JP2005242236A - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径分布が極めてシャープで、粗大粒子及び微細粒子の含有量が少なく、印字時に白筋が発生せず、感光体表面へのフィルム状被膜の生成が顕著に抑制された重合トナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させた分散液を攪拌して液滴を形成し、次いで、液滴中の重合性単量体を重合して着色重合体粒子を生成させる重合トナーの製造方法である。液滴形成工程において、分散液を撹拌槽内で撹拌し、撹拌槽から分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置を通過させ、高速撹拌装置を通過した分散液A1を撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻し、その際、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法や静電記録法によって形成される静電荷像を現像するための重合トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、粒径分布が極めてシャープであって、粗大粒子及び微細粒子の含有量が少なく、印字時に白筋が発生せず、かつ感光体表面へのフィルム状被膜の生成が抑制された重合トナーの製造方法に関する。
本発明において、重合またはそれに引き続く凝集により得られた着色重合体粒子もしくは凝集着色重合体粒子を「重合トナー」と呼び、着色重合体粒子もしくは凝集着色重合体粒子に外添剤などを添加したものを「現像剤」と呼ぶ。この現像剤は、慣用的に「電子写真用トナー」または「トナー」と呼ぶことがある。
電子写真方式や静電記録方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を可視像化するために現像剤が用いられている。現像剤は、着色剤や帯電制御剤、離型剤などが結着樹脂中に分散した着色樹脂粒子を主成分としている。
着色樹脂粒子は、粉砕法により得られる粉砕トナーと、重合法により得られる重合トナーとに大別される。粉砕法では、一般に、結着樹脂と着色剤とその他の添加剤成分とを溶融混練し、混練物を粉砕し、分級することにより、所望の平均粒径を有する着色樹脂粒子として粉砕トナーを得ている。
これに対して、重合法では、例えば、重合性単量体と着色剤とその他の添加剤成分とを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で重合することにより、着色重合体粒子として重合トナーを得ている。このような重合法としては、懸濁重合法が主流であるが、この他に分散重合法や乳化重合法が知られている。乳化重合法では、例えば、重合性単量体を水系媒体中で乳化重合して重合体微粒子を含有するエマルジョンを生成させ、次いで、エマルジョンと着色剤などの添加剤成分とを混合し、凝集させて、所望の平均粒径を有する凝集着色重合体粒子を得ている。
重合法として代表的な懸濁重合法では、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させ、得られた分散液を撹拌機で撹拌して、該重合性単量体組成物の液滴を形成する。水系分散媒体中での重合性単量体組成物の液滴の形成工程を「液滴の造粒工程」と呼ぶことがある。液滴の形成工程の後、重合性単量体組成物中に予め添加した重合開始剤または液滴形成工程後に水系分散媒体中に添加した重合開始剤を用いて、液滴中の重合性単量体を重合させる。この重合工程により、着色重合体粒子を生成させる。
重合法により得られる着色重合体粒子は、一般に、(i)球形であるため、流動性に優れること、(ii)粒径分布が粉砕トナーに比べてシャープであるため、より高画質の画像を形成できること、(iii)平均粒径の制御が容易であることなどの特徴を有している。
近年、より高精細で高画質の画像を形成することが強く要求されており、それに伴って、重合トナーには、体積平均粒径が1〜10μmの小粒子径で、かつ、体積平均粒径dvと個数平均粒径dpとの比dv/dpで表わされる粒径分布が1.4以下、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下の極めてシャープであることが強く求められている。
ところが、一般に、シャープな粒径分布の着色重合体粒子を得ることができるといわれている重合法であっても、工業的な大量生産において、高度にシャープな粒径分布の要求水準を満足するには、重合工程後に分級工程を配置する必要があった。特に、小粒径の重合トナーでは、粗大粒子や微細粒子の含有割合を小さくすることが高精細で高画質の画像を形成する上で重要となっており、そのために、分級工程を配置せざるを得ない場合が多かった。
分級工程では、粗大粒子、微細粒子またはこれら両者を除去するため、重合トナーの収率が低下し、生産性と価格に悪影響を及ぼす。そこで、分級工程が不要な程度まで粒径分布がシャープな重合トナーを得るために、例えば、水系分散媒体中での重合性単量体組成物の液滴形成工程(造粒工程)において、シャープな液滴を形成する方法が提案されている。液滴形成工程において、極めてシャープな液滴を形成することができれば、その後の重合工程において、同様に極めてシャープな粒径分布を有する着色重合体粒子を生成させることができる。
従来、例えば、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を造粒するに際し、タービン型撹拌機を用いて分散液を撹拌する方法が提案されている(特許文献1)。また、重合性単量体組成物を含有する分散液を、一層または多層の櫛歯型同心リングである回転子及び固定子の間隙を回転子内側から固定子外側方向に流通させて、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌して造粒する方法(特許文献2)、分散液を高速で回転するローターとそれを取り囲むスクリーンにより生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用によって造粒する方法(特許文献3)、分散液を遠心力によって造粒槽側壁に押し付けて液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌翼の先端を触れさせることにより造粒する方法(特許文献4)特開平11−167222号公報)などが提案されている。
しかし、このような造粒能力の高い撹拌装置を使って液滴を形成しても、液滴同士が合一して粗大な液滴が形成されやすいため、その後の重合工程によって得られる着色重合体粒子には、所望の平均粒径から大きく外れる粗大粒子が多量に含まれることが多い。
本件出願人は、前記従来技術の問題点を克服するために、重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させた分散液を撹拌槽で撹拌し、該撹拌槽から該分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置を通過させ、かつ、高速撹拌装置を通過した分散液を、前記撹拌槽内にある分散液面下の位置に戻し、循環させて、重合性単量体組成物の液滴を造粒する方法を提案した(特許文献5)。この方法によれば、重合工程後に、粒径分布が極めてシャープな着色重合体粒子を得ることができ、分級工程を省略することが可能である。
