JP6269529B2 - 静電潜像現像用キャリア、及び2成分現像剤 - Google Patents

静電潜像現像用キャリア、及び2成分現像剤 Download PDF

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本発明は、静電潜像現像用キャリア及び2成分現像剤に関する。
静電潜像現像用キャリアは、複数のキャリア粒子を含む。静電潜像現像用キャリアは、トナーと混合して2成分現像剤において、画像形成のために用いられることが知られている。また、耐久性を向上させるために、キャリアコアを樹脂で被覆することが知られている。例えば、特許文献1には、キャリアコアと、第1層と、第2層とを含有するキャリア粒子を含む静電潜像現像用キャリアが記載されている。さらに、第1層はフッ素系樹脂であり、第2層はシリコーン系樹脂であることが記載されている。
特開平4−333861号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるキャリアでは、第2層を形成するシリコーン系樹脂に起因して、キャリアの帯電性が過度に高くなると考えられる。こうしたキャリアとトナーとを含む2成分現像剤を用いて画像を形成する場合には、トナーの帯電性が不安定になり、印刷条件(例えば、印字率)によっては、トナーにより高画質の画像を形成することが困難になると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、印刷条件(例えば、印字率)を変化させた場合であっても、トナーにより高画質の画像を形成できる静電潜像現像用キャリアを提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用キャリアは、キャリアコアと、第1層と、第2層とを含有する複数のキャリア粒子を含む。前記第1層が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される1種以上のフッ素系樹脂を含む。前記第2層が、ポリアミドイミド樹脂を含む。前記キャリアコアの表面粗さが、前記キャリア粒子の表面粗さの1.5倍以上である。前記キャリア粒子の表面粗さが20nm以上200nm以下である。
本発明によれば、印刷条件(例えば、印字率)を変化させた場合であっても、トナーにより高画質の画像を形成できる静電潜像現像用キャリアを提供することが可能になる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る静電潜像現像用キャリア(以下、単にキャリアともいう)は、複数のキャリア粒子を含む。キャリアは、トナーと混合して静電潜像の現像に用いることができる。本実施形態に係る静電潜像現像用キャリアは、例えば電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
電子写真装置では、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤を用いて静電潜像を現像する。これにより、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、さらに転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るキャリアは、キャリアコアと、第1層と、第2層とを含有する複数のキャリア粒子を含む。
本実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子は、次に示す構成(1)〜(3)を有する。本実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子のうち、80質量%以上のキャリア粒子が構成(1)〜(3)を有することが好ましく、90質量%以上のキャリア粒子が構成(1)〜(3)を有することがより好ましく、100質量%のキャリア粒子が構成(1)〜(3)を有することがさらに好ましい。
(1)キャリア粒子は、キャリアコアと、第1層と、第2層とを含有する。第1層が、PFA、FEP、及びPTFEからなる群から選択される1種以上のフッ素系樹脂を含む。第2層が、ポリアミドイミド樹脂を含む。
(2)キャリアコアの表面粗さが、キャリア粒子の表面粗さの1.5倍以上である。
(3)キャリア粒子の表面粗さが20nm以上200nm以下である。
構成(1)を有するキャリア粒子を用いると、印刷条件(例えば、印字率)を変化させた場合であっても、トナーにより高画質の画像を形成しやすい。詳しくは、第1層に含有されるフッ素系樹脂は帯電性に優れるため、キャリア粒子の帯電性は好適に維持されやすい。また、第2層に含有されるポリアミドイミド樹脂は強度及び硬度に優れるため、キャリア粒子の耐久性を向上させやすい。したがって、構成(1)を有するキャリア粒子を用いると、キャリアの帯電性と耐久性とが優れる。このため、印刷条件を変化させた場合であっても、トナーにより高画質の画像を形成しやすい。
構成(2)及び(3)を有するキャリア粒子を用いると、印刷条件(例えば、印字率)を変化させた場合であっても、トナーにより高画質の画像を形成しやすい。詳しくは、構成(2)及び(3)を有するキャリア粒子は、キャリア粒子表面及びキャリアコア表面に適度な凹凸を有するため、好適な帯電量を維持することができると考えられる。これにより、キャリアとトナーとを混合した2成分現像剤のチャージアップが抑制される。2成分現像剤のチャージアップを抑制することでカブリの発生が抑制され、トナーにより高画質の画像を形成しやすくなると考えられる。なお、構成(2)で規定されるキャリアコアの表面粗さは、第1層及び第2層が被覆される前のキャリアコアの表面粗さであっても良く、キャリア粒子から第1層及び第2層を除去することで得られるキャリアコアの表面粗さであっても良い。
キャリアコア及びキャリア粒子の表面粗さは、例えば、走査型プローブ顕微鏡及びカンチレバーを用いて測定できる。具体的には、走査型プローブ顕微鏡及びカンチレバーを用いて、所定の条件で、測定対象(キャリアコア又はキャリア粒子)の表面形状を測定し、画像を得る。そして、得られた画像について粗さ解析を行い、測定対象(キャリアコア又はキャリア粒子)の表面粗さ(十点平均粗さ)を測定する。測定対象10個についてそれぞれ表面粗さ(十点平均粗さ)を測定し、10個の個数平均値を、キャリアコア又はキャリア粒子の表面粗さとする。
