JP6038108B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー Download PDF

Info

Publication number
JP6038108B2
JP6038108B2 JP2014263260A JP2014263260A JP6038108B2 JP 6038108 B2 JP6038108 B2 JP 6038108B2 JP 2014263260 A JP2014263260 A JP 2014263260A JP 2014263260 A JP2014263260 A JP 2014263260A JP 6038108 B2 JP6038108 B2 JP 6038108B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
shell
particles
shell layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014263260A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016122145A (ja
Inventor
昌己 辻廣
昌己 辻廣
亮太 小林
亮太 小林
英陽 堀
英陽 堀
佑輔 鷲野
佑輔 鷲野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2014263260A priority Critical patent/JP6038108B2/ja
Priority to US14/978,356 priority patent/US9523937B2/en
Publication of JP2016122145A publication Critical patent/JP2016122145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6038108B2 publication Critical patent/JP6038108B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/093Encapsulated toner particles
    • G03G9/09307Encapsulated toner particles specified by the shell material
    • G03G9/09314Macromolecular compounds
    • G03G9/09328Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/093Encapsulated toner particles
    • G03G9/09307Encapsulated toner particles specified by the shell material
    • G03G9/09314Macromolecular compounds
    • G03G9/09321Macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
省エネルギー化、及び画像形成装置の小型化の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能なトナーが望まれている。一般に、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点若しくはガラス転移点の低い結着樹脂又は低融点の離型剤が使用されることが多い。しかしながら、このようなトナーを高温で保存する場合には、トナーに含まれるトナー粒子が凝集しやすいという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子の帯電量と比較して低下しやすい。
また、トナーの低温定着性、及び高温安定性を向上させることを目的として、コア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが使用されることがある。例えば、特許文献1には、親水性熱硬化性樹脂を含む薄膜でトナーコアの表面が被覆されており、トナーコアの軟化温度が40℃以上150℃以下であるトナー粒子を含むトナーが記載されている。
特開2004−138985号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術だけでは、耐熱保存性、低温定着性、及び耐久性に優れるトナーを得ることは難しい。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、静電潜像現像用トナーの耐熱保存性、低温定着性、及び耐久性を向上させることを目的とする。
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する。前記シェル層が、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含む。前記第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。前記第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂である。前記第1シェル樹脂が、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む。
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する。前記シェル層が、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含む。前記第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。前記第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂である。前記シェル層では、前記第1シェル樹脂と前記第2シェル樹脂とがエステル交換反応又はエーテル化反応している。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、トナーコアを製造するトナーコア製造工程と、前記トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む第1シェル樹脂前駆体と、第2シェル樹脂前駆体とを液に添加する工程と前記液を加熱して、前記トナーコアの表面に、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含むシェル層を形成する工程とを含む。前記第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。前記第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂である。
本発明によれば、静電潜像現像用トナーの耐熱保存性、低温定着性、及び耐久性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナーについて、シェル層の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナーの製造方法に関し、第1のシェル層形成工程を説明するための図である。 第1のシェル層形成工程の比較例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るトナーの製造方法について、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とのエステル交換反応の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナーの製造方法について、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とのエーテル化反応の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナーの製造方法に関し、第2のシェル層形成工程を説明するための図である。 第2のシェル層形成工程の比較例を説明するための図である。 本発明の実施例に係るトナーについて、走査型電子顕微鏡を用いてトナー粒子の表面を撮影した写真である。 比較例に係るトナーについて、走査型電子顕微鏡を用いてトナー粒子の表面を撮影した写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定しない。
本実施形態に係るトナーは、静電潜像現像用トナーである。本実施形態のトナーは、多数のトナー粒子から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。まず、画像データに基づいて感光体に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤を用いて現像する。現像工程では、帯電したトナーを静電潜像に付着させる。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、更に転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)及び(2−1)を有する。
(1)トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する。
(2−1)シェル層が、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含む。第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂である。第1シェル樹脂が、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む。
構成(1)は、トナーの耐熱保存性を向上させるために有益である。詳しくは、トナーコアがシェル層で覆われることで、トナーの耐熱保存性が向上すると考えられる。
構成(2−1)は、トナーの耐久性及び低温定着性を向上させるために有益である。詳しくは、構成(1)及び(2−1)を有するトナーでは、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とが、第1シェル樹脂に含まれるアルコール性水酸基を有するモノマーを介して、相互に結合し易くなると考えられる。また、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とが結合し易くなることで、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性が向上すると考えられる。シェル層における第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性を向上させることで、トナーコアの表面に、耐久性及び低温定着性に優れるシェル層を形成し易くなる。
