JP2002055487A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

Info

Publication number
JP2002055487A
JP2002055487A JP2000241977A JP2000241977A JP2002055487A JP 2002055487 A JP2002055487 A JP 2002055487A JP 2000241977 A JP2000241977 A JP 2000241977A JP 2000241977 A JP2000241977 A JP 2000241977A JP 2002055487 A JP2002055487 A JP 2002055487A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dispersion
toner
particles
stirring
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000241977A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Iga
隆志 伊賀
Nobuyasu Ota
信保 太田
Kazuhiro Sato
一宏 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2000241977A priority Critical patent/JP2002055487A/ja
Publication of JP2002055487A publication Critical patent/JP2002055487A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分級工程を経なくとも粗大粒子又は微細粒子
が少なく、再生紙においても印字白筋、カブリが発生し
ないトナーを効率よく製造することができる方法を提供
する。 【解決手段】 撹拌槽を用いて、重合性単量体、着色剤
及び帯電制御剤を含有する単量体組成物を、水系分散媒
体中に分散させ、該単量体組成物の液滴を造粒して分散
液を得、該分散液を7m/秒以下の噴出速度で重合反応
槽に移送し、次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重
合して着色重合体粒子を得ることを含むトナーの製造方
法によって、粒径分布がシャープなトナーを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法等によって形成される静電荷像を現像するための
トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、分級工程を
経なくとも粗大粒子又は微細粒子が少なく、再生紙にお
いても印字白筋やカブリが発生しないトナーを効率よく
製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トナーの製造方法として、(1)結着樹
脂を着色剤、帯電制御剤、離型剤などと混練、粉砕、分
級して着色粒子を得る粉砕法と、(2)重合性単量体
を、又は重合性単量体、帯電制御剤、離型剤等の混合物
を、懸濁重合、乳化重合又は分散重合し、必要に応じて
凝集させて着色粒子を得る重合法とがある。重合法によ
りトナーを得ようとする場合には、少なくとも重合性単
量体と着色剤とを含有する単量体組成物を、分散安定剤
を含有する水系媒体中で適当な攪拌機を用いて適当な粒
径の単量体組成物液滴に造粒し、重合開始剤によって重
合性単量体を重合する。この重合法によって得られるト
ナーは、粒子の形状が球形に近いため流動性に優れ、粒
径分布が粉砕法トナーと比較して格段にシャープである
等の特徴を有する。現在、トナー粒子に要求されている
粒子の体積平均粒径は1〜10μmであり、かつ粒径分
布は、体積平均粒径/個数平均粒径(dv/dp)が
1.0〜1.4程度であると言われている。しかし粒径
分布がシャープであると言われている重合法により得ら
れるトナーであっても、工業的な大量生産において、こ
の粒径分布の要求レベルを満足するためには、分級工程
を必要とする場合があった。
【0003】分級工程を経ると、収率が下がり生産性に
悪影響を及ぼす。そこで、分級不要なほどに粒径分布の
シャープなトナーを得るために、トナー材料の面からの
検討の他、造粒条件における検討が行われている。例え
ば、タービン型撹拌機を用いて造粒する方法(特開昭6
3−165869号公報)、同心上に配置された櫛歯形
状の回転子及び固定子を高速で回転させて、その回転子
内側から固定子外側に分散液を流通させて回転子と固定
子との間隙で分散液を撹拌させ造粒する方法(特開平2
−32363号公報)、高速で回転するローターとそれ
を取り囲むスクリーンにより生じるせん断力、衝突力、
圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作
用によって造粒する方法(特開平8−305084
号)、分散液を遠心力によって造粒槽側壁に押し付け
て、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌翼の
先端が触れることによって造粒する方法(特開平11−
167222号公報)などが提案されている。しかしな
がら、このような造粒能力の高い装置を使って液滴造粒
を行った後でも、重合によって得られる着色重合体粒子
には、所望の粒径範囲から外れる粗大な粒子が含まれて
いることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分級
工程を経なくとも粗大粒子又は微細粒子が少なく、再生
紙においても印字白筋やカブリが発生しないトナーを効
率よく製造することができる方法を提供することにあ
る。本発明者は、造粒から重合に到る工程を詳細に検討
し、撹拌槽において分散/造粒された分散液を重合反応
槽に移送すると、移送中に液滴が合一して、粗大粒子が
発生することを見いだした。そこで、本発明者は、さら
にこの検討を進めた結果、撹拌槽において分散/造粒さ
れた分散液を重合反応槽にある特定速度以下で移送する
ことによって、粗大粒子や微細粒子が少なくなり、印字
白筋、カブリなどの画質不良が無くなることを見出し、
かかる知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、撹拌槽を用いて、重合性単量体、着色剤及び帯電制
御剤を含有する単量体組成物を、水系分散媒体中に分散
させ、該単量体組成物の液滴を造粒して分散液を得、該
分散液を7m/秒以下の噴出速度で重合反応槽に移送
し、次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重合して着
色重合体粒子を得ることを含むトナーの製造方法が提供
される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、撹拌槽を用
いて、重合性単量体、着色剤及び帯電制御剤を含有する
単量体組成物を、水系分散媒体中に分散させ、該単量体
組成物の液滴を造粒して分散液を得、該分散液を7m/
秒以下の噴出速度で重合反応槽に移送し、次いで、該分
散液滴中の重合性単量体を重合して着色重合体粒子を得
ることを含むものである。
【0007】本発明に用いる分散液は、重合性単量体、
着色剤及び帯電制御剤を含有する単量体組成物を、水系
分散媒体中に分散させ、該単量体組成物の液滴を造粒し
て得られるものである。本発明に用いる重合性単量体の
主成分としてモノビニル系単量体を挙げることができ
る。この重合性単量体が重合され、着色重合体粒子を構
成する結着樹脂となる。モノビニル系単量体の具体例と
しては、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルス
チレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル
酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチルなどのエチレン性不飽和カル
ボン酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のエチ
レン性不飽和カルボン酸の誘導体;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩
化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン
化ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メ
チルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニル
ピロリドン等の含窒素ビニル単量体;等のモノビニル系
単量体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、
単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用
いてもよい。これらのモノビニル系単量体のうち、スチ
レン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エ
チレン性不飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和
カルボン酸の誘導体などが好ましく、特にスチレン系単
量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステルが好適に用
いられる。
【0008】これらのモノビニル系単量体とともに任意
の架橋性モノマーを重合性単量体として用いると、定着
性、特にオフセット性が向上する。架橋性モノマーとし
ては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレ
ン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート等の多官能エチレン性不飽和カル
ボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニル
エーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙
げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることが
できる。本発明では、架橋性モノマーを、モノビニル系
単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが
望ましい。
【0009】また、本発明では、重合性単量体としてマ
クロモノマーを使用することができる。マクロモノマー
は、分子鎖の末端にエチレン性不飽和基を有するもの
で、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000
のオリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマー分
子鎖の末端に有するエチレン性不飽和基としては、アク
リロイル基、メタクリロイル基などを挙げることがで
き、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好
適である。マクロモノマーの量は、モノビニル系単量体
100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、
好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05
〜1重量部である。この範囲であれば保存性と定着性と
の良好なバランスが得られる。
【0010】着色剤は、一般にトナー用の着色剤として
周知の染料や顔料を使用することができる。黒色着色剤
として、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料
類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガ
ン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを
挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、
一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な
画質が得られ、またトナーの環境への安全性も高まるの
で好ましい。カラートナー用の着色剤は、イエロー着色
剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などがある。イエロ
ー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化
合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエ
ロー3、12、13、14、15、17、62、65、
73、83、90、93、97、120、138、15
5、180及び181等が挙げられる。
【0011】マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮
合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.
I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、
64、68、81、83、87、88、89、90、1
12、114、122、123、144、146、14
9、163、170、184、185、187、20
2、206、207、209、251、C.I.ピグメ
ントバイオレット19、等が挙げられる。シアン着色剤
としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、ア
ントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.
I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、1
5:2、15:3、15:4、16、17、及び60等
が挙げられる。これら着色剤は、重合性単量体100重
量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは
1〜20重量部の割合で用いられる。
【0012】帯電制御剤として、各種の正帯電性又は負
帯電性の帯電制御剤を用いることが可能である。例え
ば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物
の金属錯体、含金属染料、ニグロシン等が挙げられる。
より具体的には、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化
学社製)、T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロン
S−34(オリエント化学社製)ボントロンE−84
(オリエント化学社製)、ボントロンN−01(オリエ
ント化学社製 )、コピーブルー−PR(クラリアント
社製)等の帯電制御剤及び/または4級アンモニウム
(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合
体等の帯電制御樹脂を用いることができる。上記帯電制
御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.