キャリア粒子の表面粗さは、第2層を硬化させる温度(硬化温度)と時間(硬化時間)とにより調整できる。硬化温度を高くすれば、キャリア粒子の表面粗さは小さくなる傾向があり、硬化温度を低くすれば、キャリア粒子の表面粗さは大きくなる傾向がある。また、硬化時間を長くすれば、キャリア粒子の表面粗さは小さくなる傾向があり、硬化時間を短くすれば、キャリア粒子の表面粗さは大きくなる傾向がある。さらに、第2層を硬化させた後に、流動処理することで、キャリア粒子の表面粗さを小さくすることもできる。
また、キャリアコアの表面粗さは、キャリアコアを焼成する温度(焼成温度)と時間(焼成時間)とにより調整できる。焼成温度を高くすれば、キャリアコアの表面粗さは小さくなる傾向があり、焼成温度を低くすれば、キャリア粒子の表面粗さは大きくなる傾向がある。また、焼成時間を長くすれば、キャリアコアの表面粗さは小さくなる傾向があり、焼成時間を短くすれば、キャリア粒子の表面粗さは大きくなる傾向がある。
[キャリア]
本実施形態に係るキャリアは、前述の構成(1)〜(3)を有するキャリア粒子を含む。キャリアとしては、磁性キャリアが好ましい。
キャリアコアの材料としては、フェライト(より具体的には、強磁性フェライト)、マグネタイト、鉄、ニッケル、又はコバルトのような金属を好適に使用できる。また、これらの金属と、銅、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、鉛、スズ、ビスマス、ベリリウム、マンガン、マグネシウム、セレン、タングステン、ジルコニウム、もしくはバナジウムとの合金又は混合物も、キャリアコアの材料として好適に使用できる。また、上記金属に、金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化チタン、又は酸化マグネシウム)、窒化物(例えば、窒化クロム又は窒化バナジウム)、又は炭化物(例えば、炭化ケイ素又は炭化タングステン)を混ぜて、得られた混合物をキャリアコアの材料として使用してもよい。これらの材料の中でも、フェライト又はマグネタイトが、キャリアコアの材料として特に好ましい。1種類の材料を単独で使用してもよいし、2種類以上の材料を併用してもよい。
キャリアコアの表面粗さは、30nm以上500nm以下であることが好ましく、45nm以上375nm以下であることがより好ましい。キャリアコアの表面粗さが30nm以上500nm以下であれば、チャージアップの発生を抑制し、キャリアコアと第1層及び第2層との密着性を向上させ、コートはがれを抑制できる。なお、キャリアコアの表面粗さは、第1層及び第2層が被覆される前のキャリアコアであっても良く、キャリア粒子から第1層及び第2層を除去することで得られるキャリアコアの表面粗さであっても良い。
2成分現像剤の現像性を向上させるためには、キャリアコアの体積中位径(D50)が30μm以上100μm以下であることが好ましい。キャリアコアの体積中位径(D50)は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−700」)を用いて測定できる。
キャリアコアを被覆する第1層は、PFA、FEP、及びPTFEからなる群から選択される1種以上のフッ素系樹脂を含む。第1層を形成する上記フッ素系樹脂が帯電性に優れるため、キャリアは、好適な帯電性を維持できる。
キャリア粒子の第1層における上記フッ素系樹脂の含有量は、キャリアコア100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。フッ素系樹脂の含有量が1質量部以上である場合は、キャリア粒子の帯電性が低下しないため、かぶり(非露光部においてもトナー粒子が付着する現象)を抑制できる。さらに、現像中にトナー粒子のみが過度に飛翔することを抑制できる。また、フッ素系樹脂の含有量が15質量部以下である場合は、帯電性が適度に低くなる。このため、現像性の低下に起因する画像濃度の低下を抑制できる。
キャリアの帯電性を向上させるためには、第1層の厚さは100nm以上2000nm以下であることが好ましい。
キャリア粒子の第2層は、ポリアミドイミド樹脂を含む。ポリアミドイミド樹脂は強度及び硬度に優れる。このため、第2層にポリアミドイミド樹脂を含ませることで、キャリア粒子の耐久性を向上させるとともにスペントを抑制できる。
ポリアミドイミド樹脂は、例えば、イソシアネート法又はアミン法(酸クロリド法、低温溶液重合法、又は室温溶液重合法)により製造できる。なかでも、ポリアミドイミド樹脂溶液としてポリアミドイミド樹脂を得ることができるため、イソシアネート法を用いることが好ましい。ポリアミドイミド樹脂溶液は有機溶剤に可溶であるため、第2層を形成する際の取扱性等に優れる。イソシアネート法の具体例としては、極性溶媒と、トリメリット酸無水物(TMA)と、イソシアネート化合物とを混合し、適切な条件(例えば、反応温度又は反応時間)でこれらを共重合させる方法が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。イソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
第2層におけるポリアミドイミド樹脂の含有量は、キャリアコア100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。ポリアミドイミド樹脂の含有量が1質量部以上である場合は、キャリア粒子の強度及び耐久性を十分に向上させることができる。一方、ポリアミドイミド樹脂の含有量が15質量部以下である場合は、第1層のフッ素樹脂の効果が十分に得られるため、トナーに必要とされる十分な帯電量を与えることができる。
キャリア粒子の表面粗さは、20nm以上200nm以下であり、30nm以上150nm以下であることが好ましい。キャリア粒子の表面粗さが20nm以上200nm以下であれば、キャリア粒子がチャージアップしにくく、キャリア粒子の耐久性が向上しやすい。
また、キャリアコアの表面粗さは、キャリア粒子の表面粗さの1.5倍以上であり、1.5倍以上2.5倍以下であることが好ましい。キャリアコアの表面粗さが、キャリア粒子の表面粗さの1.5倍以上であれば、印刷条件(例えば、印字率)を変更しても、トナーにより高画質の画像を形成しやすい。
電子顕微鏡により測定されるキャリア粒子の体積中位径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
