JP2002148855A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

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JP2002148855A
JP2002148855A JP2000346364A JP2000346364A JP2002148855A JP 2002148855 A JP2002148855 A JP 2002148855A JP 2000346364 A JP2000346364 A JP 2000346364A JP 2000346364 A JP2000346364 A JP 2000346364A JP 2002148855 A JP2002148855 A JP 2002148855A
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polymerization
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Takashi Iga
隆志 伊賀
Nobuyasu Ota
信保 太田
Kazuhiro Sato
一宏 佐藤
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分級工程を経なくとも粗大粒子又は微細粒子
が少なく、再生紙においても印字白筋、カブリが発生し
ないトナーを効率よく製造することができる方法を提供
する。 【解決手段】 撹拌槽を用いて、重合性単量体、着色剤
及び帯電制御剤を含有する単量体組成物を、水系分散媒
体中に分散させ、該単量体組成物の液滴を造粒して分散
液を得、該分散液を7m/秒以下の噴出速度で重合反応
槽に移送し、次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重
合して重合体粒子を得ることを含むトナーの製造方法に
よって、粒径分布がシャープなトナーを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法等によって形成される静電潜像を現像するための
トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、分級工程を
経なくとも粗大粒子又は微細粒子が少なく、再生紙にお
いても印字白筋、カブリが発生しないトナーを効率よく
製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トナーの製造方法として、(1)結着樹
脂を着色剤、帯電制御剤、離型剤などと混練し、粉砕
し、分級して着色粒子を得る粉砕法と、(2)重合性単
量体を、又は重合性単量体、帯電制御剤、離型剤等の混
合物を、懸濁重合、乳化重合又は分散重合し、必要に応
じて凝集させて着色粒子を得る重合法とがある。重合法
によりトナーを得ようとする場合には、少なくとも重合
性単量体を含有する単量体組成物を、分散安定剤を含有
する水系媒体中で適当な攪拌機を用いて適当な粒径の単
量体組成物液滴に造粒し、予め添加されている重合開始
剤又は新たに加えられた重合開始剤によって重合性単量
体を重合する。この重合法によって得られるトナーは、
粒子の形状が球形に近いため流動性に優れ、粒径分布が
粉砕法トナーと比較して格段にシャープである等の特徴
を有する。現在、トナー粒子に要求されている粒子の体
積平均粒径は1〜10μmであり、かつ粒径分布は、体
積平均粒径/個数平均粒径(dv/dp)が1.0〜
1.4程度であると言われている。しかし粒径分布がシ
ャープであると言われている重合法により得られるトナ
ーであっても、工業的な大量生産において、この粒径分
布の要求レベルを満足するためには、分級工程を必要と
する場合があった。
【0003】分級工程を経ると、収率が下がり生産性に
悪影響を及ぼす。そこで、分級不要なほどに粒径分布の
シャープなトナーを得るために、トナー材料の面からの
検討の他、造粒条件における検討が行われている。例え
ば、重合性単量体、着色剤および分散安定剤が分散溶媒
中に分散された分散液を、室温と該重合性単量体の重合
が開始する温度との中間温度に加温して懸濁させ、次い
で該懸濁液を昇温して該重合性単量体を重合する方法
(特開平5−40364号公報)、また懸濁時間を短く
するために60〜70℃の高温で懸濁する方法(特開昭
59−123854号公報、特開昭59−152446
号公報、特開昭60−57856号公報、特開昭60−
117256号公報)などが提案されている。これらの
方法の懸濁工程においては高速撹拌装置が用いられてい
る。しかしながら、これらの方法によって得られるトナ
ーにおいても、たびたび、粒径分布の広いものが得られ
ることがある。そのため、生産ロット毎に粒径分布が異
なるという結果になり 、生産が不安定になることがあ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分級
工程を経なくとも粗大粒子又は微細粒子が少なく、再生
紙においても印字白筋、カブリが発生しないトナーを効
率よく安定的に製造することができる方法を提供するこ
とにある。本発明者の検討によれば、懸濁工程で用いら
れる高速撹拌装置は、剪断発熱によって液温を上昇させ
る。このため、外部加温をしながら懸濁を行うと、液温
が生産ロット毎に変動し不安定となることを見いだし
た。そこで、本発明者は、分散液を外部から強制的に冷
却し、特定の温度範囲におさめることによって、分級工
程を経なくとも粗大粒子又は微細粒子が少なく、再生紙
においても印字白筋やカブリが発生しないトナーを効率
よく安定的に製造することができることを見出し、かか
る知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、重合性単量体を含有する単量体組成物を、水系分散
媒体中に分散させ、造粒前後の液温上昇幅を強制冷却に
よって0〜20℃に抑えながら該単量体組成物の液滴を
造粒して分散液を得、次いで、該分散液滴中の重合性単
量体を重合して重合体粒子を得ることを含むトナーの製
造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、重合性単量
体を含有する単量体組成物を水系分散媒体中に分散さ
せ、造粒前後の液温上昇幅を強制冷却によって0〜20
℃に抑えながら該単量体組成物の液滴を造粒して分散液
を得、次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重合して
重合体粒子を得ることを含むものである。
【0007】本発明に用いる重合性単量体の主成分とし
てモノビニル系単量体を挙げることができる。この重合
性単量体が重合され、重合体粒子を構成する結着樹脂と
なる。モノビニル系単量体の具体例としては、スチレ
ン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチ
レン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのエチレ
ン性不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチル
アミノエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミド、メタクリルアミド等のエチレン性不飽和
カルボン酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン
等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩
化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル単量
体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等の
ビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロ
ペニルケトン等のビニルケトン系単量体;2−ビニルピ
リジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等
の含窒素ビニル単量体;等のモノビニル系単量体が挙げ
られる。これらのモノビニル系単量体は、単独で用いて
もよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。
これらのモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量
体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不
飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸
の誘導体などが好ましく、特にスチレン系単量体とエチ
レン性不飽和カルボン酸エステルが好適に用いられる。
【0008】これらのモノビニル系単量体とともに任意
の架橋性モノマーを重合性単量体として用いると、定着
性、特にオフセット性が向上する。架橋性モノマーとし
ては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレ
ン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート等の多官能エチレン性不飽和カル
ボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニル
エーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙
げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることが
できる。本発明では、架橋性モノマーを、モノビニル系
単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが
望ましい。
【0009】また、本発明では、重合性単量体としてマ
クロモノマーを使用することができる。マクロモノマー
は、分子鎖の末端にエチレン性不飽和基を有するもの
で、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000
のオリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマー分
子鎖の末端に有するエチレン性不飽和基としては、アク
リロイル基、メタクリロイル基などを挙げることがで
き、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好
適である。マクロモノマーの量は、モノビニル系単量体
100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、
好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05
〜1重量部である。この範囲であれば保存性と定着性と
の良好なバランスが得られる。
【0010】単量体組成物にはさらに、着色剤、耐電制
御剤、分子量調整剤、重合開始剤、離型剤などの他の配
合物を含有させることができる。着色剤は、一般にトナ
ー用の着色剤として周知の染料や顔料を使用することが
できる。黒色着色剤として、カーボンブラック、ニグロ
シンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化
鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の
磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラッ
クを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるもの
を用いると良好な画質が得られ、またトナーの環境への
安全性も高まるので好ましい。カラートナー用の着色剤
は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤な
どがある。イエロー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合
多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.
I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、
17、62、65、73、83、90、93、97、1
20、138、155、180及び181等が挙げられ
る。
【0011】マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮
合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.
I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、
64、68、81、83、87、88、89、90、1
12、114、122、123、144、146、14
9、163、170、184、185、187、20
2、206、207、209、251、C.I.ピグメ
ントバイオレット19、等が挙げられる。シアン着色剤
としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、ア
ントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.
I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、1
5:2、15:3、15:4、16、17、及び60等
が挙げられる。これら着色剤は、モノビニル系単量体1
00重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ま
しくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0012】帯電制御剤として、各種の正帯電性又は負
帯電性の帯電制御剤を用いることが可能である。例え
ば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物
の金属錯体、含金属染料、ニグロシン等が挙げられる。
より具体的には、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化
学社製)、T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロン
S−34(オリエント化学社製)ボントロンE−84
(オリエント化学社製)、ボントロンN−01(オリエ
ント化学社製 )、コピーブルー−PR(クラリアント
社製)等の帯電制御剤及び/または4級アンモニウム
(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合
体等の帯電制御樹脂を用いることができる。これらのう
ち帯電制御樹脂が好適である。上記帯電制御剤は、モノ
ビニル系単量体100重量部に対して、通常0.01〜
10重量部、特に0.03〜8重量部用いることが好ま
しい。
【0013】離型剤としては、低分子量ポリエチレン、
低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの
低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分
子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した
低分子量末端変性ポリプロピレン及びこれらと低分子量
ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子
量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分
子量ポリエチレン及びこれらと低分子量ポリプロピレン
のブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワッ
クス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、
ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイク
ロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックス
及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケラ
イト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワッ
クスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラ
ミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテー
ト、ペンタエリスリトールテトララウレートなどのペン
タエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールヘ
キサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパル
ミテート、ジペンタエリスリトールヘキサラウレートな
どのジペンタエリスリトールエステル等多官能エステル
化合物;など1種あるいは2種以上が例示される。
【0014】これらのうち、合成ワックス、末端変性ポ
リオレフィンワックス類、石油系ワックス及びその変性
ワックス、多官能エステル化合物などが好ましい。多官
能エステル化合物のなかでも示差走査熱量計により測定
されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が
30〜200℃、好ましくは50〜180℃、60〜1
60℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、
同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタ
エリスリトールエステルなどの多価エステル化合物が、
トナーとしての定着−剥離性バランスの面で特に好まし
い。とりわけ分子量が1000以上であり、スチレン1
00重量部に対し25℃で5重量部以上溶解し、酸価が
10mg/KOH以下であるジペンタエリスリトールエ
ステルは、定着温度低下に著効を示す。吸熱ピーク温度
は、ASTM D3418−82によって測定された値
である。上記離型剤は、モノビニル系単量体100重量
部に対して、通常0.1〜30重量部、特に1〜20重
量部用いることが好ましい。
【0015】分子量調整剤としては、t−ドデシルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメ
ルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化
炭素などのハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレン
ダイマー等を例示することができる。これらの分子量調
整剤は、単量体組成物に含有させてもよいし、重合開始
前、あるいは、重合の途中で反応系に添加してもよい。
上記分子量調整剤は、モノビニル系単量体100重量部
に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.
