JP2007322687A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、小粒径微粒子の副生を抑制し、生産効率が良く、且つ印字性能に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び該懸濁液を重合開始剤の存在下で重合を行って着色樹脂粒子を得る重合工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該重合工程前の該懸濁液の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)の製造方法に関し、更に詳細には、生産効率が良く、且つ印字性能に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真法とは、感光体に形成された静電潜像を、着色樹脂粒子に必要に応じて外添剤等を配合してなるトナーで現像し、紙やOHPシート等の記録媒体に該トナーを転写した後に、転写されたトナーを記録媒体に定着して印刷物を得る方法である。
近年、電子写真法を用いた、複合機、ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化のニーズが高まってきている。カラー印刷では、写真のように高解像度且つ鮮明な色調の再現が求められる画像の印刷も行うことから、それに対応し得るカラートナーが求められている。また、このようなトナーに対しては、温度や湿度などの環境の変化による画質劣化防止の観点からの環境安定性や、印刷コストの低減の観点からの印字耐久性、消費電力低減の観点からの低温定着性等、様々な印字性能が要求されている。
上記要求に応えるためには、良好な転写性とドット再現性を両立できることから、小粒径で球形のトナーが適しており、その製造方法として、重合法が提案されている。従来の粉砕法では、特に小粒径のトナーを製造する場合、収率が低く、粉砕に多くのエネルギーを消費するのに対し、重合法では、収率が高く、粉砕工程が不要なことから消費エネルギーも低く、さらに、球形のトナーを容易に製造することができる。
重合法によるトナー(以下、「重合トナー」という。)の製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等がある。懸濁重合法では、まず、重合性単量体、着色剤、及び必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけることにより、重合性単量体組成物の液滴形成を行なう。その後、液滴形成された重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を重合開始剤の存在下に重合し、濾過材による濾過、洗浄、乾燥を経て、着色樹脂粒子を得る。さらに、この着色樹脂粒子に無機微粒子等の外添剤を混合し、重合トナーとしている。
このように、重合法によって着色樹脂粒子を得る場合には、従来の粉砕法に比べ、粒子を形成する段階(重合法では液滴形成及び重合を行なう段階、一方、粉砕法では粉砕を行なう段階)で、小粒径で球形の着色樹脂粒子を形成でき、さらに粒径分布をよりシャープに調節できる大きな利点を有している。
しかしながら、近年、高解像度、高画質に対する要求水準のさらなる高まりに伴い、重合トナーであっても、解決しなければならない問題点が指摘されている。
上記問題点としては、着色樹脂粒子の重合工程において、目的とする着色樹脂粒子の他に、不要な微小粒径を有する粒子が副生することにより、トナーの生産効率及び印字性能に影響を及ぼすことが指摘されている。
微小な副生粒子としては、主に、粒径が0.6μm未満のいわゆるサブミクロンオーダーで且つ着色剤を殆ど含有していない微小粒子(以下、「微小樹脂粒子」という。)と、粒径が0.6〜5μm程度の着色樹脂粒子(以下、「小粒径着色樹脂粒子」という。)とがある。この両者は、生成過程が異なると推測されるが、小粒径ゆえに特別な問題を引き起こす(以下、両者を併せて「小粒径微粒子」という。)。
このような小粒径微粒子が副生すると、得られた着色樹脂粒子を水系分散媒体から濾過する際に、遊離した小粒径微粒子の一部が濾過材に目詰まりし、濾過速度を低下させることにより、トナーの生産効率を低下させる原因となる。
さらに、小粒径微粒子を多量に含む重合トナーを印刷に用いると、小粒径微粒子は粒径が非常に小さいことに起因し付着力が大きいために、現像機内の部材に付着・蓄積し易くなり、現像機内の部材にフィルミング(固着)が生じ、その結果として印刷物に白筋を発生させる等、トナーの印字性能を低下させる原因となる。
重合法によれば、例えば、体積平均粒径が5〜10μm程度の小粒径の着色樹脂粒子を容易に製造することができる。しかしながら、目的とする粒径範囲が小粒径側にシフトする程、上述したような小粒径微粒子の粒径に近づくため、必要な粒径の着色樹脂粒子と不要な小粒径微粒子の分離が困難になる。
このため、小粒径微粒子の副生を抑制し、生産効率が良く、且つ印字性能に優れたトナーの製造方法の開発が望まれている。
以上のような様々な要求に応えるため、小粒径微粒子の副生を抑制するための方法として様々な検討が行なわれている。
例えば、特許文献1では、重合性単量体としてラジカル重合性単量体、着色剤、及びその他の添加物として該ラジカル重合性単量体に可溶で且つアルカリ性の水系媒体に可溶なラジカル重合禁止剤を含有する、重合性単量体組成物を、アルカリ性の水系媒体中で懸濁させた後、懸濁重合することを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、少なくとも樹脂微粒子と着色剤粒子を水系媒体中で融着して着色粒子を生成させ、該着色粒子を水系媒体より濾別する際、スクリューコンベアを有するデカンタ型遠心分離機を用いて機械せん断力をかけて濾別を行うことを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。
また、特許文献3では、ビニル系単量体、着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水性媒体中に懸濁又は乳化させ、重合開始剤として特定のアゾ化合物を用い、重合禁止剤としてハイドロキノン系化合物を用いることを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3で開示されているトナーの製造方法では、小粒径微粒子の副生が抑制されたとしても、上述したような、近年の高解像度、高画質に対する要求水準を満たすトナーを、効率良く製造することはできない。
特開平5−100484号公報 特開2003−131426号公報 特開2004−302239号公報