キャリアコアを第1層で被覆する方法は、例えば、溶剤(例えば、メチルエチルケトンもしくはテトラヒドロフラン、又はこれら混合溶剤)にフッ素系樹脂を分散させた樹脂溶液を調製し、キャリアコアを第1樹脂溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、別の方法としては、流動コーティング装置を用いて、キャリアコアを流動させ、続けて、流動しているキャリアコアにフッ素系樹脂溶液をスプレーすることによって第1層を形成する方法が挙げられる。
第1層で被覆されたキャリアコアを第2層で被覆する方法の一例では、流動コーティング装置を用いて、第1層で被覆されたキャリアコアを流動させる。続けて、流動しているキャリアコアにポリアミド樹脂溶液をスプレーして、第1層の表面に第2層を形成する。そして、形成された第2層を加熱して硬化させる。
第2層を硬化させる温度(硬化温度)は、200℃以上300℃以下であることが好ましい。また、第2層を硬化させる時間(硬化時間)は、30分以上90分以下であることが好ましい。
本実施形態に係るキャリアをトナーと混合して2成分現像剤を調製してもよい。トナーは、複数のトナー粒子を含有する。トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層とを含むことが好ましい。また、トナー粒子の表面に外添剤を付着させても良い。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。
さらに、トナーコアがアニオン性を有し、シェル層の材料(以下、シェル材料と記載する)がカチオン性を有する場合には、シェル層の形成時にカチオン性のシェル材料をトナーコアの表面に引き付けることが可能になる。詳しくは、例えば、水性媒体中で負に帯電するトナーコアに、水性媒体中で正に帯電するシェル材料が電気的に引き寄せられ、in−situ重合によりトナーコアの表面にシェル層が形成されると考えられる。シェル材料がトナーコアに引き寄せられることで、分散剤を用いなくても、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成し易くなると考えられる。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。なお、トナーの用途に応じて、トナーの成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。
[トナーコア]
トナー粒子のトナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナー粒子のトナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
(トナーコアの結着樹脂)
トナー粒子のトナーコアにおいては、トナーコア成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合しやすい。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する結着樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくいと考えられる。
結着樹脂のTgは、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて試料(結着樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から結着樹脂のTgを求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)であることで、記録媒体に対するトナーの高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくくなる。また、結着樹脂のTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)である場合には、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、シェル層の硬化反応中にトナーコアが部分的に軟化し易くなるため、トナーコアが表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、異なるTmを有する複数の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
結着樹脂のTmは、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(結着樹脂)をセットし、所定の条件で結着樹脂を溶融させ、流出させる。そして、結着樹脂のS字カーブを測定する。得られたS字カーブから結着樹脂のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、測定試料(結着樹脂)のTmに相当する。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)、ビニル系樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、又はスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。中でも、スチレンアクリル酸系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性に優れる。
以下、結着樹脂として用いることのできるスチレンアクリル酸系樹脂について説明する。なお、スチレンアクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体である。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。なお、アクリル酸及びメタクリル酸を包括的に「(メタ)アクリル酸」と総称する場合がある。