01〜10重量部、特に0.03〜8重量部用いること
が好ましい。
【0013】単量体組成物にはさらに、分子量調整剤、
重合開始剤、離型剤などの他の配合物を含有させること
ができる。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチ
レン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレン
などの低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸
化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置
換した低分子量末端変性ポリプロピレン及びこれらと低
分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化
低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換し
た低分子量ポリエチレン及びこれらと低分子量ポリプロ
ピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィ
ンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木
ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、
マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワ
ックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、オ
ゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシ
ュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトール
テトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパル
ミテート、ペンタエリスリトールテトララウレートなど
のペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリト
ールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキ
サパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサラウレ
ートなどのジペンタエリスリトールエステル等多官能エ
ステル化合物;など1種あるいは2種以上が例示され
る。
【0014】これらのうち、合成ワックス、末端変性ポ
リオレフィンワックス類、石油系ワックス及びその変性
ワックス、多官能エステル化合物などが好ましい。多官
能エステル化合物のなかでも示差走査熱量計により測定
されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が
30〜200℃、好ましくは50〜180℃、60〜1
60℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、
同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタ
エリスリトールエステルなどの多価エステル化合物が、
トナーとしての定着−剥離性バランスの面で特に好まし
い。とりわけ分子量が1000以上であり、スチレン1
00重量部に対し25℃で5重量部以上溶解し、酸価が
10mg/KOH以下であるジペンタエリスリトールエ
ステルは、定着温度低下に著効を示す。吸熱ピーク温度
は、ASTM D3418−82によって測定された値
である。上記離型剤は、重合性単量体100重量部に対
して、通常0.1〜30重量部、特に1〜20重量部用
いることが好ましい。
【0015】分子量調整剤としては、例えば、t−ドデ
シルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オ
クチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭
素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;を例示す
ることができる。これらの分子量調整剤は、単量体組成
物に含有させてもよいし、重合開始前、あるいは、重合
の途中で反応系に添加してもよい。上記分子量調整剤
は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01
〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部用いる。
【0016】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メ
チル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シ
クロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチル
エチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ア
セチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイ
ルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーブチルネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシ2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ジ−イソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパー
オキシイソフタレート、1,1’,3,3’−テトラメ
チルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類など
を例示することができる。また、これら重合開始剤と還
元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることが
できる。このうち、使用される重合性単量体に可溶な油
溶性の開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて
水溶性の開始剤をこれと併用することもできる。上記重
合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、
更に好ましくは0.5〜10重量部用いる。重合開始剤
は、重合性単量体組成物中に予め添加することができる
が、場合によっては、造粒工程終了後に添加することも
できる。
【0017】本発明に用いる水系分散媒体は、水を主成
分する分散媒体であり、これに分散安定剤が含まれてい
るものが好ましい。分散安定剤としては、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カ
ルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタ
ン等の金属酸化物; 水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高
分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、
両性界面活性剤等を挙げることができる。これらのう
ち、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイ
ドを含有する分散安定剤は、重合体粒子の粒径分布を狭
くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適で
ある。特に架橋性モノマーを共重合させなかった場合に
は、難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤
が、重合中の重合体粒子の分散安定性ならびに、トナー
の定着性と保存性とを改善するために好適である。
【0018】難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有す
る分散安定剤は、その製法による制限はないが、水溶性
多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整すること
によって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、
特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との
水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物の
コロイドを用いることが好ましい。本発明に用いる難水
溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個
数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D9
0(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下である
ことが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の
安定性が崩れ、またトナーの保存性が低下する。分散安
定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の
