JP3817403B2 - 電子写真用現像剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真の現像に用いられる現像剤の製造方法に関し、特に重合反応時の分散安定化を向上させ、粒子径分布の狭い着色重合体粒子を含む現像剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真用現像剤(トナー)は、結着樹脂を着色剤、帯電制御剤、離型剤などと混練、粉砕、分級して得られる粉砕法トナーと、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤等の混合物を懸濁重合、乳化重合、分散重合などの方法で重合した微粒子として得られる重合法トナーに大別される。
このうち粉砕法により製造されるトナーにおいては、それに用いられる材料がある程度粉砕され易いように脆性を持っていなくてはならない。しかし、余り脆性を高くした材料を用いると、トナーが微粉化され過ぎて、最終的に適切な粒度分布のトナーを得るために必要以上の超微粉を篩分け等により除去しなければならない。そのために製造コストが高価となる不利益がある。
このような粉砕法の問題点を解決するために、懸濁重合法により重合性単量体から直接にトナー粒子を製造する方法が提案されている。この懸濁重合法によりトナーを得ようとする場合には、重合性単量体と着色剤とを含有する単量体組成物と懸濁安定剤を含有する水性媒体等の中で適当な攪拌機を用いて単量体組成物を適当な粒径に造粒し、重合開始剤によって、重合性単量体を重合せしめて着色重合体粒子を形成し、トナーを製造している。
【0003】
この懸濁重合法によるトナーの製造では、粉砕工程を必要とせず、しかもその形状は球形であるため流動性に優れる等の特徴を有する。
トナーとして要求される粒子径は1〜20μmであり、好ましくは3〜8μmのものであり、かつ粒子径分布が所定の範囲内のものである必要がある。この要求を満たすためには、重合工程における攪拌による粒子の合一、分裂を抑制する必要がある。従来は粒子の分散安定化のために分散安定剤を添加することで粒子径とその分布を制御してきた。分散安定剤としては難水溶性無機化合物を用いる事で比較的粒径分布を狭くする事が可能であり(特公昭63−45101号公報、特開昭61−22354号等)、特に水酸化金属塩コロイドを用いる事で、他の難水溶性無機化合物と比較して、更にシャープなトナー粒径分布と良好な電気的性質を有するトナーを製造することは可能である(特開平6−332257)。しかし、水酸化金属塩コロイドを用いた場合に於いても、攪拌中の合一、分裂を完全に防止することはできないので、所望の粒子径からはずれる大きさの粒子が発生することがあり、それが原因で、印字評価で白筋が発生することがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術の下、本発明者らは、重合反応中の水系媒体中に、難水溶性無機化合物のコロイドとして難水溶性金属水酸化物のコロイドと、水溶性オキソ酸塩としてホウ酸塩又はリン酸塩とを含有させることにより、粗大粒子及び微粉の発生を抑制し、粒子径分布を特にシャープにすることが出来ることを見出し本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する水系分散媒体中で、重合性単量体、着色剤及び帯電制御剤を含有する単量体組成物の液滴を造粒し、次いで、単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体中に、水溶性オキソ酸塩としてホウ酸塩又はリン酸塩を添加し、しかる後、重合性単量体を重合開始剤により重合して、着色重合体粒子を得る工程を有する電子写真用現像剤の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用現像剤の製造方法は、難水溶性金属水酸化物のコロイドと、水溶性オキソ酸塩としてホウ酸塩又はリン酸塩とを含有する水系分散媒体中で、重合性単量体、着色剤及び帯電制御剤を含有する単量体組成物を、重合開始剤を用いて重合して、着色重合体粒子を得る工程を有する。
【0007】
本発明に用いられる難水溶性金属水酸化物のコロイドは、単量体組成物の液滴の分散安定性を高めるものである。難水溶性金属水酸化物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物が挙げられる。重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性向上できる観点から、金属水酸化物が好適である。難水溶性金属水酸化物のコロイドは、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。
【0008】
本発明に用いられる難水溶性金属水酸化物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性が低下する。難水溶性金属水酸化物のコロイドの量は、後記の重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部である。この量が少ないと充分な重合安定性を得ることが困難になり、凝集物が生成し易くなる。逆に、この割合が多いとトナー粒径が細かくなりすぎるので好ましくない。難水溶性金属水酸化物はコロイド状に分散して水系分散媒中に含有させる。
【0009】
本発明においては前記コロイドの他に、懸濁重合等で通常用いられている分散剤を併用することができる。他の分散剤として、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0010】
本発明に使用される水溶性オキソ酸塩としては、ホウ酸塩及びリン酸塩が挙げられ、好ましくはホウ酸塩が挙げられる。ホウ酸塩としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム;四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム八水和物などが挙げられる。リン酸塩としては、ホスフィン酸ナトリウム一水和物、ホスホン酸ナトリウム五水和物、ホスホン酸水素ナトリウム2.5水和物、リン酸ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、二リン酸二水素二ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム六水和物、三リン酸ナトリウム、cyclo−四リン酸ナトリウム、ホスフィン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム三水和物、メタリン酸カリウムなどが挙げられる。水溶性オキソ酸塩の量は、難水溶性金属水酸化物のコロイド100重量部に対して、通常0.1〜1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。水溶性オキソ酸塩は、溶解させて水系分散媒中に含有させる。水系分散媒は、水が主成分として含まれるものであり、必要に応じて水溶性の有機化合物、例えばアルコール、ケトンなどが含まれていても良い。
