JP4670812B2 - 重合トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した装置の現像に用いることが出来る静電荷像現像用トナー、特に重合トナー、及びその製造方法に関するものである。
近年、電子写真法を用いた、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置に対し、印刷のカラー化のニーズが高まっている。カラーの印刷では、写真等の高精細画像の印刷も行なうことから、解像度の高さが必要とされ、それに対応しうるカラートナーが求められている。
また、印刷のコストの低減も求められており、トナーに対しては、印字の際のトナーの耐久性(以下、「印字耐久性」ともいう。)の向上等が要求されている。
トナーの面から解像度を高めるには、良好な転写性とドット再現性を両立できることから、小粒径で球形のトナーが適しており、その製造方法として、重合法が提案されている。
トナーの従来の製造方法である粉砕法では、特に小粒径のトナーを製造する場合、収率が低下し、粉砕に多くのエネルギーを消費するのに対し、重合法では、収率が高く、粉砕工程が不要なことから消費エネルギーも低く、さらに、球形のトナーを容易に製造することができる。
重合法によるトナーの製造方法では、懸濁重合法が主流である。懸濁重合法では、まず、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、及び必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけることにより、重合性単量体組成物の造粒を行なう。その後、造粒された重合性単量体組成物が分散した水系媒体を、重合開始剤の存在下で重合し、濾過材による濾過、洗浄、乾燥を経て、着色重合体粒子を得る。さらに、この着色重合体粒子に、必要に応じてキャリア及び/又は、無機微粒子等の外添剤を混合し、重合トナーとしている。ここで、重合トナーとは、種々の重合法で作製された静電荷像現像用トナーをいう。
しかし、上記による重合トナーの製造において、重合により着色重合体粒子を得る際に、目的とする着色重合体粒子のほかに、微小粒子が副生してしまう。ここで、重合トナーに含まれる不要な小粒径微粒子としては、主に、粒径が0.6μm未満のいわゆるサブミクロンオーダーで且つ着色剤を含有していない微小粒子と、粒径が0.6μm〜5μm程度の着色重合体粒子(小粒径着色重合体粒子ともいう。)とがあるが、本発明における微小粒子とは、前者のことをいう。この両者は、生成過程が異なると推測される。微小粒子は小粒径ゆえに特別な問題を引き起こす。
上記微小粒子が副生すると、得られた着色重合体粒子を水系媒体から濾過する際に、遊離した微小粒子の一部が濾過材に目詰まりし、濾過速度が低下してしまい、安定的且つ効率の良い製造が困難となる。
また、微小粒子を多く含んだ着色重合体粒子から重合トナーを製造し、その重合トナーを印刷に用いると、微小粒子は付着力が大きいため、現像機内の部材に付着しやすい。多数枚の印字を行なうと、この付着した微小粒子が次第に現像機内の部材に蓄積し、部材にフィルミング(固着)する。現像ブレード、又は、現像ロールとトナー収容部の間のシール部材に微小粒子がフィルミングした場合、現像ロール上の均一なトナー層の形成が出来なくなり、画像に縦筋が発生しやすくなる。現像ロールや感光体にフィルミングした場合、紙等の記録媒体上にかぶりが発生し、トナーの印字耐久性を低下させる。
このような着色重合体粒子を重合する時の微小粒子の副生を防ぐために、重合の際に添加する重合開始剤の濃度を低くすると、所望の粒径の着色重合体粒子が得ることが難しい。一方、重合の際に重合禁止剤を添加し、その使用量を多くすると、微小粒子の副生を防ぐことはできるが、同時に、目的とする着色重合体粒子を得るための重合性単量体の重合をも阻害してしまい、その結果、残留重合性単量体が多くなってしまう。
微小粒子の副生を防止するための方法として、重合性単量体としてラジカル重合性単量体、着色剤、及び、その他の添加物として該ラジカル重合性単量体に可溶でかつアルカリ性の水系媒体に可溶なラジカル重合禁止剤を含有する、重合性単量体組成物を、アルカリ性の水系媒体中で懸濁させたのち、重合してトナーを製造する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、微小粒子の発生を防止する効果が、不十分であり、また、得られるトナーは印字耐久性も劣っているという問題があった。
また、重合性単量体として重合性ビニル系単量体、芳香族オキシカルボン酸、及び着色剤等からなる重合性単量体組成物を、水溶性重合禁止剤が含有されている水系分散媒体中で、造粒し、重合を行なう方法が提案されており、この方法により芳香族オキシカルボン酸が重合中に水系分散媒体へ溶出することなく、トナー中に含有することができると記載されている(特許文献2)。ところが、この方法は、造粒前に水溶性重合禁止剤を添加しており、造粒の際に水溶性重合禁止剤の多くが重合性単量体組成物に移行してしまい、本発明で課題としている、微小粒子の副生の防止に対しては、効果はほとんど無かった。
特開平5−100484号公報 特開2000−66448号公報
本発明の課題は、重合時に副生する微小粒子が非常に少なく、印字耐久性が良い重合トナーと、その重合トナーを安定的かつ効率良く製造する方法を提供することである。
かくして本発明によれば、重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤を含んでなる重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合することにより得られる着色重合体粒子を含有する重合トナーにおいて、該着色剤は、銅フタロシアニン及びモノアゾ顔料からなる群から選ばれる着色剤であり、且つ、該重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒した後、重合する前に、造粒された重合性単量体組成物が分散した水系媒体に、水溶性重合禁止剤を添加することにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
上記着色重合体粒子は、コアシェル型の着色重合体粒子であってもよい。
該着色重合体粒子を形成するための重合工程において副生する微小粒子の粒子数は、該着色重合体粒子1個あたり70個以下であることが好ましい。
該着色重合体粒子の球形度は、1.0〜1.3であることが好ましい。
