JPWO2006064796A1 - 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006064796A1
JPWO2006064796A1 JP2006548852A JP2006548852A JPWO2006064796A1 JP WO2006064796 A1 JPWO2006064796 A1 JP WO2006064796A1 JP 2006548852 A JP2006548852 A JP 2006548852A JP 2006548852 A JP2006548852 A JP 2006548852A JP WO2006064796 A1 JPWO2006064796 A1 JP WO2006064796A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
electrostatic latent
latent image
developing
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006548852A
Other languages
English (en)
Inventor
泉水 慶太
慶太 泉水
木所 広人
広人 木所
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Zeon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Zeon Corp filed Critical Zeon Corp
Publication of JPWO2006064796A1 publication Critical patent/JPWO2006064796A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/09Colouring agents for toner particles
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • G03G9/0823Electric parameters

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

トナーの消費速度が大きい場合や印字初期などトナーの帯電量不足又は帯電量の分布不均一が起こりやすい状態でも充分な画像濃度が得られ、転写不良を発生させない静電潜像現像用トナーを提供する。着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含むトナーにおいて、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲である静電潜像現像用トナーである。

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、磁気記録法等において静電潜像や磁気潜像等の静電的な特性をもつ潜像を現像するために用いられる静電潜像現像用トナー(以下単に「トナー」と称することがある。)に関し、更に詳細には、充分な画像濃度が得られ、転写不良を発生させない静電潜像現像用トナー関する。
また、本発明は、上記静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法に関する。
電子写真法とは、感光体に形成された静電潜像を、着色粒子に必要に応じて外添剤やキャリア等の他の粒子を配合してなる静電潜像現像剤用トナーで現像し、紙又はOHPシート等の記録材に該トナーを転写した後、転写されたトナーを定着して印刷物を得る方法である。トナーを用いて現像する方法又はトナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されており、それぞれの画像形成プロセスに適した方法が採用されている。
一般に、静電潜像現像用トナーは、静電潜像現像システム内において攪拌することによって、着色粒子及び該着色粒子に付着した外添剤よりなるトナー粒子同士、又はトナー粒子とキャリアの間で摩擦帯電された後、静電潜像を有する感光体上に供給され付着する。
適度に帯電したトナーは、静電潜像の電荷密度に応じた量が感光体上に付着し、所望の階調をもつ画像を美しく形成することができる。
これに対して、トナーの帯電量又は帯電量の分布が適切でない場合には、例えば、トナーの現像量が少なすぎて画像の濃度不足や濃度むらが発生したり、感光体上のトナーを現像すべきでない部分にもトナーが現像され、結果として印刷物の地色が汚れるカブリが発生したりする不具合が起こる。
特に、高速大量印字や連続べた(solid pattern)印字のように短時間に大量のトナーが消費される場合の印字や、静電潜像現像システムの運転開始直後又は新しいトナーを静電潜像現像システム内に補給した直後の印字初期では、トナーの摩擦帯電速度がトナーの消費速度に間に合わないことがあるため、上記のような帯電量の不足や帯電量の分布不均一による画像の濃度不足、濃度むら、カブリなどの現像不良の問題を起こしやすい。
特許文献1には、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーの帯電物性のバランスを考慮し、これら4色のトナー間の仕事関数の差を0.5eV以下とすることによって、フルカラー画像の色再現性を向上させることが記載されているが、トナーの消費速度が大きい場合や印字初期などにおける画像の濃度不足、濃度むら、カブリなどの問題を解決する方法については特に考慮されていない。
特開平6−11898号公報
従って、本発明の目的は、トナーの消費速度が大きい場合や印字初期などトナーの帯電量不足又は帯電量の分布不均一が起こりやすい状態でも充分な画像濃度が得られ、現像不良を発生させない静電潜像現像用トナー及び該静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、仕事関数がある一定範囲内の数値をとり、且つ、その仕事関数の数値と規格化光電子収率の傾きとの間に、ある一定の関係が成立するトナーが上記目的を達成し得るという知見を得た。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含む静電潜像現像用トナーにおいて、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲である静電潜像現像用トナーを提供するものである。
本発明の静電潜像現像用トナーに含有される着色剤としては、シアン着色剤が挙げられる。
本発明の静電潜像現像用トナーの平均円形度は、0.950〜0.995の範囲であることが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、その水抽出液のpHが4〜8の範囲であることが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、該着色粒子が帯電制御剤を含み、該帯電制御剤が帯電制御樹脂であることが好ましい。
また、本発明は、帯電部材により感光体ドラムを帯電させる帯電工程、該感光体ドラムに静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像を静電潜像現像用トナーにより現像する現像工程、現像された像を記録材上へ転写する転写工程、及び、転写された像を記録材上へ定着させる定着工程を含む画像形成方法において、該静電潜像現像用トナーが、着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲であることを特徴とする画像形成方法を提供するものである。
仕事関数測定におけるトナーの仕事関数X(eV)が5.35<X<5.60の範囲内の数値であり、且つ、当該トナーの仕事関数X(eV)と励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)との間に、A−55X+290>0、の関係が成立する場合には、トナーの帯電立ち上がりが早く、且つ、充分な帯電量が得られる。
従って、本発明のトナーを用いて静電潜像現像を行うことにより、充分な濃度を有し且つ地汚れ(カブリ)のない、鮮明で美しい画像を有する印刷物を、印字環境、印字条件に係らず安定に形成することができる。
また、上記トナーを用いる本発明の画像形成方法によって、充分な濃度を有し且つ地汚れ(カブリ)のない、鮮明で美しい画像を有する印刷物を、印字環境、印字条件に係らず安定に形成することができる。
本発明の静電潜像現像用トナーが適用される画像形成装置の一構成例を示す図である。 トナーの仕事関数測定において横軸に励起エネルギー(eV)をとり、縦軸に規格化光電子収率をとったグラフの一般的な傾向を示した図である。
符号の説明
1 感光体ドラム
5 帯電ロール
7 レーザー光照射装置
9 転写ロール
11 記録材
13 現像ロール
15 現像ロール用ブレード
17 供給ロール
18 攪拌翼
19 トナー
21 現像装置
23 ケーシング
23a トナー槽
25 クリーニングブレード
27 定着装置
27a 熱ロール
27b 支持ロール
以下、本発明の静電潜像現像用トナーについて説明する。
本発明の静電潜像現像用トナーは、着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含み、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲であることを特徴とする。
仕事関数とは物質に固有な電子のエネルギー準位であり、本発明において仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)とは、トナーが電子を放出し始める閾値となるエネルギー準位を意味する。仕事関数は、固体表面における接触電位差、電子放出現象、化学活性などに関わる重要な量として知られている。
また、規格化光電子収率とは、単位光量子あたりの光電子収率を0.5乗した値を意味し、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)とは、横軸に励起エネルギー(eV)をとり、縦軸に規格化光電子収率をとったグラフにおいて示される傾きを意味する。
図2は、トナーの仕事関数測定において横軸に励起エネルギー(eV)をとり、縦軸に規格化光電子収率をとったグラフの一般的な傾向を示したものである。このグラフにおいて、励起エネルギーが低レベルの領域では規格化光電子収率が変化しない平坦部分が続き、励起エネルギーが或る一定のレベルに達したときに急激に規格化光電子収率が増加し始める。この変化点における励起エネルギーの値が、測定対象であるトナーの仕事関数X(eV)である。
また、励起エネルギーが仕事関数X(eV)の数値以上の領域においてグラフの変化率が安定した領域の傾きが、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(1/eV)である。従って、この傾きAの値には、励起エネルギーが低レベルの領域での規格化光電子収率が変化しない平坦部分は影響を与えない。
トナーの仕事関数Xを測定する方法は特に限定されないが、本明細書の実施例においては、光電子分光装置(理研計器製、型式名「AC−2」)で測定を行った。
具体的には、先ず、トナー約0.5gを測定用ホルダーに均一に広げて載せた。次に、UV光源としては500nWのD(重水素)光源を用い、単色化された入射光(スポットサイズ2〜4mm)のエネルギーを3.4(eV)〜6.2(eV)まで0.1(eV)ごとにスキャンしながら照射し、励起エネルギーに対する規格化電子収率を求めた。
前記測定より得られた測定値から、次の方法でトナーの仕事関数X、及び励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きAを決定した。まず、横軸に励起したエネルギー、縦軸に規格化光電子収率をとり、前記測定により得られた測定値をプロットする。次に、グラフ上、プロットした規格化光電子収率の測定値が立ち上がる位置の直前までの平坦な領域から、適当な数の測定ポイントをピックアップし、規格化光電子収率の値を平均化して、ベースラインとする。具体的には、励起エネルギーが4.2〜5.2(eV)の範囲で、0.1(eV)おきの11点の規格化光電子収率から、平均値を求め、ベースラインとした。次に、規格化光電子収率の値が、ベースラインの値から、0.3(eV)の範囲(0.1(eV)おきの4点)で連続して上昇したとき、規格化光電子収率の値が上昇し始めた点(上記4点のうちの励起エネルギーの小さい方から第一点目)における励起エネルギーの値より0.2(eV)大きい値をグラフの変化率(傾き)が安定し始めた点とみなす。そして、この規格化光電子収率の値が上昇し始めた点(上記4点のうちの第一点目)における励起エネルギーの値より0.2(eV)大きい値から、6.2(eV)の範囲で一次直線を求め、その傾きを励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(1/eV)と決定した。さらに、上記の一次直線とベースラインとの交点における、励起エネルギーを仕事関数X(eV)と決定した。
仕事関数測定におけるトナーの仕事関数X(eV)が5.35<X<5.60の範囲内の数値であり、且つ、当該トナーの仕事関数X(eV)と励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)との間に、A−55X+290>0、の関係が成立する場合には、トナーの帯電立ち上がりが早く、且つ、充分な帯電量が得られる。ここで、帯電の立ち上がりが早いとは、トナーを帯電させる際、静電潜像の現像に充分な帯電量に達する時間が短いことを意味する。
従って、本発明のトナーを用いて静電潜像現像を行うことにより、印字環境、印字条件に係らず、充分な濃度を有し且つ地汚れ(カブリ)のない、鮮明で美しい画像を、安定に形成することができる。
特に、高速大量印字や連続べた印字の場合のように短時間に大量のトナーが消費される場合の印字や、静電潜像現像システムの運転開始直後又は新しいトナーを静電潜像現像システム内のトナー供給部に補給した直後の印字初期など、トナーの帯電量が不十分となりやすい状態でも、充分な帯電量が安定して均一に得られるので、印字濃度不足、濃度むら、カブリなどの問題を起こさずに所望の美しい画像が得られる。
本発明の静電潜像現像用トナーは着色粒子を含み、必要に応じて該着色粒子の表面に付着する外添剤や、着色粒子を担持する粒子であるキャリア等の他の粒子又は成分を含有していてもよい。
トナー中の着色粒子は、少なくとも着色剤と結着樹脂を含有し、その他、必要に応じて帯電制御剤、離型剤等の他の成分を含有していてもよい。
着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、磁性粉、オイルブラック、チタンホワイトの他、あらゆる顔料及び染料を用いることができる。カーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好適に用いられる。粒径がこの範囲にあることにより、カーボンブラックをトナー中に均一に分散でき、カブリも少なくなるので好ましい。
フルカラートナーを得る場合は、通常、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤をそれぞれ使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、75、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物等のフタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、および60等が挙げられ、銅フタロシアニン化合物が好ましい。
着色剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
本発明においては、特に、フタロシアニン化合物及びその誘導体等のシアン着色剤を用いることで、上記範囲の仕事関数Xを有し、且つ、仕事関数Xと規格化光電子収率の傾きAとが上記関係を有する帯電の立ち上がりが早いシアントナーが得られ、好適に用いられる。
着色粒子に含有される結着樹脂としては、従来よりトナーの結着樹脂として用いられている樹脂を用いることができる。例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、及びスチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、ポリオレフィン、メタアクリレート樹脂、アクリレート樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びスチレン系樹脂の各水添物などが挙げられる。
着色粒子には、帯電制御剤が含有されていることが好ましい。帯電制御剤としては、従来からトナーに用いられている帯電制御剤を何ら制限なく用いることができる。帯電制御剤の中でも、帯電制御樹脂(CCR)を用いることが好ましい。帯電制御樹脂は、結着樹脂との相溶性が高く、無色であり、高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができる。
帯電制御樹脂としては、重合体の側鎖に、カルボキシル基又はその塩の基、フェノール類基又はその塩の基、チオフェノール基又はその塩の基、スルホン酸基又はその塩の基から選択される置換基を有する樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、重合体の側鎖にスルホン酸基又はその塩の基を有する樹脂が好ましく用いられる。具体的には、スルホン酸基又はその塩の基を含有するモノビニル単量体を、それと共重合可能な他のモノビニル単量体を共重合することによって得られる樹脂が挙げられる。共重合可能な他のモノビニル単量体としては、後述のモノビニル単量体として挙げられているものを用いることができる。
スルホン酸基又はその塩の基を含有するモノビニル単量体としては、例えばスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、及びメタクリルスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩の基を含有するモノビニル単量体の配合量は、負帯電制御樹脂中、好ましくは0.5〜15重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。スルホン酸基又はその塩の基を含有するモノビニル単量体の配合量が上記範囲未満であると、トナーの帯電量が低下し、着色粒子中の顔料の分散性が不十分となり、画像濃度、透過性が低下する場合があり、上記範囲を超えると、高温高湿下におけるトナーの帯電量の低下が大きくなり、カブリが発生する場合がある。
帯電制御樹脂としては、重量平均分子量が2,000〜50,000のものが好ましく、4,000〜40,000のものが更に好ましく、6,000〜35,000のものが最も好ましい。帯電制御樹脂の重量平均分子量がこの範囲未満であると、トナーを製造する際の混練時の粘度が低くなり過ぎ、着色剤の分散が不十分になる場合があり、この範囲を超えると、定着性が低下する場合がある。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40〜80℃であり、更に好ましくは45〜75℃であり、最も好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度が上記範囲未満であるとトナーの保存性が悪くなり、上記範囲を超えると定着性が低下する場合がある。
上述した帯電制御樹脂の使用量は、結着樹脂を得るために使用されるモノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部であり、更に好ましくは0.3〜25重量部である。
本発明においては、更に離型剤を着色粒子に含有させることが好ましい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス及びその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート等の多官能エステル化合物;等が挙げられる。
離型剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記離型剤の中でも、合成ワックス及び多官能エステル化合物が好ましい。これらの中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が好ましくは30〜150℃、更に好ましくは40〜100℃、最も好ましくは50〜80℃の範囲にある多官能エステル化合物が、定着時の定着−剥離性バランスに優れるトナーが得られるので好ましい。特に、分子量が1,000以上であり、25℃でスチレン100重量部に対し5重量部以上溶解し、酸価が10mgKOH/g以下であるものは定着温度低下に顕著な効果を示すので更に好ましい。吸熱ピーク温度とは、ASTM D3418−82によって測定される値を意味する。
離型剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。
着色粒子は、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の粒子とすることができる。コアシェル型粒子では、内部(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、最低定着温度の低温化(定着性)と保存時の凝集防止(保存性)とのバランスを取ることができるので好ましい。
このコアシェル型粒子のコア層は、通常、前記結着樹脂、着色剤、さらに必要に応じ、帯電制御樹脂及び離型剤で構成される。一方、シェル層は、通常、結着樹脂のみで構成されるが、着色剤を更に含有していてもよい。
コアシェル型粒子の場合、コア層を構成する重合体のガラス転移温度は、好ましくは0〜80℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。ガラス転移温度が上記範囲を超えると最低定着温度が高くなる場合があり、一方、上記範囲未満であると、保存性が低下することがある。
また、シェル層を構成する重合体のガラス転移温度は、コア層を構成する重合体のガラス転移温度よりも高くなるように設定する必要がある。シェル層を構成する重合体のガラス転移温度は、トナーの保存性を向上させるために、好ましくは50〜130℃であり、更に好ましくは60〜120℃であり、最も好ましくは80〜110℃である。ガラス転移点が上記範囲未満であると保存性が低下することがあり、一方、上記範囲を超えると最低定着温度が高くなる(定着性が悪化する)場合がある。
コア層を構成する重合体のガラス転移温度とシェル層を構成する重合体のガラス転移温度の差は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることが更に好ましく、30℃以上であることが最も好ましい。上記の差より小さいと保存性と定着性のバランスが低下する場合がある。
コアシェル型粒子のコア層とシェル層との重量比率は特に限定されないが、好ましくはコア層/シェル層の重量比率は80/20〜99.9/0.1である。
シェル層の割合が上記割合より小さいと保存性が悪くなり、逆に、上記割合より大きいと定着性が悪化することがある。
本発明において、着色粒子及びトナーの体積平均粒径(Dv)が3〜10μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。Dvが上記範囲未満であるとトナーの流動性が小さくなり、カブリが発生したり、転写残が発生したり、クリーニング性が低下する場合があり、上記範囲を超えると細線再現性が低下する場合がある。
また、着色粒子及びトナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)の比(Dv/Dp)が通常1〜1.3であり、好ましくは1〜1.2である。Dv/Dpがこの範囲を超えると転写性が低下したり、カブリが発生したりする場合がある。
本発明のトナーの平均円形度は、0.95〜0.995であることが好ましく、0.95〜0.99であることが更に好ましく、0.96〜0.99であることが特に好ましい。平均円形度がこの範囲未満であると、細線再現性がL/L環境下(温度:10℃、相対湿度:20%)、N/N環境下(温度:23℃、相対湿度:50%)、H/H環境下(温度:35℃、相対湿度80%)のいずれにおいても劣る。
この平均円形度は、転相乳化法、溶解懸濁法及び重合法等を用いることにより、比較的容易に上記範囲とすることができる。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、トナーの凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度はトナーが完全な球形の場合に1を示し、トナーの表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、1μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下式よりそれぞれ求め、次いで、下記式より平均円形度(Ca)を求める。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2006064796
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置(製品名:「FPIA−1000」又は「FPIA−2000」)を用いて測定することができる。
本発明のトナーは、着色粒子をそのままトナーとして静電潜像の現像に用いることもできるが、トナーの帯電性、流動性、保存性等を調製するために、高速撹拌機(商品名:ヘンシェルミキサー等)を用いて着色粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を混合し一成分トナーとすることができる。
また、着色粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子に加えて、さらに、公知となっている種々の方法により、フェライト、及び鉄粉等のキャリア粒子を混合し、二成分トナーとすることもできる。
外添剤としては、通常、流動性や帯電性を向上させる目的で、従来からトナーに用いられている無機微粒子や有機微粒子が挙げられる。例えば、無機微粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等が挙げられ、有機微粒子としては、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メラミン樹脂、及びコア層がスチレン重合体でシェル層がメタクリル酸エステル重合体で形成されたコア・シェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカや酸化チタンが好ましく、この表面を疎水化処理した粒子がより好ましく、疎水化処理されたシリカがさらに好ましい。2種類以上の疎水化処理されたシリカを併用することが特に好ましい。外添剤の添加量は、着色粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
着色粒子は、粉砕法、重合法、会合法、及び転相乳化法等、従来から知られた方法により製造することができる。
特にコアシェル型粒子を製造する場合には、上記いずれかの方法により得られた着色粒子をコア層として、それにスプレイドライ法、界面反応法、in situ重合法、層分離法等、従来から知られた方法でシェル層を被覆することにより、コアシェル型着色粒子が得られる。
これらの製造方法の中でも、平均円形度が1、すなわち真球に近い着色粒子を得る点から、重合法により着色粒子を製造することが好ましく、コアシェル型着色粒子を製造する場合には、重合法により製造した着色粒子にin situ重合法によりシェル層を被覆することが好ましい。
以下、重合法によりコア層となる着色粒子を製造し、さらにin situ重合法によりシェル層を被覆する方法を説明する。
先ず、コア層となる着色粒子は、結着樹脂の原料である重合性単量体に、着色剤、さらに必要に応じ、帯電制御剤、及びその他の添加剤を溶解あるいは分散させ重合性単量体組成物とし、分散安定剤を含有する水系分散媒中で液滴を形成した後、重合開始剤を添加して重合して、必要に応じて粒子同士を会合させた後、濾過、洗浄、脱水及び乾燥することにより製造することができる。
上記合性単量体として、モノビニル単量体、架橋性単量体、マクロモノマー、及びその他の単量体等を挙げることができる。これらの重合性単量体が重合され、着色粒子中の結着樹脂成分となる。
モノビニル単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、及び(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸単量体;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。
上記モノビニル単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸単量体との併用などが好適に用いられる。なお、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」又は「メタアクリル酸」であることを表すものである。
モノビニル単量体と共に、架橋性単量体を用いると、ホットオフセットが有効に改善される。
ここで架橋性単量体とは、重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を2個以上有する単量体である。このような単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル、及びジビニルエーテル等の分子内にビニル基を2個有する化合物;ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、及びトリメチロールプロパントリアクリレート等の分子内にビニル基を3個以上有する化合物等が挙げられる。
これらの架橋性単量体は、それぞれ1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常は10重量部以下であり、好ましくは0.1〜2重量部である。
本発明においては、マクロモノマーを重合性単量体の一部として用いることができる。モノビニル単量体と共に、マクロモノマーを用いると、保存性と低温定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するものであり、数平均分子量が、好ましくは1,000〜30,000のオリゴマー又はポリマーである。数平均分子量が1,000未満のものを用いると、トナーの表面部分が柔らかくなり、保存性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が30,000を超えるものを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性及び保存性が低下する場合がある。ここで、ビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、及びメタクリロイル基等が挙げられる。共重合のし易さの観点からメタクリロイル基が好ましい。
マクロモノマーとしては、前記モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも、高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものを用いることが好ましい。
本発明において用いられるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、及びアクリル酸エステル等を単独で又は2種以上を重合して得られる重合体を有するマクロモノマー等が挙げられる。上記の中でも、親水性のもの、特にメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを単独でまたはこれらを組み合わせて重合することにより得られる重合体が好ましく用いられる。
マクロモノマーを併用する場合、その使用量は、モノビニル単量体100重量部に対し、通常は0.01〜10重量部であり、好ましくは0.03〜5重量部であり、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。マクロモノマーの使用量が上記範囲未満であるとトナーの保存性が悪くなる場合があり、一方、マクロモノマーの使用量が上記範囲を超えると、定着性が低下する場合がある。
その他の単量体としては、着色剤の分散性を向上させ、また再凝集を防ぐため、ラジカル重合性を有するエポキシ化合物又はラジカル重合性を有する酸ハロゲン化物を配合することができる。
ラジカル重合性を有するエポキシ化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、スチリルグリシジルエーテル、及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
ラジカル重合性を有する酸ハロゲン化物としては、例えば、アクリルクロリド、メタクリルクロリド、スチレンカルボニルクロリド、スチレンスルフォニルクロリド、2−メタクリロイロキシエチルサクシニルクロリド、及び2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタリルクロリド等のクロリド化合物やアクリルブロミド、メタクリルブロミド、スチレンカルボニルブロミド、スチレンスルフォニルブロミド、2−メタクリロイロキシエチルサクシニルブロミド、及び2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタリルブロミド等のブロミド化合物等が挙げられる。
ラジカル重合性を有するエポキシ化合物又は酸ハロゲン化物を配合する場合、その配合量は、結着樹脂成分を形成するために用いられる重合性単量体中、好ましくは0.1〜5重量%であり、更に好ましくは0.2〜3重量%である。エポキシ化合物又は酸ハロゲン化物の含有量が上記範囲未満であると、着色剤の分散効果が不十分になり、上記範囲を超えるとホットオフセットが発生するなど、画質が低下する場合がある。
ラジカル重合性を有する、エポキシ化合物及び酸ハロゲン化物は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、予め着色剤と帯電制御剤としての帯電制御樹脂とを混合して得られる帯電制御樹脂組成物を他の配合成分と混合することにより、重合性単量体組成物を調製し、その後、水系分散媒中での液滴形成及び重合を行ってもよい。帯電制御樹脂と着色剤の混合の際、着色剤の配合量は、帯電制御樹脂100重量部に対して、通常10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部である。また、その際に、グリシジルメタクリレート(GMA)等のラジカル重合性を有するエポキシ化合物又はラジカル重合性を有する酸ハロゲン化物をさらに添加すると、該化合物が着色剤表面と作用し着色剤の分散の均一性を向上させることができるので好ましい。
帯電制御樹脂組成物の製造には、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤を用いることで、帯電制御樹脂が柔らかくなり、着色剤と混合し易くなる。
有機溶剤の量は、帯電制御樹脂100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜60重量部であり、この範囲にあると分散性と加工性のバランスが優れる。また、このとき、有機溶剤は、一度に全量を添加しても、あるいは混合状態を確認しながら、何回かに分割して添加しても良い。
混合は、ロール、ニーダー、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブス・コニーダー(ブス社製)等を用いて行うことができる。有機溶剤を用いる場合は、臭気や毒性の問題が有るので、有機溶剤が漏れない密閉系の混練機が好ましい。
また、トルクのレベルで分散性を管理することができるので、混練機にはトルクメーターが設置されていることが好ましい。
分散安定剤としては、公知の界面活性剤や無機分散剤又は有機分散剤を使用することができるが、無機分散剤が後処理により取り除くことが容易であるので好ましい。無機分散剤として、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムなどの無機塩;シリカ、酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の無機酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の無機水酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、特に難水溶性の無機水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、また分散安定剤の洗浄後の残存性が少なく、画像を鮮明に再現できるので好ましい。
分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が上記範囲にあることで、充分な重合安定性が得られ、重合凝集物の生成が抑制され、所望の粒径のトナーを得ることができるので好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4'−アゾビス(4−シアノヴァレリックアシッド)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。
上記重合開始剤の中でも、用いられる重合性単量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて水溶性の重合開始剤をこれと併用することもできる。上記重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加してもよいが、懸濁重合の場合は重合性単量体組成物の液滴形成工程終了後の懸濁液、乳化重合の場合は乳化工程終了後の乳化液に、直接添加してもよい。
さらに、重合に際しては、反応系に分子量調整剤を添加することが好ましい。該分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、及びテトラエチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
次に、上記重合法により製造した着色粒子にin situ重合法によりシェル層を被覆する場合、コア層となる粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加して重合し、濾過、洗浄、脱水及び乾燥することによりコアシェル型着色粒子を得ることができる。
シェル層を形成する具体的な方法としては、コア層となる粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用重合性単量体を添加して継続的に重合する方法、及び、別の反応系重合性単量体を重合、さらに会合した後に濾過、洗浄、脱水及び乾燥して得られたコア層となる粒子を仕込み、これにシェル用重合性単量体を添加して段階的に重合する方法などを挙げることができる。
シェル用重合性単量体としては、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのガラス転移温度が80℃を超える重合体を形成する単量体をそれぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等のアゾ化合物などを挙げることができる。水溶性重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部である。
上記シェル用重合性単量体にフタロシアニン金属塩(例えば、亜鉛フタロシアニン等)を0.001〜1部分散させた後、該分散させた液をコア層となる粒子が分散する水分散液に添加して重合を行ない、コア層となる粒子表面にフタロシアニン金属塩を含有するシェル層を形成させることで、仕事関数測定における仕事関数Xと、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きAを好ましい範囲にしやすくなる。
重合によって得られる着色粒子の水分散液は、酸又はアルカリを添加して、分散安定剤を水に溶解して、除去することが好ましい。分散安定剤として、難水溶性無機水酸化物のコロイドを使用した場合には、酸を添加して、水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸などの無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸などの有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
水系分散媒中から着色粒子を濾過脱水する方法は特に制限されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、及び加圧濾過法などを挙げることができる。これらのうち遠心濾過法が好適である。
上記方法により得られた着色粒子、好ましくはコアシェル型着色粒子に必要に応じて外添剤、キャリアその他の微粒子を混合する場合には、高速撹拌機(商品名:ヘンシェルミキサー等)を用いて混合すればよい。
上述したようなトナーの製造方法において、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲である静電潜像現像用トナーを得るためには、以下のような手段を講じることが好ましい。
(1) すでに述べたように、シェル用重合性単量体にフタロシアニン金属塩を適量分散させた後、該分散させた液をコア層となる粒子が分散する水分散液に添加して重合を行ない、該コア層となる粒子表面にフタロシアニン金属塩を含有するシェル層を形成させる。
(2) すでに述べたように、着色剤と帯電制御樹脂を混合して予備的に調製される帯電制御樹脂組成物に、グリシジルメタクリレート(GMA)等のラジカル重合性を有するエポキシ化合物又はラジカル重合性を有する酸ハロゲン化物を含有させる。
(3) 着色粒子を電気伝導度の低い水で洗浄する。
本発明の静電潜像現像用トナーは、その水抽出液のpHが4〜8であることが好ましく、5〜7であることが更に好ましい。トナーの製造途中において、中間品である着色粒子の酸洗浄及び水洗浄を適切に行うことにより、トナーの水抽出液のpHを上記範囲に調整することができる。
水抽出液のpHが上記範囲未満であるとトナーの環境安定性が悪くなる場合があり、一方、pHが上記範囲を超えても環境安定性が悪くなる場合がある。なお、トナーの水抽出液のpHの測定は、トナー6gを、pHが約7のイオン交換水100gに分散させ、加熱し、10分間煮沸した後、液のpHを測定することにより求められる。
また、本発明のトナー0.2gを100mlのテトラヒドロフランに分散させたトナー分散液をポアサイズが0.45μmのフィルターで濾過して得られた濾液は、分光光度計で測定した際に、テトラヒドロフランに対して5以上の色差ΔEを有することが好ましく、10以上の色差ΔEを有することが更に好ましい。色差ΔEが5未満であるとトナー中の顔料の分散が不十分となる場合があり、定着後の印字濃度が低下する場合がある。
本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、磁気記録法等において静電潜像や磁気潜像等の静電的な特性をもつ潜像を現像して写真、絵、文字、記号等の画像を形成する静電潜像現像システム、現像方法、画像形成装置に広く用いられる。特に、トナーを攪拌することによってトナー粒子同士又はトナー粒子とキャリアの間で接触させる帯電手段か、その他の適切なトナー帯電手段によってトナーを帯電させてから感光体上の静電潜像に供給するシステム、方法、装置に本発明のトナーは好適に用いられる。
以下、本発明のトナーが適用される、画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の静電潜像現像用トナーが適用される画像形成装置の構成の一例を示す図である。図1に示す画像形成装置は、感光体としての感光体ドラム1を有し、感光体ドラム1は矢印A方向に回転自在に装着されている。光導電層は導電性支持ドラムに結着されている。
感光体ドラム1の周囲には、その周方向に沿って、帯電部材としての帯電ロール5、露光装置としてのレーザー光照射装置7、現像装置21、転写ロール9及びクリーニングブレード25が配置されている。
また、感光体ドラム1の搬送方向下流側には、定着装置27が設けられる。定着装置27は、熱ロール27aと支持ロール27bとからなる。
記録材11の搬送路は、感光体ドラム1と転写ロール9の間、及び、熱ロール27aと支持ロール27bの間を通過するように設けられる。
このような図1に示す画像形成装置を用いて画像を形成するが、本発明の画像形成方法は、帯電部材により感光体ドラムを帯電させる帯電工程、該感光体ドラムに静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像を静電潜像現像用トナーにより現像する現像工程、現像された像を記録材上へ転写する転写工程、及び、転写された像を記録材上へ定着させる定着工程を含む画像形成方法において、該静電潜像現像用トナーが、着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲であることを特徴とする。
以下、各工程について詳細に説明する。
帯電工程は、帯電部材により、感光体ドラム1の表面を、プラス又はマイナスに一様に帯電する工程である。帯電部材での帯電方式としては、図1で示した帯電ロール5の他に、ファーブラシ、磁気ブラシ、及びブレード等で帯電させる接触帯電方式と、コロナ放電による非接触帯電方式とがあり、このような接触帯電方式又は非接触帯電方式に置き換えることも可能である。
露光工程は、図1に示すような露光装置としてのレーザー光照射装置7により、画像信号に対応した光を感光体ドラム1の表面に照射し、一様に帯電された感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する工程である。このようなレーザー光照射装置7は、例えばレーザー照射装置と光学系レンズとで構成される。露光装置としては、図1に示したもの以外に、LED照射装置がある。
現像工程は、露光工程により感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像に、現像装置21により、トナーを付着させて現像する工程であり、反転現像においては光照射部にのみトナーを付着させ、正規現像においては、光非照射部にのみトナーを付着させる。
図1に示す画像装置が備える現像装置21は、一成分接触現像方式に用いられる現像装置であり、トナー19が収容されるケーシング23内に、攪拌翼18と、現像ロール13と、供給ロール17とを有する。
攪拌翼18は、ケーシング23のトナー供給方向上流側に形成されたトナー槽23aに配置され、トナー19を攪拌することによってトナーの帯電を均一化させる。
現像ロール13は、感光体ドラム1に一部接触するように配置され、感光体ドラム1と反対方向Bに回転するようになっている。供給ロール17は、現像ロール13と接触して現像ロール13と同じ方向Cに回転し、トナー槽23aにおいてトナーの供給を受けて、該供給ロール17の外周にトナーを付着させ、現像ロール13の外周にトナー19を供給するようになっている。この他の現像方式としては、一成分非接触現像方式、二成分接触現像方式、二成分非接触現像方式がある。
現像ロール13の周囲において、供給ロール17との接触点から感光体ドラム1との接触点との間の位置には、トナー層厚規制部材としての現像ロール用ブレード15が配置されている。この現像ロール用ブレード15は、たとえば導電性ゴム弾性体または金属で構成されている。
転写工程は、現像装置21により形成された感光体ドラム1の表面のトナー像を、紙などの記録材11に転写する工程であり、通常、図1に示すような転写ロール9を用いて記録材11に転写が行なわれているが、その他にもベルト転写、コロナ転写等の方法がある。
通常は、続いてクリーニング工程が行われる。クリーニング工程は、感光体ドラム1の表面に残留したトナーをクリーニングする工程であり、図1に示す画像形成装置においては、クリーニングブレード25が使用される。クリーニングブレード25は、例えば、ポリウレタン、及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のゴム弾性体で構成される。
図1に示す画像形成装置では、感光体ドラム1は、帯電ロール5によりその表面が負極性に全面均一に帯電されたのち、レーザー光照射装置7により静電潜像が形成され、さらに、現像装置21によりトナー像が現像される。次いで、感光体ドラム1上のトナー像は転写ロール9により、紙などの記録材11に転写され、感光体ドラム1の表面に残留する転写残トナーは、クリ−ニングブレード25によりクリ−ニングされ、この後、次の画像形成サイクルに入る。
本発明の静電潜像現像用トナーを、図1に例示する画像形成装置で用いた際に、現像ロール13上に形成されたトナー層のトナー帯電量の絶対値は好ましくは20〜70μC/g、更に好ましくは20〜60μC/gである。現像ロール13上に形成されたトナー層のトナー帯電量は、現像ロール13上のトナー層を吸引式帯電量測定装置に吸引し、帯電量と吸引したトナー重量から単位重量当たりのトナーの帯電量を測定することにより求められる。
定着工程は、記録材11に転写されたトナー画像を定着させる工程であり、図1に示す画像形成装置においては、図示しない加熱手段により加熱された熱ロール27aと支持ロール27bの少なくとも一方を回転させて、これらの間に記録材11を通過させながら加熱加圧する。
図1に示す画像形成装置は、モノクロ用のものであるが、カラー画像を形成する複写機やプリンター等のカラー画像形成装置にも本発明のトナーを適用することが可能である。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
<試験方法>
本実施例において行った試験方法は以下の通りである。
(1)粒径
体積平均粒径(Dv)、粒径分布すなわち体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)、及び粒径が4μm以下の着色粒子の個数%は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名「マルチサイザー」)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
(2)トナーの平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更にトナー0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色粒子濃度を3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、1μm以上の円相当径の着色粒子1,000〜10,000個についてシメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記式に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)水抽出液のpH
トナー6gを、陽イオン交換処理と陰イオン交換処理によってpHが7となったイオン交換水100gに分散し、これを加熱して、煮沸させ、煮沸状態を10分間保持(10分間煮沸)し抽出液を得た。これと別に10分間煮沸しておいた陽イオン交換処理と陰イオン交換処理によってpHが7となったイオン交換水を前記の抽出液に追加して煮沸前の容量に戻し、室温(約25℃)に冷却し、pH計を用いてそのpHの測定を行ない、トナーの「水抽出液のpH」を求めた。
(4)仕事関数X(eV)
トナーの仕事関数Xを、光電子分光装置(理研計器製、型式名「AC−2」)で測定した。先ず、トナー約0.5gを測定用ホルダーに均一に広げて設置した。次に、UV光源としては500nWのD(重水素)光源を用い、単色化された入射光(スポットサイズ2〜4mm)のエネルギーを3.4(eV)〜6.2(eV)まで0.1(eV)ごとにスキャンしながら照射し、励起エネルギーに対する規格化電子収率を求めた。
前記測定より得られた測定値から、次の方法でトナーの仕事関数X、及び励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きAを決定した。まず、励起エネルギーが4.2〜5.2(eV)の範囲で、0.1(eV)おきの11点の規格化光電子収率から、平均値を求め、ベースラインとした。次に、規格化光電子収率の値が、ベースラインの値から、0.3(eV)の範囲(0.1(eV)おきの4点)で連続上昇となったとき、規格化光電子収率の値が上昇し始めた点における励起エネルギーの値より0.2(eV)大きい値から、6.2(eV)の範囲で一次直線を求め、その傾きを励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(1/eV)と決定した。さらに、上記の一次直線とベースラインとの交点における、励起エネルギーを仕事関数X(eV)と決定した。
(5)印字試験(N/N及びH/H環境下における印字濃度)
トナーを市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(18枚機)に入れて、温度23℃、湿度50%の(N/N)環境下で一昼夜放置した後、そのままの環境で5%印字濃度で初期から連続印字し、10枚印字時に黒ベタ(100%印字濃度)印字を行った。この10枚目の黒ベタ印字物のベタ印字部の上端、中央、下端それぞれの初期印字における反射濃度を、マクベス式反射型画像濃度測定機を用いて測定し、測定値の平均をN/N初期印字反射濃度とした。
同様に、トナーをプリンターに入れて、温度30℃、湿度80%の(H/H)環境下で20時間放置した後に、H/H初期印字反射濃度を測定した。
また、上記N/N初期印字反射濃度を測定した黒ベタ印字物のベタ印字部上端の印字反射濃度と、ベタ印字部下端の印字反射濃度を測定し、下記式によりN/N初期印字反射濃度低下率を算出した。
(計算式)
(印字反射濃度低下率)(%)
=[(ベタ印字部上端の印字反射濃度)−(ベタ印字部下端の印字反射濃度)]÷(ベタ印字部上端の印字反射濃度)×100
(6)印字試験(N/N及びH/H環境下における初期カブリ)
上記プリンターにトナーを入れ、N/N環境下で一昼夜放置した後、カブリを測定した。先ず、白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、途中で上記プリンターを停止させ、現像後の感光体上の非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム(株)製、スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色工業(株)製、商品名「SE−2000」)で色調を測定した。
リファレンス(基準サンプル)として、未使用の粘着テープをその印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定した。それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値を求めた。このカブリ値が小さいほどカブリが少なく、画質が良好であることを示す。
同様に、トナーをプリンターに入れて、温度30℃、湿度80%の(H/H)環境下で20時間放置した後に、カブリ測定した。
(7)ドット再現性
上記(5)で用いたプリンターを用いて、1by1(印字部と非印字部が1ドットごとに繰り返されるパターン)の画像を印刷し、顕微鏡により10×10ドット(計100ドット)を観察し、このうちドットが忠実に再現されているものの割合を求めた。
<帯電制御樹脂組成物の製造法>
(製造例1)
スチレン82部、アクリル酸ブチル11部、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7部を重合してなる帯電制御樹脂(重量平均分子量:20,000、ガラス転移温度:65℃)100部を、メチルエチルケトン24部、及びメタノール6部からなる混合溶剤に分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント社製)100部を徐々に添加して、1時間混練を行い、帯電制御樹脂組成物を製造した。この時、ロール間隔は、初期1mmであり、その後、徐々に間隔を広げ、有機溶剤(トルエン/メタノール=4/1混合溶剤)(配合量:3部)、及びグリシジルメタクリレート(GMA)3部を、帯電制御樹脂組成物の混練状態を見ながら何度かに分けて追加した。
(製造例2)
上記製造例1において混練中にGMA3部を追加したのに対して、GMA1.5部を追加したこと以外は製造例1と同様に操作を行い、帯電制御樹脂組成物を得た。
(製造例3)
上記製造例1において混練中にGMAを追加したのに対して、GMAを追加しなかったこと以外は製造例1と同様に操作を行い、帯電制御樹脂組成物を得た。
<実施例>
(実施例1)
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
スチレン80.5部、及びアクリル酸ブチル19.5部に製造例1で得られた帯電制御樹脂組成物10部を溶解又は分散させた後、t−ドデシルメルカプタン1.5部、ジビニルベンゼン0.4部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を入れ、攪拌、混合し、重合性単量体組成物を得た。
一方、メタクリル酸メチル(シェル用重合性単量体)2部、亜鉛フタロシアニン0.1部、及び水100部を混合し、超音波乳化機により微分散化処理を行い、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。該分散液の液滴の粒径は、粒径分布測定装置((株)島津製作所製、商品名「SALD2000A」)で測定したところ、D90が1.7μmであった。
上述のようにして得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液(コロイド量:4.0部)に、重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌を行った。液滴が安定した後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルO」)6部を添加し、次いで15,000rpmで回転するエバラマイルダー(荏原製作所(株)製、商品名「MDN303V」)を用いて剪断攪拌を行い、重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
この造粒した重合性単量体組成物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、90℃に昇温し、重合を行った。重合転化率がほぼ100%に達した時に、反応器内の反応物をサンプリングし、コア層となる粒子の粒径を測定したところ7.4μmであった。
前記シェル用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解した2,2'−アゾビス(2−メチル−N(ヒドロキシエチル))−プロピオンアミド(シェル用重合開始剤)(和光純薬工業(株)製、商品名「VA−086」)0.2部を上記反応器に入れた。さらに、90℃で重合反応を4時間継続した後、水冷して反応を停止し、pH9.5の着色粒子の水分散液を得た。
上述のようにして得られた着色粒子の水分散液を25℃で10分間攪拌を続けながら、pHを5以下になるように希硫酸を加え酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化して水洗浄を行った。次いで、再度、脱水及び水洗浄を数回繰り返して行い、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、乾燥した着色粒子を得た。
乾燥した着色粒子を取り出し、測定したところ、体積平均粒径(Dv)は7.45μmであった。
上述のようにして得られた着色粒子100部に、疎水化処理したシリカ(日本エアロジル(株)製、商品名「RX−200」)0.6部を添加し、高速撹拌機(商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、トナーを調製した。
得られたトナーの水抽出液のpHは6.2であった。トナーの特性及び画像等の評価を上述のようにして行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
上記実施例1において、重合性単量体組成物を調製するために製造例1で得られた帯電制御樹脂組成物10部を用いたのに対して、製造例2で得られた帯電制御樹脂組成物10部を用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(実施例3)
上記実施例1において、シェル用重合性単量体の水分散液を調製するために亜鉛フタロシアニン0.1部を用いたのに対して、亜鉛フタロシアニン0.2部を用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(実施例4)
上記実施例1において、重合性単量体組成物を調製するために製造例1で得られた帯電制御樹脂組成物10部を用い、シェル用重合性単量体の水分散液を調製するために亜鉛フタロシアニン0.1部を用いたのに対して、製造例2で得られた帯電制御樹脂組成物10部を用い、亜鉛フタロシアニン0.3部を用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(比較例1)
上記実施例1において、重合性単量体組成物を調製するために、スチレン80.5部、及びアクリル酸ブチル19.5部に製造例1で得られた帯電制御樹脂組成物10部を溶解又は分散させたのに対して、スチレン80.5部、及びアクリル酸ブチル18.25部、GMA0.25部に製造例3で得られた帯電制御樹脂組成物10部と、さらに製造例1で用いた帯電制御樹脂(すなわちスチレン82部、アクリル酸ブチル11部、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7部を重合してなる帯電制御樹脂)1部を溶解又は分散させたこと及び亜鉛フタロシアニンを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(比較例2)
上記比較例1において、重合性単量体組成物を調製するために、製造例1で用いた帯電制御樹脂1部を用い、着色粒子の酸洗浄を25℃で10分間行ったのに対して、製造例1で用いた帯電制御樹脂組成物0.6部を用い、酸洗浄を25℃で7.5分間行ったこと以外は比較例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(比較例3)
上記比較例1において、重合性単量体組成物を調製するために、製造例1で用いた帯電制御樹脂1部を用い、着色粒子の酸洗浄を25℃で10分間行ったのに対して、製造例1で用いた帯電制御樹脂0.8を用い、酸洗浄を25℃で5分間行ったこと以外は比較例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(比較例4)
上記比較例1において、重合性単量体組成物を調製するために、製造例3で得られた帯電制御樹脂組成物10部と、さらに製造例1で用いた帯電制御樹脂1部を用い、着色粒子の酸洗浄を25℃で10分間行ったのに対して、製造例3で得られた帯電制御樹脂組成物6部を用い、製造例1で用いた帯電制御樹脂0.4部を用い、酸洗浄を25℃で1分間行ったこと以外は比較例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
(比較例5)
上記比較例1において、重合性単量体組成物を調製するために、製造例3で得られた帯電制御樹脂組成物10部と、さらに製造例1で用いた帯電制御樹脂1を用い、着色粒子の酸洗浄を25℃で10分間行ったのに対して、製造例3で得られた帯電制御樹脂組成物15部を用い、製造例1で用いた帯電制御樹脂1.4を用い、酸洗浄を25℃で1分間行ったこと以外は比較例1と同様に操作を行い、トナーを得た。
<試験結果>
表1及び表2に試験結果を示す。表中の注釈は以下の通りである。
*1: 結着樹脂用及びシェル用重合性単量体の略記は、以下の通りである。
ST(スチレン)、BA(アクリル酸ブチル)、DVB(ジビニルベンゼン)、MMA(メタクリル酸メチル)
*2: Phr: コア層用結着樹脂100部に対する着色剤の重量比である。ただし、コア層用結着樹脂の重量には、架橋性の重合性単量体(架橋性単量体)、及び、マクロモノマータイプの重合性単量体を加算しない。
例えば、実施例1の場合には、結着樹脂に含まれる架橋性のDVB成分やシェル用単量体に含まれるMMAは除外して考え、STとBAの合計量を100部としてPhrを計算する。
尚、表2中の「測定不能」とは、帯電量が低すぎ、感光体上への現像もほとんどなされていない状態であったため測定しなかったことを意味する。
Figure 2006064796
Figure 2006064796
<結果のまとめ>
実施例1〜4で得られたトナーは、仕事関数X(eV)と規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲であり、トナーの平均円形度が、0.950〜0.995の範囲であり、トナーの水抽出液のpHが4〜8の範囲であった。これら実施例1〜4のトナーは、印字初期におけるドット再現性と反射濃度が高く、初期印字における反射濃度低下率が低く、印字初期におけるカブリが少なく、且つ、放置環境(N/N環境、H/H環境)によるトナー特性の変動が小さかった。
これに対して、比較例1〜3で得られたトナーは、仕事関数X(eV)は5.35<X<5.60の範囲内であったが、仕事関数X(eV)と規格化光電子収率の傾きAの関係式A−55X+290の数値が0未満であった。また、比較例2のトナーは、水抽出液のpHが4〜8の範囲ではあるが若干低めであった。これら比較例1〜3のトナーは、実施例のトナーと比べて印字初期におけるドット再現性と反射濃度が低く、初期印字における反射濃度低下率が高く、印字初期におけるカブリが特にH/H環境放置の結果で大きく、総合的に、初期印字濃度の不充分さが目立った。