本発明の目的は、懸濁重合法によりトナーを製造する際に、小粒径微粒子の副生を抑制し、生産効率が良く、且つ印字性能に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液について、粘弾性測定を行い、該懸濁液のずり応力τに対する貯蔵弾性率G’が特定の範囲であるとき、液滴の適度な分散性が得られ、過度に微細化された液滴が非常に少ないため、その後の重合工程において小粒径微粒子の副生が抑えられることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明によれば、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び該懸濁液を重合開始剤の存在下で重合を行って着色樹脂粒子を得る重合工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
該重合工程前の該懸濁液の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paであることを特徴とする静電荷像現像用トナーが提供される。
上記本発明の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)とずり応力τが0.01Paのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比(G’(0.1)/G’(0.01))が0.1〜1の範囲にあるときに、過度に微細化された液滴がさらに少ないため、特に好ましい。
上記本発明の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜100Paであることがより好ましい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、生産効率が良く、且つ印字性能に優れた静電荷像現像用トナーを製造することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び該懸濁液を重合開始剤の存在下で重合を行って着色樹脂粒子を得る重合工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
該重合工程前の該懸濁液の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paであることを特徴とするものである。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について、各手順を順次説明する。
(1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じて帯電制御剤やその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物を調製する。重合性単量体組成物を調製する際の混合は、例えば、メディア式分散機を用いて行うことができる。
本発明で重合性単量体とは、重合可能な化合物をいう。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
ホットオフセット改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の、ポリアルコールの不飽和ポリカルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。また、マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
上記マクロモノマーは、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部の割合で用いられる。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。これらの着色剤は、着色剤の表面が疎水化処理されていると、重合性単量体への分散が高く、着色剤が分散した重合性単量体組成物の粘度が低くなるので好ましい。疎水化処理剤としては、通常用いられている、シランカップリング剤やシリコーンオイル等を用いることができる。
本発明において、ブラックの着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並び
に酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアンの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられ、重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigment Blue15、15:1、15:2、15:3、15:4、及び17:1等の銅フタロシアンニン化合物が好ましく、C.I.Pigment Blue15:3がさらに好ましい。
イエローの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、112、114、146、150、163、170、185、187、206、及び207等のモノアゾ顔料が同様に好ましい。
それぞれの着色剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム基又は4級アンモニウム塩の基含有共重合体、スルホン酸基又は4級スルホン酸塩の基含有共重合体、及びカルボキシル基又はカルボン酸塩の基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。中でも、トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤として、帯電制御樹脂を用いることが好ましい。帯電制御剤は、樹脂でない帯電制御剤と、帯電制御樹脂を併用しても良いし、帯電制御樹脂を単独で用いても良い。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム基若しくは4級アンモニウム塩の基含有共重合体、又はスルホン酸基若しくはスルホン酸塩の基含有共重合体を用いることが、さらに、好ましい。
上記帯電制御剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いられる。
その他の添加物として、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。
上記分子量調整剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
更に、その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。
離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に限定されない。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等の低分子量ポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールエステル等のエステル化合物;等が挙げられる。
上記離型剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部用いられ、更に好ましくは1〜20重量部用いられる。
(2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、以上のようにして得られる重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明において用いられる水系分散媒体は、水単独でもよいが、水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。水に溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。
本発明において、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させる。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;等の金属のイオン価が二価の無機化合物、水酸化アルミニウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属のイオン価が三価の無機化合物が挙げられ、これらの無機化合物は、酸又はアルカリに溶解するが難水溶性である無機化合物が挙げられる。また、その他、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機高分子化合物も挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、難水溶性無機化合物は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないので好ましい。
また、二価の難水溶性無機化合物と三価の難水溶性無機化合物を併用することが、液滴を安定化させる効果が高いので好ましい。二価の難水溶性無機化合物の中でも、水酸化マグネシウムとリン酸カルシウムが好ましく、三価の難水溶性無機化合物では、水酸化アルミニウムが好ましい。
上記した難水溶性無機化合物は、その化合物を水系分散媒体中に添加して用いることもできるが、水溶性の多価金属塩を水系分散媒体中に溶解させたものと、水溶性の一価金属化合物を水系分散媒体中に溶解させたものとを混合することにより、コロイドとして得られたものを用いることが分散安定化剤を効率よく使用することができるので好ましい。また、この難水溶性無機化合物のコロイドは、多価金属塩と一価金属化合物のうち、いずれか一方の水溶液と、他方の固形物とを接触させて、調製することもできる。
上記多価金属塩としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、スズ等とのハロゲン化塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、及びカルシウムの塩が好ましい。具体的には、マグネシウムの塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム;アルミニウムの塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム;カルシウムの塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム;及びこれらの水和物等が挙げられる。
一方、上記一価金属化合物としては、リン酸イオン、リン酸水素イオン、炭酸イオン、及び水酸化物イオンから選ばれる陰イオンと、一価金属との、塩又は水酸化物である。
上記一価金属化合物の一価金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムからなる群より選ばれる1種以上の一価金属であることが好ましい。上記一価金属化合物は、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等の水酸化物;リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、及びリン酸カリウム等のリン酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウム等の炭酸塩;等が挙げられ、これらの中でも、水酸化物が好ましい。
上記一価金属化合物は、1種を単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明では、好ましく用いられる二価の難水溶性無機化合物(金属化合物)と三価の難水溶性無機化合物(金属化合物)との併用において、先に二価の難水溶性無機化合物を調製した後に、三価の難水溶性無機化合物を調製することが重合性単量体組成物の分散安定化の効果が高く、小粒径微粒子の副生を抑制できるので好ましい。具体的には、塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を混合して、アルカリ性の二価の難水溶性水酸化マグネシウムコロイドが分散した水系分散媒体を調製した後に、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム及び酢酸アルミニウム等のアルミニウム化合物を添加して、水酸化アルミニウムコロイドを調製する。このとき、塩化アルミニウム等の酸性化合物を使用した場合、水系分散媒体のpHが低下し、コロイドの安定性が低下することがあるので、アルカリ性化合物を添加して、pHを元に戻すことが好ましい。
上記分散安定化剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部用いられる。また、分散安定化剤は、水系分散媒体100部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部用いることが好ましい。
また、好ましく用いられる二価の難水溶性無機化合物と三価の難水溶性無機化合物との併用においては、二価の難水溶性無機化合物中の二価の金属原子と三価の難水溶性無機化合物中の三価の金属原子との割合(三価の金属原子量/二価の金属原子量)が0.005〜0.05であると好ましく、0.01〜0.03であると更に好ましい。
