JP2018025828A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷現像用トナーの製造方法において、前記外添剤として、前記着色樹脂粒子100質量部に対し、個数平均一次粒径が10〜150nmの窒素含有樹脂粒子を0.05〜1.5質量部、個数平均一次粒径が31〜300nmの無機微粒子Aを0.2〜3.0質量部、個数平均一次粒径が11〜30nmの無機微粒子Bを0.1〜2.0質量部、及び個数平均一次粒径が5〜10nmの無機微粒子Cを0.1〜1.0質量部、添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する。
以下、本発明に使用される着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
エステルワックスは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは2〜10質量部用いられ、より好ましくは3〜7質量部用いられる。
エステルワックスの融点は、通常、50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは65〜75℃である。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
炭化水素系ワックスは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.5〜8質量部用いられ、より好ましくは1〜5質量部用いられる。
炭化水素系ワックスの融点は、通常、40〜100℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜75℃である。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いることが好ましい。
上記離型剤の総含有量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。本発明のトナーは、正帯電性トナーであることが好ましい。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とする。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
本発明における窒素含有樹脂粒子は、例えば具体的には、ベンゾグアナミン、シクロへキサンカルボグアナミン、シクロへキセンカルボグアナミン、メラミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、パラトルエンスルホンアミド及び尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物とホルムアルデヒドとを反応させてなる粒子であることが好ましい。
窒素含有樹脂粒子の個数平均一次粒径は、30〜130nmであることがより好ましく、50〜100nmであることがさらに好ましい。
また、本発明に使用されるこれら外添剤の個数平均一次粒径の他の測定方法としては、外添剤粒子を水などの分散媒中に分散させ、当該分散液を粒度分布測定装置(日機装製、商品名:マイクロトラック3300EXII)等により測定する方法により、個数平均一次粒径を測定する方法等が挙げられる。
窒素含有樹脂粒子の含有量が0.05質量部未満である場合には、窒素含有樹脂粒子を使用したトナーの帯電量が減る結果、トナーの印字耐久性及び細線再現性が低下するおそれがある。一方、窒素含有樹脂粒子の含有量が1.5質量部を超える場合には、窒素含有樹脂粒子を使用したトナーについてカスレやカブリが発生しやすくなるおそれがある。
しかしながら、窒素含有樹脂粒子のみを外添剤として使用した場合には、流動性が悪化するおそれがある。したがって、後述する無機微粒子A、無機微粒子B、及び無機微粒子Cとの併用が不可欠となる。
無機微粒子Aの個数平均一次粒径は、40〜150nmであることが好ましく、45〜100nmであることがより好ましい。
無機微粒子Aの吸着水分量の測定は、吸脱着測定装置や連続蒸気吸着装置等により行うことができる。
無機微粒子Aの含有量が0.2質量部未満の場合には、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす。一方、無機微粒子Aの含有量が3.0質量部を超える場合には、トナー粒子の表面から、当該無機微粒子Aが遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす。
無機微粒子Bの個数平均一次粒径は、13〜25nmであることが好ましく、15〜20nmであることがより好ましい。
無機微粒子Bの吸着水分量の測定方法は、無機微粒子Aの吸着水分量と同様である。
無機微粒子Bの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性や耐久性が低下したりする。一方、無機微粒子Bの含有量が2.0質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該無機微粒子Bが遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生する。
無機微粒子Cの個数平均一次粒径は、6.5〜9nmであることがより好ましく、7〜8nmであることがさらに好ましい。
無機微粒子Cの吸着水分量の測定方法は、無機微粒子Aの吸着水分量と同様である。
無機微粒子Cの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性が低下したりする。一方、無機微粒子Cの含有量が1.0質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該無機微粒子Cが遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生する。
無機微粒子の総含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して1.5〜3.5質量部であることがより好ましく、2.0〜3.0質量部であることがより好ましい。
脂肪酸金属塩微粒子の個数平均一次粒径は、500〜1,500nmであることが好ましく、800〜1,000nmであることがより好ましい。
上記工程を経て得られるトナーは、高速印刷においても、定着性に優れ、初期及び耐久後にもカスレの発生がなく、印字耐久性及び細線再現性に優れ、かつ保存性が良好なトナーである。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[実施例1]
重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、並びにブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を、分散機(シンマルエンタープライゼス製、商品名:ダイノミル)を用いて分散させることにより、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル樹脂)0.70部、離型剤として多官能エステルワックス(日油社製、商品名:WEP7)5部、パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)5部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.5部を添加し、混合及び溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤4.4部を投入した後、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して分散を行い、重合性単量体組成物の液滴形成を行った。
上記着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、室温下で硫酸を滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄、濾過、及び脱水)を数回繰り返し行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分を乾燥機の容器内に入れ、40℃で24時間乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得た。得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は8.1μm、個数平均粒径(Dn)は7.3μm、粒径分布(Dv/Dn)は1.11であり、平均円形度は0.986であった。
実施例1において、着色樹脂粒子の種類又は外添剤の添加量を下記表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。その評価結果を表1に示す。なお、比較例2に使用した着色樹脂粒子は、上記実施例1に記載の着色樹脂粒子の製造方法において、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル樹脂)の添加量を0.70部から2.00部に変更した以外は、同様の製造方法により製造したものである。
実施例2において、個数平均一次粒径100nmのメラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子(日本触媒社製、商品名:エポスターSS、粒子1)0.5部を、個数平均一次粒径200nmのメラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子(日本触媒社製、商品名:エポスターS、以下粒子2と称する場合がある)0.5部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナーを得た。その評価結果を表1に示す。
上記実施例1〜実施例10及び比較例1〜比較例10のトナー、並びにこれらトナーに使用した着色樹脂粒子について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。
着色樹脂粒子の体積平均一次粒径Dv、個数平均一次粒径Dn、及び粒径分布Dv/Dnは粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、着色樹脂粒子サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、着色樹脂粒子を湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。
容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
トナー10gを密閉可能な容器(ポリエチレン製、容量100mL)に入れて、密閉した後、当該容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈めた。8時間経過した後、恒温水槽から当該容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上へ置いた。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、注意深く篩上に移して置くようにした。トナーを置いた篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)を用いて、振幅1mmの条件で、30秒間振動させた後、篩上に残留したトナーの質量を測定し、凝集トナーの質量とした。最初に容器に入れたトナーの質量に対する凝集トナーの質量の割合(質量%)を算出した。なお、1サンプルにつき上記測定を3回行い、凝集トナーの質量の割合(質量%)を算出し、その平均値を保存性の指標とした。
上記実施例1〜実施例10、及び比較例1〜比較例10のトナーについて、印字評価を行った。詳細は以下の通りである。
(1)最低定着温度
市販の非磁性一成分現像方式のブリンターの定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて行った。定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行い、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式2により算出できる。
計算式2:定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
上述のプリンターに印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿(N/N)環境下で24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で連続印字を行った。500枚毎にベタ印字(印字濃度100%)をして反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いて黒ベタ画像の中央の印字濃度を3点測定し、その平均値を印字濃度とした。
更に、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値とした。
上記のベタ印字を行った際の印字濃度が1.3以上で、かつ白ベタ印字を行った際のカブリ値が1以下である画質を維持できる連続印字枚数を15,000枚まで試験した。なお、表1及び表2の試験結果に「15000<」とあるのは、15,000枚連続で印字しても、上記基準を満たしていることを示す。
上記(2)の評価と併せて、初期カスレ及び耐久後カスレの評価も実施した。
初期カスレは、耐久印字性試験で500枚印字後の黒ベタ印字物において、黒ベタ画像上部と黒ベタ画像下部のそれぞれ3点で印字濃度を測定し、その平均値をそれぞれ上部印字濃度及び下部印字濃度とし、上部印字濃度及び下部印字濃度の差を算出してカスレの指標とした。
耐久後カスレは、上記試験を連続印刷枚数15,000枚で終了した時点、又は耐久性不良により上記試験を連続印刷枚数15,000枚未満で中断した時点において、初期カスレと同様にして評価を実施した。
細線再現性試験には、上述した市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ24枚/分)を用いた。このプリンターの現像装置に、試験に供するトナーを入れ、コピー用紙をセットし、温度10℃、及び湿度20%RHの低温低湿(L/L)環境下で一昼夜放置後、2×2ドットライン(幅約85μm)で連続して線画像を形成し、500枚毎に、印字評価システム(YA−MA社製、商品名:RT2000)によって測定し、線画像の濃度分布データを採取した。この時、その濃度の最大値の半値における全幅を線幅として、一枚目の線画像の線幅を基準として、その線幅の差が10μm以下のものは1枚目の線画像を再現しているとして、線画像の線幅の差が10μm以下を維持できる枚数を10,000枚まで調べた。
なお、表1及び表2の試験結果に「10000<」とあるのは、10,000枚まで細線再現性試験を行っても、上記の基準を満たす線画像を維持でき、細線再現性が良好であったことを示す。
市販の非磁性一成分現像方式プリンター(印刷速度:28枚/分)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度35℃、湿度80%RHの高温高湿(H/H)環境下で24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で3枚連続印字を行った。
その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させ、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値とした。このカブリ値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
以下、表1及び表2を参照しながら、トナー評価について検討する。
まず、比較例1及び比較例6のトナーについて検討する。表2より、比較例1のトナーは、保存性、定着性、初期カスレ、及び耐久後カスレには特に問題は見られない。しかし、比較例1のトナーは、印字耐久性の評価枚数が7,000枚と少なく、細線再現性の評価枚数が5,000枚と少なく、HHカブリの値が2.2と高い。特に、印字耐久性の評価枚数は、今回測定したトナー中最も少ない。
一方、比較例6のトナーは、保存性、印字耐久性、及び細線再現性に特に問題は見られない。しかし、比較例6のトナーは、最低定着温度が165℃と高い。また、比較例6のトナーは、初期カスレ評価におけるID差が0.35と大きく、耐久後カスレ評価におけるIDに至っては測定できなかった。初期カスレ評価におけるID差は、今回測定したトナー中最も大きい。また、比較例6のトナーは、HHカブリの値が4.3と高い。
以上より、窒素含有樹脂粒子を含まない比較例1のトナーは、印字耐久性に特に乏しく、細線再現性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。一方、窒素含有樹脂粒子を着色樹脂粒子100質量部に対し1.5質量部を超えて含む比較例6のトナーは、定着性に劣る他、カブリに加えて全般的にカスレが生じやすくなることが分かる。
以上より、少なくとも印字耐久性及び細線再現性を改善し、かつ高温高湿(H/H)環境下における初期カブリの発生をできるだけ抑えるためには、着色樹脂粒子の組成を変更するのみでは足りないことが分かる。
一方、比較例7のトナーは、保存性、印字耐久性、初期カスレ、及び細線再現性には特に問題は見られない。しかし、比較例7のトナーは、最低定着温度が170℃と高い。また、比較例7のトナーは、耐久後カスレ評価におけるID差が0.15と大きい。
以上より、無機微粒子Aを含まない比較例3のトナーは、保存性及び印字耐久性に乏しく、長時間の印字後にカスレが生じやすく、さらに高温高湿環境下においてカブリが生じやすいことが分かる。これは、無機微粒子Aのように比較的大きな粒径を有する外添剤を含まない場合、より小粒径の無機微粒子B等が着色樹脂粒子に埋没することを防止できず、その結果トナーの耐久性が低くなることを示す。一方、無機微粒子Aを着色樹脂粒子100質量部に対し3.0質量部を超えて含む比較例7のトナーは、保存性、印字耐久性、及びHHカブリの発生については改善されるものの、定着性が悪化し、長時間の印字後のカスレについては改善が見られないことが分かる。
一方、比較例8のトナーは、保存性、印字耐久性、初期カスレ、及びHHカブリには特に問題は見られない。しかし、比較例8のトナーは、最低定着温度が175℃と高い。この値は、今回測定したトナー中最も高い最低定着温度である。また、比較例8のトナーは、細線再現性については印字初期から上述した基準を満たすものではなかった。
以上より、無機微粒子Bを含まない比較例4のトナーは、印字耐久性に劣るため長時間の印字後にカスレが生じやすく、かつ高温高湿環境下においてカブリが生じやすいことが分かる。これは、無機微粒子Bのように比較的小さな粒径を有する外添剤を含まない場合、トナーから流動性が失われる結果、トナーの転写状態が悪化しカスレやカブリが生じやすくなることを示す。一方、無機微粒子Bを着色樹脂粒子100質量部に対し2.0質量部を超えて含む比較例8のトナーは、印字耐久性、及びHHカブリの発生については改善されるものの、定着性及び細線再現性が特に悪化し、長時間の印字後のカスレについては改善が見られないことが分かる。
一方、比較例9のトナーは、保存性、初期カスレ、細線再現性、及びHHカブリには特に問題は見られない。しかし、比較例9のトナーは、最低定着温度が170℃と高く、印字耐久性の評価枚数が9,000枚と少ない。
以上より、無機微粒子Cを含まない比較例5のトナーは、全般的にカスレが生じやすいことが分かる。これは、無機微粒子Cのように比較的小さな粒径を有する外添剤を含まない場合、トナーから流動性が失われる結果、トナーの転写状態が悪化しカスレが生じやすくなることを示す。一方、無機微粒子Cを着色樹脂粒子100質量部に対し1.0質量部を超えて含む比較例9のトナーは、カスレについては改善されるものの、定着性及び印字耐久性が悪化することが分かる。
以上より、窒素含有樹脂粒子として、個数平均一次粒径が100nmの粒子1に替えて、個数平均一次粒径が200nmの粒子2を用いた比較例10は、全般的にカスレが生じやすいことが分かる。これは、個数平均一次粒径が150nmを超える窒素含有樹脂粒子を外添剤とした場合、当該窒素含有樹脂粒子の吸湿性が高くなりすぎる結果、トナーの転写状態が悪化しカスレが生じやすくなることを示す。
したがって、個数平均一次粒径が10〜150nmの範囲内の窒素含有樹脂粒子を0.2〜1.0質量部、個数平均一次粒径が31〜300nmの範囲内の無機微粒子Aを0.5〜2.0質量部、個数平均一次粒径が11〜30nmの範囲内の無機微粒子Bを0.3〜1.2質量部、及び個数平均一次粒径が5〜10nmの範囲内の無機微粒子Cを0.2〜0.8質量部、それぞれ含有する実施例1〜実施例10のトナーは、高速印刷においても、定着性に優れ、初期及び耐久後にもカスレの発生がなく、印字耐久性及び細線再現性に優れ、かつ保存性が良好であることが分かる。
Claims (5)
- 結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷現像用トナーの製造方法において、
前記外添剤として、前記着色樹脂粒子100質量部に対し、
個数平均一次粒径が10〜150nmの窒素含有樹脂粒子を0.05〜1.5質量部、
個数平均一次粒径が31〜300nmの無機微粒子Aを0.2〜3.0質量部、
個数平均一次粒径が11〜30nmの無機微粒子Bを0.1〜2.0質量部、及び
個数平均一次粒径が5〜10nmの無機微粒子Cを0.1〜1.0質量部、
添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記外添剤において、無機微粒子A、無機微粒子B、及び無機微粒子Cの吸着水分量が、それぞれ0.1〜0.4質量%、0.1〜0.6質量%、0.1〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記外添剤において、無機微粒子A、無機微粒子B、及び無機微粒子Cの総含有量が、着色樹脂粒子100質量部に対し、1.2〜4.0質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記外添剤は、さらに個数平均一次粒径が100〜2,000nmの脂肪酸金属塩粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記外添剤において、無機粒微子A、無機粒微子B、及び無機粒微子Cは、アミノ基を含有する疎水化処理剤でいずれも表面を処理されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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