1〜5重量部用いる。
【0016】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メ
チル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シ
クロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチル
エチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ア
セチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイ
ルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーブチルネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシ2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ジ−イソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパー
オキシイソフタレート、1,1’,3,3’−テトラメ
チルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類など
を例示することができる。また、これら重合開始剤と還
元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることが
できる。これらのうち、使用される重合性単量体に可溶
な油溶性の開始剤を選択することが好ましく、必要に応
じて水溶性の開始剤をこれと併用することもできる。上
記重合開始剤は、モノビニル系単量体100重量部に対
して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜1
5重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部用いる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加するこ
とができるが、造粒工程終了後に添加することもでき
る。
【0017】本発明に用いる水系分散媒体は、水を主成
分する分散媒体であり、これに分散安定剤が含まれてい
るものが好ましい。分散安定剤としては、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カ
ルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタ
ン等の金属酸化物; 水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高
分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、
両性界面活性剤等を挙げることができる。これらのう
ち、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイ
ドを含有する分散安定剤は、重合体粒子の粒径分布を狭
くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適で
ある。特に架橋性モノマーを共重合させなかった場合に
は、難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤
が、重合中の重合体粒子の分散安定性ならびに、トナー
の定着性と保存性とを改善するために好適である。
【0018】難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有す
る分散安定剤は、その製法による制限はないが、水溶性
多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整すること
によって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、
特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との
水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物の
コロイドを用いることが好ましい。本発明に用いる難水
溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個
数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D9
0(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下である
ことが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の
安定性が崩れ、またトナーの保存性が低下する。分散安
定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の
割合で使用する。この割合が少ないと充分な重合安定性
を得ることが困難であり、凝集物が生成し易くなる。逆
に、この割合が多いとトナー粒径が細かくなりすぎるの
で好ましくない。
【0019】本発明に用いる水系分散媒体は、分散安定
剤の他に、水溶性の有機化合物、あるいは無機化合物を
含有していてもよい。特に水溶性オキソ酸塩が含有され
ていると、粒径分布がシャープになり好ましい。水溶性
オキソ酸塩としては、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭
酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩等が挙げられ、好ましくはケイ
酸塩、ホウ酸塩又はリン酸塩が、特に好ましくはホウ酸
塩が挙げられる。ホウ酸塩としては、テトラヒドロホウ
酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム;四ホウ酸
ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、メタホウ酸
ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、ペルオキ
ソホウ酸ナトリウム四水和物、メタホウ酸カリウム、四
ホウ酸カリウム八水和物などが挙げられる。リン酸塩と
しては、ホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスホン酸
ナトリウム五水和物、ホスホン酸水素ナトリウム2.5
水和物、リン酸ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸
二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二
水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、次リン酸ナトリ
ウム十水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸
二水素二ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム六水
和物、三リン酸ナトリウム、cyclo−四リン酸ナト
リウム、ホスフィン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、
ホスホン酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素
二カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム
三水和物、メタリン酸カリウムなどが挙げられる。ケイ
酸塩としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナト
リウム9水和物、水ガラス、オルトケイ酸ナトリウムな
どが挙げられる。水溶性オキソ酸塩の量は、難水溶性無
機化合物コロイド100重量部に対して、通常0.1〜
1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。
水溶性オキソ酸塩は、溶解させて水系分散媒体中に含有
させる。
【0020】単量体組成物を水系分散媒体に分散させる
方法は特に限定されない。例えば、図1に示す製造装置
の撹拌槽に単量体組成物と水系分散媒体とを添加し攪拌
して分散させることができる。本発明に用いる撹拌槽
は、特に限定されず、化学装置において通常使われる槽
に撹拌翼を備えた撹拌装置が設けられたものである。攪
拌翼は、一般的な撹拌装置に用いられるものであれば特
に制限されないが、具体例としては傾斜パドル翼、平パ
ドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファドラー翼、ター
ビン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼(住友重
機械工業製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック製)、リ
ボン翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A
310翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIG
HTNIN製)、インターミグ翼(エカート製)等が例
示される。これらの中でも、攪拌時の翼近傍の剪断速度
を低下させながら、均一混合及び除熱能力を確保するた
め、傾斜パドル翼、マックスブレンド翼、フルゾーン
翼、スーパミックス翼、A310翼、A320翼、イン
ターミグ翼が好ましく、生産性の観点から傾斜パドル翼
が特に好ましい。
【0021】攪拌翼の大きさは、製造設備に応じた大き
さを選択することができる。好適な攪拌翼の大きさは、
重合反応容器の内径Dと撹拌翼の回転直径(d)との関
係d/Dが、通常0.2〜0.8、好ましくは0.3〜
0.7である。攪拌翼は一段で使用しても良いし、多段
に配置して使用しても良く、更には異なる翼を組み合わ
せて使用しても良いが、特に攪拌効率の観点から、同型
の翼を2〜3段組み合わせた多段翼が好ましい。
【0022】本発明において、好適な攪拌条件は、攪拌
により消費される動力P[kw]を、撹拌槽中の分散液
の体積V[m]で割った攪拌所要動力Pv[kw/m
]が、通常0.01〜0.6、好ましくは0.05〜
0.5、特に好ましくは0.08〜0.4である。Pv
値が大き過ぎると、攪拌が強すぎて、液滴の合一が進行
し粒径分布がブロードになることがある。また逆に、P
v値が小さ過ぎると、分散物の混合不良による造粒効率
の低下で粒径分布がブロードになることがある。本発明
においては、このPvを適切な範囲にコントロールする
ことにより、得られるトナー粒子の粒径分布をよりシャ
ープにすることができる。また、攪拌翼先端速度の上限
は通常5m/s以下、好ましくは4m/s以下であり、
より好ましくは3m/s以下である。攪拌翼先端速度の
下限は、攪拌効果と攪拌効率の観点から、好ましくは
0.3m/s以上、より好ましくは0.5m/s以上で
ある。この撹拌先端速度が過度に早い場合には、粒径分
布がブロードになりやすくなることがある。
【0023】本発明においては、次いで、該単量体組成
物の液滴を造粒して分散液を得る。造粒するために、通
常、高速攪拌装置が用いられる。本発明に用いる高速撹
拌装置は、特に限定されず、例えば、TKホモミキサー
(特殊機化工業社製)に代表されるタービン型撹拌機、
エバラマイルダー(荏原製作所社製)に代表される同心
上に配置された櫛歯形状の回転子及び固定子を高速で回
転させて、その回転子内側から固定子外側に分散液を流
通させて回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌させる
装置、クレアミックスCLM−0.8S(エム・テクニ
ック社製)に代表される高速で回転するローターとそれ
を取り囲むスクリーンにより生じるせん断力、衝突力、
圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作
用によって造粒する装置、TKフィルミックス(特殊機
化工業社製)に代表される液を遠心力によって造粒槽側
壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転
する撹拌具の先端が触れることによって造粒する装置な
どが挙げられる。前記高速撹拌装置に通過させる分散液
の量は、滞留時間表示で、通常0.5〜300秒、好ま
しくは 1〜250秒、より好ましくは 2〜240秒で
ある。
【0024】前記高速攪拌装置の回転部の先端速度は、
一般に5〜90m/s、好ましくは10〜60m/s、
より好ましくは20〜50m/sである。また、前記高
速攪拌装置として前述のエバラマイルダーを使用する場
合の回転子および固定子の組合わせは、粗歯−中歯また
は細歯−中歯または細歯の3段でも、粗歯−中歯または
細歯の2段でも、粗歯、中歯、細歯から選ばれる1段、
のいずれの組合わせも可能である。この中でも粗歯と中
歯および/または細歯の2ないし3段の組合わせが好ま
しい。
【0025】高速攪拌装置等によって造粒を行うと、剪
断発熱によって液温が上昇する。この液温上昇履歴は生
産ロット毎に異なることが本発明者によって見いだされ
た。そこで、本発明の製法では、その造粒前の液温から
造粒後の液温への上昇幅を強制冷却によって0〜20
℃、好ましくは0〜15℃、特に好ましくは0〜10℃
に抑えながら造粒を行う。強制冷却の手段は特に限定さ
れないが、例えば、高速撹拌装置を冷水浴中に入れる、
冷却ジャケットを高速撹拌装置に取り付け、ジャケット
に冷却水を流通させる、などの手段がある。造粒前の液
温は、好ましくは15〜45℃、特に好ましくは20〜
40℃である。造粒前後の温度上昇幅が大きくなると粗
大粒子及び微細粒子の数が多くなる。造粒前の液温は前
記の撹拌槽に加温ジャケットなどを取り付けて調整でき
る。
【0026】本発明の製法を図1を参照しながらより具
体的に説明する。図1の製造装置は、高速撹拌装置1と
撹拌槽2と重合反応槽3とからなる。撹拌槽及び重合反
応槽には撹拌翼(図示せず)がそれぞれ取り付けられて
いる。撹拌槽2の底面に分散液抜き出し口が設けられて
おり、この口から抜き出しライン4が高速撹拌装置1に
接続されている。循環戻りライン5が高速撹拌装置出口
から撹拌槽に伸びており、循環戻りラインの管は撹拌槽
上部から内面に突き出し、撹拌槽内にある分散液の液面
以下の位置に管の先端がくるようになっている。所定の
循環回数を回して造粒された分散液は、バルブの切り替
えによって、移送ライン6を通して撹拌槽から重合反応
槽3に移送でき、重合反応槽で重合が行われるようにな
っている。
【0027】図1の製造装置の高速撹拌装置には冷却ジ
ャケット(図示せず)が取り付けられている。この冷却
ジャケットには冷却水が流通しており、これにより高速
撹拌装置を通過する分散液の温度の上昇幅を調整してい
る。また撹拌槽にもジャケット(図示せず)が設けられ
ていて単量体組成物を水系分散媒体に分散させる際の液
温調整又は造粒前の液温調整のために温水あるいは冷水
を流通させることができ、造粒中は高速攪拌装置から戻
ってきた分散液を強制冷却するために冷水を流通させる
ことができるようになっている。図1の製造装置では、
高速撹拌装置を通過させた分散液を、前記の撹拌槽に戻
し循環させている。分散液を戻す位置は、特に限定され
ないが、撹拌槽中にある分散液の液面下の位置が、粗大
粒子や微細粒子の少ない着色粒子を得るために好まし
い。分散液を液面下の位置に戻すために、例えば、
(1)分散液戻りラインの管が撹拌槽上部の内面から突
き出すようにして設け、その突き出し管(以下、インナ
ーノズルということがある。)の先端が分散液面より下
になるように液面を調整するか、(2)分散液戻りライ
ンの口を撹拌槽側面に設け、その口が分散液面より下に
なるように液面を調整するか、又は(3)分散液戻りラ
インの口を撹拌槽底面に設ける。本発明の製法において
はインナーノズルを用いた方法が好適である。分散液を
戻す位置は、分散液面下の位置であればよく、通常、分
散液面下深度10mm以上、好ましくは30mm以上の
ところに設ける。循環戻りの分散液を液面下の位置に放
出する際の、分散液噴出し速度は、通常5m/s以下、
好ましくは0.1〜3m/sである。過度に噴出し速度
が早い場合には粗大粒子や微細粒子ができやすくなるこ
とがある。分散液の循環回数(高速攪拌装置を通過した
総処理液量/仕込みの処理液量として算出する)は通常
2〜50回であり、好ましくは3〜30回である。
【0028】次いで、水系分散媒体中で造粒された分散
液を重合反応槽に移送する。重合反応層に移送する際の
分散液の噴出速度は特に限定されないが、好ましくは7
m/秒以下、特に好ましくは0.5〜6m/秒の噴出速
度で移送することによって、粗大粒子や微細粒子が少な
くなる。ここで、噴出速度は、重合反応槽の分散液供給
口における流速である。分散液の撹拌槽から重合槽への
移送は、ポンプを使って送ることもできるが、ポンプ内
において液滴に予測不能な剪断がかかって、液滴の合一
や分離が起こることをさけるために、圧力差(ヘッド
差)を利用して移送することが好ましい。圧力差を付け
るためには、たとえば、撹拌槽の底部位置を重合槽の上
部位置より高い位置に設置するか、または、撹拌槽に気
体などを吹き込んで内圧を高くするなどの手段を採るこ
とができる。
【0029】本発明で用いる重合反応槽は、化学装置に
おいて通常使われる撹拌翼付きの槽である。本発明にお
いて攪拌翼は攪拌に寄与する翼を言い、実質的に攪拌に
寄与しない翼(後述するd/Dが0.1未満、好ましく
は0.2未満)の位置についての規定はない。重合反応
槽の攪拌翼の具体例としては傾斜パドル翼、平パドル
翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファドラー翼、タービン
翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼(住友重機械
工業製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック製)、リボン
翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A31
0翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIGHT
NIN製)、インターミグ翼(エカート製)等が挙げら
れる。これらの中でも、攪拌時の翼近傍の剪断速度を低
下させながら、均一混合及び除熱能力を確保するため、
傾斜パドル翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、ス
ーパミックス翼、 A310翼、A320翼、インター
ミグ翼が好ましく、生産性の観点から傾斜パドル翼が特
に好ましい。
【0030】攪拌翼の大きさについては特に制限され
ず、製造設備に応じた大きさを選択することができる。
好適な攪拌翼の大きさは、重合反応容器の内径Dと翼の
中心を通る翼の支柱から翼の先端までの長さの2倍の値
(回転直径;d)との関係d/Dが0.6〜0.2、よ
り好ましくは0.55〜0.3である。攪拌翼は一段で
使用しても良いし、多段に配置して使用しても良く、更
には異なる翼を組み合わせて使用しても良いが、特に攪
拌効率の観点から、同型の翼を2〜3段組み合わせた多
段翼が好ましい。重合反応槽に分散液を移送している間
は、撹拌翼は動作させておいても、停止させておいても
良い。また、移送開始時には撹拌翼を停止させておき、
撹拌翼が分散液に接する位置まで溜まってきた段階で撹
拌翼を動作させてもよい。
【0031】分散液を移送した後、分散液中の重合性単
量体を重合開始剤で重合させ、重合体粒子を得る。重合
時の好適な攪拌条件は、重合中に攪拌により消費される
動力P[kw]を、重合反応中の懸濁液の体積V
[m]で割った攪拌所要動力Pv[kw/m]が
0.01〜0.6、好ましくは0.05〜0.5、特に
好ましくは0.08〜0.4である。この場合、攪拌翼
や重合容器内のスケール付着を防止し、粒径分布がシャ
ープな重合体粒子がより容易に高収率で得られる。この
値が0.6より大き過ぎると、攪拌が強すぎて重合中
に、攪拌翼や重合容器内のスケール付着が発生すること
がある。また逆に、この値が0.01より小さ過ぎる
と、懸濁重合中の混合不良及び除熱不良が発生し易く、
局部的な重合温度及び濃度の不均一性のために粒径分布
がブロードになり、粒径分布がシャープな重合体粒子を
得ることが困難になることがある。本発明においては、
このPvを適切な範囲にコントロールすることにより、
除熱と混合性能を必要なだけ確保し、かつ強攪拌による
攪拌翼や重合容器内のスケール付着の発生を防止でき
る。
【0032】また、本発明においては、攪拌翼先端速度
は通常5m/s以下、好ましくは4m/s以下であり、
より好ましくは3m/s以下である。攪拌翼先端速度の
下限は、特に制限されないが、攪拌効果と攪拌効率の観
点から、好ましくは0.3m/s以上、より好ましくは
0.5m/s以上である。この値が大きい場合、重合中
に攪拌翼先端部で液滴の分裂と合一が発生し、粗大粒子
及び微細粒子が生成しやすくなるために粒径分布がブロ
ードになり、粒径分布がシャープなトナーが得られ難く
なることがある。
【0033】本発明においては、水面から攪拌翼上端ま
での深さHと槽径(重合反応容器内径)Dとの比である
H/Dが通常0.1以上、好ましくは0.15以上、さ
らに好ましくは0.2以上の深さに翼が設置されてい
る。また、攪拌翼が多段翼の場合、最上段の翼は、H/
Dの下限が1以下、好ましくは0.6以下となるように
位置するのが望ましい。尚、本発明でいう水面から攪拌
翼上端までの深さHは、水面に最も近い攪拌翼部分を基
準に測定した値である(図2参照)。攪拌翼の水面から
の深さHと槽径Dとの比であるH/Dが小さすぎると、
すなわち液面近くに攪拌翼がある場合、攪拌翼の回転に
伴い、重合中の液界面が激しく動く現象が発生し、結果
として重合中に粗大粒子及び微細粒子が生成しやすくな
ることがある。
【0034】重合体粒子が得られた後、該粒子表面にさ
らに重合体(シェル重合体)を被せることができる。重
合体を被せる方法としては、重合体粒子を得た反応液
に、被覆重合に使用する単量体(シェル用単量体)を添
加させて、引き続き重合する方法や、一旦、重合体粒子
を得た後、任意の重合体成分を添加して当該粒子に重合
体成分を会合、吸着または固着させる方法などがある。
重合体粒子をシェル重合体に比較して軟質なもの(例え
ば、ガラス転移温度の低いもの)にした、コア・シェル
型重合体粒子によってトナーを製造した場合には、低温
定着性と高温保存性とのバランスが良好な、いわゆるカ
プセルトナーを得ることもできる。
【0035】重合した後若しくはシェル重合体を被覆さ
せた後、該重合体粒子は、洗浄、脱水、乾燥される。洗
浄においては、粒子中の残留金属(イオン)量を低減す
るようにするのが望ましい。特にマグネシウムやカルシ
ウムなどの金属(イオン)が粒子中に残留していると、
高湿条件下では吸湿を起こしトナーの流動性を低下させ
たり画質に悪影響を及ぼすことがある。こうしたトナー
中に残留したマグネシウムやカルシウム(以下、単に残
留金属という)の含有量が少ないものは、高温高湿条件
下でも、1分間に30枚以上を印刷できる高速機で高い
印字濃度、カブリのない良好な画質を与えることができ
る。残留金属量は、好ましくは170ppm以下、より
好ましくは150ppm以下、特に好ましくは120p
pm以下である。残留金属を低減させるには、例えば、
粒子を洗浄脱水するときに、連続式ベルトフィルターや
サイホンピーラー型セントリヒュージなどの洗浄脱水機
などを用いて脱水、洗浄、そして乾燥する。乾燥後の粒
子は、必要に応じて分級することができる。
【0036】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、実質的に球形であり、体積平均粒径(dv)は1〜
10μm、好ましくは3〜8μmであり、体積平均粒径
と個数平均粒径(dn)の比(dv/dn)は1〜1.