さらに、該水溶性重合禁止剤はハイドロキシ化合物であることが好ましく、該帯電制御剤は帯電制御樹脂であることがより好ましい。該水系媒体は、分散安定化剤を含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤を含んでなる重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合することにより着色重合体粒子を得て、これを含有する重合トナーを製造する方法において、該着色剤は、銅フタロシアニン及びモノアゾ顔料からなる群から選ばれる着色剤であり、且つ、該重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒した後、重合する前に、造粒された重合性単量体組成物が分散した水系媒体に、水溶性重合禁止剤を添加する製造方法が提供される。好ましくは、該着色重合体粒子が、コアシェル型の着色重合体粒子である重合トナーを製造する方法が提案される。該着色重合体粒子を重合する工程において副生する微小粒子の粒子数は、該着色重合体粒子1個あたり70個以下であることが好ましく、該着色重合体粒子の球形度は、1.0〜1.3であることが好ましい。さらに、該水溶性重合禁止剤は、ハイドロキシ化合物であることが好ましく、該帯電制御剤は帯電制御樹脂であることがより好ましい。該水系媒体は、分散安定化剤を含有することが好ましい。
本発明によって、重合時に副生する微小粒子が非常に少なく、残留重合性単量体が少なく、印字耐久性に優れた重合トナーと、その重合トナーを安定的かつ効率良く製造する方法が提供される。
以下、本発明の重合トナー及びその製造方法について説明する。
本発明の重合トナーは、以下のように製造される。まず、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤さらに必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とする。この重合性単量体組成物を、水系媒体に入れ、重合開始剤を添加し、造粒した後、水溶性重合禁止剤を添加し、重合を行ない、着色重合体粒子の水分散液が得られる。この水分散液を、洗浄、脱水、乾燥し、必要に応じて分級を行ない、さらに必要に応じて、外添剤及び/又はキャリアを添加して、重合トナーを得る。
(1)重合性単量体組成物
本発明で重合性単量体は、重合可能な化合物をいう。
重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等の不飽和アミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルが、好適に用いられる。
モノビニル単量体は、それを重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、Tgと表す)が80℃以下になるように選択することが好ましい。モノビニル単量体を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することにより、得られる重合体のTgを所望の範囲に調整することができる。
ホットオフセットの発生を改善するために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジアクリレート化合物とその誘導体;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のその他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、トナーの保存時における凝集防止と定着温度の低温化とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。
マクロモノマーは、該マクロモノマーを用いて重合した時に、モノビニル単量体のみを重合して得られる重合体のTgよりも高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明では、着色剤を用いるが、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
本発明における着色剤において、ブラックの着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の着色剤を用いることができる。カーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好適に用いられる。粒径がこの範囲にあると、カーボンブラックをトナー中に均一に分散でき、かぶりも少なくなるので好ましい。
シアンの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigment ブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられ、着色力があり、重合性単量体組成物を重合する際の安定性がよいことから、C.I.Pigment ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、及び17:1等の銅フタロシアニンが好ましく、C.I.Pigment ブルー15:3がさらに好ましい。
イエローの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.Pigment イエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。着色力があり、重合性単量体組成物を重合する際の安定性がよいことから、C.I.Pigment イエロー3、15、65、73、74、97、及び120等のモノアゾ顔料が好ましく、C.I.Pigment イエロー74がより好ましい。
マゼンタの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.Pigment レッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment バイオレット19等が挙げられる。着色力があり、重合性単量体組成物を重合する際の安定性がよいことから、C.I.Pigment レッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、112、114、146、150、163、170、185、187、206、及び207等のモノアゾ顔料が同様に好ましい。
着色剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
着色剤の重合性単量体組成物中での、分散状態を安定化するために、顔料分散剤を添加することが好ましい。顔料分散剤としては、アルミニウムカップリング剤、シランカップリング剤、及びチタンカップリング剤等のカップリング剤が好ましい。顔料分散剤は、モノビニル単量体100重量部当たり、通常0.05〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部の割合で使用される。この範囲で添加すると、均一な分散を効率良く行なうことができる。
帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム基含有共重合体及び4級アンモニウム塩の基を含有する共重合体、スルホン酸基含有共重合体及びスルホン酸塩の基を含有する共重合体、並びにカルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩の基を含有する共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤は、帯電制御樹脂を含むことが好ましい。帯電制御剤のうち、樹脂でない帯電制御剤と、帯電制御樹脂を併用しても良いし、帯電制御樹脂を単独で用いても良い。帯電制御樹脂を単独で用いることがより好ましい。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム基含有共重合体若しくは4級アンモニウム塩の基を含有する共重合体、又はスルホン酸基含有共重合体若しくはスルホン酸塩の基を含有する共重合体を用いることが、さらに、好ましい。
帯電制御剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いられる。
その他の添加物として、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン化合物が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。上記分子量調整剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
また、その他の添加物として、トナーの定着時における定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。
離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等の低分子量ポリオレフィンワックス;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端エポキシ化低分子量ポリプロピレン、これらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端エポキシ化低分子量ポリエチレン、及びこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマー等の末端変性ポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の石油ワックス、並びにこれらの変性ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びにジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化物;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの内、示差走査熱量計を用いて、昇温時のDSC曲線から測定される吸熱ピーク温度が30〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃の範囲にあるペンタエリスリトールエステルや、同吸熱ピーク温度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトールエステルが、定着−剥離性バランスの面で特に好ましい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部用いられ、更に好ましくは1〜20重量部用いられる。
(2)造粒
本発明では、以上のようにして得られた、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の造粒を行なう。造粒の方法は特に限定されないが、例えば、インライン型乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なう。
本発明において、水系媒体は、水単独でもよいが、水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。水に溶解可能な溶剤としては、メタノール、イソプロパノール、及びエチレングリコールなどのアルコール;ジメチルホルムアミド;テトラヒドロフラン;アセトン、メチルエチルケトンなどの低級ケトン;などが挙げられる。
本発明において、水系媒体中における、重合性単量体組成物の液滴やその重合により得られる着色重合体粒子の分散を安定させ、粒径分布の狭い着色重合体粒子を得る観点から、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。該分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を低下させないので好ましい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物が挙げられる。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、さらに印字耐久性も良いことから、過酸化物を用いることが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、造粒前に添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1.0〜10重量部である。
(3)水溶性重合禁止剤
本発明において、水溶性重合禁止剤は、上記の造粒後、重合する前に、造粒された重合性単量体組成物を含む水系媒体に添加される。
水溶性重合禁止剤としては、用いる水系媒体に可溶な重合禁止剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、フェノール、第3級ブチルカテコール、ハイドロキノン、及びカテコール等のハイドロキシ化合物;メチルアニリン、p−フェニレンジアミン、N,N’−テトラエチル−p−フェニレンジアミン、及びジフェニルアミン等のアミノ化合物;テトラアルキルチウラムジスルフィド、及びジチオベンゾイルジスルフィド等のイオウ化合物;等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で、若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも本発明のトナーの製造方法に特に好ましく用いられる水溶性重合禁止剤は、ハイドロキシ化合物である。中でも、ハイドロキノンがより好ましい。
水溶性重合禁止剤の添加量は、上記モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは、0.00001重量部以上0.5重量部以下、より好ましくは、0.0001重量部以上0.25重量部以下である。上記水溶性重合禁止剤の添加量が、上記範囲未満の場合、微小粒子の副生を防止しにくくなり、一方、上記範囲を超える場合、トナー中の残留重合性単量体量が増加する。
(4)重合
上記のようにして造粒を行ない、水溶性重合禁止剤を添加した水系分散媒体を加熱し、重合を開始する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
このようにして得た重合体粒子(着色重合体粒子という。)は、そのままで重合トナーとして用いてもよいし、外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色重合体粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なる材質からなるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色重合体粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色重合体粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着性(定着温度の低温化)と保存性(トナーの保存時における凝集防止)とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色重合体粒子を用いて、コアシェル型の着色重合体粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色重合体粒子の製造方法を以下に説明する。
上記着色重合体粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色重合体粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性アゾ化合物;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。シェル用重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(5)濾過、洗浄、脱水、乾燥
重合により得られた、着色重合体粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、濾過、分散安定化剤の除去を行なう洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として金属水酸化物等の無機化合物を使用した場合、着色重合体粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の金属水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色重合体粒子の水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、無機酸が好適であり、特に硫酸が好適である。
脱水、濾過の方法は、種々の公知の方法などを用いることが出来、特に限定されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることが出来る。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
本発明の重合トナーを構成する、着色重合体粒子、またはコアシェル型の着色重合体粒子について述べる(以下の着色重合体粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む)。
着色重合体粒子は、着色重合体粒子を形成するための重合工程において副生する微小粒子の粒子数が、該着色重合体粒子1個あたり70個以下であることが好ましい。
本発明においては、上述したように、コアシェル型の着色重合体粒子を形成することができる。この場合には、コア層を形成するための重合工程、及び、シェル層を形成するための重合工程において副生する微小粒子の粒子数が、コアシェル型の着色重合体粒子1個あたり70個以下であることが好ましい。
着色重合体粒子の体積平均粒径Dvは、好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvがこれらの範囲未満であると重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、得られる画像にカスレが発生したり、印字濃度が低下する場合があり、反対に、これらの範囲を超えると画像の解像度が低下する場合がある。
本発明の重合トナーを構成する着色重合体粒子は、その体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、トナーの転写性が低下したり、得られる画像にカスレが発生したり、印字濃度及び解像度の低下が起こったりする場合がある。着色重合体粒子のDv、及びDpは、例えば、粒度分布測定器(ベックマン・コールター社製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
本発明の重合トナーを構成する着色重合体粒子は、その球形度Sc/Srが1.0〜1.3であるものを用いることが好ましく、球形度Sc/Srが1.0〜1.2であるものを用いることが更に好ましい。球形度Sc/Srがこれらの範囲を超えると、トナーの転写性が低下したり、流動性が低下し、得られる画像がカスレ易くなったりする場合がある。着色重合体粒子の球形度Sc/Srは、以下のように求められる。着色重合体粒子を電子顕微鏡で撮影し、得られた写真を画像処理解析装置(ニレコ社製、商品名「ルーゼックスIID」)により、フレーム面積に対する粒子の面積率を最大2%、トータル処理数を100個の条件で測定する。得られた100個の着色重合体粒子の球形度Sc/Srを平均することにより求められる。
球形度=Sc/Sr
Sc:着色重合体粒子の絶対最大長を直径とした円の面積
Sr:着色重合体粒子の実質投影面積
(6)重合トナー
着色重合体粒子は、そのままで重合トナーとして電子写真の現像に用いることもできるが、重合トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて着色重合体粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を混合し一成分重合トナーとすることができる。また、前記着色重合体粒子、外添剤及びその他の粒子に加えて、さらに、公知となっている種々の方法により、フェライト、鉄粉等のキャリア粒子を混合し、二成分重合トナーとすることもできる。本発明においては、一成分重合トナーとすることがより好ましい。
外添剤としては、通常、トナーの流動性や帯電性を向上させる目的で使用されている無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられ、着色重合体粒子より粒径の小さい粒子を用いる。例えば、無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の粒子が挙げられ、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びメラミン樹脂等の粒子やコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカや酸化チタンが好適であり、この表面を疎水化処理した粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカがより好ましい。2種類以上の疎水化処理されたシリカを併用することがさらに好ましい。
外添剤の添加量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)副生微小粒子数
電界放射型走査顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名「S−4700」)を用い、乾燥した着色重合体粒子の表面を5,000倍に拡大して観察した。
各サンプルについて5視野の画像撮影を行ない、各画像において無作為に10個の着色重合体粒子を選び、これらの50個の着色重合体粒子表面に観察される、副生微小粒子の個数を数えた。これより、着色重合体粒子1個あたりの副生微小粒子の個数を算出した。
(2)印字試験(フィルミング、印字縦筋発生枚数)
印字試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(18枚機)を用いた。このプリンターの現像装置に、試験する重合トナーを入れ、温度23℃及び湿度50%の環境下で一昼夜放置後、同環境下にて1%印字濃度で連続印字を20,000枚行なった。現像ロールとトナー収容部の間のシール部材であるフィルムへのフィルミング状態を目視で確認し、以下の通りに評価した。
○ 全く見られない
△ 一部見られる
× 全面に見られる
また、1,000枚ごとにベタ画像を印字し、印字縦筋(ベタ画像において、紙送りの向きにスジ状の模様が出る現象)の発生の有無を確認した。印字縦筋が初めて確認された枚数を、印字縦筋発生枚数とした。
(3)残留重合性単量体量の定量
以下の条件で定量分析を実施した。
(サンプル調製)
(1)重合終了直後の着色重合体粒子の水分散液を脱水し、脱水により得られた水を含んだ着色重合体粒子を、100mlねじ口付きガラス瓶に、約3gを10mgの単位まで精秤する。
(2)ジメチルホルムアミド27g±0.1gを加え、スターラーで攪拌し溶解させる。
(3)メタノール13g±0.1gを加え、引き続き約10分間攪拌して高分子量成分を析出させる。
(4)攪拌を停止し、析出物を沈殿させる。
(5)上澄みを注射筒に抜き取り、フィルター(アドバンテック社製、商品名「メンブランフィルター25JP020AN」)を注射筒に装着して沈殿物をろ過し、得られたサンプル液をガスクロマトグラフィー(GC)にて分析する。
(6)一方、重合直後の着色重合体粒子の水分散液を、均一に分散させた状態でサンプリングして、直径5cmのアルミ皿に約2g精秤し、105℃のオーブンで2時間乾燥させ、放冷後に重量を測定し、固形分濃度を求めた。
(7)上記(5)で求めたGC分析の結果をスチレン検量線と対比してサンプル液の残留重合性単量体濃度を決定し、残留重合性単量体の重量を得た。続いて上記(6)で求めた固形分濃度を用いて、乾燥した着色重合体粒子の単位重量あたりの残留重合性単量体量(ppm)を求めた。
(分析条件)
装置:GC−2010(株式会社島津製作所製)
カラム:TC−WAX(ジーエルサイエンス株式会社製)
df=0.5μm、0.25mm I.D.×60m
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム(線速度 21.3m/sec)
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
オーブン温度:100℃で2分間保持後、5℃/分の速度で150℃まで上昇させ、150℃で6分間保持
サンプリング量:2μl
(実施例1)
モノビニル単量体としてスチレン83部とn−ブチルアクリレート17部(得られる共重合体の計算Tg=60℃)、着色剤として銅フタロシアニン5部、帯電制御剤(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成株式会社製、商品名「FCA−207P」)1部、ジビニルベンゼン0.9部、t−ドデシルメルカプタン1.9部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部を、撹拌、混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート(溶解度は10g/100gスチレン、以上、吸熱ピークは65℃、分子量は1,514)5部を添加、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
これと別に、室温で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム8.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.8部を溶解した水溶液を、撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。上記水酸化マグネシウムコロイドの粒径分布を、粒径分布測定器(島津製作所社製、商品名「SALD」)で測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。
上記により得られた、水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記重合性単量体組成物を投入、撹拌し、そこに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)5部を添加後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「マイルダー」)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間、高剪断撹拌して、造粒を行なった。
前記の造粒した重合性単量体組成物の水分散液を、反応器へ入れ、この反応器へ、水溶性重合禁止剤として、ハイドロキノン0.25部の5%水溶液を添加した。該反応器を90℃に昇温し、重合反応を行ない、重合転化率が95%に達したときに、シェル用重合性単量体としてのメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤(和光純薬社製、商品名「VA086」)0.1部を添加した。更に3時間重合を継続した後、室温まで冷却し、pH9.5の着色重合体粒子の水分散液を得た。
この着色重合体粒子の水分散液を、硫酸を添加してpHを4以下にする酸洗浄を行ない、濾過により脱水した後、再び、イオン交換水500部を加えて、スラリーにし、水洗浄を行った。その後、同様に、脱水と水洗浄を、数回繰り返し、濾過により脱水した後、真空乾燥機の容器内に入れ、圧力30torr、温度45℃で一昼夜真空乾燥し、乾燥した着色重合体粒子を得た。
この乾燥した着色重合体粒子の体積平均粒径Dvは9.5μmであり、体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dpは1.16であった。また、シェル用重合性単量体量と着色重合体粒子の粒径から算定した、シェル層の厚みは0.03μmで、球形度Sc/Srは1.20、DSC測定で、Tgは63℃であった。
上記により得られた着色重合体粒子100部に、外添剤として、疎水化処理されたシリカ微粒子(一次粒径7mm)0.8部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(一次粒径30mm)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、混合し、非磁性一成分の重合トナーを調製した。
(実施例2)
着色剤を、銅フタロシアニン5部から、モノアゾ顔料であるC.I.Pigment イエロー74を5部に、また、ハイドロキノン(水溶性重合禁止剤)の添加量をモノビニル単量体100部に対して、0.25部から0.10部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例1)
水溶性重合禁止剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例2)
水溶性重合禁止剤を、水系媒体へ分散させる前の重合性単量体組成物に、添加したこと以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例3)
水溶性重合禁止剤を、重合性単量体組成物を水系媒体に分散した後、造粒を行なう前に、重合性単量体組成物が分散された水系媒体へ添加したこと以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
Figure 0004670812
本発明により得られた重合トナーは、ファクシミリ、複写機、及びプリンター等の電子写真法による画像形成装置において、現像剤として用いることができる。

Claims (14)

  1. 重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤を含んでなる重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合することにより得られる着色重合体粒子を含有する重合トナーにおいて、該着色剤は、銅フタロシアニン及びモノアゾ顔料からなる群から選ばれる着色剤であり、且つ、該重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒した後、重合する前に、造粒された重合性単量体組成物が分散した水系媒体に、水溶性重合禁止剤を添加することを特徴とする重合トナー。
  2. 該着色重合体粒子が、コアシェル型の着色重合体粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の重合トナー。
  3. 該着色重合体粒子を形成するための重合工程において副生する微小粒子の粒子数が、該着色重合体粒子1個あたり70個以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の重合トナー。
  4. 該着色重合体粒子の球形度が、1.0〜1.3であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の重合トナー。
  5. 該水溶性重合禁止剤が、ハイドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の重合トナー。
  6. 該帯電制御剤が、帯電制御樹脂であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の重合トナー。
  7. 該水系媒体が、分散安定化剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の重合トナー。
  8. 重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤を含んでなる重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合することにより着色重合体粒子を得て、これを含有する重合トナーを製造する方法において、該着色剤は、銅フタロシアニン及びモノアゾ顔料からなる群から選ばれる着色剤であり、且つ、該重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒した後、重合する前に、造粒された重合性単量体組成物が分散した水系媒体に、水溶性重合禁止剤を添加することを特徴とする重合トナーの製造方法。
  9. 該着色重合体粒子が、コアシェル型の着色重合体粒子であることを特徴とする、請求項8に記載の重合卜ナーの製造方法。
  10. 該着色重合体粒子を形成するための重合工程において副生する微小粒子の粒子数が、該着色重合体粒子1個あたり70個以下であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の重合トナーの製造方法。
  11. 該着色重合体粒子の球形度が、1.0〜1.3であることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  12. 該水溶性重合禁止剤が、ハイドロキシ化合物であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  13. 該帯電制御剤が、帯電制御樹脂であることを特徴とする、請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  14. 該水系媒体が、分散安定化剤を含有することを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
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