JP3870007B2 - トナーの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜像を顕像化する方法やトナージェット方式記録方法に用いられるトナーの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は米国特許第2,297,691号明細書等に記載されているが如く、多数の方法が知られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、或いは溶剤蒸気等により定着し複写物を得る。また、トナーを用いて現像する方法、或いはトナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセスに適した方法が採用されている。
【0003】
従来、これらの目的に用いるトナーとして、一般に熱可塑性樹脂中に染料及び顔料の如き着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置及び分級機により所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】
この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、即ちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。ところが、こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕した場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特に比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問題が生ずる。さらに、このように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する際、さらなる微粉砕ないしは粉化を受け易い。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、カブリの増大、画像濃度の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、分散に注意を払わなければならない。また、破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0005】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号、同43−10799号及び同51−14895号公報等による懸濁重合法によるトナーをはじめとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0006】
この方法は、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、軟質の材料を使用することができ、また、分級工程の省略をも可能にするため、エネルギーの節約、時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減効果が大きい。
【0007】
また、近年の複写機やプリンターの高画質化、フルカラー化、省エネルギー化等トナー自体の多機能化が要求されている。例えば、高画質化にともない高解像度・デジタル方式に対応するトナー粒子の微小粒径化、フルカラー化にともなうOHP画像の透明性の向上、省エネルギー化にともなう低温定着化に対応するため、トナー中に低軟化点物質の含有、転写材への転写効率の向上に有効であるトナー粒子の形状化等が要求されており、これらの要求を実現する手段として重合法によるトナーが挙げられる。
【0008】
一方、重合法は、重合法トナーも含めてその反応形態は重合が進むにつれて重合反応系の粘度が上がり、ラジカル及び重合性単量体の移動が困難になるため重合体中に重合性単量体成分が多く残留しがちである。特に懸濁重合法トナーの場合には、重合性単量体系中に染料、顔料(特にカーボンブラック)、荷電制御剤及び磁性体の如き重合反応を抑制する可能性のある成分が重合性単量体以外に多量に存在するために、なおさら未反応の重合性単量体が残存しやすい。また、重合反応を阻害する可能性のある成分が多量に存在すると、重合開始剤の一部が通常の反応をせずに自己分解等を起こして重合開始剤の分解物として単独に存在しやすい。更にまた、重合反応を阻害する可能性のある成分が多量に存在すると、重合性単量体の一部が通常の反応をせずに酸化を起こし重合性単量体の酸化物を生成しやすい。勿論、トナー粒子の加熱処理が不十分であるとトナー粒子中に水等の分散媒が残留することは言うまでもない。
【0009】
トナー粒子中にこれら未反応の重合性単量体、重合開始剤の分解物、重合単量体の酸化物、分散媒等の揮発性物質が多く存在すると、トナーの流動性を低下させ画質を悪くするほか、耐ブロッキング性の低下を招く場合が多い。また、トナーとして直接関わり合う性能のほかにも、特に感光体として有機半導体を使用した場合には、感光体ドラムへのトナーの融着現象以外にもメモリーゴーストや画像のボケといった感光体の劣化現象に伴う問題点を生じることがある。こうした製品の性能に係わる事項以外にも、定着時に重合性単量体成分が揮発して悪臭を発したりするという問題点がある。
【0010】
以上のようなことを改良するために、特開平7−92736号公報の如く、トナー粒子中に存在する重合性単量体の残存量を500ppm以下に減少させることによって、画質により一層の向上効果を生み出すことが提案されている。
【0011】
トナー粒子中の揮発生物質の残存量を更に微少となるように減少させる方法としては、結着樹脂を重合法で製造する際に用いられる公知の重合性単量体消費促進手段を使用することができる。例えば、トナー結着樹脂は溶解しないが揮発生物質は溶解する高揮発性の有機溶媒で洗浄する方法;酸やアルカリで洗浄する方法;発泡剤や重合体を溶解しない溶媒成分を重合体系に入れ、得られるトナーを多孔化することにより内部の揮発生物質の揮散面積をふやす方法;及び公知の加熱処理手段にて揮発生物質を揮散させる方法があげられるが、トナーカプセル性低下によるトナー構成成分の溶出、その溶媒の残留性等溶媒の選択が難しいので、加熱処理手段にて揮発性物質を揮散させる方法が最も好ましい。なおここで、乾燥という字句を用いずに加熱処理という字句を用いるのは、乾燥という字句の意味が水分除去に限定される場合が多いからで、ここでは水も含めた全ての揮発成分の除去を加熱処理と呼ぶ。
【0012】
従来より重合反応が終了した懸濁液を固液分離した後のトナー粒子は、一般に、流動層乾燥機、真空式乾燥機などを用いて乾燥または加熱処理されている。
【0013】
特開平4−311966号公報や特開平8−179562号公報等に提案されている流動層乾燥機によるトナー粒子の加熱処理は、熱気流との直接的な接触である為、効率良くトナーの加熱処理が行える。しかしながら、浮遊・流動した状態で粒子同士が接触する為、粒子が非常に帯電しやすく、流動室の壁面およびバグフィルター等に付着を起こし処理後に全量回収ができなくなってしまう等の問題を生ずる。
【0014】
また、特開平8−160662号公報等には、スクリュー撹拌翼付きの真空式乾燥装置により乾燥させる方法が提案されている。
【0015】
この乾燥方法は、伝熱面との接触により、被乾燥物を加熱する方式で、スクリュー状撹拌翼により、伝熱面と接触する被乾燥物を常に更新することで、層全体の乾燥物を効率よく加熱及び乾燥を行う方式である。
【0016】
しかしながら、層内壁面と撹拌翼の間にはどうしてもある程度のクリアランスが必要であり、更に、被乾燥物である湿潤着色重合体粒子は粒径が非常に小さい為、付着及び凝集が非常に起こりやすい為、壁面への湿潤着色重合体粒子の付着及び堆積がおのずと生じてしまうものであった。
【0017】
この為に、この乾燥方式の生命線である伝熱面との接触、或いは伝熱面に接触する粒子の更新が著しく妨げられ、また、付着及び堆積粒子が集中して加熱され、結果として乾燥効率の低下及び乾燥むら及び品質の劣化が起こるという問題が生じていた。
【0018】
また、この乾燥方法は被乾燥物を低温で乾燥できるメリットはあるが、装置内が減圧状態にある為、気相が滞留してしまい、揮発分を拡散させる力が著しく低下する為、水分を蒸発除去した後、更に未反応の重合性単量体の除去を行うには、非常に長い乾燥時間を要してしまうという問題も同時に伴っていた。
【0019】
また、特開平10−207122号公報や特開平11−295927号公報には、気体を注入しながらトナー粒子を減圧加熱処理する方法が提案されている。
【0020】
この方法では、気体を投入することで、気相の滞留を抑制し、揮発分を拡散させる力は向上させるが、先に述べた壁面への被処理物の付着及び堆積という問題は残されたままであった。
【0021】
【発明を解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決したトナーの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0022】
詳しくは、本発明の目的は、重合法によって得られたトナー粒子を、効率よく、むらなく、品質の劣化なく、しかも高収率で、水系分散媒体や未反応の重合性単量体等の揮発性物質を除去することを特徴とするトナーの製造方法を提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、上述したトナーを製造するべく製造装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を、
逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に該軸と一体として動く撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に付着抑止機能を備えた付着抑止部材が壁面に沿って該撹拌部材と一体として動くように備え付けられており、該付着抑止部材が容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有する容器において、
容器内を減圧すること及び蒸気を壁面に吹き付けながら減圧下で加熱処理を行い、着色重合体粒子中に残存している揮発性物質を除去することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0025】
また、本発明は、トナー粒子に含まれる揮発性物質を少なくとも除するための逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に該軸と一体として動く撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に付着抑止機能を有した付着抑止部材が壁面に沿って該撹拌部材と一体として動くように備え付けられており、該付着抑止部材が容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有しており、更に容器内を減圧すること及び容器を加熱することが可能であることを特徴とするトナー粒子の製造装置に関する。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意検討の結果、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を、逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有した付着抑止機能を備えた付着抑止部材が壁面に沿って備え付けられており、該付着抑止部材が容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付けながら、或いは、同時に逆円錐状の容器下方から吹き上げる気体及び/又は蒸気を供給しながら減圧下で加熱処理を行うことで、壁面付近の粒子を(常時)効率よく更新させ、総括伝熱係数を増やしてやることで、着色重合体粒子中に残存している揮発性物質を非常に短時間でむらなく除去することが可能であることを見出した。
