JP2006030760A - 静電像現像用トナー - Google Patents

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貴訓 遠藤
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Abstract

【課題】着色性および帯電性に優れ、フルカラー画像の高画質化、印字品質の向上を図ることができる静電像現像用マゼンタトナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、マゼンタ顔料および顔料分散剤を含有するマゼンタトナー粒子からなる静電像現像用トナーであって、前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩である静電像現像用トナーであり、また、結着樹脂および顔料分散剤とともに粉砕処理されたマゼンタ顔料を含有する静電像現像用トナーであって、前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩である静電像現像用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等において、静電像を現像するために用いられる静電像現像用トナーに関する。
近年、電子写真や静電記録等の画像形成技術においては、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成する技術が急速に進展しており、フルカラー複写機やフルカラープリンタをはじめ、かかる技術を用いた様々なフルカラー画像形成装置が広く使用されるようになってきた。そして、このような普及に伴い、画像のさらなる高画質化、印字品質の向上が求められている。
フルカラー画像の形成に用いられる従来のトナーは、熱可塑性樹脂中に、着色剤(顔料または染料)、荷電制御剤、離型剤等を溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することにより製造されている。この方法は、粉砕法と称し、材料や工程の管理が比較的容易であるという特徴を有している。
また、トナーの製造方法として、懸濁重合法と称する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、重合性単量体に、着色剤、荷電制御剤、離型剤等のトナーに内包すべき成分を、必要に応じて重合開始剤や分散剤等とともに溶解または分散させて重合性組成物とし、分散安定剤を含有する水系連続相に分散装置を使用して分散させて微粒子の分散体とし、この分散体を重合させて固化することによって、所望の粒径、組成を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法によれば、小粒径でかつ狭い粒径分布を持つトナー粒子を容易に得ることができ、かつ、粉砕法の粉砕工程がないため、消費エネルギーの節約、工程収率の向上、コストの削減といった効果が期待される。
フルカラー画像は、通常、このように製造される黒、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いて、例えば次のように形成される。まず、光導電物質を含む感光体ドラムを帯電し、原稿のイエロー画像信号で変調されたレーザ光により画像露光を行って、感光体ドラム上に静電像を形成した後、この静電像をイエロートナーで現像し、このイエロートナー像を紙等の被転写材上に転写する。転写後の感光体ドラムに対し除電およびクリーニングを施した後、再び帯電し、イエロートナーの場合と同様にしてマゼンタトナー像を形成し、イエロートナー像を転写した被転写材に転写する。同様にして、シアントナー像、ブラックトナー像を順に形成し、被転写材に転写した後、これらの複数色のトナー画像を定着させる。
フルカラー画像の高画質化、印字品質の向上を図るため、上記のようなトナーの粒子径を小さくすることが検討されている。粒子径の小さいトナーを使用することにより、前述の静電像を精細かつ忠実に再現しようとするものである。しかしながら、粒子径を小さくすると、単位面積あたりのトナー量が少なくなり、画像濃度が低下するため、トナーの単位体積あたりの着色力を上げて所望の画像濃度を得る必要が生じる。その手段としては、着色剤である顔料や染料の仕込み量を高める手段が一般的であるが、トナーの着色剤に用いられている顔料や染料は高価であり、製造コストが上昇する。そこで、トナー内部の顔料等の分散性を向上させることにより、顔料等自体の着色力を高めるとともに、トナーの透明性を向上させる研究が盛んに行われている。
顔料等の分散性を向上させる方法はこれまでにも種々提案されているが、その多くは顔料等の表面処理を行うものであり、例えば、上記懸濁重合法によるトナーにおいて、シランカップリング剤等による疎水化処理や、極性基を有するポリマーからなる顔料分散剤を顔料の表面に吸着させるなどの方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかしながら、顔料等の分散性に関して未だ十分に満足できるレベルに達するまでには至っていない。上記顔料分散剤を用いる方法では、ある程度の分散状態は得られるものの、顔料とのマッチングが不適切であると、乾燥、成型、重合反応等の後工程において顔料の再凝集が生じたり、水系媒体中での重合法トナーの製造においては、顔料表面の極性基の存在により、トナー表面への顔料の浮き出しが生じ、帯電性や環境安定性が低下することがあった。さらに、このような場合、トナー内部の顔料の分布に偏りを生じ、所望の着色性、帯電量が得られないおそれがあった。