また、本実施形態に係るトナーが、構成(2−1)に代えて、又は構成(2−1)に加えて、次に示す構成(2−2)を有する場合にも、トナーの耐久性及び低温定着性が向上すると考えられる。
(2−2)シェル層が、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含む。第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂である。シェル層では、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とがエステル交換反応又はエーテル化反応している。
構成(2−2)は、トナーの耐久性及び低温定着性を向上させるために有益である。詳しくは、構成(1)及び(2−2)を有するトナーでは、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とが、エステル交換反応又はエーテル化反応することで、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性が向上すると考えられる。シェル層における第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性を向上させることで、トナーコアの表面に、耐久性及び低温定着性に優れるシェル層を形成し易くなる。
以下、構成(2−1)及び構成(2−2)を区別する必要がない場合には、構成(2−1)及び構成(2−2)の各々を構成(2)と記載する。
本実施形態に係るトナーは、構成(1)及び(2)の両方を有するトナー粒子(以下、本実施形態のトナー粒子と記載する)を含む。本実施形態のトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性と低温定着性と耐久性とに優れる(後述する表2を参照)。なお、トナーは、80質量%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが好ましく、90質量%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがより好ましく、100質量%の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが更に好ましい。
トナーの低温定着性と耐熱保存性との両方を更に向上させるためには、例えば、静電潜像現像用トナーが、構成(1)及び(2)に加えて、次に示す構成(3)を有することが好ましい。
(3)シェル層では、実質的に疎水性熱可塑性樹脂(第1シェル樹脂)からなる複数のブロックが、実質的に親水性熱硬化性樹脂(第2シェル樹脂)からなる境界部を介して相互に接続されている。なお、ブロックに含まれる疎水性熱可塑性樹脂の量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。また、境界部に含まれる親水性熱硬化性樹脂の量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
以下、図1及び図2を参照して、構成(1)〜(3)を有するトナーの一例について説明する。
図1に示すように、トナーコア10は、シェル層20によって被覆されている。シェル層20は、境界部21と、複数のブロック22とを含む。境界部21は、実質的に親水性熱硬化性樹脂からなる。ブロック22はそれぞれ、実質的に疎水性熱可塑性樹脂からなる。シェル層20においては、親水性熱硬化性樹脂の境界部21によって区画された各領域に、疎水性熱可塑性樹脂の微小なブロック22が形成されている。疎水性熱可塑性樹脂のブロック22と親水性熱硬化性樹脂の境界部21とにより、トナー粒子の表面(シェル層20)に海島構造が形成される。ブロック22の各々は、トナー粒子の表面に露出している。なお、トナー粒子の表面に露出しないブロック22がシェル層20に含まれていてもよい。
図2は、構成(1)〜(3)を有するトナーについて、シェル層20の構造の一例を示す図である。以下、主に図2を参照して、シェル層20の構造を更に説明する。
図2に示すように、境界部21は、ブロック22と他のブロック22との間に形成されている。ブロック22の各々は、ブロック22と他のブロック22との間に位置する境界部21(境界部21の壁)により仕切られている。また、境界部21は、ブロック22とトナーコア10との隙間にも形成されている。ブロック22とトナーコア10との隙間に位置する境界部21(境界部21の膜)は、境界部21の壁と他の境界部21の壁とを相互に接続して、境界部21全体を一体化している。ただし、これに限られず、境界部21は、部分的に分離していてもよい。
疎水性熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)以上に加熱されると軟化する。しかし、構成(1)〜(3)を有するトナーのシェル層では、疎水性熱可塑性樹脂(ブロック22)が親水性熱硬化性樹脂(境界部21)で仕切られている。このため、シェル層の温度が疎水性熱可塑性樹脂のTgに到達しても、トナー粒子は変形しにくくなる。トナーの製造条件を調整することで、トナー粒子に熱と圧力とを同時に加えた時に初めてトナー粒子の変形が始まるようにすることが可能になる。こうしたトナーでは、トナーに力が加わっていない状態においてトナー粒子と他のトナー粒子との凝集が抑制される。したがって、構成(1)〜(3)を有するトナーは耐熱保存性と低温定着性との両方に優れる。
トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含む。トナーコアは結着樹脂を含む。トナー粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて任意の成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を含んでいてもよい。
トナー粒子(トナー母粒子)の表面は、必要に応じて、外添剤を添加されていても良い。外添剤により処理される前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されていてもよい。
トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、トナーを所望のキャリアと混合して2成分現像剤を調製して使用してもよい。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を含んでもよい。
(結着樹脂)
トナーコアにおいては、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、それぞれ20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される1以上の基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する結着樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくいと考えられる。
結着樹脂のTgは、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計を用いて試料(結着樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から結着樹脂のTgを求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のTmが100℃以下であることで、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくくなる。また、結着樹脂のTmが100℃以下である場合には、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、シェル層の硬化反応中にトナーコアが部分的に軟化し易くなるため、トナーコアが表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、異なるTmを有する複数種の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
結着樹脂のTmは、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスターに試料(結着樹脂)をセットし、所定の条件で結着樹脂を溶融させ、流出させる。そして、結着樹脂のS字カーブを測定する。得られたS字カーブから結着樹脂のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、測定試料(結着樹脂)のTmに相当する。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)、ビニル系樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレンアクリル系樹脂、又はスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。中でも、スチレンアクリル系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるために好ましい。
以下、結着樹脂として用いることのできるスチレンアクリル系樹脂について説明する。なお、スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体である。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。なお、アクリル酸及びメタクリル酸を包括的に「(メタ)アクリル酸」と総称する場合がある。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、水酸基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を両立させるためには、スチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。なお、ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価アルコールの例としては、ジオール類又はビスフェノール類が挙げられる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸)又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸を、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を両立させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の好適な例としては、脂肪族炭化水素系ワックス(例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(例えば、酸化ポリエチレンワックス、又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物系ワックス(例えば、みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物系ワックス(例えば、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(例えば、モンタン酸エステルワックス又はカスターワックス)、又は脂肪酸エステルの一部若しくは全部を脱酸化したワックス(例えば、脱酸カルナバワックス)が挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金)、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコアと他のトナーコアとが固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコアと他のトナーコアとの固着を抑制することができる。
[シェル層]
シェル層は、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含む。第1シェル樹脂は、第2シェル樹脂の官能基(例えば、メチロール基又はアミノ基)と反応し易い官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基)を有することが好ましい。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として第1シェル樹脂中に含まれてもよい。
第1シェル樹脂は、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。
第1シェル樹脂としては、例えば、アクリルアミド系樹脂及びアクリル酸ナトリウム系樹脂のような親水性熱可塑性樹脂が好ましい。
シェル層へアクリルアミド系樹脂を導入するために用いることができるアクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド又はメタクリルアミドが挙げられる。また、シェル層へアクリル酸ナトリウム系樹脂を導入するために用いることができるアクリル酸ナトリウム系モノマーとしては、例えば、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム又はメタクリル酸ナトリウムが挙げられる。
第1シェル樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、シリコーンアクリル系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、又はエチレンビニルアルコール共重合体のような疎水性熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、又はシリコーンアクリル系グラフト共重合体がより好ましく、アクリル系樹脂が最も好ましい。
シェル層へ疎水性熱可塑性樹脂(第1シェル樹脂)を導入するために用いることができるアクリル系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、又は(メタ)アクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;メチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、又はn−ブチルエーテルのような、(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテルが挙げられる。
第1シェル樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼン系架橋性モノマー、ジアリルフタレート系架橋性モノマー、又はジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーと、疎水性熱可塑性樹脂を導入するために用いることができる前記モノマーとを共重合させた樹脂のような疎水性熱硬化性樹脂が好ましい。
シェル層へ疎水性熱硬化性樹脂を導入するために用いることができるジビニルベンゼン系架橋性モノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン又はp−ジビニルベンゼンが挙げられる。ジアリルフタレート系架橋性モノマーとしては、例えば、ジアリルイソフタレート又はジアリルオルソフタレートが挙げられる。ジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート又はトリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
第1シェル樹脂は、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む。アルコール性水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルエステルが好ましく、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(BHEA)、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルが特に好ましい。
第2シェル樹脂は親水性熱硬化性樹脂である。第2シェル樹脂(親水性熱硬化性樹脂)の好適な例としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリイミド樹脂、又はこれら各樹脂の誘導体が挙げられる。ポリイミド樹脂は、窒素元素を分子骨格に有する。このため、ポリイミド樹脂を含むシェル層は、強いカチオン性を有し易い。ポリイミド樹脂の例としては、マレイミド系重合体、又はビスマレイミド系重合体(より具体的には、アミノビスマレイミド重合体又はビスマレイミドトリアジン重合体)が挙げられる。
第2シェル樹脂としては、アミノ基を有する化合物とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)との重縮合によって生成される樹脂が特に好ましい。なお、メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂は、グリオキサールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。
第2シェル樹脂に窒素元素を含ませることで、第2シェル樹脂の架橋硬化機能を向上させることができる。第2シェル樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、又はグリオキザール樹脂)の反応性を高めるためには、メラミン樹脂では40質量%以上55質量%以下に、尿素樹脂では40質量%程度に、グリオキザール樹脂では15質量%程度に、窒素元素の含有量を調整することが好ましい。
シェル層へ第2シェル樹脂(親水性熱硬化性樹脂)を導入するために用いることができるモノマーの例としては、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、スピログアナミン、又はジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)が挙げられる。
疎水性熱硬化性樹脂又は親水性熱硬化性樹脂を形成する場合には、上述の疎水性熱可塑性樹脂又は親水性熱可塑性樹脂を形成するためのモノマー(アクリル系モノマー等)に架橋剤を添加することによって、熱硬化性樹脂を得ることができる。架橋剤の具体例としては、芳香族ジビニル化合物(より具体的には、ジビニルベンゼン又はジビニルナフタレン)、二重結合を2個有するカルボン酸エステル(より具体的には、エチレングリコールジアクリレート)、ジビニル化合物(より具体的には、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、又はジビニルスルホン)、又は3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。
シェル層の膜質を向上させるためには、架橋剤の使用量が、熱硬化性樹脂に対して、0.01質量%以上10質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
シェル層は、破壊箇所(機械的強度の弱い部位)を有していてもよい。破壊箇所は、シェル層に局所的に欠陥等を生じさせることにより形成することができる。シェル層に破壊箇所を設けることで、シェル層が容易に破壊されるようになる。その結果、低い温度でトナーを記録媒体に定着させることが可能になる。破壊箇所の数は任意である。
[外添剤]
トナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。外添剤としては、金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)、又はシリカの微粒子が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーを所望のキャリアと混合することで、2成分現像剤を調製できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリアコアが樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料とマンガン、亜鉛、又はアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;セラミックス(酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウム)の粒子;高誘電率物質(リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩)の粒子が挙げられる。樹脂中に上記粒子を分散させて樹脂キャリアを調製しても良い。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレンアクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂の2種以上を組み合わせても良い。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーとキャリアとを用いて2成分現像剤を調製する場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
[トナーの製造方法]
以下、本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法について説明する。本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、トナーコア製造工程と、シェル層形成工程とを含む。トナーコア製造工程では、トナーコアを製造する。シェル層形成工程では、液に、トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む第1シェル樹脂前駆体と、第2シェル樹脂前駆体とを添加する。また、シェル層形成工程では、液を加熱して、トナーコアの表面に、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含むシェル層を形成する。第1シェル樹脂は、親水性熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱硬化性樹脂である。第2シェル樹脂は、親水性熱硬化性樹脂である。第1シェル樹脂には、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれる。
(トナーコア製造工程)
トナーコア製造工程としては、例えば、粉砕法、凝集法が好ましい。
粉砕法では、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融し、混練する。続けて、得られた混練物を粉砕する。続けて、得られた粉砕物を分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。粉砕法によれば、比較的容易にトナーコアを調製できる。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナーコアを構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナーコアを形成する。凝集法によれば、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナーコアを得やすい。
(シェル層形成工程)
シェル層形成工程では、トナーコアの表面にシェル層を形成する。シェル層は、第1シェル樹脂前駆体及び第2シェル樹脂前駆体を用いて形成される。結着樹脂の溶解又は離型剤の溶出を防ぐためには、水のような水性媒体中でシェル層の形成が行われることが好ましい。本実施形態に係るトナーの製造方法では、液(例えば、水性媒体)に、トナーコア製造工程で得られたトナーコアと、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む第1シェル樹脂前駆体と、第2シェル樹脂前駆体とを添加する。
以下、主に図3〜図6を参照して、本実施形態に係るトナーの製造方法において、第1シェル樹脂前駆体として疎水性熱可塑性樹脂前駆体を使用し、第2シェル樹脂前駆体として親水性熱硬化性樹脂前駆体を使用した場合のシェル層形成工程の一例(以下、第1のシェル層形成工程と記載する)について説明する。図3〜6の各々の左側には、重合反応前のシェル材料を示し、図3〜6の各々の右側には、重合反応後のシェル材料を示す。
第1のシェル層形成工程では、水性媒体に、トナーコアと、親水性熱硬化性樹脂前駆体と、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む疎水性熱可塑性樹脂前駆体とを添加する。これにより、水性媒体中で、トナーコアの表面に粒子状の疎水性熱可塑性樹脂前駆体が吸着する。また、粒子状の疎水性熱可塑性樹脂前駆体が付着したトナーコアの表面を覆うように、親水性熱硬化性樹脂前駆体が形成される。詳しくは、図3(左側)に示すように、トナーコア10の表面に、親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜211aと、疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子221aとが形成される。膜211a及び粒子221aはそれぞれ、トナーコア10の表面に付着している。疎水性熱可塑性樹脂前駆体は、疎水性を有するため、水性媒体中に広がらず、凝集して粒子221aを形成すると考えられる。粒子221aの各々は、トナーコア10と膜211aとに囲まれて、水性媒体に露出しないと考えられる。
続けて、水性媒体(詳しくは、膜211a及び粒子221aが形成されたトナーコア10の分散液)を攪拌しながら、水性媒体の温度を所定の温度まで上昇させて、その温度に所定の時間保つ。これにより、トナーコア10の表面に付着したシェル材料(親水性熱硬化性樹脂前駆体及び疎水性熱可塑性樹脂前駆体)が重合反応して硬化する。その結果、図3(右側)に示すように、トナーコア10の表面に、親水性熱硬化性樹脂の膜211b(図1等に示される境界部21)と疎水性熱可塑性樹脂の粒子221b(図1等に示されるブロック22)とを含むシェル層が形成される。
シェル層を硬化させる前に、シェル材料(疎水性熱可塑性樹脂前駆体及び親水性熱硬化性樹脂前駆体)がそれぞれトナーコアに付着しているために、シェル層を加熱して硬化させてもトナーコアの表面上で、疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子と他の疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子とは融着しないと考えられる。また、加熱前の親水性熱硬化性樹脂前駆体は、強い親水性を有するため、水性媒体と疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子との界面に存在すると考えられる。しかし、シェル層の硬化反応が進むにつれて、親水性熱硬化性樹脂前駆体の親水性は弱まる傾向がある。このため、シェル層の硬化反応中においては、親水性熱硬化性樹脂前駆体が、キャピラリー効果によって、疎水性熱可塑性樹脂のブロック間、更には疎水性熱可塑性樹脂のブロックとトナーコアとの間に移動すると考えられる。
本実施形態に係るトナーの製造方法では、疎水性熱可塑性樹脂前駆体に、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれる。このため、親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜211aと疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子221aとが、アルコール性水酸基を有するモノマーを介して、相互に結合し易い。膜211aと粒子221aとが結合することで、膜211aと粒子221aとが相分離しにくくなる。親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜211aと疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子221aとが相分離しない場合には、図3(右側)に示すように、重合反応後において、粒子221bが膜211bによって確実に保持されると考えられる。
他方、第1のシェル層形成工程において、疎水性熱可塑性樹脂前駆体に、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれない場合には、親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜211aと疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子221aとが相分離することが懸念される。親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜211aと疎水性熱可塑性樹脂前駆体の粒子221aとが相分離すると、図4(右側)に示すように、重合反応後において、粒子221bが膜211bによって十分に保持されなくなり、トナーコア10の表面から粒子221bが脱離し易くなると考えられる。
また、第1のシェル層形成工程では、第1シェル樹脂前駆体に、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれることで、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とがエステル交換反応又はエーテル化反応により結合し易くなる。例えば、第1のシェル層形成工程において、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を含む第1シェル樹脂前駆体と、メチロールメラミン(メラミン樹脂前駆体)とを、液(例えば、水性媒体)に添加する場合には、図5に示すように、HEMAとメチロールメラミンとがエステル交換反応したり、図6に示すように、HEMAとメチロールメラミンとがエーテル化反応したりすると考えられる。
以下、主に図7及び図8を参照して、本実施形態に係るトナーの製造方法において、第1シェル樹脂前駆体として親水性熱可塑性樹脂前駆体を使用し、第2シェル樹脂前駆体として親水性熱硬化性樹脂前駆体を使用した場合のシェル層形成工程の一例(以下、第2のシェル層形成工程と記載する)について説明する。図7及び図8の各々の左側には、重合反応前のシェル材料を示し、図7及び図8の各々の右側には、重合反応後のシェル材料を示す。
第2のシェル層形成工程では、水性媒体に、トナーコアと、親水性熱硬化性樹脂前駆体と、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む親水性熱可塑性樹脂前駆体とを添加する。これにより、図7(左側)に示すように、水性媒体中で、トナーコア10の表面に親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜212aと親水性熱可塑性樹脂前駆体の膜222aとが付着する。
続けて、水性媒体(詳しくは、膜212a及び膜222aが形成されたトナーコア10の分散液)を攪拌しながら、水性媒体の温度を所定の温度まで上昇させて、その温度に所定の時間保つ。これにより、トナーコア10の表面に付着したシェル材料(親水性熱硬化性樹脂前駆体及び親水性熱可塑性樹脂前駆体)が重合反応して硬化する。また、シェル材料の重合反応中に、親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜212aと親水性熱可塑性樹脂前駆体の膜222aとが交互に接続される。その結果、図7(右側)に示すように、トナーコア10の表面に、親水性熱硬化性樹脂の膜212bと親水性熱可塑性樹脂の膜222bとを含むシェル層が形成される。親水性熱可塑性樹脂前駆体に、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれることで、膜212bと膜222bとが、アルコール性水酸基を有するモノマーを介して、相互に結合し易くなる。その結果、高い耐久性を有するシェル層が形成されると考えられる。
他方、第2のシェル層形成工程において、親水性熱可塑性樹脂前駆体に、アルコール性水酸基を有するモノマーが含まれない場合には、親水性熱硬化性樹脂前駆体の膜212aと親水性熱可塑性樹脂前駆体の膜222aとが相分離することが懸念される。膜212aと膜222aとが相分離すると、図8(右側)に示すように、重合反応後において、親水性熱硬化性樹脂の膜212bと親水性熱可塑性樹脂の膜222bとが分解し、トナーコア10の表面から膜212b又は膜222bが剥がれ落ち易くなると考えられる。
水性媒体のpHは、シェル層を形成するための材料を添加する前に、酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。水性媒体のpHを酸性側に調整することで、シェル層を形成するための重合反応が促進される。
シェル層の形成を良好に進行させるためには、トナーコアの表面でシェル層を形成する際の温度は、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。
上記のようにして、トナーコアの表面にシェル層を形成することで、トナー母粒子の分散液が得られる。続けて、得られたトナー母粒子の分散液を常温まで冷却する。その後、必要に応じて、トナー母粒子を洗浄する工程(洗浄工程)、トナー母粒子を乾燥する工程(乾燥工程)、及びトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる工程(外添工程)を経て、トナー母粒子の分散液からトナーが回収される。
洗浄工程では、水を用いてトナー母粒子を洗浄する。好適な洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液から、固液分離によりウエットケーキ状のトナー母粒子を回収し、得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、水を用いて洗浄する方法;分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
乾燥工程では、トナー母粒子を乾燥させる。トナー母粒子を乾燥させる好適な方法としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するため、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカ粒子のような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー、ナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
なお、上記トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば溶媒にシェル層の材料を溶解させてから、溶媒中にトナーコアを添加してもよい。また、溶媒中にトナーコアを添加してから、溶媒にシェル層の材料を溶解させてもよい。シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法の何れの方法を用いて、シェル層を形成してもよい。また、トナーの用途に応じて、各種工程は割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例1〜18及び比較例1〜3のトナー(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。
(第1シェル樹脂前駆体A−1のサスペンションの作製)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水875mL及びアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムルWX」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)75mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を80℃に昇温した。その後、スチレン14mL、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)4mL、アクリル酸ブチル2mL、及びジビニルベンゼン0.5mLの混合液、それとは別に過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液を各々5時間かけてフラスコに滴下した。更に80℃で2時間保持して重合を完結させて、第1シェル樹脂前駆体A−1のサスペンションを得た。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−1の粒子の平均粒子径は32nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−1は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−2のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから17mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を4mLから1mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−2のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−2の粒子の平均粒子径は、39nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−2は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−3のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから8mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を4mLから10mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−3のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−3の粒子の平均粒子径は、24nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−3は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−4のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから15mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)4mLに代えてアクリル酸2−ヒドロキシエチル(BHEA)4mLを使用し、アクリル酸ブチルの添加量を2mLから1mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−4のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−4の粒子の平均粒子径は、34nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−4は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−5のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから15mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)4mLに代えてアクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPA)4mLを使用し、アクリル酸ブチルの添加量を2mLから1mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−5のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−5の粒子の平均粒子径は、32nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−5は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−6のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから15mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)4mLに代えてメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPMA)4mLを使用し、アクリル酸ブチルの添加量を2mLから3mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−6のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−6の粒子の平均粒子径は、43nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−6は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体A−7のサスペンションの作製)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を使用せず、スチレンの添加量を14mLから20mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体A−7のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体A−7の粒子の平均粒子径は、45nmであった。第1シェル樹脂前駆体A−7は、疎水性熱硬化性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体B−1水溶液の作製)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水950mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を80℃に昇温した。その後、アクリルアミド12mL及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)8mLの混合液、それとは別に過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液を各々5時間かけてフラスコに滴下した。更に80℃で2時間保持して重合を完結させて、第1シェル樹脂前駆体B−1水溶液を得た。第1シェル樹脂前駆体B−1は、親水性熱可塑性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体B−2水溶液の作製)
アクリルアミドの添加量を12mLから14mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を8mLから6mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体B−1と同様に第1シェル樹脂前駆体B−2水溶液を作製した。第1シェル樹脂前駆体B−2は、親水性熱可塑性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体B−3水溶液の作製)
アクリルアミドの添加量を12mLから10mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を8mLから10mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体B−1と同様に第1シェル樹脂前駆体B−3水溶液を作製した。第1シェル樹脂前駆体B−3は、親水性熱可塑性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体B−4水溶液の作製)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を使用せず、アクリルアミドの添加量を12mLから20mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体B−1と同様に第1シェル樹脂前駆体B−4水溶液を作製した。第1シェル樹脂前駆体B−4は、親水性熱可塑性樹脂であった。
(第1シェル樹脂前駆体C−1のサスペンションの作製)
ジビニルベンゼンを使用しなかったこと以外は、第1シェル樹脂前駆体A−1と同様に第1シェル樹脂前駆体C−1のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体C−1の粒子の平均粒子径は39nmであった。第1シェル樹脂前駆体C−1は、疎水性熱可塑性樹脂前駆体であった。
(第1シェル樹脂前駆体C−2のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから17mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を4mLから1mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体C−1と同様に第1シェル樹脂前駆体C−2のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに第1シェル樹脂前駆体C−2の含まれる粒子の平均粒子径は32nmであった。第1シェル樹脂前駆体C−2は、疎水性熱可塑性樹脂前駆体であった。
(第1シェル樹脂前駆体C−3のサスペンションの作製)
スチレンの添加量を14mLから8mLに変更し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)の添加量を4mLから10mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体C−1と同様に第1シェル樹脂前駆体C−3のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体C−3の粒子の平均粒子径は41nmであった。第1シェル樹脂前駆体C−3は、疎水性熱可塑性樹脂前駆体であった。
(第1シェル樹脂前駆体C−4のサスペンションの作製)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を使用せず、スチレンの添加量を14mLから18mLに変更した以外は、第1シェル樹脂前駆体C−1と同様に第1シェル樹脂前駆体C−4のサスペンションを作製した。得られたサスペンションに含まれる第1シェル樹脂前駆体C−4の粒子の平均粒子径は40nmであった。第1シェル樹脂前駆体C−4は、疎水性熱可塑性樹脂前駆体であった。
第1シェル樹脂前駆体A−1〜A−7の粒子をテトラヒドロフランに投入すると、第1シェル樹脂前駆体A−1〜A−7の粒子はそれぞれ溶解されなかった。この試験結果から、第1シェル樹脂前駆体A−1〜A−7はそれぞれ、熱硬化性樹脂前駆体であることが確認された。また、第1シェル樹脂前駆体C−1〜C−4の粒子をテトラヒドロフランに投入すると、第1シェル樹脂前駆体C−1〜C−4の粒子はそれぞれ溶解した。この試験結果から、第1シェル樹脂前駆体C−1〜C−4はそれぞれ、熱可塑性樹脂前駆体であることが確認された。
実施例1
(トナーコアの作製)
低粘度ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃、花王株式会社製)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃、花王株式会社製)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃、花王株式会社製)150gと、離型剤(カルナバワックス、株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)55gと、着色剤(フタロシアニンブルー、DIC株式会社製「KET BLUE 111」)40gとをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料投入量5kg/時、軸回転数160rpm、設定温度範囲100℃以上130℃以下で溶融し、混練した。得られた混練物を冷却した後、混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕品を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)で微粉砕した。続けて、得られた微粉砕品を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)で分級した。その結果、トナーコアが得られた。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水(水性媒体)300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、第1シェル樹脂前駆体A−1のサスペンション150mLと、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)0.1mLとを添加した。シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液を得た。得られた水溶液に、300gのトナーコアを添加し、フラスコ内容物を、200rpmの速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水300mLを追加した。その後、フラスコ内容物を100rpmで攪拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内温を70℃まで上げた。昇温後、70℃、100rpmの条件でフラスコ内容物を2時間攪拌し続けた。その後、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコ内容物を常温まで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液から、ウエットケーキ状のトナー母粒子をろ取した。続けて、ウエットケーキ状のトナー母粒子を再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。こうしたイオン交換水によるトナー母粒子の洗浄を5回繰り返した。
(乾燥工程)
洗浄工程で得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調整した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させてトナー母粒子を得た。乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。
(外添工程)
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、乾式シリカ(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1.0質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩により篩別して、実施例1のトナーを得た。
実施例2
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.05mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例2のトナーを得た。
実施例3
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.5mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例3のトナーを得た。
実施例4
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−2を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例4のトナーを得た。
実施例5
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−3を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例5のトナーを得た。
実施例6
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−4を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例6のトナーを得た。
実施例7
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−5を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例7のトナーを得た。
実施例8
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−6を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例8のトナーを得た。
実施例9
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂B−1を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例9のトナーを得た。
実施例10
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.05mLに変更した以外は、実施例9のトナーと同様に実施例10のトナーを得た。
実施例11
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.5mLに変更した以外は、実施例9のトナーと同様に実施例11のトナーを得た。
実施例12
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂B−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂B−2を使用した以外は、実施例11のトナーと同様に実施例12のトナーを得た。
実施例13
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂B−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂B−3を使用した以外は、実施例11のトナーと同様に実施例13のトナーを得た。
実施例14
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂C−1を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に実施例14のトナーを得た。
実施例15
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.05mLに変更した以外は、実施例14のトナーと同様に実施例15のトナーを得た。
実施例16
シェル層形成工程において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.1mLから0.5mLに変更した以外は、実施例14のトナーと同様に実施例16のトナーを得た。
実施例17
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂C−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂C−2を使用した以外は、実施例16のトナーと同様に実施例17のトナーを得た。
実施例18
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂C−1に代えて、150mL第1シェル樹脂C−3を使用した以外は、実施例16のトナーと同様に実施例18のトナーを得た。
比較例1
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂A−7を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に比較例1のトナーを得た。
比較例2
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂B−4を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に比較例2のトナーを得た。
比較例3
シェル層形成工程において、150mLの第1シェル樹脂A−1に代えて、150mLの第1シェル樹脂C−4を使用した以外は、実施例1のトナーと同様に比較例3のトナーを得た。
[評価方法]
各試料(実施例1〜18及び比較例1〜3のトナー)の評価方法は、以下の通りである。
(耐熱保存性)
試料(トナー)2gを容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用の試料を得た。その後、耐熱保存性評価用の試料を、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、100メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留した試料の質量を測定した。篩別前の試料の質量と、篩別後に篩上に残留した試料の質量とから、下記式にしたがって凝集度(質量%)を算出した。算出された凝集度から、下記基準にしたがって耐熱保存性を評価した。
凝集度(質量%)=(篩上に残留した試料の質量/篩別前の試料の質量)×100
○(良い) :凝集度が50質量%以下である。
×(良くない) :凝集度が50質量%を超える。
(低温定着性)
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製、「TASKalfa5550ci」用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルを用いて30分間混合し、評価用の2成分現像剤を調製した。
評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着器(ニップ幅8mm)を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上記のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
試料(トナー)の定着性を評価する場合には、上記評価機を用いて、線速200mm/秒(ニップ通過時間40m秒)、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、90g/m2の紙(A4サイズの印刷用紙)に、大きさ25mm×25mm、印字率100%のソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された紙を定着器に通した。定着温度の設定範囲は100℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着器の定着温度を100℃から徐々に上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。
最低定着温度の測定においてトナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、画像を形成した面が内側となるように紙を半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を10往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。下記基準にしたがって低温定着性を評価した。
○(良い) :最低定着温度が160℃以下である。
×(良くない) :最低定着温度が160℃超である。
(耐久性)
試料(トナー)と、パウダーテック株式会社製の現像剤用キャリア(体積固有抵抗値107Ωcm、飽和磁化70emu/g、平均粒子径35μm)とを、現像剤全体の質量に対してトナーの比率が12質量%となるように、ボールミルを用いて30分間混合し、評価用の2成分現像剤を調製した。
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いた。上記のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
上記評価機を用いて、温度20℃、湿度60%RHの環境下において印字率5%で1万枚印刷する耐久性試験を行った。初期の画像濃度(反射濃度計の測定値)が1.0以上1.2以下になるように、現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧を200V〜300Vの間で調整した。画像濃度の測定には、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEyeLT」)を用いた。
耐久性試験後に、評価機の内部で飛散したトナーの質量を計測した。下記基準にしたがって、飛散したトナーの質量を評価した。
○(良い) :飛散したトナーの質量が100mg以下である。
×(良くない) :飛散したトナーの質量が100mg超である。
また、耐久性試験後のトナーについて、トナー全体の量に対する逆帯電トナーの量(質量%)を帯電量・粒子径分布測定機(ホソカワミクロン株式会社製「イースパートアナライザーEST−G」)を用いて測定した。下記基準にしたがって、逆帯電トナーの量を評価した。
○(良い) :逆帯電トナーの量が1質量%以下である。
×(良くない) :逆帯電トナーの量が1質量%超である。
また、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて、耐久性試験後のトナーの帯電量を測定した。下記基準にしたがって、トナーの帯電量を評価した。
○(良い) :トナーの帯電量が15μC/g以上である。
×(良くない) :トナーの帯電量が15μC/g未満である。
[評価結果]
各試料(実施例1〜18及び比較例1〜3のトナー)の各々についての評価結果は以下の通りである。
以下、図9及び図10を参照して、各試料(トナー)に含まれるトナー粒子のシェル層において、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性が向上しているか否かを検討する。図9は、実施例1に係るトナーについて、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したトナー粒子の写真(SEM写真)である。図10は、比較例1に係るトナーについて、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したトナー粒子の写真(SEM写真)である。
図9に示すように、実施例1のトナーに含まれるトナー粒子のシェル層では、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性が高かった。
図10に示すように、比較例1のトナーに含まれるトナー粒子のシェル層では、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂との相溶性が低かった。
表2に、実施例1〜18及び比較例1〜3のトナーの耐熱保存性、低温定着性、及び耐久性の各々の評価結果を示す。
表2に示されるように、実施例1〜18に係るトナーは、低温定着性、耐熱保存性、及び耐久性に優れていた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
10 トナーコア
20 シェル層
21 境界部
22 ブロック
211a 膜
211b 膜
212a 膜
212b 膜
221a 粒子
221b 粒子
222a 膜
222b 膜

Claims (4)

  1. トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを含むトナー粒子を含有する静電潜像現像用トナーであって、
    前記シェル層が、第1シェル樹脂と第2シェル樹脂とを含み、
    前記第1シェル樹脂が、親水性熱可塑性モノマー、疎水性熱可塑性モノマー、又は疎水性熱硬化性樹脂の重合物であり、
    前記第2シェル樹脂が、親水性熱硬化性樹脂の硬化物であり、
    前記第1シェル樹脂が、アルコール性水酸基を有するモノマーを含む組成物の重合物であり
    前記アルコール性水酸基を有するモノマーが、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルエステルである、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルエステルが、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルである、請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記親水性熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記第1シェル樹脂が疎水性熱可塑性モノマーの重合物であり、
    前記シェル層では、実質的に前記第1シェル樹脂からなる複数のブロックが、実質的に前記第2シェル樹脂からなる境界部を介して相互に接続されている、請求項1〜の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
JP2014263260A 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー Expired - Fee Related JP6038108B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014263260A JP6038108B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー
US14/978,356 US9523937B2 (en) 2014-12-25 2015-12-22 Electrostatic latent image developing toner

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014263260A JP6038108B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016122145A JP2016122145A (ja) 2016-07-07
JP6038108B2 true JP6038108B2 (ja) 2016-12-07

Family

ID=56164003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014263260A Expired - Fee Related JP6038108B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9523937B2 (ja)
JP (1) JP6038108B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016104499A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6038205B2 (ja) * 2015-02-23 2016-12-07 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2016170328A (ja) * 2015-03-13 2016-09-23 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー
EP3098656B1 (en) * 2015-05-26 2018-06-20 Kyocera Document Solutions Inc. Electrostatic latent image developing toner and method for producing the same
JP6390534B2 (ja) * 2015-06-23 2018-09-19 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP6493321B2 (ja) * 2016-07-13 2019-04-03 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP6888583B2 (ja) * 2018-04-23 2021-06-16 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー
CN115678358A (zh) * 2021-07-27 2023-02-03 青岛胶南海尔洗衣机有限公司 一种洗衣机波轮、洗衣机波轮的制备方法及洗衣机

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2762507B2 (ja) * 1988-01-29 1998-06-04 ミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JPH06170214A (ja) * 1992-12-11 1994-06-21 Fuji Xerox Co Ltd マイクロカプセルおよびカプセルトナーならびにマイクロカプセルの製造方法
JP3305998B2 (ja) * 1997-12-10 2002-07-24 株式会社沖データ 熱圧力定着用カプセルトナーとその製造方法
JP4326245B2 (ja) * 2003-03-25 2009-09-02 トッパン・フォームズ株式会社 薄膜被覆重合トナー、薄膜被覆重合トナーの製造方法
JP4072041B2 (ja) 2002-08-23 2008-04-02 トッパン・フォームズ株式会社 薄膜被覆微トナーの製造方法
KR20050048618A (ko) 2002-08-23 2005-05-24 돗빤호무즈가부시기가이샤 박막 피복 토너
JP2006276069A (ja) * 2005-03-25 2006-10-12 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真用トナー及びその製造方法、並びに、これを用いた電子写真用現像剤及び画像形成方法
JP5869450B2 (ja) * 2012-08-29 2016-02-24 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナーにおけるシェル層のトナーコア粒子からの剥がれにくさの評価方法
JP5800864B2 (ja) * 2013-06-27 2015-10-28 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー

Also Published As

Publication number Publication date
US20160187796A1 (en) 2016-06-30
US9523937B2 (en) 2016-12-20
JP2016122145A (ja) 2016-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6038108B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6369574B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6006701B2 (ja) 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像用トナーの製造方法、及び静電潜像現像用トナーを用いた定着方法
JP6447488B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6465045B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6369567B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6038205B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP6390534B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6398882B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6269459B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2017134333A (ja) 2成分現像剤
JP6458862B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6418336B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2016161910A (ja) 静電潜像現像用キャリア、及び2成分現像剤
US9594324B2 (en) Electrostatic latent image developing toner
JP6269529B2 (ja) 静電潜像現像用キャリア、及び2成分現像剤
JP6237677B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
WO2016148013A1 (ja) トナー及びその製造方法
JP6039523B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2018031866A (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6558335B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2017116568A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6330696B2 (ja) トナーの製造方法
JP6332127B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP2016170328A (ja) トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160603

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20160603

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20160707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6038108

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees