JP4352981B2 - 重合法トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法による、複写機、ファクシミリ及びプリンター等の現像に用いられる重合法トナー及びその製造方法に関するものである。
一般に、電子写真法では、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において、先ず、感光体上に静電潜像が形成される。次いで、現像ロール上のトナーにより、静電潜像が現像されトナー像を形成し、形成されたトナー像は、必要に応じて紙等種々の転写材上に転写される。転写されたトナー像は、加熱、加圧、又は溶剤蒸気などの方式により定着され、印刷画像が形成される。加圧又は溶剤蒸気による定着方式は、定着強度の問題、又は溶剤の放出による環境面の問題がある。そのため、加熱による定着方式が最も広く用いられており、その中でも、熱ロール定着が一般的である。
トナーには以下のような各種の特性が要求されている。
まず、電子写真方式の複写機、プリンター等においては、消費電力低減とともに高速印刷が要求されている。電子写真方式の中で、特に消費エネルギーの多い工程は、紙などの転写材上に転写されたトナーを定着する工程、いわゆる定着工程である。一般に、定着のために150℃以上の熱ロールが使用され、この熱ロール温度を下げることで定着工程のエネルギー消費を低減できる。また、高速印刷に対応するには、紙などの転写材が定着ロールを通過する時間が短くなるため、定着温度を上げる必要がある。しかしそのことはエネルギー消費を大きくさせてしまう問題がある。消費電力低減と高速印刷の要求の両立をはかるため、トナーの定着温度を下げることが不可欠になってきている。
その他に、要求されているトナーの特性としては、様々な環境下(高温高湿環境下及び低温低湿環境下)でも画像特性が安定していること(環境安定性)、印刷枚数を重ねても画像が劣化しないこと(印字耐久性)などの特性があげられる。
従来、トナーとしては、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤等と熱可塑性樹脂を溶融混練して均一に分散した後、微粉砕装置により微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機によって分級することにより製造される粉砕法トナーが主として用いられてきた。
しかし、粉砕法トナーは、樹脂中に分散した離型剤や帯電制御剤等がトナー粒子表面に露出する。そのため、現像機内の部材にフィルミングを起こし画像劣化する問題、高温の熱ロール表面に溶融したトナーが付着(ホットオフセット)しやすくなる問題、及び保存性や環境安定性が低下するという問題があった。またトナー形状が不定形であり、帯電量が不均一となり、画像再現性が低下するという問題があった。
これらの問題に対して、最近になって、懸濁重合法をはじめ、各種重合法によるトナーの製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法によるトナーの製造方法では、重合性モノマー、及び着色剤、並びに必要に応じて、架橋剤、帯電制御剤、及びその他の添加剤を、均一に溶解又は分散せしめて重合性組成物とした後、その重合性組成物を水分散状態にし、重合反応を行わせ所望の粒径を有する重合法トナーが得られる。重合法によるトナーの製造方法により、球形度が高く、粒度分布が比較的狭く、粒子内部に離型剤、着色剤や帯電制御剤が内包されている着色重合体粒子を得ることができる。この重合法トナーは、従来の粉砕法トナーに比べて、帯電量が均一で、転写性にも優れているという利点がある。
粉砕法トナー及び重合法トナーのいずれにおいても、高速印刷と消費エネルギー低減を実現するために、定着温度を低くする試みが各種提案されている。例えば、トナー中に可塑剤を添加する方法があげられる。特許文献1(実施例)には、樹脂中にDBP(フタル酸ジブチル)やDOP(フタル酸ジオクチル)などの低分子可塑剤を1〜40重量%含有させたトナーが開示されている。しかし、この公報記載の方法では、高温高湿環境でトナー表面への可塑剤の移行が起こり、現像機内の部材が汚染されるため、画像劣化や印字耐久性が大幅に悪化する問題があった。
また、特許文献2では、エポキシステアリン酸エステル、及びトリメリット酸エステルの低分子可塑剤のほかに、ポリエステル系及び大豆油や綿実油を変性したエポキシ化油脂系等の高分子可塑剤を、1〜20重量部含有させたトナーが提案され、粉砕法トナーで実施した例が開示されている。しかし、この粉砕法トナーでの方法は、これらの高分子可塑剤では、高温高湿環境(HH環境)での画像劣化や印字耐久性はやや改善するものの不十分な方法であり、それら問題の更なる改善が求められていた。
特開平5−107799号公報 特開2000−137346号公報
本発明の課題は、前記従来技術における諸問題を解決し、低温定着性、環境安定性、及び印字耐久性に優れ、画像再現性がよい重合法トナーを提供することである。
本発明者らは、検討の結果、重合法トナーに、従来公報記載の低分子可塑剤の、DOP、及びDBP、高分子可塑剤のポリエステルを用いると、重合の際に、水存在下で加熱する工程があることから加水分解し易く、このことにより、得られた重合法トナーでは、可塑剤と結着樹脂との相溶性をいっそう低下し、可塑剤がトナー表面に移行しやすく、低温定着性の悪化及び高温高湿下の画像劣化が非常に顕著になることを見出した。本発明者らは、この知見に基づき、さらに鋭意、検討を重ねた結果、重合性モノマー、及び着色剤、さらに可塑剤として、Tgが0℃以下である液状アクリルポリマーを使用することで、上記目的を達成し得ることを見出した。
かくして、本発明によれば、重合性モノマー、着色剤、及びガラス転移温度Tgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を、水分散状態または乳化状態で重合することにより得られる重合法トナーであって、該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸エステルとの混合物であり、該液状アクリルポリマーがアクリル酸アルキルエステルまたはその誘導体の重合体であることを特徴とする重合法トナーが提案される。ここで、好ましくは、該液状アクリルポリマーの重量平均分子量が1,000〜10,000の範囲であり、該液状アクリルポリマーの添加量が、重合性モノマー100重量部に対して0.1〜2重量部である。また、該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸ブチルとの混合物であり、該液状アクリルポリマーがアクリル酸エチル及び/またはアクリル酸ブチルの重合体であることが好ましい。
