以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
図1を参照して、本実施形態の静電潜像現像用トナーを説明する。図1に示すように、本実施形態の静電潜像現像用トナー1は、第1トナー粒子10の集合体と第2トナー粒子20の集合体とを含有する。
第1トナー粒子10は、第1粒径を有する第1コア粒子11と、第1コア粒子11を被覆する第1シェル層12と、第1無機微粒子13及び14とを含む。第1コア粒子11は結着樹脂を含む。第1シェル層12は熱硬化性樹脂を主成分とする。第1コア粒子11はアニオン性(負帯電性)を示し、第1シェル層12はカチオン性(正帯電性)を示す。第1無機微粒子14は、第1無機微粒子13よりも大きい粒径を有する。なお、本実施形態においては、粒径の異なる2種類の第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14が用いられているが、1種類の第1無機微粒子を単独で用いてもよい。
第1コア粒子11の表面を被覆するように、第1シェル層12が形成されている。第1トナー粒子10において、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14は、第1シェル層12の表面に露出しているため、転写性及び帯電性を良好に維持することができる。
第1シェル層12が形成されていることにより、本実施形態の静電潜像現像用トナー1は、例えば、耐ブロッキング性、搬送性、及び保存性に優れる。そして、第1トナー粒子10が記録媒体に転写され、熱及び荷重が付与されると、第1シェル層12が破壊されることにより第1トナー粒子10の表面に露出した第1コア粒子11が溶融又は軟化して記録媒体に定着される。
第2トナー粒子20は、第2粒径を有する第2コア粒子21と、第2コア粒子を被覆する第2シェル層22と、第2無機微粒子23及び24とを含む。第2コア粒子21は結着樹脂を含む。第2シェル層22は熱硬化性樹脂を主成分とする。第2コア粒子21はアニオン性(負帯電性)を示し、第2シェル層22はカチオン性(正帯電性)を示す。第2無機微粒子24は、第2無機微粒子23よりも大きい粒径を有する。なお、本実施形態においては、粒径の異なる2種類の第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24が用いられているが、1種類の第2無機微粒子を単独で用いてもよい。
第2コア粒子21の表面を被覆するように、第2シェル層22が形成されている。第2トナー粒子20において、第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24は、第2シェル層22の表面に露出しているため、転写性及び帯電性を良好に維持することができる。
第2シェル層22が形成されていることにより、第2トナー粒子20を含む本実施形態の静電潜像現像用トナー1は、例えば、耐ブロッキング性、搬送性、及び保存性に優れる。そして、第2トナー粒子20が記録媒体に転写され、熱及び荷重が付与されると、第2シェル層22が破壊されることにより第2トナー粒子20の表面に露出した第2コア粒子21が溶融又は軟化して記録媒体に定着される。
本実施形態においては、第1トナー粒子10の集合体の質量に対する第1無機微粒子の質量の割合(a質量%)に対する第2トナー粒子20の集合体の質量に対する第2無機微粒子の質量の割合(b質量%)(b/a)が1.2以上2.0以下である。これにより、第2トナー粒子20は第1トナー粒子10と比較して、第2無機微粒子の割合が多いため現像性向上効果が期待できる。さらに、第2トナー粒子20は第2無機微粒子の割合が小さいため、第1トナー粒子10と第2トナー粒子20との現像性を近づけることができる。これにより、第1トナー粒子10のみが選択的に飛翔してしまうことがないため、かぶりや選択現像現象の発生を抑制できる。その結果、現像器の耐久性を阻害することを抑制できる。そして、この割合が2.0以下である場合は、第2トナー粒子20の現像性が第1トナー粒子10と比較して過度に高くなることがないので、かぶりを抑制できる。一方、この割合が1.2以上である場合は、第2トナー粒子20の現像性が十分に向上するため第1トナー粒子10が選択的に現像に付されることを抑制できる。
なお、従来技術においては、第1トナー粒子10の集合体と第2トナー粒子20の集合体とに含まれる無機微粒子の質量割合は同じであった。そのため、第1トナー粒子10の現像性は、第2トナー粒子20の現像性と比較すると過度に強くなり、選択現像現象が発生していた。一方、本実施形態の静電潜像現像用トナー1を用いることにより、かぶりや選択現像現象の発生を抑制することができる。
静電潜像現像用トナー1においては、上記第1粒径が(上記第1コア粒子11と上記第2コア粒子12との平均粒径)/A以上であり、上記第2粒径が(上記第1コア粒子11と上記第2コア粒子21との平均粒径)/A未満であり、Aの値が1.2以上2.0以下である。Aの値は1.5であることが特に好ましい。Aの値が1.2以上2.0以下である場合は、現像性に影響を与えるコア粒子21の粒径を適切に制御することができ、かぶりの発現を効果的に抑制できる。
次に、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の詳細について以下に説明する。第1コア粒子11及び第2コア粒子21は、結着樹脂を必須成分として含有する。結着樹脂は、アニオン性を有する。結着樹脂は、例えば、官能基としてエステル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する。結着樹脂の中でも、分子中に水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基のような官能基を持つ樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を持つ樹脂がより好ましい。なぜなら、このような官能基は、第1シェル層12及び第2シェル層22に含まれる熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合するからである。その結果、静電潜像現像用トナー1においては、第1シェル層12と第1コア粒子11とが、さらに第2シェル層22と第2コア粒子21とが強固に結合する。
結着樹脂がカルボキシル基を有する場合、この結着樹脂の酸価は、第1コア粒子11及び第2コア粒子21が良好なアニオン性を有するために、3mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下がより好ましい。
結着樹脂が水酸基を有する場合、この結着樹脂の水酸基価は、第1コア粒子11及び第2コア粒子21が良好なアニオン性を有するために、10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上50mgKOH/g以下がより好ましい。
結着樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂(スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、又はN−ビニル系樹脂、及びスチレン−ブタジエン系樹脂)が挙げられる。結着樹脂としては、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対する定着性を向上させるために、スチレンアクリル系樹脂及び/又はポリエステル樹脂が好ましい。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)メタアクリル酸メチル、(メタ)メタアクリル酸エチル、(メタ)メタアクリル酸n−ブチル、及び(メタ)メタアクリル酸iso−ブチル);(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピル)が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、例えば、水酸基を有する単量体(p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。水酸基を有する単量体の使用量を適宜調整することで、スチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸を単量体として用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。(メタ)アクリル酸の使用量を適宜調整することで、スチレンアクリル系樹脂の酸価を調整できる。
ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合又は共縮重合することで得られる。
2価又は3価以上のアルコール成分としては、例えば、ジオール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコール);ビスフェノール類(ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールA);3価以上のアルコール類(ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン)が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、2価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はアルキル又はアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸))、3価以上のカルボン酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸)が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、エステル形成性の誘導体(酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル等)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価の調整は、ポリエステル樹脂を製造する際に、2価又は3価以上のアルコール成分の使用量と2価又は3価以上のカルボン酸成分の使用量とを、それぞれ適宜変更して行うことができる。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の強度、並びに静電潜像現像用トナー1の定着性の向上のために、1200以上2000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比の値、質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、上記と同様の理由から、9以上20以下が好ましい。
結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂である場合、スチレンアクリル系樹脂の数平均分子量Mnは、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の強度、並びに静電潜像現像用トナー1の定着性の向上のために、2000以上3000以下が好ましい。スチレンアクリル系樹脂の分子量分布は、上記と同様の理由から、10以上20以下が好ましい。なお、結着樹脂の数平均分子量Mnと質量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
結着樹脂のガラス転移点Tgは、低温定着性を向上させるために、第1シェル層12及び第2シェル層22に含まれる熱硬化性樹脂の硬化開始温度以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移点Tgが上記硬化開始温度以下であることで、高速定着時においても十分な低温定着性が得られる。特に、結着樹脂のガラス転移点Tgは20℃以上であることが好ましく、30℃以上55℃以下がより好ましく、30℃以上50℃以下がさらに好ましい。結着樹脂のガラス転移点Tgが20℃以上である場合は、第1シェル層12及び第2シェル層22の形成時に第1コア粒子11及び第2コア粒子21が凝集することを抑制できる。なお、一般に、熱硬化性樹脂の硬化開始温度は55℃程度である。
結着樹脂のガラス転移点Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用い、結着樹脂の比熱の変化点から求めることができる。例えば、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツルメンツ社製「DSC−6200」)を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することでガラス転移点Tgを求めることができる。より具体的には、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下かつ昇温速度10℃/分の条件で結着樹脂の吸熱曲線を得、この吸熱曲線に基づいてガラス転移点Tgを求める方法が挙げられる。
結着樹脂の軟化点Tmは100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。軟化点Tmが100℃以下であることで、高速定着時においても十分な低温定着性を達成できる。結着樹脂の軟化点Tmを調整するには、例えば、異なる軟化点Tmを有する複数の結着樹脂を組み合わせればよい。