割合で使用する。この割合が少ないと充分な重合安定性
を得ることが困難であり、凝集物が生成し易くなる。逆
に、この割合が多いとトナー粒径が細かくなりすぎるの
で好ましくない。
【0019】本発明に用いる水系分散媒体は、分散安定
剤の他に、水溶性の有機化合物、あるいは無機化合物を
含有していてもよい。特に水溶性オキソ酸塩が含有され
ていると、粒径分布がシャープになり好ましい。水溶性
オキソ酸塩としては、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭
酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩等が挙げられ、好ましくはケイ
酸塩、ホウ酸塩又はリン酸塩が、特に好ましくはホウ酸
塩が挙げられる。ホウ酸塩としては、テトラヒドロホウ
酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム;四ホウ酸
ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、メタホウ酸
ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、ペルオキ
ソホウ酸ナトリウム四水和物、メタホウ酸カリウム、四
ホウ酸カリウム八水和物などが挙げられる。リン酸塩と
しては、ホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスホン酸
ナトリウム五水和物、ホスホン酸水素ナトリウム2.5
水和物、リン酸ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸
二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二
水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、次リン酸ナトリ
ウム十水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸
二水素二ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム六水
和物、三リン酸ナトリウム、cyclo−四リン酸ナト
リウム、ホスフィン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、
ホスホン酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素
二カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム
三水和物、メタリン酸カリウムなどが挙げられる。ケイ
酸塩としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナト
リウム9水和物、水ガラス、オルトケイ酸ナトリウムな
どが挙げられる。水溶性オキソ酸塩の量は、難水溶性無
機化合物コロイド100重量部に対して、通常0.1〜
1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。
水溶性オキソ酸塩は、溶解させて水系分散媒体中に含有
させる。
【0020】次に本発明製法を図を参照しながら説明す
る。図1は本発明製法に用いる製造装置の一例である。
この製造装置は、高速撹拌装置1と撹拌槽2と重合反応
槽3とからなる。撹拌槽及び重合反応槽には撹拌翼(図
示せず)がそれぞれ取り付けられている。撹拌槽2の底
面に分散液抜き出し口が設けられており、この口から抜
き出しライン4が高速撹拌装置1に接続されている。循
環戻りライン5が高速撹拌装置出口から撹拌槽に伸びて
おり、循環戻りラインの管は撹拌槽上部から内面に突き
出し、撹拌槽内にある分散液の液面以下の位置に管の先
端がくるようになっている。所定の循環回数を回して造
粒された分散液は、バルブの切り替えによって、移送ラ
イン6を通して撹拌槽から重合反応槽3に移送でき、重
合反応槽で重合が行われるようになっている。
【0021】本発明に用いる撹拌槽は、特に限定され
ず、化学装置において通常使われる槽に撹拌翼を備えた
撹拌装置が設けられたものである。攪拌翼は、一般的な
撹拌装置に用いられるものであれば特に制限されない
が、具体例としては傾斜パドル翼、平パドル翼、プロペ
ラ翼、アンカー翼、ファドラー翼、タービン翼、ブルマ
ージン翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業製)、
フルゾーン翼(神鋼パンテック製)、リボン翼、スーパ
ミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A310翼(LI
GHTNIN製)、A320翼(LIGHTNIN
製)、インターミグ翼(エカート製)等が例示される。
これらの中でも、攪拌時の翼近傍の剪断速度を低下させ
ながら、均一混合及び除熱能力を確保するため、傾斜パ
ドル翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、スーパミ
ックス翼、A310翼、A320翼、インターミグ翼が
好ましく、生産性の観点から傾斜パドル翼が特に好まし
い。
【0022】攪拌翼の大きさは、製造設備に応じた大き
さを選択することができる。好適な攪拌翼の大きさは、
重合反応容器の内径Dと撹拌翼の回転直径(2d)との
関係2d/Dが、通常0.2〜0.8、好ましくは0.
3〜0.7である。攪拌翼は一段で使用しても良いし、
多段に配置して使用しても良く、更には異なる翼を組み
合わせて使用しても良いが、特に攪拌効率の観点から、
同型の翼を2〜3段組み合わせた多段翼が好ましい。
【0023】本発明において、好適な攪拌条件は、攪拌
により消費される動力P[kw]を、撹拌槽中の分散液
の体積V[m]で割った攪拌所要動力Pv[kw/m
]が、通常0.01〜0.6、好ましくは0.05〜
0.5、特に好ましくは0.08〜0.4である。Pv
値が大き過ぎると、攪拌が強すぎて、液滴の合一が進行
し粒径分布が広くなることがある。また逆に、Pv値が
小さ過ぎると、分散物の混合不良による造粒効率の低下
で粒径分布が広くなることがある。本発明においては、
このPvを適切な範囲にコントロールすることにより、
得られるトナー粒子の粒径分布をより狭くすることがで
きる。また、攪拌翼先端速度の上限は通常5m/s以
下、好ましくは4m/s以下であり、より好ましくは3
m/s以下である。攪拌翼先端速度の下限は、攪拌効果
と攪拌効率の観点から、好ましくは0.3m/s以上、
より好ましくは0.5m/s以上である。この撹拌先端
速度が過度に早い場合には、粒径分布が広くなりやすく
なることがある。
【0024】本発明に用いる撹拌槽には、前記分散液を
抜き出すための排出口がある。抜き出された分散液は高
速撹拌装置に導入される。高速撹拌装置は液適を形成さ
せるために好適である。本発明に用いる高速撹拌装置
は、特に限定されず、例えば、TKホモミキサー(特殊
機化工業社製)に代表されるタービン型撹拌機、エバラ
マイルダー(荏原製作所社製)に代表される同心上に配
置された櫛歯形状の回転子及び固定子を高速で回転させ
て、その回転子内側から固定子外側に分散液を流通させ
て回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌させる装置、
クレアミックスCLM−0.8S(エム・テクニック社
製)に代表される高速で回転するローターとそれを取り
囲むスクリーンにより生じるせん断力、衝突力、圧力変
動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用によ
って造粒する装置、TKフィルミックス(特殊機化工業
社製)に代表される液を遠心力によって造粒槽側壁に押
し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹
拌具の先端が触れることによって造粒する装置などが挙
げられる。前記高速撹拌装置に通過させる分散液の量
は、滞留時間表示で、通常0.5〜300秒、好ましく
は 1〜250秒、より好ましくは 2〜240秒であ
る。
【0025】前記高速攪拌装置の回転部の先端速度は、
通常5〜90m/s、好ましくは10〜60m/s、よ
り好ましくは20〜50m/sである。また、前記高速
攪拌装置として前述のエバラマイルダーを使用する場合
の回転子および固定子の組合わせは、粗歯−中歯または
細歯−中歯または細歯の3段でも、粗歯−中歯または細
歯の2段でも、粗歯、中歯、細歯から選ばれる1段、の
いずれの組合わせも可能である。この中でも粗歯と中歯
および/または細歯の2ないし3段の組合わせが好まし
い。
【0026】本発明の好適な製法においては、高速撹拌
装置を通過させた分散液を、前記の撹拌槽に戻し循環さ
せる。分散液を戻す位置は、特に限定されないが、撹拌
槽中にある分散液の液面下の位置が、粗大粒子や微細粒
子の少ない着色粒子を得るために好ましい。分散液を液
面下の位置に戻すために、例えば、(1)分散液戻りラ
インの管が撹拌槽上部の内面から突き出すようにして設
け、その突き出し管(以下、インナーノズルということ
がある。)の先端が分散液面より下になるように液面を
調整するか、(2)分散液戻りラインの口を撹拌槽側面
に設け、その口が分散液面より下になるように液面を調
整するか、又は(3)分散液戻りラインの口を撹拌槽底
面に設ける。本発明の製法においてはインナーノズルを
用いた方法が好適である。分散液を戻す位置は、分散液
面下の位置であればよく、通常、分散液面下深度10m
m以上、好ましくは30mm以上のところに設ける。循
環戻りの分散液を液面下の位置に放出する際の、分散液
噴出し速度は、通常5m/s以下、好ましくは3〜0.
1m/sである。過度に噴出し速度が早い場合には粗大
粒子や微細粒子ができやすくなることがある。分散液の
循環回数(高速攪拌装置を通過した総処理液量/仕込み
の処理液量として算出する)は通常2〜50回であり、
好ましくは3〜30回である。
【0027】次いで、水系分散媒体中で造粒された分散
液を7m/秒以下、好ましくは0.5〜6m/秒の噴出
速度で重合反応槽に移送する。この範囲の噴出速度にす
ることによって、粗大粒子や微細粒子が少なくなる。こ
こで、噴出速度は、重合反応槽の分散液供給口における
流速である。分散液の撹拌槽から重合槽への移送は、ポ
ンプを使って送ることもできるが、ポンプ内において液
滴に予測不能な剪断がかかって、液滴の合一や分離が起
こることをさけるために、圧力差(ヘッド差)を利用し
て移送することが好ましい。圧力差を付けるためには、
たとえば、撹拌槽の底部位置を重合槽の上部位置より高
い位置に設置するか、または、撹拌槽に気体などを吹き
込んで内圧を高くするなどの手段を採ることができる。
【0028】本発明で用いる重合反応槽は、化学装置に
おいて通常使われる撹拌翼付きの槽である。本発明にお
いて攪拌翼は攪拌に寄与する翼を言い、実質的に攪拌に
寄与しない翼(後述する2d/Dが0.1未満、好まし
くは0.2未満)の位置についての規定はない。重合反
応槽の攪拌翼の具体例としては傾斜パドル翼、平パドル
翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファドラー翼、タービン
翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼(住友重機械
工業製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック製)、リボン
翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A31
0翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIGHT
NIN製)、インターミグ翼(エカート製)等が挙げら
れる。これらの中でも、攪拌時の翼近傍の剪断速度を低
下させながら、均一混合及び除熱能力を確保するため、
傾斜パドル翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、ス
ーパミックス翼、 A310翼、A320翼、インター
ミグ翼が好ましく、生産性の観点から最も傾斜パドル翼
が特に好ましい。
【0029】攪拌翼の大きさについては特に制限され
ず、製造設備に応じた大きさを選択することができる。
好適な攪拌翼の大きさは、重合反応容器の内径Dと翼の
中心を通る翼の支柱から翼の先端までの長さの2倍の値
(翼径;2d)との関係2d/Dが、通常0.6〜0.
2、より好ましくは0.55〜0.3である。攪拌翼は
一段で使用しても良いし、多段に配置して使用しても良
く、更には異なる翼を組み合わせて使用しても良いが、
特に攪拌効率の観点から、同型の翼を2〜3段組み合わ
せた多段翼が好ましい。
【0030】重合反応槽に分散液を移送している間は、
撹拌翼は動作させておいても、停止させておいても良
い。また、移送開始時には撹拌翼を停止させておき、撹
拌翼が分散液に接する位置まで溜まってきた段階で撹拌
翼を動作させてもよい。
【0031】分散液を移送した後、分散液中の重合性単
量体を重合開始剤で重合させ、着色重合体粒子を得る。
重合時の好適な攪拌条件は、重合中の攪拌により消費さ
れる動力P[kw]を、重合反応中の懸濁液の体積V
[m]で割った攪拌所要動力Pv[kw/m]が通
常0.01〜0.6、好ましくは0.05〜0.5、特
に好ましくは0.08〜0.4である。この場合には、
攪拌翼や重合容器内のスケール付着を防止しでき、粒径
分布がシャープな重合法トナーがより容易に高収率で得
られる。この値が0.6より大き過ぎると、攪拌が強す
ぎて重合中に、攪拌翼や重合容器内のスケール付着が発
生することがある。また逆に、この値が0.01より小
