JP4478276B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法などを利用した記録法に用いられるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、米国特許第2,297,691号明細書等に記載されている如く、多数の方法が知られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、或いは溶剤蒸気等により定着し複写物を得る。また、トナーを用いて現像する方法、或いはトナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセスに適した方法が採用されている。
【0003】
従来、これらの目的に用いるトナーとして、一般に熱可塑性樹脂中に染料及び顔料の如き着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機により所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】
この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、即ちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。ところが、こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕した場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特に比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問題が生ずる。さらに、このように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する際、さらなる微粉砕ないしは粉化を受け易い。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、カブリの増大、画像濃度の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、分散に注意を払わなければならない。また、破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0005】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号、同43−10799号及び同51−14895号公報等による懸濁重合法によるトナーをはじめとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0006】
この方法は、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、軟質の材料を使用することができ、また、分級工程の省略をも可能にするため、エネルギーの節約、時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減効果が大きい。
【0007】
また、近年の複写機やプリンターの高画質化、フルカラー化、省エネルギー化等トナー自体の多機能化が要求されている。例えば、高画質化にともない高解像度・デジタル方式に対応するトナー粒子の微小粒径化、フルカラー化にともなうOHP画像の透明性の向上、省エネルギー化にともなう低温定着化に対応するためトナー中に低軟化点物質の含有、転写材への転写効率の向上に有効であるトナー粒子の形状化等が要求されており、これらの要求を実現する手段として重合法によるトナーが挙げられる。
【0008】
一方、重合法は、重合法トナーも含めてその反応形態は重合が進むにつれて重合反応系の粘度が上がり、ラジカル及び重合性単量体の移動が困難になるため重合体中に重合性単量体成分が多く残留しがちである。特に懸濁重合法トナーの場合には、重合性単量体系中に染料、顔料(特にカーボンブラック)、荷電制御剤及び磁性体の如き重合反応を抑制する可能性のある成分が重合性単量体以外に多量に存在するために、なおさら未反応の重合性単量体が残存しやすい。
【0009】
そして、これらトナー粒子中に重合性単量体に限らず結着樹脂に対して溶媒として働く成分が多く存在すると、トナーの流動性を低下させ画質を悪くするほか、耐ブロッキング性の低下を招く。トナーとして直接関わりあう性能のほかにも、特に感光体として有機半導体を使用した場合には感光体ドラムへのトナーの融着現象以外にもメモリーゴーストや画像のボケといった感光体の劣化現象に伴う問題点を生じることがある。こうした製品の性能に係わる事項以外にも、定着時に重合性単量体成分が揮発して悪臭を発したりするという問題点がある。
【0010】
以上のようなことを改良するために、特開平7−92736号公報の如く、トナー粒子中に存在する重合性単量体の残存量を500ppm以下に減少させることによって、画質により一層の向上効果を生み出すことが提案されている。
【0011】
さらに、複写機、プリンター等の小型化、パーソナル化に伴い、装置上の制約が増し、前述の問題点に対する負荷が増し、また、環境に対する関心も高まっており、トナー粒子中に存在する重合性単量体の残存量を100ppm以下に減少させることが好ましい。
【0012】
トナー粒子中の重合性単量体の残存量を100ppm以下にする方法としては、結着樹脂を重合法で製造する際に用いられる公知の重合性単量体消費促進手段を使用することができる。例えば、未反応の重合性単量体を除去する方法としては、トナー結着樹脂は溶解しないが重合性単量体及び/あるいは有機溶媒成分は溶解する高揮発性の有機溶媒で洗浄する方法;酸やアルカリで洗浄する方法;発泡剤や重合体を溶解しない溶媒成分を重合体系に入れ、得られるトナーを多孔化することにより内部の重合性単量体及び/あるいは有機溶媒成分の揮散面積を増やす方法;及び乾燥条件下で主合成単量体及び/あるいは有機溶媒成分を揮散させる方法があげられるが、トナーカプセル性低下によるトナー構成成分の溶出の他、その溶媒の残留性等溶媒の選択が難しいので、乾燥条件下で重合性単量体及び/あるいは有機溶媒成分を揮散させる方法が最も好ましい。
