JP2002108013A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

Info

Publication number
JP2002108013A
JP2002108013A JP2000298427A JP2000298427A JP2002108013A JP 2002108013 A JP2002108013 A JP 2002108013A JP 2000298427 A JP2000298427 A JP 2000298427A JP 2000298427 A JP2000298427 A JP 2000298427A JP 2002108013 A JP2002108013 A JP 2002108013A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
polymerizable monomer
amount
temperature
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000298427A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4092527B2 (ja
Inventor
Takeo Fujino
竹生 藤野
Kazuhiro Sato
一宏 佐藤
Seiji Funakura
成二 船倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2000298427A priority Critical patent/JP4092527B2/ja
Priority to US09/963,961 priority patent/US6596453B2/en
Publication of JP2002108013A publication Critical patent/JP2002108013A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4092527B2 publication Critical patent/JP4092527B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い生産性を可能にし、且つトナーの性能を
損なわずに残留重合性単量体の少ない重合法トナーの製
造方法を提供する。 【解決手段】 懸濁重合後に得られる重合体粒子分散液
を減圧ストリッピング法で処理するに当り、減圧ストリ
ッピングの供給熱量を、供給開始より増加させて、水系
媒体とともに揮発性有機化合物を留去して、重合法トナ
ーを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真の現像に
用いられるトナーの製造方法に関し、更に詳しくは、製
造時に発泡や凝集物の発生が少なく、また、残留重合性
単量体が少なく、環境安全性に優れた電子写真用トナー
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に電子写真用トナーは、結着樹脂を
着色剤、帯電制御剤、離型剤などと混練、粉砕、分級し
て得られる粉砕法トナーと、重合性単量体、着色剤、帯
電制御剤、離型剤等の混合物を懸濁重合、乳化重合、分
散重合などの方法で重合した粒子として得られる重合法
トナーに大別される。何れの手法でも重合工程で完全に
重合性単量体を反応させることは困難であり、僅少の未
反応重合性単量体がトナー中に残留してしまう。重合性
単量体の残留したトナーを静電画像形成装置で使用する
と、画像定着時の加熱等により残留重合性単量体がトナ
ー中から揮発して作業環境を悪化させたり、不快な臭気
を発生させる。また、残留重合性単量体の多い電子写真
用トナーは、保存中にブロッキングが発生しやすい、画
像定着時にオフセットしやすい、静電画像現像装置の部
材上にフィルミングしやすいなどの問題がある。粉砕法
トナーの場合は、結着樹脂の製造段階で残留重合性単量
体を除去するため、着色剤、帯電制御剤、離型剤などの
影響を受けることがなく、残留重合性単量体低減は比較
的容易である。一方、重合法トナーでは、着色剤、帯電
制御剤、離型剤などを含んだ樹脂から残留重合性単量体
を除去しなければならないが、重合性単量体はこれらの
成分に吸着され易く、結着樹脂のみからの場合に比較し
て、残留重合性単量体の低減が困難である。近年、特に
市場要求の高まっている低温での定着が可能な重合法ト
ナー(低温定着トナー)において、凝集を防止しつつ残
留重合性単量体を低減することは著しく困難である。
【0003】重合法トナーの重合反応後の一般的な工程
には、洗浄工程、脱水工程及び乾燥工程がある。重合法
トナーの残留重合性単量体を減らすために、こうした重
合反応工程後の工程で残留重合性単量体除去処理をする
ことが多く検討されている。例えば、(1)乾燥工程後
の重合法トナーを処理する方法、(2)脱水工程後、乾
燥工程前の重合法トナーを処理する方法、(3)脱水工
程前の分散液中にある重合法トナーを処理する方法が知
られている。
【0004】(1)の方法として、減圧加熱処理する方
法(特開平7−92736号公報)がある。しかし、乾
燥したトナーを加熱処理すると、トナーが熱により凝集
する傾向にあり、特に連続高速印字に適していると言わ
れる低温定着トナーにおいてはこの傾向が大きな問題と
なる。これは低温での定着を実現させるため、一般に結
着樹脂成分をはじめとするトナー成分としてTgや融点
の低いものを用いてトナーを製造するため、製造工程で
の熱によってこれらの成分が柔らかくなり、凝集するこ
とに起因している。従って、この方法は低温定着トナー
においては実用的ではない。
【0005】(2)の方法として、気体を注入しながら
真空乾燥を行う方法が提案されている(特開平10−2
07122号公報)が、当該公報の実施例によれば、こ
の方法でも残留重合性単量体は、着色剤などに吸着さ
れ、約100ppmまでしか除去されていない。また、
脱水後の処理であるため、前述した(1)の場合と同
様、低温定着トナーの製造に際しては、トナー粒子の凝
集が懸念される。
【0006】(3)の方法としては、分散液に飽和蒸気
を吹き込むこと(特開平5−100485号公報)が提
案され、この方法によれば残留重合性単量体量は70p
pm程度まで低減されると記載されている(実施例)。
しかし、この方法では、飽和蒸気がトナー粒子と接触し
た際のせん断力によって粒子が凝集しやすく、スケール
や凝集塊が増大する傾向にある。このため、必ずしも高
い流動性のトナーを得ることができなかった。特にトナ
ー粒径が小さくなるほど流動性が下がる傾向にあり、ト
ナーの凝集は流動性にとって重大な問題となる。このほ
か、特開平5−66613号公報においては、重合反応
終了後の重合体粒子の水系分散液に水系媒体を添加しつ
つ、水系媒体を留去する方法が提案されているが、実
際、どの程度の残留重合性単量体がトナー中に含まれて
いるのかの確認はされていない。重合性単量体は水にも
若干溶解するため、重合性単量体が接触する水の量が少
なければ、重合体粒子から水に移行する重合性単量体の
量も少なくなる。従って、当該公報で提案されたような
