JP6269528B2 - 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナー及びその製造方法に関する。
省エネルギー化及び画像形成装置の小型化の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能なトナーが望まれている。一般に、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点若しくはガラス転移点の低い結着樹脂又は低融点の離型剤が使用されることが多い。しかしながら、このようなトナーを高温で保存する場合には、トナーに含まれるトナー粒子が凝集しやすいという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下しやすい。
また、トナーの低温定着性、高温安定性、及び耐ブロッキング性を向上させることを目的として、コア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが使用されることがある。例えば、特許文献1には、熱硬化性成分を含む薄膜でトナーコアの表面が被覆されており、トナーコアの軟化温度が40℃以上150℃以下であるトナー粒子を含むトナーが記載されている。
特開2004−138985号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーでは、メラミン樹脂のような親水性熱硬化性樹脂を使用している。親水性熱硬化性樹脂は高温高湿下で水分子を吸収し易い。これにより、トナー表面の電気伝導度が高くなりやすいため、トナーの帯電量が下がりやすい。トナーの帯電量が下がると、トナーの転写効率が低下する傾向がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、静電潜像現像用トナーの耐熱保存性及び低温定着性を向上させ、更に静電潜像現像用トナーの電荷減衰を抑制することを目的とする。
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する。前記シェル層が、末端に疎水性官能基を有する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む。前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、トナーコア製造工程と、シェル層形成工程と、シェル層表面処理工程とを含む。前記トナーコア製造工程では、トナーコアを製造する。前記シェル層形成工程では、前記トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、熱硬化性樹脂前駆体と、熱可塑性樹脂との混合物を加熱して、前記トナーコアの表面に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むシェル層を形成する。前記シェル層表面処理工程では、疎水性官能基を有する表面処理剤を用いて、前記シェル層に含まれる熱硬化性樹脂の末端を疎水性官能基で修飾する。前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。
本発明によれば、静電潜像現像用トナーの耐熱保存性及び低温定着性を向上させ、更に静電潜像現像用トナーの電荷減衰を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定しない。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(単に、トナーとも言う)は、多数のトナー粒子から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
電子写真装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。これにより、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、更に転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)及び(2)を有する。
(1)トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する。シェル層が、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む。
(2)熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。熱硬化性樹脂が末端に疎水性官能基を有する。
構成(1)は、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るために有益である。詳しくは、トナーコアがシェル層で覆われることで、トナーの耐熱保存性が向上すると考えられる。また、熱硬化性樹脂がトナーの耐熱保存性を改善し、熱可塑性樹脂がトナーの低温定着性を改善すると考えられる。
構成(2)は、トナーの電荷減衰を抑制するために有益である。詳しくは、シェル層を構成する熱硬化性樹脂が重合反応する際に、アミノ基のような末端官能基が未反応のまま残る場合がある。シェル層に含まれる熱硬化性樹脂の未反応の末端官能基には、水分が吸着し易い。シェル層に水分が吸着すると、トナーの電荷が減衰する傾向がある。構成(2)を有するトナーでは、熱硬化性樹脂の末端が疎水性官能基で修飾されている。シェル層に含まれる熱硬化性樹脂が末端に疎水性官能基を有することで、シェル層に水分が吸着し難くなる。シェル層の水分吸着を抑制することで、トナーの電荷減衰を抑制できると考えられる。
本実施形態に係るトナーは、構成(1)及び(2)の両方を有するトナー粒子(以下、本実施形態のトナー粒子と記載する)を含む。本実施形態のトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性と低温定着性と電荷保持性とに優れる(後述する表1及び表2を参照)。なお、トナーは、80個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが好ましく、90個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがより好ましく、100個数%の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが更に好ましい。
トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含む。トナーコアは結着樹脂を含む。トナー粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて任意の成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を含んでいてもよい。
トナー粒子(トナー母粒子)の表面は、必要に応じて、外添剤を添加されていても良い。外添剤により処理される前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されていてもよい。
トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、トナーを所望のキャリアと混合して2成分現像剤を調製して使用してもよい。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を含んでもよい。
(結着樹脂)
トナーコアにおいては、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、四級アンモニウム基、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、それぞれ20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、及びメチル基からなる群から選択される1以上の官能基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する結着樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくいと考えられる。
結着樹脂のTgは、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計を用いて試料(結着樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から結着樹脂のTgを求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のTmが100℃以下であることで、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくくなる。また、結着樹脂のTmが100℃以下である場合には、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、シェル層の硬化反応中にトナーコアが部分的に軟化し易くなるため、トナーコアが表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、異なるTmを有する複数の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
結着樹脂のTmは、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスターに試料(結着樹脂)をセットし、所定の条件で結着樹脂を溶融させ、流出させる。そして、試料(結着樹脂)のS字カーブを測定する。得られたS字カーブから結着樹脂のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、測定試料(結着樹脂)のTmに相当する。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)、ビニル系樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、又はスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。中でも、スチレンアクリル酸系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性に優れる。
以下、結着樹脂として用いることのできるスチレンアクリル酸系樹脂について説明する。なお、スチレンアクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体である。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。なお、アクリル酸及びメタクリル酸を「(メタ)アクリル酸」と総称し、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを「(メタ)アクリレート」と総称する場合がある。
スチレンアクリル酸系樹脂を調製する際に、水酸基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレンアクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル酸系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル酸系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレンアクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル酸系樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレンアクリル酸系樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を両立させるためには、スチレンアクリル酸系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル酸系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレンアクリル酸系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。なお、ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価アルコールの例としては、ジオール類又はビスフェノール類が挙げられる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールAエーテル、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAエーテルが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、又はアルキルコハク酸若しくはアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を両立させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は7以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwとの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の好適な例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金)、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコアと他のトナーコアとが固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコアと他のトナーコアとの固着を抑制することができる。
(トナーコアの摩擦帯電量)
トナーコアの摩擦帯電量は負極性であることが好ましく、−10μC/g以下であることがより好ましい。摩擦帯電量の測定方法について以下に述べる。日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア「N−01」)と、トナーコアとを、ターブラーミキサーを用いて30分間混合する。この時、トナーコアの使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかの指標と、トナーコアの帯電されやすさの指標とになる。
トナーコアの摩擦帯電量が負極性である場合、水性媒体中で、正に帯電するシェル層の材料(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂前駆体)が、トナーコアに電気的に引き寄せられ易くなる。そして、トナーコアの表面では、トナーコアに吸着されたシェル層の材料とトナーコア中の結着樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)との反応が良好に進行する。
(トナーコアのゼータ電位)
トナーコアに関し、pH4に調整された水性媒体中で測定されるゼータ電位が、負極性であることが好ましく、−10mV以下であることがより好ましい。ゼータ電位の測定方法としては、例えば電気泳動法、超音波法、又はESA(電気音響)法が挙げられる。
電気泳動法は、粒子分散液に電場を印加して分散液中の帯電粒子を電気泳動させ、電気泳動速度に基づきゼータ電位を算出する方法である。電気泳動法の例としては、レーザードップラー法(電気泳動している粒子にレーザー光を照射し、得られた散乱光のドップラーシフト量から電気泳動速度を求める方法)が挙げられる。レーザードップラー法は、分散液中の粒子濃度を高濃度とする必要がなく、ゼータ電位の算出に必要なパラメーターの数が少なく、加えて電気泳動速度を感度よく検出できるという利点を有する。
超音波法は、粒子分散液に超音波を照射して分散液中の帯電粒子を振動させ、この振動によって生じる電位差に基づきゼータ電位を算出する方法である。
ESA法では、粒子分散液に高周波電圧を印加して分散液中の帯電粒子を振動させて超音波を発生させる。そして、その超音波の大きさ(強さ)からゼータ電位を算出する。
超音波法及びESA法は、粒子濃度が高い(例えば、20質量%を超える)粒子分散液であっても、ゼータ電位を感度よく測定することができるという利点を有する。
[シェル層]
本実施形態のトナーにおいて、シェル層は、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂とを含む。熱硬化性樹脂のみから構成されるシェル層は、薄膜であっても硬くなり易い。そのため、こうしたシェル層を有するトナーでは、シェル層が容易に破壊されず、定着性が十分でないことがある。しかし、シェル層が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むトナーでは、薄くて硬いシェル層が均一に形成された場合であっても、シェル層が強度において複数の強弱のある箇所を有する傾向がある。このため、トナーの定着性が向上し、定着時に瞬時にシェル層の破壊を発生させることが可能になる。
熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの付加縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドとの付加縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキサールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの付加縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキサールと尿素との反応生成物である。これらは、公知の変性を受けていてもよい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル酸系樹脂、又はスチレンアクリル酸系樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、入手容易性、分散安定性、及びコストメリットの観点から、スチレンアクリル酸系樹脂が好ましい。
アクリル酸系樹脂は、少なくともアクリル酸系モノマーを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。アクリル酸系樹脂に含まれる、アクリル酸系モノマーの含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
アクリル酸系樹脂の調製に使用されるアクリル酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、又はブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はN,N−ジアリール(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
アクリル酸系樹脂は、アクリル酸系モノマーと、アクリル酸系モノマー以外の他のモノマーを共重合した樹脂であってもよい。アクリル酸系モノマー以外の他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、又はオクテン−1のようなオレフィン類;酢酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、又は乳酸アリルのようなアリルエステル類;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、又はビニルナフチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジエチルアセテート、ビニルクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、又はナフトエ酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。
スチレンアクリル酸系樹脂は、少なくともスチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーとを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。スチレンアクリル酸系樹脂に含まれる、スチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーとの含有量の合計は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
スチレンアクリル酸系樹脂の調製に使用されるスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。スチレン系モノマーのなかでも好ましくは、スチレンである。
スチレンアクリル酸系樹脂の調製に使用されるアクリル酸系モノマーは、上述のアクリル酸系樹脂の調製に使用されるアクリル酸系モノマーと同様である。アクリル酸系モノマーのなかでも好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ブチルアクリレートである。
