JP2007094167A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】温度、湿度等の環境の変化によってもトナーの帯電量の減少や不均一化せず、環境安定性が高く、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤として、式1で表されるカリックスアレン化合物、及びサリチル酸化合物金属塩を含有する着色粒子を含む。
Figure 2007094167

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
静電潜像を静電荷像現像用トナー(以下、「静電荷像現像用トナー」のことを、単に「トナー」と称することがある。)で現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施されている。
例えば、電子写真法では、感光体に形成された静電潜像を着色粒子に必要に応じて外添剤やキャリア等の他の粒子を配合してなるトナーで現像し、紙やOHPシート等の記録材に転写した後、定着して印刷物を得る。
このような電子写真法を用いた複写機、ファクシミリ及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化のニーズが高まっている。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般にイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色を用いて色の再現を行うものである。カラー複写(カラーコピー)の場合の画像形成方法の一例としては、先ず、カラー原稿を多数の画素に分解して読み取り、色別のデジタル画像信号として、帯電させた感光体上に光を当てて静電潜像を形成する。次に、色別の静電潜像に画像信号に対応するカラートナーにより、感光体上に現像し、これを紙やOHPシート等からなる記録材に転写する。
一般に、現像に用いるトナーとしては、粉砕法及び重合法により製造されたものに大別される。
粉砕法は、結着剤と着色剤を溶融混練するか、モノマーと着色剤を含有する混合物を重合させて得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級することにより着色粒子を製造する方法である。
一方、重合法は、重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を形成し、該液滴を重合させて着色粒子を製造する方法である。粉砕法で得られる着色粒子が不定形であるのに対して、重合法で得られる着色粒子は形状が球形に近く、小粒径でシャープな粒径分布をもつ。
特に、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
また、トナーに対しては、温度や湿度等の環境の変化による画質劣化防止の観点から環境安定性、トナー消費量低減の観点から印字耐久性、及び消費電力低減の観点から低温定着性等様々な特性が要求されている。
静電荷像現像用トナーは、着色粒子及び該着色粒子に付着した外添剤よりなるトナーの粒子同士、トナーの粒子と現像ブレード等の部材との間又は、トナーの粒子とキャリアの間で帯電された後、静電潜像を有する感光体上に供給される。この供給において、静電潜像の電荷密度に応じたトナー量が感光体上に付着する。トナーが適度に帯電していると、高画質な画像を形成することができる。
しかしながら、温度や湿度等の環境の変化により、トナーの帯電量の低下や不均一化等の変動が生じると、感光体上に静電潜像に応じた所望の現像ができず、画像の濃度変化やムラ、カブリなどの問題が引き起こされる。
そこで、環境変化によるトナー帯電量の変動を抑制するため、様々な帯電制御剤が検討されている。
特許文献1では、正帯電制御樹脂と、着色剤重量部と、前記正帯電制御樹脂を溶解し得る有機溶剤とを混合し、正帯電制御樹脂組成物を得る工程を有することを特徴とする正帯電性トナーの製造方法が開示され、また正帯電制御樹脂として、第4級アンモニウム塩基を含有するスチレン/アクリル酸ブチル共重合体を用いるトナーが開示されている。
また、特許文献2では、帯電制御剤としてカリックスアレン化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーを開示している。
特許文献3では、トナー粒子が、帯電制御剤として、第4級アンモニウム塩とサリチル酸金属錯化合物の両者を含有することを特徴とする電子写真用現像剤を開示している。
しかしながら、これら特許文献に記載の方法では、環境変化によるトナー帯電量の変動の抑制が充分であるとは言えない。
特開2002−108011号公報 特開2003−280266号公報 特開平7−234546号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、環境変化にかかわらず、適度な帯電性が長期に渡り安定して得られ、且つ、優れた画像再現性を示す静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討をした結果、帯電制御剤としてカリックスアレン化合物、及びサリチル酸化合物金属塩を用いることにより、上記目的を達成し得るという知見を得た。
すなわち、本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤として、下記式1で表されるカリックスアレン化合物(C)、及びサリチル酸化合物金属塩(S)を含有する着色粒子を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
Figure 2007094167
(上記式中、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜12のカルボキシアルキル基又はその塩、炭素数1〜12のアシル基、芳香族炭化水素基を表す。また、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されてもよいアリール基、炭素数1〜18のアルキルカルボン酸エステル基、炭素数1〜18のアシル基から選ばれる置換基を表す。nは4〜12の整数を表す。)
