JP2011253135A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機溶媒中にトナー材料を含む油滴から有機溶媒を除去し、トナー母体粒子を作製する方法であって、前記油滴は、トナー材料を有機溶媒に溶解又は分散した油相を水系媒体中に乳化または分散させたものであり、前記有機溶媒除去工程は、前記油滴含有の前記水系媒体を、略鉛直な壁面に沿って流下させて液膜を形成し、該液膜に減圧水蒸気を接触させ、かつ前記壁面から加熱して油滴中の有機溶媒を除去するものである。
【選択図】なし
Description
溶剤成分除去には減圧蒸留による方法があり、揮発成分の沸点を下げることで樹脂のガラス転移点以下で熱を与えることができる上、必要な熱エネルギーを小さくできるため、一般的に広く使用されている。
特許文献4の特開2002−55484号公報には、得られたトナー粒子を減圧及び加熱が可能な容器に供給し、トナー粒子のガラス転移温度Tg未満の温度の飽和水蒸気、過熱水蒸気、高湿空気などを容器に投入しながら減圧加熱処理し、回分式で未反応の重合性単量体を除去する方法が提案されている。
しかし、この方法ではトナー母体粒子同士が合着することがあり、小粒径で粒径分布が狭い球形のトナーを工業的に製造する場合のプロセス、特に、トナー組成物を有機溶媒に溶解又は分散した溶解物又は分散物を水系媒体中に分散し、得られた乳化分散液の溶剤を除去する工程に関して十分とは言えないことがその後の検討過程で判明した。
また、粒度分布が狭く、かつ形状が揃い、微小ドットの再現性及びクリーニング性に優れるトナーを製造可能なトナーの製造方法を提供することを目的とする。
(1)有機溶媒中にトナー材料を含む油滴から有機溶媒を除去し、トナー母体粒子を作製する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記油滴は、少なくとも結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、着色剤、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散した油相(第一の液)を水系媒体中に乳化または分散させたものであり、
前記有機溶媒除去工程は、前記油滴含有の前記水系媒体(第二の液)を、略鉛直な壁面に沿って流下させて液膜を形成し、
該液膜に減圧水蒸気を接触させ、かつ前記壁面から加熱して油滴中の有機溶媒を除去するものであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(2)前記略鉛直な壁面は管の内壁面であり、該管の上部より減圧水蒸気を供給することを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(3)前記管は、上端円周にV字溝(Vノッチ)構造を有すものであることを特徴とする前記第(2)項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(4)前記第二の液は、25℃でのブルックフィールド粘度計の回転数60rpmの粘度測定値が50mPa・s〜1,000mPa・sであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(5)前記第二の液を連続して有機溶媒除去することを特徴とする前記第(1)乃至第(4)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(6)前記トナー母体粒子のガラス転移点温度より低い温度で、有機溶媒を除去することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(7)前記トナー母体粒子の体積平均粒径が、3μm以上7μm以下であることを特徴とする前記第(1)乃至(6)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(8)前記トナー母体粒子の数平均粒経(Dn)に対する体積粒経(Dv)の比が(Dv/Dn)が、1.0以上1.2以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(9)前記トナー母体粒子の平均円形度が、0.94以上0.99以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(10)前記トナー母体粒子は、2μm以下である粒子の含有量が10個数%以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(11)前記トナー母体粒子は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
上記製造方法により得られる母体粒子を有するトナーは、小粒径でかつ粒度分布が狭く、低温定着性、耐熱保存性、微小ドットの再現性及びクリーニング性に優れるため、安定した高品質画像を継続的に出力することができる。
