JP6006701B2 - 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像用トナーの製造方法、及び静電潜像現像用トナーを用いた定着方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層と、シェル層よりも硬度の高い微粒子とを含む。上記シェル層は、熱硬化性樹脂を含み、上記シェル層よりも硬度の高い微粒子を内包する。
図1に示すように、静電潜像現像用トナー1は、トナーコア2と、シェル層3と、微粒子4とを含む。トナーコア2は、いわゆるトナー成分である。そして、トナーコア2の表面を被覆するように、熱硬化性樹脂を含有するシェル層3が形成されている。
結着樹脂はトナーコア2を構成する必須成分であり、アニオン性を有する。結着樹脂は、例えば、官能基としてエステル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する。結着樹脂の中でも、分子中に水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基のような官能基を持つ樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を持つ樹脂がより好ましい。なぜなら、このような官能基は、シェル層に含まれる熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合するからである。その結果、静電潜像現像用トナー1においては、シェル層3とトナーコア2とが強固に結合する。
熱硬化性樹脂はシェル層3を構成する必須成分であり、十分な強度、硬度、及びカチオン性を有する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂は、例えば、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を含む。
準備工程
ポリエステル樹脂(花王社製、酸価16mgKOH/g、水酸基価22mgKOH/g、軟化点Tm100℃、ガラス転移点Tg48℃)100質量部に対し、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3タイプ(銅フタロシアニン))5質量部、及び離型剤(エステルワックス、日油社製「WEP−3」)5質量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した。得られた混合物を二軸押出機(池貝社製「PCM−30」)で溶融混練した。得られた混練物を機械式粉砕機(フロイント・ターボ社製「ターボミル」)で粉砕し、次いで分級機(日鉄鉱業社製「エルボージェット」)で分級し、6μmの体積平均粒径を有するトナーコアAを得た。なお、粉砕前のポリエステル樹脂の硬度を後述の鉛筆硬度試験により測定したところ、Hであった。
トナーコアAに対し、シリカ微粒子(東ソー社製「E−220A」、粒径16nm、鉛筆硬度8H以上)を、その付着量がトナーコア全量に対して1質量%となるように添加し、これらをヘンシェルミキサーで混合して、トナーコアAの表面にシリカ微粒子を付着させた。
1L容の三口フラスコを30℃のウォーターバス中にセットし、フラスコ内で、塩酸を用いてイオン交換水(300ml)のpHを4に調整した。このイオン交換水に2mlのメチロールメラミンの初期重合体水溶液(昭和電工社製「ミルベン607」、固形分濃度80質量%)を溶解し、シェル層形成用液を得た。シェル層形成用液に付着工程を経たトナーコアA300gを添加した。
シェル層形成用液とトナーコアAとを200rpmの速度で1時間撹拌した。500mlのイオン交換水を追加し、フラスコの内容物を100rpmで撹拌しながら、1℃/分の昇温速度でフラスコ内部の温度を80℃にまで昇温した。昇温後、80℃かつ100rpmで、フラスコの内容物を20分間撹拌し続けた。次いで、水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。そして、フラスコ内容物を常温まで冷却し、静電潜像現像用トナーを含む液を得た。
樹脂化工程の反応温度を、後述の表1に示すようにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
微粒子として、シリカ微粒子に代えて酸化チタン微粒子(富士チタン社製、「TAF−1500」、粒径10nm以上50nm以下、鉛筆硬度8H以上)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
樹脂化工程の反応温度を60℃に変更した以外は実施例5と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
シェル層に内包されるシリカ微粒子に代えてアクリル樹脂微粒子(綜研化学社製、「MP−1000」、粒径50nm以上200nm以下、鉛筆硬度2H)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行って、比較例1の静電潜像現像用トナーを得た。
樹脂化工程の反応温度を60℃に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