5、好ましくは1〜1.3であり、粒子の絶対最大長を
直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(S
r)で割った値(Sc/Sr)は1〜1.3の範囲であ
り、かつBET比表面積(A)[m/g]、個数平均
粒径(dn)[μm]及び真比重(D)の積(A×dn
×D)は5〜10の範囲のものであるのが望ましい。
【0037】本発明の製造方法では、重合後、着色粒子
を強撹拌して凝集させて粒子径を大きくすることができ
る。凝集粒子によって得られるトナーは、ラズベリ状の
凹凸を有する重合体粒子である。体積平均粒径(dv)
は1〜10μm、好ましくは3〜8μmであり、体積平
均粒径と個数平均粒径(dn)の比(dv/dn)は1
〜1.5、好ましくは1〜1.3である。
【0038】本発明の製造方法によって得られる特に好
ましいトナーは、120℃での溶融粘度が10万ポイズ
以下、好ましくは0.1〜10万ポイズ、より好ましく
は1〜8万ポイズである。粘度測定はフローテスターを
用いて測定すればよい。このような溶融粘度を持つトナ
ーによれば高速での印刷によっても高画質が実現する。
【0039】本発明の製造方法によって得られた重合体
粒子は、さらに該粒子表面に添加剤(以下、外添剤とい
う)を付着、埋設等させることによって、粒子の帯電
性、流動性、保存安定性などを調整することができる。
外添剤としては、無機粒子、有機酸塩粒子、有機樹脂粒
子などが挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ
素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが
挙げられる。有機酸塩粒子としては、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。有機樹
脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体微粒子、
アクリル酸エステル重合体微粒子、スチレン−メタクリ
ル酸エステル共重合体微粒子、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体微粒子、シェルがメタクリル酸エステル
共重合体でコアがスチレン重合体で形成されたコアシェ
ル型微粒子などが挙げられる。これらのうち、無機粒
子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これら
の粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理さ
れた二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤の量
は、特に限定されないが、重合体粒子100重量部に対
して、通常、0.1〜6重量部である。外添剤は2種以
上を組み合わせて用いても良い。外添剤を組み合わせて
用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士また
は無機粒子と有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適で
ある。外添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通
常、外添剤と重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの
混合器に仕込み、撹拌して行う。
【0040】
【実施例】本発明の製造方法を実施例を示しながら、さ
らに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限
定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのな
い限り重量基準である。本実施例において行った評価
は、以下の方法によって行った。 (粒径、粗粉と微粉の割合)重合体粒子(トナー粒子)
の体積平均粒径(dv)、粗粉割合および微粉割合は、
粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製作所
株式会社製)により測定した。この粒径分布測定装置に
よる測定においては、屈折率=1.55−0.20i、
超音波照射時間=5分間、粒径測定時の分散媒として蒸
留水を用いて行った。この測定装置を用いて得られる体
積平均粒径の積算カーブより16μm超の割合を粗粉割
合(重量%)として求め、個数平均粒径の積算カーブよ
り5μm未満の割合を微粉割合(個数%)として求め
た。20回の生産ロットにおいて、それぞれの平均値と
標準偏差を求めた。
【0041】(印字白筋およびカブリ)市販の非磁性一
成分現像方式のプリンター(12枚機)を用いて、この
プリンターの現像装置に評価する現像剤を入れ、温度2
3℃湿度50%環境下でー昼夜放置後、再生紙に連続印
字を行い、10000枚になった時点で黒べた印字をさ
せて、白筋およびカブリの有無を観察した。20回の生
産ロットにおいて、一回も白筋及びかぶりが無い場合を
A、1〜2回分のロットに白筋及びかぶりが出た場合を
B、3回以上分のロットに白筋及びかぶりが出た場合を
Cと評価した。なお、連続印字は5%印字濃度で行っ
た。
【0042】実施例1 スチレン80.5部及びn−ブチルアクリレート19.
5部からなるコア用重合性単量体(これらの単量体を共
重合して得られた共重合体のTg=55℃)、ポリメタ
クリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社
製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビ
ニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.