【0027】
また、運転時ならびに排出時の付着及び堆積を抑制し、集中的に熱を受けることに起因する融着等を防ぐことで、品質劣化の無いトナーを高収率で得ることができることを見出した。
【0028】
また、上述した気体及び/又は蒸気を、気体及び/又は蒸気温度Aと容器加熱温度Bの差(A−B)が−10℃<(A−B)<+5℃となるように温度制御をかけることで、気体及び/又は蒸気との直接的な接触による加熱も加味され、更に効率よく着色重合体粒子中に残存している揮発性物質を除去することが可能であることを見出した。
【0029】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0030】
本発明のトナー製造法においては、着色重合体粒子を加熱処理原料として用いるが、水分蒸発時の蒸気圧による減圧度の低下をさける為、また水分除去の時間を省略し、減圧乾燥の時間を短縮する為に、瞬間的に水分を除去できる気流乾燥機等を用いて予め含水率を5%以下まで減少させておいても良い。
【0031】
ここでいう含水率とは、質量基準含水率、すなわち、全質量(乾燥トナー質量と水分質量との和)に対する水分質量の比率をいい、105℃における加熱減量法によって求めた。
【0032】
また、ここでいう「付着抑止部材から容器内周壁に向けて吹き付ける気体及び/又は蒸気」とは、容器内周壁へのトナー粒子の付着を抑止することを目的とすると同時に、トナー粒子から揮発した揮発性物質が容器内気相部に滞留し系外へ排出されないことを防ぐことを目的とする。「逆円錐状容器下方から吹き上げる気体及び/又は蒸気」とは、容器下方へのトナー粒子の堆積を抑止することを目的とすると同時に、トナー粒子から揮発した揮発性物質が容器内気相部に滞留し系外へ排出されないことを防ぐことを目的とする。「付着抑止部材から容器内周壁に向けて吹き付ける気体及び/又は蒸気と逆円錐状容器下方から吹き上げる気体及び/又は蒸気」とは、同じ気体及び/又は蒸気でも、異なる気体及び/又は蒸気であっても構わない。
【0033】
本発明に用いられる粉粒体用加熱処理装置は、逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有した付着抑止機能を備えた付着抑止部材が壁面に沿って備え付けられており、外部に加熱源が存在する伝熱タイプで減圧状態で着色重合体を加熱処理できる装置であれば、特に制限なく用いることが可能であるが、例えば、図1に示すような態様の粉粒体用加熱処理装置であれば好ましい。
【0034】
図1に示す粉粒体用加熱処理装置は、まず加熱処理装置本体1に試料を投入し、装置を覆うように取り付けられたジャケット4の内部に、温水及びスチーム等の加熱源を流し、伝熱により内部の試料の加熱を行う。
【0035】
また、容器縦向き中心方向aに付設された駆動可能な軸の周囲に撹拌部材2が設けられ、容器内のトナー粒子が流動化し、加熱処理効率の上昇に寄与する。撹拌部材2はその翼形状と回転数により撹拌能力が大きく異なり、一般に翼面積が小さい撹拌翼は撹拌能力が小さいものの被処理物に対するダメージが小さく、翼面積が大きい撹拌翼は撹拌能力が大きいものの被処理物に対するダメージも大きくなり融着などを生じやすくなるので、撹拌翼形状と回転数は被処理物の機械的強度に則して選定すべきである。翼面積が小さい撹拌翼の一例としてパイプを組み合わせただけの撹拌部材2を図2に示す。翼面積が中位の撹拌翼の一例として1条螺旋構造を持つ撹拌部材2を図3に示す。翼面積が大きい撹拌翼の一例として2条螺旋構造を持つ撹拌部材2を図4に示す。また、撹拌翼が螺旋構造を持つ場合、被処理物の密度や、圧密しやすさ等を考慮して部分的に螺旋の条数を変えることも可能である。図5は下部を2重螺旋、上部を1重螺旋として容器下部のみ撹拌能力を強化した撹拌部材2である。なお、螺旋翼としては、連続したリボン形状のリボコーン(大川原製作所社製)や、リボンが断続したPVミキサー(神鋼パンテック社製)等がある。
【0036】
また、撹拌部材2の周囲には、気体及び/又は蒸気吹出し用の開口部9(開口部の形状としては、スリット状・ホール状等が挙げられるがこれに限るものではない)を持つ付着抑止部材3が壁面に沿って備え付けられており、装置外部から撹拌部材2及び付着抑止部材3内を通り開口部9まで設けられた気体及び/又は蒸気流入経路を利用し、気体及び/又は蒸気を壁面に吹き付けることでトナー粒子が壁面に付着及び堆積することが抑止される。付着抑止部材3は、撹拌部材2に脱着可能に取り付けられていることが好ましく、複数個取り付けられていても構わない。
【0037】
気体及び/又は蒸気は、気体及び/又は蒸気発生装置10で作られ装置内に送り込まれるが、被加熱処理物であるトナー粒子の品温低下を防ぐ目的で気体及び/又は蒸気加熱装置11でジャケット4温度近傍に加熱することが望ましい。該加熱気体及び/又は蒸気の温度は設定加熱温度と差異が生じないように、気体及び/又は蒸気温度調節計12にて温度制御されることが望ましい。また、安定した加熱処理を行うためには容器内の減圧度を制御することが好ましく、容器内の減圧度の制御を容易にするには気体及び/又は蒸気流入量を制御することが好ましく、気体及び/又は蒸気流量制御装置13を設けることが望ましい。
【0038】
試料が加熱によるダメージを受けなくするには、加熱処理装置内を減圧とし揮発分の沸点を下げ低温での加熱処理が可能とする必要がある。加熱処理装置内は減圧ポンプ8により減圧するが、加熱処理装置本体2と減圧ポンプ8との間には、被処理物であるトナー粒子を捕捉するバグフィルター6や揮発性物質を凝縮除去するコンデンサー7を設けることが好ましい。トナー粒子や揮発性物質を分離せずに減圧ポンプ8に送ると、減圧ポンプ8を損傷したり、減圧ポンプ8の排気口が大気開放である場合は大気を汚染する可能性がある。
【0039】
本発明に用いられる気体及び/又は蒸気としては、特に制限されず何でも用いることができるが、容器加熱温度近くまで加熱することを考慮すると不燃性の気体、例えば窒素・アルゴン・空気等であることが好ましい。また、減圧ポンプ8の負荷を軽減させる観点からは、コンデンサー7で分離可能、即ち凝縮性を持つ蒸気が好ましい。蒸気としては水蒸気、アルコール蒸気、ヨウ素蒸気等があるが、経済性の観点からは水蒸気が好ましい。これらの気体及び/又は蒸気は単独でも良いが湿潤空気のように混合しても使用できる。
【0040】
また、気体及び/又は蒸気の加熱手段としては、バーナーによる加熱・スチームによる加熱・電熱ヒーターによる加熱等が挙げられるが、特に制限はない。しかしながら、設定加熱温度との差異が生じないように、また、気体及び/又は蒸気温度Aと、加熱する容器加熱温度Bが、−10℃<(A−B)<+5℃、更には、−5℃<(A−B)<+2℃の範囲を満たすように温度制御されていることが好ましい。
【0041】
気体及び/又は蒸気の流量は、設置された気体及び/又は蒸気流量計の値を、気体及び/又は蒸気使用時の圧力及び加熱処理装置投入直前の温度を加味して実際に加熱処理装置内に送り込まれる流量に換算した値である。
【0042】
本発明における加熱方式としては、特に制限されるものではないが、容器周囲に取り付けられたジャケットタイプの缶体を取付け、内部に温水・スチーム等の熱源を通し、その熱源からの伝熱により内部を加熱する間接加熱方式であればより好ましい。
【0043】
また、容器加熱温度とは、熱源の温度であり、ジャケットを有するものであれば、内部を通る熱源の温度であり、被乾燥物の凝集、融着等の性能の低下を防ぐ為に、50℃以下、好ましくは40℃以下であることが好ましい。
【0044】
また、加熱処理装置の圧力は、加熱処理効率を低下させない為に、13kPa以下を保持することが好ましく、被処理物の揮発分による蒸気圧が生じる場合は、気体及び/又は蒸気供給量を低下或いは、供給を停止することが好ましい。
【0045】
次に、本発明に用いられるトナーは、高画質化の要請から、より微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーもより微小粒径の、具体的にはコールターカウンターにより測定された重量平均径が3〜10μmのトナーが本発明に使用するトナーとして最も好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーにおいては、凝集力が強くなり過ぎる為、流動性が低下し、加熱処理効率が落ちるだけでなく、均一に揮発性物質を減少させることができなくなる。また、転写効率の悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ,転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり本発明で使用するトナーとしては好ましくない。一方、トナーの重量平均径が10μmを超える場合には、部材への融着が起きやすくなり、結果として画像特性を低下させてしまう。
【0046】
次に、本発明の製造方法においては、原料として、重合性単量体を重合させてなる重合トナーを用いる。
【0047】
本発明においては、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も、本発明に好適に利用することができる。
【0048】
上記重合トナーに使用できる重合性単量体としては、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のビニル系単量体が好ましく用いられる。また、必要に応じて2種以上組み合わせて好ましく使われる場合もある。これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0049】
本発明においては、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、フルカラー用トナーとしては極めて高分子量になり、四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0050】
本発明に用いられる低軟化点物質としては、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一方極大ピークが90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混合性の点から好ましくない。更に直接重合法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0051】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0052】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0053】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0054】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0055】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0056】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し40〜150質量部添加して用いられる。
【0057】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0058】
本発明に係る重合トナーに使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0059】
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0060】
本発明に係る重合トナーにおいて、特に分散剤を用いた懸濁重合を利用する場合用いる分散剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,ポリアクリル酸及びその塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。これら安定化剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。
【0061】
これら安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成させても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合すると良い。
【0062】
また、これら安定化剤の微細な分散のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進するためのものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0063】
本発明のトナー製造方法においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。
【0064】
即ち、重合性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはクレアミックス、ホモミキサー、ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度,時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、本発明の加熱処理方法によって加熱処理する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0065】
以下に、本発明で使用する各物性値の測定方法について述べる。
【0066】
1.含水率の測定方法
本発明のトナーの水分率の測定は、MA40電子水分計(ザルトリウス社製)で105℃における加熱減量法によって求めた。
【0067】
2.トナー粒子中に残存する重合性単量体及び有機溶媒の残存量の測定
トナー粒子中に残存する重合性単量体及び有機溶媒の残存量の定量は、トナー0.3gをアセトン10gに溶解したものを用い30分間超音振とう機にかけた後、1日放置し、次に0.5μmのフィルターで濾過したものを用い、それぞれガスクロマトグラフィーにて以下の条件で絶対検量線法により測定した。
【0068】
G.C.条件
測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890series
キャピラリカラム:(25m×0.2mm,HP−INNOWAX,膜厚:0.4μm)
検出器:FID He流量25ml/min
インジェクション温度:200℃
ディテクター温度:200℃
カラム温度:50℃から10℃/minの割合で15分間昇温
打ち込み試料量:2μl
【0069】
3.トナー粒子粒度分布の測定方法
トナー粒子の粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
【0070】
測定装置としては、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、重量平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続して電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
【0071】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。
【0072】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
【0073】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0074】
<実施例1>
イオン交換水710質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0075】
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 170質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・C.I.ピグメントイエロー17 10質量部
・飽和ポリエステル 20質量部
・サリチル酸金属化合物 3質量部
・エステルワックス 25質量部