シェル層形成用液に微粒子を何ら含有させなかった以外は実施例2と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
樹脂化工程の反応温度を60℃に変更した以外は比較例3と同様の操作を行って、静電潜像現像用トナーを得た。
実施例3で得られた静電潜像現像用トナーを用い、ニップ幅を7.2mmに、定着器のローラー荷重を120Nから70Nに変更することで定着荷重を4N/cm2とし、定着温度を評価した。
実施例3で得られた静電潜像現像用トナーを用い、ニップ幅を8.7mmに、定着器のローラー荷重を160Nに変更することで定着荷重を8N/cm2とし、定着温度を評価した。
実施例3で得られた静電潜像現像用トナーを用い、ニップ幅を9.5mmに変更するとともに、定着器のローラー荷重を220Nに変更することで定着荷重を10N/cm2とし、定着温度を評価した。
比較例4で得られた静電潜像現像用トナーを用い、ニップ幅を7.2mmに、定着器のローラー荷重を70Nに変更することで定着荷重を4N/cm2とし、定着温度を評価した。
比較例4で得られた静電潜像現像用トナーを用い、ニップ幅を8.7mmに、定着器のローラー荷重を160Nに変更することで定着荷重を8N/cm2とし、定着温度を評価した。
(1)シェル層の硬度試験
pHを4に調整した2.0gの塩酸水に1.0gのヘキサメチロールメラミンの初期重合体水溶液(昭和電工社製、「ミルベン607」、固形分濃度80質量%)を溶解し、溶解物を得た。この溶解物をガラス板に滴下し薄く広げた。ガラス板の温度(つまり、メラミン樹脂のモノマー又はプレポリマーの反応温度)を、後述の表1及び表2にて示された反応温度に基づいて、50℃から80℃まで10℃刻みで変更してメラミン樹脂被膜を形成し、サンプル用ガラス板を作成した。その後、サンプル用ガラス板の各々を、上記のメラミン樹脂のモノマー又はプレポリマーの反応温度で、それぞれ20分間加熱した。その後、水酸化ナトリウムを加えてpHを7に調整し、乾燥させた。そして、各々のガラス板に形成された被膜に対し、JIS K5600に従って鉛筆硬度試験を行って、実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナーのシェル層の硬度とみなした。
実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナーを、図4に示したような加熱加圧型定着器を用いて定着処理に付した。具体的には、定着温度を100℃から200℃まで5℃刻みで変更して、90g/m2の用紙に1.0mg/cm2の静電潜像現像用トナーを定着した場合の定着状況を目視で確認し、トナーが良好に定着された状態となる最低の温度を最低定着温度として採用した。なお、最低温度の測定条件は、速度230mm/sec、ニップ幅8mm、ニップ通過時間35msecとした。
実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナーを、図4に示したような加熱加圧型定着器を用いて定着処理に付し、定着時の荷重(定着荷重)を測定した。加圧ローラー荷重が120Nとなるように圧接して定着ニップを形成し、定着荷重を算出した。加圧ローラー荷重が120Nであり、ニップ幅は8mmである場合の定着荷重は6N/cm2である。なお、加圧ローラー荷重を変更することで、定着荷重を変更できる。実施例7〜9、比較例5、及び6においては、後述のように加圧ローラー荷重を変更することにより、定着荷重を変更した。
2 トナーコア
3 シェル層
4 微粒子
t シェル層の厚み
φ 微粒子の粒径
5 静電潜像現像用トナー
6 外添剤
7 定着器
8 記録媒体
9 加熱ローラー
10 加圧ローラー
11 熱源
12 温度検知部材
13 分離部材
Claims (1)
- 帯電制御剤を含まず結着樹脂を含むトナーコアを準備する準備工程と、
前記トナーコアの表面を被覆するように、シェル層を形成する形成工程と
を包含し、
前記形成工程は、
前記トナーコアの前記表面にシリカ微粒子又は酸化チタン微粒子を付着させる付着工程と、
メラミン樹脂又は尿素樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーと水とを含有し、分散剤を含有しないシェル層形成用液中に、前記トナーコアを浸漬する供給工程と、
前記シェル層形成用液に含有されるメラミン樹脂又は尿素樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーを樹脂化して、前記トナーコアの前記表面に前記シェル層を形成する樹脂化工程と
を包含し、
前記シェル層は、メラミン樹脂又は尿素樹脂を含み、
前記シリカ微粒子又は前記酸化チタン微粒子は前記シェル層の厚みよりも粒径が大きく前記シェル層よりも硬度が高く、前記シリカ微粒子又は前記酸化チタン微粒子は前記トナーコアの前記表面に直接付着しており且つ前記シリカ微粒子又は前記酸化チタン微粒子が前記シェル層に被覆された状態で突出するように前記シェル層に内包されている、静電潜像現像用トナーの製造方法。
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