スチレンアクリル酸系樹脂は、カルボキシル基を酸性基として含むことが好ましい。この場合、スチレンアクリル酸系樹脂を調製する際にアクリル酸の使用量を増減させることによって、スチレンアクリル酸系樹脂の酸価を調整できる。
スチレンアクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーと、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマー以外の他のモノマーとを共重合した樹脂であってもよい。スチレンアクリル酸系樹脂の調整に使用される他のモノマーの例としては、前述したアクリル酸系樹脂の調整に使用されるアクリル酸系モノマー以外の他のモノマーと同様である。
シェル層は、メラミン等に由来する窒素原子を含むことが好ましい。このようなシェル層を備えるトナーは、トナーを正帯電させて画像を形成する場合に、所望する帯電量に正帯電しやすい。所望する帯電量にトナーを正帯電させるためには、シェル層中の窒素原子の含有量は10質量%以上であることが好ましい。
シェル層の厚さは、30nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。シェル層が厚過ぎると、トナーを被記録媒体へ定着させる際に圧力が加えられても、シェル層が破壊されにくい。この場合、トナーコアに含まれる結着樹脂(又は離型剤)の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを被記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は強度が低く、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊される場合がある。ここで、高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集しやすい。なぜなら、高温下ではシェル層における破壊された箇所を通じて、離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出しやすいからである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、これら2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。このようなシェル層の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子に対して行い、測定対象の複数のトナー粒子それぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求める。求められる平均値を、トナー粒子が備えるシェル層の膜厚とする。
シェル層が薄過ぎる場合、TEM撮影像上でシェル層とトナーコアとの界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中に、シェル層の材料に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行い、シェル層とトナーコアとの界面を明確化して、シェル層の厚さを計測すればよい。
[表面処理剤]
表面処理剤は、熱硬化性樹脂の末端官能基を修飾するために用いられる。表面処理剤は疎水性官能基を有する。疎水性官能基としては、例えば、ベンジル基、又は炭素数8以上のアルキル基が挙げられる。なお、炭素数8以上のアルキル基は分岐鎖を有していても良い。表面処理剤としては、例えば、ベンジルアミン、ドデシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、又はウンデシルアミンが挙げられる。
表面処理剤の含有量は、シェル層形成に用いた熱硬化性樹脂100質量部に対して80質量部以上300質量部以下であることが好ましく、100質量部以上250質量部以下であることがより好ましい。
[外添剤]
トナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。外添剤としては、金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)、又はシリカの微粒子が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーを所望のキャリアと混合することで、2成分現像剤を調製できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリアコアが樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料とマンガン、亜鉛、又はアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;セラミックス(酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウム)の粒子;高誘電率物質(リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩)の粒子が挙げられる。樹脂中に上記粒子を分散させて樹脂キャリアを調製しても良い。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル酸系重合体、スチレン系重合体、スチレンアクリル酸系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂の2種以上を組み合わせても良い。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーとキャリアとを用いて2成分現像剤を調製する場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
[トナーの製造方法]
本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、トナーコア製造工程と、シェル層形成工程と、シェル層表面処理工程とを含む。トナーコア製造工程では、トナーコアを製造する。シェル層形成工程では、トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、熱硬化性樹脂前駆体と、熱可塑性樹脂との混合物を加熱して、トナーコアの表面に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むシェル層を形成する。シェル層表面処理工程では、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むシェル層に対して疎水性官能基を有する表面処理剤を添加・加熱して、シェル層を表面処理する。熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。以下、本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの好適な製造方法について説明する。
(トナーコア製造工程)
トナーコア製造工程は、結着樹脂中に、任意成分(着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉のような成分)を良好に分散させることができる限り特に限定されず、公知の方法を適宜採用できる。トナーコア製造工程には、例えば、粉砕法、又は凝集法が採用される。
粉砕法では、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融し、混練する。続けて、得られた混練物を粉砕する。続けて、得られた粉砕物を分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。粉砕法によれば、比較的容易にトナーコアを調製できる。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナーコアを構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナーコアを形成する。凝集法によれば、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナーコアを得やすい。
(シェル層形成工程)
トナーコアを被覆するシェル層は、熱硬化性樹脂前駆体と、熱可塑性樹脂とを反応させて形成される。熱硬化性樹脂前駆体は、メラミン、尿素、グリオキザールと尿素との反応生成物、又は、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体である。また、シェル層の形成に用いる溶媒に対する結着樹脂の溶解を防ぐため、又はトナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐためには、水のような溶媒中でシェル層の形成が行われることが好ましい。
シェル層の形成は、トナーコアを含む水性分散液に、シェル層を形成するための材料を添加して行われることが好ましい。水性媒体中にトナーコアを良好に分散させる方法としては、分散液を強力に攪拌できる装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスミックス」)を用いてトナーコアを水性媒体中に機械的に分散させる方法が挙げられる。
トナーコアを含む水性分散液のpHは、シェル層の形成前に酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、後述するシェル層を形成させるために用いられる材料の縮合反応が促進される。
必要に応じてトナーコアを含む水性分散液のpHを調整した後、トナーコアを含む水性分散液にシェル層を形成させるための材料を溶解させる。その後、水性分散液中で、シェル層の材料を反応させて、トナーコアの表面を被覆するシェル層を形成する。
シェル層を形成する際の温度は、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。このような範囲内の温度下でシェル層を形成することで、シェル層の形成が良好に進行する。また、シェル層を形成するための重合時間は30分以上2時間以下であることが好ましい。
結着樹脂が、ポリエステル樹脂のように水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂を含む場合、シェル層を形成する際に、トナーコアの表面に露出する水酸基又はカルボキシル基と、熱硬化性樹脂前駆体が有するメチロール基とが反応する。その結果、トナーコアを構成する結着樹脂とシェル層を構成する樹脂との間に共有結合が形成される。そうすると、トナーコアにシェル層を強固に付着させることができる。
(シェル層表面処理工程)
シェル層を表面処理するために、疎水性官能基を有する表面処理剤を水性媒体中に添加して加熱する。加熱により、シェル層を構成する熱硬化性樹脂の末端官能基が疎水性官能基を有する表面処理剤と反応し、末端官能基が疎水性基に置換される。この結果、表面処理をされたシェル層を有するトナー母粒子が得られる。
シェル層を表面処理する際の温度は、シェル層の末端官能基に表面処理剤が良好に反応するためには、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。また、シェル層を表面処理するための時間は、5分以上2時間以下であることが好ましい。
上記のようにして表面処理されたシェル層を形成した後、トナー母粒子を含む分散液を常温まで冷却する。その後、必要に応じて、トナー母粒子を洗浄する工程(洗浄工程)、トナー母粒子を乾燥する工程(乾燥工程)、及びトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる工程(外添工程)を経て、トナー母粒子の分散液からトナーが回収される。
(洗浄工程)
洗浄工程では、水を用いてトナー母粒子を洗浄する。好適な洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液から、固液分離によりウエットケーキ状のトナー母粒子を回収し、得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、水を用いて洗浄する方法;分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、トナー母粒子を乾燥させる。トナー母粒子を乾燥させる好適な方法としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためには、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
(外添工程)
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー、ナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
なお、上記トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば溶媒にシェル層の材料を溶解させてから、溶媒中にトナーコアを添加してもよい。また、溶媒中にトナーコアを添加してから、溶媒にシェル層の材料を溶解させてもよい。シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法の何れの方法を用いて、シェル層を形成してもよい。また、目的とするトナーに応じて、各種工程を割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
実施例1
(ポリエステル樹脂の製造)
テレフタル酸1245g、イソフタル酸1245g、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1248g、及びエチレングリコール744gを容量5Lの4つ口フラスコに投入した。次いで、フラスコ内を窒素雰囲気とし、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内の温度を250℃まで上昇させた。常圧、250℃の条件でフラスコ内容物を4時間反応させた後、三酸化アンチモン0.875g、トリフェニルホスフェート0.548g、及びテトラブチルチタネート0.102gを、フラスコ内に添加した。次いで、フラスコ内を0.3mmHgに減圧して、フラスコ内の温度を280℃まで上昇させた。圧力0.3mmHg、温度280℃の条件でフラスコ内容物を4時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のガラス転移点Tgは51℃であり、数平均分子量は1800であり、分子量分布は7.5であった。
(結着樹脂分散液の調整)
得られたポリエステル樹脂を機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル T250」)を用いて、体積中位径が10μmとなるように粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物100gと、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマールE−27C」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)2gと、0.1N−水酸化ナトリウム水溶液50gとを混合し、更にイオン交換水を加えて全量500gのスラリーを調製した。得られたスラリーを、耐圧丸底ステンレス容器に投入した。次いで、高速剪断乳化装置(エム・テクニック株式会社製「ハーモテックHMT−CA−2」、アンカーミキサー「AM−0.2」付きクレアミックス「CLM−2.2S」)を用いて、スラリーを温度145℃、圧力0.5MPa(G)に加熱加圧した状態で、ローター回転数20000rpmで30分間剪断分散を行った。剪断分散の後、5℃/分の速度でスラリーを冷却しながら、ステンレス容器内温が50℃になるまで、ローター回転数15000rpmでスラリーを攪拌した。その後、5℃/分の速度でスラリーを常温まで冷却した。常温に冷却されたスラリーに、固形分の濃度が5質量%となるようにイオン交換水を加えた。そして、体積中位径が140nmのポリエステル樹脂の微粒子が分散する結着樹脂分散液を得た。なお、ポリエステル樹脂の体積中位径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックUPA150」)を用いて測定した。
(離型剤分散液の調製)
離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−5」、成分:ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、溶融温度84℃)200g、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマールE−27C」)2g、及びイオン交換水800gを混合した。得られた混合液を100℃に加熱して離型剤を融解させた後、ホモジナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT50」)で5分間乳化した。次いで、ゴーリン式ホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて、100℃の条件で乳化処理を行った。このようにして、固形分濃度20質量%の離型剤分散液を得た。離型剤の体積中位径は250nmであり、離型剤の融点は83℃であった。なお、離型剤の体積中位径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックUPA150」)を用いて測定した。
(着色剤分散液の調製)
シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン)90g、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)10g、及びイオン交換水400gを混合した。混合液を、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製「HJP30006」)を用いて、1時間乳化させ、分散させた。固形分濃度18質量%の着色剤分散液を得た。得られた着色剤分散液に含まれる着色剤粒子の体積中位径は160nmであり、粒度分布のCv値は25%であった。着色剤粒子のTEM画像から、円形度が0.800であることを確認した。なお、着色剤粒子の体積中位径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックUPA150」)を用いて測定した。
(トナーコアの作製工程)
容量1Lの四つ口フラスコに温度センサー、冷却管、及び攪拌装置を設置した。結着樹脂分散液425g、離型剤分散液12.5g、着色剤分散液7g、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)12g、及びイオン交換水43.5gを四つ口フラスコで混合した。得られた混合物を、攪拌速度200rpmで攪拌した。その後、トリエタノールアミンを用いて、フラスコ内容物のpHを9に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物(凝集剤)10.2gをイオン交換水10.2gに溶解させた水溶液をフラスコ内に添加した。フラスコの内の分散液を5分間静置した後に、5℃/分の速度でフラスコの内温を50℃まで上げた。その後、0.5℃/分の速度で、フラスコの内温を更に73℃まで上げた。次いで、分散液の温度を73℃に保持して、分散液中の微粒子を凝集させた。分散液中の凝集粒子の体積平均粒径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム(凝集停止剤)29.3gを添加し、分散液を攪拌速度350rpmで10分間攪拌した。攪拌後、5℃/分の速度で分散液を室温まで冷却して、体積中位径6.6μm、個数中位径5.7μm、個数平均円形度0.93のトナーコアを含む分散液を得た。得られた分散液に対し、開口1μmのろ布を用いて、トナーコア分散液からウエットケーキ状のトナーコアをろ取した。ウエットケーキ状のトナーコアを再度イオン交換水に分散させてトナーコアを洗浄した。イオン交換水を用いるトナーコアの洗浄を5回繰り返した。洗浄後のウエットケーキ状のトナーコアを40℃で真空乾燥させて、トナーコアを得た。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、熱硬化性樹脂前駆体と熱可塑性樹脂を添加した。熱硬化性樹脂前駆体としてヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)1.0gを添加した。熱可塑性樹脂としてアクリルアミド樹脂の水溶液(DIC株式会社製「BECKAMINE(登録商標)A−1」、固形分濃度11質量%)1.5gを添加した。シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。水溶液(A)に、300gのトナーコアを添加し、フラスコの内容物を、攪拌速度200rpmの速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水300mLを追加した。その後、フラスコの内容物を攪拌速度100rpmで攪拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内温を70℃まで上げた。昇温後、温度70℃、攪拌速度100rpmの条件でフラスコの内容物を1時間攪拌した。その後、表面処理剤としてベンジルアミン(東京化成工業株式会社製、特級試薬)1.6mLを添加し、更にフラスコ内容物を1時間攪拌した。その後、フラスコ内に、水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却してトナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液から、ウエットケーキ状のトナー母粒子をろ取した。続けて、ウエットケーキ状のトナー母粒子を再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。こうしたイオン交換水によるトナー母粒子の洗浄を5回繰り返した。
(乾燥工程)
洗浄工程で得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調整した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させてトナー母粒子を得た。乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。
(外添工程)
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、乾式シリカ(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1.0質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合し、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩により篩別して、実施例1のトナーを得た。
実施例2
シェル層形成工程において、熱硬化性樹脂前駆体としてヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液1.0gの代わりにメチロール化尿素(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジン3HSP−H(商品名)」)1.0gを添加することに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例2のトナーを得た。
実施例3
シェル層形成工程において、熱可塑性樹脂としてアクリルアミド樹脂の水溶液1.5gの代わりに共重合アクリル(日信化学工業株式会社製「ビニブラン2647(商品名)」)1.5gを添加することに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例3のトナーを得た。
実施例4
シェル層形成工程において、表面処理剤としてベンジルアミン1.6mLの代わりにドデシルアミン(東京化成工業株式会社製、一級試薬)1.6mLを添加することに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例4のトナーを得た。
実施例5
シェル層形成工程において、熱硬化性樹脂前駆体としてのヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を1.0gから1.5gに変更し、表面処理剤としてのベンジルアミンの添加量を1.6mLから2.4mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例5のトナーを得た。
実施例6
シェル層形成工程において、熱硬化性樹脂前駆体としてのヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を1.0gから0.8gに変更し、表面処理剤としてのベンジルアミンの添加量を1.6mLから1.2mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例6のトナーを得た。
実施例7
シェル層形成工程において、熱可塑性樹脂としてのアクリルアミド樹脂の水溶液の添加量を1.5gから2.0gに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例7のトナーを得た。
実施例8
シェル層形成工程において、熱可塑性樹脂としてのアクリルアミド樹脂の水溶液の添加量を1.5gから1.0gに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例8のトナーを得た。
実施例9
シェル層形成工程において、表面処理剤としてのベンジルアミンの添加量を1.6mLから2.4mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例9のトナーを得た。
実施例10
シェル層形成工程において、表面処理剤としてのベンジルアミンの添加量を1.6mLから1.2mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で実施例10のトナーを得た。
比較例1
シェル層形成工程において、表面処理剤を添加しないことに変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1を得た。
比較例2
シェル層形成工程において、表面処理剤としてベンジルアミン1.6mLの代わりにエチルアミン(東京化成工業株式会社製、試薬)1.6mLを添加することに変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例2を得た。
比較例3
シェル層形成工程において、表面処理剤としてエチルアミン1.6mLの代わりにフルフリルアミン(東京化成工業株式会社製、試薬)1.6mLを添加することに変更した以外は、比較例2と同様の方法で比較例3を得た。
比較例4
シェル層形成工程において、表面処理剤としてエチルアミン1.6mLの代わりにエタノールアミン(東京化成工業株式会社製、特級試薬)1.6mLを添加することに変更した以外は、比較例2と同様の方法で比較例4を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜4のシェル層の形成に使用した熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び表面処理剤について表1にまとめた。
Figure 0006269528
[評価方法]
各試料(実施例1〜10及び比較例1〜4のトナー)の評価方法は、以下の通りである。
<耐熱保存性>
試料(トナー)2gを容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用の試料を得た。その後、耐熱保存性評価用の試料を、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、100メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留した試料の質量を測定した。篩別前の試料の質量と、篩別後に篩上に残留した試料の質量とから、下記式にしたがって試料の凝集度(質量%)を算出した。算出された試料の凝集度から、下記基準にしたがって試料の耐熱保存性を評価した。
凝集度(質量%)=(篩上に残留した試料の質量/篩別前の試料の質量)×100
◎(非常に良い) :試料の凝集度が40質量%未満である。
○(良い) :試料の凝集度が40質量%以上50質量%未満である。
×(良くない) :試料の凝集度が50質量%以上である。
<電荷減衰定数>
トナーの電荷減衰定数α(トナー母粒子の電荷減衰定数)は、静電気拡散率測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−D100」)を用いて、JIS規格(JIS C 61340−2−1)に準拠した方法で測定した。以下に、トナーの電荷減衰定数の測定方法を詳述する。
測定セルに試料(トナー)を入れた。測定セルは、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された金属製のセルであった。スライドガラスを用いて試料を上から押し込み、セルの凹部に試料を充填した。セルの表面においてスライドガラスを往復移動させることによって、セルから溢れた試料を除去した。試料の充填量は0.04g以上0.06g以下であった。
続けて、試料が充填された測定セルを、温度32℃、湿度80%RHの環境下で12時間放置した。続けて、接地させた測定セルを静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電によって試料にイオンを供給して、帯電時間0.5秒の条件で試料を帯電させた。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、試料の表面電位を連続的に測定した。測定された表面電位と、式「V=V0exp(−α√t)」とに基づいて、試料の電荷減衰定数(電荷減衰速度)αを算出した。式中、Vは表面電位[V]、V0は初期表面電位[V]、tは減衰時間[秒]をそれぞれ示す。下記基準にしたがって、算出された試料の電荷減衰定数αを評価した。
◎(非常に良い):試料の電荷減衰定数αが0.015未満である。
○(良い) :試料の電荷減衰定数αが0.015以上0.017未満である。
×(悪い) :試料の電荷減衰定数αが0.017以上である。
各試料(トナー)の低温定着性を以下の方法にしたがって調整した2成分現像剤を用いて評価した。
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa5550ci」用キャリア)と、現像剤用キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルを用いて30分間混合し、評価用の2成分現像剤を調製した。
<低温定着性>
また、上記のようにして調製した2成分現像剤を用いて画像を形成して、トナーの低温定着性を評価した。評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着器(ニップ幅8mm)を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上記のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
試料(トナー)の定着性を評価する場合には、上記評価機を用いて、線速200mm/秒(ニップ通過時間40m秒)、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、90g/m2の紙(A4サイズの印刷用紙)に、大きさ25mm×25mm、印字率100%のソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された紙を定着器に通した。定着温度の設定範囲は100℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着器の定着温度を100℃から徐々に上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)をそれぞれ測定した。
最低定着温度の測定においてトナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、画像を形成した面が内側となるように紙を半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。得られた最低定着温度から、下記基準にしたがって、試料の低温定着性を評価した。
○(良い) :試料の最低定着温度が130℃以下である。
×(悪い) :試料の最低定着温度が130℃超である。
[評価結果]
各試料(実施例1〜10及び比較例1〜4のトナー)の各々についての評価結果は以下の通りである。
表2に、実施例1〜10及び比較例1〜4のトナーの耐熱保存性、低温定着性、及び電荷減衰定数の各々の評価結果を示した。
Figure 0006269528
実施例1〜10に係るトナーはそれぞれ、前述の構成(1)及び(2)を有する静電潜像現像用トナーであった。詳しくは、実施例1〜10に係るトナーはそれぞれ、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有していた。シェル層が、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含んでいた。熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂であった。熱硬化性樹脂は末端に疎水性官能基を有していた。
実施例1〜10に係るトナーはそれぞれ、耐熱保存性、低温定着性、及び電荷減衰定数において優れていた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。

Claims (2)

  1. トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する静電潜像現像用トナーであって、
    前記シェル層が、末端に疎水性官能基を有する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含み、
    前記疎水性官能基が、ベンジル基又は炭素数8以上のアルキル基であり、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、静電潜像現像用トナー。
  2. トナーコアを製造するトナーコア製造工程と、
    前記トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、熱硬化性樹脂前駆体と、熱可塑性樹脂との混合物を加熱して、前記トナーコアの表面に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むシェル層を形成する工程と、
    疎水性官能基を有する表面処理剤を用いて、前記シェル層に含まれる前記熱硬化性樹脂の末端を前記疎水性官能基で修飾する工程と
    を含む、静電潜像現像用トナーの製造方法であって、
    前記表面処理剤が、ベンジルアミン又は炭素数8以上のアルキルアミンであり、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、静電潜像現像用トナーの製造方法。
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