徐々に水を添加する方法では、重合体粒子からの残留重
合性単量体の溶出効率はさほど高くない。すなわち大量
生産に際して、この方法を採用しても極めて高い生産性
は期待できない。当該公報で示された残留重合性単量体
除去に際しての温度条件は、トナーの吸熱ピークのピー
クトップ温度以上の温度に加温することと記載され、具
体的には減圧下で150℃に加温している(実施例)。
この温度条件は水の沸点を遙かに超えているため、添加
した水系媒体の除去は容易である。しかしながら、こう
した過酷な条件は、装置内壁へのトナーの付着や凝固を
招き、特に低温定着トナーのような低軟化点物質を含
み、結着樹脂自体のガラス転移温度(Tg)が低いトナ
ーではこの傾向がますます高くなってしまう。
【0007】このように、従来から重合法トナーにおい
て、重合後の処理による残留重合性単量体の低減手法が
種々検討されているものの、昨今の残留重合性単量体量
100ppm以下という厳しい環境安全性に対する要求
に応えることは困難であり、特に低温定着トナーの工業
生産にも適した残留重合性単量体の低減方法は見いださ
れていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
生産性を可能にし、且つトナーの性能を損なわずに残留
重合性単量体の少ない重合法トナーの製造方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、重合終了後の重合体粒
子の水系分散液を減圧ストリッピングする際、供給する
熱量を制御することによって、上記目的を達成できるこ
とを見いだし、この知見によって、本発明を完成するに
到った。かくして本発明によれば、少なくとも重合性単
量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で重合
し、次に供給熱量を段階的にまたは連続的に増加させて
減圧ストリッピングを行い、揮発性有機化合物を留去す
ることを特徴とする重合法トナーの製造方法が提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明で使用する重合性単量体組成物には、少なくとも
重合性単量体を含有する。
【0011】重合性単量体として、モノビニル系単量
体、架橋性単量体及びマクロモノマー等を挙げることが
できる。この重合性単量体が重合され、重合体粒子中の
結着樹脂成分となる。モノビニル系単量体の具体例とし
ては、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチ
レン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチル
アミノエチルなどの不飽和カルボン酸エステル単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸の誘導体;
エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和
モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化
ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;
【0012】酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエー
テル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチル
イソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;2−
ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロ
リドン等の含窒素ビニル単量体;等のモノビニル系単量
体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、単独
で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いて
もよい。これらのモノビニル系単量体のうち、スチレン
系単量体、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸
エステル、不飽和カルボン酸の誘導体などが好ましく、
特にスチレン系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エ
ステルが好適に用いられる。
【0013】これらのモノビニル系単量体とともに任意
の架橋性モノマーを用いると、定着性、特にオフセット
性が向上する。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導
体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート
等の多官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,
N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル;3個以上の
ビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。こ
れらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2
種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、
架橋性モノマーを、モノビニル系単量体100重量部に
対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1
〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
【0014】本発明では、マクロモノマーをモノビニル
系単量体とともに重合性単量体として使用することがで
きる。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性
官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,0
00〜30,000のオリゴマーまたはポリマーであ
る。マクロモノマー分子鎖の末端に有するビニル重合性
官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基な
どを挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメ
タクリロイル基が好適である。マクロモノマーの量は、
モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.
01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さら
に好適には0.05〜1重量部である。この範囲であれ
ば保存性と定着性との良好なバランスが得られる。
【0015】重合性単量体組成物には、重合性単量体の