より具体的に、特許文献5には、図4に示すように、高速撹拌装置45と撹拌槽41と重合反応槽49とを備えた重合トナーの製造装置が示されている。撹拌槽41には、撹拌翼を備えた撹拌装置43が取り付けられている。同様に、重合反応槽49にも撹拌翼を備えた撹拌装置が取り付けられている(図示せず)。撹拌槽41の底部に分散液の抜き出し口が設けられており、この抜き出し口から抜き出しライン44が高速撹拌装置45に接続されている。循環戻りライン46が高速撹拌装置45の出口から撹拌槽41に延びており、循環戻りライン46からの投入管47は、撹拌槽41の上部から内側に突き出し、その先端部(投入口)は、撹拌槽41内にある分散液42の液面下の位置に配置されている。所定の循環回数で撹拌槽41と高速撹拌装置45との間を循環させて造粒した分散液は、バルブの切り替えによって、ライン48を通して撹拌槽41から重合反応槽49に移送され、そこで重合が行われる。
特開昭63−165869号公報 特開平2−32363号公報 特開平8−305084号公報 特開平11−167222号公報 特開2001−356523号公報
本発明の課題は、粒径分布が極めてシャープであって、粗大粒子及び微細粒子の含有量が少なく、印字時に白筋が発生せず、かつ感光体表面へのフィルム状被膜の生成が顕著に抑制された重合トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、前記特許文献5(特開2001−356523号公報)に開示されている造粒工程を改良することにより、前記課題を達成できることを見出した。具体的に、本発明の製造方法では、特許文献5と同様に、重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させた分散液を撹拌槽で撹拌し、該撹拌槽から該分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置を通過させ、かつ、高速撹拌装置を通過した分散液を、前記撹拌槽内にある分散液面下の位置に戻し、循環させて、重合性単量体組成物の液滴を造粒する方法を採用する。ただし、本発明の製造方法では、高速撹拌装置を通過した分散液A1を撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻し、その際、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる方法を採用する。
本発明の製造方法によれば、特許文献5に開示されている製造方法に比べて、粒径分布がよりシャープで、粗大粒子及び微細粒子の含有量が少ない重合トナーを得ることができる。本発明の製造方法によって得られた重合トナーは、印字時に白筋が発生せず、かつ感光体表面へのフィルム状被膜の生成(フィルミング現象)が顕著に抑制されている。本発明の製造方法は、体積平均粒径が10μm以下の小粒径の重合トナーの製造方法にも好適に適用することができる。さらに、前記方法は、乳化重合とその後の凝集工程を含む凝集着色重合体粒子の製造方法にも適している。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、少なくとも重合性単量体と着色剤と帯電制御剤とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させて分散液を調製する工程(I)、分散液を攪拌して重合性単量体組成物の液滴を形成する工程(II)、及び液滴中の重合性単量体を重合して着色重合体粒子を生成させる工程(III)を含む重合トナーの製造方法であって、前記工程(II)において、下記工程1〜3;
(1)分散液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程1;
(2)撹拌槽から分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程2;
(3)高速撹拌装置を通過した分散液A1を前記撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻し、その際、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる工程3;
により、分散液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させて、所定の粒径を有する液滴を形成することを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、重合性単量体を乳化重合して、重合体微粒子を含有するエマルジョンを得る工程(i)、少なくともエマルジョンと着色剤とを混合して混合液を調製する工程(ii)、及び混合液を撹拌して重合体微粒子と着色剤とを含有する凝集着色粒子を生成させる工程(iii)を含む重合トナーの製造方法であって、前記工程(iii)において、下記工程A〜C;
(1)混合液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程A;
(2)撹拌槽から混合液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程B
(3)高速撹拌装置を通過した混合液a1を撹拌槽内にある混合液a2の液面下に投入して戻し、その際、混合液a1の投入口での液噴出方向を混合液a2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した混合液a1を混合液a2の液流動方向に合流させる工程C;
により、混合液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させ、その後熱処理を行って、所定の粒径を有する凝集着色重合体粒子を形成することを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
本発明によれば、粒径分布が極めてシャープであって、粗大粒子及び微細粒子の含有量が少なく、印字時に白筋が発生せず、かつ感光体表面へのフィルム状被膜の生成が顕著に抑制された重合トナーを製造することができる。本発明の製造方法により得られた重合トナーは、粒径分布が極めてシャープであり、微細粒子の含有量が少ないため、フィルミング現象の発生が顕著に抑制され、また、粗大粒子の含有量が少ないため、印字時の白筋の発生が顕著に抑制されている。本発明の製造方法によれば、重合後の後工程として分級工程を配置する必要がなくなるため、収率が増加し、生産性の向上とコスト低減を図ることが可能である。
本発明の第一の製造方法では、少なくとも重合性単量体と着色剤と帯電制御剤とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させて分散液を調製する。この分散液を高速撹拌装置と撹拌槽との間を循環させて重合性単量体組成物の液滴を形成する。本発明で用いる重合性単量体は、主成分としてモノビニル系単量体を含むものである。重合性単量体は、重合することにより、着色重合体粒子の結着樹脂となる。
モノビニル系単量体の具体例としては、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどの不飽和カルボン酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系単量体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなどの含窒素ビニル単量体;などのモノビニル系単量体が挙げられる。
これらのモノビニル系単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらのモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸の誘導体などが好ましく、スチレン系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステルが特に好ましい。