前述のように、本発明のトナーの製造方法は、有機溶媒中にトナー材料を含む油滴から有機溶媒を除去し、トナー母体粒子を作製する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記油滴は、少なくとも結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、着色剤、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散した油相(第一の液)を水系媒体中に乳化または分散させたものであり、前記油滴を含む水系媒体(第二の液)を、略鉛直な壁面に沿って流下させて液膜を形成し、該液膜に減圧水蒸気を接触させ、かつ前記壁面から加熱して油滴中の有機溶媒を除去することを特徴とするものである。
減圧水蒸気からの加熱のみでは、壁面等から熱が奪われ十分に第二の液に熱供給が行われず、有機溶媒の除去が効率良くできない。
壁面からの加熱は、有機溶媒を除去する効率をよくするために、供給する第二の液よりも壁面の温度を高くし、第二の液と壁面との温度差を確保する必要がある。この場合、母体粒子の凝集を防ぐために、壁面の温度の上限に制約があり、第二の液の液温を母体粒子のガラス転移点以下にすることが好ましい。
壁面に沿って流れる第二の液の温度がトナー母体粒子のガラス転移点を超えると、第二の液の粒子が、凝集しやすくなり、かつ、第二の液の凝集物が壁面に蓄積し、液膜が不均一になり、有機溶媒を効率よく揮発させることが困難になることがある。
減圧水蒸気を接触させることで、壁面の温度を母体粒子のガラス転移点を低くでき、壁面へのスケール付着等による伝熱能力の低下の恐れもなく、伝熱効率の高い有機溶媒の除去が可能である。
前記トナー母体粒子は、体積平均粒径が3〜7μmであることが好ましい。体積平均粒径が3μm未満であると、一成分現像剤として用いる場合に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着が発生することがある。また、二成分現像剤として用いる場合に、現像装置における長期の攪拌により、キャリアの表面にトナーが融着してキャリアの帯電能力を低下させることがある。一方、体積平均粒径が7μmを超えると、高解像で高画質の画像を形成することが困難になると共に、二成分現像剤として用いる場合に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒径の変動が大きくなることがある。
なお、母体粒子の体積平均粒径及び数平均粒径は、コールターカウンター法を用いて測定することができる。
なお、母体粒子の粒径が2μm以下である粒子の含有量及び平均円形度は、フロー式粒子像分析装置を用いて測定することができる。
これら以外の離型剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、ポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートの単独重合体又は共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等の低分子量の結晶性高分子、側鎖に長鎖アルキル基を有する結晶性高分子等が挙げられる。
このとき、結着樹脂及び/又は活性水素基を有する化合物と該化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有する重合体が可溶な有機溶媒を使用すると、第一の液の粘度が低下し、トナーの粒度分布を狭くすることができる。
フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
樹脂微粒子分散剤の市販品としては、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製等が挙げられる。
帯電制御剤は、樹脂との複合体、即ち、マスターバッチとして添加してもよいし、第一の液を調製する際に添加してもよい。
図1において、脱溶剤装置(1)は、供給部(2)と、加熱部(3)とを有し、供給部(2)は、第二の液を供給する供給口(4)と、減圧水蒸気供給口5と有する。加熱部(3)は、内管(6)と、外管(7)と、熱源供給口(8)、熱源排出口(9)、内管排出口(11)を有する。
供給タンク(15)の第二の液を、内管(6)の上面に設けられた供給口(4)から供給し、前記内管(6)の上端から内壁面に沿って第二の液の液膜を流下させると共に、水蒸気供給タンク(17)から、減圧水蒸気圧力調整弁(18)により調整された減圧水蒸気が、減圧水蒸気供給口5から内管(6)の内側に供給され、内管(6)の内壁面を流下する液膜に接触し、液膜が加熱される。さらに、内管(6)内は、有機溶媒を揮発させる際には真空ポンプ(24)と圧力調節弁(23)によって、20kPa以下に減圧される。
このとき、減圧水蒸気の供給量は、減圧水蒸気圧力調整弁(18)により調整され、真空ポンプ(24)、及び圧力調整弁(22)により、所望の減圧度に制御され、気液平衡により、脱溶剤温度は制御され、第二の液はトナー母体粒子のガラス転移点を超えることなく、脱溶剤することができる。
さらに、前記内管(6)と前記外管(7)の間には、熱媒体(10)が供給され、内管(6)が加熱され、第二の液の液温がトナー母体粒子の結着樹脂のガラス転移点以下の温度に制御されるため、トナー母体粒子が、軟化して凝集することなく、第二の液から有機溶媒を効率よく揮発させることができる。