スチレンアクリル酸系樹脂を調製する際に、水酸基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレンアクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル酸系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル酸系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレンアクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル酸系樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレンアクリル酸系樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、スチレンアクリル酸系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル酸系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレンアクリル酸系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。なお、ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価アルコールの例としては、ジオール類又はビスフェノール類が挙げられる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールAエーテル、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAエーテルが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(トナーコアの着色剤)
トナー粒子のトナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子のトナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー粒子のトナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(トナーコアの離型剤)
トナー粒子のトナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の好適な例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー粒子のトナーコアに添加してもよい。
(トナーコアの電荷制御剤)
トナー粒子のトナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(トナーコアの磁性粉)
トナー粒子のトナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金)、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコアと他のトナーコアとが固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコアと他のトナーコアとの固着を抑制することができる。
[シェル層]
シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂のみから構成されてもよいし、実質的に熱可塑性樹脂のみから構成されてもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有してもよい。また、シェル層において、熱可塑性樹脂が、架橋性を有するモノマー又はプレポリマー(例えば、後述する熱硬化性樹脂の調製に用いられ得るモノマー)で架橋されてもよい。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との割合は任意である。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との割合の例としては、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:1、3:1、4:1、又は5:1(それぞれ質量比で、熱可塑性樹脂:熱硬化性樹脂)が挙げられる。
シェル層に含まれる熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリイミド樹脂、又はこれら各樹脂の誘導体が好ましい。ポリイミド樹脂は、窒素元素を分子骨格に有する。このため、ポリイミド樹脂を含むシェル層は、強いカチオン性を有しやすい。シェル層に含まれるポリイミド樹脂としては、マレイミド系重合体、又はビスマレイミド系重合体(より具体的には、アミノビスマレイミド重合体又はビスマレイミドトリアジン重合体)が好ましい。
シェル層に含まれる熱硬化性樹脂としては、アミノ基を含む化合物とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)との重縮合によって生成される樹脂が特に好ましい。なお、メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂は、グリオキサールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。シェル層がメラミン樹脂又は尿素樹脂を含む場合には、トナーを乾燥する際にトナーが凝集しにくくなると考えられる。メラミン樹脂及び尿素樹脂の各々の吸水性が低いためである。このため、トナーの保存性を向上させるためには、シェル層がメラミン樹脂又は尿素樹脂を含むことが好ましい。
シェル層に含まれる熱硬化性樹脂の調製には、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、スピログアナミン、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)からなる群より選択される1種以上のモノマーを好適に使用できる。
熱硬化性樹脂に窒素元素を含ませることで、熱硬化性樹脂の架橋硬化機能を向上させることができる。熱硬化性樹脂の反応性を高めるためには、メラミン樹脂では40質量%以上55質量%以下に、尿素樹脂では40質量%程度に、グリオキザール樹脂では15質量%程度に、窒素元素の含有量を調整することが好ましい。
シェル層に含まれる熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂の官能基(例えば、メチロール基又はアミノ基)と反応しやすい官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基)を有することが好ましい。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。
シェル層に含まれる熱可塑性樹脂としては、親水性を有する樹脂が好ましく、極性官能基を有する単位(例えば、グリコール、カルボン酸、又はマレイン酸)を含む親水性の樹脂が特に好ましい。極性官能基を有する熱可塑性樹脂は、高い反応性を有する。シェル層に含まれる親水性の熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(又はその誘導体)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキサイドが好ましい。
シェル層に含まれる熱可塑性樹脂はアクリル成分を含むことが好ましく、反応性アクリレートを含むことがより好ましい。アクリル成分を含む熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂と反応しやすいため、シェル層の膜質を向上させることができると考えられる。シェル層に含まれる熱可塑性樹脂は、2HEMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)を含むことが特に好ましい。
シェル層に含まれる熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレンアクリル酸系共重合体樹脂、シリコーンアクリル酸系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、又はエチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。シェル層に含まれる熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレンアクリル酸系共重合体樹脂、又はシリコーンアクリル酸系グラフト共重合体が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
シェル層に含まれる熱可塑性樹脂の調製には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、又は(メタ)アクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテル(より具体的には、メチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、又はn−ブチルエーテル)のようなアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。一種のアクリル酸系モノマーを単独で使用してもよいし、複数種のアクリル酸系モノマーを併用してもよい。
シェル層の材料は上記材料に限られず任意である。例えば、シェル層がゼラチン・アラビアゴムを含んでいてもよい。
シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合、シェル層の厚さは、1nm以上30nm以下であることが好ましい。また、シェル層が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含有する場合、シェル層の厚さは、20nm以上45nm以下であることが好ましい。こうした厚さのシェル層を有するトナー粒子を含むトナーは、定着性及び保存性の両方に優れると考えられる。なお、シェル層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。
[外添剤]
トナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。外添剤としては、金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)、又はシリカの粒子が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
トナーの含有量は、キャリアの質量に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることが好ましい。また、混合及び攪拌には、例えば、ボールミル、ナウタ―ミキサー(登録商標)、ロッキングミキサー(登録商標)を用いることができる。
本発明の実施例について説明する。以下、実施例1〜8及び比較例1〜5のトナーの製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、粉体(例えば、キャリア、トナーコア又はトナー)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の平均である。
[キャリアAの作製]
(キャリアコア準備工程)
MnO換算で40mol%、MgO換算で10mol%、Fe23換算で50mol%になるように各原材料(MnO、MgO及びFe23)を適量配合し、水を加えた。その後、スプレードライヤーを用いて造粒させ、乾燥させた。湿式ボールミルで2時間かけて粉砕し、混合した。その後、1200℃(以下、焼成温度という)で5時間(以下、焼成時間という)焼成して、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化が65Am2/kgである体積中位径40μmのキャリアコアA(マンガン系フェライトキャリア)を得た。
(第1層形成用液供給工程)
第1層形成用液を調製するために、メチルエチルケトン100質量部に、フッ素系樹脂としてFEP10質量部を分散させた。流動コーティング装置を用いて、上記キャリアコアAを100質量部流動させた。流動しているキャリアコアAに、第1層形成用液の固形分を5質量部スプレーコートした。
(第2層形成用液供給工程)
第2層形成用液としてポリアミドイミド樹脂溶液を用いた。このポリアミドイミド樹脂溶液は、極性溶液中でトリメット酸無水物(TMA)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを共重合させて得た。このポリアミドイミド樹脂溶液の固形分濃度(ポリアミドイミド樹脂濃度)は10質量%であった。流動コーティング装置を用いて、上記キャリアコアAを100質量部流動させた。流動しているキャリアコアAに、第2層形成用液の固形分を5質量部スプレーコートした。その後、流動層を280℃(硬化温度)で1時間(硬化時間)加熱処理して、ポリアミドイミド樹脂を硬化させた。これにより、キャリアAが得られた。