他、着色剤、分子量調整剤、帯電制御剤、離型剤などの
添加剤を含有することができる。
【0016】黒色着色剤として、カーボンブラック、ニ
グロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三
酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル
等の磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブ
ラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmである
ものを用いると良好な画質が得られ、またトナーの環境
への安全性も高まるので好ましい。カラートナー用着色
剤としては、ネフトールイエロS、ハンザイエロG、
C.I.ピグメントイエロ、C.I.バットイエロ、エ
オシンレーキ、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピ
グメントバイオレット、C.I.バットレッド、フタロ
シアニンブルー、C.I.ピグメントブルー、C.I.
バットブルー、C.I.アシッドブルー等が挙げられ
る。これら着色剤は、モノビニル系単量体100重量部
に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜
20重量部の割合で用いられる。
【0017】分子量調整剤としては、例えば、t−ドデ
シルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オ
クチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭
素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;を例示す
ることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始
前、あるいは、重合の途中で反応系に添加することがで
きる。上記分子量調整剤は、モノビニル系単量体100
重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましく
は0.1〜5重量部用いる。
【0018】帯電制御剤として、各種の正帯電性又は負
帯電性の帯電制御剤を用いることが可能である。例え
ば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物
の金属錯体、含金属染料、ニグロシン等が挙げられる。
より具体的には、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化
学社製)、T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロン
S−34(オリエント化学社製)ボントロンE−84
(オリエント化学社製)、ボントロンN−01(オリエ
ント化学社製 )、コピーブルー−PR(クラリアント
社製)等の帯電制御剤および/または4級アンモニウム
(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合
体等の帯電制御樹脂を用いることができる。上記帯電制
御剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通
常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量
部用いる。
【0019】離型剤としては、例えば、低分子量ポリエ
チレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレ
ンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類や分子末端
酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に
置換した低分子量末端変性ポリプロピレンおよびこれら
と低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端
酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置
換した低分子量ポリエチレンおよびこれらと低分子量ポ
リプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオ
レフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライ
ス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフ
ィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石
油系ワックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシ
ン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャート
ロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリ
トールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテト
ラパルミテートなどの多官能エステル化合物など1種あ
るいは2種以上が例示される。
【0020】これらのうち、合成ワックス(特にフィッ
シャートロプシュワックス)、合成ポリオレフィン、低
分子量ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリン
ワックスなどが好ましい。なかでも示差走査熱量計によ
り測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク
温度が30〜200℃、好ましくは50〜180℃、6
0〜160℃の範囲にあるものが、トナーとしての定着
−剥離性バランスの面で特に好ましい。吸熱ピーク温度
は、ASTM D3418−82によって測定された値
である。上記離型剤は、モノビニル系単量体100重量
部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜
10重量部用いる。
【0021】本発明では、上記重合性単量体組成物を水
系媒体中で重合する。重合は公知の方法を採用すればよ
く、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等が挙げられ
るが、ドット再現性の良好な画質を与えるトナーを得る
観点から、懸濁重合法を採用することが好ましい。ま
た、重合性単量体の重合は、一段で行なってもよいし、
二段階に分けて行なってもよい。例えば、二段階に分け
て重合する方法では、(1)一段目に重合する単量体
(コア用重合性単量体)と二段目に重合する単量体(シ
ェル用重合性単量体)の組成を変えて、一段目の重合で
低Tgのコアを形成させ、二段目の重合で高Tgの層
(シェル)を形成させる方法、(2)一段目に単量体を
重合させ粒子を形成させた後、任意の重合体成分を添加
して当該粒子に重合体成分を吸着または固着させる方法
などによって、コア・シェル型重合体粒子とする方法
が、低温定着性と高温保存性のバランスの点からも好ま
しい。
【0022】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メ
チル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シ
クロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチル
エチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ア
セチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイ
ルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバ
レート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、
ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物
類などを例示することができる。また、これら重合開始
剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げる
ことができる。このうち、使用される重合性単量体に可
溶な油溶性の開始剤を選択することが好ましく、必要に
応じて水溶性の開始剤をこれと併用することもできる。
上記重合開始剤は、モノビニル系単量体100重量部に
対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜
15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部用い
る。
【0023】分散剤としては、硫酸バリウム、硫酸カル
シウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなど
のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸
化物;などの金属化合物や、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水
溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活
性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。これら
のうち、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコ
ロイドを含有する分散剤は、重合体粒子の粒径分布を狭
くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適で
ある。特に架橋性モノマーを共重合させなかった場合に
は、難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤
が、減圧ストリッピング中の重合体粒子の分散安定性な
らびに、トナーの定着性と保存性とを改善するために好
適である。
【0024】難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有す
る分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価
金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによ
って得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に
水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相
中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロ
イドを用いることが好ましい。
【0025】難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒
径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5
μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が
1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大
きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性が
低下する。
【0026】分散剤は、モノビニル系単量体100重量
部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは
0.3〜10重量部の割合で使用する。この割合が少な
いと、得られるトナーの粒径が大きくなって所望の粒径
分布を有するトナーを得ることが困難になる上、充分な
重合安定性や減圧ストリッピング中の分散安定性を得る
ことが困難となり、凝集物が生成し易くなる。逆に、こ
の割合が多いとトナー粒径が小さくなって所望の粒径分
布を有するトナーを得ることが困難になるので好ましく
ない。
【0027】本発明においては、前述した方法によって
重合して重合体粒子の水系分散液を得、次に行う減圧ス
トリッピングの供給熱量を、段階的または連続的に増加
させて、水系媒体とともに残留重合性単量体、残留重合
開始剤等の揮発性有機化合物を留去する。その際、重合
体粒子の分散液に新たに水系媒体を添加することができ
る。分散液を減圧条件下でストリッピング処理すること
で、重合体粒子の水系分散液中の水系媒体、及び残留重
合性単量体などの揮発性有機化合物を低減できる。本発
明の減圧ストリッピング処理は、通常減圧された蒸発器
内で行う。また本発明における減圧ストリッピング処理
では、揮発性有機化合物は気体となるため、通常蒸発器
から外部へ気体が排出されることになる。水系媒体を添
加する場合、その量は、分散液に対して、通常1〜20
0体積%、好ましくは5〜100体積%である。これが
少ないと、留去による分散液の濃度上昇によって凝集物
の発生や容器内面への付着が処理早期に発生することが
あり、逆に多いと、ストリッピング処理後の洗浄・濾過
等の工程を生産性良く実施するための分散液量とするた
めに多量の水系媒体の留去が必要となり、かえってスト
リッピング処理の効率が低下することがある。
【0028】減圧ストリッピング処理に際しては、重合
体分散液を蒸発器上部より下部に向けて、重合体分散液
の少なくとも一部を噴出させる操作(以下、フラッシン
グという)を繰り返しながら蒸発器内に加熱気体を吹込
むのが、液面発泡を抑制しながら揮発性有機化合物の蒸
発が効率的に行われる点で好ましい。この操作を行う
と、加熱気体の吹込みによって起こる蒸発に伴う液面発
泡を、蒸発器上部から液面へのフラッシングによって機
械的に抑制する効果が得られる。
【0029】減圧ストリッピング処理では、水系媒体及
び揮発性有機化合物の蒸発、回収によって、系内の重合
体分散液の濃縮が同時に行われる。
【0030】重合体粒子を含む水系分散液の減圧ストリ
ッピング処理において、一般的に処理初期の段階では分
散媒中に溶出した揮発性有機化合物が分散媒とともに気
液平衡支配下で高い速度で除去され、処理後期では重合
体粒子中から水系媒体中への揮発性有機化合物の溶出が
律速となり除去速度が低下する。本発明においては減圧
ストリッピングの供給熱量を、段階的または連続的に増
加させる。供給熱量を増加させることによって、ストリ
ッピング処理初期において揮発性有機化合物の除去速度
を抑制することが可能になり、水系媒体の発泡を少なく
することができ、それにより、凝集物の発生と前記気液
平衡支配下での除去効率の低下防止とを両立させること
が可能となる。
【0031】減圧ストリッピング処理初期の重合体粒子
1kg当たりの供給熱量は、通常5〜50kcal/h
r、好ましくは10〜40kcal/hrである。処理
初期時間は、処理開始から、通常0.1〜5時間、好ま
しくは0.5〜4時間とすることが望ましい。ここで、
減圧ストリッピング処理の開始時は、処理を行う所定温
度にした後、蒸発器内が飽和水蒸気圧に達した時をい
う。供給熱量が少ないと、処理中の発泡はないものの揮
発性有機化合物の除去速度が遅くなり効率的な処理がで
きなくなることがあり、逆に多いと、液面からの発泡抑
制が困難になることがある。上記供給熱量での処理時間
が短いと、液面からの発泡抑制が困難になることがあ
り、逆に長いと、揮発性有機化合物の除去速度が遅くな
り効率的な処理ができなくなることがある。また、減圧
ストリッピング処理後期の重合体粒子1kg当たりの供
給熱量は、通常20〜200kcal/hr、好ましく
は30〜100kcal/hrとすることが望ましい。
これが少ないと、揮発性有機化合物の除去速度が遅くな
り効率的な処理ができなくなることがあり、逆に多い
と、蒸発量が多くなり液面からの発泡抑制が困難になる
ことがある。
【0032】供給熱量を増加させる方法としては、熱媒
循環用ジャケットを設けた蒸発器を用いる方法、熱交換
器を内部に設けた蒸発器を用いる方法、外部熱交換器を
接続した蒸発器を用いる方法、蒸発器内に加熱気体を吹
込む方法等が挙げられ、またはこれらの方法の組合せに
よって行うこともできる。これらの方法のうち、外部熱
交換器を接続した蒸発器を用いる方法と蒸発器内に加熱
気体を吹込む方法との組合せが、除去効率と発泡抑制を
両立させる面で好ましい。外部熱交換機を接続した蒸発
器を用いる場合、当該蒸発器内の重合体分散液はポンプ
等で外部熱交換器に送液され、減圧にした蒸発器にフラ
ッシングする。
【0033】外部熱交換器を使用する際、加熱後の重合
体分散液温度は、蒸発器内の重合体分散液温度に比較し
て高く設定するのがよく、温度差は通常0〜50℃、好
ましくは0〜20℃である。温度差を設けるために、加
熱後のスラリー温度を高くし過ぎると、循環時や蒸発器
内への噴出時の不安定化により凝集が発生しやすくな
る。一方、加熱後のスラリー温度を低くして温度差を大
きくすると蒸発器内のスラリー温度を低くする必要があ
り、除去効率を著しく低下させる。外部熱交換器の形式
は特に限定されるものではないが、重合体分散液の加熱
や循環時の不安定化による凝集等を抑制するためには、
加熱時の接触面積が大きく、熱媒温度が低くても効率的
に加熱可能なプレート型熱交換器が好適である。
【0034】減圧ストリッピング時の重合体粒子の水系
分散液の温度(℃)は、分散液温度Ts(℃)と当該重
合体粒子のガラス転移温度Tg(℃)の関係が、通常T
g≦Ts<100℃、好ましくはTg≦Ts≦90℃、
より好ましくはTg+5℃≦Ts≦85℃でほぼ一定と
なるようにするのが望ましい。TsがTgよりも低いと
蒸発が少なくなる上、重合体粒子中での揮発性有機化合
物の移動が極端に遅くなるため、揮発性有機化合物の除
去速度が著しく低下する。この観点からTsはTgより
5℃以上高く設定するのが望ましい。また、Tsが10
0℃より高いと熱により重合体粒子の分散安定性が低下
して処理中に凝集物、蒸発器缶壁や攪拌機へのスケール
付着が増大する。もちろん外部熱交換機を使用する場
合、フラッシングを繰り返す中で重合体分散液が徐々に
加熱されて前述の温度に達してもよいし、あらかじめ重
合体粒子の水系分散液の温度を前述の温度にしてからフ
ラッシングさせてもよい。なお、重合性単量体の重合に
よって生成する結着樹脂のTgが2点以上ある場合、一
番低いTgを基準とする。ここでTgは、示差走査熱量
計(DSC)によって測定される値である。
【0035】重合体粒子の水系分散液には、重合時に使
用した分散剤が存在しているが、減圧ストリッピング処
理中の分散安定性を維持するために、さらに分散剤を追
加してもよい。減圧ストリッピング処理の終了は、重合
体粒子中の残留重合性単量体が所望の量になった時点で
ある。具体的には、印字中の臭気等の観点から、乾燥後
の重合体粒子中の残留重合性単量体量が80ppm以
下、好ましくは70ppm以下となるよう、減圧ストリ
ッピング処理後の重合体粒子中の残留重合性単量体量を
100ppm以下にする。また、上記残留重合性単量体
の量をストリッピング処理数時間毎に測定し、処理時間
(x)対残留モノマー量(y)をプロットして、yを対
数とする片対数グラフから指数近似式y=a・e−bx
を得、それを用いて下式より残留重合性単量体低減速度
Rs(%/hr)を算出した。 Rs=100・(1−e−b) 残留重合性単量体低減速度Rsは、10%/hr以上で
あることが好ましい。この値が小さいと、残留重合性単
量体の除去速度が遅くなり効率的な処理ができなくなる
ことがある。
【0036】蒸発器内の圧力は処理温度と分散媒(通常
は水)の蒸気圧の関係で決定されるが、本発明において
は、ゲージ圧で−30〜−90kPaの範囲が好適であ
る。高過ぎる圧力では重合体水系分散液をかなり高温に
加熱することになるため、熱交換器部分での水系分散液
中の重合体粒子の分散安定性が低下し、処理中に凝集物
や蒸発器壁へのスケール付着が増大する。また、低過ぎ
る圧力では処理温度における分散媒の蒸気圧に対して圧
力が低くなるので気液平衡が一気に気体側に移行して、
蒸発器中の水系分散液内部から分散媒やその他の揮発成
分の沸騰が始まり、発泡が著しくなる等、安定な処理が
困難になる。
【0037】更に本発明においては、水系分散液中の重
合体粒子と分散媒体の界面更新を促進して揮発性有機化
合物の蒸発を促すため、系の温度や圧力のバランスを不
安定化させない範囲で、蒸発器内の液相に気体を吹込み
ながら減圧ストリッピング処理することができる。吹込
む気体は特に限定されるものではなく、水蒸気、乾燥空
気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げら
れる。これらのうち、不燃性気体であることが好まし
い。また、上記気体を吹込む際、重合体粒子の凝集防止
の意味から、気体の温度は100℃以下の温度が好まし
い。
【0038】本発明においては、減圧ストリッピング処
理の後、必要に応じて粒子を凝集させて粒径を肥大化さ
せ、次いで、通常の脱水、洗浄、乾燥処理を行なって重