特公昭51−14895号公報 特開平11−119461号公報 特許第2800558号公報
上述したように、フルカラー画像の高画質化、印字品質の向上を図るため、トナーの粒子径を小さくすることが検討され、さらに、そのために、顔料等の着色剤をトナー中に良好に分散させ、その着色力を高めることができる技術が要求されてきているが、未だ十分に満足できるものは得られていない。
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、顔料等の着色剤の分散性が良好で、着色性および帯電性に優れ、フルカラー画像の高画質化、印字品質の向上を図ることができる静電像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエステル酸アマイドアミン塩をマゼンタ顔料と組み合わせて使用することにより、マゼンタ顔料の分散性を高め、トナーに優れた着色性および帯電性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明の静電像現像用トナーは、結着樹脂、マゼンタ顔料および顔料分散剤を含有するマゼンタトナー粒子からなる静電像現像用トナーであって、前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩であることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明の静電像現像用トナーは、結着樹脂および顔料分散剤とともに粉砕処理されたマゼンタ顔料を含有する静電像現像用トナーであって、前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の静電像現像用トナーにおいて、マゼンタ顔料が、モノアゾナフトール系顔料またはキナクリドン系顔料を含むことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の静電像現像用トナーにおいて、マゼンタ顔料が、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド238およびC.I.ピグメントレッド269からなる群より選ばれることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、マゼンタトナー粒子は、懸濁重合法により製造されたものであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の静電像現像用トナーにおいて、静電像現像用トナーは、正帯電トナーであることを特徴とする。
本発明によれば、マゼンタ顔料がトナー中に良好に分散した、着色性および帯電性に優れた静電像現像用トナーを得ることができ、これを用いて高画質で、印字品質に優れたフルカラー画像を形成することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の静電像現像用トナーにおけるマゼンタトナー粒子は、結着樹脂とマゼンタ顔料と顔料分散剤とを必須成分として含有している。
結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来よりトナーの結着樹脂として使用されている樹脂のなかから適宜選択して用いることができる。その具体例としては、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体(例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体または共重合体)、ポリ塩化ビニル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニルブチレール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独または2種以上を混合して用いられる。
マゼンタ顔料としては、キナクリドン系顔料、モノアゾナフトール系顔料、ジスアゾナフトール系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料など、従来よりマゼンタトナーの着色剤して使用されている顔料のなかから適宜選択して用いることができるが、なかでも、キナクリドン系顔料、モノアゾナフトール系顔料が好ましい。キナクリドン系顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209等が例示される。また、モノアゾナフトール系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド176等が例示される。本発明においては、マゼンタ顔料として、特に、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269を使用することが好ましく、より高い着色性を有するマゼンタトナーを得ることができる。
このようなマゼンタ顔料は、結着樹脂100質量部あたり、通常3〜20質量部、好ましくは5〜10質量部添加される。
顔料分散剤は、上記マゼンタ顔料に吸着しやすい分子骨格と、溶媒および結着樹脂との親和性に優れたオリゴマーまたはポリマー部を有する重量平均分子量(Mw)が1,000〜100,000のポリエステル酸アマイドアミン塩で、酸価が5〜40mgKOH/g、アミン価が10〜50mgKOH/gのものである。このポリエステル酸アマイドアミン塩は、顔料分散工程で使用される結着樹脂あるいは重合性単量体との親和性を有しているため、結着樹脂あるいは重合性単量体中での顔料分散剤の遊離が起こりにくく、安定に存在可能である。ポリエステル酸アマイドアミン塩の重量平均分子量が、1,000未満では、十分な分散な安定化効果が得にくく、100,000を超えると、高粘度となり、重合性単量体への分散性が不良となるため、分散安定性が発揮されなくなる。ポリエステル酸アマイドアミン塩の重量平均分子量は、10,000〜50,000であるとより好ましい。また、ポリエステル酸アマイドアミン塩の酸価が前記範囲を外れると、顔料との親和性が低下して吸着しにくくなるため、分散安定性が不良となる。アミン価が前記範囲を外れた場合も同様に、顔料との親和性が低下して吸着しにくくなるため、分散安定性が不良となる。