さ過ぎると、懸濁重合中の混合不良及び除熱不良が発生
し易く、局部的な重合温度及び濃度の不均一性のために
粒径分布が広くなり、粒径分布がシャープな重合法トナ
ーを得ることは出来ないことがある。本発明において
は、このPvを適切な範囲にコントロールすることによ
り、除熱と混合性能を必要なだけ確保し、かつ強攪拌に
よる攪拌翼や重合容器内のスケール付着の発生を防止で
きる。
【0032】また、攪拌翼先端速度は通常5m/s以
下、好ましくは4m/s以下であり、より好ましくは3
m/s以下である。攪拌翼先端速度の下限は、特に制限
されないが、攪拌効果と攪拌効率の観点から、好ましく
は0.3m/s以上、より好ましくは0.5m/s以上
である。この値が大きい場合、重合中に攪拌翼先端部で
液滴の分裂と合一が発生し、粗大粒子及び微細粒子が生
成しやすくなるために粒径分布が広くなり、粒径分布が
狭いトナーが得られ難くなることがある。
【0033】本発明においては、水面から攪拌翼上端ま
での深さHと槽径(重合反応容器内径)Dとの比である
H/Dが通常0.1以上、好ましくは0.15以上、さ
らに好ましくは0.2以上の深さに翼が設置されてい
る。また、攪拌翼が多段翼の場合、最上段の翼は、H/
Dの下限が1以下、好ましくは0.6以下となるように
位置するのが望ましい。尚、本発明でいう水面から攪拌
翼上端までの深さHは、水面に最も近い攪拌翼部分を基
準に測定した値である(図2参照)。攪拌翼の水面から
の深さHと槽径Dとの比であるH/Dが小さすぎると、
すなわち液面近くに攪拌翼がある場合、攪拌翼の回転に
伴い、重合中の液界面が激しく動く現象が発生し、結果
として重合中に粗大粒子及び微細粒子が生成しやすくな
ることがある。
【0034】着色重合体粒子が得られた後、該粒子表面
にさらに重合体(シェル重合体)を被せることができ
る。重合体を被せる方法としては、着色重合体粒子を得
た反応液に、被覆重合に使用する単量体(シェル用単量
体)を添加させて、引き続き重合する方法や、一旦、着
色重合体粒子を得た後、任意の重合体成分を添加して当
該粒子に重合体成分を吸着または固着させる方法などが
ある。着色重合体粒子をシェル重合体に比較して軟質な
もの(例えば、ガラス転移温度の低いもの)にした、コ
ア・シェル型重合体粒子によってトナーを製造した場合
には、低温定着性と高温保存性とのバランスが良好な、
いわゆるカプセルトナーを得ることもできる。
【0035】重合若しくはシェル重合体を被覆させた
後、該重合体粒子は、洗浄、脱水、乾燥される。洗浄に
おいては、粒子中の残留金属(イオン)量を低減するよ
うにするのが望ましい。特にマグネシウムやカルシウム
などの金属(イオン)が粒子中に残留していると、高湿
条件下では吸湿を起こしトナーの流動性を低下させたり
画質に悪影響を及ぼすことがある。こうしたトナー中に
残留したマグネシウムやカルシウム(以下、単に残留金
属という)の含有量が少ないものは、高温高湿条件下で
も、1分間に30枚以上を印刷できる高速機で高い印字
濃度、カブリのない良好な画質を与えることができる。
残留金属量は、好ましくは170ppm以下、より好ま
しくは150ppm以下、特に好ましくは120ppm
以下である。残留金属を低減させるには、例えば、粒子
を洗浄脱水するときに、連続式ベルトフィルターやサイ
ホンピーラー型セントリヒュージなどの洗浄脱水機など
を用いて脱水、洗浄、そして乾燥する。乾燥後の粒子
は、必要に応じて分級することができる。
【0036】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、実質的に球形であり、体積平均粒径(dv)は通常
1〜10μm、好ましくは3〜8μmであり、体積平均
粒径と個数平均粒径(dn)の比(dv/dn)は通常
1〜1.5、好ましくは1〜1.3であり、粒子の絶対
最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影
面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)は通常1〜1.