合体の乾燥粒子(トナー)を得る。得られた粒子の残留
重合性単量体は80ppm以下、好ましくは70ppm
以下である。
【0039】本発明の製造方法で得られる好ましい重合
法トナーは、流動性が55%以上、好ましくは60%以
上の実質的に球形のトナーであり、上述した懸濁重合法
により得ることができる。また、本発明の実質的に球形
のトナーは、体積平均粒径(dv)が3〜15μm、好
ましくは5〜10μmであり、体積平均粒径と個数平均
粒径(dn)の比(dv/dn)が1〜1.4、好まし
くは1〜1.3であり、粒子の絶対最大長を直径とした
円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割っ
た値(Sc/Sr)が1〜1.3の範囲であり、かつB
ET比表面積(A)[m/g]、個数平均粒径(dp
n)[μm]および真比重(D)の積(A×dn×D)
が5〜10の範囲のものであるのが望ましい。特に好ま
しい重合法トナーは、120℃での溶融粘度が10万ポ
イズ以下、好ましくは0.1〜10万ポイズ、より好ま
しくは1〜8万ポイズである。粘度測定はフローテスタ
ーを用いて測定すればよい。このような溶融粘度を持つ
トナーによれば高速での印刷によっても高画質が実現す
る。
【0040】コア層と、これを被覆するコア層を構成す
る重合体のガラス転移温度より高いガラス転移温度を持
つ重合体からなるシェル層を有する、コアシェル構造の
重合体粒子(カプセルトナー)は保存性の点で好まし
い。さらに本発明の重合法トナーを外添処理に付し、重
合体粒子(トナー粒子)の表面に添加剤(以下、外添剤
という)を付着、埋設等させることによって、粒子の帯
電性、流動性、保存安定性などを調整することができ
る。外添剤としては、無機粒子、有機樹脂粒子、好まし
くはシリカ粒子、酸化チタン粒子、特に好ましくは疎水
化処理されたシリカ粒子が挙げられる。外添剤を前記ト
ナー粒子に付着させるには、通常、外添剤とトナー粒子
とをヘンシェルミキサーなどの混合器に仕込み、撹拌す
ればよい。
【0041】
【実施例】本発明の製造方法を実施例を示しながら、さ
らに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限
定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのな
い限り重量基準である。
【0042】本実施例において行った評価方法は以下の
とおりである。 (液面発泡性)ストリッピング処理中の蒸発器内部の目
視観察結果より、下記の基準で評価した。 ○:分散液の液面上にほとんど泡の滞留が見られない
か、若干の発泡層が形成されるにとどまっている安定な
処理状態。 △:分散液の液面上に常時泡の滞留が見られ、泡先端が
蒸発器上部の排気ノズルに到達しない範囲で変動してい
る不安定な処理状態。 ×:泡先端が蒸発器上部の排気ノズルに達するまで泡が
成長し、系内が不安定で連続処理が不可能な状態。
【0043】(粒径)重合体粒子(トナー粒子)の体積
平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体積平均粒径と平均
粒径(dp)との比(dv/dp)はマルチサイザー
(ベックマン・コールター社製)によりを測定した。こ
のマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:10
0μm、媒体:イソトンII、濃度10%、測定粒子個
数:100000個の条件で行った。
【0044】(ガラス転移温度)示差走査熱量計(セイ
コー電子工業社製:SSC5200)を用いてASTM
D3418−97に準じて、トナー10mgを精秤し、
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のア
ルミパンを用い、測定温度範囲:室温〜150℃の間
で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行っ
た。
【0045】(残留重合性単量体の量)ガスクロマトグ
ラフィーにより、下記条件で下記方法により測定した。 カラム:TC−WAX、0.25mm×30m) カラム温度:80℃ インジェクション温度:200℃ FID検出側温度:200℃
【0046】脱水処理後乾燥前の湿潤した重合体粒子ま
たは乾燥後のトナー3gを1mg単位まで精秤し、n,
n−ジメチルホルムアミド27gを加えて15分間攪拌
した後、メタノール13gを加えて更に10分間攪拌し
てから静置して不溶分を沈澱させた。その後、上澄み液
2μlをガスクロマトグラフに注入して重合性単量体の
残留を確認した。定量用標準試料は、各単量体のn,n
−ジメチルホルムアミド/メタノール溶液とした。脱水
後乾燥前の重合体粒子中の残留重合性単量体量は、湿潤
した試料中の純固形分に対する比率として算出した。な
お、純固形分は、上記試料調整作業のために湿潤した
重合体粒子を分取するのと同時に、1gを1mg単位ま
で精秤し、これを赤外ランプで約200℃、30分間
加熱して得た固形分重量を精秤し、乾燥前後の重量差
から純固形分割合を算出し、この割合を、残留重合性
単量体量測定のために用いた湿潤した重合体粒子重量に
乗じて求めた。乾燥後のトナー粒子中の残留重合性単量
体量は、当該トナー重量に対する比率として算出した。
【0047】(残留重合性単量体低減速度Rsの算出方
法)上記残留重合性単量体の量をストリッピング処理1
時間毎に測定し、処理時間(x)対残留モノマー量
(y)をプロットした。その結果、yを対数とする片対
数グラフとすることでxとyに直線の関係が得られた。
このプロットを元に指数近似式y=a・e−bx
得、下式より残留重合性単量体低減速度Rs(%/h
r)を算出した。 Rs=100・(1−e−b
【0048】(臭気の評価)前述の画質評価において、
印字紙出口付近での単量体の臭気を健康な5人で官能試
験を行い、以下の基準で評価した。 ○:単量体の臭気を感じる人がいない △:単量体の臭気を感じる人が1〜2人いる ×:単量体の臭気を感じる人が3人以上いる
【0049】(実施例1)スチレン80.5部およびn
−ブチルアクリレート19.5部からなるコア用重合性
単量体(これらの単量体を共重合して得られた共重合体
のTg=55℃)、ポリメタクリル酸エステルマクロモ
ノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、T
g=94℃)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t
−ドデシルメルカプタン1.2部、カーボンブラック
(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部、帯電制御
剤(保土ヶ谷化学社製、商品名「スピロンブラックTR
H」)1部、離型剤(フィッシャートロプシュワック
ス、サゾール社製、商品名「パラフリントH1」、吸熱
ピーク温度:100℃)2部を、メディア型湿式粉砕機
を用いて湿式粉砕を行い、コア用重合性単量体組成物A
を得た。
【0050】他方、イオン交換水250部に塩化マグネ
シウム(水溶性多価金属塩)10.2部を溶解した水溶
