JP6001519B2 - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー及びその製造方法に関し、特にカプセルトナー及びその製造方法に関する。
特許文献1にはカプセルトナー及びその製造方法が開示されている。カプセルトナーは、コアと、コアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とから構成される。
特開2004−294469号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れるトナーを得ることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れるトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む。前記トナー粒子は、コアと前記コアの表面に形成されたシェル層とを有する。前記トナー粒子の断面をEELS分析し、前記シェル層に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、前記コアに含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする。この場合、前記INsに対する前記INcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、最大厚さが5nm以上である条件を満たす前記シェル層の存在する割合は前記コアの周長の50%以上である。さらに、前記条件を満たす前記シェル層の最大長さは100nm以上である。
本発明に係るトナーの製造方法は、コアを形成するステップと、液に前記コアとシェル層の材料とを入れるステップと、前記液中で前記コアの表面に前記シェル層を形成してトナー粒子を得るステップとを含む。ここで、前記トナー粒子の断面をEELS分析し、前記シェル層に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、前記コアに含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする。こうした場合において、本発明に係るトナーの製造方法では、前記INsに対する前記INcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、最大厚さが5nm以上である条件を満たす前記シェル層の存在する割合は前記コアの周長の50%以上であり、前記条件を満たす前記シェル層の最大長さは100nm以上になるように、前記コアの酸価、前記シェル層の材料の添加量、及び前記シェル層の材料の混和度の少なくとも1つを調整する。
本発明によれば、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れるトナー及びその製造方法を提供することが可能になる。
本発明の実施形態に係るトナーを構成するトナー粒子を示す図である。 吸熱曲線からのガラス転移点を読み取る方法を説明するための図である。 S字カーブからの軟化点を読み取る方法を説明するための図である。 本発明の実施例に係るトナーに含まれるトナー粒子のSEM写真である。 図4の一部を拡大したSEM写真である。 本発明の実施例において、試料の断面の一例を示すTEM写真である。 本発明の実施例において、EELS強度マップの作成(マッピング)方法を説明するための図である。 本発明の実施例において、EELS強度のマッピング画像の一例を示す図である。 本発明の実施例において、コアのEELS強度の測定方法を説明するための図である。 本発明の実施例において、コアのEELS強度の測定方法を説明するための図である。 本発明の実施例において、シェル層の長さの測定方法を説明するための図である。 本発明の実施例において、コアの被覆率の算出方法を説明するための図である。 (a)及び(b)はそれぞれ、本発明の実施例において、コアの被覆率の算出方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るトナーは、静電荷像現像用のカプセルトナーである。本実施形態のトナーは、多数の粒子(以下、トナー粒子という)から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置で用いることができる。
電子写真装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電荷像を現像する。これにより、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、さらに転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して記録媒体に定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いてそれぞれのトナー像を重ね合わせれば、フルカラー画像を得ることができる。
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナー(特にトナー粒子)の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーを構成するトナー粒子10を示す図である。
図1に示すように、トナー粒子10は、コア11と、コア11の表面に形成されたシェル層12(カプセル層)と、外添剤13とから構成される。
コア11は、結着樹脂11aと、内添剤11b(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)とから構成される。コア11は、シェル層12によって被覆されている。シェル層12の表面には外添剤13が付着している。
トナー粒子の構成は上記に限られない。例えば、必要がなければ内添剤11b又は外添剤13を割愛してもよい。また、トナー粒子は、コア11の表面に複数のシェル層12を有していてもよい。積層された複数のシェル層12をトナー粒子が有する場合には、複数のシェル層12のうち最外のシェル層12がカチオン性を有することが好ましい。
コア11がアニオン性を有し、シェル層12がカチオン性を有することが好ましい。コア11がアニオン性を有することで、シェル層12の形成時にカチオン性のシェル層12の材料をコア11の表面に引き付けることが可能になる。詳しくは、例えば水性媒体中で負に帯電するコア11と水性媒体中で正に帯電するシェル層12の材料とが相互に電気的に引き寄せられ、例えばin−situ重合によりコア11の表面にシェル層12が形成される。これにより、分散剤を用いて水性媒体中にコア11を高度に分散させずとも、コア11の表面に均一なシェル層12を形成し易くなる。
コア11においては、コア成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂11aが占める。このため、結着樹脂11aの極性がコア11全体の極性に大きな影響を与える。例えば結着樹脂11aがエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有している場合には、コア11はアニオン性になる傾向が強くなり、例えば結着樹脂11aがアミノ基、アミン、又はアミド基を有している場合には、コア11はカチオン性になる傾向が強くなる。
本実施形態においてコア11がアニオン性であることの指標は、pHが4に調整された水性媒体中で測定されるコア11のゼータ電位が負極性を示すことである。コア11とシェル層12との結合を強めるためには、コア11のpH4におけるゼータ電位が0Vよりも小さく、トナー粒子10のpH4におけるゼータ電位が0Vよりも大きいことが好ましい。なお、本実施形態においてpH4はシェル層12を形成する時のpHに相当する。
ゼータ電位の測定方法としては、例えば電気泳動法、超音波法、又はESA(電気音響)法が挙げられる。