カリックスアレン又はサリチル酸化合物金属塩(S)の一方だけ用いる場合には、トナーの環境安定性を充分に向上させることはできない。
これに対して、カリックスアレン化合物(C)とサリチル酸化合物金属塩(S)を組み合わせて用いることによって、優れた環境安定性をトナーに付与することができ、低温低湿、常温常湿、高温高湿を含む幅広い環境条件の下で、長期に渡って画像の濃度変化、ムラやカブリの発生等の問題を起こさずに高画質の画像を形成することができる。
カリックスアレン化合物(C)及びサリチル酸化合物金属塩(S)を含有する帯電制御剤を含むトナーは、帯電付与性強いが湿度変動(水分)の影響を受けやすいサリチル酸化合物金属塩(S)と帯電付与性は弱いが環境安定性に優れた上記式1で表されるカリックスアレン化合物(C)の両方を用いることで所望の帯電をもち、且つ水分の影響を受けにくい。
サリチル酸化合物金属塩(S)としては、サリチル酸化合物の亜鉛塩又はアルミニウム塩が好ましい。
また、カリックスアレン化合物(C)としては、式1のR、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数3〜6のアルキル基、及び炭素数3〜6のアルケニル基から選ばれる置換基である化合物が好ましい。
着色粒子は、結着樹脂100部に対し該帯電制御剤を0.1〜10部含み、該帯電制御剤に含まれるサリチル酸化合物金属塩(S)とカリックスアレン化合物(C)の重量比([(S)の重量]/[(C)の重量])が0.2〜1.2であることが好ましい。
また、着色粒子の平均円形度が0.93〜0.995であることが好ましい。
着色粒子は、懸濁重合法によって製造されたものであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、温度、湿度等の環境の変化によってもトナーの帯電量の低下や不均一化せず、環境安定性に優れている。
従って、本発明の静電荷現像用トナーを用いることで、画像濃度が高い、高品質の画像を形成することができる。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーについて説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤として、下記式1で表されるカリックスアレン化合物(C)、及びサリチル酸化合物金属塩(S)を含有する着色粒子を含むことを特徴とするものである。
Figure 2007094167
(上記式中、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜12のカルボキシアルキル基又はその塩、炭素数1〜12のアシル基、芳香族炭化水素基を表す。また、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されてもよいアリール基、炭素数1〜18のアルキルカルボン酸エステル基、炭素数1〜18のアシル基から選ばれる置換基を表す。nは4〜12の整数を表す。)
本発明の静電荷現像用トナーは、着色粒子を含み、必要に応じて該着色粒子の表面に付着する外添剤や、着色粒子を担持する粒子であるキャリア等の他の粒子又は成分を含有してもよい。
トナー中の着色粒子は、結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤を含有し、その他、必要に応じて離型剤等の他の成分を含有してもよい。
着色粒子に含有される結着樹脂としては、従来よりトナーの結着樹脂として用いられている樹脂類を用いることができる。例えば、ポリスチレン、及びポリビニルトルエン等のスチレン、並びにその置換体の重合体等のスチレン系樹脂;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、及びスチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、ポリオレフィン、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びスチレン系樹脂及びスチレン共重合体等の水添物;などが挙げられる。
着色剤としては、あらゆる顔料及び染料を用いることができる。
モノクロトナーを得る場合、ブラック着色剤として、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等が用いられる。
フルカラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)を得る場合は、各々、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、75、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物等のフタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、および60等が挙げられる。
上記着色剤の中でもマゼンタ着色剤のモノアゾ顔料において好適に用いられる。
着色剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
本発明は、帯電制御剤として、カリックスアレン化合物(C)とサリチル酸化合物金属塩(S)を組み合わせて用いることを特徴とする。
本発明のトナーは、主に負帯電性のトナー(負帯電トナー)として得られる。
カリックスアレン化合物(C)を単独で用いる場合には、低温低湿条件でのトナーの環境安定性を向上させる効果はあるが、常温常湿、及び高温高湿でのトナーの環境安定性を向上させる効果は充分でない。カリックスアレンを低温低湿条件でのトナーの環境安定性を向上させるのに充分な量用いると、常温常湿、及び高温高湿でのトナーの環境安定性を、かえって低下させる場合もある。
一方、サリチル酸化合物金属塩(S)単独で用いる場合には、低温低湿、常温常湿、及び高温高湿いずれの条件でもトナーの環境安定性は充分に向上しない。
これに対して、カリックスアレン化合物(C)とサリチル酸化合物金属塩(S)を組み合わせて用いることによって、トナーの環境安定性を向上させることができ、低温低湿、常温常湿、高温高湿を含む幅広い環境条件の下で、長期に渡って画像の濃度変化、ムラやカブリの発生等の問題を起こさずに高画質の画像を形成することができる。
本発明で用いられるカリックスアレン化合物(C)は、下記式1で表される。
Figure 2007094167
(上記式中、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜12のカルボキシアルキル基又はその塩、炭素数1〜12のアシル基、芳香族炭化水素基を表す。また、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されてもよいアリール基、炭素数1〜18のアルキルカルボン酸エステル基、炭素数1〜18のアシル基から選ばれる置換基を表す。nは4〜12の整数を表す。)
カリックスアレン化合物(C)は、上記構造を満たす限り特に限定はされないが、式1中のR、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数3〜6のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基から選ばれる置換基である化合物であることが好ましい。
その中でも、上記式の置換基R並びにRが水素原子であり、且つ、置換基Rがn−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、アリル基より選ばれる置換基である化合物が特に好ましい。
なお、上記カリックスアレン化合物(C)は特開平8−305086等の公知の方法により製造することができる。
上記カリックスアレン化合物(C)と組み合わせて用いるサリチル酸化合物金属塩(S)とは、無置換のサリチル酸、又はサリチル酸のカルボキシル基と水酸基が結合する以外の1箇所以上の任意の位置に置換基を有するサリチル酸誘導体と、任意の金属との塩である。
サリチル酸化合物金属塩(S)としては、下記式2で表される化合物を用いることができる。
なお、サリチル酸化合物金属塩(S)は、結晶水又は水酸化物イオンを含んでいてもよい。
Figure 2007094167
(上記式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルケニル基より選ばれる置換基を表す。nは0〜4の整数であり、置換基Rの数を示す。Rが複数ある場合には、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1以上の整数を表す。Mは任意の金属元素を表す。)
上記サリチル酸化合物金属塩は、得られるトナーの帯電付与性、環境安定性の観点から、アルミニウム又は亜鉛の塩であることが好ましい。
上記本発明の静電荷像現像用トナーに係る帯電制御剤は、その他の帯電制御剤と組み合わせて用いてもよい。上記その他の帯電制御剤としては、従来から負帯電制御剤として用いられるものであれば特に限定はされず、モノアゾ系染料の金属塩やナフトエ酸、ジカルボン酸等の金属塩等が挙げられる。
上記カリックスアレン化合物(C)、及びサリチル酸化合物金属塩(S)を含有する帯電制御剤は、前記着色粒子中に、結着樹脂100部に対して0.1〜10部の割合で含まれていることが好ましい。
帯電制御剤の合計量が上記範囲よりも少ないと、トナーは充分な帯電量が得られない場合がある。一方、帯電制御剤の合計量が上記範囲よりも多すぎると、高温高湿環境下でのトナーの環境安定性が低下する場合がある。
また、帯電制御剤として含まれるカリックスアレン化合物(C)と、サリチル酸化合物金属塩(S)との重量比([(S)の重量]/[(C)の重量])は、0.2〜1.2であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
該重量比([(S)の重量]/[(C)の重量])が上記範囲より大きくなると、カリックスアレン化合物(C)の量が少なすぎるために、低温低湿下でのトナーの環境安定性が充分でない場合がある。
一方、該重量比([(S)の重量]/[(C)の重量])が上記範囲未満であると、サリチル酸化合物金属塩(S)が少なすぎるために、常温常湿、及び高温高湿下でのトナーの帯電量が充分に得られない場合がある。
着色粒子は離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の石油ワックス及びその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、及びジペンタエリスリトールヘキサステアレート等の多官能エステル化合物;などが挙げられる。
離型剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。
着色粒子は、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られる、所謂コアシェル型の粒子とすることができる。コアシェル型粒子では、内部(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、最低定着温度の低温化とトナーの保存性とのバランスを取ることができるので好ましい。
このコアシェル型粒子のコア層は、通常、前記結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて離型剤やその他の添加剤で構成される。一方、シェル層は、通常、結着樹脂のみで構成されるが、着色剤を更に含有していてもよい。
着色粒子の体積平均粒径(Dv)は、3〜10μmであることが好ましく、5〜8μmであることが更に好ましい。Dvが上記範囲未満であると、転写されずに感光体に残留するトナーが増加したり、トナーの流動性が小さくなり、カブリが発生したり、クリーニング性が低下する場合がある。一方、Dvが上記範囲を超えると、細線再現性が低下して高画質を達成できなかったり、定着性が低下する場合がある。
着色粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)の比(Dv/Dp)が通常1〜1.3であり、好ましくは1〜1.2である。Dv/Dpがこの範囲を超えると転写性が低下したり、カブリが発生したりする場合がある。
着色粒子の平均円形度(Ca)は、0.93〜0.995であることが好ましく、0.95〜0.998であることが更に好ましい。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度(Ca)は、まず1μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下式よりそれぞれ求め、次いで、下記式により求める。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2007094167
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、商品名「FPIA−1000」又は「FPIA−2000」)を用いて測定することができきる。
着色粒子の粒径分布に関しては、粒径4μm以下の粒子の割合が30個数%以下で、且つ、粒径16μm以上の粒子の割合が1体積%以下であることが好ましい。
粒径4μm以下の粒子の量が上記割合よりも多くなると、カブリが発生したり、転写されずに感光体に残るトナーが増加したり、クリーニング性が低下する場合がある。また、粒径16μm以上の粒子の量が上記割合よりも多くなると、細線再現性が低下して高画質を達成できなかったり、定着性が低下する場合がある。
着色粒子は、粉砕法;乳化重合法、及び懸濁重合法等の重合法;転相乳化法;溶解懸濁法等、従来から知られた方法により製造することができ、これらの製造方法の中でも、平均円形度が1、すなわち真球に近く、且つ、粒径分布がシャープな着色粒子を得ることができるので、重合法により着色粒子を製造することが好ましい。
重合法の中でも、本発明により提供される静電荷像現像用トナーは、懸濁重合法により重合されることが好ましい。
重合法による場合には、結着樹脂の原料である重合性単量体に、着色剤、第一の帯電制御剤であるカリックスアレン化合物(C)、第二の帯電制御剤であるサリチル酸化合物金属塩(S)、及び必要に応じて離型剤等の他の成分を溶解あるいは分散させて重合性単量体組成物とし、分散安定剤を含有する水系分散媒へ添加したのち、該重合性単量体組成物の液滴を形成する。この液滴を含有する分散液中に重合開始剤を添加して重合し、必要に応じて粒子同士を会合させた後、濾過、洗浄、脱水及び乾燥することにより製造することができる。
特にコアシェル型着色粒子を製造する場合には、上記いずれかの方法により得られた着色粒子をコア層として、それにスプレイドライ法、界面反応法、in situ重合法、層分離法等、従来から知られた方法でシェル層を被覆する。好ましくは、重合法により製造した着色粒子にin situ重合法によりシェル層を被覆する。
結着樹脂原料である重合性単量体としては、モノビニル単量体のほか、必要に応じて架橋性単量体、マクロモノマー及びその他の単量体を用いる。これらの重合性単量体が重合され、着色粒子中の結着樹脂成分となる。
モノビニル単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、及び(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸系単量体;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる(本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは「メタアクリル酸又はアクリル酸」を示す。)。
上記モノビニル単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸系単量体との併用が好適に用いられる。
ホットオフセット改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性単量体を用いることが好ましい。架橋性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のジアクリレート化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のその他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、トナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。
マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
分散安定剤としては、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物等の酸又はアルカリに溶解する無機化合物が挙げられる。さらに、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機高分子化合物を併用しても良い。上記分散安定剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、着色粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定剤残存量が少ないので、得られるトナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないので好ましい。
分散安定剤は水系媒体100部に対して0.1〜20部、好ましくは0.2〜10部用いることが好ましい。
本発明において、重合性単量体組成物の重合を行なう重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物が挙げられる。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も良いことから、過酸化物を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1.0〜10重量部である。
さらに、重合に際しては、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。上記分子量調整剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等のアゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
本発明においては、上記方法により得られた着色粒子、好ましくはコアシェル型着色粒子をそのまま静電荷像現像用トナーとして用いてもよいが、さらに、外添剤、キャリアその他の微粒子をヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて混合することにより静電荷像現像用トナーが調製される。
外添剤を着色粒子の表面に付着、又は埋設させることによって、トナーの帯電性、流動性、保存性などを調整することができる。
外添剤としては、従来からトナーに用いられている外添剤を何ら制限なく用いることができ、例えば、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、及び酸化錫等が挙げられ、有機樹脂粒子としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体粒子、及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカや酸化チタンが好適であり、粒子表面が疎水化処理されたものが好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。
外添剤の量は、特に限定されないが、着色粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
本発明のトナーは、二成分トナーとして用いる場合にはキャリアを着色粒子に担持する。キャリアとしては、従来からトナーに用いられているキャリアを何ら制限なく用いることができ、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面をフッ素系樹脂又はスチレン/アクリル系樹脂又はシリコーン樹脂等で表面処理したもの等が挙げられる。
二成分トナーの場合は、トナー中の着色粒子濃度は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは3〜5重量%が望ましい。
上述したような本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像の静電的な特性をもつ潜像を現像して写真、絵、文字、記号等の画像を形成する静電潜像現像システム、現像方法、画像形成装置に広く用いられる。
本発明の静電荷現像用トナーは、温度や湿度等の変化により、トナーの帯電量の低下や不均一化が生じず、環境安定性に優れたトナーである。従って、本発明の静電荷現像用トナーを用いて、印字濃度の高い、高品質の画像を形成することができる。
実施例1〜3及び比較例1〜3のトナーを製造し、印字試験を行った。
以下の実施例において、部及び%は、特に断りのない限り重量部又は重量%を示す。
〔実施例1〕
以下の手順により、カリックスアレン化合物及びサリチル酸化合物金属塩を含有する帯電制御剤を含んだトナーを製造した。
スチレン83部、アクリル酸n−ブチル17部、C.I.ピグメントレッド31とC.I.ピグメントレッド150との固溶体顔料を5部、下記式で表されるカリックスアレン系化合物帯電制御剤1a(n=4〜8の混合物)を1.5部、下記式で表されるサリチル酸化合物金属塩2a(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム錯体)0.5部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン2部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を室温下、ビーズミルで分散させた均一混合液を重合性単量体組成物とした。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム15.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム8.6部を溶解した水溶液を攪拌しながら徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。
Figure 2007094167
Figure 2007094167
一方、メタクリル酸メチル2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
上記で得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液(コロイド量6.3部)に重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所製、商品名:エバラマイルダーMDN303V)を用いて、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
