JP2009178684A - 気液接触装置および脱溶媒装置並びに気液接触方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気液の接触を円滑に行うことができる気液接触装置ないし気液接触方法、あるいは粘性固形物を含んだスラリーであっても効率的な気液接触を行わせることができる脱溶媒装置を提供する。
【解決手段】本発明の気液接触装置10は、通気開口を有するトレイ13を塔本体11内に多段に設け、トレイ13下方の気体を通気開口を通してトレイ13上の液体に接触させる構成とされる。本発明の気液接触装置10においては、トレイ13を傾斜させて設けることでトレイ13上を液体が所定方向に向けて流れるようにすると共に、通気開口を液体の流れの下流側に向けて開口する形状となすことで、トレイ13上の液体の流れに基づいて発生する負圧により、通気開口を通してトレイ13の下面側の気体を液体内に吸引させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、気液接触装置および脱溶媒装置並びに気液接触方法に関する。
例えば、合成ゴムのクラムスラリーから溶媒を除去する装置としては、スラリーを攪拌槽に投入し、スラリーを攪拌しつつ攪拌槽の底部から高温スチームを吹き込んで加熱する脱溶媒装置が一般に知られている(例えば、特許文献1の図6を参照)。これにより、スラリー中の合成ゴムクラムが水中から分離して固まることなく分散状態を保ち、その間に高温スチームと接触することで、合成ゴムのクラム中から溶媒が除去されてゆくのである。
特開2005−29765公報
上述の合成ゴム用の脱溶媒装置は、合成ゴムスラリーと水蒸気とのバッチ式の気液接触装置ともいえるものであるから、この種の気液接触装置によってスラリーの溶媒濃度を十分に低下させるには、一基の攪拌槽によってある程度の濃度まで溶媒をスラリーから除去し、次に、そのスラリーを次の攪拌槽に供給して同様に脱溶媒を行うという多段処理を行わねばならない。このため、通常は3基程度の攪拌槽を直列に接続して溶媒除去工程を行う必要があり、攪拌槽を設置するための広いスペースが必要であるとともに、複数の攪拌槽に送り込むための多量のスチームが必要で熱効率が悪いという問題があった(詳細は図5を参照)。
そこで、この種の脱溶媒装置として、蒸留塔形の連続式気液接触装置を適用することが考えられないではない。ところが、かかる方式の気液接触装置を合成ゴムスラリーのような粘性固形物を含んだスラリーと水蒸気とを接触させる装置に使用することは到底考えられるものではなかった。
蒸留塔構造は、本来的に、多数の微小な通気孔を有するトレイが塔本体内に水平に多段に設けられており、このトレイに対して略垂直にアウトレットウェアーを取り付けることで、アウトレットウェアーと塔本体内壁との間にダウンカマーが形成されている。
この装置を用いて、スラリー中の溶媒除去を行おうとするには、トレイ上面にスラリーを滞留させておき、その間にトレイの通気孔を通してトレイ上下の圧力差によって下方から水蒸気が気泡となってスラリー中を通過させ、一方でスラリーはアウトレットウェアーを超えてダウンカマーを流下させることになる。
しかし、合成ゴムのクラムスラリーのように、絶えず流動していないと粘性固形物が分離して固まるようなスラリーでは、トレイの上部にスラリーが滞留しているうちに通気孔が合成ゴムクラムによって塞がれてしまったり、ダウンカマーにクラムが付着してスラリー通路を閉塞させてしまうため、塔内で液体(スラリー)が円滑に流動せず、気液の接触が全く円滑に行われないのである。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、気液の接触を円滑に行うことができる気液接触装置ないし気液接触方法、あるいは粘性固形物を含んだスラリーであっても効率的な気液接触を行わせることができる脱溶媒装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の気液接触装置は、通気開口を有するトレイを塔本体内に多段に設け、前記トレイ下方の気体を前記通気開口を通して前記トレイ上の液体に接触させるようにした気液接触装置において、前記トレイを傾斜させて設けることで前記トレイ上を前記液体が所定方向に向けて流れるようにすると共に、前記通気開口を前記液体の流れの下流側に向けて開口する形状となすことで、前記トレイ上の液体の流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の気体を前記液体内に吸引させることを特徴とする。
本発明の気液接触装置に設けられたトレイの上に液体を流すと、多段に設けられたトレイが傾斜させて設けられているから、トレイ上に液体が滞留することなく傾斜に沿って円滑に液体が流れる。また、トレイに設けられた通気開口が下流側に向けて開口する形状をなしているから、トレイ上の液体の流れに基づき負圧が生じ(ベンチュリー効果)、通気開口を通してトレイ下方の気体が液体に吸引される。その結果、本発明の気液接触装置によれば、トレイ上の液体とトレイ下面側の気体との気液接触を円滑に行うことができる。
また、本発明の気液接触装置にはダウンカマーが設けられていないから、合成ゴムのクラムスラリーのような粘性固形物を含むスラリーの気液接触に用いた場合であっても、ダウンカマーにクラムが付着してスラリー通過を閉塞させる問題が起こらない。したがって、本発明の気液接触装置によれば、粘性固形物を含むスラリーであっても効率的な気液接触を行うことができる。
本発明の気液接触装置は以下の構成とすることもできる。
(1)前記トレイの前記通気開口は、前記液体の流れ方向に対して交差する方向に沿って連続して開口するスリット状とすることができる。このような構成とすると、トレイの上を流れる液体に、連続して開口する各通気開口から、トレイ下方の気体が吸引されるから、気液の接触効率が向上し、好適である。
(2)前記トレイが複数枚の平坦なトレイプレートを重ねて構成され、前記液体の流れの上流側に位置するトレイプレートが、下流側に位置するトレイプレートの上面の一部にギャップを空けて重なるように配されており、前記ギャップが前記通気開口として機能する構成とすることができる。
このような構成とすると、トレイに別途通気開口を設ける必要がないから、製造コストの低減を図ることができ、好適である。
(3)前記トレイは方形をなして角筒形のトレイ支持塔内に多段に取り付けられ、前記トレイ支持塔が円筒形をなす前記塔本体内に配置されて前記支持塔の内外は気体が連通可能とされる構成とすることができる。
この構成においては、トレイが方形をなして角筒形のトレイ支持塔に取り付けられているから、トレイが円形の場合よりも、トレイ上の液体の流れが均一になる。また、角筒形のトレイ支持塔が円筒形をなす塔本体内に配置されて支持塔の内外は気体が連通可能とされているから、耐圧性の高い装置とすることができ、好適である。
(4)前記トレイの最上流位置には、上方から供給された前記液体を一時的に貯留して前記トレイにその幅方向の全域において前記液体を溢出させる貯留部が設けられている構成とすることができる。
このような構成とすることで、トレイ最上流位置に一時的に貯留された液体を、トレイの幅方向の全域に流すことができるから、液体の流れを均一にすることができるとともに、気液接触の効率が向上し、好適である。
上記課題を解決するために本発明の脱溶媒装置は、粘性固形物を含むスラリー中から溶媒を除去するための脱溶媒装置であって、塔本体内に交互に逆方向に傾斜して多段に設けられたトレイと、前記塔本体内の最上段のトレイ上に前記スラリーを供給することで前記各トレイ上を交互に所定方向に流れ落ちさせるスラリー供給ポンプと、前記塔本体内の下方から水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、前記塔本体内から前記スラリーを排出させる排出手段とを備え、前記トレイには、前記スラリーの流れの下流側に向けて開口する形状の通気開口が形成され、前記トレイ上のスラリーの流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の水蒸気を前記スラリー内に吸引させるようにしてなることを特徴とする。
この構成の脱溶媒装置において、塔本体内の最上段のトレイ上にスラリー供給ポンプから供給されたスラリーは、塔本体に交互に逆方向に傾斜して多段に設けられたトレイ上を所定方向に流れる。前記スラリーの流れに基づくベンチュリー効果により負圧が生じ、トレイ下面側の水蒸気が通気開口を通して吸引されて、スラリーと接触することで、スラリー中の溶媒が除去される。このようにして溶媒が除去されたスラリーは塔本体内から排出手段により排出されて回収される。
本発明の脱溶媒装置によれば、上記本発明の気液接触装置と同様に、トレイ上の液体とトレイ下面側の気体との気液接触を円滑に行うことができ、効率よく溶媒を除去することができる。またダウンカマーが設けられていないから粘性固形物を含むスラリーの脱溶媒を行うこともできる。
上記課題を解決するために本発明の気液接触方法は、塔本体内にトレイを設け、前記トレイの上面に存する液体に前記トレイに形成した通気開口を通して前記トレイの下方の気体を接触させる気液接触方法において、前記トレイ上を前記液体が所定方向に向けて流れるようにすると共に、前記通気開口を前記液体の流れの下流側に向けて開口する形状とすることで、前記トレイ上の液体の流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の気体を前記液体内に吸引させることを特徴とする。
本発明の気液接触方法によれば、上記本発明の気液接触装置と同様に、トレイ上の液体とトレイ下面側の気体との気液接触を円滑に行うことができ、かつ、粘性固形物を含むスラリーの気液接触を効率的に行うことができる。
本発明によれば、気液の接触を円滑に行うことができる気液接触装置ないし気液接触方法、あるいは粘性固形物を含んだスラリーであっても効率的な気液接触を行わせることができる脱溶媒装置を提供することができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
本実施形態の気液接触装置10は、図1に示すように、全体として、上下に長い円筒状をなす塔本体11の内部に、多段に設けられたトレイ13を備える。
本実施形態の気液接触装置10において、気液処理される液体は、塔本体11の上部につながる液体供給部21から液体供給ポンプ(図示せず)により供給され、蒸気(またはガス)は蒸気供給部22から塔本体11の下部に供給される。
塔本体11の最上部11Aからは、蒸気などが排気ライン24を通じて装置外に排気可能となっており、塔本体11の下部には、気液処理後の液体を攪拌する攪拌翼23と、気液処理後の液体を装置外へ排出する排出ポンプなどの排出手段25と、排出手段25により排出された液体を回収する回収部26とを備える。
塔本体11内には、図2に示すように、四角筒形のトレイ支持塔12が配置されており、例えば、均圧孔を設けたり、トレイ支持塔12内と塔本体11との間に気体が連通可能な配置とすることにより、トレイ支持塔12の内外は気体が連通可能とされている。
トレイ支持塔12内には、図3に示すように、交互に逆方向に傾斜するトレイ13が多段に設けられており、これらのトレイ13はトレイ支持塔12の壁面に溶接あるいはボルト留めなどにより取り付けられる。
本実施形態のトレイ13としては、方形状の平坦なトレイプレート14を複数枚重ねた構成のものが取り付けられている。
トレイ13の最上流位置、すなわち最上段に配されるトレイ13は、図2に示すように、液体を供給する液体供給口15と、液体供給口15から供給された液体(図中C)を一時貯留するための貯留部16と、方形状の平坦なプレート(トレイプレート14)が連接された構成となっている。
前記貯留部16は、円柱を縦方向に切断した形状をなしており、隣接するトレイプレート14の幅と一致するように設けられている。
貯留部16よりも下流側に配されているトレイプレート14は、図2〜図4に示すように、傾斜させた状態で、上流側のトレイプレート14が下流側のトレイプレート14の上面の一部にギャップ17を空けて重なるように配されている。
上流側のトレイプレート14と下流側のトレイプレート14との間のギャップ17は、液体の流れる方向と交差する方向に、連続して開口するスリット状をなしており、液体の流れる方向(図2〜図4の実線矢印Aの方向)の下流側に向けて開口している。本実施形態においては、トレイプレート14間のギャップ17が、トレイ13下面側の気体とトレイ13上の液体に接触する際の通気開口17として機能する。
次に、本実施形態の気液接触装置10を用いた気液接触方法について説明する。
まず、塔本体11内の最上段のトレイに設けられている液体供給口15から液体を供給すると、液体は、一時的に貯留部16に貯留される(図2参照)。さらに液体を供給すると、液体は、貯留部16から溢れて、隣接するトレイプレート14の方向(図2の矢印Aの方向)へ移動し、傾斜させた状態で配されているトレイプレート14の傾斜に沿って下流方向(矢印Aの方向)へ流れる。
この液体の流れに基づいて、通気開口17では負圧が発生し(ベンチュリー効果)、この通気開口17を通じてトレイ13下面側の気体が、矢印Aと交差する方向(図3および図4の破線矢印Bの方向)に吸引され、トレイ13上側を流れる液体と接触する(図3および図4を参照)。
本実施形態の気液接触装置10は、蒸留(反応蒸留も含む)、ポリマーを含む溶液の脱溶媒、吸収、反応、蒸発、晶析、抽出等の操作に用いることができる。
脱溶媒に用いるポリマー含有溶液としては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレンゴム等のスチレン・イソプレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム等のエチレン・α−オレフィン系共重合体、ブチルゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、ブタジエン樹脂又はアクリル樹脂等のポリマーと、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン等の脂環族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、n−ヘキサン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素溶媒、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素溶媒などの溶媒とを含むポリマー含有溶液などが挙げられる。
本実施形態において使用する蒸気またはガスは、処理される液体にあわせ選択される。例えば、液体の蒸留に用いる場合には、処理される液体を構成する成分のうちの一種または二種以上からなる蒸気を用いることができ、上記に例示したポリマー溶液の脱溶媒に用いる場合には、水蒸気などを用いることができる。
次に、本実施形態の気液接触装置10の効果について説明する。
(1)本実施形態によれば、多段のトレイ13が傾斜させて設けられており、かつ、上流側のトレイプレート14が下流側のトレイプレート14の上面の一部に重なるように配されているから、トレイ13上に液体が滞留することなく傾斜に沿って円滑に液体が流れる。また、トレイ13に設けられた通気開口17が下流側に向けて開口する形状をなしているから、トレイ13上の液体の流れに基づいて負圧が生じ(ベンチュリー効果)、通気開口17を通してトレイ13下方の気体がトレイ13上の液体に吸引される。その結果、本実施形態によれば、トレイ13上の液体とトレイ13下面側の気体との気液接触を円滑に行うことができる。
(2)本実施形態によれば、ダウンカマーが設けられていないから、合成ゴムのクラムスラリーのような粘性固形物を含むスラリーの気液接触に用いた場合であっても、ダウンカマーにクラムが付着してスラリー通過を閉塞させる問題が起こらない。
したがって、本実施形態の気液接触装置10および方法は、液体を蒸気やガスと接触させる処理だけではなく、合成ゴムのクラムスラリーのような固形物を含むスラリーを蒸気やガスと接触させる処理にも使用することもでき、幅広い用途に適用できる。
(3)本実施形態によれば、液体の流れの上流側に位置するトレイプレート14と、下流側に位置するトレイプレート14とがギャップ17を空けて重なるように配されており、ギャップ17が通気開口17として機能し、トレイ13に別途通気開口を設ける必要がないから、製造コストの低減を図ることができる。
(4)本実施形態によれば、通気開口17は、液体の流れ方向に対して交差する方向に沿って連続して開口するスリット状をなしているから、連続して開口する各通気開口17から、トレイ13下方の気体が、トレイ13の上を流れる液体の流れ方向(矢印Aの方向)と交差する方向(矢印Bの方向)に吸引され、効率よく気液の接触を行うことができる。
(5)本実施形態によれば、方形状のトレイ13が四角筒形のトレイ支持塔12内に多段に取り付けられているから、トレイ13上を流れる液体の流れが均一になり、四角筒型のトレイ支持塔12が円筒形をなす塔本体11内に配置されて、トレイ支持塔12の内外は気体が連通可能とされているから、耐圧性の高い装置とすることができる。
(6)本実施形態によれば、トレイ13の最上流位置には、貯留部16が隣接するトレイ13の幅方向の全域にわたって設けられており、トレイ13の最上流位置に一時的に貯留された液体を、トレイ13の幅方向全域に流すことができるから、液体の流れを均一にすることができるとともに、気液接触の効率が向上する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
本実施例では、「液体」として「ポリブタジエンのクラムスラリー」を用い、「蒸気またはガス」として「水蒸気」を用いて、実施形態1の気液接触装置をポリブタジエンゴムのクラムスラリー(以下、「クラムスラリー」ともいう)の脱溶媒装置として用いた。
本実施例においては、実施形態1の液体供給部21をスラリー供給部21Aとし、液体供給ポンプをスラリー供給ポンプとし、蒸気供給部22を水蒸気供給部22Aとし、液体供給口15をスラリー供給口15Aとして用いた(図1を参照)。
本実施例の脱溶媒装置を用いて、以下の手順により脱溶媒を行った。
クラムスラリーとしては、スラリー全量に対して15質量%のゴムを含むクラムスラリー(溶媒:シクロヘキサン)を用いた。
水蒸気供給部22Aから水蒸気を供給しながら、スラリー供給部21Aのクラムスラリーを、スラリー供給ポンプを用いて、スラリー供給口15Aに供給して最上段のトレイ13から流した。クラムスラリーの流量は120t/hrとし、水蒸気供給部22Aからの水蒸気供給量は14t/hrとした。
次に、塔本体11下部に流れ落ちたクラムスラリーを排出ポンプにより塔本体11内から排出させ、その残留溶媒濃度を減圧蒸留重量測定装置(米国アッペ社製、リフラクトメータUNIT−5A−ASSEMBLY)により定量し、結果を表1に示した。
また、塔本体11の底部から0.1mの塔本体11内(表1中のボトム)の温度と圧力および、塔本体11の最上部11Aから1m上の排気ライン24(表1中のトップ)における温度と圧力を測定した。結果を表1に示す。なお、圧力の測定には、ダイヤフラム式圧力計((株)キーエンス製、AP−C40)を用いた。
<比較例1>
従来の脱溶媒装置として、内部に攪拌翼7を有する攪拌槽4を3基直列に連結した比較例1の脱溶剤装置1を用いて、実施例1と同じクラムスラリーの脱溶媒を行った(図5を参照)。
図5において、2はスラリー供給部、3は水蒸気供給部、3Aは水蒸気供給配管、4は攪拌槽、4A〜4Cは第1〜第3の攪拌槽、5は脱溶媒後のスラリーを攪拌槽外へ排出する配管、6は脱溶媒後のスラリーの回収部、7は攪拌翼、8は移送配管、9は溶媒と水蒸気を排気する排気配管、9Aは溶媒を含む水蒸気を移送する配管を示す。
まずスラリー供給部2から、第1の攪拌槽4Aにクラムスラリーを供給し、このクラムスラリーを攪拌翼7で攪拌しながら、攪拌槽4Aの底部から水蒸気と熱水を吹き込み加熱することにより、脱溶媒を行い、脱溶媒後のクラムスラリーを攪拌槽4Aの底部から排出して、移送配管8により第2の攪拌槽4Bに供給した。
第2の攪拌槽4Bにおいても第1の攪拌槽4Aと同様にして脱溶媒を行い、脱溶媒後のクラムスラリーを移送配管8により第3の攪拌槽4Cに供給し、さらに第3の攪拌槽4Cにおいても第1の攪拌槽4Aと同様にして脱溶媒を行った。
3基の攪拌槽を経て脱溶媒されたクラムスラリーを、第3の攪拌槽から排出させて、スラリー中の残留溶媒濃度を実施例1と同様のFID検知器を備えるガスクロマトグラフ装置により定量し、結果を表1に示した。
本比較例において、クラムスラリーの流量は120t/hrとし、水蒸気供給部3からの水蒸気供給量は3基の合計で20t/hrとした。
また、第3の攪拌槽の槽底部から1m上(表1中のボトム)の温度と圧力および第1の攪拌槽の最上部から1m上の排気配管(表1中のトップ)の温度と圧力を測定した。結果を表1に示す。なお圧力の測定には、実施例1と同様の測定器を用いた。
なお、表1において、温度の測定値と圧力の測定値は、トップ/ボトムの順で記載し、使用した水蒸気量についても併せて記載した。
Figure 2009178684
表1の結果からわかるように、実施例1の脱溶媒装置を用いると、比較例1の脱溶媒装置よりも脱溶媒効果が高く、耐圧性に優れ、水蒸気使用量を30%も削減することができた。
上記実施例の結果より、本発明の脱溶剤装置を用いれば、大型の攪拌槽を3基直列につなげる必要がないので、省スペース化を図ることもできるともいえる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、円筒状の塔本体内に四角筒状のトレイ支持塔が配されているものを示したが、塔本体とトレイ支持塔の形状はこれに限定されない。例えば、塔本体が四角筒状であってもよいし、トレイ支持塔が六角筒状などであってもよいし、トレイ支持塔を備えないで塔本体の壁面にトレイを備えるものであってもよい。
(2)上記実施例では、本発明の装置を合成ゴムのクラムスラリーの脱溶媒装置として使用する例を示したが、本発明の装置はその他のポリマー含有溶液の脱溶媒に用いることもできるほか、蒸留(反応蒸留も含む)、吸収、反応、蒸発、晶析、抽出等の操作に用いてもよい。
(3)上記実施形態では、液体の流れの上流側に位置するトレイプレートと、下流側に位置するトレイプレートとがギャップを空けて重なるように配されており、このギャップが通気開口として機能するものとし、通気開口の形状を、連続して開口するスリット状のものを示したが、トレイを加工することにより、通気開口を設けたものであってもよい。要は、通気開口の形状は液体の流れの下流側に向けて開口する形状であればよい。
(4)上記実施形態では、方形状をなし平坦な形状のトレイプレートを用いたが、円形のものや部分的に厚みの異なるものなどを用いてもよい。
(5)上記実施形態では、トレイの最上流位置に、貯留部がトレイの幅方向の全域にわたって設けられているものを示したが、貯留部はトレイの幅方向の一部に設けられているものであってもよいし、貯留部を備えないものであってもよい。
(6)上記実施形態では塔本体の下部に、塔本体の下部に溜まる液体を攪拌するための攪拌翼を備えたものを示したが、装置の使用目的によっては、攪拌翼を備えないものであってもよい。
(7)本実施形態の気液接触装置に設けられているトレイの傾斜および段数は、処理される液体の性質(粘度など)によって適宜調節することができる。トレイ上を流す液体の流速や流量についても、処理される液体の性質、装置の使用目的により適宜調節することができる。
実施形態1の気液接触置の模式図 トレイ支持塔の配置状態と、最上流位置のトレイの貯留部に液体(図中C)が貯留している状態とを示す説明図 実施形態1の気液接触装置における気液接触状態を示す説明図 トレイプレートにおける気液接触状態を示す説明図 比較例1の脱溶媒装置の模式図
符号の説明
10…気液接触装置
11…塔本体
13…トレイ
14…トレイプレート
17…通気開口(ギャップ)

Claims (7)

  1. 通気開口を有するトレイを塔本体内に多段に設け、前記トレイ下方の気体を前記通気開口を通して前記トレイ上の液体に接触させるようにした気液接触装置において、
    前記トレイを傾斜させて設けることで前記トレイ上を前記液体が所定方向に向けて流れるようにすると共に、前記通気開口を前記液体の流れの下流側に向けて開口する形状となすことで、前記トレイ上の液体の流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の気体を前記液体内に吸引させることを特徴とする気液接触装置。
  2. 前記トレイの前記通気開口は、前記液体の流れ方向に対して交差する方向に沿って連続して開口するスリット状をなすことを特徴とする請求項1記載の気液接触装置。
  3. 前記トレイが複数枚の平坦なトレイプレートを重ねて構成され、前記液体の流れの上流側に位置するトレイプレートが、下流側に位置するトレイプレートの上面の一部にギャップを空けて重なるように配されており、前記ギャップが前記通気開口として機能することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気液接触装置。
  4. 前記トレイは方形をなして角筒形のトレイ支持塔内に多段に取り付けられ、前記トレイ支持塔が円筒形をなす前記塔本体内に配置されて前記支持塔の内外は気体が連通可能とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の気液接触装置。
  5. 前記トレイの最上流位置には、上方から供給された前記液体を一時的に貯留して前記トレイにその幅方向の全域において前記液体を溢出させる貯留部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の気液接触装置。
  6. 粘性固形物を含むスラリー中から溶媒を除去するための脱溶媒装置であって、塔本体内に交互に逆方向に傾斜して多段に設けられたトレイと、前記塔本体内の最上段のトレイ上に前記スラリーを供給することで前記各トレイ上を交互に所定方向に流れ落ちさせるスラリー供給ポンプと、前記塔本体内の下方から水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、前記塔本体内から前記スラリーを排出させる排出手段とを備え、前記トレイには、前記スラリーの流れの下流側に向けて開口する形状の通気開口が形成され、前記トレイ上のスラリーの流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の水蒸気を前記スラリー内に吸引させるようにしてなる脱溶媒装置。
  7. 塔本体内にトレイを設け、前記トレイの上面に存する液体に前記トレイに形成した通気開口を通して前記トレイの下方の気体を接触させる気液接触方法において、
    前記トレイ上を前記液体が所定方向に向けて流れるようにすると共に、前記通気開口を前記液体の流れの下流側に向けて開口する形状とすることで、前記トレイ上の液体の流れに基づいて発生する負圧によって前記通気開口を通して前記トレイの下面側の気体を前記液体内に吸引させることを特徴とする気液接触方法。
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