液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化
アルカリ金属)6.2部を溶解した水溶液を攪拌下で徐
々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性
の金属水酸化物コロイド)分散液Aを調製した。生成し
た上記コロイドの粒径分布をマイクロトラック粒径分布
測定器(日機装社製)で測定したところ、粒径は、D5
0(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μmで、
D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.84μm
であった。このマイクロトラック粒径分布測定器による
測定においては、測定レンジ=0.12〜704μm、
測定時間=30秒、媒体=イオン交換水の条件で行っ
た。
【0051】一方、メチルメタクリレート(Tg=10
5℃)3部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処
理して、シェル用重合性単量体の水分散液Aを得た。シ
ェル用重合性単量体の液滴の粒径は、得られた液滴を1
%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に濃度3%で加
え、マイクロトラック粒径分布測定器で測定したとこ
ろ、D90が1.6μmであった。
【0052】上記により得られた水酸化マグネシウムコ
ロイド分散液Aに、コア用重合性単量体組成物Aを投入
し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤:t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本
油脂社製、商品名「パーブチルO」)6部添加後、エバ
ラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で3
0分間高剪断攪拌して、単量体混合物の液滴を造粒し
た。この造粒した単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を
装着した反応器に入れ、85℃で重合反応を開始させ、
重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重
合性単量体の水分散液Aに水溶性開始剤(和光純薬社
製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス(2
−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオ
ンアミド))0.3部を溶解し、それを反応器に入れ
た。4時間重合を継続した後、反応を停止し、重合体粒
子の水分散液を得た。
【0053】攪拌機付き蒸発器に、上記により得た重合
体の水分散液を投入し、分散液を攪拌ならびに系内循環
しながらプレート型外部熱交換機により70℃まで加熱
した。 その後、蒸発器内をゲージ圧で−62kPaま
で減圧にし、更に熱交換器から熱供給するとともに、蒸
発器底部より液相に減圧スチームを供給して液温を76
℃としてストリッピング処理を開始した。処理開始から
3時間までの熱交換器および減圧スチームからの供給熱
量を重合体乾燥重量1kgあたり36kcal/hrと
し、その後の5時間の供給熱量を55kcal/hrに
増量して合計8時間ストリッピング処理を継続した。処
理中は、供給熱量に見合う量の揮発性有機化合物及び分
散媒体(水)を蒸発させて、系外に排出した。終了後、
熱供給を停止して減圧を解き、分散液を25℃まで冷却
した。このストリッピング処理の間、1時間毎にサンプ
リングを行い、残留重合性単量体量を測定した。減圧ス
トリッピング後の重合体分散液中の凝集物量増大ならび
に蒸発器内および熱交換器中へのスケールの付着は認め
られなかった。
【0054】上記により得たコア・シェル型重合体粒子
の水分散液を、撹拌しながら、硫酸により洗浄(25
℃、10分間)して、系のpHを4.5以下にした。こ
の水分散液を濾過し、連続式ベルトフィルター(住友重
機械工業社製、商品名「イーグルフィルター」)を用い
て脱水、洗浄し、固形分を濾過分離した。その後、乾燥
機にて45℃で10時間乾燥し、コア・シェル型重合体
粒子を得た。乾燥機にて乾燥する前及び後の重合体粒子
中の残留重合性単量体量を測定した。
【0055】上記により得られた重合体粒子100部
に、疎水化処理した平均粒子径14nmのシリカ(日本
アエロジル社製、商品名「RX200」)0.8部を添
加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、電子写真
用トナーとした。得られたトナーについて、評価を行っ
た。測定結果、評価結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】(実施例2〜4)供給する熱量の制御を表
1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして
電子写真用トナーを製造した。 (比較例1)プレート熱交換器からの循環なしで減圧ス
チーム供給のみのストリッピング処理を実施した。 ス
タート時の供給熱量を重合体乾燥重量1kgあたり55
kcal/hrとした以外、実施例1と同様にしてスト
リッピング処理を行おうとしたが、液面発泡が激しく運
転不可能であったため、熱供給を停止して減圧を解き、
ストリッピング処理を中止し、分散液を25℃まで冷却
した。減圧ストリッピング中の凝集物の増加ならびに蒸
発器内および熱交換器中へのスケールの付着が見られ
た。その後、実施例1と同様にして電子写真用トナーを
製造した。 (比較例2)供給する熱量を表1に示すように変更した
以外は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを製造
した。
【0058】表1の結果から、以下のことがわかる。本
発明の方法によれば、実施例1〜4に示した通り、スト
リッピング処理をの液面発泡の問題なしに高い除去効率
で行うことができ、残留重合性単量体が少なく定着時の
臭気のないトナーを容易に得ることができる。一方、比
較例1ではストリッピング処理中の発泡が激しいために
連続処理が困難となり、結果として残留重合性単量体の
除去が不十分で定着時の臭気に問題のあるトナーしか得
られなかった。比較例2では発泡の問題はなかったもの
の、供給熱量が少ないため残留重合性単量体の除去が不
十分で定着時の臭気に問題のあるトナーしか得られなか
った。
【0059】
【発明の効果】本発明の製造方法で得られた電子写真用
トナーを用いることにより、臭気などの環境への影響が
少ない状態での連続高速印刷が実現される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA01 AB06 CA04 4J100 AA02P AA03P AA04P AB02P AC03P AC04P AE03P AG04P AJ02P AL03P AL04P AM02P AM15P CA01 GB02 GB05 JA09