また、内管(6)の下部にはタンク(12)が接続されている。このため、有機溶媒が除去された第二の液と、第二の液から揮発した有機溶媒のガス及び水蒸気とは、タンク(12)内で気体と液体に分離される。
有機溶媒が除去された第二の液は、タンク排出口(13)を経由して、排出ポンプ(19)により排出される。
他方、気体は、蒸気出口(14)を経由して、凝縮器(20)で、冷却水により凝縮され、凝縮液タンク(21)に貯められ、凝縮液排出ポンプ(23)により排出される。
本発明の画像形成装置は、本発明のトナーを用いて画像を形成する。なお、本発明のトナーは、一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれにも用いることができるが、一成分現像剤として用いることが好ましい。また、本発明の画像形成装置は、無端型の中間転写手段を有することが好ましい。さらに、本発明の画像形成装置は、感光体と、感光体及び/又は中間転写手段に残存したトナーをクリーニングするクリーニング手段を有することが好ましい。このとき、クリーニング手段は、クリーニングブレードを有してもよいし、有さなくてもよい。また、本発明の画像形成装置は、加熱装置を有するローラ又は加熱装置を有するベルトを用いて画像を定着する定着手段を有することが好ましい。さらに、本発明の画像形成装置は、定着部材にオイル塗布を必要としない定着手段を有することが好ましい。さらに、必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなることが好ましい。
潜像担持体(1)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としては、ドラム状、ベルト状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点で、アモルファスシリコンや有機感光体が好ましい。
帯電装置(2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
帯電装置(2)は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
現像ローラ(40)は、例えば、導電性シャフトの外周にゴム弾性体を被覆することにより製造される。導電性シャフトは、例えば、ステンレス(SUS)等の金属で構成される。
転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)は、潜像担持体(1)上に形成されたトナー像を記録紙(P)側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。転写手段としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトの組み合わせ等が挙げられる。なお、加熱加圧手段による加熱温度は、80〜200℃が好ましい。
撹拌棒及び温度計を設置した反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩[エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)]11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400rpmで15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。次に、系内温度が75℃になるまで加熱し、5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を添加し、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(樹脂微粒子分散液1)を得た。得られた樹脂微粒子分散液1は、LA−920(HORIBA社製)を用いて測定した体積平均粒径が105nmであった。また、樹脂微粒子分散液1の一部を乾燥して単離した樹脂は、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量が150000であった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管を設置した反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、イソフタル酸46部及びジブチルスズオキサイド2部を投入し、常圧下、230℃で5時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、ポリエステル1を合成した。得られたポリエステル1は、THF可溶分の重量平均分子量が5200、ガラス転移点が45℃、酸価が20mgKOH/gであった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管を設置した反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物795部、イソフタル酸200部、テレフタル酸65部及びジブチルスズオキサイド2部を投入し、常圧の窒素気流下、210℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で脱水しながら5時間反応させた後、80℃まで冷却した。さらに、酢酸エチル1300部及びイソホロンジイソシアネート170部を添加して、2時間反応させて、プレポリマー1を合成した。得られたプレポリマー1は、重量平均分子量が5000であった。
水1200部、4級アンモニウムイオンでイオン交換された変性ベントナイトBENTONE57(ELEMENTIS社製)174部及び1570部のポリエステル1を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチ1を作製した。マスターバッチ中の変性ベントナイトは、体積平均粒径が0.4μm、粒径が1μm以上である粒子の含有量が2体積%であった。
23.4部のプレポリマー1、123.6部のポリエステル1、20部のマスターバッチ1及び酢酸エチル80部を入れて攪拌した。一方、カルナバワックス15部、カーボンブラック20部及び酢酸エチル120部を、ビーズミルを用いて30分間分散した。得られた2つの液を混合し、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで5分間攪拌した後、ビーズミルを用いて10分間分散した。得られた分散液にイソホロンジアミン2.9部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで5分間攪拌して、トナー材料分散液1を調製した。
イオン交換水529.5部、70部の樹脂微粒子分散液1及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を入れ、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで攪拌し、水系媒体1を調製した。
水系媒体を72kg/時、トナー材料分散液を48kg/時でパイプラインホモミキサー(特殊機化工業製)に供給し、2960rpmの回転数で連続運転を行ない、第二液を120kg/時で連続的に得た。得られた乳化液〔第二の液〕は、ブルックフィールド粘度計を用いて測定される回転数60rpm、温度25℃における粘度が200mPa・秒であった。また、乳化液中の酢酸エチルの含有量は20質量%であった。
図1に示した構成の管(脱溶剤装置1)を用いて、上記乳化液〔第二の液〕中の有機溶媒を下記条件により、揮発させた。
この脱溶剤装置の内管(6)は、長さ3m、内径が28.4mm、伝熱面の周囲長(L)が89.2mm、伝熱面積(S)が0.27m2である。
内管(6)の内壁面の温度を40℃、水蒸気供給量3kg/時となるように、減圧水蒸気圧力調整弁(15)を開け、内管(6)内の圧力を75mmHg(10kPa)として、脱溶剤装置(1)(図1参照)に第二の液(乳化液)液温20℃を供給速度120kg/時で、上記第二の液の調製工程で作製された第二の液を連続して供給し、内管(6)の内壁面を流下させた。同時に内管と外管の間に、40℃の温水(熱媒体10)を10kg/分で流し、液膜流とされた乳化液の温度を前記管の壁面を介して母体粒子のガラス転移点以下に維持しつつ加熱して酢酸エチルを揮発させた。
このとき、内管(6)を通過した乳化液〔第二の液〕の有機溶媒の濃度は2.5重量%であった。
得られた母体粒子100部及び帯電制御剤ボントロンE−84(オリエント化学社製)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/秒に設定して、2分間混合及び1分間休止を5サイクル行った。次に、疎水性シリカH2000(クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、タービン型羽根の周速を15m/秒に設定して、30秒間混合及び1分間休止を5サイクル行って、トナーを作製した。
内管(6)を通過した乳化液〔第二の液〕の有機溶媒の濃度は2.5重量%であった。
なお、図2(a)は内管上部のV字溝構造を示し、図2(b)は該V字溝構造の拡大図である。
この第二の液を用いる他は実施例1と同様にしてトナーを得た。
内管(6)を通過した乳化液〔第二の液〕の有機溶媒の濃度は1.5重量%であった。
この第二の液を用いる他は実施例1と同様にしてトナーを得た。
内管(6)を通過した乳化液〔第二の液〕の有機溶媒の濃度は1.3重量%であった。
有機溶媒を除去する工程を、間接加熱が可能なジャケット付きタンクを用いた従来のバッチ処理により実施した。タンク下方に減圧水蒸気を流入する供給口を設置し、減圧水蒸気を3kg/時となるように供給した。実施例1と同様にして調整した120kgの乳化液を、ジャケット加熱温水を40℃、10kg/分、タンク内の減圧度75mmHg(10kPa)、有機溶剤濃度が実施例1と同様に2.5重量%となるまで揮発させ、トナーを作製した。
減圧水蒸気を供給しない他は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
内管(6)を通過した乳化液〔第二の液〕の有機溶媒の濃度は11重量%であった。
揮発工程後の乳化液に関して、体積平均粒径(Dv)、及び体積平均粒径(Dv)と数平均粒径(Dn)の比(Dv/Dn)、母体粒子における粒径が2μm以下である粒子の含有量、母体粒子の平均円形度、残溶剤濃度、内管またはタンク壁面の固着の評価結果を表2に示す。
作製したトナーの画像粒状性、鮮鋭性、クリーニング性、粗大粒子数の評価結果を表3に示す。
上記作製した実施例、比較例の母体粒子及びトナーに関して下記評価方法により評価した。
純水を張った減圧下のタンク外周にコイル状に銅管を巻き、減圧水蒸気圧力調整弁(15)から水蒸気を供給し、純水を蒸発させた。供給した減圧水蒸気は、純水に熱を供給して凝縮するため、銅管内でトラップした蒸気量を計量した。
有機溶媒を除去した後の内管に固着が見られない場合を○、固着が少ない場合を△、固着が多い場合を×として、評価した。
固着が見られない内管、固着が少ない内管、及び、固着が多い内管の写真を、それぞれ図4に示す。
トルエン4gをメスフラスコ中に計量して、DMFで500mLに希釈し、内標準液を調製した。次に、スラリー1.5gをDMFで約50mLに希釈した後、内標準液10mLをホールピペットで採取して投入した後、スターラーを用いて、400rpmで4分間攪拌した。さらに、得られたスラリー希釈液をガスクロマトグラフGC−2010(島津製作所社製)のオートサンプラーにセットし、測定した。測定終了後に、内標準物質のトルエンと酢酸エチルの比率から、内標準法によりスラリー中の酢酸エチルの残存量を算出した。なお、スラリー希釈液の注入量を2.0μLとした。測定条件を以下に示す。
試料気化室
注入モード:スプリット
気化室温度:180℃
キャリアガス:He
圧力:40.2kPa
全流量:56.0mL/分
カラム流量:1.04mL/分
線速度:20.0cm/秒
パージ流量:3.0mL/分
スプリット比:50.0
カラム
名称:ZB−50
液相の膜厚:0.25μm
長さ:30.0m
内径:0.32mmID
カラム上限温度:340℃
カラムオーブン
カラム温度:60℃
温度プログラム:60℃ホールド6分→昇温速度60℃/分→230℃ホールド5分
検出器
検出器温度:250℃
メイクアップガス:N2/Air
メイクアップ流量:30.0mL/分
N2流量:47.0mL/分
Air流量:400mL/分
コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を、個数分布及び体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC社製)と接続して、数平均粒径及び体積平均粒径を測定した。具体的には、まず、電解液ISOTON−II(コールター社製)100〜150ml中に、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC−A(第一工業製薬社製)0.1〜5mlを加えた。次に、試料(母体粒子)2〜20mgを加え、超音波分散器を用いて約1〜3分間分散させた。得られた試料分散液の数平均粒径及び体積平均粒径を、100μmアパーチャーを用いて測定した。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを使用し、粒径が2.00〜40.30μmの粒子を測定対象とした。
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100及び解析ソフトFPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10(シスメックス社製)を用いて、平均円形度及び粒径が2μm以下である粒子の含有量を測定した。具体的には、まず、ガラス製の100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC−A(第一工業製薬社製)0.1〜0.5ml及び試料(母体粒子)0.1〜0.5gを添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜた後、イオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を、超音波分散器(本多電子社製)を用いて3分間分散させた際の濃度が5000〜15000個/μlとなる場合の平均円形度及び粒径が2μm以下である粒子の含有量を測定した。
デジタルフルカラー複写機imagioColor2800(リコー社製)を用い、単色で写真画像を出力し、画像粒状性、鮮鋭性を目視で評価した。なお、画像粒状性、鮮鋭性がオフセット印刷並みであるものを◎、オフセット印刷よりわずかに悪い程度であるものを○、オフセット印刷よりかなり悪い程度であるものを△、従来の電子写真画像程度(非常に悪い)であるものを×として、判定した。
清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーを、スコッチテープ(住友スリーエム社製)を用いて白紙に移した。次に、転写残トナーを移した白紙と移していない白紙の反射濃度を、マクベス反射濃度計RD514型を用いて測定した。なお、反射濃度の差が0.01未満であるものを○(良好)、0.1以上であるものを×(不良)として、判定した。
直径5mmの穴の開いた冶具に、目開き25μのメッシュを張り、トナー粒子を0.2g乗せ、反対側からトナー粒子を吸引した。メッシュ上に残ったものを透明テープで採取し、マイクロスコープで粒子数を測定した。粗大粒子数100個未満を◎、100個以上150個未満を○、150個以上200個未満を△、200個以上を×として、評価した。
実施例2から、内管上部にV字溝を設けることで、液膜のさらなる均一化が達成できる。液膜を均一にすることで、内管の固着を低減できるだけでなく、トナー粒子の凝集をさらに低減することが可能である。
実施例3から、乳化液の粘度を上げると、揮発工程で除去される有機溶媒が多くなっている。乳化液の粘度が高いと、液膜流としたときに、膜厚が厚くなる為、装置内で滞留する時間が長くなったためと思われる。
実施例4から、乳化液の粘度を下げると、揮発工程で除去される有機溶媒が多くなっている。乳化液の粘度が低下すると、膜厚は薄くなり、滞留時間は低下するが、伝熱面積が増加するため、効果的に有機溶媒を除去できたと思われる。
比較例1では、タンク下方から供給した減圧水蒸気と乳化液が効率良く接触できないため、揮発工程に長時間必要であり、トナー製造工程でのボトルネックとなっていることが分かる。また、高濃度の溶剤下に長時間トナー粒子がさらされるため、トナー粒子の凝集が起こる。さらに、揮発工程を経ることで、溶剤と水が共沸し乳化液のトナー粒子濃度が高くなるため、トナー粒子の凝集およびタンク壁面への固着が生じたと考えられる。
比較例2から、減圧水蒸気を供給せずに揮発工程を行うと、溶剤を揮発させるだけの熱量を供給できず、処理後の乳化液の溶剤濃度は11重量%であった。そのため、トナー粒子の凝集や内管への固着が生じたと思われる。
1 脱溶剤装置
2 供給部
3 加熱部
4 供給口
5 減圧水蒸気供給口
6 内管
7 外管
8 熱源供給口
9 熱源排出口
10 熱媒体
11 内管排出口
12 タンク
12a 流路開閉弁
12b 循環流路
12c 流路開閉弁
13 タンク排出口
14 蒸気出口
15 供給タンク
15a 第二の液の液膜
16 供給ポンプ
17 水蒸気供給タンク
17a 水蒸気導入口
18 減圧水蒸気圧力調節弁
19 排出ポンプ
20 凝縮器
21 凝縮液受けタンク
22 圧力調整弁
23 凝縮液排出ポンプ
24 真空ポンプ
図3について
1 潜像担持体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
40 現像ローラ
41 薄層形成部材
42 供給ローラ
5 クリーニング部
6 中間転写体
7 支持ローラ
8 転写ローラ
Claims (11)
- 有機溶媒中にトナー材料を含む油滴から有機溶媒を除去し、トナー母体粒子を作製する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記油滴は、少なくとも結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、着色剤、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散した油相(第一の液)を水系媒体中に乳化または分散させたものであり、
前記有機溶媒除去工程は、前記油滴含有の前記水系媒体(第二の液)を、略鉛直な壁面に沿って流下させて液膜を形成し、
該液膜に減圧水蒸気を接触させ、かつ前記壁面から加熱して油滴中の有機溶媒を除去するものであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記略鉛直な壁面は管の内壁面であり、該管の上部より減圧水蒸気を供給することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記管は、上端円周にV字溝(Vノッチ)構造を有すものであることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記第二の液は、25℃でのブルックフィールド粘度計の回転数60rpmの粘度測定値が50mPa・s〜1,000mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記第二の液を連続して有機溶媒除去することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子のガラス転移点温度より低い温度で、有機溶媒を除去することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子の体積平均粒径が、3μm以上7μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子の数平均粒経(Dn)に対する体積粒経(Dv)の比が(Dv/Dn)が、1.0以上1.2以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子の平均円形度が、0.94以上0.99以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子は、2μm以下である粒子の含有量が10個数%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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