[キャリアBの作製]
第1層形成用液供給工程において、第1層形成用液としてFEP10質量部の代わりに、PFAを10質量部使用した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアBを作製した。
[キャリアCの作製]
第1層形成用液供給工程において、第1層形成用液としてFEP10質量部の代わりに、PTFEを10質量部使用した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアCを作製した。
[キャリアDの作製]
第1層形成用液供給工程において、第1層形成用液としてFEP10質量部の代わりに、FEP5質量部及びPTFEを5質量部使用した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアDを作製した。
[キャリアEの作製]
キャリアコア準備工程において、焼成温度を1200℃から1300℃に変更し、焼成時間を5時間から7時間に変更した以外は、キャリアコアAと同様の方法でキャリアコアEを作製した。得られたキャリアコアEの3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化は65Am2/kgであり、体積中位径は40μmであった。
キャリアコアAの代わりにキャリアコアEを使用し、第2層形成用液供給工程において、硬化温度を280℃から300℃に変更した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアEを作製した。
[キャリアFの作製]
キャリアコア準備工程において、焼成温度を1200℃から1000℃に変更した以外は、キャリアコアAと同様の方法でキャリアコアFを作製した。得られたキャリアコアFの3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化は65Am2/kgであり、体積中位径は40μmであった。
キャリアコアAの代わりにキャリアコアFを使用し、第2層形成用液供給工程において、硬化温度を280℃から240℃に変更した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアFを作製した。
[キャリアGの作製]
第2層形成用液供給工程において、硬化温度を280℃から300℃に変更した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアGを作製した。
[キャリアHの作製]
キャリアAと同様の方法で、第1層で被覆されたキャリアコアHを作製した。得られた第1層で被覆されたキャリアコアHに第2層形成用液供給工程を実施した。第2層形成用液としてポリアミドイミド樹脂溶液を用いた。このポリアミドイミド樹脂溶液は、極性溶液中でトリメット酸無水物(TMA)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを共重合させて得た。このポリアミドイミド樹脂溶液の固形分濃度(ポリアミドイミド樹脂濃度)は10質量%であった。流動コーティング装置を用いて、第1層100質量部で被覆されたキャリアコアHを流動させた。流動している上記キャリアコアHに、第2層形成用液の固形分を5質量部スプレーコートした。その後、流動層を240℃(硬化温度)で1時間(硬化時間)加熱処理して、ポリアミドイミド樹脂を硬化させた。これにより、流動前キャリアHを作製した。さらに、得られた流動前キャリアを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、流動速度2500rpmの条件で20分間流動させて、キャリアHを作製した。
[キャリアIの作製]
第2層形成用液供給工程において、硬化温度を300℃から310℃に変更し、硬化時間を1時間から2時間に変更した以外は、キャリアEと同様にキャリアIを作製した。
[キャリアJの作製]
第2層形成用液供給工程において、硬化温度を240℃から230℃に変更した以外は、キャリアFと同様の方法でキャリアJを作製した。
[キャリアKの作製]
第2層形成用液供給工程において、硬化温度を300℃から270℃に変更した以外は、キャリアEと同様の方法でキャリアKを作製した。
[キャリアLの作製]
第2層形成用液供給工程において、硬化温度を280℃から250℃に変更した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアLを作製した。
[キャリアMの作製]
第2層形成用液としてポリアミドイミド樹脂溶液5質量部の代わりに、シリコーン樹脂溶液(東レダウコーニング株式会社製「SR 2410」)5質量部を使用した以外は、キャリアAと同様の方法でキャリアMを作製した。
[トナーの作製]
(トナーコア作製工程)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、ポリエステル樹脂(三井化学株式会社製「XPE258」)100質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)5質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)1質量部とを、攪拌速度2400rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、材料投入量5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲80℃以上110℃以下の条件で、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融し、混練した。その後、得られた混練物を冷却した。