懸濁重合法によりトナーを製造する場合、着色樹脂粒子の粒径は、懸濁工程の懸濁液の液滴径で概ね決まるため、懸濁工程での液滴の粒径調節は重要である。
本発明においては、懸濁工程により得られた、重合工程に用いる前の懸濁液について、粘弾性試験を行なったときに、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paとなり、好ましくは5〜100Paとなるように懸濁液を調製する。懸濁液が上記特定の粘弾性特性を有する場合には、懸濁液中の液滴は適度な分散性を有しており、過度に微細化された液滴が非常に少ないため、その後の重合工程における小粒径微粒子の副生が少なくなる。
これに対し、懸濁液の貯蔵弾性率G’(0.1)が上記範囲よりも小さい場合には、小粒径微粒子の副生が多くなり、濾過工程でフィルターの目詰まりが発生し、生産性が低下する。
逆に、該貯蔵弾性率G’(0.1)が上記範囲よりも大きい場合には、重合性単量体組成物の液滴形成が困難になり、所望とするトナー粒径を得られなくなる。
また、懸濁液の粘弾性特性が、貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paであるとともに、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)とずり応力τが0.01Paのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比(G’(0.1)/G’(0.01))が0.1〜1倍、好ましくは0.3〜0.95倍、更に好ましくは0.4〜0.9倍である場合には、過度に微細化された液滴がさらに少ないため、懸濁液が上記粘弾性特性となるように調整することが特に好ましい。
本発明における粘弾性測定には、各社から市販されている粘弾性測定装置を用いることができる。粘弾性測定装置としては、例えば、ハーケ(Haake)社の回転式レオメーターである商品名:レオストレス600(RheoStress600)が挙げられる。
測定方法としては、図1に示すように、治具に測定試料を装着した後に、25℃の温度まで加温し、恒温状態とした後、周波数一定で、ずり応力τを0.01〜10Paまで変化させて、加えたずり応力τに対する貯蔵弾性率G’を測定する。なお、図示した例では、治具として円錐円盤(コーン&プレート)(図2)を用いたが、二重円筒(コレット、ボブシリンダー)(図3)、平行円盤(プレート&プレート)(図4)等の各種の治具を試料に応じて適宜用いることができる。
測定試料にずり応力τを加えていくと、図5に示すように、初期の段階では貯蔵弾性率G’は一定の値を示すが、さらに試料にずり応力τを加えていくと、ずり応力τが測定試料に特有のある値に達した段階から、貯蔵弾性率G’は徐々に低下していく。
懸濁液の粘弾性特性は、重合性単量体組成物の原材料、又は懸濁工程での処理剤を適宜選択することによって本発明で特定した範囲に調節することができる。例えば、着色剤の種類、着色剤の表面処理の有無、2種類以上の着色剤の組み合わせ、分散安定化剤の種類などによる調節が可能である。
(3)重合工程
懸濁工程(液滴形成工程)で得られた、重合性単量体組成物の液滴を含有する懸濁液を、重合開始剤の存在下において、加熱し、重合を開始する。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類が挙げられる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、耐久も良いことから、過酸化物類を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散される前に、重合性単量体組成物へ添加されても良く、前記のように分散された後、液滴形成前に添加されても良い。均一な反応を行う観点から液滴形成前の段階で添加することが好ましい。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
重合性単量体組成物の重合により得られる着色樹脂粒子は、そのままで及び外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものが使用できる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。
重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(4)濾過、洗浄、脱水、乾燥
重合により得られた、着色樹脂粒子の水系分散媒体は、重合終了後に、常法に従い、濾過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
重合により得られた着色樹脂粒子の水系分散媒体は、使用した分散安定化剤が酸に可溶な難水溶性無機化合物である場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸の添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去する。一方で、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な難水溶性無機化合物である場合は、酸の代わりにアルカリを使用する。
脱水、濾過の方法は、種々の公知の方法などを用いることが出来、特に限定されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることが出来る。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。これらのうち、遠心濾過法が好適である。濾過脱水装置としては、ピーラーセントリフュージ、サイホンピーラーセントリフュージ等を挙げることができる。
以上の工程を経て得られた着色樹脂粒子について述べる(以下の着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む)。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが好ましくは4〜10μmであり、更に好ましくは5〜8μmである。Dvがこれらの範囲未満であると重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、カスレが発生したり、印字濃度が低下する場合があり、これらの範囲を超えると得られる画像の解像度が低下する場合がある。
また、粒径が5μm以下の個数%は30%以下、更に25%以下であることが好ましい。5μm以下の小粒径の着色樹脂粒子の個数%が上記範囲よりも大きいと、得られるトナーの流動性が低下したり、転写性が悪化して、その結果、印字物にカスレが発生或いは印字濃度が低下し易くなる。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子は、その体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、カスレが発生したり、転写性、印字濃度及び解像度の低下が起こったりする場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。
静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子の平均円形度は0.970〜0.995であると好ましく、0.975〜0.995であることが更に好ましい。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.4μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2007322687
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」又は「FPIA−3000」を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度が上記範囲を超える場合、着色樹脂粒子がクリーニングブレードと感光体の間をすり抜け易くなり、感光体上でのフィルミングや、印字のカブリ等のクリーニング不良が発生し易い。また、上記範囲未満の場合、印字の細線再現性が悪くなる恐れがある。
本発明においては、着色樹脂粒子をそのまま静電荷像現像用トナーとして電子写真の現像に用いることもできるが、重合トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて着色樹脂粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を混合し一成分トナーとすることができる。また、着色樹脂粒子、外添剤及び必要に応じてその他の粒子を加えて、さらに、公知となっている種々の方法により、フェライト、鉄粉等のキャリア粒子を混合し、二成分トナーとすることもできる。
外添剤は、トナーの流動性や帯電性を向上させる目的で使用される。本発明の製造方法で得られるトナーでは、従来より、トナーの外添剤として用いられている無機粒子や有機樹脂粒子等を、限定されることなく使用することができる。
外添剤の添加量は、特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
上記各工程を経て得られる本発明の静電荷像現像用トナーは、懸濁重合を実施する際に、小粒径微粒子の副生を少なくすることができるので、トナーの製造段階では濾過工程での濾過材の目詰まりが防止され生産効率が向上し、印字段階では現像機内でのフィルミング発生が防止され印字性能が向上する。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)粘弾性特性の測定
懸濁工程後の懸濁液について、粘弾性測定装置であるレオメーター(ハーケ社製、商品名:レオストレス600)を用いて、ずり応力τを0.01〜10Paまで変化させて、貯蔵弾性率G’を下記の条件で測定した。
<測定条件>
測定モード:線形粘弾性域、ストレス制御モード(CSモード)
測定温度:25℃
周波数:1Hz
治具:ソルベントトラップ、コーン&プレートセンサー
(2)小粒径微粒子(濾液の透過率)の測定
重合工程後の着色樹脂粒子を含む水系分散液100gに、ノニオン性界面活性剤(花王社製、商品名:エマルゲン123P)の10%水溶液を1.0g添加した後、硫酸で水系分散液のpHを6以下にして分散安定化剤である無機化合物を溶解させた。次いで、その溶解液を市販の遠心分離機を用いて、遠心力1500Gで5分間処理した。得られた分離液の上澄み液をセル(光路幅:10mm)に入れ、分光光度計(日立製作所社製、商品名:スペクトフォトメーターU−1100)を用い、500nmの波長で光線透過率を測定し、イオン交換水の光線透過率を100%としたときの相対透過率を求めた。
(3)トナーの平均円形度、体積平均粒径及び粒径5μm以下の個数%の測定
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更にトナー0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−1000)を用いて測定した。測定値から平均円形度、体積平均粒径及び粒径5μm以下の個数%を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(実施例1)
モノビニル単量体としてスチレン70部及びアクリル酸ブチル20部、シアン着色剤C.I.Pigment Blue15:3(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)5部を入れ、攪拌して、重合性単量体混合物を調製した。
この重合性単量体混合物を、予備分散機として、インライン型乳化分散機(荏原製作所製、商品名:マイルダー)を用いて、予備分散を行なった後、さらにメディア式分散機に供給して分散を行った。
次に、シアン着色剤が微細に分散している重合性単量体混合物95部に、モノビニル単量体としてスチレン10部、負帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:S748N(スルホン酸官能基2%品))3部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学社製、商品名:AA6)0.5部、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート8部、分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン1.5部、及び架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加し、攪拌溶解して重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水263部に塩化マグネシウム8.3部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.7部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に塩化アルミニウム6水和物の10%水溶液を3部加え、約1時間攪拌後、35℃雰囲気下で14時間熟成して、二価と三価の難水溶性無機化合物を含有するコロイドが分散した水系分散媒体を調製した。
上記により得られた水系分散媒体に、上記重合性単量体組成物を投入、撹拌後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部をさらに投入し、インライン型乳化分散機(荏原製作所製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間、高剪断攪拌して、重合性単量体組成物の液滴を形成した。なお、得られた重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液の一部は、粘弾性特性の測定に用いた。
上記により得られた懸濁液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、昇温を開始した。反応温度が50℃に到達したときに炭酸水素ナトリウムの5%水溶液を20部添加した。この時の重合転化率は約5%であった。温度が90℃で一定となるように制御して重合反応を継続させた。重合転化率がほぼ100%に達した後、温度はそのままにして、シェル用重合性単量体であるメチルメタアクリレート1部と、イオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業製、商品名:VA−086)0.1部を添加し、90℃で3時間反応を継続した後、反応を停止し、コアシェル構造を有する着色樹脂粒子の水系分散液を得た。水系分散液のpHは、9.5であった。なお、得られた着色樹脂粒子の水系分散液の一部は、小粒径微粒子(濾液の透過率)の測定に用いた。
上記により得られた着色樹脂粒子の水系分散液を、攪拌しながら、硫酸を添加しpHを6以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を3回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて40℃で2昼夜乾燥を行い、実施例1の着色樹脂粒子(トナー)を作製した。
(実施例2)
実施例1において、シアン着色剤C.I.Pigment Blue15:3(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)を、着色剤の表面が疎水化処理されているイエロー着色剤C.I.Pigment Yellow74(山陽色素社製、商品名:7415)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の着色樹脂粒子(トナー)を作製した。
(実施例3)
実施例1において、シアン着色剤C.I.Pigment Blue15:3(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)を、着色剤の表面が疎水化未処理のイエロー着色剤C.I.Pigment Yellow74(山陽色素社製、商品名:7413)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の着色樹脂粒子(トナー)を作製した。
(実施例4)
実施例1において、シアン着色剤C.I.Pigment Blue15:3(大日本インキ社製、商品名:FASTOGEN BLUE GCTF)を、C.I.Pigment Red31とC.I.Pigment Red150が混合されたマゼンタ着色剤(富士色素社製、商品名:528−1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の着色樹脂粒子(トナー)を作製した。
(比較例1)
実施例1において、分散安定化剤のコロイドを調製するときに塩化アルミニウム水溶液を添加しなかったこと、及び反応器内に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の着色樹脂粒子(トナー)を作製した。
(結果)
各実施例及び比較例で得られた懸濁液の粘弾性特性の結果、及び得られた着色樹脂粒子の特性の結果を表1に示す。
Figure 2007322687
(結果のまとめ)
表1から、比較例1の着色樹脂粒子(トナー)では、白濁のため濾液の透過率が1%と低く、小粒径微粒子の副生が多いことが分かった。これに対して、実施例1〜4の着色樹脂粒子(トナー)は、濾液の透過率が38〜60%と高く、小粒径微粒子の副生が少ないことが分かった。
回転式レオメーターの概略断面図である。 円錐円盤(コーン&プレート)の概略断面図である。 二重円筒(コレット、ボブシリンダー)の概略断面図である。 平行円盤(プレート&プレート)の概略断面図である。 実施例1及び比較例1の重合工程前の懸濁液のずり応力τと貯蔵弾性率G’との関係を示す図である。
符号の説明
1 回転軸
2 円錐円盤(コーン&プレート)
3 試料を収容する円筒形容器
4 装置本体

Claims (5)

  1. 少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び該懸濁液を重合開始剤の存在下で重合を行って着色樹脂粒子を得る重合工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    該重合工程前の該懸濁液の粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が1〜200Paであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)とずり応力τが0.01Paのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比(G’(0.1)/G’(0.01))が0.1〜1であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記粘弾性測定において、ずり応力τが0.1Paのときの貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜100Paであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記分散安定化剤が、金属のイオン価が二価及び三価の難水溶性無機化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記三価の難溶性無機化合物が、アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017122879A (ja) * 2016-01-08 2017-07-13 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法
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