2部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#2
5B」)7部、帯電制御剤(保土ヶ谷化学社製、商品名
「スピロンブラックTRH」)1部、離型剤(フィッシ
ャートロプシュワックス、サゾール社製、商品名「パラ
フリント スプレイ 30」、吸熱ピーク温度:100
℃)2部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を
行い、コア用重合性単量体組成物Aを得た。他方、イオ
ン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属
塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50
部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.2部
を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マ
グネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイ
ド)分散液Aを調製した。
【0043】一方、メチルメタクリレート(Tg=10
5℃)2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理
して、シェル用重合性単量体の水分散液Aを得た。回転
直径(d)103mmの45度傾斜パドル翼を二段に配
置した、内径(D)205mmの撹拌槽に、水酸化マグ
ネシウムコロイド分散液Aを仕込み、それにコア用重合
性単量体組成物Aを添加し、翼近傍のフローパターンが
ダウンフローになるように先端速度=1.19m/s、
Pv=0.12kw/mで回転させた。撹拌中の水面
から攪拌翼上端までの深さHは72mmであり、H/D
は0.35であった。そこに重合開始剤としてt−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社
製、商品名「パーブチルO」)6部添加した。造粒開始
前の液温は33℃であった。前記撹拌槽底部から分散液
を抜き出し、15,000rpmで回転するエバラマイ
ルダー(荏原製作所社製:商品名MDN303V)を総
滞留時間3秒で通過させ、通過させた分散液を、インナ
ーノズルを経て、元の撹拌槽内に噴出速度0.5m/s
で戻し循環させ単量体組成物の液滴を造粒した。なお、
インナーノズル先端が撹拌槽中の分散液面下50mmに
位置するように調整し、循環回数10回で造粒した。エ
バラマイルダーの周囲には冷却用ジャケットが取り付け
てあり、約15℃の冷却水を流通させた。
【0044】この造粒された単量体組成物の水分散液の
温度は37℃であり、液温上昇幅は4℃であった。この
造粒された分散液を、回転直径(d)103mmの45
度傾斜パドル翼を上段、下段に配置した内径(D)20
5mmの重合反応器に移送した。撹拌槽は重合反応器よ
りも高い位置に設置されており、このヘッド差によって
分散液を移送させた。重合反応器内への噴出速度は3m
/秒であった。分散液を移送完了後、翼近傍のフローパ
ターンがダウンフローになるように先端速度=1.19
m/s、Pv=0.12kw/mで回転させた。撹拌
中の水面から攪拌翼上端までの深さHは75.5mmで
あり、H/Dは0.37であった。ついで90℃に加温
し重合反応を開始させた。重合転化率がほぼ100%に
達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液Aに水
溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロ
キシエチル)−プロピオンアミド))0.3部を溶解
し、それを反応器に入れた。4時間重合を継続した後、
反応を停止し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合
体粒子の水分散液を酸洗浄した後、脱水、乾燥して、重
合体粒子を得た。得られた粒子100部に、疎水化処理
したコロイダルシリカ(商品名「RX−100」;日本
アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサ
ーを用いて混合し、トナーを得た。上記の製造操作と同
じ操作を20回行い、20回の生産ロット毎のトナー特
性のばらつきを評価した。評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2 造粒開始前の分散液の温度を38℃、造粒後の分散液の
温度を45℃、温度上昇幅を7℃に変えた他は実施例1
と同様にしてトナーを得、20回の生産ロット毎のトナ
ー特性のばらつきを評価した。評価結果を表1に示す。
【0047】比較例 造粒開始前の分散液の温度を20℃、造粒後の分散液の
温度を49℃、温度上昇幅を29℃に変えた他は実施例
1と同様にしてトナーを得、20回の生産ロット毎のト
ナー特性のばらつきを評価した。評価結果を表1に示
す。
【0048】
【発明の効果】本発明の製法によって、粗大粒子及び微
細粒子の発生が抑制され、シャープな粒径分布をもった
トナーを安定的に得ることができ、収率の向上のみなら
ず、分級工程を省略することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明製法に用いる製造装置の一例を示す図
である。
【図2】 攪拌翼と槽に関する測定個所を説明する図面
である。
【符号の説明】
1:高速撹拌装置 2:撹拌槽 3:重合反応槽 5:循環戻りライン 6:移送ライン H:水面から攪拌翼上端までの深さ D:糟径(重合反応容器内径) d:回転直径 11:攪拌翼 12:液面 13:重合反応容器 14:翼の支軸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性単量体を含有する単量体組成物
    を、水系分散媒体中に分散させ、 造粒前後の液温上昇幅を強制冷却によって0〜20℃に
    抑えながら該単量体組成物の液滴を造粒して分散液を
    得、 次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重合して重合体
    粒子を得ることを含むトナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 冷却装置によって、造粒直後の液温を3
    0〜55℃の間に制御することを含む請求項1記載のト
    ナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 造粒する前に、液温を15〜45℃にす
    ることを含む請求項1記載のトナーの製造方法。
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