電気泳動法は、粒子分散液に電場を印加して分散液中の帯電粒子を電気泳動させ、電気泳動速度に基づきゼータ電位を算出する方法である。電気泳動法としては、例えばレーザードップラー法(電気泳動している粒子にレーザー光を照射し、得られた散乱光のドップラーシフト量から電気泳動速度を求める方法)が挙げられる。レーザードップラー法は、分散液中の粒子濃度を高濃度とする必要がなく、ゼータ電位の算出に必要なパラメーターの数が少なく、加えて電気泳動速度を感度よく検出できるという利点を有する。
超音波法は、粒子分散液に超音波を照射して分散液中の帯電粒子を振動させ、この振動によって生じる電位差に基づきゼータ電位を算出する方法である。
ESA法では、粒子分散液に高周波電圧を印加して分散液中の帯電粒子を振動させて超音波を発生させる。そして、その超音波の大きさ(強さ)からゼータ電位を算出する。
超音波法及びESA法は、粒子濃度が高い(例えば、20質量%を超える)粒子分散液であっても、ゼータ電位を感度よく測定することができるという利点を有する。
本実施形態ではコア11もシェル層12も分散剤(界面活性剤)を有しない。一般に、分散剤は排水負荷が高い。分散剤を用いなければ、洗浄工程での水の使用量を削減できる。また、分散剤を用いなければ、トナー粒子10を製造する際に排出される排水を希釈することなく、排水の全有機炭素(TOC)濃度を15mg/L以下の低いレベルにすることが可能となる。
なお、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、又は全有機炭素(TOC)濃度を測定することによって、廃水中の有機物成分(例えば、未反応のモノマー、プレポリマー、又は分散剤)を測定することができる。中でも、TOC濃度に基づけば、有機物全般を安定的に測定することができる。また、TOC濃度を測定することで、廃水(反応後のろ過液及び洗浄液の全体)中のカプセル化に寄与しなかった有機成分の量を特定することができる。
以下、コア11(結着樹脂11a及び内添剤11b)、シェル層12、及び外添剤13について、順に説明する。
[コア]
コア11は、結着樹脂11a及び内添剤11b(着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含む。ただし、トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。
[結着樹脂(コア)]
以下、結着樹脂11aについて説明する。
結着樹脂11aが強いアニオン性を得るためには、結着樹脂11aの水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂11aのガラス転移点(Tg)は、シェル層12に含まれる熱硬化性樹脂の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうした結着樹脂11aを用いれば、高速定着時においても十分な定着性を得やすい。また、熱硬化性樹脂(特にメラミン系の樹脂)の硬化開始温度は55℃程度であることが多い。結着樹脂11aのTgは、20℃以上であることが好ましく、30℃以上55℃以下であることがより好ましく、30℃以上50℃以下であることがさらに好ましい。結着樹脂11aのTgが20℃以上であるとシェル層12の形成時にコア11が凝集しにくくなる。
結着樹脂11aの軟化点(Tm)は100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。結着樹脂11aのTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)であることで、高速定着時においても十分な定着性を得ることが可能になる。また、結着樹脂11aのTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)であれば、水性媒体中でコア11の表面にシェル層12を形成する際に、シェル層12の硬化反応中にコア11が部分的に軟化し易くなるため、コア11が表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、異なるTmを有する複数の結着樹脂を組み合わせることで、結着樹脂11aのTmを調整することができる。
以下、図2を参照して、吸熱曲線から結着樹脂11aのTgを読み取る方法について説明する。図2は吸熱曲線の一例を示すグラフである。
Tgの測定に際しては、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて吸熱曲線を測定する。例えば図2に示すような吸熱曲線が得られる。結着樹脂11aのTgは、結着樹脂11aの吸熱曲線における比熱の変化点から求めることができる。
次に、図3を参照して、S字カーブから結着樹脂11aのTmを読み取る方法について説明する。図3はS字カーブの一例を示すグラフである。
高架式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて、結着樹脂11aのTmを測定することができる。具体的には、測定試料を高架式フローテスターにセットし、所定の条件で試料を溶融流出させる。これにより、S字カーブ(温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)が得られる。得られたS字カーブから結着樹脂11aのTmを読み取ることができる。図3において、S1はストロークの最大値を示し、S2は低温側のベースラインのストローク値を示す。S字カーブ中のストロークの値が(S1+S2)/2となる温度を測定試料のTmとする。
図1を参照して説明を続ける。
結着樹脂11aは、例えば官能基としてエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基、カルボキシル基、又はアミノ基を有する樹脂から構成されることが好ましい。結着樹脂11aとしては、分子中に水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基のような官能基を有する樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有するコア11(結着樹脂11a)は、シェル層12の材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合し易くなる。こうした化学的な結合が生じると、コア11とシェル層12との結合が強固になる。
結着樹脂11aとしては、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、又はスチレン−ブタジエン系樹脂が挙げられる。中でも、スチレンアクリル系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び被記録媒体に対する定着性に優れる。
(スチレンアクリル系樹脂)
以下、結着樹脂11aとしてのスチレンアクリル系樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、例えばスチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。
スチレン系単量体の好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル系単量体の好適な例としては、(メタ)アクリル酸、特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)メタアクリル酸メチル、(メタ)メタアクリル酸エチル、(メタ)メタアクリル酸n−ブチル、又は(メタ)メタアクリル酸iso−ブチルが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピルが好ましい。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、水酸基を有する単量体(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。例えば、水酸基を有する単量体の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整することができる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸を単量体として用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。例えば、(メタ)アクリル酸の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の酸価を調整することができる。
コア11の強度又は定着性を向上させるためには、結着樹脂11aとしてのスチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。結着樹脂11aのMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(ポリエステル樹脂)
以下、結着樹脂11aとしてのポリエステル樹脂について説明する。
ポリエステル樹脂は、例えば2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合することで得られる。
ポリエステル樹脂の2価又は3価以上のアルコール成分の好適な例としては、ジオール類、ビスフェノール類、又は3価以上のアルコール類が挙げられる。
ジオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが好ましい。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAが好ましい。
3価以上のアルコール類としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが好ましい。
ポリエステル樹脂の2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、例えばエステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)を用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
2価カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はアルキルもしくはアルケニルコハク酸が好ましい。さらに、アルケニルコハク酸としては、例えばn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸が好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が好ましい。
ポリエステル樹脂を製造する際に、2価又は3価以上のアルコール成分の使用量と2価又は3価以上のカルボン酸成分の使用量とをそれぞれ適宜変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
コア11の強度又は定着性を向上させるためには、結着樹脂11aとしてのポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1200以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上20以下であることが好ましい。結着樹脂11aのMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
[着色剤(コア)]
以下、コア11(内添剤11b)に含まれてもよい着色剤について説明する。
着色剤としては、例えばトナー粒子10の色に合わせて公知の顔料や染料を用いることができる。着色剤の使用量は、100質量部の結着樹脂11aに対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(黒色着色剤)
本実施形態に係るトナー粒子10のコア11は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤は、例えばカーボンブラックから構成される。また、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
(カラー着色剤)
本実施形態に係るトナー粒子10のコア11は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤は、例えば縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物から構成されることが好ましい。イエロー着色剤としては、例えばC.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが好ましい。
マゼンタ着色剤は、例えば縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物から構成されることが好ましい。マゼンタ着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が好ましい。
シアン着色剤は、例えば銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物から構成されることが好ましい。シアン着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが好ましい。
[離型剤(コア)]
以下、コア11(内添剤11b)に含まれてもよい離型剤について説明する。
離型剤は、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は100質量部の結着樹脂11aに対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はベトロラクタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが好ましい。
[電荷制御剤(コア)]
以下、コア11(内添剤11b)に含まれてもよい電荷制御剤について説明する。
本実施形態ではコア11がアニオン性(負帯電性)を有するため、コア11では負帯電性の電荷制御剤を使用してもよい。電荷制御剤は、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性又は安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標になる。
[磁性粉(コア)]
以下、コア11(内添剤11b)に含まれてもよい磁性粉について説明する。
トナーを1成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量100質量部に対して35質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
磁性粉は、例えば鉄(フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金、又は二酸化クロムから構成されることが好ましい。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。こうした範囲に磁性粉の粒子径がある場合には、結着樹脂11a中に磁性粉を均一に分散させ易くなる。
[シェル層]
シェル層12の材料としては、水に分散する材料が好ましい。
シェル層12は熱硬化性樹脂から構成されることが好ましく、強度、硬度、又はカチオン性を向上させるためには、窒素原子を含む樹脂又はその誘導体から構成されることがより好ましい。シェル層12が窒素原子を含む場合には、シェル層12が正帯電し易くなる。カチオン性を強くするためには、シェル層12中の窒素原子の含有量が10質量%以上であることが好ましい。
シェル層12を構成する熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素(ユリア)樹脂、スルホアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、又はこれら各樹脂の誘導体が好ましい。メラミン樹脂の誘導体では、例えばメチロールメラミンが好ましい。グアナミン樹脂の誘導体では、例えばベンゾグアナミン、アセトグアナミン、又はスピログアナミンが好ましい。
シェル層12を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば窒素元素を分子骨格に有するポリイミド樹脂、マレイド系重合体、ビスマスイミド、アミノビスマスイミド、又はビスマスイミドトリアジンが好ましい。
シェル層12を構成する熱硬化性樹脂としては、アミノ基を含む化合物とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)との重縮合によって生成される樹脂(以下、アミノアルデヒド樹脂という)、又はアミノアルデヒド樹脂の誘導体が特に好ましい。なお、メラミン樹脂は、例えばメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂は、例えば尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂は、例えばグリオキザールと尿素との反応物とホルムアルデヒドとの重縮合物である。
シェル層12に含まれる樹脂のうち、80質量%以上の樹脂が熱硬化樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂が熱硬化樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂が熱硬化樹脂であることがさらに好ましい。
シェル層12の厚さは、1nm以上20nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。
シェル層12の厚さが20nm以下であると、トナーを被記録媒体へ定着させる際の加熱加圧等によって、シェル層12が容易に破壊されるようになる。その結果、コア11に含まれる結着樹脂11a及び離型剤の軟化又は溶融が速やかに進行し、低温域でトナーを被記録媒体に定着することが可能になる。さらに、シェル層12の厚さが20nm以下であるとシェル層12の帯電性が強くなり過ぎないため、画像が適正に形成される。
一方、シェル層12の厚さが1nm以上であると、十分な強度を有するものとなり輸送時の衝撃等によってシェル層12が破壊されることを抑制することができる。
シェル層12の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子10の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。
なお、本実施形態ではシェル層12がカチオン性(正帯電性)を有する。このため、シェル層12では正帯電性の電荷制御剤を使用できる。
[外添剤]
以下、外添剤13について説明する。以下、外添剤13により処理される前の粒子を「トナー母粒子」と記載する。
外添剤13は、トナー粒子10の流動性又は取扱性を向上させるために使用され、シェル層12の表面に付着する。流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤13の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
外添剤13は、例えばシリカ又は金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、もしくはチタン酸バリウム)から構成されることが好ましい。
流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤13の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子10の断面をEELS分析し、シェル層12に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、コア11に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする場合に、次のような構成を有する。すなわち、本実施形態に係るトナーにおいて、INsに対するINcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、厚さが5nm以上である条件を満たすシェル層12の存在する割合はコア11の周長の50%以上である。さらに、本実施形態に係るトナーにおいて、上記条件を満たすシェル層12の最大長さは100nm以上である。
本実施形態に係るトナーは、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れる。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーの製造方法では、コア11を形成する。続けて、液にコア11とシェル層12の材料とを入れる。続けて、液中でコア11の表面にシェル層12を形成してトナー粒子10を得る。そして、INsに対するINcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、最大厚さが5nm以上である条件を満たすシェル層12の存在する割合がコア11の周長の50%以上であり、上記条件を満たすシェル層12の最大長さが100nm以上になるように、コア11の酸価、シェル層12の材料の添加量、及びシェル層12の材料の混和度の少なくとも1つを調整する。
本実施形態に係るトナーの製造方法によれば、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れるトナーを製造することが可能になる。
本発明の実施例について説明する。
表1に、本実施例において評価した試料(トナーA〜Q)を示す。
以下、トナーA〜Qの調製方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、トナーに関する評価結果(形状及び物性などを示す値)は、特に記載していなければ、相当数のトナー粒子について測定した値の平均である。
[トナーAの調製方法]
トナーAの調製方法について説明する。
(コアの作製)
以下、トナーAの調製方法においてコアA(コア11)を作製する手順について説明する。
トナーAの調製方法では、粉砕分級法を用いてコアAを作製した。結着樹脂11aとして、ポリエステル樹脂を用いた。
用いたポリエステル樹脂においては、水酸基価(OHV値)が9.7mgKOH/g、酸価(AV値)が20mgKOH/g、Tmが100℃、Tgが49℃であった。
着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン顔料)を用いた。離型剤としては、エステルワックス(日油株式会社製「WEP−3」)を用いた。
混合機(日本コークス工業株式会社製「ヘンシェルミキサー」)を用いて、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して上記着色剤5質量部及び上記離型剤5質量部を混合した。続けて、混合物を2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)で混練した。続けて、混練物を機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)で粉砕し、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェット」)により分級した。これにより、中位径(体積分布基準)6.1μmのコアAが得られた。コアAはアニオン性を有していた。
得られたコアAの形状指数(円形度)は、0.93であった。円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いた。
得られたコアAにおいては、Tgが42℃、Tmが90℃であった。Tgの測定には、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6200」)を用いた。Tmの測定には、高架式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いた。
(シェル層の形成)
以下、トナーAの調製方法においてシェル層12を形成する手順について説明する。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保った。そして、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れ、さらに希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内にシェル材A(昭和電工株式会社製「ミルベンレジンSUM−100(固形分濃度80%)」)2mLを添加し、フラスコ内容物を攪拌してシェル材Aを水性媒体に溶解させた。シェル材Aは、混和度500のメチロール化尿素であった。
なお、混和度は、シェル層12の材料(例えばシェル材A)に対する溶媒(例えば水性媒体)の溶解度である。例えば混和度が500質量%であれば、シェル層12の材料の5倍(質量比)の溶媒がシェル層12の材料に入り込むことができる。シェル層12の材料の重合度が高いほど混和度が低くなる傾向がある。
本実施例では、測定温度60℃でシェル層12の材料(例えばシェル材A)に水を少しずつ加えながら攪拌し、シェル層12の材料(例えばシェル材A)に対する水の溶解限界点(白濁するポイント)を目視で検出することにより混和度を測定した。
続けて、フラスコ内に300gのコアAを添加し、フラスコ内容物を十分攪拌した。
続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを追加し、フラスコの内容物を攪拌しながら1℃/分の速度でフラスコ内の温度を70℃まで上げて70℃の状態を2時間保った。
上記のように温度70℃で2時間放置した結果、コア11表面に熱硬化性樹脂(尿素樹脂)から構成されるカチオン性のシェル層12が形成された。その後、フラスコ内容物を常温(25℃)まで冷却した。その結果、トナー母粒子を含む分散液が得られた。
(洗浄及び乾燥)
トナー母粒子(コア11及びシェル層12)の形成後、ブフナーロート(ヌッチェ)を用いて分散液を吸引ろ過(固液分離)した。これにより、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られた。その後、トナー母粒子1gに対してイオン交換水25mLの割合で、イオン交換水にトナー母粒子を分散させた。さらに、ろ過と分散とを繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。イオン交換水100gにトナー母粒子10gを分散させた分散液の導電率が3μS/cm以下になるまで分散及びろ過を繰り返した。導電率の測定には、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「HORIBA ES−51」を用いた。
続けて、洗浄されたウェットケーキ状のトナー母粒子を解砕し、真空オーブンを用いてトナー母粒子を12時間かけて乾燥した。
(外添)
上記乾燥工程により得られたトナー母粒子の粉体100質量部と、正帯電性のシリカ微粒子(詳しくは、一次粒子の径が20nmである日本アエロジル株式会社製の「シリカ90G」の表面をシリコーンオイル及びアミノシランで処理したもの)0.4質量部とを、5Lの混合機(日本コークス工業株式会社製「ヘンシェルミキサー」)にて5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤13が付着した。続けて、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて混合物を篩分けした。これにより、トナー粒子10を多数有するトナーAが得られた。
図4は、トナーAに含まれるトナー粒子10のSEM写真である。図5は、図4の一部を拡大したSEM写真である。これらのSEM写真(図4及び図5)はそれぞれ、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700 F」)を用いて撮影された。
図4に示すように、球状のトナー粒子10が得られた。また、図5に示すように、トナー母粒子の表面には外添剤13が付着していた。
トナーAの円形度は0.972であった。円形度の測定方法は、以下の通りである。0.1gのトナーAに界面活性剤を加えて、超音波によってトナーA中に界面活性剤を分散させた。続けて、トナーA及び界面活性剤をシース液で希釈した。その後、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、トナーAの円形度を測定した。
次に、トナーB〜Qの調製方法について説明する。なお、トナーB〜Qの評価方法は、特に記載していなければ、トナーAの評価方法と同じである。
[トナーBの調製方法]
トナーBの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから1mLに変更した以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーBの円形度は0.976であった。
[トナーCの調製方法]
トナーCの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーCの円形度は0.965であった。
[トナーDの調製方法]
トナーDの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから0.5mLに変更した以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーDの円形度は0.978であった。
[トナーEの調製方法]
トナーEの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから0.1mLに変更した以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーEの円形度は0.989であった。
[トナーFの調製方法]
トナーFの調製方法は、コアAに代えてコアBを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーFの円形度は0.97であった。
以下、コアBについて説明する。
コアBを作製する際には、コアAを作製するときよりも、ポリエステル樹脂(コアBの結着樹脂11a)の合成に用いるエチレンオキサイド付加物の量(付加数)を増やした。得られたポリエステル樹脂(コアBの結着樹脂11a)においては、水酸基価(OHV値)が10mgKOH/g、酸価(AV値)が19mgKOH/g、Tmが98.2℃、Tgが50℃であった。
その後、コアAの作製方法と同様にして、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部及び離型剤(日油株式会社製「WEP−3」)5質量部を混合し、混合物を混練し、混練物を粉砕し、粉砕物を分級した。これにより、中位径(体積分布基準)6.2μmのコアBが得られた。コアBはアニオン性を有していた。
得られたコアBにおいては、形状指数(円形度)が0.934、Tgが43℃、Tmが89℃であった。
[トナーGの調製方法]
トナーGの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーFの調製方法と概ね同じである。トナーGの円形度は0.963であった。
[トナーHの調製方法]
トナーHの調製方法は、コアAに代えてコアCを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーHの円形度は0.982であった。
以下、コアCについて説明する。
コアCを作製する際には、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(詳しくは、ビスフェノールAを骨格にしてプロピレンオキサイドを付加したアルコール)に多官能基を有する酸(詳しくは、パラフタル酸)を反応させることによりポリエステル樹脂(コアCの結着樹脂11a)を合成した。得られたポリエステル樹脂(コアCの結着樹脂11a)においては、水酸基価(OHV値)が9mgKOH/g、酸価(AV値)が20mgKOH/g、Tmが98.6℃、Tgが50℃であった。
その後、コアAの作製方法と同様にして、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部及び離型剤(日油株式会社製「WEP−3」)5質量部を混合し、混合物を混練し、混練物を粉砕し、粉砕物を分級した。これにより、中位径(体積分布基準)6.1μmのコアCが得られた。コアCはアニオン性を有していた。
得られたコアCにおいては、形状指数(円形度)が0.933、Tgが42℃、Tmが88.6℃であった。
[トナーIの調製方法]
トナーIの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーHの調製方法と概ね同じである。トナーIの円形度は0.978であった。
[トナーJの調製方法]
トナーJの調製方法は、コアAに代えてコアDを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーJの円形度は0.971であった。
以下、コアDについて説明する。
コアDを作製する際には、コアAを作製するときよりも、ポリエステル樹脂(コアDの結着樹脂11a)の合成に用いる酸モノマーの量(配合比)を1.2倍に増やした。得られたポリエステル樹脂(コアDの結着樹脂11a)においては、水酸基価(OHV値)が9.2mgKOH/g、酸価(AV値)が31mgKOH/g、Tmが99℃、Tgが50.1℃であった。
その後、コアAの作製方法と同様にして、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部及び離型剤(日油株式会社製「WEP−3」)5質量部を混合し、混合物を混練し、混練物を粉砕し、粉砕物を分級した。これにより、中位径(体積分布基準)6.2μmのコアDが得られた。コアDはアニオン性を有していた。
得られたコアDにおいては、形状指数(円形度)が0.932、Tgが45℃、Tmが89.2℃であった。
[トナーKの調製方法]
トナーKの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーJの調製方法と概ね同じである。トナーKの円形度は0.964であった。
[トナーLの調製方法]
トナーLの調製方法は、コアAに代えてコアEを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーLの円形度は0.981であった。
以下、コアEについて説明する。
コアEを作製する際には、コアAを作製するときよりも、ポリエステル樹脂(コアEの結着樹脂11a)の合成に用いる酸モノマーの量(配合比)を0.7倍に減らした。得られたポリエステル樹脂(コアEの結着樹脂11a)においては、水酸基価(OHV値)が10mgKOH/g、酸価(AV値)が9mgKOH/g、Tmが97℃、Tgが49.2℃であった。
その後、コアAの作製方法と同様にして、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部及び離型剤(日油株式会社製「WEP−3」)5質量部を混合し、混合物を混練し、混練物を粉砕し、粉砕物を分級した。これにより、中位径(体積分布基準)6.1μmのコアEが得られた。コアEはアニオン性を有していた。
得られたコアEにおいては、形状指数(円形度)が0.931、Tgが43.1℃、Tmが88.6℃であった。
[トナーMの調製方法]
トナーMの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Aの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーLの調製方法と概ね同じである。トナーMの円形度は0.979であった。
[トナーNの調製方法]
トナーNの調製方法は、シェル材Aに代えてシェル材Bを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーNの円形度は0.97であった。
シェル材Bは、混和度200のメチロール化尿素(昭和電工株式会社製「ミルベンレジンKAM−7(固形分濃度80%)」)であった。シェル材Bの添加量は2mLであった。
[トナーOの調製方法]
トナーOの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Bの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーNの調製方法と概ね同じである。トナーOの円形度は0.962であった。
[トナーPの調製方法]
トナーPの調製方法は、シェル材Aに代えてシェル材Cを用いた以外は、トナーAの調製方法と概ね同じである。トナーPの円形度は0.977であった。
シェル材Cは、混和度1000の水溶性メチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレヂンS−260(固形分濃度80%)」)であった。シェル材Cの添加量は2mLであった。
[トナーQの調製方法]
トナーQの調製方法は、シェル層12の形成において、シェル材Cの添加量を2mLから4mLに変更した以外は、トナーPの調製方法と概ね同じである。トナーQの円形度は0.97であった。
[評価方法]
評価方法は、以下の通りである。
(コアの被覆率、シェル層の長さ、シェル層の厚さ)
トナー粒子10を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散し、40℃の雰囲気にて2日間硬化させて硬化物を得た。この硬化物を四酸化オスミウムにて染色した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて切り出し、厚さ200nmの薄片試料を得た。そして、電界放出形透過電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JEM−2100F」)を用いて加速電圧200kVの条件で上記試料の断面を撮影した。図6は、試料の断面の一例を示すTEM写真である。本実施例では、TEM撮影像から無作為に選んだ100個のトナー粒子10を測定試料とした。ただし、TEM撮影された断面(トナー粒子10)のうち、最も長い直径が3μm未満である断面(トナー粒子10)は、測定対象から除外した。
続けて、エネルギー分解能1.0eV、ビーム径1.0nmの電子エネルギー損失分光法(EELS)検出器(ガタン社製「GIF TRIDIEM(登録商標)」)と、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF 5.5.0」)とを用いてTEM撮影像を解析した。詳しくは、シェル層12に含まれる元素(炭素、酸素、窒素、及び硫黄)のEELS強度マップを作成した。画像(TEM撮影像)上の1ピクセルのサイズは5nm角であった。
以下、主に図7及び図8を参照して、EELS強度マップの作成(マッピング)について説明する。
まず、図7に示すように、画像解析ソフトウェア(WinROOF)を用いてトナー粒子10の重心Gを特定した。続けて、重心Gから放射状に線を引いてトナー粒子10の表面を30個の領域Rに分割した。そして、分割部分(領域R)の各々についてEELS検出器を用いて炭素、酸素、窒素、及び硫黄のマッピングを行った。
図8に、領域RにおいてEELS強度マップを作成したマッピング画像の一例を示す。領域Rにおいてトナー粒子10の周方向に相当するY方向の長さは500ピクセルであった。
画像解析ソフトウェア(WinROOF)を用いて作成したマッピング画像においては、EELS強度が画像の白さに比例した。そこで、画像解析ソフトウェア(WinROOF)の濃度キャリブレーション機能を用いて画像濃度を分割した。詳しくは、最も白い部分の値を255、最も黒い部分の値を0として、画像濃度を256分割した。
本実施例では、トナー粒子10の断面をEELS分析して、次の条件(1)及び(2)の両方を満足するシェル層12を検出した。
(1)シェル層12の窒素元素に由来するN−K殻吸収端のINsに対するコア11の窒素元素に由来するN−K殻吸収端のINcの比率(INc/INs)が0.0以上0.2以下であること
(2)厚さが5nm以上であること
上記検出に際しては、領域Rにおいて、コア11に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端のEELS強度を測定した。以下、主に図9及び図10を参照して、コア11のEELS強度の測定方法について説明する。
まず、図9に示すように、マッピング画像において、コア11の領域から無作為に100箇所の測定部位Pを選んだ。続けて、選ばれた100個の測定部位Pについてそれぞれ、EELS強度を測定した。EELS強度は256階調で測定された。続けて、図10に示すように、測定された100個のEELS強度の平均値を求めた。本実施例では、100個の測定部位Pについてそれぞれ、コア11に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端のEELS強度を測定した。そして、測定された100個のEELS強度の平均値をINc(評価に用いる値)とした。
条件(1)を満たすためには、INsがINcの5倍以上であること(INc×5≦INs)が要件となる。例えば、INcが6.8である場合には、INsが34(=6.8×5)以上であれば、そのピクセルは条件(1)を満たす。また、本実施例では、画像上の1ピクセルのサイズが5nm角である。このため、コア11の表面に条件(1)を満足するシェル層12としてのピクセルが1つでもあれば、シェル層12の厚さは5nm以上である(条件(2)を満足する)こととした。
次に、領域Rにおいて、シェル層12に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端のEELS強度(INs)を測定して、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12を検出した。詳しくは、画像解析ソフトウェア(WinROOF)の二値化機能を用いて、画像(TEM撮影像)上で条件(1)を満足するシェル層12としてのピクセルを特定した。また、前述したように、条件(1)を満足するシェル層12としてのピクセルが1つでもあれば、条件(2)も満足することとした。
続けて、領域R(詳しくは、コア11の表面)において条件(1)及び(2)を満足するシェル層12の長さを測定した。以下、主に図11を参照して、シェル層12の長さの測定方法について説明する。
画像解析ソフトウェア(WinROOF)の計測機能(手動計測機能及びライン長計測機能)を用いて、シェル層12の長さを測定した。詳しくは、図11に示すように、画像解析ソフトウェア(WinROOF)が、シェル層12を線P1〜P5に変換し、線P1〜P5の各々の長さ及びこれらの長さの総和を測定した。一例では、下記のような測定値が得られた。
・線P1の長さ:10.466ピクセル
・線P2の長さ:41.254ピクセル
・線P3の長さ:33.494ピクセル
・線P4の長さ:57.154ピクセル
・線P5の長さ:276.344ピクセル
・線P1〜P5の各長さの総和:約419ピクセル
続けて、領域Rにおいて、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12でコア11の表面が被覆される割合(コア11の被覆率)を求めた。詳しくは、本実施例では、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12の長さ(ピクセル)の総和を500ピクセルで除した。なお、500ピクセルは、領域RのY方向(トナー粒子10の周方向)の長さに相当する。上記例では、線P1〜P5の各長さの総和が約419ピクセルであるため、コア11の被覆率は83.8%(=419×100/500)であった。
次に、コア11の全周において条件(1)及び(2)を満足するシェル層12が存在する割合(以下、被覆率Rnと記載する)を算出した。また、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12の最大長さ(以下、最大長さLnと記載する)を求めた。
以下、主に図12、図13(a)、及び図13(b)を参照して、被覆率Rnの算出方法について説明する。
図12に示すように、分割された30個の領域R(図7参照)の全てについて上記と同様にしてコア11の被覆率を求めた。こうして得られた30個の被覆率の平均値を被覆率Rnとした。また、1つのトナー粒子10を構成するシェル層12のうち条件(1)及び(2)を満足するシェル層12の長さを求め、求めた長さのうち最大の長さを最大長さLnとした。
図13(a)に、被覆率Rnが100%であるトナー粒子10を示す。図13(a)において、長さL0はトナー粒子10の断面の周長を示す。
図13(b)に、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12でコア11が部分的に被覆されたトナー粒子10を示す。図13(b)において、長さL1〜L5はそれぞれ、条件(1)及び(2)を満足するシェル層12の長さを示す。被覆率Rnは、長さL1〜L5の総和を長さL0で除することにより算出することができる。被覆率Rnは「Rn=100×(L1+L2+L3+L4+L5)/L0」の式に基づいて算出できる。また、図13(b)において、長さL1〜L5のうちの最大の長さ(例えば、長さL2)が、最大長さLnに相当する。
各試料(トナー)に含まれる100個のトナー粒子10の各々について被覆率Rn及び最大長さLnを測定した。そして、被覆率Rn及び最大長さLnの各々について100個の測定値の平均を評価値とし、各試料(トナー)が次の条件(3)及び(4)を満足するか否かを評価した。
(3)被覆率Rn(評価値)が50%以上であること
(4)最大長さLn(評価値)が100nm以上であること
また、条件(1)を満足するピクセル(シェル層12)の数に基づいてシェル層12の厚さを求めた。シェル層12の厚み方向は、ピクセル(シェル層12)が接するコア11の表面とトナー粒子10の重心G(図7参照)とを結ぶ直線の方向に相当する。また、1ピクセルのサイズは5nm角である。例えば、条件(1)を満足するピクセル(シェル層12)がコア11の表面からシェル層12の厚み方向に2個つながっていればシェル層12の厚さは10nmであると判断した。そして、シェル層12において最も厚い部分の厚さ(以下、最大厚さTnと記載する)を求めた。100個のトナー粒子10の各々について最大厚さTnを測定し、100個の測定値の平均を評価値とした。
(定着性)
評価機として、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着器(ニップ幅8mm)を有するプリンター(京セラドキュメントショリューションズ株式会社製「FSC−5250DN」の改造機)を用いた。現像剤用キャリア(FSC−5250DN用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%の試料(トナー)とを、ボールミルを用いて30分間混合して2成分現像剤を調製した。調製した現像剤を評価機のシアン色用の現像器に投入し、試料(トナー)を評価機のシアン色用のトナーコンテナに投入した。
評価機を用いて、線速200mm/秒で90g/m2の紙を搬送し、搬送しながら紙に1.0mg/cm2のトナーを現像した。トナーを用いて形成した画像はソリッド画像であった。続けて、現像後の紙に定着器を通過させた。ニップ通過時間は40m秒であった。また、定着温度の設定範囲は100以上200℃以下であった。詳しくは、定着器の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、トナー(ソリッド画像)がオフセットすることなくトナーを紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。オフセットの発生の有無は目視で確認した。
最低定着温度が165℃以下であれば○(良い)と評価し、最低定着温度が165℃超であれば×(良くない)と評価した。
(耐熱保存性)
試料(トナー)3gを容量20mLのポリ容器に入れて、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。これにより、評価用トナーが得られた。続けて、振動目盛り5、時間30秒の条件で、パウダーテスターに積置された200メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて評価用トナーを篩別した。そして、篩別後に篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後のトナーの質量(篩別後に篩上に残留したトナーの質量)とから、次の式に基づいて凝集率(質量%)を求めた。
凝集率(質量%)=(篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量)×100
凝集率が20質量%以下であれば○(良い)と評価し、凝集率が20質量%超40質量%以下であれば△(使用困難)と評価し、凝集率が40質量%超であれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
表2に、トナーA〜Qの評価結果をまとめて示す。
トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOはそれぞれ、条件(3)及び(4)の両方を満足していた。詳しくは、トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOではそれぞれ、トナー粒子10の断面をEELS分析し、シェル層12に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、コア11に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする場合に、被覆率Rn(INsに対するINcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、厚さが5nm以上である条件を満たすシェル層12の存在する割合)がコア11の周長の50%以上であり、最大長さLn(条件(1)及び(2)を満たすシェル層12の最大長さ)が100nm以上であった。
トナーH、I、及びMはそれぞれ、条件(3)を満足しなかったものの、条件(4)を満足していた。
トナーQは、条件(4)を満足しなかったものの、条件(3)を満足していた。
トナーE、L、及びPはそれぞれ、条件(3)及び(4)のいずれも満足していなかった。
トナーEでは、被覆率Rn(評価値)が6%であり、コア11がシェル層12でほとんど覆われていなかった。この理由は、トナーEの調製方法ではシェル層12の材料の添加量が少なかったためであると考えられる。
トナーH及びIではそれぞれ、被覆率Rn(評価値)が50%未満であった。トナーH及びIの調製方法ではそれぞれ、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物を用いてポリエステル樹脂(コアCの結着樹脂11a)を合成したため、プロピレンオキサイドに由来する立体障害でコア11の表面にシェル層12の材料が付きにくかったと考えられる。
トナーL及びMではそれぞれ、被覆率Rn(評価値)が50%未満であった。トナーL及びMの各々の調製に用いられたコアEの酸価(AV値)は小さかった。このため、コアEの表面には、シェル層12の材料の結合できるサイトが少なかったと考えられる。
トナーP及びQではそれぞれ、最大長さLn(評価値)が100nm未満であった。トナーP及びQの各々の調製に用いられたシェル材Cの混和度は高かったため、シェル材Cと水との親和性は高かったと考えられる。このため、シェル材Cがコア11の表面に吸着しにくかったと考えられる。
定着性に関して、トナーA〜Qのいずれにおいても、最低定着温度が165℃以下であった。
耐熱保存性に関して、トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOではそれぞれ、凝集率が20質量%以下であり、トナーE、H、I、L、M、P、及びQはそれぞれ、凝集率が40質量%超であった。
以上説明したように、トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOではそれぞれ、最低定着温度が165℃以下であり、凝集率が20質量%以下であった。トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOはそれぞれ、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れていた。
また、表2に示されるように、トナーA、B、F、J、及びNではそれぞれ、最低定着温度が155℃以下であり、凝集率が15質量%以下であった。トナーA、B、F、J、及びNはそれぞれ、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも特に優れていた。トナーA、B、F、J、及びNではそれぞれ、被覆率Rn(評価値)が65%以上86%以下であり、最大長さLn(評価値)が350nm以上1000nm以下であった。
トナーA〜D、F、G、J、K、N、及びOではそれぞれ、最大厚さTn(評価値)が5nm以上15nm以下であった。コア11がアニオン性を有し、シェル層12がカチオン性を有していた。シェル層12が熱硬化性樹脂を含有していた。
本発明は上記実施例には限定されない。トナーにおいて、被覆率Rnが50%以上であり、最大長さLnが100nm以上である場合には、そのトナーは、耐熱保存性及び低温定着性のいずれにも優れる。
本発明に係るトナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
10 トナー粒子
11 コア
11a 結着樹脂
11b 内添剤
12 シェル層
13 外添剤

Claims (6)

  1. 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、コアと前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
    前記トナー粒子の断面をEELS分析し、前記シェル層に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、前記コアに含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする場合に、
    前記INsに対する前記INcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、最大厚さが5nm以上である条件を満たす前記シェル層の存在する割合は前記コアの周長の65%以上86%以下であり、前記条件を満たす前記シェル層の最大長さは350nm以上1000nm以下である、トナー。
  2. 前記条件を満たすシェル層の最大厚さは5nm以上15nm以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シェル層は熱硬化樹脂を含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. コアを形成するステップと、
    液に前記コアとシェル層の材料とを入れるステップと、
    前記液中で前記コアの表面に前記シェル層を形成してトナー粒子を得るステップと、
    を含み、
    前記トナー粒子の断面をEELS分析し、前記シェル層に含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINs、前記コアに含まれる窒素元素に由来するN−K殻吸収端の強度をINcとする場合に、
    前記INsに対する前記INcの比率が0.0以上0.2以下であり、且つ、最大厚さが5nm以上である条件を満たす前記シェル層の存在する割合は前記コアの周長の65%以上86%以下であり、前記条件を満たす前記シェル層の最大長さは350nm以上1000nm以下になるように、前記コアの酸価、前記シェル層の材料の添加量、及び前記シェル層の材料の混和度の少なくとも1つを調整する、トナーの製造方法。
  5. 前記シェル層の材料の混和度は200質量%以上500質量%以下である、請求項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記コアの酸価は10mgKOH/g以上35mgKOH/g以下である、請求項又はに記載のトナーの製造方法。

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