また、比較例4で得られたトナーは仕事関数X(eV)が5.60を超えており、比較例5で得られたトナーは仕事関数X(eV)が5.35未満であった。また、これら比較例4〜5のトナーは、水抽出液のpHが4未満であり極めて低めかった。これら比較例4〜5のトナーは、実施例のトナーと比べてドット再現性が低く、印字初期におけるカブリが特にN/N環境放置の結果で大きく、総合的に、カブリのひどさが目立った。

Claims (6)

  1. 着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含む静電潜像現像用トナーにおいて、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲である静電潜像現像用トナー。
  2. 該着色剤がシアン着色剤である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 平均円形度が、0.950〜0.995である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 該静電潜像現像用トナーの水抽出液のpHが4〜8である、請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 該着色粒子が帯電制御剤を含み、該帯電制御剤が帯電制御樹脂である、請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 帯電部材により感光体ドラムを帯電させる帯電工程、該感光体ドラムに静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像を静電潜像現像用トナーにより現像する現像工程、現像された像を記録材上へ転写する転写工程、及び、転写された像を記録材上へ定着させる定着工程を含む画像形成方法において、該静電潜像現像用トナーが、着色剤及び結着樹脂を含有する着色粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、仕事関数測定における該トナーの仕事関数X(eV)と、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きA(規格化光電子収率/励起エネルギー)(1/eV)が、5.35<X<5.60、且つ、A−55X+290>0、の範囲であることを特徴とする画像形成方法。
JP2006548852A 2004-12-17 2005-12-13 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 Withdrawn JPWO2006064796A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004366881 2004-12-17
JP2004366881 2004-12-17
PCT/JP2005/022866 WO2006064796A1 (ja) 2004-12-17 2005-12-13 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2006064796A1 true JPWO2006064796A1 (ja) 2008-06-12

Family

ID=36587851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006548852A Withdrawn JPWO2006064796A1 (ja) 2004-12-17 2005-12-13 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20080160434A1 (ja)
JP (1) JPWO2006064796A1 (ja)
CN (1) CN101080676A (ja)
WO (1) WO2006064796A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009116313A (ja) * 2007-10-18 2009-05-28 Ricoh Co Ltd トナー、並びに現像剤、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
US9429864B1 (en) * 2015-03-26 2016-08-30 Fuji Xerox Co., Ltd. Charging member, process cartridge, and image forming apparatus

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59170851A (ja) * 1983-03-17 1984-09-27 Canon Inc カプセルトナ−
JP2757725B2 (ja) * 1992-12-21 1998-05-25 富士ゼロックス株式会社 カプセルトナー及びその製造方法
EP1271251A1 (en) * 2001-06-22 2003-01-02 Seiko Epson Corporation Image forming apparatus
JP3981919B2 (ja) * 2002-08-30 2007-09-26 セイコーエプソン株式会社 トナーおよびそれを用いた画像形成装置
JP4269252B2 (ja) * 2002-12-26 2009-05-27 セイコーエプソン株式会社 画像形成装置
JP2004233696A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Seiko Epson Corp 画像形成装置
JP4203901B2 (ja) * 2003-03-26 2009-01-07 日本ゼオン株式会社 トナー
JP4134789B2 (ja) * 2003-03-31 2008-08-20 日本ゼオン株式会社 トナー及びトナーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN101080676A (zh) 2007-11-28
US20080160434A1 (en) 2008-07-03
WO2006064796A1 (ja) 2006-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2006070870A1 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2008058620A (ja) 非磁性一成分静電荷像現像用トナーの製造方法
US20180224762A1 (en) Toner set
JP2007121946A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2012008552A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4023305B2 (ja) トナー
JP2006276293A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4506669B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JPWO2005081639A1 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2014130202A (ja) 静電荷像現像用トナー
US7462435B2 (en) Method of producing polymerized toner
JP2007121882A (ja) 静電荷像現像用非磁性トナー
JP2007094167A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4506667B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JPWO2006070871A1 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2006243064A (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
US20070009824A1 (en) Electrostatic charge image developing toner
JPWO2006064796A1 (ja) 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法
JP4867499B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JPWO2005083527A1 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2004177747A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2005227524A (ja) トナー及び画像形成方法
JP2007322687A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP4393364B2 (ja) トナー
JP2006215411A (ja) 静電荷像現像用トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080811

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090423