酸価およびアミン価は、それぞれ、15〜25mgKOH/gおよび25〜40mgKOH/gであるとより好ましい。
このような顔料分散剤は、顔料100質量部あたり、通常2〜100質量部、好ましくは10〜50質量部添加される。
ここで、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により測定され、また、酸価はおよびアミン価はそれぞれJIS K 5601およびJIS K 7237に規定される方法に準拠して測定されたものである。
本発明におけるマゼンタトナー粒子には、様々な特性の付与を目的として、以下に例示するような、各種の添加剤を用いることができる。
例えば、トナーの摩擦帯電性を安定化するために、荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、トナーの帯電速度を速め、かつ、一定の帯電量を安定して維持するものが好ましく、トナー粒子の製造に重合法を用いる場合には、さらに、重合阻害性のないものであることが好ましい。具体的には、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等のポジ系荷電制御剤の使用が好ましい。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部あたり、0.5〜10質量部添加することが好ましい。荷電制御剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、トナーのクリーニング性や定着性を高めるために、離型剤を含有させることができる。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。離型剤は、結着樹脂100質量部あたり、5〜15質量部添加することが好ましい。
本発明におけるマゼンタトナー粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法、乳化凝集法等の公知の方法を用いることができるが、なかでも、懸濁重合法が好ましい。
以下、懸濁重合法による本発明のマゼンタトナー粒子の製造方法について説明する。
まず、結着樹脂の原料である重合性単量体の一部または全部に、顔料分散剤およびその他の必要に応じて添加される荷電制御剤、離型剤等の添加剤を溶解または分散させた後、撹拌しながら顔料を徐々に加え十分に重合性単量体になじませ、さらに、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加え顔料分散液を得る。次いで、この顔料分散液と、重合開始剤および残りの重合性単量体とを混合して重合性組成物を得る。この重合性組成物を、分散安定剤を含有する水系溶媒中に懸濁させ、造粒させた後、所定温度まで加温して重合を開始させる。重合終了後、生成された粒子を分離し、洗浄、脱水、乾燥を行うことにより、マゼンタトナー粒子を得る。なお、荷電制御剤等の添加剤は、分散機による撹拌処理後に添加混合するようにしてもよい。また、顔料分散液を得る際に、顔料と顔料分散剤とを別々に重合性単量体に添加し、混合するようにしてもよい。
マゼンタトナー粒子を重合法により製造する場合に用いることができる重合性単量体は、付加重合系あるいは縮合重合系単量体であり、好ましくは、付加重合系単量体である。具体的には、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族カルボン酸モノエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
また、重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができる。具体的には、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、4,4−アゾビス−4−シアノバレル酸、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物;アルカリ金属、金属水酸化物、グリニャール試薬等の求核試薬、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボニウムイオン等が挙げられる。重合開始剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部の範囲で使用される。
マゼンタトナー粒子を重合法で製造する場合、連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
さらに、分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウムなどのリン酸塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物等の金属化合物や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部の範囲で使用される。
本発明の静電像現像用トナーは、上述したマゼンタトナー粒子のみで構成してもよいが、流動性、帯電性、クリーニング性、保存性等をさらに向上させるために、流動性付与剤、研磨剤、滑剤、荷電制御性粒子等の外添剤を外添することも可能である。流動性付与剤としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物が好適に用いられ、これらに疎水化処理を行ったものがより好ましい。研磨剤としては、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等の金属酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩等が好適に用いられる。滑剤としては、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が好適に用いられる。荷電制御性粒子としては、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、カーボンブラック等が好適に用いられる。
これらの外添剤は、合計量で、マゼンタトナー粒子100質量部あたり、0.1〜10質量部使用することが好ましく、0.1〜5質量部の範囲がより好ましい。これらの外添剤は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明の静電像現像用トナーは、一成系分現像剤として用いることもできるし、公知のキャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできる。本発明のマゼンタトナーとともに使用されるキャリアの具体例としては、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズ等が挙げられる。これらのキャリア粒子は、表面を樹脂等で被覆処理したものであってもよい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は特に断らない限り「質量部」を意味する。また、トナーの平均粒径は、ベックマンコールター社製コールターマルチサイザーIIを用いて測定した重量平均粒径である。
実施例1
スチレン75部、ブチルアクリレート25部、顔料分散剤としてポリエステル酸アマイドアミン塩(楠本化成社製 商品名 DA−703−50;酸価11mgKOH/g、アミン価31mgKOH/g)2部および離型剤としてフィッシャートロプシュワックス(加藤洋行社製 商品名 パラフリントH1T)5部の混合物を撹拌しながらマゼンタ顔料としてモノアゾナフトール系顔料(C・I・ピグメントレッド238)5部を徐々に添加した後、この混合物をボールミルに投入し15時間撹拌して顔料分散液を得た。この顔料分散液について放置テストを行ったところ、約1か月放置後においても顔料の凝集および沈降は観察されなかった。
上記顔料分散液に、電荷制御剤として第4級アンモニウム塩(クラリアントジャパン社製 商品名 PSY)1部、ステアリン酸マグネシウム0.4部、2−フェニルイミダゾール0.2部、架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート0.2部を添加し、十分に混合した。次いで、この混合物に、重合開始剤として2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部添加混合して、油相(重合性組成物)を得た。
一方、蒸留水380部に、分散安定剤としてリン酸カルシウム(Ca(PO)10部を添加した後、2N塩酸90部を加えてリン酸カルシウムを溶解し、水相を得た。
この水相を攪拌しながら、前記油相を投入し、さらに、4N水酸化ナトリウム水溶液60部を加えて、リン酸カルシウムを析出させた後、十分に混合して懸濁液を形成した。
この懸濁液をエムテクニック社製クリアミックスCLM−5Sを用いて10,000rpmで攪拌し、造粒した後、60℃で6時間、さらに、80℃で3時間重合反応させた。重合反応終了後、懸濁液を固液分離し、希塩酸による洗浄、イオン交換水による水洗を行い、十分に乾燥させてマゼンタトナー粒子を得た。得られたマゼンタトナー粒子は、平均粒径が7.1μmであった。
得られたマゼンタトナー粒子100部に対し、疎水性シリカ(クラリアントジャパン社製 商品名 H30TA)1部を、ヘンシェルミキサを用いて外添し、マゼンタトナーを得た。さらに、このマゼンタトナー3部に対し、疎水性樹脂によって表面処理したフェライト粉(平均粒径50μm)97部を加え、十分に混合して現像剤を得た。
実施例2
マゼンタ顔料として、C・I・ピグメントレッド238に代えて、C・I・ピグメントレッド269を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液を得た。この顔料分散液について放置テストを行ったところ、約1か月放置後においても顔料の凝集および沈降は観察されなかった。
上記顔料分散液に、電荷制御剤として第4級アンモニウム塩PSYを1部、ステアリン酸マグネシウム0.4部、2−フェニルイミダゾール0.2部、架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート0.2部を添加し、十分に混合した。次いで、この混合物に、重合開始剤として2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部添加混合して、油相(重合性組成物)を得た。
一方、蒸留水300部に、分散安定剤としてリン酸カルシウム(Ca(PO)15部を添加した後、2N塩酸90部を加えてリン酸カルシウムを溶解し、水相を得た。
この水相を攪拌しながら、前記油相を投入し、さらに、4N水酸化ナトリウム水溶液90部を加えて、リン酸カルシウムを析出させた後、十分に混合して懸濁液を形成した。
この懸濁液をエムテクニック社製クリアミックスCLM−5Sを用いて10,000rpmで攪拌し、造粒した後、60℃で6時間、さらに、80℃で3時間重合反応させた。重合反応終了後、懸濁液を固液分離し、希塩酸による洗浄、イオン交換水による水洗を行い、十分に乾燥させてマゼンタトナー粒子を得た。得られたマゼンタトナー粒子は、平均粒径が5.3μmであった。
得られたマゼンタトナー粒子100部に対し、疎水性シリカH30TA1部を、ヘンシェルミキサを用いて外添し、マゼンタトナーを得た。さらに、このマゼンタトナー3部に対し、疎水性樹脂によって表面処理したフェライト粉(平均粒径50μm)97部を加え、十分に混合して現像剤を得た。
実施例3
マゼンタ顔料として、C・I・ピグメントレッド238に代えて、キナクリドン系顔料(C・I・ピグメントレッド122)を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液を得た。この顔料分散液について放置テストを行ったところ、約1か月放置後においても顔料の凝集および沈降は観察されなかった。
上記顔料分散液に、電荷制御剤として第4級アンモニウム塩PSYを1部、ステアリン酸マグネシウム0.4部、2−フェニルイミダゾール0.2部、架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート0.2部を添加し、十分に混合した。次いで、この混合物に、重合開始剤として2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部添加混合して、油相(重合性組成物)を得た。
一方、蒸留水240部に、分散安定剤としてリン酸カルシウム(Ca(PO)15部を添加した後、2N塩酸200部を加えてリン酸カルシウムを溶解し、水相を得た。
この水相を攪拌しながら、前記油相を投入し、さらに、4N水酸化ナトリウム水溶液90部を加えて、リン酸カルシウムを析出させた後、十分に混合して懸濁液を形成した。
この懸濁液をエムテクニック社製クリアミックスCLM−5Sを用いて10,000rpmで攪拌し、造粒した後、60℃で6時間、さらに、80℃で3時間重合反応させた。重合反応終了後、懸濁液を固液分離し、希塩酸による洗浄、イオン交換水による水洗を行い、十分に乾燥させてマゼンタトナー粒子を得た。得られたマゼンタトナー粒子は、平均粒径が5.1μmであった。
得られたマゼンタトナー粒子100部に対し、疎水性シリカH30TA1部を、ヘンシェルミキサを用いて外添し、マゼンタトナーを得た。さらに、このマゼンタトナー3部に対し、疎水性樹脂によって表面処理したフェライト粉(平均粒径50μm)97部を加え、十分に混合して現像剤を得た。
比較例
顔料分散剤を用いない以外は実施例1と同様にして顔料分散液を得た。この顔料分散液について放置テストを行ったところ、翌日に顔料の凝集および沈降を確認した。
得られた顔料分散液を用いて実施例1と同様にしてマゼンタトナーを製造し、さらにこのマゼンタトナーを用いて現像剤を得た。
上記各実施例および比較例で得られた現像剤の帯電量を、常温常湿(N/N)(20℃、40%RH)および高温高湿(H/H)(35℃、85%RH)の各環境下、京セラケミカル社製ブローオフ帯電量測定装置にてそれぞれ測定した。また、同環境下、得られた各現像剤を用い、京セラミタ社製フルカラー複写機LSC8008改造機により画像形成を行い、画像かぶり特性を評価した。これらの結果を、静電像現像用トナー製造時の造粒性の評価とともに表1に示す。
なお、画像かぶり特性および造粒性の評価基準は次の通りである。
5:非常に良好
4:良好
3:やや良好
2:やや不良
1:不良
Figure 2006030760
表1からも明らかなように、実施例の現像剤は、N/N環境およびH/H環境のいずれの環境下においても、良好な帯電性およびかぶり特性を有していることが確認された。

Claims (6)

  1. 結着樹脂、マゼンタ顔料および顔料分散剤を含有するマゼンタトナー粒子からなる静像現像用トナーであって、
    前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩であることを特徴とする静電像現像用トナー。
  2. 結着樹脂および顔料分散剤とともに粉砕処理されたマゼンタ顔料を含有する静電像現像用トナーであって、
    前記顔料分散剤が、重量平均分子量が1,000〜100,000であって、酸価が5〜40であり、かつ、アミン価が10〜50のポリエステル酸アマイドアミン塩であることを特徴とする静電像現像用トナー。
  3. マゼンタ顔料が、モノアゾナフトール系顔料またはキナクリドン系顔料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の静電像現像用トナー。
  4. マゼンタ顔料が、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド238およびC.I.ピグメントレッド269からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1または2記載の静電像現像用トナー。
  5. マゼンタトナー粒子は、懸濁重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の静電像現像用トナー。
  6. 静電像現像用トナーは、正帯電トナーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の静電像現像用トナー。
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