JP2008058620A - 非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存性、低温定着性及び帯電性が良好な、非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】コア用重合性単量体、及び着色剤を含有するコア用重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁重合させ、コア粒子を形成する工程、コア粒子分散液にシェル用重合性単量体を添加して、重合開始剤の存在下で重合を行い、コア粒子を被覆するシェル層を形成する工程を含むトナーの製造方法であって、シェル層を形成する工程において、下記式1で表される重合性単量体を、コア用重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部、コア粒子分散液中に添加、重合して、ガラス転移温度が70〜120℃である重合体からなるシェル層を形成する非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
Figure 2008058620

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法に関し、更に詳細には、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、且つ印字性能に優れる非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。なお、以下において、「非磁性一成分静電荷像現像用トナー」のことを単に「トナー」と称することがある。
電子写真装置、静電記録装置、静電印刷装置等の画像形成装置では、感光体上に形成される静電潜像を、静電荷像現像用トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施されている。例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、感光体の表面を一様に帯電させ(帯電工程)、感光体の表面に露光により静電潜像を形成させ(露光工程)、形成された静電潜像をトナー粒子に必要に応じて外添剤等を配合してなるトナーで現像し(現像工程)、紙やOHPシート等の記録媒体にトナーを転写し(転写工程)、転写されたトナーを記録媒体に定着(定着工程)するといった一連の画像形成工程を経て、所望の印刷物が得られる。
上記画像形成工程の中で、特にエネルギーを多く消費する工程は、トナーを記録材に定着する工程(定着工程)である。定着の方式は、定着ロールにより加熱と加圧して定着を行なう方式が一般に用いられており、この方式では、通常、定着時の定着ロールの温度を150℃以上にする必要があり、そのエネルギー源として電力が使用される。この定着時の定着ロールの温度を下げることが、省エネルギーの観点より求められている。また、低い温度で定着が可能であることは高速の印刷にも対応できるため、高速化の観点からも定着時の定着ロールの温度を下げることが求められている。
上記画像形成装置の省エネルギー化、及び高速化の要請に対し、トナーの低温定着化が検討されている。低温定着性に優れたトナーを得る方法として、例えば、トナーのガラス転移温度(Tg)を低下させる方法が提案されている。低温定着化のためには、トナーを構成する樹脂そのものの熱特性をコントロールすることが必要となるが、ガラス転移温度(Tg)を下げ過ぎると、保存時にトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングという現象が引き起こされ、トナーの保存性が悪化する問題があった。このため、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を保ちながら、低温で定着するトナーの開発が求められている。
上記トナーの開発要求に応えるために、トナーの保存性(耐ブロッキング性)と低温定着性とを兼ね備えたトナーを得るための方法として、低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で被覆するコアシェル型構造を有するトナーの重合方法による製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、コア用重合性単量体100重量部に対して、シェル用重合性単量体としてメタクリル酸メチル3重量部を添加、重合するコアシェル型の静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている。また、特許文献2には、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを含有するコア用重合性単量体100重量部に対して、シェル用重合性単量体としてメタクリル酸メチル1重量部を添加、重合するコアシェル型のカラートナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法で製造されたトナーは、定着温度が低く、保存性を良好にできるものの、印刷初期におけるカブリを抑えられないことがあった。
また、特許文献3には、カプセル殻を構成する重合体が、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド樹脂等の重合体構造を有する重合開始性アゾ基の分解によって、ビニル単量体を重合することによるマイクロカプセル及びその製造方法が開示されている。しかしながら、このマイクロカプセルは、上述した樹脂等を使用するために機械的強度に優れることから、トナーとして使用した場合には低温での定着性に劣ることがあった。
特開2001−281931号公報 特開2004−286801号公報 特開平5−62237号公報
本発明の目的は、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、且つ良好な帯電性が得られ、カブリ等の印字汚れの発生が生じ難い印字性能に優れた非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、コアシェル型構造を有する非磁性一成分静電荷像現像用トナーのシェル層を形成する工程において、シェル用重合性単量体として、下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を含有させることにより、非磁性一成分静電荷像現像用トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、さらに帯電性の点でも、トナーの帯電立ち上がりが良好で、初期カブリの発生が生じ難くなると共に、適度な帯電性が安定して得られるため、多枚数の連続印刷を行ってもカブリの発生が生じ難い印字耐久性にも優れるトナーを得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくともコア用重合性単量体、及び着色剤を含有するコア用重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程A、懸濁液を重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って、結着樹脂、及び着色剤を含むコア粒子を形成するコア粒子形成工程B、及びコア粒子が水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液にシェル用重合性単量体を添加して、重合開始剤の存在下で重合を行い、コア粒子を被覆するシェル層を形成するシェル層形成工程Cを含む非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
シェル層形成工程Cにおいて、重合性単量体として少なくとも下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を含むシェル用重合性単量体を、コア用重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部、コア粒子分散液中に添加、重合して、ガラス転移温度が70〜120℃である重合体からなるシェル層を形成することを特徴とする。
Figure 2008058620
