JP2010085674A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れるトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】湿式法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る工程、当該着色樹脂粒子水分散液中の着色樹脂粒子を分離・洗浄し、水に再分散させて着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、当該着色樹脂粒子の再分散液を脱水して湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び当該湿潤状態の着色樹脂粒子の乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得る乾燥工程を含むトナーの製造方法において、
上記脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、0.1〜40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられるトナーの製造方法に関し、更に詳細には、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、印字耐久性にも優れるトナーの製造方法に関する。
電子写真装置、静電記録装置、及び静電印刷装置等の画像形成装置は、感光体上に形成される静電潜像を、静電荷像現像用トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施され、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれら複合機等に適用されている。
例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、一般には光導電性物質からなる感光体の表面を種々の手段で一様に帯電させた後、当該感光体上に静電潜像を形成し、次いで当該静電潜像を、トナーを用いて現像し(現像工程)、必要に応じて用紙等の記録材にトナー画像を転写した(転写工程)後、加熱等によりトナーを記録材に定着させて(定着工程)、印刷物を得るものである。
上記定着工程では、通常、定着時に定着ロールの温度を150℃以上に加熱する必要があり、エネルギー源として多くの電力が消費される。近年、上記画像形成装置に対する、消費エネルギーの低減化、及び印刷の高速化の要請の高まりに伴い、低い定着温度でも高い定着率を維持できるトナー(低温定着性に優れたトナー)の製造方法が求められている。
しかしながら、上記要請に応えるために、トナーに低温定着性の特性を過度に付与させると、定着時に定着ロールの温度を低く設定できる反面、当該低い定着温度(最低定着温度)でトナーを記録材に定着させる際に、トナーの溶融が促進されて定着ロールにトナーが融着する現象(ホットオフセット現象)が発生し易くなる。
このため、トナーの製造には、低温定着性とは相反する特性である耐ホットオフセット性をも考慮して製造する必要がある。
すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性等の印字性能にも優れるトナーの製造方法の開発が求められている。
特許文献1には、トナーの熱定着時に生じるオフセットを防止することを目的として、エマルジョンワックスを固形分濃度が2重量%になるまで希釈し、当該大量のエマルジョンワックス中に、乾式トナーを投入し、攪拌して、トナー粒子の表面に、エマルジョンワックスを付着させ、その後、吸引濾過、水洗を繰り返し、減圧乾燥してトナーを製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、トナーの一連の製造工程の中で、エマルジョンワックスを加えるのではなく、トナーを一旦製造させた後に、当該トナーを、水分量が多いエマルジョンワックスと混合して、その後、吸引濾過、洗浄を行うため、製造工程が煩雑となるばかりか、トナーの生産性を低下させる虞がある。
また、特許文献2には、耐オフセット性に優れるトナーを得ることを目的として、懸濁重合法により作製された懸濁重合粒子を含む懸濁液中に、ワックスを添加し、当該懸濁液を塩析またはpH調整して、懸濁重合粒子の表面に、ワックスからなる微粒子を付着させ、その後、遠心脱水、真空乾燥してトナーを製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示されている方法では、水分量が多い懸濁液中に、ワックスを添加した後、脱水を行なうため、当該脱水により水分の除去が進行するにつれて、懸濁重合粒子の表面に付着しきれなかったワックスが、濾材の目に詰まりを生じ、トナーの生産性を低下させる虞がある。
特公平7−120069号公報 特開平11−80244号公報
本発明の目的は、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れるトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、湿式法によるトナーの製造方法において、ワックスエマルジョンを添加する時機を特定し、且つ、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率を特定の範囲とすることによって、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を均一に付着させることができ、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明のトナーの製造方法は、湿式法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る工程、当該着色樹脂粒子水分散液中の着色樹脂粒子を分離・洗浄し、水に再分散させて着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、当該着色樹脂粒子の再分散液を脱水して湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び当該湿潤状態の着色樹脂粒子の乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得る乾燥工程を含むトナーの製造方法において、
上記脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、0.1〜40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法である。
上記の如き本発明によれば、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れたトナーの製造方法が提供される。