これらのモノビニル系単量体とともに、任意の架橋性モノマーを重合性単量体として用いると、定着性、特にオフセット特性が向上する。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;などを挙げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明では、架橋性モノマーを、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、本発明では、重合性単量体としてマクロモノマーを使用することができる。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有する巨大分子であり、数平均分子量が、通常1000〜30000のオリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマー分子鎖の末端のビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができるが、共重合のし易さの観点から、メタクリロイル基が好適である。マクロモノマーの使用割合は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。マクロモノマーの使用割合がこの範囲であれば、保存性と定着性との良好なバランスを有する重合トナーが得られる。
着色剤としては、一般にトナー用の着色剤として周知の染料や顔料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケルなどの磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmの範囲内にあるものを用いると、良好な画質が得られ、また、トナーの環境への安全性も高まるので好ましい。
カラートナー用の着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などがある。イエロー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料などの化合物が用いられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、97、120、138、155、180、及び181などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料などの化合物が用いられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物などが利用できる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、及び60などが挙げられる。
これら着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシンなどが挙げられる。より具体的には、例えば、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業社製)、T−77(保土ヶ谷化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、ボントロンN−01(オリエント化学工業社製 )、コピーブルー−PR(クラリアント社製)等の帯電制御剤;4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体などの帯電制御樹脂;などを用いることができる。帯電制御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いられる。
重合性単量体組成物には、必要に応じて、離型剤、分子量調整剤、重合開始剤などの他の添加剤成分を含有させることができる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレン及びこれらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレン及びこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトララウレートなどのペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサラウレートなどのジペンタエリスリトールエステル等多官能エステル化合物;などが例示される。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、合成ワックス、末端変性ポリオレフィンワックス類、石油系ワックス及びその変性ワックス、多官能エステル化合物が好ましい。多官能エステル化合物の中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が通常30〜200℃、好ましくは50〜180℃、より好ましくは60〜160℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトールエステルなどの多価エステル化合物が、トナーの定着性と剥離性とのバランス上の観点から望ましい。とりわけ、分子量が1000以上で、スチレン100重量部に対し25℃で5重量部以上溶解し、酸価が10mg/KOH以下であるジペンタエリスリトールエステルは、定着温度の低下に顕著に寄与することができる。吸熱ピーク温度は、ASTM D3418−82によって測定された値である。離型剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;などを例示することができる。これらの分子量調整剤は、重合性単量体組成物中に含有させてもよいし、重合開始前または重合途中で反応系に添加してもよい。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーブチルネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなどの過酸化物類;などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いることができる。
これらの重合開始剤の中でも、使用する重合性単量体に可溶な油溶性の開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて水溶性の開始剤をこれと併用することができる。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられる。重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、早期重合を避けるために、造粒工程終了後の分散液中に添加することもできる。
本発明に用いる水系分散媒体は、水を主成分する分散媒体であり、これに分散安定剤が含まれているものが好ましい。分散安定剤としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物; 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄などの金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチンなどの水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。これらの中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドは、着色重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
難水溶性金属水酸化物のコロイドは、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドが分散安定剤として好ましい。
本発明に用いる難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。該コロイドの粒径が大きくなりすぎると、重合が不安定となり易く、また、重合トナーの保存性が低下する。
分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用する。この割合が少なすぎると、十分な重合安定性を得ることが困難となり、凝集物が生成し易くなる。逆に、この割合が多すぎると、重合トナー粒径が細かくなりすぎるので好ましくない。
本発明に用いる水系分散媒体は、分散安定剤に加えて、水溶性の有機化合物や無機化合物を含有していてもよい。水系分散媒体に水溶性オキソ酸塩が含有されていると、重合トナーの粒径分布がシャープになり好ましい。水溶性オキソ酸塩としては、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩などが挙げられる。これらの中でも、ホウ酸塩及びリン酸塩が好ましく、ホウ酸塩がより好ましい。
ホウ酸塩としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム;四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム八水和物などが挙げられる。リン酸塩としては、ホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスホン酸ナトリウム五水和物、ホスホン酸水素ナトリウム二.五水和物、リン酸ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸二水素二ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム六水和物、三リン酸ナトリウム、シクロ−四リン酸ナトリウム、ホスフィン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム三水和物、メタリン酸カリウムなどが挙げられる。水溶性オキソ酸塩は、難水溶性無機化合物コロイド100重量部に対して、通常0.1〜1000重量部、好ましくは1〜100重量部の割合で用いられる。水溶性オキソ酸塩は、溶解させて水系分散媒体中に含有させる。
本発明では、少なくとも重合性単量体と着色剤と帯電制御剤とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させて分散液を調製し、そして、分散液を、撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させながら、重合性単量体組成物の液滴を形成する。液滴形成工程では、水系分散媒体中に重合性単量体組成物の液滴の大きさが所望の重合トナーの平均粒径(例えば、体積平均粒径)とほぼ一致する程度か、若干小さめの平均粒径になるまで撹拌して、液滴を形成する。
より具体的に、本発明の製造方法では、液滴形成工程において、下記工程1〜3;
(1)分散液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程1;
(2)撹拌槽から分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程2;
(3)高速撹拌装置を通過した分散液A1を前記撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻し、その際、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる工程3;
により、分散液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させて、所定の粒径を有する液滴を形成する。
以下、図1を参照しながら、本発明の製造方法について説明する。図1は、本発明の製造方法に用いる製造装置の一例である。この製造装置は、高速撹拌装置5と撹拌槽1と重合反応槽9との組み合わせから構成されている。撹拌槽1には撹拌翼を備えた撹拌装置3が取り付けられている。重合槽9にも撹拌機が取り付けられている(図示せず)。撹拌槽1の底部に、分散液2の抜き出し口(排出口)が設けられており、この抜き出し口から抜き出しライン4が高速撹拌装置5に接続されている。循環戻りライン6が高速撹拌装置5の出口から撹拌槽1に延びており、循環戻りライン6を構成する配管の先端部は、撹拌槽1の側部上方から槽内の分散液2の液面下に突き出している。この配管の先端部が、高速撹拌装置5を通過した分散液A1を撹拌槽1内にある分散液A2の液面下に投入して戻すための投入口7となっている。
高速撹拌装置5を通過した分散液A1を撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻すことにより、分散液を撹拌槽1と高速撹拌装置5との間で循環させ、それによって、分散液を十分に撹拌し、所望の平均粒径を有する重合性単量体組成物の液滴を形成する。液滴形成工程後、重合することにより、液滴の平均粒径(例えば、体積平均粒径)にほぼ相当する平均粒径を有する着色重合体粒子(重合トナー)を生成させることができる。
撹拌槽1での撹拌装置による撹拌だけでは、十分に小さな平均粒径を有する液滴を形成することが困難である。他方、高速撹拌装置5を用いると、分散液に高剪断力を与えて重合性単量体組成物を微細に分散させることができるが、所望の平均粒径に比べて微細な液滴が多量に生成したり、生成した液滴同士が合一化して粗大液滴を形成したりし易い。これに対して、撹拌槽1と高速撹拌装置5との間で分散液を循環させながら液滴の形成を行うと、粒径分布がシャープな液滴を形成することができる。
しかし、特許文献5(特開2001−356523号公報)に具体的に開示されている方法により、図4に示すように、循環戻りライン46からの投入管(突き出し管またはインナーノズルともいう)47を撹拌槽41上部から内側に突き出し、その先端部(投入口)を撹拌槽41内にある分散液42の液面下の位置に配置しても、液滴の合一の防止が十分でないことが判明した。撹拌槽41内にある分散液は、撹拌装置43により撹拌されて、槽内で回転流を形成している。このような回転流を形成している層内の分散液A2の液面下に、高速撹拌装置45により高速撹拌された分散液A1を上方から戻すと、分散液A1と分散液A2とが衝突し、これらの分散液中に含まれる液滴が合一化して粗大な液滴粒子を形成し易い。高速撹拌装置45により高速撹拌された分散液A1を撹拌槽41の側部や底部から槽内の分散液A2内に戻しても、分散液A2の撹拌による液流動方向と分散液A1の戻し方向とが一致しないため、分散液A1と分散液A2とが衝突し、これらの分散液中に含まれる液滴が合一化して粗大な液滴粒子を形成することを十分に防ぐことができない。
これに対して、本発明では、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる方法を採用する。分散液A2の撹拌による液流動方向は、一般に、撹拌層1内での分散液A2の回転方向と一致する。液滴形成工程中、撹拌槽1内に残留する分散液A2は、撹拌翼を備えた撹拌装置3により撹拌されて流動している。図2に示すように、分散液A2の撹拌による液流動方向10は、分散液A2が撹拌槽1の内周壁に沿って回転する回転流の方向である。
循環戻りライン6からの分散液A1の投入口7での液噴出方向を、撹拌槽1内での分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせるには、撹拌槽1内での分散液A2の撹拌による液流動方向と分散液A1投入口7での液噴出方向とのなす角度を、通常0〜60°、好ましくは0〜30°、より好ましくは0〜10°の範囲に調節すればよい。より具体的には、例えば、図1及び2に示すように、循環戻りライン6を構成する配管を撹拌槽1の側部上方に接続して内側に突き出し、循環戻りライン6を構成する配管の先端部すなわち投入口7の方向を液流動方向10に合わせる方法がある。この方法によって、投入口7での液噴出方向13を分散液A2の撹拌による液流動方向10に合わせることができる。
図2に撹拌槽の断面図を示す。撹拌槽1の槽内壁は、一般に、円形の水平断面を有している。循環戻りライン6からの分散液A1の投入口7での液噴出方向13と、槽内壁が円形の水平断面を有する撹拌槽1の該円形断面における該投入口7での接線方向12との間の角度αを、通常0〜60°、好ましくは0〜30°、より好ましくは0〜10°の範囲内となるように、投入口7での液噴出方向13を設定することにより、分散液A1の投入口7での液噴出方向13を分散液A2の撹拌による液流動方向10に合わせることが望ましい。角度αは、接線方向12が液流動方向10と同方向に延在しているものとして設定する。
この角度αが大きすぎると、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させることが困難となり、投入時の分散液A1と分散液A2との衝突による液滴の合一化が発生し易くなる。例えば、角度αが90°になると、投入口7での液噴出方向が直径方向11となり、液流動方向10と一致しなくなるため、液滴の合一を十分に防ぐことが困難になる。角度αが90°を超えると、投入口7からの液噴出方向13が液流動方向10とは反対になるため、液滴の合一を防ぐことが更に困難になる。
図3に示すように、投入口7からの液噴出方向13は、通常、水平方向14とすることが好ましいが、水平方向から上下に若干ずれていてもよい。すなわち、液噴出方向13は、液流動方向10と一致している限り、上下に若干のずれがあっても、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に円滑に合流させることができる。図3に示すように、投入口7での液噴出方向13と水平方向14とがなす仰角β及び俯角γは、それぞれ通常45°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下であり、多くの場合、ほぼ0°とする。すなわち、工程3において、分散液A1の投入口での液噴出方向と水平方向との間の角度が仰角45°と俯角45°との間になるように投入口での液噴出方向を設定することにより、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせることができる。この場合、当然のことながら、前記角度αを通常0〜60°、好ましくは0〜30°、より好ましくは0〜10°の範囲内となるようにする。
図1乃至3に示されている態様では、循環戻りライン6からの配管を撹拌槽の側部に突き出しているが、必ずしもこのような態様に限定されるわけではない。例えば、循環戻りライン6の配管を撹拌槽上部から内側に突き出し、撹拌槽1内の液面下で配管先端を曲げて、先端部の投入口からの液噴出方向を撹拌槽1内の分散液A2の撹拌による流動方向に合わせてもよい。しかし、屈曲した配管構造は、分散液A1の管壁との衝突による液滴の合一を促進するおそれがあるので、循環戻りライン6からの配管は、撹拌槽の側部に突き出して配置することが好ましい。
所定の循環回数を回して造粒された分散液は、バルブの切り替えによって、ライン8を通して撹拌槽1から重合反応槽9に移送され、重合反応槽9内で重合が行われる。分散液の移送は、ポンプ(図の符号P)によって行うことができるが、撹拌槽1の下流に重合反応槽9を配置した場合には、重力を利用して分散液の移送を行うことができる。
本発明で用いる撹拌槽は、特に限定されず、化学装置において一般に用いられている水平断面が円形の槽に撹拌翼を備えた撹拌装置が設けられたものを用いることができる。
撹拌槽に配置する撹拌装置の攪拌翼は、一般的な撹拌装置に用いられるものであればよく、特に制限されないが、具体例としては、傾斜パドル翼、平パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファドラー翼、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック製)、リボン翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A310翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIGHTNIN製)、インターミグ翼(エカート製)などが例示される。これらの中でも、攪拌時の撹拌翼近傍の剪断速度を低下させながら、均一混合及び除熱能力を確保するため、傾斜パドル翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、スーパミックス翼、 A310翼、A320翼、インターミグ翼が好ましく、生産性の観点から傾斜パドル翼が特に好ましい。
攪拌翼の大きさは、製造設備に応じた大きさを選択することができる。好適な攪拌翼の大きさは、撹拌槽の内径Dと撹拌翼の回転直径dとの関係d/Dが、通常0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7である。攪拌翼は、一段でもよいし、多段に配置したものでもよい。さらに、2種以上の異なる撹拌翼を組み合わせて使用してもよい。攪拌効率の観点からは、同型の撹拌翼を2〜3段に組み合わせた多段翼が好ましい。
撹拌槽における好適な攪拌条件は、攪拌により消費される動力P[kw]を撹拌槽中の分散液の体積V[m]で割った攪拌所要動力Pv[kw/m]が、通常0.01〜0.6、好ましくは0.05〜0.5、特に好ましくは0.08〜0.4となる条件である。
撹拌所要動力Pv値が大きすぎると、攪拌が強すぎて、液滴の合一が進行して得られる着色重合体粒子の粒径分布がブロードになることがある。逆に、Pv値が小さすぎると、分散物の混合不良による造粒効率の低下で粒径分布がブロードになることがある。本発明においては、このPv値を適切な範囲にコントロールすることにより、液滴及び得られる着色重合体粒子の粒径分布をよりシャープにすることができる。
攪拌翼先端速度の上限は、通常5m/s未満、好ましくは4m/s以下、より好ましくは3m/s以下である。攪拌翼先端速度の下限は、攪拌効果と攪拌効率の観点から、好ましくは0.3m/s以上、より好ましくは0.5m/s以上である。この撹拌先端速度が速すぎると、液滴及び得られる着色重合体粒子の粒径分布がブロードになり易い。
本発明で用いる撹拌槽には、分散液を抜き出すための排出口がある。排出口から抜き出された分散液は、抜き出しライン4から高速撹拌装置5に導入され、高速撹拌される。
本発明で用いる高速撹拌装置は、特に限定されず、例えば、エバラマイルダー(荏原製作所社製)に代表される同心上に配置された櫛歯形状の回転子及び固定子を高速で回転させて、その回転子内側から固定子外側に分散液を流通させて回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌させる装置;クレアミックスCLM−0.8S(エム・テクニック社製)に代表される高速で回転するローターとそれを取り囲むスクリーンにより生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用によって造粒する装置;TKフィルミックス(特殊機化工業社製)に代表される液を遠心力によって造粒槽側壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌具の先端が触れることによって造粒する装置;などが挙げられる。
撹拌槽から抜き出された分散液は、高速撹拌装置を通過させられる。高速撹拌装置を通過させる分散液の量は、滞留時間表示で通常0.5〜300秒、好ましくは 1〜250秒、より好ましくは 2〜240秒である。高速攪拌装置の回転部の先端速度は、一般に5〜90m/s、好ましくは10〜60m/s、より好ましくは20〜50m/sである。
高速攪拌装置として前述のエバラマイルダーを使用する場合の回転子及び固定子の組合わせは、粗歯−中歯または細歯−中歯または細歯の3段でも、粗歯−中歯または細歯の2段でも、粗歯、中歯、細歯から選ばれる1段のいずれの組合わせも可能である。これらの中でも、粗歯と中歯及び/または細歯の2ないし3段の組合わせが好ましい。
本発明の製造方法においては、高速撹拌装置5を通過させた分散液を撹拌槽1に戻して循環させる。高速撹拌装置からの分散液A1を戻す位置は、撹拌槽1中にある分散液A2の液面下の位置である。分散液A1を槽内の分散液A2の液面下の位置に戻すために、分散液戻りラインの配管を撹拌槽側面に突き出して配置し、その配管先端部(投入口)が分散液A2の液面より下になるように液面を調整する方法が好ましい。
ただし、前述したとおり、分散液A1の投入口での液噴出方向が分散液A2の撹拌による液流動方向と一致する限り、例えば、分散液戻りラインの配管が撹拌槽上部の内面から突き出すようにして設け、その突き出し管(インナーノズルともいう)の先端が分散液面より下になるように液面を調整する方法;分散液戻りラインの配管を撹拌槽底面に突き出して配置する方法;などを採用することもできる。
分散液A1を戻す位置(投入口の位置)は、撹拌槽内にある分散液A2の液面下の位置であればよく、通常、分散液A2の液面下深度10mm以上、好ましくは30mm以上のところに設ける。図1に示すように、分散液戻りライン6の配管を撹拌槽1の側面に突き出して配置する場合には、撹拌槽の側部上方に投入口7を設けることが望ましい。その場合、投入口7の位置は、分散液A2の液面下深度10〜100mmの範囲内とすることが望ましい。投入口7は、撹拌翼と接触しない長さの配管先端部とすることが望ましい。
循環戻りの分散液A1を撹拌槽1内にある分散液A2の液面下の位置に噴出させる場合、分散液A1の噴出速度は、通常5m/s以下、好ましくは0.1〜5m/s、より好ましくは0.1〜3m/sである。この噴出速度が速すぎると、粗大粒子や微細粒子ができやすくなることがある。分散液の循環回数(高速攪拌装置を通過した総処理液量/仕込み処理液量の比として算出する)は、通常2〜50回、好ましくは3〜30回である。
液滴形成工程後、水系分散媒体中で造粒された液滴中の重合性単量体を重合開始剤で重合させ、着色重合体粒子を生成させる。重合条件は、特に制限されず、着色重合体粒子を得るために一般に採用されている条件で重合を行うことができる。
着色重合体粒子が得られた後、該着色重合体粒子をコア粒子とし、その表面にさらに重合体(シェル重合体)を被せることができる。シェル重合体を被せる方法としては、着色重合体粒子を得た反応液に、シェル形成用重合性単量体を添加し、引き続き重合反応を継続する方法がある。この他、一旦、着色重合体粒子を得た後、任意の重合体成分を添加して当該粒子に重合体成分を吸着または固着させる方法もある。着色重合体粒子をシェル重合体に比較して軟質なもの(例えば、ガラス転移温度の低いもの)にしたコア・シェル型重合体粒子を形成することにより、低温定着性と高温保存性とのバランスが良好なカプセルトナーを得ることができる。
重合後またはシェル重合体を被覆させた後、着色重合体粒子は、洗浄、脱水、乾燥される。洗浄は、着色重合体粒子中の残留金属(金属イオン)量をできるだけ低減する洗浄方法を採用して行うことが望ましい。特にマグネシウムやカルシウムなどの金属(イオン)が着色重合体粒子中に残留していると、高湿条件下で吸湿してトナーの流動性が低下したり、画質に悪影響を及ぼすことがある。着色重合体粒子中に残留するマグネシウムやカルシウムなどの残留金属の含有量が少ない重合トナーは、高温高湿条件下でも、1分間に30枚以上の印刷速度で印刷できる高速機により高い印字濃度でカブリのない良好な画質の画像を与えることができる。残留金属量は、好ましくは170ppm以下、より好ましくは150ppm以下、特に好ましくは120ppm以下である。残留金属量を低減させるには、例えば、着色重合体粒子を洗浄・脱水するときに、連続式ベルトフィルターやサイホンピーラー型セントリヒュージなどの洗浄脱水機を用いることが好ましい。洗浄工程の後、湿潤状態の着色重合体粒子を乾燥する。乾燥後の着色重合体粒子は、必要に応じて分級することができるが、本発明の製造方法によれば、分級工程を配置することなく、粒径分布が極めてシャープな着色重合体粒子を得ることが可能である。
本発明の製造方法によって得られる着色重合体粒子(重合トナー)は、実質的に球形であり、体積平均粒径dvは、通常1〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは3〜10μmである。精細な画像を得るために、着色重合体粒子の体積平均粒径を4〜8μmの範囲にすることもできる。
着色重合体粒子の体積平均粒径dvと個数平均粒径dpとの比dv/dpで表わされる粒径分布は、通常1〜1.5、好ましくは1〜1.4、より好ましくは1〜1.3、特に好ましくは1〜1.2である。また、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積Scを粒子の実質投影面積Srで割った値Sc/Srは、通常1〜1.3の範囲である。BET比表面積(A)[m/g]、個数平均粒径(dp)[μm]及び真比重(D)の積(A×dp×D)は、5〜10の範囲であるのが望ましい。
特に好ましい重合トナーは、120℃での溶融粘度が通常10万ポイズ以下、好ましくは0.1〜10万ポイズ、より好ましくは1〜8万ポイズである。粘度測定は、フローテスターを用いて測定することができる。このような溶融粘度を持つ重合トナーを用いると、高速印刷を行っても、高画質を実現することができる。
本発明の第二の製造方法は、重合性単量体を乳化重合して、重合体微粒子を含有するエマルジョンを得る工程(i)、少なくともエマルジョンと着色剤とを混合して混合液を調製する工程(ii)、及び混合液を撹拌して重合体微粒子と着色剤とを含有する凝集着色粒子を生成させる工程(iii)を含む重合トナーの製造方法である。
前記工程(iii)において、下記工程A〜C;
(1)混合液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程A;
(2)撹拌槽から混合液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程B
(3)高速撹拌装置を通過した混合液a1を前記撹拌槽内にある混合液a2の液面下に投入して戻し、その際、混合液a1の投入口での液噴出方向を混合液a2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した混合液a1を混合液a2の液流動方向に合流させる工程C;
により、混合液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させ、その後凝集を行って、所定の粒径を有する凝集着色重合体粒子を形成する。
この第二の製造方法において、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、及びその他の添加剤成分としては、第一の製造方法で用いたものと同じものを用いることができる。重合性単量体の乳化重合には、公知の乳化重合法を適用することができ、乳化重合に用いる乳化剤も特に限定されず、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤などを用いることができる。
第二の製造方法では、重合体エマルジョン、着色剤及び帯電制御剤を含有する凝集粒子を造粒する際に、重合体エマルジョン、着色剤、及び帯電制御剤などの混合物を撹拌槽で撹拌し、該撹拌槽から、該混合物の一部を抜き出して高速撹拌装置を通過させ、かつ高速撹拌装置を通過した混合物を、撹拌槽に戻して循環させる。この撹拌操作、循環操作などの条件は、第一の製造方法と同様である。
第二の製造方法によって得られる重合トナーは、ラズベリ状の凹凸を有する凝集した着色重合体粒子である。その体積平均粒径は、通常1〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは3〜10μmである。精細な画像を得るために、着色重合体粒子の体積平均粒径を4〜8μmの範囲にすることもできる。粒径分布は、通常1〜1.5、好ましくは1〜1.4、より好ましくは1〜1.3である。
第一または第二の製造方法によって得られた着色重合体粒子は、さらに外添処理を行うことができる。着色重合体粒子の表面に添加剤(以下、外添剤という)を付着または埋設させることによって、帯電性、流動性、保存安定性などを調整することができる。
外添剤としては、無機粒子、有機酸塩粒子、有機樹脂粒子などが挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機酸塩粒子としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、シェルがメタクリル酸エステル共重合体でコアがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子などが挙げられる。これらの中でも、無機粒子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これらの粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。
外添剤の量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。外添剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせる方法が好適である。外添剤を着色重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤と着色重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合器に仕込み、撹拌する。
本発明の製造方法について、実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。本発明における物性及び特性の評価方法は、以下のとおりである。
(1)粒径、粒径分布、粗粉と微粉の割合:
着色重合体粒子(重合トナー)の体積平均粒径dv、及び粒径分布すなわち体積平均粒径dvと平均粒径dpとの比dv/dpは、粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定した。この粒径分布測定装置による測定においては、屈折率=1.55−0.20i、超音波照射時間=5分間、粒径測定時の分散媒として蒸留水を用いて行った。
実施例及び比較例では、体積平均粒径が約10μmの着色重合体粒子を製造したので、前記測定装置を用いて得られる体積平均粒径の積算カーブに基づいて、15.2μm以上の割合を粗粉割合(体積%)として求め、個数平均粒径の積算カーブに基づいて、4.6μm以下の割合を微粉割合(個数%)として求めた。
(2)印字白筋:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(12枚機;1分間に12枚印刷)を用いて、このプリンターの現像装置に評価する現像剤を入れ、温度23℃湿度50%環境下で一昼夜放置後、初期から連続印字を行い、一定枚数になった時点で黒ベタ印字をさせて、白筋の有無を判定した。最終印字枚数は、50000枚とした。連続印字は、5%印字濃度で行い、白筋は、1000枚毎に調べた。
(3)フィルミング:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(12枚機)を用いて、このプリンターの現像装置に評価する現像剤を入れ、温度23℃湿度50%環境下で一昼夜放置後、初期から連続印字を行い、一定枚数になった時点でハーフトーンの印字をさせて、印字が白くぼけていないか否か観察し、フィルミングの発生の有無を調べた。最終印字枚数は、50000枚とした。連続印字は、5%印字濃度で行い、フィルミングは、1000枚毎に調べた。
[実施例]
スチレン80.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、ジビニルベンゼン0.5部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.5部からなるコア用重合性単量体、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25」)7部、帯電制御樹脂(藤倉化成工業社製、商品名「FCF626N」;スルホン酸基含有アクリルアミド単量体7%を含むスチレン系樹脂)1部、及びt−ドデシルメルカプタン1.0部を、室温下で通常の攪拌装置で攪拌し、混合した後、メディア型分散機によりさらに均一分散した。次いで、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(25℃でのスチレンに対する溶解度=10g/100g以上、吸熱ピーク温度=65℃、分子量=1514)10部を添加、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。
一方、室温下でイオン交換水250部に塩化マグネシウム6.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.1部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
他方、メチルメタクリレート(Tg=105℃)2部と水65部を混合して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
撹拌翼径d=103mmの45度傾斜パドル翼を二段に配置した内径D=205mmの撹拌槽に、水酸化マグネシウムコロイド分散液を仕込み、それにコア用重合性単量体組成物を添加し、翼近傍のフローパターンがダウンフローになるように、先端速度 =1.19m/s、攪拌所要動力Pv=0.12kw/mとなるように攪拌翼を回転させた。撹拌中の液面から攪拌翼上端までの深さHは、72mmであり、H/Dは0.35であった。
そこに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)6部添加し、液滴が安定するまで攪拌した。
撹拌槽底部から分散液を抜き出し、15000rpmで回転するエバラマイルダー(高速撹拌装置;荏原製作所社製、商品名「MDN303V」)を通過させ、通過した分散液を攪拌槽側面(攪拌中の分散液面下50mmの位置)から攪拌による液流動方向となす角度が0°となるように、速度1m/sで戻し循環させ、循環回数が10回となるようにしてコア用重合性単量体組成物の液滴を形成させた。このようにして、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水分散液を調製した。
コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水分散液を、撹拌翼径d=103mmの45度傾斜パドル翼を上段と下段に配置した内径D=205mmの重合反応槽に入れ、翼近傍のフローパターンがダウンフローになるように回転させながら、昇温させて重合反応を開始し、水分散液の温度が90℃となるように制御した。撹拌中の水面から攪拌翼上端までの深さHは、72mmであり、H/Dは、0.35であった。重合転化率がほぼ100%に達した後、シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤[和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕]0.2部を溶解し、それを重合反応槽に入れた。4時間重合を継続した後、反応を停止し、着色重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の水分散液を酸洗浄した後、脱水、乾燥して、着色重合体粒子を得た。得られた着色重合体粒子100部に、疎水化処理したコロイダルシリカ(商品名「RX−100」;日本アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナーを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
液滴形成工程において、撹拌槽底部から分散液を抜き出し、15000rpmで回転するエバラマイルダー(高速撹拌装置;荏原製作所社製、商品名「MDN303V」)を通過させ、通過した分散液を攪拌槽側面(攪拌中の分散液面下50mmの位置)から攪拌による液流動方向となす角度が40°となるように、速度0.5m/sで戻し循環させ、循環回数が10回となるようにしてコア用重合性単量体組成物の液滴を形成させた。これらのこと以外は、実施例1と同様に操作して、着色重合体粒子とトナーを調製した。結果を表1に示す。
[比較例1]
液滴形成工程において、撹拌槽底部から分散液を抜き出し、15000rpmで回転するエバラマイルダー(高速撹拌装置;荏原製作所社製、商品名「MDN303V」)を通過させ、通過した分散液を攪拌槽上部からインナーノズルを経て攪拌中の分散液面下50mmの位置に、速度1m/sで戻し循環させ、循環回数が10回となるようにしてコア用重合性単量体組成物の液滴を形成させた。これらのこと以外は、実施例1と同様に操作して、着色重合体粒子とトナーを調製した。結果を表1に示す。
Figure 2005242236
表1の結果から明らかなように、本発明の製造方法(実施例1〜2)によれば、特許文献5に開示されている従来法を採用した場合(比較例1)に比べて、粒径分布がよりシャープで、粗大粒子及び微細粒子の含有量がより少なく、しかもフィルミングや白筋の発生がない重合トナーの得られることが分かる。
本発明の製造方法により得られた重合トナーは、電子写真方式や静電記録方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を可視像化するための現像剤として利用することができる。
本発明の製造方法に用いる製造装置の一例を示す説明図である。 分散液投入口での液噴出方向を分散液の撹拌による液流動方向に合わせる方法を示す説明用の断面図である。 分散液投入口での液噴出方向が水平方向となす仰角及び俯角を示す説明図である。 従来の製造方法に用いる製造装置を示す説明図である。
符号の説明
1:撹拌槽、
2:分散液、
3:撹拌装置、
4:分散液の抜き出しライン、
5:高速撹拌装置、
6:循環戻りライン、
7:分散液の投入口、
8:ライン、
9:重合反応槽、
10:撹拌による液流動方向、
11:撹拌槽の直径、
12:投入口での接線方向、
13:投入口からの液噴出方向、
14:水平方向、
41:撹拌槽、
42:分散液、
43:撹拌装置、
44:抜き出しライン、
45:高速撹拌装置、
46:循環戻りライン、
47:インナーノズル、
48:ライン、
49:重合反応槽。

Claims (5)

  1. 少なくとも重合性単量体と着色剤と帯電制御剤とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させて分散液を調製する工程(I)、分散液を攪拌して重合性単量体組成物の液滴を形成する工程(II)、及び液滴中の重合性単量体を重合して着色重合体粒子を生成させる工程(III)を含む重合トナーの製造方法であって、前記工程(II)において、下記工程1〜3;
    (1)分散液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程1;
    (2)撹拌槽から分散液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程2;
    (3)高速撹拌装置を通過した分散液A1を前記撹拌槽内にある分散液A2の液面下に投入して戻し、その際、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した分散液A1を分散液A2の液流動方向に合流させる工程3;
    により、分散液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させて、所定の粒径を有する液滴を形成することを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 工程3において、分散液A1の投入口での液噴出方向と、槽内壁が円形の水平断面を有する撹拌槽の該円形断面における該投入口での接線方向との間の角度が0〜60°の範囲内となるように投入口での液噴出方向を設定することにより、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせる請求項1記載の製造方法。
  3. 工程3において、分散液A1の投入口での液噴出方向と水平方向との間の角度が仰角45°と俯角45°との間になるように投入口での液噴出方向を設定することにより、分散液A1の投入口での液噴出方向を分散液A2の撹拌による液流動方向に合わせる請求項2記載の製造方法。
  4. 分散液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環速度0.1〜5m/sで循環させることにより、分散液A1を投入口から5m/s以下の噴出速度で分散液A2の液面下に噴出して投入する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 重合性単量体を乳化重合して、重合体微粒子を含有するエマルジョンを得る工程(i)、少なくともエマルジョンと着色剤とを混合して混合液を調製する工程(ii)、及び混合液を撹拌して重合体微粒子と着色剤とを含有する凝集着色粒子を生成させる工程(iii)を含む重合トナーの製造方法であって、前記工程(iii)において、下記工程A〜C;
    (1)混合液を撹拌槽内で撹拌翼を備えた撹拌装置により撹拌する工程A;
    (2)撹拌槽から混合液の一部を抜き出して高速撹拌装置に導き、高速撹拌する工程B
    (3)高速撹拌装置を通過した混合液a1を前記撹拌槽内にある混合液a2の液面下に投入して戻し、その際、混合液a1の投入口での液噴出方向を混合液a2の撹拌による液流動方向に合わせて、投入した混合液a1を混合液a2の液流動方向に合流させる工程C;
    により、混合液を撹拌槽と高速撹拌装置との間で循環させ、その後熱処理を行って、所定の粒径を有する凝集着色重合体粒子を形成することを特徴とする重合トナーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010160175A (ja) * 2009-01-06 2010-07-22 Canon Inc 重合トナーの製造方法
JP2018200400A (ja) * 2017-05-26 2018-12-20 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法および撹拌装置

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