さらに、本発明によれば、重合性モノマー、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を、水分散状態または乳化状態で重合することにより重合法トナーを製造する方法であって、該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸エステルとの混合物であり、該液状アクリルポリマーがアクリル酸アルキルエステルまたはその誘導体の重合体である、重合法トナーを製造する方法が提案される。
低温定着性に優れ、様々な温度、湿度の環境下においても安定した印字が得られ、印字枚数を重ねても画像劣化が起こりにくい重合法トナーが提供される。
以下、本発明の重合法トナーについて説明する。
本発明の重合法トナーは、重合性モノマー、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を水分散状態または乳化状態で重合して得られる着色重合体粒子;この着色重合体粒子をコア層とし、さらにシェルモノマーをその周りに重合させてシェル層を形成させる、コアシェル型の着色重合体粒子;及びこれらいずれかの着色重合体粒子に、外添剤として微粒子を混合し、付着又は埋没させた着色重合体粒子のいずれでもよい。ここで、重合性組成物とは、重合性モノマーに、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマー並びに必要に応じて、帯電制御剤、離型剤、及びその他の添加剤を、溶解あるいは分散させた混合物のことをいう。
本発明の着色重合体粒子は、重合性モノマー、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を、水分散状態や乳化状態で重合して得られる。特に懸濁重合法を用いることが好ましい。
懸濁重合法により着色重合体粒子を製造する方法について詳細に説明する。本発明の重合法トナーを構成する着色重合体粒子は、重合性モノマーに、着色剤、及びガラス転移温度Tgが0℃以下の液状アクリルポリマー、並びに必要に応じて、帯電制御剤、離型剤、及びその他の添加剤を、溶解あるいは分散させ、分散安定化剤を含有する水系分散媒中で重合開始剤を添加して重合し、濾過、洗浄、脱水及び乾燥することにより製造することができる。
本発明で重合性モノマーは、重合可能な化合物をいう。
本発明で用いられる重合性モノマーとしては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸の誘導体、及びメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、及びメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物が挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、重合性モノマーとして、スチレン、スチレン誘導体、又はアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
重合性モノマーは、それを重合して得られる、ポリマーのTgが80℃以下になるように選択することが好ましい。本発明では、重合性モノマーとして、好ましくは、ビニル系モノマーを使用する。本発明で、ビニル系モノマーとは、分子末端に不飽和二重結合を持つモノマーを言う。これらのビニル系モノマーを単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することにより、ポリマーのTgを所望の範囲に調整することができる。
重合性モノマーとともに、任意の架橋性モノマーをホットオフセット改善のために用いることが好ましい。架橋性モノマーとは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のポリアルコールの不飽和ポリカルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のその他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、架橋性モノマーを、重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性モノマーとともに、さらに、マクロモノマーを用いると、保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。
マクロモノマーは、重合性モノマーを重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも、高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの量は、重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明では高分子可塑剤として、アクリルポリマーを使用するが、その中でもTgが0℃以下であるアクリルポリマー、特にTgが0℃以下である液状アクリルポリマーであることに特徴がある。
本発明で、液状とは、常温(15℃)で流動性があることをいう。アクリルポリマーはアクリルモノマーを重合することにより得られるポリマーである。アクリルモノマーとは、アクリル酸アルキルエステル、若しくはその誘導体又はメタクリル酸エステル、若しくはその誘導体を指す。
Tgが0℃以下である液状アクリルポリマーは、前記の重合性モノマーとして、アクリルモノマーを用いている場合、そのアクリルモノマーの重合体であることが好ましい。液状アクリルポリマーと重合性モノマーの重合体である結着樹脂との相溶性がより向上し、得られるトナーの低温定着性と環境安定性を良くすることができるからである。
アクリルモノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸アルキルエステルまたはその誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステルまたはその誘導体が挙げられる。これらのアクリルモノマーは、単独で用いてもよいし、複数のモノマーを組み合わせてもよい。
液状アクリルポリマーの重量平均分子量は、1,000〜10,000の範囲が好適であり、さらに好ましくは1,200〜7,000である。液状アクリルポリマーの重量平均分子量が、このような範囲より小さいと、揮発性の低分子量分が増加し得られるトナーの印字を行なった際に揮発し室内の環境が汚染される。このような範囲を超えると、常温での粘度が高く、トナー製造時における取り扱いが困難である。