本発明のトナーの製造方法は、湿式法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る工程、当該着色樹脂粒子水分散液中の着色樹脂粒子を分離・洗浄し、水に再分散させて着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、当該着色樹脂粒子の再分散液を脱水して湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び当該湿潤状態の着色樹脂粒子の乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得る乾燥工程を含むトナーの製造方法において、
上記脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、0.1〜40重量%であることを特徴とするものである。
本発明において、トナーを構成する着色樹脂粒子は、湿式法により形成される。湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、及び分散重合法等の重合法、並びに、溶解懸濁法が挙げられる。
湿式法の中でも、粒径分布がシャープで小粒径の着色樹脂粒子が、形成され易いことから重合法が好ましく採用される。さらに、重合法の中でも、円形度が高い着色樹脂粒子が、形成され易いことから懸濁重合法がより好ましく採用される。
本発明においては、懸濁重合法を採用することが好ましい。以下、懸濁重合法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る方法を代表例として用い説明する。
(1)着色樹脂粒子水分散液を得る工程
本工程では、(1−1)重合性単量体組成物の調製工程、(1−2)液滴形成工程、及び(1−3)重合工程を含み、当該各工程を経て、着色樹脂粒子水分散液を得る。
(1−1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を、混合、溶解又は分散して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際には、例えば、メディア式分散機を用いて行なう。
重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を用いることができる。
モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記モノビニル単量体のうち、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を改善するために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることができる。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を有するモノマーのことをいう。
架橋性の重合性単量体としては、一般にトナー用の架橋性の重合性単量体として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等が挙げられる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、架橋性の重合性単量体は、次工程(1−2)液滴形成工程において、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させる段階で添加されてもよい。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、トナーの保存性と低温定着性とのバランスを向上させるために、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることができる。
マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有し、数平均分子量(Mn)が、通常1,000〜30,000である反応性のオリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーとして、重合性単量体を重合して得られる重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有するオリゴマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
着色剤としては、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、及びマゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、及びマゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアンの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエローの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよく、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−626N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−748N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−1001N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、トナーの定着ロールからの剥離性を向上させるために、離型剤を用いることができる。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;並びに、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、及びペンタグリセリンヘキサベヘネート等のポリグリセリンエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられ、これらの中でも多価アルコールエステル化合物が好ましく、ポリグリセリンエステルがより好ましい。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量や分子量分布を調整するために、分子量調整剤を用いることができる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N'−ジメチル−N,N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、及びN,N'−ジオクタデシル−N,N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、分子量調整剤は、次工程(1−2)液滴形成工程において、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させる段階で添加されてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(1−2)液滴形成工程(懸濁液を得る懸濁工程)
上記(1−1)重合性単量体組成物の調製工程を経て得られる重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行ない、懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。
液滴形成の方法は、特に限定されないが、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
液滴形成において、着色樹脂粒子の粒径コントロール、及び円形度を向上させるために、水系分散媒体中に分散安定化剤を含有させて用いる。
水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤と併用して用いることもできる。
分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物、並びに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物などの金属化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子化合物;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等の有機高分子化合物;等が挙げられる。これらの中でも、金属水酸化物が好ましく、特に、pH領域が、通常pH7.5〜11で用いられる水酸化マグネシウムが好ましい。
分散安定化剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物が好ましく用いられる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させた後、液滴形成前の段階で添加されてもよいが、重合性単量体組成物に直接添加されてもよい。
重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜15重量部であることがより好ましく、1.0〜10重量部であることがさらに好ましい。
(1−3)重合工程
上記(1−2)液滴形成工程(懸濁液を得る懸濁工程)を経て得られる懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散液)を、重合開始剤の存在下で、加熱し、重合を開始して懸濁重合を行ない、着色樹脂粒子水分散液を得る。
なお、本工程においても、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、上記(1−2)液滴形成工程(懸濁液を得る懸濁工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行いながら重合反応を進行させてもよい。
重合工程において、重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜98℃であることがより好ましい。また、重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
重合工程により得られる着色樹脂粒子を、コア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、コアシェル構造(または、「カプセル型」ともいう。)を有する着色樹脂粒子としてもよい。
コアシェル構造を有する着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化、耐ホットオフセット性及び保存時の凝集防止とのバランスをとることができる。
上記コアシェル構造を有する着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル構造を有する着色樹脂粒子の製造法を、以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル構造を有する着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、及びメチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
シェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
(2)分離洗浄工程
本工程では、上記(1)着色樹脂粒子水分散液を得る工程を経て得られる着色樹脂粒子水分散液に含まれる着色樹脂粒子を、分離・洗浄し、水に再分散させて、着色樹脂粒子の再分散液を得る。このとき、水は環境安定性に優れるトナーを得る点からイオン交換水が好ましい。
上記(1)着色樹脂粒子水分散液を得る工程を経て得られる着色樹脂粒子水分散液中に残存する不要な分散安定化剤を除去するために、着色樹脂粒子水分散液に、酸又はアルカリを添加することにより、分散安定化剤の除去洗浄を行なうことが好ましい。
(2−1)分散安定化剤の除去工程
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合には、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合には、着色樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子水分散液に、酸を添加し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行なうことが好ましい。
酸洗浄で添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸;蟻酸、及び酢酸等の有機酸;等を用いることができる。これらの中でも、分散安定化剤の除去効率が高く、トナーの製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(2−2)分離・洗浄装置等による洗浄工程
上記(2−1)酸による分散安定化剤の除去工程を経て得られる着色樹脂粒子水分散液を、分離・洗浄装置等を用いて、イオン交換水等の洗浄水による洗浄を行いながら、固液分離し、湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させることが好ましい。
分離・洗浄装置としては、特に限定されず、例えば、ベルトフィルターが代表的に挙げられる。市販品としては、住友重機械工業社製の連続式ベルトフィルター(商品名:イーグルフィルター)、アタカ大機社製の真空水平式ベルトフィルター(商品名:ダイキ・ADPECフィルター)、及び月島機械社製の水平ベルトフィルター(商品名:月島−水平ベルトフィルター)等が挙げられる。
(2−3)着色樹脂粒子の再分散液を得る工程
上記(2−2)分離・洗浄装置等による洗浄工程を経て得られる湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、水に再分散させて、着色樹脂粒子の再分散液を得る。
なお、上記(2−2)〜(2−3)の一連の工程は、必要に応じて複数回繰り返し行うこともできる。
(3)脱水工程