結着樹脂の軟化点Tmの測定には、高架式フローテスター(例えば、島津製作所社製「CFT−500D」)を用いることができる。具体的には、測定試料を高架式フローテスターにセットし、所定の条件(ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分)で、1cm3の試料を溶融流出させてS字カーブ(つまり、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)を得、このS字カーブから結着樹脂の軟化点Tmを読み取る。
図2を参照して、結着樹脂の軟化点Tmの読み取り方を説明する。図2において、ストロークの最大値をS1とし、S1の温度より低温側のベースラインのストローク値をS2とする。S字カーブ中のストロークの値が、(S1+S2)/2となる温度を測定試料(結着樹脂)の軟化点Tmとする。
引き続き図1を参照して、静電潜像現像用トナー1について説明する。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21は、静電潜像現像用トナー1の色に合わせて、着色剤としての公知の顔料や染料を含有できる。黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、後述のイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も、黒色着色剤として利用できる。
静電潜像現像用トナー1がカラートナーである場合、第1コア粒子11及び第2コア粒子21に含有される着色剤としては、例えば、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194等)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21中の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21は、静電潜像現像用トナー1の低温定着性を向上させ、オフセットや像スミアリング(画像をこすったときの画像周囲の汚れ)を抑制する目的で、離型剤を含有してもよい。離型剤の例としては、脂肪族炭化水素系ワックス(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(酸化ポリエチレンワックス、又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物系ワックス(みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セレシン、又はベトロラクタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(モンタン酸エステルワックス及びカスターワックス)、又は脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したワックス(脱酸カルナバワックス)が挙げられる。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21が離型剤を含有する場合、離型剤の含有量は、例えば、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上5質量部以下が好ましい。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21は、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性とは、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。第1コア粒子11及び第2コア粒子21はアニオン性(負帯電性)であるので、負帯電性の帯電制御剤が使用される。
第1コア粒子11及び第2コア粒子21は、必要に応じて磁性粉を含有してもよい。静電潜像現像用トナー1が、磁性粉を含有する第1コア粒子11及び第2コア粒子21を含む場合、静電潜像現像用トナー1は磁性1成分現像剤として好適に使用される。好適な磁性粉としては、例えば、鉄(フェライト及びマグネタイト)、強磁性金属(コバルト及びニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理のような強磁性化処理が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。磁性粉の粒径が上記の範囲である場合は、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の含有量は、静電潜像現像用トナー1を1成分現像剤として使用する場合、静電潜像現像用トナー1の全量100質量部に対して35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。
第1シェル層12及び第2シェル層22について以下に説明する。第1シェル層12及び第2シェル層22は熱硬化性樹脂を必須成分とする。熱硬化性樹脂は十分な強度、硬度、及びカチオン性を有する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂は、例えば、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を含む。
熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂(尿素レゾルシン系樹脂)、グアナミン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、オレフィン樹脂、又はゼラチン・アラビアゴム樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の中でも、定着温度を大きく上昇させる必要がないため、メラミン樹脂又は尿素樹脂が好ましい。
メラミン樹脂はメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物であり、メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物であり、尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。メラミン及び尿素は、周知の変性を受けていてもよい。
