したところ、気液界面全体に発泡が確認された。
C2:蒸留初期のタンク内の泡の状態は、気液界面全体が、大量のシャボンのような泡でおおわれていた。蒸留後半で目視確認したところ、泡は減少しており、特に問題にならない程度の発泡であった。
・配管へのトナーの付着などに関する評価
A:蒸留スラリー移送後、タンク内の水蒸気バルブ内部と配管内部の目視確認を行った。トナーの付着は確認されず、蒸留中の液の逆流も生じていなかった。
B:蒸留スラリー移送後、タンク内の水蒸気バルブ内部と配管内部の目視確認を行った。トナーが配管内に極軽微に付着していたが、安定した生産が困難なレベルではなかった。
C:蒸留スラリー移送後、タンク内の水蒸気バルブ内部と配管内部の目視確認を行った。トナーがバルブ及び配管内に付着しており、安定した生産が困難なレベルであった。
1:容器、2:撹拌翼、3:邪魔板、4:撹拌モーター、5:気液界面、6:温度調節用のジャケット、7:蒸留容器内温度計、8:ジャケット温度計、9:容器排出弁、10:水蒸気配管、11:水蒸気バルブ、12:水蒸気温度計、13:水蒸気圧力計、14:凝縮タンク、15:コンデンサ、16:窒素バルブ、17:窒素配管、18ベントライン

Claims (3)

  1. 重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る重合工程、及び、
    該トナー粒子の分散液に水蒸気を供給することによって、該トナー粒子の分散液から有機揮発物質を除去する蒸留工程、
    を有するトナー粒子の製造方法において、
    該蒸留工程が、大気圧下において行われ、
    該蒸留工程の開始時に該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量B(ppm)が500ppm以上であり、
    該蒸留工程の開始時の該水蒸気の供給熱量A(kJ/hr)を385kJ/hr以上525kJ/hr以下とし、
    該蒸留工程の開始後、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量Bの測定を行い、該トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量B(ppm)が200ppm以下になったことを確認した後、該水蒸気の供給熱量A(kJ/hr)を625kJ/hr以上1625kJ/hr以下に変更することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記水蒸気に不活性ガスを混合し、前記不活性ガスと水蒸気との混合気体を前記水系媒体に導入する請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記蒸留工程が終了した時点での前記トナー粒子に含まれる有機揮発成分の総量が、50ppm以下である請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
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