本工程では、上記(2)分離洗浄工程を経て得られる着色樹脂粒子の再分散液を、脱水装置等を用いて脱水を行ない、含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させる。
上記(2)分離洗浄工程を経て得られる着色樹脂粒子の再分散液を、脱水する方法としては、特に限定されず、種々の公知の方法を採用することができ、例えば、遠心濾過法、真空濾過法、及び加圧濾過法等を利用した脱水方法が挙げられる。
脱水装置としては、含水率が低いウエットケーキが得られる脱水装置であれば、特に限定されず、例えば、遠心濾過法を利用した脱水装置としては、サイホンピーラー型セントリヒュージ、及びデカンタ型遠心分離機;真空濾過法を利用した脱水装置としては、ベルトフィルター;加圧濾過法を利用した脱水装置としては、フィルタープレス、ベルトプレス、及びロータリーフィルター;等が挙げられる。
これらの脱水装置の中でも、脱水効率が高く、所望の含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させることができることから、遠心濾過法を利用した脱水装置が好ましく用いられ、市販品としては、三菱化工機社製のサイホンピーラー型セントリフュージ(商品名:Hz-40Si型)が挙げられる。
本発明においては、脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、0.1〜40重量%となる条件で、好ましくは0.1〜30重量%となる条件で、より好ましくは0.1〜20重量%となる条件で、トナーの製造を行う。
上記ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子の表面に、ワックスエマルジョンを均一にゆきわたらせることができない場合がある。一方、上記ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、上記範囲を超える場合には、次工程の(4)乾燥工程で、着色樹脂粒子を乾燥するのに多くのエネルギーを要することになり、乾燥効率が低下する場合や、製造されたトナー中に水分が残留し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、「ワックスエマルジョン」とは、水系溶媒中(分散媒中)で、ワックス成分(分散質)が、安定して分散している水系分散液(乳濁液)のことをいう。
本発明において、ワックスエマルジョンの製造方法は、特に限定されず、界面活性剤等の乳化剤を用いた公知の方法を採用することができ、例えば、以下に示す製造例を挙げることができる。
(ワックスエマルジョンの製造例)
圧力容器に、ワックス成分、界面活性剤、及びイオン交換水を投入し、加圧下にて加熱しながら、ホモミキサーを用いて混合し、この混合液を、高圧ホモジナイザーを用いて、均質圧力下で、均質化処理することによって、ワックスエマルジョンが得られる。
界面活性剤としては、水系溶媒中(分散媒中)で、ワックス成分(分散質)を安定して分散させることができれば、特に限定されず、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を用いることができる。
本発明においては、これらの界面活性剤の中でも、水系溶媒中で、ワックス成分を安定して分散させる効果が高く、所望の範囲の平均粒子径を有するワックスエマルジョンを得られる効果が高いことから、アニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
界面活性剤の市販品としては、第一工業製薬社製のアニオン性界面活性剤(商品名:ネオゲンSC)、花王社製のノニオン性界面活性剤(商品名:エマルゲン123P)、及び花王社製のアニオン性界面活性剤(商品名:エマール2F)等が挙げられる。
ワックスエマルジョンを構成するワックス成分としては、上記(1)着色樹脂粒子水分散液を得る工程で前述した離型剤と同様のものを用いることができ、それらの中でも、所望のワックスエマルジョンが得られることから、前記した石油ワックス、合成ワックス、及びポリオレフィンワックスが好ましく、中でも石油ワックスのパラフィンワックス、合成ワックスのフィッシャートロプシュワックスがより好ましく用いられる。
本発明において、ワックスエマルジョンを構成するワックス成分の融点は、60〜120℃であることが好ましく、70〜110℃であることがより好ましく、80〜100℃であることがさらに好ましい。
なお、ワックス成分の融点は、ASTM D3418−82に準拠し、示差走査熱量計を用いて測定される値である。
上記ワックス成分の融点が、上記範囲未満である場合には、定着ロールにトナーが融着するホットオフセット現象が生じ易くなり、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記ワックス成分の融点が、上記範囲を超える場合には、トナーの低温定着性が低下し、定着時に定着ロールの温度を高温に設定する必要があり、消費エネルギーの低減化の要請に応えられない場合がある。
ワックス成分の市販品としては、パラフィンワックスとしては、日本精鑞社製のHNP-9(:商品名、融点75℃)、フィッシャートロプシュワックスとしては、日本精鑞社製のFT−100(:商品名、融点:98℃(凝結点))、FT−0165(:商品名、融点:73℃)、及びFT−0070(:商品名、融点:72℃)等が挙げられる。
本発明において、ワックスエマルジョンの平均粒子径は、0.05μm〜2μmであることが好ましく、0.1μm〜1μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.8μmであることがさらに好ましい。
なお、ワックスエマルジョンの平均粒子径は、例えば、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒子径測定装置「LA920」を用いて測定することができる。
上記ワックスエマルジョンの平均粒子径が、上記範囲未満である場合には、粒子同士の相互凝集が生じ易くなり、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を均一に付着させることができない場合がある。一方、上記ワックスエマルジョンの平均粒子径が、上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子の表面に対する付着力が低下し、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を均一に付着させることができない場合がある。
本発明においては、ワックスエマルジョンを、脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に添加し、トナーの製造を行う。
本発明において、「脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子」としては、「脱水工程を経た直後の湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)」、及び「乾燥工程を経た直後の乾燥した状態の着色樹脂粒子」が好ましい。
本発明において、ワックスエマルジョンを添加する時機として、「脱水工程を経た直後の湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)」を採用することが特に好ましく、当該着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加した後、次工程の(4)乾燥工程で、当該着色樹脂粒子に含まれる水分と、ワックスエマルジョンに含まれる水分とを、同時に除去させながら、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を好適に付着させることができる。
本発明において、ワックスエマルジョンを添加する直前の状態の着色樹脂粒子の含水率は、着色樹脂粒子の表面に対するワックス成分の付着効率、及びトナーの生産効率の観点から、40重量%以下であることが好ましく、1〜30重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましい。
本発明において、上記ワックスエマルジョンを添加する直前の状態の着色樹脂粒子が、脱水工程を経た直後の湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)である場合には、当該ウエットケーキの含水率は、40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、25重量%以下であることがさらに好ましい。
上記ウエットケーキの含水率が、上記範囲を超える場合には、次工程の(4)乾燥工程で、着色樹脂粒子を乾燥するのに多くのエネルギーを要することになり、乾燥効率が低下する場合がある。
また、本発明において、上記ワックスエマルジョンを添加する直前の状態の着色樹脂粒子が、乾燥工程を経た直後の乾燥した状態の着色樹脂粒子である場合には、当該着色樹脂粒子の含水率は、5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の含水率が、上記範囲を超える場合には、製造されたトナー中に水分が残留し、低温定着性に悪影響を及ぼす場合や、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字耐久性等の印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、ワックスエマルジョンの固形分濃度は、着色樹脂粒子の表面に対するワックス成分の付着効率、及びトナーの生産効率の観点から、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることがさらに好ましい。
上記固形分濃度が、上記範囲未満である場合には、ワックスエマルジョン中のワックス成分の割合が低過ぎるため、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を好適に付着させることができない場合がある。一方、上記固形分濃度が、上記範囲を超える場合には、ワックスエマルジョン中のワックス成分の割合が高過ぎるため、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を好適に付着させることができない場合がある。
本発明において、ワックスエマルジョンの添加量は、着色樹脂粒子の表面に対するワックス成分の付着効率、及びトナーの生産効率の観点から、着色樹脂粒子100重量部(固形分換算)に対して、0.1〜2重量部(固形分換算)であることが好ましく、0.2〜1.8重量部(固形分換算)であることがより好ましく、0.5〜1.5重量部(固形分換算)であることがさらに好ましい。
上記ワックスエマルジョンの添加量が、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子の表面に、ワックスエマルジョンを均一にゆきわたらせることができない場合がある。上記ワックスエマルジョンの添加量が、上記範囲を超える場合には、帯電制御剤等の内添剤、及び後述する外添剤等の添加剤の効果が十分発揮されず、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
(4)乾燥工程
本工程では、上記(3)脱水工程を経て得られる含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、乾燥機等を用いて乾燥を行ない、所望の乾燥した着色樹脂粒子を得る。
上記(3)脱水工程を経て得られる含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、乾燥する方法としては、特に限定されず、種々の公知の方法を採用することができ、例えば、真空乾燥法、気流乾燥法、噴霧乾燥法、及び流動層乾燥法等を利用した乾燥方法が挙げられる。
乾燥機としては、所望の乾燥した着色樹脂粒子が得られる乾燥機であれば、特に限定されず、種々の市販された乾燥機を用いることができ、例えば、真空乾燥法を利用した乾燥機としては、ホソカワミクロン社製の真空乾燥機(商品名:ナウターミキサー NXV−1)、大川原製作所社製の真空乾燥機(商品名:リボコーン)、神鋼パンテック社製の真空乾燥機(商品名:SVミキサー);気流乾燥法を利用した乾燥機としては、ホソカワミクロン社製の気流乾燥機(商品名:ドライマスターDMR)、セイシン企業社製の気流乾燥機(商品名:フラッシュジェットドライヤー);流動層乾燥法を利用した乾燥機としては、大川原製作所社製の気流層乾燥機(商品名:スリットフロー);等が代表的に挙げられる。
(着色樹脂粒子)
以下において、上記(4)乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子の粒径特性について述べる。
なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、高画質の画像形成を行なう観点から、5〜15μmであることが好ましく、6〜12μmであることがより好ましく、7〜10μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲を超える場合には、高精細な画像形成が難しくなり、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比である粒径分布(Dv/Dn)は、高画質の画像形成を行なう観点から、1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒径測定機を用いて測定される値であり、例えば、ベックマン・コールター社製の粒径測定機(商品名:マルチサイザー)を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度は、高画質の画像形成を行なう観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、トナー印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