重合性単量体組成物の液滴が分散された水酸化マグネシウムコロイド分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃に昇温し、重合反応を行い重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性重合開始剤(和光純薬社製、商品名:VA−086;2,2’−アゾビス[2−メチル−N(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド])0.3部を溶解し、それを反応器に添加した。4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型着色粒子を得た。
上記により得た着色粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸を添加しpH4以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、濾過分離した後、乾燥機にて40℃で二昼夜乾燥を行い、体積平均粒径(Dv)が6.0μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.19、平均円形度0.98、4μm以下の粒子個数%が24%、16μm以上の体積%が1.0%、3μm以下の粒子個数%が13%の着色粒子を得た。この着色粒子に分級処理を行い、最終的に体積平均粒径(Dv)が6.1μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.12、平均円形度0.98、4μm以下の個数%が13%、16μm以上の粒子の体積%が0.3%、3μm以下の個数%が4%の着色粒子を得た。
上記着色粒子100部に、体積平均粒径12nmのシリカ0.5部、体積平均粒径40nmのシリカ2.0部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて10分間、回転数1,400rpmで混合し実施例1の負帯電トナーを得た。
〔実施例2〕
下記式で表されるカリックスアレン系化合物帯電制御剤1b(n=4〜8の混合物)を1部と、下記式で表されるサリチル酸化合物金属塩2b(サチリル酸亜鉛)1部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で実施例2の負帯電トナーの調製を行った。
分級処理後の着色粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.3μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.13、平均円形度0.978、4μm以下の粒子個数%が14%、16μm以上の粒子の体積%が0.1%、3μm以下の粒子個数%が5%であった。
Figure 2007094167
Figure 2007094167
〔実施例3〕
上記式で表されるカリックスアレン系化合物帯電制御剤1a(n=4〜8の混合物)を1.2部と、上記式で表されるサリチル酸化合物金属塩2a(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム錯体)0.8部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で実施例3の負帯電トナーの調製を行った。
分級処理後の着色粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.2μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.13、平均円形度0.978、4μm以下の粒子個数%が17%、16μm以上の粒子の体積%が0.1%、3μm以下の粒子個数%が5%であった。
〔比較例1〕
サリチル酸化合物金属塩を用いず、上記式で表されるカリックスアレン化合物1a(n=4〜8の混合物)を2部、帯電制御剤として用いたこと以外は実施例1と同様の手順で比較例1の負帯電性トナーを得た。
分級処理後の着色粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.8μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.19、平均円形度0.976、4μm以下の粒子個数%が27%、16μm以上の粒子の体積%が0.1%、3μm以下の粒子個数%が13%であった。
〔比較例2〕
カリックスアレン化合物を用いず、上記式で表されるサリチル酸化合物金属塩2a(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム錯体)2部のみを帯電制御剤として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で比較例2の負帯電トナーの調製を行った。
分級処理後の着色粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.6μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.18、平均円形度0.975、4μm以下の粒子個数%が27%、16μm以上の粒子の体積%が0.2%、3μm以下の粒子個数%が15%であった。
本実施例において行った試験方法は以下の通りである。
(1)粒径
体積平均粒径(Dv)、粒径が4μm以下の着色粒子の個数%、粒径が3μm以下の着色粒子の個数%、及び粒径が16μm以上の粒子の体積%は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、機種名「マルチサイザー」)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
(2)トナーの平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更にトナー0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色粒子濃度を3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、1μm以上の円相当径の着色粒子1,000〜10,000個についてシメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記式に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)環境耐久印字試験
L/L(低温低湿)、N/N(常温常湿)、H/H(高温高湿)の各環境下で、各トナーを用いて連続印字を行って、かぶりが発生する枚数を計測した。
なお、L/L環境は、温度10℃、湿度20%環境を表し、N/N環境は、温度23℃、湿度50%環境を表し、H/H環境は、温度28℃、湿度80%環境を表す。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(20枚機)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、L/L、N/N、又はH/H環境下で一昼夜放置した後、1%印字濃度で連続印字を行い、1,000枚ごとにカブリを測定した。
また、カブリは以下のように測定した。白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、途中で上記プリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを粘着テープに付着させた。この粘着テープを新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色工業(株)製、機種名「SE−2000」)で色調を測定した。リファレンス(基準サンプル)として、未使用の粘着テープを印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定した。それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値とした。この値が小さいほどカブリが少なく、画質が良好であることを示す。
白ベタ印字を行った際のカブリ値が1.5%以下である画質を維持できる連続印字枚数を10,000枚まで試験した。試験結果に「10,000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても上記基準を満たしていることを示す。
〔結果〕
試験結果を表1に示す。
なお、表1中の注記は以下の通りである。
*1: 結着樹脂用及びシェル用重合性単量体に関する略記
ST(スチレン)、BA(アクリル酸n−ブチル)DVB(ジビニルベンゼン)、MMA(メタクリル酸メチル)
*2: カリックスアレン系帯電制御剤に関する略記
Figure 2007094167
Figure 2007094167
*3: サリチル酸化合物金属塩帯電制御剤に関する略記
Figure 2007094167
Figure 2007094167
Figure 2007094167
〔結果のまとめ〕
本発明のカリックスアレン化合物及びサリチル酸化合物よりなる帯電制御剤を含んだトナーは、L/L、N/N、及びH/Hの全ての環境下での耐久印字試験において10,000枚に到達時でもかぶりが発生しなかった。
これに対し、過剰にカリックスアレン化合物のみ帯電制御剤として含まれた比較例1のトナーは、L/Lの環境下の耐久印字試験では、10,000枚到達時でもかぶりが発生しなかったものの、N/N及びH/Hの環境下では、10,000枚に到達する前にかぶりが発生した。
また、サリチル酸化合物のみ帯電制御剤として含まれた比較例2のトナーは、L/L、N/N、及びH/Hの全ての環境下での耐久印字試験において10,000枚に到達前にかぶりが発生した。

Claims (6)

  1. 結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤として、下記式1で表されるカリックスアレン化合物(C)、及びサリチル酸化合物金属塩(S)を含有する着色粒子を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    Figure 2007094167
    (上記式中、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜12のカルボキシアルキル基又はその塩、炭素数1〜12のアシル基、芳香族炭化水素基を表す。また、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されてもよいアリール基、炭素数1〜18のアルキルカルボン酸エステル基、炭素数1〜18のアシル基から選ばれる置換基を表す。nは4〜12の整数を表す。)
  2. 該サリチル酸化合物金属塩(S)がサリチル酸化合物の、亜鉛塩又はアルミニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該カリックスアレン化合物(C)を表す式1のR、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数3〜6のアルキル基、及び炭素数3〜6のアルケニル基から選ばれる置換基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像電荷像現像用トナー。
  4. 該着色粒子が、結着樹脂100部に対し該帯電制御剤を0.1〜10部含み、該帯電制御剤に含まれるサリチル酸化合物金属塩(S)とカリックスアレン化合物(C)の重量比([(S)の重量]/[(C)の重量])が0.2〜1.2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 該着色粒子の平均円形度が0.93〜0.995であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 該着色粒子が懸濁重合法によって製造されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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