【0011】
本発明に用いる単量体組成物は、重合性単量体、着色剤及び帯電制御剤を含有するものである。
本発明に用いる重合性単量体の主成分としてモノビニル系単量体を挙げることができる。この重合性単量体が重合され、重合体粒子中の結着樹脂成分となる。モノビニル系単量体の具体例としては、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどの不飽和カルボン酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル単量体;等のモノビニル系単量体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらのモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸の誘導体などが好ましく、特にスチレン系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステルが好適に用いられる。
【0012】
これらのモノビニル系単量体とともに任意の架橋性モノマーを用いると、定着性、特にオフセット性が向上する。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。架橋性モノマーの量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部であることが好ましい。
【0013】
また、本発明では、マクロモノマーをモノビニル系単量体とともに重合性単量体として使用することができる。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。
マクロモノマー分子鎖の末端に有するビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好適である。
マクロモノマーの量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05〜1重量部である。この範囲であれば保存性と定着性との良好なバランスが得られる。
【0014】
本発明に用いる着色剤としては、黒色着色剤、イエロ着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などがある。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な画質が得られ、またトナーの環境への安全性も高まるので好ましい。
イエロー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、83、90、93、97、120、138、155、180および181等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19、等が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、および60等が挙げられる。これら着色剤の量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0015】
帯電制御剤として、各種の正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることが可能である。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン等が挙げられる。より具体的には、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学社製)、T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロンS−34(オリエント化学社製)ボントロンE−84(オリエント化学社製)、ボントロンN−01(オリエント化学社製 )、コピーブルー−PR(クラリアント社製)等の帯電制御剤および/または4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂を用いることができる。上記帯電制御剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部である。
【0016】
本発明に用いる単量体組成物には、他の配合剤を含有させることができる。例えば、分子量調整剤、離型剤などが挙げられる。
離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類や分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレンおよびこれらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレンおよびこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトララウレートなどのペンタエリスリトールエステル;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサラウレートなどのジペンタエリスリトールエステル等多官能エステル化合物など1種あるいは2種以上が例示される。
【0017】
これらのうち、合成ワックス(特にフィッシャートロプシュワックス)、合成ポリオレフィン、低分子量ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが好ましい。これらのなかでも示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が30〜200℃、好ましくは50〜180℃、60〜160℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトールエステルなどの多価エステル化合物が、トナーとしての定着−剥離性バランスの面で特に好ましい。とりわけ分子量が1000以上であり、スチレン100重量部に対し25℃で5重量部以上溶解し、酸価が10mg/KOH以下であるジペンタエリスリトールエステルは、定着温度低下に著効を示す。吸熱ピーク温度は、ASTM D3418−82によって測定された値である。上記離型剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
【0018】
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;を例示することができる。これらの分子量調整剤は、単量体組成物中に含有させてもよいし、重合反応開始前、あるいは、重合反応の途中で反応系に添加することもできる。上記分子量調整剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0019】
単量体組成物は、前記の水系分散媒中で、撹拌分散されて、該組成物の液滴粒子に造粒される。撹拌分散は、公知の撹拌分散装置を用いて行われる。液滴粒子はその粒径とほぼ同じ大きさの着色重合体粒子になるので、液滴粒子の粒径は、所望の着色重合体粒子の粒径とほぼ同じ大きさにする。
【0020】
水系分散媒中に分散された単量体組成物は重合開始剤で重合され、それによって着色重合体粒子が得られる。本発明に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メチル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーブチルネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1’,3,3’−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。これらのうち、使用される重合性単量体に可溶な油溶性開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて水溶性開始剤を油溶性開始剤と併用することもできる。上記重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部用いる。重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、場合によっては、造粒工程終了後の懸濁液に添加することもできる。
【0021】
本発明において、重合温度、圧力などの反応条件は公知の重合方法で採用されている条件で行うことができる。
単量体組成物の液滴粒子を重合した後、重合性単量体を添加して、重合を二段階に分けて行なうこともできる。二段階に分けて重合する方法では、例えば(1)一段目に重合する単量体(コア用重合性単量体)と二段目に重合する単量体(シェル用重合性単量体)の組成を変えて、一段目の重合で低Tgのコア粒子を形成させ、二段目の重合で高Tgの層(シェル)を形成させる方法や、(2)一段目に単量体を重合させ粒子を形成させた後、任意の重合体成分を添加して当該粒子に重合体成分を吸着または固着させる方法などによって、コア・シェル型重合体粒子を製造し、低温定着性と高温保存性のバランスの良好な、いわゆるカプセルトナーを得ることもできる。
【0022】
前記工程で得られた着色重合体粒子は、そのままで現像剤として使用することもできるが、通常は、粒子の帯電性、流動性、保存安定性などを調整するために、着色重合体粒子表面に、該粒子よりも小さい粒径の微粒子(以下、外添剤という。)を付着又は埋設させて使用する。
外添剤としては、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、コアがメタクリル酸エステル共重合体でシェルがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子などが挙げられる。これらのうち、無機酸化物粒子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これらの微粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。外添剤は2種以上を組み合わせて用いても良い。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。外添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合器に仕込み、撹拌して行う。
【0023】
本発明の製法によって得られる現像剤は、流動性が20%以上、好ましくは30%以上である。また、本発明で得られる現像剤は実質的に球形の着色重合体粒子を含有する。また、本発明で得られる実質的に球形の着色重合体粒子は、体積平均粒径(dv)が1〜10μm、好ましくは3〜8μmであり、体積平均粒径と個数平均粒径(dn)の比(dv/dn)が1〜1.5、好ましくは1〜1.3であり、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)が1〜1.3の範囲であり、かつBET比表面積(A)[m2/g]、個数平均粒径(dn)[μm]および真比重(D)の積(A×dn×D)が5〜10の範囲のものである。
特に好ましい着色重合体粒子は、120℃での溶融粘度が10万ポイズ以下、好ましくは0.1〜10万ポイズ、より好ましくは1〜8万ポイズである。粘度測定はフローテスターを用いて測定すればよい。このような溶融粘度を持つ着色重合体粒子によれば高速での印刷によっても高画質が実現する。
【0024】
さらに現像剤中の残留金属(イオン)量を制限するのが望ましい。特にマグネシウムやカルシウムなどの金属(イオン)が現像剤中に残留していると、高湿条件下では吸湿を起こし現像剤の流動性を低下させたり画質に悪影響を及ぼすことがある。マグネシウムやカルシウム(以下、単に残留金属という)の現像剤中の含有量の少ないものは、高温高湿条件下でも、1分間に30枚以上を印刷できる高速機で高い印字濃度、カブリのない良好な画質を与えることができる。残留金属量は、170ppm以下、好ましくは150ppm以下、より好ましくは120ppm以下である。残留金属を低減させるには、例えば前述するトナー製造工程の脱水段階で、連続式ベルトフィルターやサイホンピーラー型セントリヒュージなどの洗浄脱水機などを用いて脱水、洗浄、乾燥すればよい。乾燥後の粒子を分級したり、液滴造粒工程を工夫することなどにより体積平均粒径と個数平均粒径(dn)の比(dv/dn)を調節することもできる。ここで粒径の値は、後述する実施例の方法により測定される値である。
【0025】
【実施例】
本発明の製造方法を実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(粗大粒子重量%)
重合反応後の着色重合体粒子水分散液200gを80メッシュの篩に通し、良く水洗いした後、メッシュ上の残留物を乾燥機にて乾燥した。得られた乾燥物の重量を水分散液200g中のモノマー仕込み重量で割った値を粗大粒子重量%とした。
(粒径)
着色重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布(体積平均粒径と平均粒径(dp)との比(dv/dp))は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)によりを測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、濃度10%、測定粒子個数:100000個の条件で行った。
【0026】
実施例1
スチレン80.5部およびn−ブチルアクリレート19.5部からなるコア用重合性単量体(これらの単量体を共重合して得られた共重合体のTg=55℃)、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「FCA−1001−NS)1部をメデヤ型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行い、コア用重合性単量体組成物を得た。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。生成した上記コロイドの粒径分布をSALD粒径分布測定器(島津製作所社製)で測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.62μmであった。
一方、メチルメタクリレート(Tg=105℃)2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の液滴の粒径は、D90が1.6μmであった。
【0027】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液(コロイド量4.5部)に、コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−イソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)6部を添加した後、エバラマイルダー(荏原製作所社製:商品名)を用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、コア用単量体組成物の液滴を造粒した。
造粒されたコア用単量体組成物が分散された水酸化マグネシウムコロイド分散液に四ホウ酸ナトリウム十水和物を1部添加し、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド))0.3部を溶解し、それを反応器に添加した。4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型の着色重合体粒子の水分散液を得た。
上記により得た着色重合体粒子の水分散液から粗大粒子重量%を測定したところ、0.28%であった。また、該水分散液を攪拌しながら、硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、系のpHを4.5以下にした.この水分散液を濾過し、重合体粒子を単離後に粒径を測定したところ、Dvは7.83μm、Dpは6.64μm、Dv/Dpは1.18であった。
【0028】
実施例2
実施例1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えてリン酸ナトリウム十二水和物を用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色重合体粒子を得た。粗大粒子は0.34%であった。また、着色重合体粒子のDvは7.99μm、Dpは6.70μm、Dv/Dpは1.19であった。
実施例3
実施例1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えてメタほう酸ナトリウム四水和物を用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色重合体粒子を得た。粗大粒子は0.30%であった。また、着色重合体粒子のDvは7.85μm、Dpは6.65μm、Dv/Dpは1.18であった。
実施例4
実施例1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物の量を0.1部に変えた以外は、実施例1と同じ方法で着色重合体粒子を得た。粗大粒子は0.96%であった。着色重合体粒子のDvは8.11μm、Dpは6.60μm、Dv/Dpは1.23であった。
【0029】
比較例1
実施例1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えてホウ酸を用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色重合体粒子を得た。粗大粒子は7.45%であった。また、着色重合体粒子のDvは8.83μm、Dpは6.64μm、Dv/Dpは1.33であった。
比較例2
実施例1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えて苛性ソーダを用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色重合体粒子を得た。粗大粒子は5.43%であった。また、着色重合体粒子のDvは8.35μm、Dpは5.88μm、Dv/Dpは1.42であった。
【0030】
以上の実施例及び比較例から、オキソ酸塩と難水溶性無機化合物コロイドとを含有する水系分散媒中で、重合して得られた着色重合体粒子は、粗大粒子の量が少なく、粒子径分布も極めてシャープとなることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の製法によれば、粗大粒子の発生が抑制され、シャープな粒子径分布をもった電子写真用現像剤が得られる。粒子径分布がシャープになることによって、特別に分級工程を設ける必要がなくなり、印字評価でも白筋が発生することがほとんど無くなる。
Claims (1)
- 難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する水系分散媒体中で、重合性単量体、着色剤及び帯電制御剤を含有する単量体組成物の液滴を造粒し、次いで、単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体中に、水溶性オキソ酸塩としてホウ酸塩又はリン酸塩を添加し、しかる後、重合性単量体を重合開始剤により重合して、着色重合体粒子を得る工程を有する電子写真用現像剤の製造方法。
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