ここで、「円形度」とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.4μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2010085674
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、例えば、シスメックス社製のフロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、及び「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
(5)外添工程
本発明のトナーの製造方法においては、上記(4)乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子を、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、上記(4)乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行なうことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナーとしてもよい。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行なう攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行なうことができる。ここで、攪拌機の撹拌翼の周速は、20〜50m/sが好ましく、30〜40m/sがより好ましい。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び酸化チタンが好ましく、特にシリカが好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(トナー)
上記(1)〜(5)工程を経て得られるトナーは、湿式法によるトナーの製造方法において、ワックスエマルジョンを、着色樹脂粒子に添加する時機を、脱水工程を経た後の時機に特定し、且つ、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率を特定の範囲とすることによって、着色樹脂粒子の表面に、ワックス成分を均一に付着させることができ、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスに優れ、且つ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れたトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)着色樹脂粒子の粒径特性
(1−1)体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒径分布(Dv/Dn)
着色樹脂粒子を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
(1−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に着色樹脂粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(2)含水率
ワックスエマルジョンを添加する直前の状態の着色樹脂粒子を、試料として約1g秤量し、アルミニウム皿に採取して、0.1mgまで精秤(W(g))した。
次いで、当該精秤した試料を、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後の重量を精秤(W(g))し、下記計算式3により含水率(%)を求めた。
また、ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子の総含水率についても、同様にして求めた。
Figure 2010085674
(3)トナーの特性
(3−1)定着評価
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ28枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着評価を行った。定着評価は、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて行った。
定着率は、定着ロールの温度が安定したところで、上記改造プリンターを用いて印字用紙に、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、当該黒ベタの印字領域においてテープ剥離を行ない、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。
すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式4から算出した。
計算式4:
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。
この定着評価において、定着率が85%に該当する定着ロールの温度を、トナーの定着温度とした。
(3−2)ホットオフセット評価
上記(3−1)定着評価で行った定着率の測定の際に用いたものと同様の改造プリンターを用いて、ホットオフセット評価を行った。
ホットオフセット評価は、定着ロールの温度を150℃から10℃ずつ230℃まで変化させて、黒ベタ(印字濃度100%)、及び白ベタ(印字濃度0%)の印字領域を有する印字パターンを印刷し、それぞれの温度で、白ベタ(印字濃度0%)の印字領域に印字汚れが認められた際に、定着ロールにトナーの融着が発生していないかホットオフセット現象の有無を目視にて観察した。
このホットオフセット評価において、定着ロールにトナーの融着が発生した最低の設定温度を、ホットオフセット発生温度とした。
なお、表1中、ホットオフセット発生温度が、「230<」と記載されているものは、定着ロールの温度が230℃の時点でもホットオフセット現象の発生がなかったことを示す。
(3−3)耐久印字試験
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ18枚/分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、1%印字濃度で20,000枚まで連続印字を行なった。
1,000枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。
この値が小さいほど、カブリが少なく良好であることを示す。
このカブリ値が2%以下の画質を維持できる連続印字枚数をカウントした。
(ワックスエマルジョンの製造例)
(製造例1)
圧力容器に、ワックス成分としてパラフィンワックス(日本精鑞社製、商品名:HNP−9、融点:75℃)30部、界面活性剤としてアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名:ネオゲンSC)0.3部、及びイオン交換水70部を投入し、加圧下にて120℃に加熱しながら、ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて混合し、この混合液を、高圧ホモジナイザー(A.P.V.Gaulin社製)を用いて、均質圧力20MPa下で、均質化処理することによって、ワックス成分が水系でワックス微粒子として安定して分散し、固形分濃度が30%のワックスエマルジョンAを作製した。
なお、ワックスエマルジョンAの平均粒子径を、レーザー散乱式粒子径測定装置(堀場製作所社製、商品名:LA920)を用いて測定したところ、平均粒子径は0.43μmであった。
(製造例2)
製造例1において、界面活性剤をノニオン性界面活性剤(花王社製、商品名:エマルゲン123P)に変更したこと以外は、製造例1と同様にして製造例2のワックスエマルジョンBを作製した。
なお、得られたワックスエマルジョンBの平均粒子径を、製造例1と同様の方法で測定したところ、平均粒子径は0.61μmであった。
(製造例3)
製造例1において、ワックス成分をフィッシャートロプシュワックス(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点:98℃(凝結点))に変更したこと以外は、製造例1と同様にして製造例3のワックスエマルジョンCを作製した。
なお、得られたワックスエマルジョンCの平均粒子径を、製造例1と同様の方法で測定したところ、平均粒子径は0.38μmであった。
(実施例1)
[着色樹脂粒子水分散液を得る工程]
モノビニル単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部(得られる共重合体の計算Tg=44℃)、シアン着色剤として銅フタロシアニン顔料(大日精化社製、商品名:クロモファインブルー、C.I.Pigment Blue 15:3)5部、帯電制御剤として正帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA−207P、スチレン/アクリル樹脂)1部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機を用いて、均一に分散させた。ここに、離型剤としてヘキサグリセリンオクタベヘネート(日油社製、商品名:WEP7)5部を添加、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。
他方、室温下(25℃)で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)8.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)4.8部を溶解した水溶液を、撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
なお、得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液の一部を採取し、水酸化マグネシウムコロイドの粒径分布を、粒径分布測定器(島津製作所社製、商品名:SALD)を用いて測定したところ、水酸化マグネシウムコロイドの粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下(25℃)で、上記コア用重合性単量体組成物を投入し、攪拌翼を備えた攪拌装置を用いて、生成する粗い液滴が安定するまで撹拌を行った。
そこへ、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高剪断攪拌して分散を行い、コア用重合性単量体組成物の液滴を形成させた。
上記液滴形成したコア用重合性単量体組成物の分散液(懸濁液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。
重合転化率が95%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解した2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、シェル用重合開始剤(水溶性))0.1部を、反応器内に添加した。
その後、さらに、90℃で3時間反応を継続した後、室温まで冷却し、コアシェル構造を有する着色樹脂粒子水分散液(pH9.5)を得た。
[分離洗浄工程]
上記着色樹脂粒子水分散液を、室温まで戻し、着色樹脂粒子水分散液のpHが5〜6となるまで、攪拌しながら、10%希硫酸水溶液を滴下し、酸洗浄し、pH調整を行なった。
上記pH調整された着色樹脂粒子水分散液(pH5.6)に、イオン交換水を加えて、固形分濃度が20重量%となるように着色樹脂粒子水分散液を調製し、当該調製した着色樹脂粒子水分散液を、連続式ベルトフィルター(住友重機械工業社製、商品名:イーグルフィルター)に供給して、洗浄水による洗浄を行いながら、固液分離し、湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させた。
上記洗浄により得られた湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%(含水率が80重量%)となるように調製し、着色樹脂粒子の再分散液を得た。
[脱水工程]
上記着色樹脂粒子の再分散液を、サイホンピーラー型遠心分離機(三菱化工機社製、商品名:Hz-40Si型)に供給して、遠心濾過法による脱水を行いながら、固液分離し、湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させた。
なお、脱水により得られたウエットケーキの一部を採取し、ウエットケーキの含水率を測定したところ、14重量%であった。
[乾燥工程]
脱水により得られた含水率が14重量%の湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を回収し、当該ウエットケーキ116.3部(固形分換算で100部)、及び製造例1のワックスエマルジョンA1.67部(固形分換算で0.5部)を混合後、真空乾燥機(神鋼パンテック社製、商品名:SVミキサー)に投入して、下記条件で、ウエットケーキの含水率が0.2重量%となるまで真空乾燥を行ない、着色樹脂粒子を得た。
<乾燥条件>
真空度:50Torr(6.67kPa)
ジャケット温度:50℃
なお、乾燥により得られた着色樹脂粒子の一部を採取し、着色樹脂粒子の粒径特性を調べたところ、体積平均粒径(Dv)は9.5μm、粒径分布(Dv/Dn)は1.16、平均円形度は0.980であった。
また、得られた着色樹脂粒子のシェル層の厚さは0.03μmであった。
[外添工程]
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、外添剤として、個数平均一次粒径が12nmの疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、商品名:TG820F)0.6部、及び個数平均一次粒径が40nmの疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:NA50Y)1.0部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、周速34m/sで混合攪拌して外添処理を行ない、実施例1のトナーを作製し、試験及び評価に供した。