【0013】
従来より、重合反応が終了した懸濁液を固液分離した後のトナー粒子は、一般に流動層乾燥機や真空式乾燥機などを用いて乾燥させている。
【0014】
特開平4−311966号公報及び特開平8−179562号公報等に提案されている流動層乾燥機によるトナー粒子の乾燥は、熱気流との直接的な接触であるため、効率良くトナーの乾燥が行える。しかしながら、浮遊・流動した状態で粒子同士が接触するため、粒子が非常に帯電しやすく、流動室の壁面およびバグフィルター等に付着を起こし処理後に全量回収ができなくなってしまう等の問題を生ずる。
【0015】
また、特開平8−160662号公報等には、真空式乾燥装置により乾燥させる方法が提案されている。ところが、この乾燥方法は、被乾燥物を低温で乾燥できるメリットはあるが、装置内が減圧状態にあるため、気相が滞留してしまい、揮発分を拡散させる力が著しく低下するため、水分を蒸発除去した後、さらに未反応の重合性単量体の除去を行うには、非常に長い乾燥時間を要してしまう。
【0016】
また、特開平10−207122号公報には、気体を注入しながらトナー粒子を真空乾燥する方法が提案されている。しかしながら、真空下に気体が投入される場合、断熱膨張に起因する急激な温度低下が生じる為、気体が加熱等により温度コントロールされてない場合、キャリアガスとしての効果より、気体が冷却の働きをしてしまうので、乾燥効率を低下させてしまう。このために、設定加熱温度まで品温が上昇し難く、該公報の実施例に記載のごとくジャケット温度と品温に大きな差が生じてしまう。また、室温あるいは乾燥装置周辺の温度及び真空度に注入される気流温度が左右されるため、品温の制御が非常に困難なものとなってしまう。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決したトナーの製造方法を提供することにある。
【0018】
詳しくは、本発明の目的は、重合法によって得られたトナー粒子を、均一に、しかも効率よく未反応の重合性単量体を除去をするとともに、乾燥品温の制御を容易にするトナーの製造方法を提供することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、残留する重合性単量体が原因となる画像欠陥のない高画質の画像が得られるトナーの製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄・脱水し、湿潤着色重合体粒子を製造する工程;気流乾燥機を用いて該湿潤着色重合体粒子から水分を除去する工程;水分を除去した着色重合体粒子を減圧可能な乾燥機に投入し、温度制御されたガスを供給しながら減圧乾燥を行い、着色重合体粒子中に残存している重合性単量体の残存量を100ppm以下に除去することによりトナー粒子を得る工程;を有するトナーの製造方法であって、該水分を除去した着色重合体粒子は、含水率が5%以下であり、該温度制御されたガスのガス温度Aと乾燥機の加熱温度Bとの差(A−B)が、下記関係
−5℃<(A−B)<+2℃
を満たすことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
従来の重合トナーの製造方法で使用された流動層乾燥機では、浮遊・流動した状態で粒子同士が接触するため、粒子が非常に帯電しやすく、流動室の壁面およびバグフィルター等に付着を起こしてしまう。さらには流動室の壁面に付着した粒子が、塊の状態で剥離し、全体として、重合性単量体の除去が不均一なものになってしまったり、処理後に全量回収ができなくなってしまう等の問題を生じていた。また、塊状で剥離したものが、ダマ発生の源となりそのために、後工程でトナーに外添を行なう際、トナー表面に外添剤が均一に付着しないため、現像剤としての性能に問題を生じていた。
【0022】
また、減圧乾燥機を用いた場合、先に述べた通り、装置内が減圧状態にあるため、気相が滞留してしまい、揮発分を拡散させる力が著しく低下するため、水分を蒸発除去した後、さらに未反応の重合性単量体の除去を行うには、非常に長い乾燥時間を要するという問題が生じていた。
【0023】
また、この問題を解決する為に、キャリアガスを装置内に送り込んだとしても、ガスが加温等により温度コントロールされていないと、断熱膨張に起因する急激な温度低下を起こしたガスを送り込むこととなるので、加熱源から供給される熱を奪う結果となり、乾燥効率が非常に低下してしまう。
【0024】
また、キャリアガスを投入しない場合、つまり加熱面からの伝熱が主な場合、加熱面と材料品温の温度差が小さくなるほど熱転移量は小さくなるものの、最終的には加熱温度近くまで品温は上昇するものである。しかしながら、ガスが温度コントロールされていないと、設定加熱温度近くまで品温が上昇し難く、品温と加熱温度に大きな差が生じてしまう。また、室温あるいは乾燥装置周辺の温度及び真空度に注入されるガス温度が左右されるため、品温の制御が非常に困難なものとなってしまう等の問題を生じていた。
【0025】
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄・脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を、減圧可能な乾燥機に投入し、温度制御されたガス、好ましくは、ガス温度Aと乾燥機の加熱温度Bとの差(A−B)が−10℃<(A−B)<+5℃、さらに好ましくは−5℃<(A−B)<+2℃の条件を満たすように、温度制御(殆どの場合、ジャケット温度は常温より高いため、加熱による温度制御である。)されたガスを供給しながら減圧乾燥を行うことにより、送り込まれるガスから被乾燥物への熱伝達も生じ、ジャケットからの間接加熱とガスからの直接加熱を兼ねる形(ガス供給量が増すと更に顕著な効果となる。)となるために、非常に効率よく水系分散媒体を実質的に除去し、さらに着色重合体粒子中に残存している重合性単量体の残存量を100ppm以下に除去することができることを見い出した。
【0026】
また、併せて殆どの場合、加熱温度とほぼ同じ温度に品温を高めることができることから、容易に品温を制御できることを見い出した。
【0027】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0028】
本発明のトナー製造法においては、重合性単量体組成物を重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄・脱水し、得られた着色重合体粒子を乾燥原料として用いるが、水分蒸発時の蒸気圧による減圧度の低下を避ける為、また水分除去の時間を省略し、減圧乾燥の時間を短縮する為に、瞬間的に水分を除去できる気流乾燥機等を用いて予め含水率を5%以下まで減少させておいても良い。
【0029】
ここでいう含水率とは、質量基準含水率、すなわち、全質量(乾燥トナー質量と水分質量との和)に対する水分質量の比率をいい、105℃における加熱減量法によって求めた。
【0030】
本発明に用いられる減圧式乾燥機は、外部に加熱源が存在する伝熱タイプで真空(=減圧)状態で着色重合体を乾燥できる装置であれば、特に制限なく用いることが可能であるが、例えば、図1に示すような態様の減圧式乾燥システムであれば好ましい。
【0031】
図1に示す減圧式乾燥システムは、まず乾燥機本体1に試料を投入し、装置を覆うように取り付けられたジャケット4の内部に、温水及びスチーム等の加熱源を流し、伝熱により内部の試料の加熱を行う。
【0032】
この際、試料全体を効率よく伝熱させる為に、撹拌翼5により試料を撹拌する。
【0033】
また、試料が加熱によるダメージを受けない為に、減圧ポンプ8により、乾燥機内を減圧するので、揮発分の沸点が下がり、低温での乾燥が可能となる。
【0034】
更には、減圧状態に起因する揮発分の滞留を防ぐ為、ガス発生装置10でつくられたガスをキャリアガスとして装置内に送り込むが、温度計3、12でそれぞれガス温度、ジャケット内温度を測定し、制御装置15で検知し、同時に、設定加熱温度とガス温度に差異が生じないように、ガス温度調節計9を制御するので、効率を落さず乾燥することが可能である。
【0035】
ここでいう「ガス温度」とは、減圧状態の容器に入る直前あるいは入った後の減圧されたガスの温度のことを指し、入る直前あるいは容器上部気相部または排気配管中で測定を行うのが好ましいが、測定位置はその限りではない。
【0036】
また、機内圧力計14及びガス流量計17の値を、制御装置16で検知し、同時に、キャリアガス・揮発分蒸気圧による機内圧力の過上昇及び減圧ラインに取り付けられたバグフィルターの圧力損失の上昇を防ぐ為に、ガス流量調節計13でガス流量の制御を行うことで、安全にしかも効率よく乾燥を行うことが可能である。
【0037】
本発明に好ましく用いられる減圧式乾燥機として、具体的にはナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、SVミキサー(神鋼パンテック社製)などが挙げられる。
【0038】
本発明に用いられるガスとしては、ジャケット温度近くまで加熱することを考慮すると窒素・アルゴン・空気等の不燃性のガスであることが好ましい。
【0039】
また、本発明におけるガスの加熱手段としては、バーナーによる加熱・スチームヒーターによる加熱等が挙げられるが、特に制限はない。しかしながら、設定加熱温度との差異が生じないよう供給するガス温度Aと、加熱する加熱温度Bを検知し、該A,Bが下記条件
−10℃<(A−B)<+5℃
好ましくは、−5℃<(A−B)<+2℃
を満たすように、図1のごとくシステムとして制御されていればより好ましい。
【0040】
また、本発明において図1に示すような減圧乾燥機が好ましく用いられた場合、ガスの供給位置は、特に制限されるものではなく、装置底部・装置側面・装置上部または、撹拌翼からの供給いずれでも構わない。
【0041】
本発明における加熱方式としては、特に制限されるものではないが、容器周囲に取り付けられたジャケットタイプの缶体を取付け、内部に温水・スチーム等の熱源を通し、その熱源からの伝熱により内部を加熱する間接加熱方式であればより好ましい。
【0042】
また、加熱温度とは、熱源の温度であり、ジャケットを有するものであれば、内部を通る熱源の温度であり、被乾燥物の凝集・融着等の性能の低下を防ぐ為に、50℃以下、好ましくは40℃以下であることが好ましい。
また、乾燥機内の圧力は、乾燥効率を低下させない為に、13kPa以下を保持することが好ましく、被乾燥物の揮発分による蒸気圧が生じる場合は、ガス供給量を低下或いは、供給を停止することが好ましい。またガス供給量と機内圧力を図1のごとく検知し、乾燥機内圧力が、13kPa以下になるように、ガス供給量を、システムとして制御できればより好ましい。
【0043】
次に、本発明によって得られるトナーは、高画質化のためより微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーもより微小粒径の、具体的にはコールターカウンターにより測定された質量平均径が3〜10μmのトナーが好ましい。質量平均径が3μm未満のトナーにおいては、凝集力が強くなり過ぎる為、流動性が低下し、乾燥効率が落ちるだけでなく、均一に未反応の重合性単量体を減少させることができなくなる。また、転写効率の悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリや転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となる。一方、トナーの質量平均径が10μmを超える場合には、部材への融着が起きやすくなり、結果として画像特性を低下させてしまう。
【0044】
次に、本発明の製造方法においては、原料として、重合性単量体を重合させてなる重合トナーを用いる。
【0045】
本発明においては、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
【0046】
上記重合トナーに使用できる重合性単量体としては、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のビニル系単量体が好ましく用いられる。また、必要に応じて2種以上組み合わせて好ましく使われる場合もある。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0047】
本発明によるトナーにおいては、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起きフルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0048】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0049】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0050】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0051】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0052】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0053】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し40〜150質量部添加して用いられる。
【0054】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0055】
本発明に係る重合トナーに使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0056】
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0057】
本発明に係る重合トナーにおいて、特に分散剤を用いた懸濁重合を利用する場合用いる分散剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,ポリアクリル酸及びその塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。これら安定化剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。
【0058】
これら安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成させても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合すると良い。
【0059】
また、これら安定化剤の微細な分散の為に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進する為のものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0060】
本発明のトナー製造方法においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。
【0061】
即ち、重合性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはクレアミックス、ホモミキサー、ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度,時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、本発明の乾燥方法によって乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0062】
本発明のトナーの水分率の測定は、MA40電子水分計(ザルトリウス社製)で105℃における加熱減量法によって求めた。
【0063】
トナー粒子中に残存する重合性単量体及び有機溶媒の残存量の定量は、トナー0.3gをアセトン10gに溶解したものを用い、30分間超音振とう機にかけた後、1日放置し、次に0.5μmのフィルターで濾過したものを用い、それぞれガスクロマトグラフィーにて以下の条件で絶対検量線法により測定した。
【0064】
G.C.条件
測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890series
キャピラリカラム:(25m×0.2mm,HP−INNOWAX,膜厚:0.4μm)
検出器:FID He流量25ml/min
インジェクション温度:200℃
ディテクター温度:250℃
カラム温度:50℃から10℃/minの割合で15分間昇温
打ち込み試料量:2μl
【0065】
また、トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
【0066】
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、質量平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続して電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
【0067】
測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。
【0068】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0070】
尚、乾燥機の容量は、熱源による加熱可能な伝面までの容積である。
【0071】
<参考例1>
イオン交換水710質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0072】
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 170質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・C.I.ピグメントレッド122 10質量部
・飽和ポリエステル 20質量部
・サリチル酸金属化合物 3質量部
・エステルワックス 25質量部
上記処方のうち、C.I.ピグメントレッド122、サリチル酸金属化合物とスチレン単量体100質量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に上記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0073】
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を80℃に昇温させ50回転/分で重合を10時間継続させた。次いで、内温80℃,装置内圧力47.3kPaの条件下で4hr蒸留を行った。蒸留終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗、次いで解砕を行い、含水率20%,質量平均径7.2μmの湿潤着色重合体粒子を得た。
【0074】
この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は650ppmであった。
【0075】
この得られた湿潤着色重合体粒子30kgを容量100リットルの図1に記載の減圧乾燥システムを用いて乾燥を行った。
【0076】
乾燥条件としては、ジャケット温度45℃、ガスは窒素を用い、図1に示すように、ジャケット内温度・窒素温度をそれぞれ検知し、窒素温度が38℃になるように温度制御しながら600L/hrの流量で装置内に送り込んだ。
【0077】
乾燥を開始して約3.5hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5時間後には、品温はジャケット内温度とほぼ同等の45.2℃であった。
【0078】
また、乾燥機内圧は、最高で5kPaまで達し、約1hr以降は2kPaであった。機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがなかったので、流量は600L/hrのままであった。
【0079】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、70ppmであった。この得られたトナー100質量部に対し、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ1.5質量部を外添して現像剤とした。
【0080】
この現像剤を用いて、キヤノン製カラーレーザージェットプリンター カラーレーザーショット−2030改造機を用いて23℃/65%RHの環境下で画出し試験を行ったところ、5,000枚耐久においても、初期と耐久後の画像濃度に変化がなく、中抜けのない高画質の画が得られた。また、有機半導体である感光体に、トナー融着やメモリーゴーストのような問題を生じなかった。さらに両面画像を形成させたが、転写材の表裏面共にオフセットの発生は認められなかった。また、OHPシートヘの画像形成を行ったところ、透明性の良好な画像が得られた。
【0081】
また、30℃/80%RHの環境下で同様な画出し試験を行ったところ、同様な結果が得られた。
【0082】
<参考例2>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子を、送り込む窒素温度が45℃に制御される以外は、参考例1と同システム・同条件下で減圧乾燥を行った。また、乾燥機内圧は、最高で5kPaまで達し、約1.0hr以降は2kPaであった。機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがなかったので、流量は参考例1と同様のままであった。
【0083】
乾燥を開始して約3.0hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温は、ジャケット内温度とほぼ同等の45.6℃であった。
【0084】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、40ppmであった。この得られたトナーを、以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し評価を行ったところ、参考例1と同様の画出し結果が得られた。
【0085】
<参考例3>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子を、送り込む窒素流量が1200L/hrである以外は、参考例2と同システム・同条件下で真空乾燥を行った。
【0086】
乾燥を開始して約2.5hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温は、ジャケット内温度とほぼ同等の45.8℃であった。
【0087】
また、乾燥機内圧は、最高で6.2kPaまで達し、約0.6hr以降は2.26kPaであった。機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがないので、流量は1200L/hrのままであった。
【0088】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、20ppmであった。
【0089】
この得られたトナーを、以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し評価を行ったところ、参考例1と同様の画出し結果が得られた。
【0090】
<実施例1>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子を予備的な乾燥として連続瞬間乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4:セイシン企業社製)を用いて乾燥を行った。
【0091】
乾燥条件としては、80℃の空気を420m3/hrで吹き込み、着色重合体粒子を10kg/hrで連続的に供給した。
【0092】
この時点で、含水率は0.2%、トナー粒子に残留している重合性単量体の量は635ppmであった。
【0093】
この得られた湿潤着色重合体粒子30kgを、参考例2と同システム・同条件下で真空乾燥を行った。
【0094】
乾燥機内圧は、乾燥開始して間もなく2.0kPaになり、乾燥終了まで同機内圧を維持した。
【0095】
また、機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがないので、流量は600L/hrのままであった。
【0096】
また、乾燥を開始して約1.8hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温はジャケット内温度とほぼ同等の46.0℃であった。
【0097】
この時点で、トナー粒子に残留している重合性単量体の量は、20ppmであった。
【0098】
この得られたトナーを、以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し評価を行ったところ、参考例1と同様の画出し結果が得られた。
【0099】
<参考例4>
解砕までは、参考例2と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子約15kgを、容量50リットルのリボコーン減圧乾燥機(RD−50型:大川原製作所製)に投入し、図1で用いたシステムを適用して乾燥を行った。
【0100】
乾燥条件としては、ジャケット内温度45℃、ガスは窒素を用い、図2に示すように、温度・窒素温度をそれぞれ検知し、窒素温度が45℃になるように温度制御しながら300L/hrの流量で装置内に送り込んだ。
【0101】
乾燥を開始して約2.7hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温は、ジャケット内温度とほぼ同等の45.4℃であった。
【0102】
乾燥機内圧は、最高で5.5kPaに達し、0.8hr以降は2.0kPaであった。
【0103】
機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがないので、流量は300L/hrのままであった。
【0104】
また、この時点で、トナー粒子に残留している重合性単量体の量は40ppmであった。
【0105】
この得られたトナーを、以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し評価を行ったところ、参考例1と同様の画出し結果が得られた。
【0106】
<参考例5>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子を、送り込む窒素流量が、6000L/hrである以外は、参考例2と同システム・同条件下で真空乾燥を行った。
【0107】
乾燥を開始して約2.0hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温は、ジャケット内温度とほぼ同等の46.0℃であった。
【0108】
また、機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行い、乾燥を開始して間もなく機内圧が13kPaを超える勢いだったが、流量を制御することで、13kPa以内に抑えることができた。また、約0.5hr以降は約6.5kPaで落ち着き、窒素供給量は6000L/hrを維持した。
【0109】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は35ppmであった。
【0110】
この得られたトナーを、以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し評価を行ったところ、参考例1と同様の画出し結果が得られた。
【0111】
<比較例1>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子約40kgを、流動層乾燥機(FBS−5型:大川原製作所社製)を用いて乾燥を行った。
【0112】
乾燥条件として、50℃の空気を線速度0.4m/秒で吹き込み、4hr乾燥を行った。乾燥後に品温を測定したところ47℃で、含水率を測定したところ、0.1%であった。また、トナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、120ppmであったが、トナー凝集によるダマの発生があった。
【0113】
また、乾燥機内壁部には、トナーの付着層がみられた。このトナーの付着層を取り出し含水率を測定したところ、0.1%であったが、トナー粒子に含有している残留している重合性単量体の含有率は、280ppmであった。
【0114】
得られたトナーを以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し試験を行ったところ、1,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、30℃/80%RHの環境下4,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
【0115】
<比較例2>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子約30kgを、窒素を全く送り込まず、ガス流量と温度を制御することが無い以外は、参考例1と同装置(同システム)・同条件下で真空乾燥を行った。
【0116】
乾燥機内圧は、最高で3.5kPaに達し、約2hr以降は1.86kPaであった。
【0117】
乾燥を開始して約3hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温はジャケット内温度とほぼ同等の45.0℃であった。
【0118】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、290ppmであった。得られたトナーを以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し試験を行ったところ、2,000枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、30℃/80%RHの環境下4,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
【0119】
<比較例3>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子約30kgを、窒素を加熱せず、常温(=室温20℃)のまま乾燥機内に送り込む以外は、参考例1と同システム・同条件下で減圧乾燥を行った。
【0120】
乾燥終了の5hr後の時点でも品温は、ジャケット内温度45℃に程遠く33℃であった。
【0121】
乾燥機内圧は、最高で4.0kPaに達し、2.0hr以降は2.0kPaであった。
【0122】
機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがないので、流量は600L/hrのままであった。
【0123】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、250ppmであった。得られたトナーを以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し試験を行ったところ、3,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、30℃/80%RHの環境下5,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
【0124】
<比較例4>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子約30kgを、窒素を加熱せず、常温(=室温20℃)のまま乾燥機内に送り込む以外は、参考例3と同システム・同条件下で減圧乾燥を行った。
【0125】
乾燥機内圧は、最高で5.4kPaに達し、約2.5hr以降は2.26kPaであった。
【0126】
機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがないので、流量は1200L/hrのままであった。
【0127】
また、乾燥終了の5hr後の時点でも品温は、ジャケット内温度45℃に程遠く31℃であった。
【0128】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、270ppmであった。得られたトナーを以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し試験を行ったところ、3,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、30℃/80%RHの環境下5,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
【0129】
<比較例5>
解砕までは、参考例1と同様にして得られた湿潤着色重合体粒子を、送り込む窒素温度が、60℃に制御される以外は、参考例2と同システム・同条件下で減圧乾燥を行った。
【0130】
また、乾燥機内圧は、最高で5kPaまで達し、約1.0hr以降は2.2kPaであった。機内圧と窒素流量を同時に検知しながら運転を行ったが、機内圧が13kPaを超えることがなかったので、流量は参考例2と同様のままであった。
【0131】
乾燥を開始して約2.0hrで乾燥品温は45℃に達し、乾燥終了の5hr後には、品温は52℃であった。
【0132】
また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、20ppmであったが、乾燥品にはダマが多数存在した。
【0133】
得られたトナーを以下参考例1と同様の操作を行い現像剤とした。さらに、参考例1と同様の画出し試験を行ったところ、1,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、30℃/80%RHの環境下4,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
【0134】
以下に実施例・参考例・比較例で行った乾燥条件および結果をまとめる。
【0135】
【表1】
【0136】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、重合法によって得られたトナー粒子を、水系分散媒体及びトナー粒子に残存する未反応の重合性単量体を均一にしかも短時間で除去を行い、さらに乾燥品温をジャケット内温度(=加熱温度)とほぼ同等の温度まで上昇させることから、品温のコントロールも容易に行うことが可能であるトナーの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる被乾燥物を温度コントロールされたガスを送り込みながら減圧状態で乾燥する装置のシステムの一例を示す概略的図である。
【符号の説明】
1 乾燥機本体
2 温度計(品温測定用)
3 温度計(ガス温度測定用)
4 ジャケット
5 撹拌機
6 バグフィルター
7 コンデンサー
8 減圧ポンプ
9 ガス温度調節計
10 ガス発生装置
11 試料排出口
12 温度計{ジャケット内部温度(=加熱温度)測定用}
13 ガス流量調節計
14 機内圧力計
15 ジャケット温度・ガス温度検知及び制御装置
16 機内圧力・ガス流量検知及び制御装置
17 ガス流量計
Claims (2)
- 少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄・脱水し、湿潤着色重合体粒子を製造する工程;
気流乾燥機を用いて該湿潤着色重合体粒子から水分を除去する工程;
水分を除去した着色重合体粒子を減圧可能な乾燥機に投入し、温度制御されたガスを供給しながら減圧乾燥を行い、着色重合体粒子中に残存している重合性単量体の残存量を100ppm以下に除去することによりトナー粒子を得る工程;を有するトナーの製造方法であって、
該水分を除去した着色重合体粒子は、含水率が5%以下であり、
該温度制御されたガスのガス温度Aと乾燥機の加熱温度Bとの差(A−B)が、下記関係
−5℃<(A−B)<+2℃
を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。 - 該減圧乾燥を、乾燥機内圧力を13kPa以下に保持する量で、ガスを供給して行うことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
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