(上記式1中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
上記の如き本発明の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、且つ良好な帯電性が得られ、カブリ等の印字汚れの発生が生じ難い印字性能に優れた静電荷像現像用トナーを製造することができる。
本発明の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくともコア用重合性単量体、及び着色剤を含有するコア用重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程A、懸濁液を重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って、結着樹脂、及び着色剤を含むコア粒子を形成するコア粒子形成工程B、コア粒子が水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液にシェル用重合性単量体を添加して、重合開始剤の存在下で重合を行い、コア粒子を被覆するシェル層を形成するシェル層形成工程Cを含む非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
シェル層形成工程Cにおいて、重合性単量体として少なくとも下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を含むシェル用重合性単量体を、コア用重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部、コア粒子分散液中に添加、重合して、ガラス転移温度が70〜120℃である重合体からなるシェル層を形成することを特徴とするものである。
Figure 2008058620
(上記式1中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
以下、本発明の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法について、順を追って説明する。
(1)コア用重合性単量体組成物の調製工程
本発明においては、先ず、第一の結着樹脂の原料となるコア用重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じてその他の添加物を混合し、コア用重合性単量体組成物を調製する。
コア用重合性単量体組成物を調製する方法は、特に限定されないが、着色剤、及びその他の添加物は、コア用重合性単量体に溶解、又は可能な限り均一、且つ微細に分散されるように、混合が行なわれることが好ましい。このような混合を行なうため、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)やメディア式分散機(IKA社製、商品名:ピコグレンミル)等を用いて、コア用重合性単量体組成物を調製することができる。
本発明で重合性単量体とは、重合可能な化合物をいう。コア用重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
本発明では、モノビニル単量体を、結着樹脂を構成するコア用重合性単量体中、少なくとも80重量%以上の割合で用いることが望ましい。
コア用重合性単量体の一部として、ホットオフセット改善のために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の、ポリアルコールの不飽和カルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、コア用重合性単量体の一部として、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれるために、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることが好ましい。マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
本発明において、ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアンの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられ、重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigment Blue15、15:1、15:2、15:3、15:4、及び17:1等の銅フタロシアンニン化合物が好ましく、C.I.Pigment Blue15:3がさらに好ましい。
イエローの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、112、114、146、150、163、170、185、187、206、及び207等のモノアゾ顔料が同様に好ましい。
本発明では、それぞれの着色剤を、コア用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、帯電制御剤を使用することが好ましい。帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム塩基含有共重合体、スルホン酸基又はスルホン酸塩基含有共重合体、及びカルボキシル基又はカルボン酸塩基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。中でも、トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤は、帯電制御樹脂を含むことが好ましい。帯電制御剤のうち、樹脂でない帯電制御剤と、帯電制御樹脂を併用しても良いし、帯電制御樹脂を単独で用いても良い。帯電制御樹脂を単独で用いることがより好ましい。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム塩基含有共重合体を用いることが、さらに好ましい。
本発明では、帯電制御剤を、コア用重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に限定されない。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等の低分子量ポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールエステル等のエステル化合物;等が挙げられる。
本発明では、離型剤を、コア用重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。
本発明では、分子量調整剤を、コア用重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(2)懸濁液を得る懸濁工程A(コア用重合性単量体組成物の液滴形成工程)
次に、以上のように調製して得られるコア用重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る。
液滴形成の方法は、特に限定されないが、トナーの粒径は、懸濁工程Aの懸濁液の液滴径、すなわち水系分散媒体中のコア用重合性単量体組成物の液滴径で概ね決まるため、小粒径で球形の所望の形状を有する均一な液滴を形成することが好ましい。このような液滴形成を行なうため、例えば、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に、コア用重合性単量体組成物を投入し、攪拌後、さらに重合開始剤を投入し、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて、機械的に高剪断攪拌することにより、コア用重合性単量体組成物の液滴を形成することができる。
本発明で用いる水系分散媒体は、水単独でもよいが、水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。水に溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。水系分散媒体の量は、コア用重合性単量体100重量部に対して、50〜1000重量部であると好ましく、100〜500重量部であるとより好ましく、150〜400重量部であると特に好ましい。
本発明においては、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させる。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の酸又はアルカリに溶解する難水溶性無機化合物が挙げられる。また、分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物も挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、難水溶性無機化合物のコロイドは、トナーの粒径分布を狭くすることができるため、好ましく用いられる。難水溶性無機化合物のコロイドは、多価金属塩の水溶液と、一価金属化合物の水溶液とを混合することにより得られる。また、難水溶性無機化合物のコロイドは、多価金属塩と一価金属化合物のうち、いずれか一方の水溶液と、他方の固形物とを接触させて、調製することもできる。
上記多価金属塩としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、スズ等とのハロゲン化塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、及びカルシウムの塩が好ましい。具体的には、マグネシウムの塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム;アルミニウムの塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム;カルシウムの塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム;及びこれらの水和物等が挙げられる。
上記多価金属塩は、1種を単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
一方、上記一価金属化合物としては、リン酸イオン、リン酸水素イオン、炭酸イオン、及び水酸化物イオンから選ばれる陰イオンと、一価金属との、塩又は水酸化物である。
上記一価金属化合物の一価金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムからなる群より選ばれる1種以上の一価金属であることが好ましい。上記一価金属化合物は、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等の水酸化物;リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、及びリン酸カリウム等のリン酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウム等の炭酸塩;等が挙げられ、これらの中でも、水酸化物が好ましい。
上記一価金属化合物は、1種を単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散安定化剤の添加量は、コア用重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
また、分散安定化剤の量は、水系分散媒体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、さらに、0.2〜5重量部であることがより好ましい。
コア用重合性単量体組成物、及び分散安定化剤を含む水系分散媒体には、通常、重合開始剤を含有させる。水系分散媒体中に添加された重合開始剤は、コア用重合性単量体組成物の液滴内へと溶解する。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類が挙げられる。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。これらの中でも、コア用重合性単量体の残留を抑えることができ、耐久も良いことから、有機過酸化物類を用いるのが好ましい。
コア用重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、コア用重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに0.3〜15重量部であることがより好ましく、特に1.0〜10重量部であることが好ましい。
(3)コア粒子形成工程B(コア用重合性単量体組成物の液滴重合工程)
次に、以上のようにして得られるコア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を、重合開始剤の存在下で昇温し、懸濁重合を行なって、結着樹脂、及び着色剤を含むコア粒子(トナー粒子)が形成され、水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液を得る。
懸濁重合の方法は、特に限定されないが、コア用重合性単量体組成物の液滴を安定に保ちながら重合開始剤の存在下で昇温し、懸濁重合を行うため、懸濁液を得る懸濁工程A(コア用重合性単量体組成物の液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行いながら懸濁重合反応を進行させることが好ましい。このような懸濁重合を行うため、例えば、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、重合開始剤の存在下で昇温し、攪拌を行いながら、重合転化率がほぼ100%に達するまで重合反応を行なって、コア粒子を形成してもよい。
コア粒子形成工程Bでの重合温度は、50℃以上であることが好ましく、さらに60〜95℃であることがより好ましい。また、本発明においては、コア粒子形成工程Bでの重合反応時間は、1〜20時間であることが好ましく、さらに2〜10時間であることが好ましい。
(4)シェル層形成工程C
次に、以上のようにして得られる水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液に、シェル用重合性単量体を添加して、重合開始剤の存在下で重合を行なって、コア粒子をシェル層で被覆することにより、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液を得る。
本発明のコアシェル型構造を有するトナー粒子は、低軟化点を有する重合体からなる結着樹脂を含有するコア粒子(内部)を、ガラス転移温度が70〜120℃である重合体からなるシェル層(外部)で被覆することにより、トナーの保存性と低温定着性とのバランスをとることができる。
本発明のコア粒子を構成する重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、30〜65℃であることが好ましく、40〜60℃であることが更に好ましい。また、シェル層を構成する重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、80〜110℃であることが好ましく、90〜110℃であると更に好ましいが、シェル層を構成する重合体のガラス転移温度(Tg)は、コア層を構成する重合体のガラス転移温度(Tg)よりも高くなるように設定する必要がある。
シェル層を形成する方法は、上述したように、製造効率の観点からin situ重合法を用いる。以下、in situ重合法による、コアシェル型構造を有するトナー粒子の製造方法を説明する。
コア粒子形成工程Bで得られたコア粒子を、水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液中に、シェル用重合性単量体として、少なくとも下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を添加し、さらにシェル用重合開始剤を添加し、シェル用重合開始剤の存在下で重合することによりコアシェル型構造を有するトナー粒子を得る。
本発明では、シェル用重合性単量体として、下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を用いる。
Figure 2008058620
(上記式1中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物は、上記構造を満たす限り特に限定はされないが、上記式1中のR、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であるもの、すなわち、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基から選ばれる置換基である。これらの中でも、R及びRが、それぞれ独立して炭素数が2又は3のアルキル基であるもの、すなわち、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基であることが好ましい。
本発明で用いる上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物の具体例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチルメチルアミノエチルメタクリレート、n−プロピルメチルアミノエチルメタクリレート、i−プロピルメチルアミノエチルメタクリレート、n−ブチルメチルアミノエチルメタクリレート、i−ブチルメチルアミノエチルメタクリレート、s−ブチルメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチルn−プロピルアミノエチルメタクリレート、エチルi−プロピルアミノエチルメタクリレート、エチルn−ブチルアミノエチルメタクリレート、エチルi−ブチルアミノエチルメタクリレート、エチルs−ブチルアミノエチルメタクリレート、エチルt−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジn−プロピルアミノエチルメタクリレート、ジi−プロピルアミノエチルメタクリレート、n−プロピルi−プロピルアミノエチルメタクリレート、n−ブチルn−プロピルアミノエチルメタクリレート、ジn−ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチルn−プロピルアミノエチルメタクリレート、エチルi−プロピルアミノエチルメタクリレート、ジn−プロピルアミノエチルメタクリレート、ジi−プロピルアミノエチルメタクリレート等が好ましく用いられ、ジエチルアミノエチルメタクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のコアシェル型構造を有するトナー粒子のシェル層は、上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物に由来する繰り返し単位を含む重合体を含有する必要があるが、前述したコア用重合性単量体の主成分であるモノビニル単量体と共に用いて、シェル層を形成することが好ましい。
上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含むシェル用重合性単量体の添加量は、コア用重合性単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲とし、好ましくは、0.3〜6重量部の範囲とする。
本発明で用いる、シェル用重合性単量体の添加量が、上記範囲内にある場合には、非磁性一成分静電荷像現像用トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、さらに帯電性の点でも、トナーの帯電立ち上がりが良好で、初期カブリの発生が生じ難くなると共に、適度な帯電性が安定して得られるため、多枚数の連続印刷を行ってもカブリの発生が生じ難い印字耐久性にも優れるトナーを得ることができる。
一方、シェル用重合性単量体の添加量が、上記範囲未満である場合には、保存性が低下する場合があり、シェル用重合性単量体の添加量が、上記範囲を超える場合には、低温定着性が低下する場合がある。
本発明のシェル用重合性単量体に含まれる、上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物の量をX、シェル用重合性単量体に含まれる他の重合性単量体の量をYと表すときに、その量的関係が下記計算式1を満たすことが好ましい。
計算式1:
0.05<(X/Y)<1.0
重合性3級アミノ化合物の量Xと、他の重合性単量体の量Yの量的関係が、上記計算式1の範囲未満である場合には、初期印字でカブリが発生する場合があり、逆に、上記計算式1の範囲を超える場合には、保存性が低下する場合がある。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸塩;2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ化合物;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。
重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
シェル層形成工程Cでの重合温度は、50℃以上であることが好ましく、さらに60〜95℃であることがより好ましい。また、本発明においては、シェル層形成工程での重合反応時間は、0.1〜10時間であることが好ましく、さらに0.5〜5時間であることが好ましい。
本発明のコアシェル型構造を有するトナー粒子のシェル層の厚さは、5〜150nmであることが好ましく、10〜120nmであることがより好ましく、20〜80nmであることがさらに好ましく、30〜60nmであることが特に好ましい。
本発明のコアシェル型構造を有するトナー粒子のシェル層の厚さが、上記範囲未満である場合には、保存性が低下する場合があり、逆に、上記範囲を超える場合には、低温定着性が悪くなる場合がある。
上記コアシェル型構造を有するトナー粒子のシェル層の厚さは、コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体の比重が同じであると仮定したとき、コア用重合性単量体の添加量、シェル用重合性単量体の添加量、及びコアシェル型構造を有するトナー粒子の体積平均粒径(Dv)から、下記計算式2より算出することができる。
なお、下記計算式2において、コア用重合性単量体の添加量とは、コア粒子を構成するモノビニル単量体、架橋性の重合性単量体、及びマクロモノマー等を含む、コア粒子を構成する全ての重合性単量体の合計量を意味する。また、シェル用重合性単量体の添加量とは、シェル層を構成する、上記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物の量Xとシェル用重合性単量体に含まれる他の重合性単量体の量Yの総合計量(X+Y)を意味する。
Figure 2008058620
本発明では、シェル層形成工程Cは、2段階で行われることが好ましく、第2段階のシェル層(第2層)形成用重合性単量体として、前述した式1の重合性3級アミノ化合物を用いることが好ましい。その際、シェル層全体のガラス転移温度が上述した70〜120℃の範囲にした上で、第1段階での形成するシェル層(第1層)のガラス転移温度よりも、第2段階で形成するシェル層(第2層)のガラス転移温度を低く設定することが好ましい。第1段階での形成されるシェル層のガラス転移温度は、90〜120℃であることが好ましく、95〜110℃であることがより好ましい。また、第2段階で形成されるシェル層のガラス転移温度は、70〜100℃であることが好ましく、75〜95℃であることがより好ましい。
第1段階での形成するシェル層のガラス転移温度よりも、第2段階で形成するシェル層のガラス転移温度を低く設定することにより、低温定着性と保存性のバランスが良好となる。
本発明では、第1段階で形成するシェル層と第2段階で形成するシェル層との割合が、10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜80:20であることが更に好ましい。
(5)濾過、洗浄、脱水、乾燥
次に、以上のようにしてシェル層の形成工程で得られる、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液は、常法に従い、濾過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作を、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液は、使用した分散安定化剤が酸に可溶な難水溶性無機化合物である場合、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液への酸の添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去する。一方で、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な難水溶性無機化合物である場合は、酸の代わりにアルカリを使用する。
例えば、分散安定化剤として、酸に可溶なものを使用した場合、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液のpHを6.5以下になるように酸を添加することが好ましく、より好適にはpH6以下となるようにする。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸や、蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率が大きいことや、製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(6)コアシェル型構造を有するトナー粒子
以上の製造工程を経て、少なくとも第一の結着樹脂、及び着色剤を含むコア粒子を、第二の結着樹脂として、下記式1で表される重合性3級アミノ化合物に由来する繰り返し単位を含む重合体を含有するシェル層で被覆したコアシェル型構造を有するトナー粒子が得られる。
Figure 2008058620
(上記式1中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
(7)非磁性一成分静電荷像現像用トナー
一般にトナーは、トナー粒子に磁性粉末を含有するか否かによって、磁性トナーと非磁性トナーとに大別される。さらに、トナーのみを用いる一成分トナーとトナー及びキャリアを用いる二成分トナーとに大別される。これらの中でも、非磁性一成分トナーは、印字の高速化に対応でき、さらに暗色である磁性粉末を使用しないため、高解像度且つ鮮明な色調の再現が求められるカラートナーとして用いることができる。
本発明の製造方法で得られたコアシェル型構造を有する非磁性一成分静電荷像現像用トナーは、トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、高速攪拌機(例えば、商品名:ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)等)を用いて、コアシェル型構造を有するトナー粒子、及び外添剤を混合し、非磁性一成分静電荷像現像用トナーとする。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子が挙げられる。この中では、無機微粒子が好ましく、シリカ及び酸化チタンがより好ましく、シリカがさらに好ましい。
外添剤の添加量は、コアシェル型構造を有するトナー粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部であり、好ましくは、0.2〜5重量部である。外添剤として、2種類以上の微粒子を併用することが好ましい。
本発明の製造方法で得られたコアシェル型構造を有する非磁性一成分静電荷像現像用トナーは、温度23℃、且つ相対湿度50%の環境下で、画像形成装置の現像ロール表面上でのトナーの単位重量あたりの帯電量Q/Mが、20〜80μC/gの範囲であることが好ましく、さらに、25〜70μC/gの範囲であることがより好ましい。
なお、トナーの単位重量あたりの帯電量Q/Mは、被測定のトナー重量をM、その総帯電量をQとしたときに、総帯電量Qをトナー重量Mで除して求めることができる。
現像ロール表面上でのトナー帯電量は、プリンターを用いて1枚目のベタ印字を行い、次いで、2枚目のベタ印字を途中で停止させた後、現像ロール上に現像されたトナーの帯電量を、例えば、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS−2A)を用いて測定することができる。
トナーの単位重量あたりの帯電量Q/Mが、上記範囲未満である場合には、適度な帯電性が得られないため、帯電の立ち上がりが不良で、初期印字でのカブリが生じ易くなる場合があり、逆に、上記範囲を超える場合には、トナーの帯電過剰が引き起こされるため、転写時に感光体上にトナーが残存し易くなり、耐久印字でのカブリやフィルミングが発生する場合がある。
本発明の製造方法で得られたコアシェル型構造を有する非磁性一成分静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径Dvが好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvがこれらの範囲未満であると非磁性一成分静電荷像現像用トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、カスレが発生したり、印字濃度が低下する場合があり、これらの範囲を超えると得られる画像の解像度が低下する場合がある。
また、粒径が5μm以下の個数%は25%以下、更に18%以下であることが好ましい。5μm以下の小粒径のコアシェル型構造を有するトナーの個数%が上記範囲よりも大きいと、得られるトナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、その結果、印字物にカスレが発生或いは印字濃度が低下し易くなる場合がある。
本発明の製造方法で得られたコアシェル型構造を有する非磁性一成分静電荷像現像用トナーは、その体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、カスレが発生したり、転写性、印字濃度、及び解像度の低下が起こったりする場合がある。コアシェル型構造を有するトナーの体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、コアシェル型構造を有するトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度はコアシェル型構造を有するトナー粒子が完全な球形の場合に1を示し、コアシェル型構造を有するトナー粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
平均円形度は、0.4μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式3よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式4より平均円形度(Ca)を求める。
計算式3:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2008058620
上記計算式4において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度、及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」及び「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
以上の各工程を経て製造される本発明の非磁性一成分静電荷像現像用トナーは、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれるため、画像形成装置の省エネルギー化、及び高速化の要請に十分に応えることができる。本発明の製造方法により得られた非磁性一成分静電荷像現像用トナーを印刷に用いると、適度な帯電性が得られるため、トナーの帯電立ち上がりが良好で、初期カブリの発生が生じ難くなると共に、適度な帯電性が安定して得られるため、多枚数の連続印刷を行ってもカブリの発生が生じ難い印字耐久性にも優れ、高画質な画像形成を行うことができる。
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部、及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例、及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)ガラス転移温度の測定
測定試料を約10mg精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名:SSC5200)を用いてASTMD3418−97に準じて、精秤した測定試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲:室温〜150℃の間で、昇温速度:10℃/minの条件下で、コア粒子を構成する重合体(結着樹脂)、及びシェル層を構成する重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)の測定をそれぞれ行った。
(2)粒径に関する測定
(2−1)体積平均粒径Dv、及び粒径分布Dv/Dpの測定
トナーの体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dp)の測定には、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いた。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:アイソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。具体的には、トナー0.1gをビーカーに取り、更に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させてから上記の粒径測定機による測定を行った。
(2−2)平均円形度の測定
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更にトナー0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時のトナー粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径のトナー粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−1000)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式3に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
計算式3:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)シェル層の厚さ
シェル層の厚さは、上記(2)の粒径測定機により測定したトナーの体積平均粒径Dv、コア用重合性単量体(モノビニル単量体(スチレン、アクリル酸ブチル)、架橋性の重合性単量体(ジビニルベンゼン)、マクロモノマー(ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー))の添加量、及びシェル用重合性単量体(ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル)の添加量から下記計算式2により算出した。
なお、コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体の比重は同一であると仮定した。
Figure 2008058620
(4)現像ロール表面上でのトナーの単位重量あたりの帯電量Q/Mの測定
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ22枚/1分)に、温度23℃、湿度50%(NN(常温常湿)環境)の下に一昼夜放置したトナーを充填したカートリッジを装着して、プリンターに印字用紙をセットし、温度23℃、湿度50%(NN環境)の下で印字を行って評価した。
先ず、白ベタ印字を行い、次いで、2枚目の白ベタ印字を途中で停止させた後、現像ロール上に付着したトナーの単位重量あたりの帯電量Q/M(μC/g)を、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS−2A)を用いて測定した。
(5)保存性
トナー10gを密閉可能な容器(ポリエチレン製、容量:100ml)に入れて、密閉した後、容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈めた。15時間経過した後、恒温水槽から容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上へ置いた。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、注意深く篩上に移して置くようにする。トナーを置いた篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:Powder Tester)を用いて、振幅1mmの条件で、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの重量を測定し、凝集トナーの重量とした。
最初に容器に入れたトナーの重量に対する凝集トナーの重量の割合(重量%)を算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を保存性の指標とした。
(6)最低定着温度(低温定着性)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ22枚/1分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて、定着率が80%を超える最低の定着ロール温度をトナーの最低定着温度として評価した。
定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行ない、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式5により算出できる。
計算式5:
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度測定計(マクベス社製、商品名:RD914)を用いて測定した。
(7)印字試験
(7−1)初期印字試験
上記(4)で使用したプリンターに、NN(常温常湿)環境下に一昼夜放置したトナーを充填したカートリッジを装着して、プリンターに印字用紙をセットし、NN(常温常湿)環境下で初期カブリ値を以下のように測定した。
白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、途中で上記プリンターを10枚の印字で停止させ、現像後の感光体上に非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた。この粘着テープを新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色工業社製、商品名:SE−2000)で色調を測定した。リファレンス(基準サンプル)として、未使用の粘着テープを印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定した。それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出して初期カブリ値とした。この値が小さいほど初期カブリが少なく、初期カブリ値ΔEが1.0以下であれば、画質が良好であることを示す。
(7−2)耐久印字試験
上記(4)で使用したプリンターに印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、NN(常温常湿)環境下で一昼夜放置した後、1%印字濃度で連続印字を行い、1,000枚ごとに白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、カブリ値は上記(7−1)初期印字試験と同様に測定した。白ベタ印字を行った際のカブリ値が1.0以下である画質を維持できる連続印字枚数を10,000枚まで試験した。試験結果に「10,000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても上記基準を満たしていることを示す。
(実施例1)