液状アクリルポリマーは、重合性モノマー100重量部に対して、0.1〜2重量部用いることが好ましく、さらに好適には0.3〜2重量部である。このような範囲より少ないと、好ましい本発明の効果が得られず、このような範囲を超えると、トナーの環境安定性や印字耐久性の悪化が顕著となる。
本発明で用いられる着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄亜鉛や酸化鉄ニッケルなどの磁性粉、オイルブラック、及びチタンホワイト等の着色剤、並びに染料を用いることができる。黒色のカーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好適に用いられる。粒径がこの範囲にあることにより、カーボンブラックをトナー中に均一に分散でき、かぶりも少なくなるので好ましい。
フルカラートナーを得る場合は、通常、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体及び、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、及び60等が挙げられる。
着色剤の量は、重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
また、重合に際しては、分子量調整剤を使用することが好ましい。該分子量調整剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類が挙げられる。上記分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。上記分子量調整剤の量は、重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
離型剤としては、トナーの離型剤として用いられるものであれば特に制約無く用いることができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレン、これらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレン、及びこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、及びペンタエリスリトールテトララウレートなどのペンタエリスリトールエステル;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレートなどのジペンタエリスリトールエステル;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの内、示差走査熱量計を用いて昇温時のDSC曲線から測定される、吸熱ピーク温度が30〜200℃、好ましくは50〜180℃、60〜160℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトールエステル、などの多価エステル化合物が、定着−剥離性バランスの面で特に好ましい。
上記離型剤は、重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部用いられ、更に好ましくは1〜20重量部用いられる。
帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシンなどが挙げられる。より具体的には、例えば、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業社製)、T−77(保土ヶ谷化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、ボントロンN−01(オリエント化学工業社製)、コピーブルーPR(クラリアント社製)等の帯電制御剤;4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体などの帯電制御樹脂;などを用いることができる。これらのうち、4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体などの帯電制御樹脂を用いると、トナーの印字耐久性が良好になることから、好ましい。帯電制御剤は、重合性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いられる。
以上のようにして得られる重合性組成物を、水性媒体中に分散または乳化させる。
重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類が挙げられる。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。
重合性モノマーの重合に用いられる重合開始剤の量は、重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、更に好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは0.5〜10重量部である。重合開始剤は、後述するように液滴形成後の水性分散媒中に添加してもよいが、重合性組成物中にあらかじめ添加してもよい。
水性分散媒には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。該分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機高分子化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないので好ましい。
上記難水溶性の金属水酸化物のコロイドは、その個数粒径分布において、小粒径側から起算した個数累計が50%である粒径(Dp50)が0.5μm以下で、かつ、同様に小粒径側から起算した個数累計が90%である粒径(Dp90)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が、これらの範囲内であれば、重合安定性がよい。
上記分散安定化剤の量は、重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部である。分散安定化剤の量が0.1重量部未満であると十分な重合安定性を得ることが困難になり、重合凝集物が生成しやすくなる場合があり、20重量部を超えて使用すると、重合後のトナー粒径が細かくなりすぎ、実用的でなくなる場合がある。
着色重合体粒子の重合の際の温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色重合体粒子は、そのままで及び外添剤を添加してトナーとして用いてもよいが、この着色重合体粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なる重合体でシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色重合体粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色重合体粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色重合体粒子を用いて、コアシェル型の着色重合体粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができるが、in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。コアシェル型の着色重合体粒子のコア層は、重合性モノマーの重合物、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマーで構成されており、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、及びその他の添加剤が含有される。シェル層は重合物のみで構成される。
in situ重合法によるコアシェル型の着色重合体粒子の製造方法を以下に説明する。
着色重合体粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するためのモノマー(シェル用モノマー)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色重合体粒子を得ることができる。
シェル層を形成する具体的な方法としては、コア層となる着色重合体粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用モノマーを添加して継続的に重合する方法、または別の反応系で得た着色重合体粒子を仕込み、これにシェル用モノマーを添加して重合する方法などを挙げることができる。シェル用モノマーは、一括して添加しても、またはプランジャポンプなどのポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加してもよい。
シェル用モノマーとしては、前述の重合性モノマーと同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、ガラス転移温度が80℃を超えるポリマーが得られるモノマーを、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用モノマーの重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等のアゾ系開始剤などの水溶性の重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の量は、シェル用モノマー100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
コアシェル型の着色重合体粒子のコア層とシェル層との重量比率は特に限定されないが、通常80/20〜99.9/0.1である。シェル層の割合を上記割合にすることにより、トナーの保存性と低温での定着性を兼備することができるので好ましい。
コアシェル型の着色重合体粒子のシェル層の平均厚みは、通常0.001〜0.1μm、好ましくは0.003〜0.08μm、より好ましくは0.005〜0.05μmである。この範囲であると、定着性と保存性をともに良好にできるので好ましい。なお、コアシェル型の着色重合体粒子を形成するコア粒子表面はすべてがシェル層で覆われている必要はない。
コアシェル型の着色重合体粒子の、コア層の径およびシェル層の厚みは、電子顕微鏡によるコア層とシェル層の観察が可能な場合、その観察写真から直接測ることにより得られ、電子顕微鏡によるコア層とシェル層の観察が不可能な場合、シェル層を重合する前の着色重合体粒子の粒径、及びシェル用モノマーの量から算定される。
シェル層の重合の際の温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
本発明の重合法トナーを構成する、着色重合体粒子、またはコアシェル型の着色重合体粒子について述べる(以下の着色重合体粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む)。
着色重合体粒子の体積平均粒径Dvが好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvがこれらの範囲未満であるとトナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、カスレが発生したり、印字濃度が低下する場合があり、これらの範囲を超えると画像の解像度が低下する場合がある。
本発明の重合法トナーを構成する着色重合体粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、カスレが発生したり、転写性、印字濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色重合体粒子の体積平均粒径及び個数平均粒径は、例えば、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。
本発明の重合法トナーを構成する着色重合体粒子は、その球形度が1.0〜1.3であるものを用いることが好ましく、球形度が1.0〜1.2であるものを用いることが更に好ましい。球形度がこれらの範囲を超えると、転写性が低下したり、トナーの流動性が低下しカスレ易くなったりする場合がある。着色重合体粒子の球形度は、以下のように求められる。着色重合体粒子を電子顕微鏡で撮影し、得られた写真を画像処理解析装置ルーゼックスIID(ニレコ社製)により、フレーム面積に対する粒子の面積率を最大2%、トータル処理数を100個の条件で測定する。得られた100個の着色重合体粒子の球形度を平均することにより求められる。
重合により得られた、着色重合体粒子は、重合終了後に、常法に従い、濾過、分散安定化剤の除去、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
分散安定化剤として無機水酸化物等の無機化合物を使用した場合、重合によって得られる着色重合体粒子の水分散液への酸又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性無機水酸化物のコロイドを使用した場合には、酸を添加して、着色重合体粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸などの無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸などの有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
着色重合体粒子の水分散液から、着色重合体粒子を濾過脱水する方法は特に制限されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることができ、遠心濾過法が好適である。
本発明の重合法トナーは、そのままで電子写真の現像に用いることもできるが、重合法トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて着色重合体粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を混合することにより、着色重合体粒子表面に外添剤を付着又は埋設させることが好ましい。
外添剤としては、通常、流動性や帯電性を向上させる目的で使用されている無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。例えば、無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等が挙げられ、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、メラミン樹脂粒子、及びコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好適であり、この表面を疎水化処理した粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。外添剤の量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
本発明の製造方法を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(トナーの粒径測定)
着色重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)はマルチサイザー(コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトン、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
(トナーの定着温度測定)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)の定着ロールの温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させ、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定した。
定着率は、改造プリンターで試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分(黒ベタ領域)に粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。この定着試験において、定着率が80%以上になる最低定着ロール温度をトナーの最低定着温度とした。
(高温高湿、低温低湿下の印字試験)
前述の改造プリンターと評価対象のトナーを温度35℃、湿度80%の高温高湿(HH)環境、温度10℃、湿度20%の低温低湿(LL)環境条件下にそれぞれ一昼夜放置した後、カブリを測定した。ここでカブリとは、白ベタ印字を行う途中で、改造プリンターを停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを、前述の粘着テープに付着させた。それを新しい印字用紙に貼り付け、その白色度(B)を白色度計(日本電色社製)で測定した。同様に、リファレンスとして、未使用の粘着テープをその印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をかぶり値(%)とした。この値が小さい方が、かぶりが少なく良好であることを示す。
(印字耐久性試験)
前述の改造プリンターで、温度23℃、湿度50%の室温環境下で、連続印字を行い、前記の反射式画像濃度計で測定した印字濃度が1.3以上で、かつ、前記の白色度計で測定した非画像部のカブリが5%以下の画質を維持できる印字枚数を調べ、トナーの印字耐久性を評価した。
実施例1
スチレン80.5部およびn−ブチルアクリレート19.5部からなる重合性モノマー(これらのモノマーを共重合して得られたポリマーのTg=55℃)100部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、並びにカーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部をメディヤ型湿式粉砕機により湿式粉砕を行い、ここに帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベースFCA−207P」)1部、ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂製、商品名「WEP6」)10部、及び高分子可塑剤として重量平均分子量1,600のポリアクリル酸ブチル(東亞合成化学工業社製、商品名「UP−1021」、液状、Tg=−71℃)0.5部を添加した後、混合、溶解して、重合性組成物を得た。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を攪拌しながら、徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。生成したコロイドの粒径分布を粒径分布測定器(島津製作所社製、機種名「SALD2000A」)で測定したところ、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.62μmであった。
これとは別に、メチルメタクリレート(Tg=105℃)2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用モノマーの水分散液を得た。シェル用モノマーの液滴の粒径は、D90が1.6μmであった。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液(コロイド量4.0部)を攪拌槽に入れ、そこへ重合性組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、さらにそこへt−ブチルパーオキシ−イソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)6部を添加した。次いで、その分散液を15,000rpmで回転するエバラマイルダー(荏原製作所社製、機種名「MDN303V」)に通過させ、通過させた分散液を元の撹拌槽内に戻し循環させて、重合性組成物の液滴を造粒した。
造粒された重合性組成物が分散された水酸化マグネシウムコロイド分散液に、四ホウ酸ナトリウム十水和物を1部添加し、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃に昇温し重合反応を行い、同温度で重合転化率がほぼ100%に達するまで重合を続けた。その後、前記シェル用モノマーの水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド))0.3部を溶解し、それを上述の反応器に添加した。さらに、4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型の着色重合体粒子の水分散液を得た。
次に着色樹脂粒子に残留した揮発性有機化合物を除去するため、得られた着色重合体粒子の水分散液にイオン交換水100部と消泡剤(サンノプコ社製、商品名「SND180」)0.1部を添加し、攪拌しながら、90℃で窒素を水分散液中に吹き込んで14時間処理した。
上記により得た着色重合体粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸を添加して、分散液のpHを4.5以下にした。この水分散液を濾過脱水し後、乾燥して、着色重合体粒子を得た。得られた粒子100部に、疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、製品名:TG820F)1部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名:NEA50)1部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、重合法トナーを得た。
上記により得られた重合法トナーを用いて定着温度を測定したところ160℃であった。また、このトナーの画像評価では、HH、LL環境下においてもカブリ、ムラの無い、解像度の極めて良好な画像が得られ、耐久性は16,000枚であった。この結果を以下の実施例、比較例の結果とも合わせて表1に示した。
実施例2
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021の添加量を1.5部に代えた以外は実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
実施例3
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021の代わりに、重量平均分子量3,000のポリアクリル酸ブチル(東亞合成化学工業社製、商品名「UP−1000」、液状、Tg=−77℃)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
実施例4
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021の代わりに重量平均分子量1,700のポリアクリル酸エチル(東亞合成化学工業社製、商品名「UP−1010」、液状、Tg=−31℃)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
比較例1
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021を添加しない以外は、実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
比較例2
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021の代わりに分子量1,800のアジピン酸ポリエステル(ジェイプラス社製、商品名「D623」、液状、Tg=−12℃)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
比較例3
実施例1において、高分子可塑剤UP−1021の代わりに低分子可塑剤DOPを用いた以外は、実施例1と同じ方法で重合法トナーを得た。
可塑剤を添加していない比較例1は最低定着温度が高く、低温定着性が劣っている。高分子可塑剤のポリエステル、低分子可塑剤のDOPの可塑剤をそれぞれ添加した比較例2、3はHH環境下でのカブリが大きく、印字耐久性も実施例に比べ大幅に悪化している。対して、ガラス転移温度Tgが0℃以下の液状アクリルポリマーを高分子可塑剤として添加した実施例1〜4は、低温定着性、環境安定性、印字耐久性とも非常に優れている。
Figure 0004352981
本発明により製造された重合法トナーは、電子写真法による、複写機、ファクシミリ及びプリンター等の現像剤として用いることができる。

Claims (5)

  1. 重合性モノマー、着色剤、及びガラス転移温度Tgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を、水分散状態または乳化状態で重合することにより得られる重合法トナーであって、
    該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸エステルとの混合物であり、
    該液状アクリルポリマーがアクリル酸アルキルエステルまたはその誘導体の重合体であることを特徴とする重合法トナー
  2. 該液状アクリルポリマーの重量平均分子量が1,000〜10,000であることを特徴とする請求項1記載の重合法トナー。
  3. 該液状アクリルポリマーが、重合性モノマー100重量部に対して0.1〜2重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の重合法トナー。
  4. 該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸ブチルとの混合物であり、該液状アクリルポリマーがアクリル酸エチル及び/またはアクリル酸ブチルの重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合法トナー。
  5. 重合性モノマー、着色剤、及びTgが0℃以下の液状アクリルポリマーを含んでなる重合性組成物を、水分散状態または乳化状態で重合することにより重合法トナーを製造する方法であって、
    該重合性モノマーがスチレンとアクリル酸エステルとの混合物であり、
    該液状アクリルポリマーがアクリル酸アルキルエステルまたはその誘導体の重合体である、重合法トナーを製造する方法
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