(実施例2)
実施例1において、ワックスエマルジョンの添加時機を、脱水工程を経た直後の時機から乾燥工程を経た直後の時機に変更し、乾燥した着色樹脂粒子(含水率;0.1%)に、ワックスエマルジョンAを添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを作製し、試験及び評価に供した。
(実施例3)
実施例1において、ワックスエマルジョンの種類を、製造例1で作製したワックスエマルジョンAから、製造例2で作製したワックスエマルジョンBに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナーを作製し、試験及び評価に供した。
(実施例4)
実施例1において、ワックスエマルジョンの種類を、製造例1で作製したワックスエマルジョンAから、製造例3で作製したワックスエマルジョンCに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナーを作製し、試験及び評価に供した。
(比較例1)
実施例1において、ワックスエマルジョンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを作製し、試験及び評価に供した。
(比較例2)
実施例1において、ワックスエマルジョンの添加時機を、脱水工程を経た直後の時機から、脱水工程を経る前の時機に変更し、分離洗浄工程を経た後の着色樹脂粒子の再分散液(含水率;80%)に、ワックスエマルジョンAを添加したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナーを作製し、試験及び評価に供した。ここで、サイホンピーラー型遠心分離機を用いて脱水したときに分離された水は白濁していた。
なお、比較例2で作製したトナーについては、トナー粒子の表面に付着したワックスエマルジョンの付着状態を、走査型電子顕微鏡を用いて調べたところ、着色樹脂粒子の表面にはワックスエマルジョンは殆ど付着していないことが分かった。
(比較例3)
比較例2の結果を受けて、比較例2において、ワックスエマルジョンの添加量を、1.67部(固形分換算で0.5部)から、27.8部(固形分換算で8.34部)に変更したこと以外は、比較例2と同様にして比較例3のトナーを作製した。
なお、比較例3において、脱水工程を経る前の時機に、多量のワックスエマルジョンを添加したことに起因し、脱水工程で目詰まりが発生したため、試験及び評価は実施しなかった。
(結果)
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表1に示す。
Figure 2010085674
(結果のまとめ)
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1のトナーは、ワックスエマルジョンを添加せずに製造されたことに起因し、耐オフセット性、低温定着性、及び印字耐久性が共に不良であった。
比較例2のトナーは、脱水工程を経る前の時機に、ワックスエマルジョンを添加して製造されたことに起因し、低温定着性は比較例1よりは良かったものの、耐オフセット性、及び印字耐久性が共に不良であった。
比較例3では、脱水工程を経る前の時機に、多量のワックスエマルジョンを添加したことに起因し、脱水工程で目詰まりが生じて、トナーを製造することができなかった。
これに対して、実施例1〜4のトナーは、脱水工程を経た後の時機に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が特定の範囲となる条件で製造されたことに起因し、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び印字耐久性が共に良好であった。

Claims (10)

  1. 湿式法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る工程、当該着色樹脂粒子水分散液中の着色樹脂粒子を分離・洗浄し、水に再分散させて着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、当該着色樹脂粒子の再分散液を脱水して湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び当該湿潤状態の着色樹脂粒子の乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得る乾燥工程を含むトナーの製造方法において、
    上記脱水工程を経た後の時機の着色樹脂粒子に、ワックスエマルジョンを添加し、当該ワックスエマルジョンと着色樹脂粒子との総含水率が、0.1〜40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記ワックスエマルジョンが、脱水工程を経た直後の湿潤状態の着色樹脂粒子に添加されることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記ワックスエマルジョンが、乾燥工程を経た直後の乾燥した着色樹脂粒子に添加されることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記ワックスエマルジョンを添加する直前の状態の着色樹脂粒子の含水率が、40重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. 前記ワックスエマルジョンの添加量が、着色樹脂粒子100重量部(固形分換算)に対して、0.1〜2重量部(固形分換算)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  6. 前記ワックスエマルジョンの固形分濃度が、5〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. 前記ワックスエマルジョンの平均粒子径が、0.05〜2μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  8. 前記ワックスエマルジョンを構成するワックス成分が、パラフィンワックス又はフィッシャートロプシュワックスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. 前記ワックスエマルジョンを構成するワックス成分の融点が、60〜120℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  10. 前記ワックスエマルジョンが、アニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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