続けて、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて混練物を粗粉砕した。さらに、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径7μmのトナーコアを得た。得られたトナーコアと標準キャリアN−01(日本画像学会から提供される負帯電極性トナー用標準キャリア)との摩擦帯電量は−20μC/gであった。また、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「Delsa Nano HC」)により、pH4に調整された分散液中のトナーコアのゼータ電位を測定したところ、トナーコアのpH4におけるゼータ電位は−30mVであった。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。そして、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に、イオン交換水500mLと、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製「ジュリマー(登録商標)AC−103」)50gとを添加した。その結果、フラスコ内にポリアクリル酸ナトリウム水溶液が得られた。
続けて、得られたポリアクリル酸ナトリウム水溶液に、前述の手順で作製したトナーコア100gを添加した。続けて、フラスコ内容物を室温で十分攪拌した。その結果、フラスコ内にトナーコアの分散液が得られた。
続けて、得られたトナーコアの分散液を、目開き3μmの濾紙を用いて濾過した。続けて、濾別されたトナーコアを、イオン交換水に再分散した。その後、濾過と再分散とを5回繰り返すことにより、トナーコアを洗浄した。そして、500mLのイオン交換水に対して100gのトナーコアが分散した懸濁液をフラスコ内で調製した。
続けて、フラスコ内に、親水性熱硬化性樹脂として尿素メラミンホルムアルデヒド共縮合樹脂の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSUM−100」、固形分濃度80質量%)1gを添加した。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の懸濁液のpHを4に調整した。
続けて、pHが調整された懸濁液を、1Lのセパラブルフラスコに移した。続けて、フラスコ内容物(トナーコアとシェル材料との混合液)を回転速度1200rpmで攪拌しながら昇温速度0.5℃/分でフラスコ内の温度を70℃まで上げて、フラスコ内容物(トナーコアとシェル材料との混合液)を回転速度150rpmで攪拌しながらフラスコ内の温度を70℃に1時間保った。フラスコ内の温度を高温(70℃)に保つことで、シェル材料が重合反応するとともに、トナーコアとシェル材料とが相互に反応し、シェル層がトナーコアの表面に形成された。その結果、トナー母粒子を含む分散液が得られた。その後、トナー母粒子の分散液を常温まで冷却し、水酸化ナトリウムを用いてトナー母粒子の分散液のpHを7に調整した。
(トナー母粒子の洗浄及び乾燥工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液をろ過(固液分離)して、トナー母粒子を得た。その後、得られたトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。続けて、トナー母粒子を乾燥した。
(外添工程)
上記乾燥後、トナー母粒子に外添を行った。トナー母粒子100質量部と、導電性酸化チタン微粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)1.0質量部と、疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」)0.7質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて攪拌速度3500rpmで5分間混合した。その結果、トナー母粒子の表面に外添剤が付着した。これにより、多数のトナー粒子を含むトナーが製造された。
実施例1
トナーとキャリアAとの合計量100質量部に対して、トナーの添加量が10質量部となるようにトナーとキャリアAとを混合した。続けて、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)にて、トナーとキャリアAとを1時間攪拌した。これにより、実施例1の2成分現像剤が得られた。
実施例2
キャリアAの代わりにキャリアBを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例2の2成分現像剤を得た。
実施例3
キャリアAの代わりにキャリアCを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例3の2成分現像剤を得た。
実施例4
キャリアAの代わりにキャリアDを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例4の2成分現像剤を得た。
実施例5
キャリアAの代わりにキャリアEを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例5の2成分現像剤を得た。
実施例6
キャリアAの代わりにキャリアFを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例6の2成分現像剤を得た。
実施例7
キャリアAの代わりにキャリアGを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例7の2成分現像剤を得た。
実施例8
キャリアAの代わりにキャリアHを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、実施例8の2成分現像剤を得た。
比較例1
キャリアAの代わりにキャリアIを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、比較例1の2成分現像剤を得た。
比較例2
キャリアAの代わりにキャリアJを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、比較例2の2成分現像剤を得た。
比較例3
キャリアAの代わりにキャリアKを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、比較例3の2成分現像剤を得た。
比較例4
キャリアAの代わりにキャリアLを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、比較例4の2成分現像剤を得た。
比較例5
キャリアAの代わりにキャリアMを使用した以外は、実施例1の2成分現像剤と同様に、比較例5の2成分現像剤を得た。
[評価方法]
各試料(実施例1〜8及び比較例1〜5の2成分現像剤)の評価方法は、以下の通りである。
<表面粗さ>
以下に示す方法により、試料(2成分現像剤)に含まれるキャリアコア及びキャリア粒子の各々の表面粗さを測定した。走査型プローブ顕微鏡(SPM、株式会社日立ハイテクサイエンス製「AFM5000」)及びカンチレバー(株式会社日立ハイテクサイエンス製「OMCL―AC−240TS―C3」)を用いて、観察エリア3μm×3μm、走査周波数1Hz、Qカーブ測定倍率1.001、且つ振幅減衰率−0.4の条件で、測定対象(キャリアコア又はキャリア粒子)の表面形状を測定し、画素数512×512の画像を得た。そして、得られた画像について粗さ解析を行い、測定対象(キャリアコア又はキャリア粒子)の表面粗さ(十点平均粗さ)を測定した。粗さ解析には、株式会社日立ハイテクサイエンス製「AFM5000」付属のソフトウェアを用いた。測定対象10個についてそれぞれ表面粗さ(十点平均粗さ)を測定し、10個の個数平均値を評価値(試料に含まれるキャリアコア又はキャリア粒子の表面粗さ)とした。
<画像濃度(ID)>
実施例及び比較例にて得られた2成分現像剤と補充用のトナー粒子とを用い、通常環境(温度20℃、湿度50%RH)にて、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「Taskalfa 500ci」)を用いて、初期評価用の画像サンプルAを出力した。その後、1.0%の印字率の条件で1万枚連続印刷を行った。そして、10万枚連続印刷後の画像サンプル(画像サンプルB)を出力した。引き続き、20%の印字率の条件で5千枚連続印刷を行った。そして、5千枚連続印刷後の画像サンプル(画像サンプルC)を出力した。引き続き、5.0%の印字率の条件で10万枚連続印刷を行った。そして10万連続印刷後の画像サンプル(画像サンプルD)を出力した。
なお、画像サンプルには5cm角のソリッド画像と非印字領域とが含まれる。画像サンプルA、画像サンプルB、及び画像サンプルDを対象として、ソリッド画像の画像濃度(ID)を、マクベス反射濃度計(グレタグ・マクベス社製「RD914」)を用いて測定した。5箇所の測定値の平均を測定対象の画像の画像濃度とした。そして、以下の基準で画像濃度を評価した。
非常に良い(◎):画像濃度(ID)が1.3以上であった。
良い(○) :画像濃度(ID)が1.0以上1.3未満であった。
悪い(×) :画像濃度(ID)が1.0未満であった。
(2)かぶり値(FD)
上記画像濃度評価で得た画像サンプルA、画像サンプルC、及び画像サンプルDを対象として、非印字領域のカブリ濃度(FD)を反射濃度計(IHARA社製「R710」)にて測定した。なお、FDは下記式にて算出した。なお、5箇所の測定値の平均をカブリ濃度とした。そして、以下の基準でカブリ濃度を評価した。
FD=(印刷を施した紙の白紙部の反射濃度)―(印刷を施していない紙の反射濃度)
カブリ濃度(FD)の評価基準は次のとおりである。
非常に良い(◎):カブリ濃度(FD)が0.005以下であった。
良い(○) :カブリ濃度(FD)が0.005超0.010以下であった。
悪い(×) :カブリ濃度(FD)が0.010超であった。
[評価結果]
実施例1〜8及び比較例1〜5のトナーの各々についての評価結果は以下のとおりである。表1に、キャリアコアの表面粗さ(Ra)と、キャリア粒子の表面粗さ(Rb)と、キャリア粒子の表面粗さに対するキャリアコアの表面粗さの比率(Ra/Rb)とを示す。表2に、画像濃度、及びカブリ濃度の評価結果を示す。
Figure 0006269529
Figure 0006269529
実施例1〜8のトナーは、上述の構成(1)〜(3)の全てを有していた。実施例1〜8のトナーは、印字率を変化させた場合であっても、画像濃度とカブリ濃度とが優れていた。
本発明に係る2成分現像剤は、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。

Claims (6)

  1. キャリアコアと、前記キャリアコアの表面に形成されている第1層と、前記第1層の表面に形成されている第2層とを含有する複数のキャリア粒子を含む静電潜像現像用キャリアであって、
    前記第1層が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1種以上のフッ素系樹脂を含み、
    前記第2層が、ポリアミドイミド樹脂を含み、
    前記キャリアコアの表面粗さが、前記キャリア粒子の表面粗さの1.5倍以上であり、
    前記キャリア粒子の表面粗さが、20nm以上200nm以下であり、
    前記キャリアコアの表面粗さが、55nm以上355nm以下である、静電潜像現像用キャリア。
  2. 前記フッ素系樹脂の含有量が、前記キャリアコア100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であり、
    前記ポリアミドイミド樹脂の含有量が、前記キャリアコア100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下である、請求項に記載の静電潜像現像用キャリア。
  3. 前記フッ素系樹脂の含有量が、前記キャリアコア100質量部に対して5質量部以上15質量部以下であり、
    前記ポリアミドイミド樹脂の含有量が、前記キャリアコア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下である、請求項2に記載の静電潜像現像用キャリア。
  4. 前記キャリア粒子の体積中位径が、20μm以上120μm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリア。
  5. 前記キャリアコアの体積中位径が、30μm以上100μm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリア。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーとを含有する2成分現像剤。
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