JP2019109379A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Osamu Matsushita
修 松下
隆之 豊田
Takayuki Toyoda
隆之 豊田
祐 吉田
Yu Yoshida
祐 吉田
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Hiroshi Kushima
浩史 久島
昇平 芝原
Shohei Shibahara
昇平 芝原
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Abstract

【課題】良好な顔料分散性を達成し、製造工程における粗大化と異形化を抑制し、規制不良を抑制するトナーの製造方法を提供する。【解決手段】結着樹脂及び顔料を含有するトナーの製造方法であって、該製造方法が、前記結着樹脂を形成し得る重合性単量体、前記顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程、および、前記重合性単量体組成物に含まれる前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程、を有し、前記水系媒体中、もしくは前記懸濁液中、もしくは両方に3価以上の多価金属塩を含有し、前記脂肪酸金属塩が難水溶性であり、2価以上の多価金属を有し、前記顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であり、前記3価以上の多価金属塩が、前記脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式などの画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、様々な分野で利用されており、さらなる高画質化、高速化に加え、複写機やプリンターの小型化、省エネルギー化、長寿命化が求められている。
さらなる高画質化、高速化に対応するためには、帯電性や流動性に優れた球形のトナーが好ましい。球形のトナーを安定的に製造するために、懸濁重合法の検討がなされている。
懸濁重合法によるトナーの製造方法において、より効率的かつ安定に球形のトナーを得るために、油滴界面の物性制御技術や、懸濁時の分散安定剤について様々な検討がなされている。
特許文献1では金属化合物を水系媒体中に含有することで、サリチル酸系樹脂を含有するトナーにおいて粗大粒子の発生を抑制している。
特許文献2では金属元素としてアルミニウムを含有するリン酸金属塩を分散安定剤として用いることで、トナーの製造工程における合一を防ぎ、かつ洗浄工程では分散安定剤を容易に除去可能にしている。
さらに、小型化、省エネルギー化に対応するためには、従来以上に高い着色力を有したトナーが好ましい。高い着色力を有したトナーを用いることで、より少ないトナー量で画像形成することができ、複写機やプリンターの小型化や省エネルギー化を達成できる。
高い着色力を有したトナーを得るために、トナー中の顔料の含有量を増やす方法がある。しかし上記の方法では、顔料が一般的に高価であるため、トナーのコスト上昇を招く恐れがある。また、トナーの帯電性に対する顔料の影響が大きくなり、帯電性の低下を招く恐れがある。
そこで近年、顔料分散剤を用いることで、トナー中の顔料の分散性を向上させ、トナーの着色力を向上させる技術が検討されている。
特許文献3では脂肪酸金属塩及びイオン性官能基を有する樹脂をトナー中に含有させることで、トナー中での良好な顔料分散性を達成している。
また、長寿命化に対応するためには、長期間の使用においても現像不良が生じないことが必要である。現像不良の一つが、規制不良と呼ばれる課題である。規制不良とは、カートリッジ内のトナーをドラム上に供給するためのトナー担持体上に、ドラム上へ現像されなかったトナーが残存することである。残存したトナーは次回の現像プロセスにおいて、斑点状のスジやトナー塊として画像上に現れてしまう恐れがある。従って、規制不良を抑制するには、長期間使用されてもトナーと部材との付着力が変動しないことが好ましい。規制不良が生じる要因の一つが、トナーとトナー担持体との付着力が増加し、トナー担持体上からのトナーの剥ぎ取りが不十分となることである。
特許文献4ではトナー表面に一定の割合のシリカ微粒子と酸化チタン微粒子を被覆し、さらに被覆率変動を抑制することで規制不良の発生を抑制している。
特開2017−102236号公報 特開2017−126063号公報 特開2017−173814号公報 特開2015−125258号公報
特許文献1のトナー製造方法では、トナーの重合工程及び蒸留工程において高温で加熱する際、分散安定剤が溶解しやすくなるため、トナーが合一してしまい、トナーの粗大粒子発生の抑制が不十分である恐れがある。トナーの粗大化が進行した場合、トナーの収率や現像性の低下が生じる恐れがある。
特許文献2では、アルミニウムを含有するリン酸金属塩によって分散安定剤の溶解性を低下させており、特許文献1の課題を解決している。しかしながら、特許文献3のような、イオン性官能基を有する樹脂を含有するトナーにおいては、トナーの異形化が生じる恐れがある。その理由を以下のように推測している。
イオン性官能基を有する樹脂は、イオン性官能基を有していない樹脂よりも親水性が高いため、製造工程において一定量トナーの表層へ偏在する。前記の樹脂はアルミニウムによって架橋され、機械的強度が増加する。このような樹脂がトナーの表層に存在する場合、重合工程及び加熱後の冷却によってトナーが収縮する際、表層上の樹脂が追従できず、トナー表面に凹凸が生じ、トナーが異形化する恐れがある。異形化したトナーは付着力が増加し、流動性の低下を招く恐れがある。イオン性官能基を有する樹脂を含有させない場合、異形化は抑制されるが、トナー中での良好な顔料分散性を達成できない恐れがある。
特許文献3では、製造工程において脂肪酸金属塩がトナー表層に偏在し、トナーの合一が生する恐れがある。脂肪酸金属塩は両親媒性であり、界面活性剤のような機能を有するので、トナー表層に偏在する場合トナーの界面張力が低下する。その結果、トナーの製造工程で一定温度加熱すると、トナーの合一が生じる恐れがある。トナーの合一を抑制するために特許文献2で規定される量のアルミニウム化合物を添加する場合、前述したように、トナーの異形化が生じる恐れがある。
特許文献4では、トナーの長期使用による無機微粒子などのトナー外添剤の埋没が生じる恐れがある。外添剤の埋没によって、トナーとトナー担持体、もしくはトナー同士の付着力が増加し、高いレベルでの規制不良抑制が不十分となる恐れがある。
以上のように、既存技術においてトナー内の良好な顔料分散性と、製造工程における粗大化及び異形化の抑制を両立について、改善の余地があるものであった。さらに、高いレベルでの規制不良抑制に関して、改善の必要がある。
本発明では、上記課題を解決するトナーの製造方法を提供する。すなわち、良好な顔料分散性を達成し、製造工程における粗大化と異形化を抑制し、規制不良を抑制するトナーの製造方法を提供する。
前述の課題を解決するために、本発明は以下の手段によって達成される。すなわち、結着樹脂及び顔料を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、該製造方法が、
3価以上の多価金属塩を含有する水系媒体を調製する工程、
前記結着樹脂を形成し得る重合性単量体、前記顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程、および、
前記重合性単量体組成物に含まれる前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程、を有し、
前記脂肪酸金属塩が、難水溶性であり、2価以上の多価金属を有し、
前記脂肪酸金属塩の添加量が前記顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であり、
前記3価以上の多価金属塩の含有量が、前記脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
また、結着樹脂及び顔料を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、該製造方法が、
前記結着樹脂を形成し得る重合性単量体、前記顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程、
前記懸濁液に3価以上の多価金属塩を添加する工程、および、
前記重合性単量体組成物に含まれる前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程、を有し、
前記脂肪酸金属塩が、難水溶性であり、2価以上の多価金属を有し、
前記脂肪酸金属塩の添加量が前記顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であり、
前記3価以上の多価金属塩の含有量が、前記脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、良好な顔料分散性を達成し、製造工程における粗大化と異形化を抑制し、規制不良を抑制するトナーの製造方法を提供することができる。
本発明の詳細を以下に述べる。
本発明では、脂肪酸金属塩が顔料表面に吸着し、さらにサリチル酸系樹脂が前記脂肪酸金属塩に吸着し、顔料−脂肪酸金属塩−サリチル酸系樹脂という顔料修飾状態を形成することで、顔料分散性、着色力に優れたトナーを得られる。この際、脂肪酸金属塩が、顔料に疎水性を付与し、サリチル酸系樹脂が、顔料同士の反発力を付与することで、上記効果を得られる。
一般に、トナー中の顔料は、顔料分散工程後のトナー製造の各プロセスにおいて、再凝集を引き起こしやすい。特に、懸濁重合法や溶解懸濁法など水系媒体中でトナーを製造する場合においては、造粒中に極性をもった顔料粒子がトナー粒子表面に偏在したり、顔料の入っていないトナー粒子、いわゆる空玉が生成したりする場合がある。特に、空玉の生成は着色力低下の大きな原因となる。これらの対策として、まず顔料同士に反発力をもたせることで、再凝集を抑制することができる。例えば、高分子の樹脂を顔料に吸着させることで、顔料表面にポリマー鎖が広がり、その立体障害性により反発力を付与することができる。また、顔料の疎水性を上げることで、顔料をトナー粒子中に内包化しやすく、顔料のトナー粒子表面への偏在、空玉の生成を抑制することができる。本発明では、脂肪酸金属塩によって、顔料に疎水性を付与し、サリチル酸系樹脂によって、顔料同士の反発力を付与しているため、顔料分散性、着色力に優れたトナーを得られると考えている。
顔料−脂肪酸金属塩の吸着はLewisの酸−塩基の定義に基づいて説明できる。つまり、脂肪酸金属塩の中心金属がLewis酸、顔料表面に存在する孤立電子対がLewis塩基となり、その酸塩基相互作用によるものである。中心金属の電荷は、大きいほど顔料表面の孤立電子対をひきつける力が強く、2価以上の多価金属であることにより十分な効果が得られる。脂肪酸金属塩が顔料に吸着することで、脂肪酸により、顔料に対して疎水性が付与される。
脂肪酸金属塩−サリチル酸系樹脂の吸着は、同じくLewisの酸−塩基の定義に基づいて起こると考えている。脂肪酸金属塩とサリチル酸系樹脂との錯体安定性が高いほど、脂肪酸金属塩−サリチル酸系樹脂の吸着力は強いと考えられる。
上記脂肪酸金属塩を含有したトナーの製造方法においては、トナーが合一し粗大化してしまう恐れがある。顔料‐脂肪酸金属塩の吸着は前述したとおりLewisの酸−塩基の酸塩基相互作用である。脂肪酸金属塩の中心金属はLewis酸だが、酸解離を起こすと親水性を示す。脂肪酸部位は疎水性を示す。従って、脂肪酸部位が油相、中心金属部位が水相に存在しやすい。よって、脂肪酸金属塩の一部は顔料に吸着し、一部は水相と油相の界面であるトナー表層に偏在する。トナー表層に偏在する脂肪酸金属塩は界面活性剤として働き、トナー表面の界面張力の低下を招く。界面張力が低下したトナー粒子は、粒子形状を維持する力が低下するので、加熱撹拌する工程において合一する恐れがある。
本発明者らは鋭意検討の結果、前述したトナーの製造方法において、水系媒体中、あるいは懸濁液中に、3価以上の多価金属塩を添加することによってトナーの合一を抑制できることを見出した。さらに、3価以上の多価金属塩を添加することによって規制不良を抑制できることを見出した。その理由を以下のように推測している。
前述したように、前記トナーにおいて脂肪酸金属塩はトナー表層に偏在し、界面張力の低下を招く。トナー表層にはサリチル酸系樹脂も偏在している。サリチル酸系樹脂は前述したようにLewisの酸−塩基の定義に基づいて脂肪酸金属塩への吸着が起こっていると考えられる。酸解離が起きたサリチル酸骨格はより親水性となり、一部は脂肪酸金属塩に吸着し、一部は水相と油相の界面へ移動する。よってサリチル酸系樹脂は、トナーの表層に一定量偏在する。
一般的にサリチル酸骨格のようなイオン性官能基を有する樹脂は、金属イオンによって架橋されることが知られている。特に、3価以上の多価金属イオンによってサリチル酸骨格が3個以上配位する可能性が上がる。よって3価以上の多価金属イオンによってサリチル酸系樹脂の機械的強度が上がる。
トナーの表層に一定量偏在するサリチル酸系樹脂を、3価以上の多価金属イオンによって架橋し、トナー表層の機械的強度を向上することで、トナーの合一を抑制することができる。トナーの合一の要因の一つは、トナー同士が衝突する際、トナーの界面張力が低下することでトナーが変形することである。よってトナーの変形を抑制すればトナーの合一を抑制することができる。トナー表層の機械的強度が高いと、トナー同士が衝突する場合に表層の変形が起こりにくい。よって3価以上の多価金属塩を添加し、3価以上の多価金属イオンをトナー表層に偏在するサリチル酸系樹脂に供給することで、トナーの合一を抑制できる。
本発明のトナーは規制不良を抑制できる。トナーは乾式で使用する場合一般的に、無機微粒子などのトナー外添剤をトナー表面に固着することで流動性や帯電性を向上させている。しかしながら、トナーを長期使用する際トナー表面の外添剤は遊離もしくはトナーに埋没する恐れがある。このようにトナー表面の外添剤の状態が変化してしまうと、トナーの付着力の増加や帯電量の低下が生じる。従って、使用の初期段階では規制不良が発生しなくても、外添剤の状態が変化することで規制不良が発生する恐れがある。外添剤の状態変化の要因の一つは、トナー表層の変化にある。例えば、複写機やプリンターの長期の使用において、トナー表面に固着した外添剤が繰り返し外圧を受け、トナー表層へ押し込まれる。そのときに、トナー表層が変形してしまうと、外添剤が埋没する。また、トナー表層に一定の深さで埋没し、固着されている外添剤が、繰り返し外圧を受ける際は、トナー表層が変形し、埋没している穴が拡大すると、外添剤が固定できなくなり遊離する場合もある。従って、規制不良を抑制する手段の一つとして、トナー表層の変形を抑制することが考えられる。前記のトナー表層の機械的強度が高いトナーにおいては、トナー表層の変形が発生しにくいので、トナー表面の外添剤の状態変化が生じにくい。
3価以上の多価金属塩は、前述した水系媒体を調製する工程時に添加するか、あるいは懸濁液に添加する必要がある。懸濁液に添加する場合、懸濁液を調製する工程中でも、重合性単量体組成物を重合させる工程中でもよい。3価以上の多価金属塩はトナー表層に効果的に添加される必要がある。従って、3価以上の多価金属塩は、水相に添加し外部からトナーに添加されることによって効果を発揮する。重合性単量体組成物に含有する場合、一部がトナー内部の組成物に吸着し、表層のサリチル酸系樹脂の架橋が効果的に進行しない。該3価以上の多価金属塩は、水系媒体を調製する工程時に添加する場合、カルシウム化合物とリン酸化合物を水系媒体に添加してリン酸カルシウム塩を形成したのち、前記水系媒体に3価以上の多価金属塩を添加することが好ましい。すなわち、カルシウム化合物とリン酸化合物を水系媒体に添加してリン酸カルシウム塩を含む水系媒体を調製する工程、および、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体に3価以上の多価金属塩を添加し、3価以上の多価金属塩を有するリン酸金属塩を形成する工程を有することが好ましい。
前記工程によって、金属元素として3価以上の多価金属を含有するリン酸金属塩を形成する。3価以上の多価金属はリン酸との結合力が強く、低pH、高温環境下でも溶解しづらい。よって、前記リン酸金属塩は、トナー製造工程において形状変化しづらく、トナーの合一を抑制する上で、トナー表層の機械的強度向上と相まってより好ましい。さらに、リン酸化合物としてリン酸ナトリウム、カルシウム化合物として塩化カルシウムを使用することが、水溶性の観点からより好ましい。
該3価以上の多価金属塩は、懸濁液に添加する場合、リン酸カルシウム塩を含有する水系媒体に該3価以上の多価金属塩を添加して3価以上の多価金属塩を含有する第2の水系媒体を調製する工程および、該第2の水系媒体を懸濁液に添加する工程を有することが好ましい。これは該3価以上の多価金属塩を、水系媒体を調製する工程時に添加する場合と同様の理由で好ましい。
しかしながら、上記の手法によってトナーの合一を抑制する場合、3価以上の多価金属塩を一定量以上加えると、トナーが異形化する恐れがある。トナーの製造工程における重合工程および加熱後の冷却によって、トナーの表層と内部との物性に著しく差がある場合、異形化が生じる恐れがある。重合工程では、重合性単量体組成物の重合が進行することによって比重が高くなることが知られている。つまり、トナー内の重合性単量体組成物は重合が進行するに連れて体積が小さくなり、結果的に収縮する。それに対して、表層に存在するサリチル酸系樹脂の機械的強度が高過ぎる場合、トナーの収縮に追従できず、トナー表面に凹凸が生じる恐れがある。また、加熱後の冷却においては、トナー表層と内部との熱膨張率の差が大きいと、トナー表面に凹凸が生じる恐れがある。3価以上の多価金属塩を一定量以上加えたトナーにおいては、上記2つの原因のどちらかは定かではないが、トナーの異形化が生じることを確認した。しかしながら、3価以上の多価金属塩の添加量が少ないと、トナー表層の機械的強度が不足しトナーの合一抑制が不十分となる。
本発明者らは鋭意検討の結果、3価以上の多価金属塩の含有量を、脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下にすることで製造工程におけるトナーの粗大化と異形化、および規制不良を抑制できることを見出した。150モル部より少ない場合、トナー表面の機械的強度が不十分なため、トナーの粗大化および規制不良が生じてしまう。850モル部より多い場合、前述した理由によりトナーの異形化が生じてしまう。より好ましくは、3価以上の多価金属塩の含有量を、脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上600モル部以下である。さらに好ましくは、3価以上の多価金属塩の含有量を、脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上400モル部以下である。
なお、本発明によって得られたトナー粒子が粗大化や異形化が抑制されたものであることは、実施例における粗大化抑制効果の評価やトナーの流動性の評価によって明らかにされている。
<3価以上の多価金属塩>
前述の3価以上の多価金属塩は、価数が3以上であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム,ガリウム,インジウム,ルテニウム等のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝酸類塩等の無機金属塩が挙げられる。また、有機酸の金属塩も水溶性であれば用いることができる。
具体的には、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化ガリウム、アセチルアセトンガリウム、塩化インジウム、アセチルアセトンインジウム、塩化ルテニウム、アセチルアセトンルテニウム等が挙げられる。
中でも、該3価以上の多価金属塩を構成する金属が、アルミニウムであることでより一層のトナー粗大化の抑制が見られるため好ましい。これは、アルミニウムがサリチル酸骨格との錯安定度定数が高いため、よりトナー表層の機械的強度向上が達成できているためと推測している。さらに塩化アルミニウムを使用することが、水溶性の観点からより好ましい。
本発明のトナーの製造方法における、重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程では、リン酸カルシウム塩(ヒドロキシアパタイト)などの無機の分散安定剤を使用する。前記3価以上の多価金属塩は、分散安定剤に取り込まれ、分散安定剤中に含まれる金属元素と置き換わる可能性がある。取り込まれる量が一定量以下であれば、分散安定剤の溶解性低下によって、分散安定剤の耐熱性、耐酸性が向上し、トナーの粗大化をより抑制できる点で好ましい。しかしながら、該3価以上の多価金属塩が一定量以上分散安定剤に取り込まれることにより、分散安定剤の結晶化度低下などを招く恐れがある。従って、無機の分散安定剤として用いる金属元素100モル部に対して、8.5モル部以下であることが好ましい。さらに6.0モル部以下であると、トナーの粗大化をより一層抑制できて好ましい。
<脂肪酸金属塩>
脂肪酸金属塩のトナーにおける添加量は、顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下である必要がある。前記脂肪酸金属塩の添加量が0.5質量部未満の場合、顔料に対する脂肪酸金属塩の吸着数が不十分であり、顔料分散性の向上が確認できない。また添加量が20.0質量部よりも多い場合、トナー表面の界面張力低下が著しく、トナー製造工程における粗大化が顕著になる。粗大化を抑制するためには、多量の3価以上の多価金属塩が必要となり、この場合、トナーの粗大化抑制と異形化の抑制が両立できない。0.5質量部以上10.0質量部以下であると、粗大化抑制の観点からより好ましく、1.0質量部以上10.0質量部以下であると、顔料分散性の観点からより好ましい。
本発明で用いる脂肪酸金属塩は2価以上の多価金属と脂肪酸からなる難水溶性の脂肪酸金属塩であれば、特段の制限なく、従来公知の脂肪酸金属塩を用いることができる。具体的には、脂肪酸としては、ノナン酸やラウリン酸、ステアリン酸、セロチン酸などの直鎖飽和脂肪酸や、オレイン酸やリノール酸などの直鎖不飽和脂肪酸、15−メチルヘキサデカン酸などの分岐構造をもった脂肪酸、2−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸のように他の官能基を有する脂肪酸など、公知のものを使用できる。脂肪酸の炭素数は8以上28以下であることが好ましく、12以上22以下がより好ましい。炭素数が8以上である場合は、脂肪酸の極性が大きくなることが抑えられ、炭素数が28以下である場合は、脂肪酸金属塩が重合性単量体や有機溶媒に対して溶けやすいため、顔料への疎水性の付与性が高められる。
中心金属としては、2価以上で公知のものを使用できる。典型元素においては価数が高く、イオン半径が小さいものがより錯体安定性が高いため、Al、Ba、Ca、Mg、Znが好ましい。また、Fe、Ti、Co、Zrなどの遷移元素は、d軌道において安定な不対電子をもつことができ、錯体安定性が高いため、好ましい。この中でも特に、Alが好ましい。
<サリチル酸系樹脂>
本発明で使用するサリチル酸系樹脂は、サリチル酸骨格を含有する樹脂であれば特に限定しない。また必要に応じて複数種類のサリチル酸系樹脂を使用できる。
サリチル酸系樹脂は、トナーを構成する結着樹脂とのSP値差の絶対値が0.3(cal/cm31/2以下であることが好ましい。上記の結着樹脂とは、本発明におけるトナー製造方法において、重合性単量体を重合工程で重合した樹脂組成物を指す。結着樹脂とのSP値差の絶対値が0.3(cal/cm31/2以下の場合、サリチル酸系樹脂はトナー表層により均一に存在する。よって、3価以上の多価金属塩を添加し、サリチル酸系樹脂を架橋する際、トナー表層全体の機械的強度が上がる。より好ましくは、トナーを構成する結着樹脂とのSP値差の絶対値が0.0(cal/cm31/2である。
なお、本発明で用いられるSP値は、一般的に用いられているFedorsの方法[Poly.Eng.Sci.,14(2)147(1974)]により、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出する。また、SP値の計算に必要な、サリチル酸系樹脂及び結着樹脂の樹脂組成物の官能基構成比率は、NMRによって分析しそれぞれをmol比で算出している。
前記サリチル酸系樹脂は、分子構造として下記構造式(1)で示されるサリチル酸骨格を有することがより好ましい。
Figure 2019109379
(式(1)中、R1はヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数が1以上18以下のアルキル基、または、炭素数が1以上18以下のアルコキシ基を示し、R2は、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を示し、gは1以上3以下の整数であり、hは0以上3以下の整数であり、hが2または3の場合、h個のR1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
1及びR2におけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
サリチル酸骨格の含有量はサリチル酸系樹脂1分子中に1mol%以上20mol%以下であることが好ましい。サリチル酸骨格が1mol%以上である場合、金属に対して十分な量のサリチル酸骨格が吸着し、サリチル酸骨格が20mol%以下である場合、サリチル酸骨格同士の相互作用が抑えられるので、分散性・着色力が向上し易い。より好ましくは2mol%以上8mol%以下である。
前記サリチル酸系樹脂は、樹脂骨格に、さらに、炭素数4以上22以下のアルキル鎖を含有することが好ましい。該アルキル鎖を導入することで、前述したトナーの結着樹脂との相溶性が向上し、前記サリチル酸系樹脂がトナー表層により均一に存在しやすくなる。よって、トナー表層の機械的強度を効率的に向上させることができる。該アルキル鎖は炭素数8以上22以下では、結着樹脂との相溶性の観点でより好ましい。さらに好ましくは、炭素数12以上22以下である。
前記サリチル酸系樹脂のアルキル鎖の導入形態は特に限定されないが、サリチル酸系樹脂が、下記式(2)で表される構造(カルボン酸エステル基)を有することが好ましい。
Figure 2019109379
[式(2)中のnは3以上21以下の整数を表す。]
前記サリチル酸系樹脂1分子当りの式(2)で表される構造が1mol%以上30mol%以下であると、疎水性付与能と金属に対する吸着性能のバランスから好ましい。より好ましくは、4mol%以上10mol%以下が好ましい。カルボン酸エステル基の個数はサリチル酸系樹脂の合成時における単量体の仕込み比や分子量を調整することで制御できる。また、式(2)中のnは同様の理由で3以上21以下であることが好ましい。
前記サリチル酸系樹脂1分子あたりのサリチル酸骨格、式(2)で表される構造の含有量は、NMRを測定し、各単量体成分の特徴的な化学シフト値から導出した積分値より各成分のmol比を算出することができる。
サリチル酸系樹脂の主鎖構造としては、特に制限はない。例えば、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリエーテル系重合体などが挙げられる。また、これらが2種以上組み合わさったハイブリッド型の重合体も挙げられる。ここに挙げた中でも、ビニル系重合体であることが好ましい。
サリチル酸系樹脂の重量平均分子量Mwは、10000以上70000以下が好ましい。10000以上であるとポリマー鎖の広がりによる顔料分散効果が向上し、70000以下では同じ量添加した際のポリマー数が減少することなく顔料分散効果が十分に発揮される。より好ましくは10000以上50000以下である。サリチル酸系樹脂の重量平均分子量Mwは重合時の反応温度、反応時間、単量体の仕込み比、開始剤量などを変更することによって制御することができる。
<水系媒体>
本発明における水系媒体とは、単量体組成物を懸濁させる媒体のことを示す。単量体組成物を懸濁させることができる液体であれば特に限定されないが、水またはイオン交換水を使用することが好ましい。
水系媒体には、無機または有機の分散安定剤を添加することがよい。分散安定剤として使用する無機化合物の種類としては、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。分散安定剤として使用する有機化合物の種類としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンなどが挙げられる。また、これら分散安定剤の微細な分散のために、界面活性剤を使用してもよい。分散安定剤の初期の作用を促進するためのものである。界面活性剤の種類としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いてもよい。例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム類の場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
<トナー製造方法>
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中において造粒する工程を含む製造方法である。具体的には、水系媒体中で分散安定剤を調整する工程と、重合性単量体、顔料及びその他の材料を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中にて造粒する造粒工程と、及び造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合する重合工程を含む製造方法である。該製造方法はいわゆる懸濁重合法である。
以下に懸濁重合法を用いた製造方法を例示して、さらに説明するが、以下に限定されるわけではない。
重合性単量体に、顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を添加する。また、必要に応じて公知の離型剤や荷電制御剤、粘度調整のための溶剤、結晶性樹脂、可塑剤、連鎖移動剤を加えてもよい。ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機のような分散機を用いて、これらを溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。
次いで、分散安定剤としてリン酸金属塩を含有する水系媒体1を用意する。水系媒体1の調製時に3価以上の多価金属塩を添加してもよい。
前述の重合性単量体組成物を、水系媒体1中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機のような高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
このとき、造粒を行う前に該リン酸金属塩に3価以上の多価金属塩を水系媒体1に添加してもよい。また、造粒を行った後の任意のタイミングで、3価以上の多価金属塩を添加してもよい。
前述重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合する際に、重合開始剤を用いても良い。該重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
造粒後の懸濁液を加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら重合反応を行い、完結させ、必要に応じて脱溶剤処理を行うことでトナー粒子の水分散体が形成される。
このとき、リン酸金属塩を含む水系媒体を予め調製し、その後、3価以上の多価金属塩を加えた水系媒体2を重合反応中に添加してもよい。
また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物、溶剤などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧もしくは減圧下で行うことができる。
その後、洗浄を行い、種々の方法によって乾燥、分級を行うことでトナーを得ることができる。該トナーは必要に応じて無機微粒子など公知のトナー外添剤を外添することができる。
懸濁重合法で用いる重合性単量体は、モノビニル系単量体が好ましい。具体的に、重合性単量体として、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;などが挙げられる。重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。モノビニル系単量体の中でも、芳香族ビニル単量体と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとを併用するのが好適である。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。また、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
また、トナーを構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下である。
懸濁重合法によってトナーを得る場合、重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものがよい。また重合性単量体100.0質量部に対し0.5以上20.0質量部以下の添加量で重合反応を行うと、通常、ピーク分子量10000以上100000以下の重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
本発明の製造方法によって製造されるトナーに用いられる顔料としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系顔料、赤色系顔料及び青色系顔料を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの顔料は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
なお、顔料の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
本発明の製造方法によって製造されるトナーは、サリチル酸系樹脂以外に、本発明の効果に影響を与えない範囲で、以下の樹脂を用いることができる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独又は混合して使用できる。
本発明の製造方法によって製造されるトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。
トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、以下に示すものを用いることができる。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、或いは、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂は好ましく用いることができる。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、以下に示すものを用いることができる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;。これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。帯電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。
本発明の製造方法によって製造されるトナーは、離型剤としてワックスを含有してもよい。ワックスの種類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス等が挙げられる。この中で特に、離型性に優れるという観点からパラフィンワックス、エステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。
本発明の製造方法によって製造されるトナーは、流動性を向上させる目的で、流動性向上剤を添加してもよい。流動性向上剤の種類としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末等の金属酸化物または、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等のシリカ微粉末または、それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粉末等が挙げられる。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。
<NMR(樹脂の組成分析)>
顔料分散剤の構造決定は、核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から各単量体成分のmol比を求め、これを基に組成比(mol%)を算出する。
<樹脂の分子量測定>
本発明で用いられる樹脂の分子量及び分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。酸基を有する樹脂の分子量を測定する場合は、カラム溶出速度が酸基の量にも依存してしまうため、予め酸基をキャッピングした試料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
GPCによる分子量の測定は、以下の様にして行う。上記樹脂をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル溶液調製は、樹脂の濃度が0.8質量%になるようにTHFの量を調整する。なお、樹脂がTHFに溶解しにくい場合には、DMFなどの塩基性溶媒を用いることも可能である。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、以下に列挙する標準ポリスチレン樹脂カラムを用いて作成した分子量校正曲線を使用する。具体的には、東ソ−社製の商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」である。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
<重合性単量体M−1の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gをメタノール150mLに溶解させ、炭酸カリウム36.9gを加えて65℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン18.7gとメタノール100mLの混合液を滴下し、65℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をpH=2の水1.5Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。析出物をヘキサン洗浄後、トルエンと酢酸エチルにて再結晶することで精製し、下記構造式(3)に示す重合性単量体M−1を20.1g得た。
Figure 2019109379
<重合性単量体M−2の合成例>
2,5−ジヒドロキシ安息香酸100gと80%硫酸1441gとを50℃に加熱混合した。この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加えて50℃で30分間撹拌した。その後、この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加え30分間撹拌する操作を3回行った。反応液を室温まで冷却し、氷水1kgにゆっくり注いだ。析出物を濾過、水洗し、その後、ヘキサン洗浄した。この析出物をメタノール200mLに溶解させ、水3.6Lに再沈殿させた。濾過後、80℃にて乾燥することで下記構造式(4)に示すサリチル酸中間体74.9gを得た。
Figure 2019109379
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを前記構造式(4)のサリチル酸中間体25.0gに変更する以外は、重合性単量体M−1と同様にして、下記構造式(5)で示す重合性単量体M−2を20.1g得た。
Figure 2019109379
<重合性単量体M−3の合成例>
tert−ブチルアルコール144gを2−オクタノール253gに変更する以外は、重合性単量体M−2の合成と同じ方法で、サリチル酸中間体を得た。ここで得られたサリチル酸中間体32gを用いる以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記構造式(6)の重合性単量体M−3を得た。
Figure 2019109379
<重合性単量体M−4の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,3−ジヒドロキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記構造式(7)の重合性単量体M−4を得た。
Figure 2019109379
<重合性単量体M−5の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,6−ジヒドロキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記構造式(8)の重合性単量体M−5を得た。
Figure 2019109379
<重合性単量体M−6の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,5−ジヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記構造式(9)の重合性単量体M−6を得た。
Figure 2019109379
<重合体P−1の合成例>
構造式(3)に示す重合性単量体M−1(3.1g)、スチレン(54.0g)、メタクリル酸ステアレート(13.5g)をDMF42.0mlに溶解させ、窒素バブリングをしながら1時間撹拌した後、110℃まで加熱した。この反応液に、開始剤としてtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日本油脂社製、商品名パーブチルI)(2.1g)とトルエン42mlの混合液を滴下した。更に110℃にて4時間反応した。その後、冷却しメタノール1Lに滴下し、析出物を得た。得られた析出物をTHF120mlに溶解後、メタノール1.80Lに滴下し、白色析出物を析出させ、濾過し、減圧下90℃にて乾燥させることで、重合体P−1(66.5g)を得た。得られた重合体P−1をNMR分析し、各単量体成分の組成比を算出した。また、分子量を測定し、SP値を算出した。結果を表1に示す。
<重合体P−2〜重合体P−22の合成例>
原料種および原料の仕込み量を表1のように変更する以外は重合体P−1の合成例と同様にして重合体P−2〜重合体P−22を得た。重合性単量体M−7、M−8、M−9はそれぞれ以下の通りである。
重合性単量体M−7:5−ビニルサリチル酸
重合性単量体M−8:4−ビニル安息香酸
重合性単量体M−9:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
各単量体成分の組成比を算出した。また、分子量を測定し、SP値を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2019109379
STMA:メタクリル酸ステアリル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸n−ブチル
<トナー1の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン 39.0部
顔料 C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
(大日精化社製)
重合体P−1 0.7部
ジステアリン酸アルミニウム 0.13部
(商品名SA−1500、堺化学工業社製)
これらの材料をアトライタ(三井三池化工機社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
該顔料分散液に
スチレン 39.0部
アクリル酸n−ブチル 22.0部
ポリエステル系樹脂 5.0部
(プロプレンオキサイド変性ビスフェノールAとフタル酸の重縮合物、
Tg=75.9℃、Mw=11000、Mn=4200、酸価11)
炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0部
を加えた。前述材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(水系媒体1の調製)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中にイオン交換水88.0部、0.1mol/lのリン酸ナトリウム水溶液149.0部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/lの塩化カルシウム水溶液22.0部を添加し、分散安定剤としてリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム塩)を含む水系媒体を調製した。このとき、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体のpHが5.0になるように、あらかじめ10%塩酸を添加した。
イオン交換水10.0部に塩化アルミニウム6水和物0.1部を溶解した水溶液を、前述のリン酸カルシウム塩を含む水系媒体に添加して、該水系媒体と塩化アルミニウムを混合し、金属元素としてアルミニウムを有するリン酸金属塩を有する水系媒体1を調製した。
(懸濁液の調製)
該水系媒体1中に該重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂社製))9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて15000rpmを維持しつつ10分間造粒し、懸濁液を得た。
(重合工程)
該懸濁液を高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で5時間反応させ、さらに液温85℃にして2時間反応させた。ここで、該懸濁液の一部を抜き取り、冷却し、前述した方法でトナーの重量平均粒径を測定した。その後、液温を98℃にして5時間反応させ、未反応の重合性単量体を留去した。
(洗浄、乾燥工程)
該懸濁液を冷却し、冷却された該懸濁液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することで分散安定剤を溶解させた。その後、該懸濁液の10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥してトナー1を得た。前述の方法に従って測定したトナー1の重量平均粒径は6.2μmであった。
<トナー2の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
トナー1の製造と同様の方法で調製した。
(水系媒体1の調製)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中にイオン交換水88.0質量部、0.1mol/lのリン酸ナトリウム水溶液149.0質量部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/lの塩化カルシウム水溶液22.0質量部を添加し、分散安定剤としてリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム塩)を含む第1の水系媒体(水系媒体1)を調製した。このとき、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体のpHが5.0になるように、あらかじめ10%塩酸を添加した。
(水系媒体2の調製)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中にイオン交換水86.0質量部、0.1mol/lのリン酸ナトリウム水溶液46.6質量部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/lの塩化カルシウム水溶液7.0質量部を添加し、分散安定剤としてリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム塩)を含む水系媒体を調製した。このとき、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体のpHが5.0になるように、あらかじめ10%塩酸を添加した。イオン交換水10.0質量部に塩化アルミニウム6水和物0.1質量部を溶解した水溶液を、前述の水系媒体に添加して、該水系媒体と塩化アルミニウムを混合し、塩化アルミニウムを有する第2の水系媒体(水系媒体2)を調製した。
(懸濁液の調製)
トナー1の製造と同様の方法で調製した。
(重合工程)
該懸濁液を高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で1時間反応させた後、この懸濁液に第2の水系媒体を添加した。該懸濁液をさらに2時間反応させた後、液温85℃にして2時間反応させた。ここで、該懸濁液の一部を抜き取り、冷却し、前述した方法でトナーの重量平均粒径を測定した。懸濁液に第2の水系媒体を添加することにより、金属元素としてアルミニウムを有するリン酸金属塩を形成している。
その後、液温を98℃にして5時間反応させ、未反応の重合性単量体を留去した。
(洗浄、乾燥工程)
トナー1の製造と同様の方法で行い、トナー2を得た。前述の方法に従って測定したトナー2の重量平均粒径は6.4μmであった。
<トナー3〜9、16〜48、51〜64の製造>
原料及び原料の添加質量部を表2−1に示した処方に従い、それ以外はトナー1と同様の製造方法でトナー3〜9、16〜48、51〜64を得た。それぞれの重量平均粒径を表2−2に示す。
また、表2−2には、顔料100質量部に対する脂肪酸金属塩の含有量、脂肪酸金属塩100モル部に対する3価以上の多価金属塩の含有量、及びサリチル酸系樹脂と結着樹脂とのSP値差の絶対値を記載した。
<トナー10、11の製造>
原料及び原料の添加質量部を表2−1に示した処方に従い、それ以外はトナー2と同様の製造方法でトナー10、11を得た。それぞれの重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー12の製造>
水系媒体1の調製時に塩化カルシウムを塩化マグネシウムに変え、分散安定剤としてリン酸マグネシウム化合物を含む水系媒体を調製した以外は、トナー1の製造と同様の方法でトナー12を製造した。トナー12の重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー13の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
トナー1の製造と同様の方法で調製した。
(水系媒体1の調製)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中にイオン交換水88.0質量部、0.1mol/lのリン酸ナトリウム水溶液149.0質量部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/lの塩化カルシウム水溶液22.0質量部、及びイオン交換水10.0質量部に塩化アルミニウム6水和物0.1質量部を溶解した水溶液を添加し、分散安定剤としてリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム塩)を含み、塩化アルミニウムを含む水系媒体1を調製した。このとき、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体のpHが5.0になるように、あらかじめ10%塩酸を添加し、水系媒体1を調製した。水系媒体1は、金属元素としてアルミニウムを有するリン酸金属塩を形成している。
(懸濁液の調製)
(重合工程)
(洗浄、乾燥工程)
以上の3工程について、トナー1と同様の方法で行い、トナー13を製造した。トナー13の重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー14の製造>
水系媒体2の調製時に塩化カルシウムを塩化マグネシウムに変え、分散安定剤としてリン酸マグネシウム化合物を含む水系媒体を調製した以外は、トナー2の製造と同様の方法でトナー14を製造した。トナー14の重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー15の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
トナー1の製造と同様の方法で調製した。
(水系媒体1の調製)
トナー2の製造と同様の方法で調製した。
(水系媒体2の調製)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中にイオン交換水86.0質量部、0.1mol/lのリン酸ナトリウム水溶液46.6質量部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/lの塩化カルシウム水溶液7.0質量部、及びイオン交換水10.0質量部に塩化アルミニウム6水和物0.1質量部を溶解した水溶液を添加し、分散安定剤としてリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム塩)を含み、塩化アルミニウムを含む水系媒体2(第2の水系媒体)を調製した。このとき、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体のpHが5.0になるように、あらかじめ10%塩酸を添加し、水系媒体2を調製した。
(懸濁液の調製)
(重合工程)
(洗浄、乾燥工程)
以上の3工程について、トナー2と同様の方法で行い、トナー15を製造した。トナー15の重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー49の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
トナー1の製造と同様の方法で調製した。
(水系媒体1の調製)
トナー2の製造と同様の方法で調製した。
(懸濁液の調製)
(重合工程)
(洗浄、乾燥工程)
以上の3工程について、トナー1と同様の方法で行い、トナー49を製造した。トナー49の重量平均粒径を表2−2に示す。
<トナー50の製造>
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン 39.0質量部
顔料 C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
(大日精化社製)
重合体P−1 0.7質量部
ジステアリン酸アルミニウム 0.13質量部
(商品名SA−1500、堺化学工業社製)
塩化アルミニウム6水和物 0.1質量部
これらの材料をアトライタ(三井三池化工機社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
該顔料分散液に
スチレン 39.0質量部
アクリル酸n−ブチル 22.0質量部
ポリエステル系樹脂 5.0質量部
(プロプレンオキサイド変性ビスフェノールAとフタル酸の重縮合物、
Tg=75.9℃、Mw=11000、Mn=4200、酸価11)
炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
を加えた。前述材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(水系媒体1の調製)
トナー2の製造と同様の方法で調製した。
(懸濁液の調製)
(重合工程)
(洗浄、乾燥工程)
以上の3工程について、トナー1と同様の方法で行い、トナー50を製造した。トナー50の重量平均粒径を表2−2に示す。
なお、上記トナー49は3価以上の多価金属塩を含有しない例、上記トナー50は3価以上の多価金属塩を水系媒体または懸濁液に含有させていない例、上記トナー51は3価以上の多価金属塩に代えて1価の金属塩を用いた例、上記トナー52は3価以上の多価金属塩に代えて2価の金属塩を用いた例、上記トナー53は3価以上の多価金属塩の脂肪酸金属塩に対する量が少ない例、上記トナー54は3価以上の多価金属塩の脂肪酸金属塩に対する量が多い例、上記トナー55と56はサリチル酸系樹脂に代えてサリチル酸骨格を有さない重合体を用いた例、上記トナー57はサリチル酸系樹脂を含有しない例、上記トナー58は脂肪酸金属塩の顔料に対する量が少ない例、上記トナー59と60は脂肪酸金属塩の顔料に対する量が多い例、上記トナー61は脂肪酸金属塩に代えて脂肪酸を有さない金属塩の例、上記トナー62は脂肪酸金属塩の金属が1価の金属である例、上記トナー63は脂肪酸金属塩に代えて金属を有さない脂肪酸を用いた例、上記トナー64は脂肪酸金属塩を含有しない例であり、これらは比較用のトナーである。
Figure 2019109379
PB15:3: C.I.ピグメントブルー15:3
PR122: C.I.ピグメントレッド122
C.B: カーボンブラック
Figure 2019109379
〔実施例1〜48、並びに比較例1〜16〕
上記トナー1〜64を用いて、下記に記載の評価を行った。表3に結果を記す。なお、着色力、流動性及び規制不良抑制効果を評価する際に上記トナーを下記の通り外添したものを使用した。
トナー100質量部、及びBET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ3質量部をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機社製)に投入し、4000rpmで5分間混合処理を行った。
<顔料分散性の評価>
得られたトナーの顔料分散性を評価するため、ミクロトームによりトナーの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察する。トナーの断面観察は以下の方法により行う。
常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを分散させた後、40℃の雰囲気下で硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)で10万倍の倍率に拡大し、トナー1粒の断面を観察する。必要に応じて酸化ルテニウムまたはオスミウム酸などにより切片を染色する。評価基準としては、顔料によって基準は異なるが、顔料が一次粒径として分散されているか、顔料の偏析やトナー表面へのはみ出しがないかを観察し、以下の基準でランク付けを行った。
Aランク:顔料が1次粒径に分散し、トナー全体に均一に存在している。
Bランク:顔料が1次粒径に分散しているが、トナー表面近傍に多く存在している。
Cランク:顔料が凝集した部分が存在し、トナー表面にはみ出している顔料が一部観察される。
Dランク:顔料が凝集し、トナー表面にはみ出している顔料が多数観察される。
<着色力評価>
市販のカラーレーザープリンターSatera LBP7700C(キヤノン社製)用のカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアブローにて内部を清掃した後、試験トナー(150g)を充填した。また、Satera LBP7700C(キヤノン社製)を一部改造し、コントローラーにより画像濃度を調節可能にした。さらに、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。
上記カートリッジをプリンターに装着し、トナー載り量が0.35mg/cm2となるようにコントローラーを設定して、転写材中央に6.5cm×14.0cmの長方形のベタ画像の出力を行い評価画像とした。転写材は、レターサイズのHP LASERJET PAPER(ヒューレットパッカード社製、90.0g/m2)を用いた。
評価画像中の画像濃度を測定して着色力を評価した。なお、画像濃度の測定には「X−Riteカラー反射濃度計(color refledtion densitometer X−Rite404A)」を用いて測定した。原稿濃度が0.00の白下地部分とベタ画像部の相対濃度を測定し、ベタ画像部の右上、左上、中央、右下、左下の5点の濃度を測定し、平均値を画像濃度として評価した。評価基準は以下の通りである。
Aランク:画像濃度が1.45以上
Bランク:画像濃度が1.35以上1.45未満
Cランク:画像濃度が1.20以上1.35未満
Dランク:画像濃度が1.20未満
<粗大化抑制効果の評価>
トナーの製造工程における、懸濁液を85℃にして2時間反応させた後の重量平均粒径D4(μm)と、トナーの重量平均粒径D4(μm)との差について、以下の基準に従って評価した。該差は、懸濁液を98℃にして5時間反応させて未反応の重合性単量体を留去する工程における、トナーの合一による粒径の変化を意味し、該差が小さいほど製造安定性が高く好ましい。
A:粒径の変化が0.3μm未満
B:粒径の変化が0.3μm以上0.6μm未満
C:粒径の変化が0.6μm以上1.0μm未満
D:粒径の変化が1.0μm以上
<流動性及び規制不良抑制効果の評価>
トナーの異形性を評価するために、トナーの流動性を評価した。トナーは一般的に球形に近いほど流動性が高いことが知られている。流動性はベタ追従性によって評価した。ベタ追従性はトナーの流動性が高いほど良好な評価が得られることが分かっている。また規制不良は、ハーフトーン画像を出力し、画像上現れた斑点状スジ及びトナー塊の量で評価した。
画像形成装置としては市販のレーザープリンターであるLBP−9650Ci(キヤノン社製)の改造機及びプロセスカートリッジであるトナーカートリッジ323(シアン)(キヤノン社製)の改造カートリッジを用いた。
この改造機は、内部のギアを変更することにより、プロセススピードが240mm/secとなるよう改造を行った。また、この改造カートリッジはカートリッジ内部のギアを変更及び追加することにより、トナー供給ローラがトナー担持ローラとの当接部において各々の表面が同一の方向に移動するように改造を行った。なお、トナー供給ローラのトナー担持ローラ基準での周速は160%となるよう調整を行った。また、カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、本発明のトナーを160g充填した。
低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて、A4用紙(商品名:GF−C081、81.4g/m2、キヤノン社製)に全ベタ画像を3枚出力した。その後、印字率1%の画像を20000枚出力した。その後ハーフトーン画像1枚を出力した。得られた全ベタ画像に対してベタ追従性、ハーフトーン画像に対して規制不良の評価を行った。
(ベタ追従性)
全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差で評価した。なお、画像濃度の測定は、「マクベス反射濃度計 RD918」(グレタグマクベス社製)を用いて付属の取扱説明書に沿って、画像濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定することによって行い、得られた相対濃度を画像濃度の値とした。
A:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10未満
B:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10以上0.20未満
C:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.20以上0.30未満
D:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.30以上
(規制不良)
ハーフトーン画像上現れた斑点状スジ及びトナー塊の量で評価した。
A:未発生
B:斑点状のスジはないが、2.3個所の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状スジが若干ある、若しくは4,5個所の小さなトナー塊がある。
D:前面に斑点状のスジがある、若しくは5個所以上小さなトナー塊又は明らかなトナー塊がある。
Figure 2019109379

Claims (9)

  1. 結着樹脂及び顔料を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、該製造方法が、
    3価以上の多価金属塩を含有する水系媒体を調製する工程、
    前記結着樹脂を形成し得る重合性単量体、前記顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程、および、
    前記重合性単量体組成物に含まれる前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程、を有し、
    前記脂肪酸金属塩が、難水溶性であり、2価以上の多価金属を有し、
    前記脂肪酸金属塩の添加量が前記顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であり、
    前記3価以上の多価金属塩の含有量が、前記脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記水系媒体を調製する工程が、
    カルシウム化合物とリン酸化合物を水系媒体に添加してリン酸カルシウム塩を含む水系媒体を調製する工程、および、
    前記リン酸カルシウム塩を含む水系媒体に、前記3価以上の多価金属塩を添加し、金属元素として前記3価以上の多価金属を有するリン酸金属塩を形成する工程を有する請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 結着樹脂及び顔料を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、該製造方法が、
    前記結着樹脂を形成し得る重合性単量体、前記顔料、脂肪酸金属塩、及びサリチル酸系樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、懸濁液を調製する工程、
    前記懸濁液に3価以上の多価金属塩を添加する工程、および、
    前記重合性単量体組成物に含まれる前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程、を有し、
    前記脂肪酸金属塩が、難水溶性であり、2価以上の多価金属を有し、
    前記脂肪酸金属塩の添加量が前記顔料100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であり、
    前記3価以上の多価金属塩の含有量が、前記脂肪酸金属塩100モル部に対して、150モル部以上850モル部以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
  4. 前記製造方法が、
    前記水系媒体にカルシウム化合物とリン酸化合物とを添加して、リン酸カルシウム塩を含有する第1の水系媒体を調製する工程を有し、
    前記懸濁液に3価以上の多価金属塩を添加する工程が、
    リン酸カルシウム塩を含有する水系媒体に前記3価以上の多価金属塩を添加して3価以上の多価金属塩を含有する第2の水系媒体を調製する工程、および、
    前記懸濁液に前記第2の水系媒体を添加して、金属元素として前記3価以上の多価金属を有するリン酸金属塩を形成する工程を有する請求項3に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記サリチル酸系樹脂と前記結着樹脂とのSP値差の絶対値が0.3(cal/cm31/2以下となる、請求項1から4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記サリチル酸系樹脂が、下記式(1)で示される構造を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
    Figure 2019109379
    (式(1)中、R1はヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数が1以上18以下のアルキル基、または、炭素数が1以上18以下のアルコキシ基を示し、R2は、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を示し、gは1以上3以下の整数であり、hは0以上3以下の整数であり、hが2または3の場合、h個のR1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  7. 前記サリチル酸系樹脂が、炭素数4以上22以下のアルキル基を有する請求項1から6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記多価金属塩が、アルミニウム塩である、請求項1から7のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記脂肪酸金属塩が脂肪酸アルミニウム塩である、請求項1から8のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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