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも重合性単量体を含有する重合
    性単量体組成物を水系媒体中で重合し、次に供給熱量を
    段階的または連続的に増加させて減圧ストリッピングを
    行い、揮発性有機化合物を留去することを特徴とする重
    合法トナーの製造方法。
JP2000298427A 2000-09-29 2000-09-29 トナーの製造方法 Expired - Fee Related JP4092527B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000298427A JP4092527B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 トナーの製造方法
US09/963,961 US6596453B2 (en) 2000-09-29 2001-09-26 Production process of polymerized toner

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000298427A JP4092527B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 トナーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002108013A true JP2002108013A (ja) 2002-04-10
JP4092527B2 JP4092527B2 (ja) 2008-05-28

Family

ID=18780393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000298427A Expired - Fee Related JP4092527B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 トナーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4092527B2 (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006013640A1 (ja) * 2004-08-04 2006-02-09 Zeon Corporation 静電荷像現像用トナー
JP2007056121A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Toagosei Co Ltd 高粘度低臭気エマルションの製造方法
JP2007065426A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Nippon Zeon Co Ltd 重合トナーの製造方法
JP2007077221A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Toagosei Co Ltd 低臭気エマルションの製造方法
JP2007232775A (ja) * 2006-02-27 2007-09-13 Nippon Zeon Co Ltd 重合トナーとその製造方法
JP2011008018A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法
US7906263B2 (en) 2004-03-23 2011-03-15 Zeon Corporation Color toner for developing electrostatic latent image
JP2011253135A (ja) * 2010-06-04 2011-12-15 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法
WO2016136908A1 (ja) * 2015-02-26 2016-09-01 旭硝子株式会社 ビニルポリマー含有水性液の製造方法および耐水耐油剤の製造方法
JP2017078749A (ja) * 2015-10-19 2017-04-27 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法
JP2017090509A (ja) * 2015-11-02 2017-05-25 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7906263B2 (en) 2004-03-23 2011-03-15 Zeon Corporation Color toner for developing electrostatic latent image
WO2006013640A1 (ja) * 2004-08-04 2006-02-09 Zeon Corporation 静電荷像現像用トナー
JP2007056121A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Toagosei Co Ltd 高粘度低臭気エマルションの製造方法
JP2007065426A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Nippon Zeon Co Ltd 重合トナーの製造方法
JP2007077221A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Toagosei Co Ltd 低臭気エマルションの製造方法
JP2007232775A (ja) * 2006-02-27 2007-09-13 Nippon Zeon Co Ltd 重合トナーとその製造方法
JP4582019B2 (ja) * 2006-02-27 2010-11-17 日本ゼオン株式会社 重合トナーとその製造方法
JP2011008018A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2011253135A (ja) * 2010-06-04 2011-12-15 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法
WO2016136908A1 (ja) * 2015-02-26 2016-09-01 旭硝子株式会社 ビニルポリマー含有水性液の製造方法および耐水耐油剤の製造方法
JPWO2016136908A1 (ja) * 2015-02-26 2017-12-07 旭硝子株式会社 ビニルポリマー含有水性液の製造方法および耐水耐油剤の製造方法
US10246604B2 (en) 2015-02-26 2019-04-02 AGC Inc. Method for producing vinyl polymer-containing aqueous liquid and method for producing water/oil resistant agent
JP2017078749A (ja) * 2015-10-19 2017-04-27 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法
JP2017090509A (ja) * 2015-11-02 2017-05-25 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4092527B2 (ja) 2008-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6596453B2 (en) Production process of polymerized toner
JP4269529B2 (ja) 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法並びに画像形成方法
JP4092527B2 (ja) トナーの製造方法
JP4273969B2 (ja) トナーの製造方法
JP3940909B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP3760970B2 (ja) 電子写真トナーの製造方法
US8962232B2 (en) Production process of polymerized toner
JP4147978B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP4032595B2 (ja) トナーの製造方法
JP2001117272A (ja) 重合法トナーの製造方法
JP4092528B2 (ja) トナーの製造方法
JP2002221824A (ja) 重合法によるトナーの製造方法
JP2006208657A (ja) 重合法トナーの製造方法
JP2003177571A (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP2002258529A (ja) トナーの製造方法
JP4241689B2 (ja) 電子写真用重合法トナー
JP3972709B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP4207383B2 (ja) トナーの製造方法
JP2008191697A (ja) 電子写真用重合法トナー
JP4131068B2 (ja) 重合法トナーの製造方法
JP4224922B2 (ja) 重合体粒子水分散液の製造方法
JPH11344833A (ja) 重合トナーの製造方法
JP3817403B2 (ja) 電子写真用現像剤の製造方法
JP4158005B2 (ja) トナーの製造方法
JP2002148855A (ja) トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080219

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110314

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4092527

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110314

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120314

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120314

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130314

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130314

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140314

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees