JP2007232775A - 重合トナーとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
トナーの高温保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭等を発生せず周囲の環境を悪化させない、また、特に高温高湿下において耐久印字を行なった際の耐久性に優れる重合トナー、およびそのようなトナーを、安定的、かつ効率良く製造する方法を提供すること。
【解決手段】
重合性単量体組成物を、水系媒体中で、重合開始剤として有機過酸化物の存在下に重合し、着色重合体粒子を含む水系分散液を得る工程、及び、気相部の圧力が5〜80kPaである蒸発器内において、攪拌しながら、該水系分散液の液面下に空気又は不活性ガスを注入するストリッピング工程を経て、エーテル成分含有量が500ppm未満の重合トナーとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法による、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の現像に用いられる重合トナーとその製造方法に関するものである。
電子写真法による、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像は、現像剤(トナー)によって、可視像化される。現像剤(トナー)は、結着樹脂中に、着色剤、並びに必要に応じ、帯電制御剤、および離型剤などが分散した着色重合体粒子を主成分としている。
トナーは、着色重合体粒子の製造方法により、粉砕法により得られる粉砕トナーと、重合法により得られる重合トナーとに大別される。粉砕法では、予め重合してなる熱可塑性樹脂を結着樹脂として用い、着色剤、帯電制御剤、および離型剤などのその他の添加剤とを添加して溶融混練し、粉砕し、そして分級することにより、着色重合体粒子を得て、粉砕トナーを製造する。これに対し、重合法では、重合性単量体、着色剤、並びに必要に応じて使用される帯電制御剤および離型剤などのその他の添加剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で、微小な液滴とした後、重合することにより、着色重合体粒子を得て、重合トナーを製造する。
近年、電子写真法を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置は、急速に印刷のカラー化が進んでいる。カラーの印刷では、写真等高精細な画像の印刷も行なうことから、特に、高解像度で色再現性のよい印刷が求められており、その要求に対応できる高品質のカラートナーが必要とされている。球形のトナーは、転写性、ドット再現性が良く、カラーの印刷に適しており、懸濁重合法、分散重合法、及び乳化重合法等の重合法は、球形のトナーを効率良く生産できることから、重合法によるトナー(重合トナー)がカラーの印刷に適している。
一方、近年、環境衛生に関する規制が強化されてきており、このような画像形成装置に対しても、トナーを熱により定着する際に揮発する、トナー中に残留している重合性単量体(本発明では、以下「残留モノマー」ともいう。)や、その他の揮発性有機物(本発明では、以下、「残留VOC」ともいう。)等の低分子量成分の人体への影響や臭気が問題となっている。また、トナー中に、低分子量成分が多く残留していると、オフセットが発生しやすい、または感光体や現像ブレード等の画像形成装置の部材表面にトナーのフィルミングが発生しやすい、等の問題が発生しやすい。
そこで残留モノマーや残留VOCの少ないトナーを製造するため、従来、重合後の着色重合体粒子から残留モノマーや残留VOCを除去する方法が提案されている。残留モノマーや残留VOCの除去は、以下の理由で、粉砕法トナーの場合よりも、重合法トナーの場合の方が、困難である。粉砕法では、着色剤や他の添加剤を添加する前に、結着樹脂単味を、加熱処理等の手段を用いて、これらの成分を除去することができる。これに対して、重合法では、重合と同時に着色重合体粒子が生成するので、重合性単量体の重合物である結着樹脂、着色剤と他の成分が共存する状態の着色重合体粒子から、これらの除去を行なう必要がある。残留モノマーや残留VOCは、結着樹脂以外の他の成分(着色剤、帯電制御剤、および離型剤等)に吸収されやすく、結着樹脂のみの場合に比べ、残留モノマー等を除去しにくい。さらに、長時間又は高温で加熱しすぎると、着色重合体粒子が凝集したり、着色重合体粒子内の着色剤や他の添加剤が劣化したりするなどの原因で得られるトナーの品質が低下しやすい。
近年、印刷のオンデマンド化、高速化、およびフルカラー化などに対応して、トナーには、最低定着温度の低温化の要求が高まっている。さらにフルカラー印刷では、4色の重ね合わせを行うことから、NN環境やHH環境などの種々の環境でも、各色のトナーの印字耐久性が高いことが求められている。このようなトナーにおいて、着色重合体粒子の凝集や、着色重合体粒子中の各成分の劣化等によるトナーの品質の低下を起こさず、残留モノマー及び残留VOCの除去を行なうことは極めて困難であった。
重合法により得られる着色重合体粒子を含む水系分散液から、残留モノマー及び残留VOCの除去を、ストリッピング処理により行なうことが、従来から提案されている。
特許文献1には、重合法により得られる着色重合体粒子を含む水系分散液に飽和水蒸気を吹き込むスチームストリッピング法により、これらの低分子量成分を除去する方法が開示されている。しかし、この方法では、飽和水蒸気が着色重合体粒子と接触する際のせん断力により、着色重合体粒子の凝集が起こりやすいという問題があった。
特許文献2には、重合法により得られる着色重合体粒子を含む水系分散液を、蒸留装置に入れ、その気相部に窒素ガスを4.1kg/時(本発明の窒素ガスの流量に換算すると4.2L/hr・kgに相当)で流通させ、減圧にすることにより、ストリッピング処理する工程を含むトナーの製造方法が開示されている。しかし、この方法を用いても、低分子量成分の除去の効率が不十分であり、さらに、得られる重合トナーの印字耐久性が劣化してしまうという問題があった。また、大量の窒素等のガスを使用するためエネルギー消費が増大してしまうという問題もあった。
特許文献3には、重合法により得られる着色重合体粒子を含む水系媒体中に、圧力101kPaの常圧で窒素ガスを注入することによりストリッピング処理を行ない、トナーを製造する方法が開示されている。この方法によれば、残留モノマーの除去は効率よく行なうことができるが、残留VOCの除去の効率は不十分であり、効率を向上するため窒素の流量を増加させると、水系媒体の液面に泡が大量に発生しやすく、泡が発生してしまうと安定した操業ができなくなるという問題があった。
特開平5−100485 特開2001−92180 特開2004−271816
本発明の課題は、トナーの高温保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭等を発生せず周囲の環境を悪化させない、また、特に高温高湿下において耐久印字を行なった際の耐久性に優れる重合トナー、およびそのようなトナーを、安定的、かつ効率良く製造する方法を提供することである。
本発明者らは、重合法により得られる着色重合体粒子を含む水系媒体から、残留モノマー及び残留VOCの除去を、ストリッピング処理で行う方法について、鋭意検討を行なった結果、
特定の減圧条件で、
攪拌しながら、
空気又は不活性ガスを特定の流量で注入させる
ストリッピング処理により、
残留VOC中の特にエーテル成分を特定の水準とする
ことにより上記課題が解決できることを見出した。
かくして本発明によれば、
重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で、重合開始剤として有機過酸化物の存在下に重合し、着色重合体粒子を含む水系分散液を得る工程、
及び、気相部の圧力が5〜80kPaである蒸発器内において、攪拌しながら、該水系分散液の液面下に空気又は不活性ガスを注入するストリッピング工程
を経て得られる重合トナーであり、
エーテル成分含有量が500ppm未満であることを特徴とする重合トナー、
およびそのような重合トナーの製造方法
が提供される。
ストリッピング処理工程において、水系媒体が、油脂系消泡剤、鉱油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、ポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤、油脂とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤を含む乳化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の非シリコーン系消泡剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、非芳香族系パーオキシエステルであることが好ましい。重合トナーのスチレン含有量は、50ppm未満であることが好ましい。重合性単量体組成物は、該重合性単量体の主成分であるモノビニル単量体100重量部に対して、分子量調整剤を0.01重量部以上3重量部以下含有することが好ましい。重合性単量体組成物は、分子量調整剤として、チアゾールチオ化合物、チウラム化合物、及びジチオカルバミン酸化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。
本発明により、トナーの高温保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭等を発生せず周囲の環境を悪化させず、また、特に高温高湿下において耐久印字を行なった際の耐久性に優れる重合トナー、およびそのような重合トナーを安定的、かつ効率良く製造する方法が提供される。
以下、本発明の重合トナーおよびその製造方法について説明する。
まず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とする。この重合性単量体組成物を、水系媒体に入れ、重合開始剤を添加し、液滴形成した後、重合を行ない、着色重合体粒子の水系分散液が得られる。得られた着色重合体粒子の水系分散液を、特定の条件でストリッピング処理して、着色重合体粒子中の残留モノマーや残留VOCを除去する。
その後、得られた着色重合体粒子を、洗浄、脱水、さらに乾燥を行ない、必要に応じて分級し、さらに必要に応じて、外添剤または/及びキャリアを添加して、エーテル成分含有量が500ppm未満である重合トナーを得る。
(1)重合性単量体組成物
重合性単量体および着色剤、並びに必要に応じて用いるその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物を得る。着色剤及びその他の添加物は、重合性単量体に、溶解または可能な限り均一かつ微細に分散するように混合することが好ましい。
本発明で重合性単量体は、重合可能な化合物をいう。
重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸の誘導体、及びメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、及びメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;並びに2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
モノビニル単量体は、それを重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、Tgという。)が80℃以下になるように選択することが好ましい。適当なモノビニル単量体を単独で選択して、あるいは2種以上を組み合わせて選択して、使用することにより、重合体のTgを所望の範囲に調整することができる。
得られる重合トナーのホットオフセット改善のために、重合性単量体として、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つ重合性単量体のことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のジアクリレート化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のその他のジビニル化合物;並びに3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られる重合トナーの、保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTgよりも、それを単独重合することにより高いTgを有する重合体となるものが好ましい。マクロモノマーの使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigmentブルー2、同3、同6、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17:1、及び同60等が挙げられ、重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigmentブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、及び同17:1等の銅フタロシアンニン化合物が好ましく、C.I.Pigmentブルー15:3がさらに好ましい。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigmentイエロー3、同12、同13、同14、同15、同17、同62、同65、同73、同74、同83、同93、同97、同120、同138、同155、同180、同181、同185、及び同186等が挙げられる。重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigmentイエロー3、同15、同65、同73、同74、同97、及び同120等のモノアゾ顔料が好ましく、C.I.Pigmentイエロー74がより好ましい。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigmentレッド31、48、同57:1、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同144、同146、同149、同150、同163、同170、同184、同185、同187、同202、同206、同207、同209、同251、及びC.I.Pigmentバイオレット19等が挙げられる。重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigmentレッド31、同48、同57:1、同58、同60、同63、同64、同68、同112、同114、同146、同150、同163、同170、同185、同187、同206、及び同207等のモノアゾ顔料が同様に好ましい。
着色剤の使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
重合性単量体組成物には、重合性単量体および着色剤の他に、さらに、必要に応じて、帯電制御剤、分子量調整剤、および離型剤などのその他の添加剤を添加してもよい。
帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の、帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム基若しくは4級アンモニウム塩基含有共重合体、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基含有共重合体、並びにカルボン酸基若しくはカルボン酸塩含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤は、帯電制御樹脂を含むことが好ましく、帯電制御樹脂のみであることがより好ましい。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム基若しくは4級アンモニウム塩基含有共重合体、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基含有共重合体が、さらに好ましい。帯電制御剤の使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部である。
その他の添加剤として、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラム化合物;ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸化合物;が挙げられる。これらの分子量調整剤のうち、メルカプタン化合物及びチウラム化合物が好ましく、チウラム化合物が特に好ましい。分子量調整剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜3重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部、特に好ましくは0.1〜0.5部である。上記範囲より少ないと分子量調整の効果が得られず、反対に多いと残留モノマーや残留VOCが増加する。
また、その他の添加剤として、離型剤を添加することが、好ましい。重合トナーの定着ロールからの、定着時における離型性を改善できるからである。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができ、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等の、低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレン、これらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレン、及びこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマー等の、末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の、石油ワックス、並びにこれらの変性ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;並びにペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等の、ジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化物;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの離型剤の内、示差走査熱量計を用いて昇温時のDSC曲線から測定される吸熱ピーク温度が、30〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化物が、得られる重合トナーの定着−剥離性のバランスに優れるので特に好ましい。上記離型剤の使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。
重合性単量体組成物の調製において、着色剤を重合性単量体に溶解又は十分に分散性良く分散させてから、上記のその他の添加剤を加えることが好ましい。重合性単量体に着色剤を分散させる方法は、公知の各種の方法を採用することができるが、メディア式分散機を用いた方法が特に好ましく、メディア分離スクリーンを備えたメディア式分散機を用いた方法が特に好ましい。得られた混合物に、上記のその他の添加剤を加えて重合性単量体組成物とする。
(2)液滴形成工程
以上のようにして得られた、重合性単量体組成物を、水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴の形成を行なう。液滴の形成の方法は特に限定されないが、例えば、インライン型乳化分散機(例えば、荏原製作所製、製品名「マイルダー」)、高速乳化・分散機(例えば、特殊機化工業製、製品名「T.K.ホモミキサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明における水系媒体は水を主成分とする媒体のことであり、アルコールなどの水に溶解する有機溶媒を副成分として含んでも良い。水系媒体には、次に述べる液滴形成前に、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;並びに水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物等の酸又はアルカリに溶解する無機化合物が挙げられる。さらに、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;並びに両性界面活性剤;等の有機化合物を併用しても良い。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散安定化剤は、好適には金属化合物、より好適には難水溶性の金属水酸化物のコロイドである。このような分散安定剤を用いると、重合性単量体組成物の液滴の粒径分布(ひいては、得られる、着色重合体粒子または重合トナーの、粒径分布)をシャープにでき、また、重合中およびストリッピング処理の工程における着色重合体粒子の合一を少なくすることができ、さらに、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させることが少ないので好ましい。
本発明では、以上のようにして得られた、重合性単量体組成物を、水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行なう。
本発明では、重合開始剤として、有機過酸化物を用い、好ましくは、パーオキシエステルを用いる。上記の重合開始剤を用いることにより、重合性単量体の重合が効率よく行なわれる。その結果、重合性単量体の主成分であるスチレンの含有量が少なく、保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭を発生させず周囲の環境を悪化させない重合トナーを得ることができる。
重合開始剤として有機過酸化物を用いた重合では、例えば、それがパーオキシエステルの場合、パーオキシエステルが熱分解を起こすと、対応するアルコールラジカルとカルボン酸ラジカルにまず分解し、その後これらのラジカル、およびカルボン酸ラジカルの脱炭酸により生成するアルキルラジカル等がモノマーへ付加することにより重合反応が進行する。しかし、これらのラジカルが、再結合や水素の引抜きにより、様々なエーテル成分などの副生物が生じる場合がある。
一方、有機過酸化物の中でも、とくに、衝撃や加熱による発火の危険性が高い有機過酸化物では、希釈剤を添加して希釈して用いる必要がある。このような有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合、希釈剤の存在により、得られる着色重合体粒子に残留する揮発性物質が増加しやすくなる。また、主成分の有機過酸化物と異なる有機過酸化物を不純物として多く含む有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合、不純物の有機過酸化物は主成分の有機過酸化物とは好適な反応条件が異なるため開始剤効率を低下させ、得られる着色重合体粒子に残留する重合性単量体やエーテル成分が増加しやすくなる。
有機過酸化物の中では、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることが出来ることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香族環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
また、該有機過酸化物が、下記式(1)
R−CO−O−O−R’ (1)
(式中、R及びR’は、アルキル基をあらわす。)で表されるパーオキシエステルであることがより好ましい。式中のRは、炭素数6以下のアルキル基であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、イソプロピル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、及び1−エチルプロピル等の2級のアルキル基であることがさらに好ましく、1−メチルプロピル、1−エチルプロピルが特に好ましい。また、式(1)中、R’は、炭素数8以下のアルキル基が好ましく、t−ブチル、及びt−ヘキシルがより好ましく、t−ブチルが特に好ましい。式(1)のパーオキシエステルの具体例としては、t−ヘキシルパーオキシピバレート(t−ヘキシルパーオキシ−2,2−ジメチル−アセテート)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート等が挙げられる。
本発明において、有機過酸化物の主成分の分子量は、好ましくは205以下であり、より好ましくは170以上200以下、であり、さらに好ましくは、175以上195以下である。また、本発明において、有機過酸化物の純度は、有機過酸化物に対する主成分の有機過酸化物の重量%を表し、好ましくは90%以上、より好ましくは、92%以上、さらに好ましくは、95%以上である。
該有機過酸化物の1時間半減期温度は、印字耐久性の良い重合トナーが得られることから、70℃以上95℃以下であることが好ましく、75℃以上95℃以下であることがより好ましく、85℃以上95℃以下がさらに好ましい。ここで、半減期温度とは、重合開始剤の開裂の起こりやすさを表す指標であり、該重合開始剤を一定温度下に保持したとき、これが分解して一定時間後に元の開始剤量の1/2となる温度を示す。例えば、1時間半減期温度では、この一定時間が1時間の半減期温度である。
上記の重合開始剤を用いることにより、得られる着色重合体粒子に残留する未反応の重合性単量体や、重合開始剤により副生するエーテル成分等を少なくすることができる。その結果、本発明の課題である、トナーの高温保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭を発生させず周囲の環境を悪化させない、また、耐久印字を高温高湿下で行なった際の耐久性に優れるトナーを得ることができる。
重合開始剤の使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部であり、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。上記範囲であると、重合が効率よく行われ、着色重合体中の残留モノマーや残留VOCが少なくなる。重合開始剤は、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加しても良いが、液滴形成後の重合性単量体組成物を含む水系媒体に添加しても良い。
液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、製品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、製品名「T.K.ホモミキサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて、重合性単量体組成物を含む水系媒体を攪拌することにより行なう。
(3)重合工程
上記の液滴形成工程で得られた重合性組成物の液滴を含む水系分散液を昇温し、重合を行なうことにより、着色重合体粒子を得る。重合性単量体組成物の重合温度(該水系分散液の最高到達温度)は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜120℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
上記の工程で得られた着色重合体粒子は、後述する酸洗浄・濾別・水洗・乾燥のあと、そのままで又はさらに外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この段階の着色重合体粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色重合体粒子とし、酸洗浄・濾別・水洗・乾燥のあと、そのままで又はさらに外添剤を添加して重合トナーとして用いることが好ましい。コアシェル型の着色重合体粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。尚、本発明では、コアシェル型の着色重合体粒子を調製する場合、上述のようにして得られた着色重合体粒子をコア粒子、その調製で用いた、重合性単量体をコア用重合性単量体、重合性単量体組成物をコア用重合性単量体組成物と、いうなどコア調製に関係する物や工程を「コア用」という言葉で表現することがあり、一方、シェル用の重合性単量体をシェル用重合性単量体というなど、シェル調製に関係する物や工程を「シェル用」という言葉で表現することがある。
上述した、上記着色重合体粒子を用いて、コアシェル型の着色重合体粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。in situ重合法によるコアシェル型の着色重合体粒子の製造法は、上述のようにして重合性単量体組成物の液滴の重合を行ない、重合がほぼ終了し(好ましくは重合転化率が90%以上になってから、)、コア層となる着色重合体粒子が形成された時点で、水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用の重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色重合体粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述のコア用の重合性単量体と同様なものが使用できる。シェル用の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。
(4)ストリッピング処理
(3)で得られた着色重合体粒子を分散して含む水系媒体(着色重合体粒子の水系分散液という。)が得られ、次いでこれに、ストリッピング処理を行なう。ストリッピング処理を行なう際、分散安定化剤をさらに追加することが好ましく、着色重合体粒子の形成に用いられた分散安定化剤と同種のものが好ましい。ストリッピング処理は、着色重合体粒子を含む水系媒体を蒸発器に入れ、気相部分を減圧にし、空気または不活性ガスを、液面下から該水系媒体中に注入することにより行う。この工程により、着色重合体粒子中または水系媒体中に溶存している、残留モノマー及び残留VOCを除去・低減することができる。
本発明のストリッピング処理は、蒸発器内において着色重合体粒子の分散液を攪拌しながら行う。該蒸発器の気相部は減圧されており、圧力は5〜80kPaである。空気又は不活性ガスよりなる気体の流量は、好ましくは0.005〜10L/hr・kgである。
ストリッピング処理の途中で、着色重合体粒子を含む水系分散液に、追加で水系媒体を添加することができ、その量は、着色重合体粒子を含む水系分散液の100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部である。この範囲にあると、本発明の効果を得つつ、ストリッピング後の洗浄・濾過等の工程を生産性良く実施することができる。
ストリッピング処理に際して、着色重合体粒子の水系分散液の液面上に発泡が起こり、泡が生じることがある。この泡が過剰になり、蒸発器をあふれてくると、気体循環ラインを汚染してしまう等の問題が起こる。発泡を抑制するため、油脂系消泡剤、鉱油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、ポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤、油脂とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤とを含む乳化物、及び鉱油とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤とを含む乳化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の非シリコーン系の消泡剤を、着色重合体粒子を含む水系分散液に添加することが好ましい。これらの非シリコーン系消泡剤の中でも、消泡効果と得られる重合トナーの特性が優れることから、鉱油系消泡剤、ポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤、油脂とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤とを含む乳化物が好ましい。
鉱油系消泡剤は、鉱油を基剤とする変性炭化水素油であり、例えば、日本PCM株式会社製の製品名「消泡剤 DF714S」などが挙げられる。ポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤は、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体からなる非イオン界面活性剤であり、例えば、サンノプコ社製の製品名「SN デフォーマー 180」(ポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤からなる抑泡剤)が挙げられる。油脂とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤とを含む乳化物は、油脂をポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤でエマルジョンとしたものであり、例えば、サンノプコ株式会社製の製品名「SN デフォーマー 1407K」(油脂、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤等の乳化物からなる抑泡剤)などが挙げられる。ポリエーテル系消泡剤としては、旭電化社製の製品名「アデカノールLG−51」、及び「アデカノールLG−109」等のポリエーテル型界面活性剤、並びに、日本油脂社製の製品名「IPデフォーマU−510」等の特殊ポリエーテル系化合物等が挙げられる。
非シリコーン系消泡剤の使用量は、使用した重合性単量体組成物100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.07〜0.3重量部である。消泡剤の使用量が少ないと、十分な消泡効果を得ることが困難となることがあり、多いと、得られる重合トナーの環境特性、特にH/H環境における耐久性等の印字特性が低下しやすい。
着色重合体粒子中の残留モノマー及び残留VOCが所望の量以下になった時点で、ストリッピング処理の終了することができるが、得られる重合トナーの印字中の臭気等や近年の厳しい環境規制の観点から、ストリッピング処理後の着色重合体粒子中の残留モノマー及び残留VOCの量が合わせて50ppm以下となるようにすることが好ましい。ここで、除去される残留モノマーは、重合性単量体であり、シェル用重合性単量体も含む。また、除去される残留VOCは、水系媒体中の有機溶媒、残留する重合開始剤、並びに重合性単量体組成物の調製工程や重合工程で使われたその他の添加剤中の揮発性有機化合物、およびこれらの分解反応によって生じた揮発性有機化合物などである。
注入する気体は、上述のように空気又は不活性ガスであるが、窒素が好ましい。注入する気体の流量は、ストリッピング処理の対象となる、着色重合体粒子を含む水系分散液(追加の水系媒体をした場合はこれを含む)の単位量あたり、好ましくは0.005〜10L/hr・kgであり、より好ましくは、0.01〜5L/hr・kg、さらに好ましくは0.02〜2L/hr・kgである。この範囲より少ないと、残留モノマー及び残留VOCの除去の速度が十分でない。逆に多いと、発泡が多くなり、ストリッピング処理を継続することが困難になったり、また、着色重合体粒子の凝集が増加したりする一方、大量の気体を使用するためエネルギー消費が増大してしまう。気体の流量は、ストリッピング処理が進むにしたがって、徐々に増加していくことが好ましい。ストリッピング処理前半の平均の流量に対する、ストリッピング処理後半の平均の流量の比が、1.05〜10の範囲であることが好ましく、1.2〜6がより好ましく、1.5〜5が特に好ましい。
本発明のストリッピング処理は、蒸発器の気相部の圧力(絶対圧)が、5〜80kPaの減圧下で行なう。この圧力は、好ましくは、10〜75kPa、より好ましくは15〜70kPa、さらに好ましくは30〜65kPaである。ストリッピング時の蒸発器の内液の温度(最高温度)は通常20〜95℃であり、好ましくは50〜95℃、更に好ましくは70〜90℃である。ストリッピングに要する時間は特に限定されないが、通常30分〜24時間、好ましくは2〜16時間、特に好ましくは4〜12時間である。これらの範囲であると、ストリッピング処理の効率が良く、また、着色重合体粒子の凝集、及び蒸発器内の着色重合体粒子を含む水系媒体内部からの水系媒体やその他の揮発性成分の沸騰による発泡を、抑えて、安定なストリッピング処理をすることができる。
ストリッピング処理に際して、着色重合体粒子の水系分散液の液面上に発泡が生じるが、泡レベルが、蒸発器の高さを基準として95%を越えず、かつストリッピング処理を通じて、泡レベルの変動の幅がレンジで10%以内となるように、ストリッピング処理の条件を制御することが好ましい。本発明においては、泡レベルは、蒸発器の高さを基準(100%)とし、その底部からの泡の高さをパーセントで表示して、泡レベル(%)として示したものである。蒸発器内にその高さの60%のところに分散液の液面がある場合には、泡レベルは、60%を越えることになる。ガス循環ラインや凝縮器などを泡で汚染しないようにするためには、泡レベルを、ストリッピング処理の間を通して、95%を超えない範囲にすることが好ましく、より好ましくは93%以下の範囲にする。ストリッピングの処理効率の観点から、泡レベルが低下しすぎることは好ましくない。すなわち、泡レベルを維持することが好ましく、泡レベルの変動の幅がレンジで蒸発器の高さの10%以内となるように維持することがより好ましい。
本発明で行なうストリッピング処理で用いる、装置について例を用いて説明する。装置は、図1に示すように、外部に気体循環ライン6−7−8−9−10−11−5−3を備え、この気体循環ラインは、ブロワー5、揮発性物質除去装置10、凝縮器7、及び凝縮タンク8を有している。蒸発器1は、ストリッピング処理に必要な減圧に耐える強度を有する容器であり、重合工程で用いた容器(反応器)と共通であってもよいし、異なっていてもよい。蒸発器1は、内部の着色重合体粒子の分散液を攪拌するための撹拌翼2を備えている。また、蒸発器1の外面に、重合時の加熱や冷却、およびストリッピング処理での加熱をするためのジャケット(図示せず。)を備えていてもよい。
気体源(図示せず)からブロワー4により空気や不活性ガスである気体が気体吹き込み管3を通して蒸発器1の液面下内に吹き込まれるように構成してある。内液を撹拌しながら蒸発器1内の温度を所定の温度に昇温した後、ブロワー4から気体を吹き込み管3の開口から蒸発器1内に吹き込む。分散液の水系媒体の一部、残留モノマーや残留VOCが気体循環ライン6を通って、凝縮器7に導かれ、ついで凝縮タンク8に導かれる。凝縮タンク8内で凝縮されて液化した水系媒体、残留モノマーや残留VOCの液体成分は、そこで回収される(回収ラインを図示せず)。気体成分は、気体循環ライン9を通って揮発性物質除去装置10に導かれる。揮発性物質除去装置10は、例えば、活性炭を充填した吸着塔や冷水を溜めたバブリング装置であり、そこで、残留モノマーや残留VOCが除去される。その後、空気や不活性ガスなどの気体成分は、気体循環ライン11からブロワー5を経て循環して再使用される。
ストリッピング処理における攪拌の条件としては、攪拌速度が、1〜50回転/分であることが好ましく、2〜40回転/分であることがさらに好ましい。撹拌翼2としては、特に限定されないが、幅広パドル翼、幅広傾斜翼、ブルマージン翼及びその変形翼、フルゾーン翼、およびウォールウエッター翼等の撹拌翼を備えたものが好ましい。また、特開2001−117272号公報に開示されているように、撹拌翼の一部を液面上に突出させてもよい。
(5)重合トナー
ストリッピング処理終了後に、常法の重合トナーの製造方法に従い、着色重合体粒子を含む水系分散液から、着色重合体粒子を濾過して取り出し(濾別)、分散安定化剤の除去、脱水、及び乾燥の操作を行い、乾燥した着色重合体粒子を得る。濾別後の工程は、必要に応じて数回繰り返すことが好ましい。分散安定化剤の除去は、硫酸などの酸を添加して分散安定化剤を溶解することにより行うことが一般的である。
着色重合体粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比Dv/Dpが、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、得られる重合トナーを用いた画像にカスレが発生したり、転写性、印字濃度及び解像度の低下が起こったりする場合がある。着色重合体粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、製品名マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
着色重合体粒子は、そのままで重合トナーとして、電子写真の現像に用いることもできるが、着色重合体粒子に、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を添加して混合することにより、着色重合体粒子表面に外添剤を付着又は埋設させることが好ましい。重合トナーとして用いる際の帯電性、流動性、保存性等を調整し改良することができるからである。この際の混合には、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いることが好ましい。外添剤としては、通常、流動性や帯電性を向上させる目的で使用されているシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン等の、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。
本発明の重合トナーは、残留VOCが少なく、その成分であるエーテル成分の含有量に注目した場合、通常500ppm未満であり、好ましくは400ppm未満、さらに好ましくは100ppm未満、最も好ましくは50ppm未満であり、下限値は特にないが、好ましくは2ppm以上である。また、本発明のトナーは、残留モノマーが少なく、その成分であるスチレン含有量に注目した場合、好ましくは50ppm未満であり、さらに好ましくは20ppm未満であり、下限値は特にないが、好ましくは2ppm以上である。
本発明の製造方法を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った試験方法は以下のとおりである。
(着色重合体粒子の粒径)
着色重合体粒子の体積平均粒径Dv、及体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpで表される粒径分布は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、製品名:マルチサイザー)により測定する。測定条件は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子数=100,000個で行った。
(コアシェル型着色重合体粒子のシェル層の厚みの測定)
コア粒子を分取しておき、その平均粒径を、上記と同様に求めておき、これと使用したシェル用の重合性単量体の量から算出して求めた。
(着色重合体粒子の球形度)
着色重合体粒子の各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像解析装置(ニレコ社製、製品名ルーゼックスIID)により解析して求めた。写真の条件は、フレーム面積に対する粒子の面積率を2%以下とし、計測した粒子数を100個とした。最大外周円の面積を実質断面積で割った値を各粒子に対して測定し、平均値を球形度Sc/Srとした。
(重合トナー中の残留エーテル量及び残留スチレン量の測定)
重合トナー3gを1mg単位まで精秤する。重合トナー3gに酢酸エチル27gを加えて15分間撹拌した後、メタノール13gを加えて更にl0分間撹拌する。このようにして得られた溶液を静置して、不溶分を沈殿させる。この溶液の上澄み液を測定用試料とし採取し、2μlをガスクロマトグラフに注入してスチレン及びエーテル成分を定量する。ガスクロマトグラフによる測定条件は、以下のとおりである。
カラム=製品名:DB−5、Agilent社製、0.25mm×30m、
カラム温度=40℃で3分間保持した後、130℃まで10℃/分で昇温し、130℃到達後、20℃/分で230℃まで昇温、
インジェクション温度=200℃
FID検出側温度=250℃
定量用標準試料:各検出するべき成分の上記と同様の酢酸エチル/メタノール溶液
(高温保存性試験)
重合トナー20gを容器に入れて、密閉した後、温度を60℃にした恒温水槽の中に該容器を沈め、5時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、製品名PowderTester)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの重量を測定し、これを凝集したトナーの重量とした。測定したトナーの重量(20g)に対する、篩上に残ったトナーの重量(凝集したトナーの重量に相当)の割合(重量%)から、トナーの高温保存性(%)を算出した。トナーの高温保存性(%)は、数値が小さい程、凝集したトナーが少なく、高温保存性が良いことを示す。
(印字耐久試験)(NN環境カブリ発生枚数、HH環境カブリ発生枚数)
重合トナーを市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度18枚(A4用紙)/分)に入れて、温度23℃、湿度50%の環境(NN環境)下で一昼夜放置した後、同じNN環境下で、1%印字濃度で連続印字を行ない、1,000枚ごとに一旦印字を止めてカブリを測定した。下記のカブリΔEが1以上になった枚数をNN環境カブリ発生枚数(単位:K=1,000枚)とした。カブリは、まず、白ベタ印字(本来何も印刷されないはずの画像を印字)を行ない、印字の途中で、上記プリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けた。非画像部のトナーが付着している個所について、分光色差計(日本電色社、製品名SE−2000)で色調を測定した。同様に、対照として、未使用の粘着テープをその印字用紙に貼り付け、基準サンプルとし、同様に色調を測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値とした。カブリ値は小さい方が、カブリが少なく、画質が良好であることを示す。
同様の印字耐久試験を、温度28℃、湿度80%の環境(HH環境)でも行ない、HH環境カブリ発生枚数を得た。
(臭気試験)
重合トナーの臭気試験は、10人のモニターをランダムに選択し、上記の印字耐久試験(NN環境カブリ)において、1,000枚目印刷時のプリンター排気部の臭気を官能性試験した。
評価A・・10人中9人以上が、臭気が気にならなかった。
評価B・・10人中7人以上が、臭気が多少気になるが、不快な程ではないと感じた。
評価C・・10人中5人以上が、臭気に不快を感じた。
(実施例1)
スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部からなるコア用重合性単量体、
マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、製品名AA6)0.25部、
銅フタロシアニン顔料(大日本インキ社製、製品名CTBX121)1部、
および帯電制御剤(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成社製、製品名FCA−207P)1部とを、
通常の撹拌翼を有する攪拌装置で攪拌し、混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、
離型剤としてペンタエリスリトールテトラミリステートを5部添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物とした。
これとは別に、25℃で、
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)8.6部を溶解した水溶液を、攪拌しながら、
イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属塩)4.8部を溶解した水溶液を、
徐々に添加して、
水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)の分散液を調製した。得られたコロイドの粒径分布を粒径分布測定機(島津製作所製、製品名SALD有形分布測定機)で測定したところ、D50(個数粒径分布の小粒径からの50%累積値)が0.36μm、D90(同90%累積値)が0.80μmであった。
上記の水酸化マグネシウムコロイドの分散液に、25℃で、上記のコア用重合性単量体組成物を添加し、通常の撹拌翼を備えた攪拌装置により、生成する粗い液滴が安定するまで攪拌した。ここに、
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ ジエチルアセテートを4.5部、
分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)を1.0部、および
架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼンを0.5部
添加し、高速剪断攪拌機(荏原製作所製、製品名エバラマイルダー)を用いて15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して、重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
これとは別に、25℃で、
イオン交換水39.64部に塩化マグネシウム1.51部を溶解した水溶液を、攪拌しながら、
イオン交換水7.93部に水酸化ナトリウム0.92部を溶解した水溶液を、
徐々に添加して、
予備投入分の水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。
これとは別に、
シェル用重合性単量体として、メチルメタクリレート1部を、
シェル用の水溶性の重合開始剤として、和光純薬社製、製品名VA086の0.1部をイオン交換水10部に溶解した溶液を
用意した。
撹拌翼を持つ攪拌装置を備えた反応器を用意した。この反応器の上部から、上記の予備投入分の水酸化マグネシウムコロイドの分散液を、噴霧器を通して、反応器の壁と攪拌機に散布した。散布した予備投入分の水酸化マグネシウムコロイドの分散液は、反応器の底部に溜まった。
上記の反応器に、上記のコア用重合性単調量体の液滴が分散した水系分散液を、その上部から投入した。この際に、反応器の下部に溜まった予備投入分の水酸化マグネシウムコロイドの分散液が、コア用重合性単調量体の液滴が分散した水系分散液の落下の衝撃を和らげていた。
上記反応器内の液を、反応器の外部に設けたジャケットにより加温し、液温を90℃に加温することによりコア用重合性単量体組成物の重合反応を開始した。重合反応を継続し、重合転化率が95%に達した時に、系内の温度を90℃に維持しながら、上記のシェル用重合性単量体と、上記のシェル用の水溶性の重合開始剤を添加した。さらに3時間、90℃に系内温度を維持することにより重合反応を継続したあと、ジャケットに冷却水を循環させることにより、系内の温度を常温(約25℃)に下げることにより重合反応を停止した。以上の操作により、反応器内に、コアシェル型の着色重合体粒子を含む水系分散液を得た。反応器内の内液のpHは0.5であった。
得られた着色重合体粒子を含む水系分散液を、図1に示す装置を用いて、次の様にストリッピング処理した。まず、得られた着色重合体粒子を含む水系分散液に、イオン交換水を、その固形分濃度が20%になるように追加して希釈した。希釈した後の着色重合体粒子を含む水系分散液を蒸発器1に供給した。ここに非シリコーン系消泡剤(サンノプコ社製、製品名SNデフォーマー180)を1部加えた。蒸発器1内に、窒素ガスを流して、その気層部を窒素ガスで置換した。次いで、着色重合体粒子を含む水系分散液を、撹拌翼2で20rpmで攪拌しながら、蒸発器1の外部に接して設けられたジャケットに温水を通じることにより、蒸発器を加温し、内部の着色重合体粒子を含む水系分散液が80℃になるまで加熱した。その後、ブロアー5を起動して、着色重合体粒子を含む水系分散液の液中に、気体吹き込み口が直管形状の気体吹き込み管3から窒素ガスを吹き込んで、液中の揮発性物質を除去していった。このようなストリッピング工程を、蒸発器内の、液温80℃、圧力48kPa、および窒素ガスの流量0.1L/hr・kgになるように調整しながら6時間行った。この間、泡レベルは、90%以上95%以下を維持した。その後、着色重合体粒子を含む水系媒体を、前述のジャケットに冷却水を通じることにより25℃まで冷却した。
冷却後の着色重合体粒子を含む水系媒体を攪拌しながら、ここに硫酸を加えて、その液のpHを4.5に中和することより、酸洗浄を行った。中和後の着色重合体粒子を含む水系分散液から、濾過により、湿潤状態の着色重合体粒子を分離(濾別)した。その後、新たにイオン交換水500部を加えて、湿潤状態の着色重合体粒子を再度スラリー化し、これを再度濾別した。このスラリー化と濾別を5回繰り返して行うことにより、湿潤状態の着色重合体粒子を水洗した。水洗後の湿潤状態の着色重合体粒子を、真空乾燥機により、温度50℃、圧力4kPaで24時間乾燥し、乾燥した着色重合体粒子(本発明では、単に、着色重合体粒子ということがある。)を得た。
得られた着色重合体粒子は、コアシェル型着色重合体粒子であり、体積平均粒径(Dv)は9.5μm、粒径分布(Dv/Dp)は1.16、シェルの厚みは0.03μm、球形度Sc/Srは1.2であった。
着色重合体粒子100部に、疎水化処理した微粒子(キャポット社製、製品名TG820F)0.8部、および疎水化処理した微粒子(日本アエロジル社製、製品名NA50Y)1部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、これらを外添し、非磁性一成分の重合トナーを得た。得られたトナーの試験結果をまとめて表1に示す。
(実施例2)
コア用の、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシジエチルアセテートの代わりにt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエートを5部使用し、分子量調整剤としてTETDの代わりにt−ドデシルメルカプタンを1.2部使用し、ストリッピング工程中の、蒸発器内の液温を80℃から85℃にあげ、蒸発器内の圧力を48kPaから60kPaに上げて減圧度を下げ、ストリッピング処理時間を10時間に延長した外は実施例1と同様にして重合トナーを得た。ストリッピング工程の条件と、結果、重合トナーの試験結果をまとめて表1に示す。
(比較例1)
コア用の、分子量調整剤のTETDを0.5部に減らし、架橋性の重合性単量体のジビニルベンゼンを0.25部に減らし、ストリッピング工程中の、蒸発器内の圧力を48kPaから101Paに上げて常圧として、ストリッピング処理の時間を20時間まで延長した外は実施例1と同様にして重合トナーを得た。ストリッピング工程の条件と、結果、重合トナーの試験結果をまとめて表1に示す。
(比較例2)
コア用の、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシジエチルアセテートの代わりにt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエートを5部使用し、分子量調整剤のTETDを0.5部に減らし、架橋性の重合性単量体のジビニルベンゼンを0.25部に減らし、ストリッピング工程中で、消泡剤を使用しなかった外は実施例1と同様にして、ストリッピング工程を試みたが、ストリッピング工程中に蒸発器1内の発泡が激しくなり、泡レベルが100%を越え、それ以上の処理が困難となったので、ストリッピング工程を2時間で中断した。その後、実施例1と同様にして、酸洗浄・水洗・濾別・乾燥して重合トナーを得た。ストリッピング工程の条件と、結果、重合トナーの試験結果をまとめて表1に示す。
(比較例3)
コア用の、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシジエチルアセテートの代わりにt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエートを5部使用し、分子量調整剤としてTETDの代わりにt−ドデシルメルカプタンを4部使用し、架橋性の重合性単量体のジビニルベンゼンを3部に増加し、ストリッピング工程中の、蒸発器内の液温を80℃から85℃にあげ、蒸発器内の圧力を48kPaから60kPaに上げて減圧度を下げ、ストリッピング処理時間を10時間に延長した外は実施例1と同様にして重合トナーを得た。ストリッピング工程の条件と、結果、重合トナーの試験結果をまとめて表1に示す。
Figure 2007232775
表1に記載されている試験結果より、以下のことがわかる。ストリッピング処理の工程において、減圧せず、常圧で行った場合(比較例1)は、得られる重合トナーの残留エーテルが十分に下がらず、高温保存性、NN耐久性、およびHH耐久性が劣り、現像時に臭気が発生する。消泡剤を使用しなかった場合(比較例2)は、ストリッピング処理工程中で安定な操業ができない。重合トナー中の残留エーテルが多い場合(比較例3)は、残留スチレンの量も多く、高温保存性、NN耐久性、およびHH性が劣り、現像時に臭気が発生する。これに対し、実施例1、2では、ストリッピング処理の工程を安定に行なうことができ、かつ、残留エーテルや残留スチレンが少なく、高温保存性、NN耐久性とHH耐久性が優れ、現像時の臭気も発生しない。
本発明の重合トナーおよび、本発明の製造方法により得られる重合トナーは、ファクシミリ、複写機、及びプリンター等の電子写真法による画像形成装置において、現像剤として用いることができる。
本発明の実施例で採用している、ストリッピング処理のための装置の例を示す図である。
符号の説明
1:蒸発器
2:攪拌翼
3:気体吹き込み管
4:微量気体吹き込み管
5:ブロワー
6:気体循環ライン
7:凝縮器
8:凝縮タンク
9:気体循環ライン
10:揮発性物質除去装置
11:気体循環ライン
12:非接触型泡レベル計

Claims (7)

  1. 重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で、重合開始剤として有機過酸化物の存在下に重合し、着色重合体粒子を含む水系分散液を得る工程、
    及び、気相部の圧力が5〜80kPaである蒸発器内において、攪拌しながら、該水系分散液の液面下に空気又は不活性ガスを注入するストリッピング工程
    を経て得られる重合トナーであり、
    エーテル成分含有量が500ppm未満であることを特徴とする重合トナー。
  2. 該ストリッピング処理工程において、該水系媒体が、油脂系消泡剤、鉱油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、ポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤、油脂とポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤を含む乳化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の非シリコーン系消泡剤を含有することを特徴とする請求項1記載の重合トナー。
  3. 該重合開始剤が、非芳香族系パーオキシエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の重合トナー。
  4. スチレン含有量が、50ppm未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合トナー。
  5. 該重合性単量体組成物が、該重合性単量体中のモノビニル単量体100重量部に対して、分子量調整剤を0.01重量部以上3重量部以下含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の重合トナー。
  6. 該重合性単量体組成物が、分子量調整剤として、メルカプタン化合物、チウラム化合物、及びジチオカルバミン酸化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の重合トナー。
  7. 重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で、重合開始剤の存在下に重合して得られる着色重合体粒子を含有する重合トナーの製造方法において、
    該重合開始剤として有機過酸化物を用い、
    該着色重合体粒子を含む水系媒体を、気相部の圧力が5〜80kPaである蒸発器内において攪拌しながら、その液面下に空気又は不活性ガスよりなる気体を注入する、ストリッピング工程を行なうことにより、
    重合トナー中のエーテル成分含有量を500ppm未満とすることを特徴とする重合トナーの製造方法。
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