容器内に、モノビニル単量体としてスチレン70部、及びアクリル酸ブチル15部、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue15:3)(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)5部を入れ、予備分散機としてインライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、周速23m/s、循環回数26回の条件で、予備分散を行い、さらに予備分散により得られたコア用重合性単量体混合物を、メディア式分散機(浅田鉄工社製、商品名:ピコグレンミル)を用いて、分散を行なった。
次に、シアン着色剤が微細に分散されたコア用重合性単量体混合物90部に、モノビニル単量体としてスチレン11部、及びアクリル酸ブチル4部、正帯電制御樹脂(4級アンモニウム、官能基2%品、藤倉化成社製、商品名:207P)1.7部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.5部、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート8部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.5部、及び架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加し、撹拌溶解してコア用重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
上記により得られた水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記コア用重合性単量体組成物を投入、攪拌後、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部をさらに投入し、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間、高剪断攪拌して、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得た。
上記により得られたコア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、攪拌しながら昇温し、90℃で温度が一定となるように制御し、重合転化率がほぼ100%に達するまで重合反応を5時間行なって、水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液を得た。
上記により得られた水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液中に、重合転化率がほぼ100%に達した後に温度はそのままにして、第1段階のシェル用重合性単量体としてメタクリル酸メチル1部を添加し、その後、イオン交換水35部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.35部を添加し、90℃で1時間反応を継続した。
次いで、第2段階のシェル用重合性単量体としてジエチルアミノエチルメタクリレート0.5部、及びメタクリル酸メチル2.5部を添加し、その後、イオン交換水35部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.35部を添加し、90℃で3時間反応を継続した後、反応を停止し、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液を得た。トナー粒子の水系分散液のpHは、9.5であった。
上記により得られたトナー粒子の水系分散液を攪拌しながら、硫酸を添加しpHを6以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて40℃で2昼夜乾燥を行い、コアシェル型構造を有するトナー粒子を得た。
上記により得られたコアシェル型構造を有するトナー粒子100部に、体積平均粒径12nmのシリカ1部、体積平均粒径40nmのシリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、1,400rpmの回転数で10分間、混合し、実施例1のトナーを作製した。
(実施例2〜3)
シェル用重合性単量体を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜3のトナーを作製した。
(実施例4)
容器内に、モノビニル単量体としてスチレン70部、及びアクリル酸ブチル15部、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue15:3)(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)5部を入れ、予備分散機としてインライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、周速23m/s、循環回数26回の条件で、予備分散を行い、さらに予備分散により得られたコア用重合性単量体混合物を、メディア式分散機(浅田鉄工社製、商品名:ピコグレンミル)を用いて、分散を行なった。
次に、シアン着色剤が微細に分散されたコア用重合性単量体混合物90部に、モノビニル単量体としてスチレン11部、及びアクリル酸ブチル4部、正帯電制御樹脂(4級アンモニウム、官能基2%品、藤倉化成社製、商品名:207P)1.7部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.5部、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート8部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.5部、及び架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加し、撹拌溶解してコア用重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
上記により得られた水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記コア用重合性単量体組成物を投入、攪拌後、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部をさらに投入し、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間、高剪断攪拌して、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得た。
上記により得られたコア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、攪拌しながら昇温し、90℃で温度が一定となるように制御し、重合転化率がほぼ100%に達するまで重合反応を5時間行なって、水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液を得た。
上記により得られた水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液中に、重合転化率がほぼ100%に達した後に温度はそのままにして、シェル用重合性単量体としてジエチルアミノエチルメタクリレート0.5部、及びメタクリル酸メチル3.5部を添加し、その後、イオン交換水35部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.35部を添加し、90℃で3時間反応を継続した後、反応を停止し、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液を得た。トナー粒子の水系分散液のpHは、9.5であった。
上記により得られたトナー粒子の水系分散液を攪拌しながら、硫酸を添加しpHを6以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて40℃で2昼夜乾燥を行い、コアシェル型構造を有するトナー粒子を得た。
上記により得られたコアシェル型構造を有するトナー粒子100部に、体積平均粒径12nmのシリカ1部、体積平均粒径40nmのシリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、1,400rpmの回転数で10分間、混合し、実施例4のトナーを作製した。
(比較例1〜2)
シェル用重合性単量体を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1〜2のトナーを作製した。
(比較例3)
容器内に、モノビニル単量体としてスチレン69部、アクリル酸ブチル11部、及びジエチルアミノエチルメタクリレート5部、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue15:3)(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)5部を入れ、予備分散機としてインライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、周速23m/s、循環回数26回の条件で、予備分散を行い、さらに予備分散により得られたコア用重合性単量体混合物を、メディア式分散機(浅田鉄工社製、商品名:ピコグレンミル)を用いて、分散を行なった。
次に、シアン着色剤が微細に分散されたコア用重合性単量体混合物90部に、モノビニル単量体としてスチレン11部、及びアクリル酸ブチル4部、正帯電制御樹脂(4級アンモニウム、官能基2%品、藤倉化成社製、商品名:207P)1.7部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.5部、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート8部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.5部、及び架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加し、撹拌溶解してコア用重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
上記により得られた水系分散媒体である水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記コア用重合性単量体組成物を投入、攪拌後、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部をさらに投入し、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間、高剪断攪拌して、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得た。
上記により得られたコア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、攪拌しながら昇温し、90℃で温度が一定となるように制御し、重合転化率がほぼ100%に達するまで重合反応を5時間行なって、水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液を得た。
上記により得られた水系分散媒体中に分散したコア粒子の分散液中に、重合転化率がほぼ100%に達した後に温度はそのままにして、シェル用重合性単量体としてメタクリル酸メチル1部を添加し、その後、イオン交換水35部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.35部を添加し、90℃で3時間反応を継続した後、反応を停止し、コアシェル型構造を有するトナー粒子の水系分散液を得た。トナー粒子の水系分散液のpHは、9.5であった。
上記により得られたトナー粒子の水系分散液を攪拌しながら、硫酸を添加しpHを6以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて40℃で2昼夜乾燥を行い、コアシェル型構造を有するトナー粒子を得た。
上記により得られたコアシェル型構造を有するトナー粒子100部に、体積平均粒径12nmのシリカ1部、体積平均粒径40nmのシリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、1,400rpmの回転数で10分間、混合し、比較例3のトナーを作製した。
(結果)
上記実施例1〜4及び比較例1〜3により、得られたトナーの特性及びその評価結果を表1に示す。
なお、表1中の略記は以下の通りである。
ST:スチレン、BA:アクリル酸ブチル、DE:ジエチルアミノエチルメタクリレート、MMA:メタクリル酸メチル
Figure 2008058620
(結果のまとめ)
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
本発明で規定するジエチルアミノエチルメタクリレートをシェル用重合性単量体として使用せずに製造された比較例1のトナーは、初期印字でのカブリが発生した。
本発明で規定するシェル層のガラス転移温度範囲より低くなるようにして製造された比較例2のトナーは、保存性が悪く、耐久印字でカブリが発生した。
本発明で規定するジエチルアミノエチルメタクリレートをシェル用重合性単量体としてではなく、コア用重合性単量体として使用して製造された比較例3のトナーは、保存性が悪く、初期印字及び耐久印字でカブリが発生した。
これに対して、実施例1〜4で得られたトナーは、本発明の規定するシェル用重合性単量体であるジエチルアミノエチルメタクリレートを使用したことに起因し、トナーの保存性と低温定着性とのバランスがとれ、初期印字及び印字耐久共に良好であった。

Claims (6)

  1. 少なくともコア用重合性単量体、及び着色剤を含有するコア用重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程A、懸濁液を重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って、結着樹脂、及び着色剤を含むコア粒子を形成するコア粒子形成工程B、及びコア粒子が水系分散媒体中に分散したコア粒子分散液にシェル用重合性単量体を添加して、重合開始剤の存在下で重合を行い、コア粒子を被覆するシェル層を形成するシェル層形成工程Cを含む非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    シェル層形成工程Cにおいて、重合性単量体として少なくとも下記式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物を含むシェル用重合性単量体を、コア用重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部、コア粒子分散液中に添加、重合して、ガラス転移温度が70〜120℃である重合体からなるシェル層を形成することを特徴とする非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
    Figure 2008058620
    (上記式1中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
  2. 式1で表される構造において、R及びRが、それぞれ独立して炭素数2又は3のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. シェル用重合性単量体に含まれる式1で表される構造を有する重合性3級アミノ化合物の量をX、シェル用重合性単量体に含まれる他の重合性単量体の量をYと表すときに、その量的関係が下記計算式1を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
    計算式1:
    0.05<(X/Y)<1.0
  4. シェル層の厚さが、5〜150nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 現像ロール表面上での非磁性一成分静電荷像現像用トナーの単位重量あたりの帯電量Q/Mが、20〜80μC/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. シェル層形成工程Cが2段階で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法。
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