3の範囲であり、かつBET比表面積(A)[m
g]、個数平均粒径(dn)[μm]及び真比重(D)
の積(A×dn×D)は通常5〜10の範囲のものであ
るのが望ましい。
【0037】本発明の製造方法では、重合後、着色粒子
を強撹拌して凝集させて粒子径を大きくすることができ
る。凝集粒子によって得られるトナーは、ラズベリ状の
凹凸を有する着色重合体粒子である。体積平均粒径(d
v)は通常1〜10μm、好ましくは3〜8μmであ
り、体積平均粒径と個数平均粒径(dn)の比(dv/
dn)は通常1〜1.5、好ましくは1〜1.3であ
る。
【0038】本発明の製造方法によって得られる特に好
ましいトナーは、120℃での溶融粘度が通常10万ポ
イズ以下、好ましくは0.1〜10万ポイズ、より好ま
しくは1〜8万ポイズである。粘度測定はフローテスタ
ーを用いて測定すればよい。このような溶融粘度を持つ
トナーによれば高速での印刷によっても高画質が実現す
る。
【0039】本発明の製造方法によって得られた着色重
合体粒子は、さらに該粒子表面に添加剤(以下、外添剤
という)を付着、埋設等させることによって、粒子の帯
電性、流動性、保存安定性などを調整することができ
る。外添剤としては、無機粒子、有機酸塩粒子、有機樹
脂粒子などが挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが
挙げられる。有機酸塩粒子としては、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。有機樹
脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、ア
クリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸
エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル
共重合体粒子、シェルがメタクリル酸エステル共重合体
でコアがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子
などが挙げられる。これらのうち、無機粒子、特に二酸
化ケイ素粒子が好適である。また、これらの粒子表面を
疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケ
イ素粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定さ
れないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通
常、0.1〜6重量部である。外添剤は2種以上を組み
合わせて用いても良い。外添剤を組み合わせて用いる場
合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒
子と有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。外
添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤
と着色重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合器
に仕込み、撹拌して行う。
【0040】
【実施例】本発明の製造方法を実施例を示しながら、さ
らに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限
定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのな
い限り重量基準である。本実施例において行った評価
は、以下の方法によって行った。 (粒径、粗粉と微粉の割合)重合体粒子(トナー粒子)
の体積平均粒径(dv)、粗粉割合および微粉割合は、
粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製作所
株式会社製)により測定した。この粒径分布測定装置に
よる測定においては、屈折率=1.55−0.20i、
超音波照射時間=5分間、粒径測定時の分散媒として蒸
留水を用いて行った。この測定装置を用いて得られる体
積平均粒径の積算カーブより16μm超の割合を粗粉割
合(重量%)として求め、個数平均粒径の積算カーブよ
り5μm未満の割合を微粉割合(個数%)として求め
た。
【0041】(印字白筋およびカブリ)市販の非磁性一
成分現像方式のプリンター(12枚機)を用いて、この
プリンターの現像装置に評価する現像剤を入れ、温度2
3℃湿度50%環境下でー昼夜放置後、再生紙に連続印
字を行い、一定枚数になった時点で黒べた印字をさせ
て、白筋およびカブリの有無を観察し、A:非常に良い
〜B:良い〜C:やや不良の三段階評価をした。最終印
字枚数は10000枚行った。なお、連続印字は5%印
字濃度で行い、白筋は500枚毎に調べた。
【0042】実施例1 スチレン80.5部及びn−ブチルアクリレート19.
5部からなるコア用重合性単量体(これらの単量体を共
重合して得られた共重合体のTg=55℃)、ポリメタ
クリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社
製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビ
ニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.
2部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#2
5B」)7部、帯電制御剤(保土ヶ谷化学社製、商品名
「スピロンブラックTRH」)1部、離型剤(フィッシ
ャートロプシュワックス、サゾール社製、商品名「パラ
フリント スプレイ 30」、吸熱ピーク温度:100
℃)2部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を
行い、コア用重合性単量体組成物Aを得た。他方、イオ
ン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属
塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50
部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.2部
を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マ
グネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイ
ド)分散液Aを調製した。
【0043】一方、メチルメタクリレート(Tg=10
5℃)2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理
して、シェル用重合性単量体の水分散液Aを得た。翼径
(2d)103mmの45度傾斜パドル翼を二段に配置
した、内径(D)205mmの撹拌槽に、水酸化マグネ
シウムコロイド分散液Aを仕込み、それにコア用重合性
単量体組成物Aを添加し、翼近傍のフローパターンがダ
ウンフローになるように先端速度=1.19m/s、P
v=0.12kw/mで回転させた。撹拌中の水面か
ら攪拌翼上端までの深さHは72mmであり、H/Dは
0.35であった。そこに重合開始剤としてt−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社
製、商品名「パーブチルO」)6部添加した。前記撹拌
槽底部から分散液を抜き出し、15,000rpmで回
転するエバラマイルダー(荏原製作所社製:商品名MD
N303V)を総滞留時間3秒で通過させ、通過させた
分散液を、インナーノズルを経て、元の撹拌槽内に噴出
速度0.5m/sで戻し循環させ単量体組成物の液滴を
造粒した。なお、インナーノズル先端が撹拌槽中の分散
液面下50mmに位置するように調整し、循環回数10
回で造粒した。
【0044】この造粒した単量体組成物の水分散液を、
翼径(2d)103mmの45度傾斜パドル翼を上段、
下段に配置した内径(D)205mmの重合反応器に移
送した。撹拌槽は重合反応器よりも高い位置に設置され
ており、このヘッド差によって分散液を移送させた。重
合反応器内への噴出速度は3m/sであった。分散液を
移送完了後、翼近傍のフローパターンがダウンフローに
なるように先端速度=1.19m/s、Pv=0.12
kw/mで回転させた。撹拌中の水面から攪拌翼上端
までの深さHは75.5mmであり、H/Dは0.37
であった。ついで90℃に加温し重合反応を開始させ
た。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル
用重合性単量体の水分散液Aに水溶性開始剤(和光純薬
社製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス
(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロ
ピオンアミド))0.3部を溶解し、それを反応器に入
れた。4時間重合を継続した後、反応を停止し、重合体
粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の水分散液を酸
洗浄した後、脱水、乾燥して、重合体粒子を得た。得ら
れた粒子100部に、疎水化処理したコロイダルシリカ
(商品名「RX−100」;日本アエロジル社製)0.