上記処方のうち、C.I.ピグメントイエロー17、サリチル酸金属化合物とスチレン単量体100質量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に上記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0076】
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を80℃に昇温させ50回転/分で重合を10時間継続させた。次いで、内温80℃,装置内圧力47.3kPaの条件下で4hr蒸留を行った。蒸留終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO42を溶解させた後、濾過、水洗、次いで解砕を行い、含水率22%,重量平均径7.8μmの湿潤着色重合体粒子(トナー粒子)を得た。
【0077】
この時点において、トナーに残留している未反応の重合性単量体量体、重合開始剤の分解物、重合性単量体の酸化物の合計は680ppmであった。
【0078】
得られた湿潤着色重合体粒子を、容量が熱源による加熱可能な伝面までの容積で50Lである加熱処理装置に投入した。
【0079】
撹拌部材2は図2に示すパイプ翼を用い、開口部9から壁面に向けて、22℃の窒素ガスを0.5Nm3/hrの流量で吹き付けながら、容器下部からの気体及び/又は蒸気注入は行わずに、撹拌回転数40rpm,減圧度3kPa,加熱温度45℃で7時間の減圧加熱処理を行った。
【0080】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.4%で、トナーに残留している未反応の重合性単量体、重合開始剤の分解物、重合性単量体の酸化物の合計は220ppmであった。
【0081】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて88%であった。容器2下部に若干の付着が認められるものの加熱効率を阻害するレベルのものではなかった。
【0082】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0083】
<実施例2>
撹拌部材2として図3に示す1条螺旋翼を使用したこと以外は、実施例1と同様に減圧加熱処理を行った。
【0084】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は170ppmであった。
【0085】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて91%であった。容器2下部に若干の付着が認められるものの加熱効率を阻害するレベルのものではなかった。
【0086】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0087】
<実施例3>
撹拌部材2として図4に示す2条螺旋翼を使用したこと以外は、実施例1と同様に減圧加熱処理を行った。
【0088】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は140ppmであった。
【0089】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて95%であった。容器全体に渡り付着は認められなかった。
【0090】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られなかったが、壁面上部に若干の融着が観察された。内部を清掃せずに同条件で繰り返し運転を実施したところ、7バッチ目より揮発性物質の除去効果が低下し始めた。
【0091】
<実施例4>
撹拌部材2として図5に示す複合螺旋翼を使用したこと以外は、実施例1と同様に減圧加熱処理を行った。
【0092】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は150ppmであった。
【0093】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて94%であった。容器全体に渡り付着は認められなかった。
【0094】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0095】
<実施例5>
容器下部からも22℃の窒素ガスを0.5Nm3/hrの流量で吹き込んだ以外は、実施例2と同様に減圧加熱処理を行った。
【0096】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は90ppmであった。
【0097】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて96%であった。容器全体に渡り付着は認められなかった。
【0098】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0099】
<実施例6>
開口部9及び容器下部から注入する窒素ガスを45℃に加温した以外は、実施例5と同様に減圧加熱処理を行った。
【0100】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は70ppmであった。
【0101】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて96%であった。容器全体に渡り付着は認められなかった。
【0102】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0103】
<実施例7>
加熱処理前の湿潤着色重合体粒子を気流乾燥機にて前乾燥して含水率のみ0.9%に減少させた後に加熱処理したことと、開口部9及び容器下部から注入する窒素ガスを水蒸気にした以外は、実施例6と同様に減圧加熱処理を行った。水蒸気は100℃の飽和蒸気を供給源としたが、3kPaでは24℃程度に断熱膨張してしまうので45℃に加熱し、過熱蒸気として容器2に注入した。
【0104】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は60ppmであった。
【0105】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて96%であった。容器全体に渡り付着は認められなかった。
【0106】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【0107】
<比較例1>
開口部9からの気体及び/又は蒸気注入を行わずに、容器下部からのみ22℃の窒素ガスを1Nm3/hrの流量で吹き込んだ以外は、実施例2と同様に減圧加熱処理を行った。
【0108】
加熱処理終了後に得られたトナー粒子は、含水率0.3%で、残留している重合性単量体の量は410ppmであった。
【0109】
また、排出後のトナー粒子の収率は、揮発分の質量を差し引いて62%であった。容器壁面に渡り付着が認められ、加熱効率が著しく低下していると同時に、大幅な材料ロスが生じた。
【0110】
尚、排出後のトナー粒子に凝集している様子は見られず、壁面への融着も観察されなかった。
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、重合法によって得られたトナー粒子を、トナー粒子に残存する分散媒体及び未反応の重合性単量体等の揮発性物質を効率よく品質の劣化・加熱処理むらの無いように除去することが可能であるトナーの製造方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる付着及び堆積抑止部材と撹拌部材を備えた減圧可能な粉粒体用加熱処理装置の一例を示す該略図である。
【図2】本発明に用いられる撹拌部材の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に用いられる撹拌部材の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に用いられる撹拌部材の一例を示す概略図である。
【図5】本発明に用いられる撹拌部材の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 加熱処理装置本体
2 撹拌部材
3 付着抑止部材
4 ジャケット
6 バグフィルター
7 コンデンサー
8 減圧ポンプ
9 開口部
10 気体及び/又は蒸気発生装置
11 気体及び/又は蒸気加熱装置
12 気体及び/又は蒸気温度調節計
13 気体及び/又は蒸気流量制御装置
14 気体及び/又は蒸気温度計
15 排出口
16 品温測定温度計
17 ジャケット温度計
18 ジャケット温度・気体及び/又は蒸気温度検知及び制御装置
a 容器縦向き中心方向

Claims (7)

  1. 少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を、
    逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に該軸と一体として動く撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に付着抑止機能を備えた付着抑止部材が壁面に沿って該撹拌部材と一体として動くように備え付けられており、該付着抑止部材が容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有する容器において、
    容器内を減圧すること及び蒸気を壁面に吹き付けながら減圧下で加熱処理を行い、着色重合体粒子中に残存している揮発性物質を除去することを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 該減圧下での加熱処理が、逆円錐状の容器下方から吹き上げる気体及び/又は蒸気供給下で行われることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 該気体及び/又は蒸気が、気体及び/又は蒸気温度Aと容器加熱温度Bの差(A−B)が−10℃<(A−B)<+5℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 該減圧下の加熱処理を、加熱処理装置内圧力を13kPa以下に保持する量で、気体及び/又は蒸気を供給して行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. トナー粒子に含まれる揮発性物質を少なくとも除するための逆円錐状の容器であって、容器中心縦軸方向に付設された駆動可能な軸の周囲に該軸と一体として動く撹拌部材が設けられ、該撹拌部材周囲に付着抑止機能を有した付着抑止部材が壁面に沿って該撹拌部材と一体として動くように備え付けられており、該付着抑止部材が容器内周壁へ向けて気体及び/又は蒸気を吹き付ける手段を有しており、更に容器内を減圧すること及び容器を加熱することが可能であることを特徴とするトナー粒子の製造装置。
  6. 該撹拌部材が、トナー粒子を上部へ搬送する機能を有した1条及び複数条の螺旋帯状の形状であることを特徴とする請求項5に記載のトナー粒子の製造装置。
  7. 該螺旋帯状の撹拌部材の条数が、任意の位置で1条及び複数条であることを特徴とする請求項6に記載のトナー粒子の製造装置。
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