6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、ト
ナーを得た。評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2 重合反応器内に分散液を噴出させる口に管を取り付け
た。管の先端は重合反応器の底面から500mmの高さ
に位置するように調整した以外は実施例1と実施例1と
同様にしてトナーを得た。評価結果を表1に示す。 実施例3 水酸化マグネシウムコロイド分散液A中でコア用重合性
単量体組成物Aの液滴を造粒した後、5%四ホウ酸ナト
リウム十水和物水溶液を20部添加した他は、実施例1
と同様にしてトナーを得た。評価結果を表1に示す。
【0047】比較例1 エバラマイルダーを通過した分散液を元の撹拌槽に戻さ
ずに単量体組成物の液滴を造粒し、重合反応槽を、翼径
(2d)134mmの45度傾斜パドル翼を二段に配置
した、内径(D)205mmのものに変更し;撹拌翼を
先端速度0.97m/s、Pv0.14kw/mで回
転させ、撹拌中の水面から攪拌翼上端までの深さHを1
5mm、H/Dを0.07に変更し、分散液を噴出速度
8m/秒で重合反応器に移送した以外は、実施例1と同
様にしてトナーを得た。評価結果を表1に示す。
【0048】
【発明の効果】本発明の製法によって、粗大粒子及び微
細粒子の発生が抑制され、シャープな粒径分布をもった
トナーを得ることができ、収率の向上のみならず、分級
工程を省略することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明製法に用いる製造装置の一例を示す図
である。
【図2】 攪拌翼と槽に関する測定個所を説明する図面
である。
【符号の説明】
1:高速撹拌装置 2:撹拌槽 3:重合反応槽 5:循環戻りライン 6:移送ライン H:水面から攪拌翼上端までの深さ D:糟径(重合反応容器内径) d:翼の中心を通る翼の支柱から翼の先端までの長さ 11:攪拌翼 12:液面 13:重合反応容器 14:翼の支軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AB06 EA10 4J011 JB09 JB26 PA03 PA29 PA45 PA64 PA65 PA66 PA67 PA69 PB25 PB26 PC07

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撹拌槽を用いて、重合性単量体、着色剤
    及び帯電制御剤を含有する単量体組成物を、水系分散媒
    体中に分散させ、該単量体組成物の液滴を造粒して分散
    液を得、 該分散液を7m/秒以下の噴出速度で重合反応槽に移送
    し、 次いで、該分散液滴中の重合性単量体を重合して着色重
    合体粒子を得ることを含むトナーの製造方法。
JP2000241977A 2000-08-10 2000-08-10 トナーの製造方法 Pending JP2002055487A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000241977A JP2002055487A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 トナーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000241977A JP2002055487A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 トナーの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002055487A true JP2002055487A (ja) 2002-02-20

Family

ID=18733074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000241977A Pending JP2002055487A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 トナーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002055487A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003252913A (ja) * 2002-03-04 2003-09-10 Sekisui Plastics Co Ltd 重合体粒子の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003252913A (ja) * 2002-03-04 2003-09-10 Sekisui Plastics Co Ltd 重合体粒子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7252920B2 (en) Method for manufacturing polymerized toner
JP4032595B2 (ja) トナーの製造方法
JP2004070247A (ja) 重合トナーの製造方法
JP4092527B2 (ja) トナーの製造方法
JP4147978B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP2002221824A (ja) 重合法によるトナーの製造方法
JP3760970B2 (ja) 電子写真トナーの製造方法
JP4122690B2 (ja) トナーの製造方法
JP3972709B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP2001117272A (ja) 重合法トナーの製造方法
WO2003065125A1 (fr) Agent de developpement d'image electrostatique
JP2007206286A (ja) 重合トナーの製造方法
JP4003495B2 (ja) トナーの製造方法
JP4207383B2 (ja) トナーの製造方法
JP2002148855A (ja) トナーの製造方法
JP2005292492A (ja) 重合トナーの製造方法
JP4131068B2 (ja) 重合法トナーの製造方法
JP2002055487A (ja) トナーの製造方法
JP4092528B2 (ja) トナーの製造方法
JP4158005B2 (ja) トナーの製造方法
JP4224922B2 (ja) 重合体粒子水分散液の製造方法
JP2006208657A (ja) 重合法トナーの製造方法
JP2002258529A (ja) トナーの製造方法
JP2005242236A (ja) 重合トナーの製造方法
JP2002214836A (ja) トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080630

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080630

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080630

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080909

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081106

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20081113

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20081205