第1シェル層12及び第2シェル層22は、本実施形態の効果を損なわない範囲で必要に応じて、熱硬化樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。第1シェル層12及び第2シェル層22は熱硬化性樹脂を主成分とするものであり、熱硬化性樹脂の含有量は、第1シェル層12及び第2シェル層22の全量に対して90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が90質量%以上である場合は、第1シェル層12及び第2シェル層22は十分な硬さを有する。
窒素原子を含む材質は所望の帯電量に正帯電されやすいため、第1シェル層12及び第2シェル層22は、メラミン又は尿素等に由来する窒素原子を含むことが好ましい。第1シェル層12及び第2シェル層22を十分に正帯電させるためには、第1シェル層12及び第2シェル層22中の窒素原子の含有量は10質量%以上が好ましい。
第1シェル層12及び第2シェル層22には、熱可塑性樹脂が含有されていてもよい。そして熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーで架橋されていてもよい。このような構成であると、第1シェル層12及び第2シェル層22は熱可塑性樹脂に起因して適度な柔軟性を有すると共に、熱硬化性樹脂のモノマーが形成する三次元の架橋構造に起因して適度な機械的強度を有する。
第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さは1nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さが20nm以下である場合は、静電潜像現像用トナー1を記録媒体へ定着させる際に、加熱及び加圧等により第1シェル層12及び第2シェル層22が容易に破壊される。その結果、第1コア粒子11及び第2コア粒子21に含まれる結着樹脂の軟化又は溶融が速やかに進行し、低温域で静電潜像現像用トナー1を記録媒体に定着できる。さらに、第1シェル層12及び第2シェル層22の帯電性が高くなり過ぎないため画像形成が適正に行われる。一方、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さが1nm以上である場合は十分な強度を有するものとなり、例えば輸送時の衝撃によって第1シェル層12及び第2シェル層22が破壊されることを抑制することができる。ここで、第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20において、第1シェル層12及び第2シェル層22の少なくとも一部が破壊された場合は、高温条件下で第1シェル層12及び第2シェル層22が破壊された箇所を通じて、離型剤のような成分が第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20の表面に染み出しやすくなる。そのため、高温で静電潜像現像用トナー1を保存する場合において、第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20が凝集しやすくなる。さらに、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さが1nm以上である場合は帯電性が低くなりすぎないため画像欠陥の発生を抑制することができる。なお、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さは、例えば、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事社製「WinROOF」)を用い、静電潜像現像用トナー1の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。具体的には、第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、この2本の直線上の第1シェル層12及び第2シェル層22と交差する4箇所の長さを測定する。そして、測定される4箇所の長さの平均値を測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。本明細書においては、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さの測定を、それぞれ、10個以上の第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20に対して行い、それぞれの第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さの平均値を、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さとする。
なお、第1シェル層12及び第2シェル層22が薄すぎる場合は、TEM画像上での第2コア粒子21と第2シェル層22との界面、及び第1コア粒子11と第1シェル層12との界面が不明瞭であるため、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さの測定が困難となる場合がある。このような場合は、TEM撮影とエネルギー分散X線分光分析(EDX)とを組み合わせて、第1シェル層12と第1コア粒子11との界面、及び第2シェル層22と第2コア粒子21との界面を明確にし、第1シェル層12及び第2シェル層22の厚さを測定できる。具体的には、TEM画像中で、EDXを用いて第1シェル層12及び第2シェル層22の材質に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行って測定できる。
第1シェル層12及び第2シェル層22は帯電制御剤を含有していてもよい。第1シェル層12及び第2シェル層22はアニオン性(正帯電性)であるので、正帯電性の帯電制御剤を含有できる。
第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14、並びに第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24(以下、これらをまとめて単に「無機微粒子」と称する場合がある)について以下に説明する。無機微粒子は、現像性を向上させ、画像形成時に静電潜像現像用トナー1と像担持体との付着力を低減させる。無機微粒子の種類としては、例えば、金属酸化物(アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)の微粒子、又はシリカ微粒子が挙げられる。
無機微粒子の粒径は、現像性を向上させるために、10nm以上300nm以下であることが好ましい。また、図1に示したように、粒度の異なる複数種類の無機微粒子を付着させることが好ましい。この場合は、粒径の小さい第1無機微粒子13及び第2無機微粒子23は、第1コア粒子11及び第2コア粒子21に対して強固に付着する。また、この場合は、粒径の大きい第1無機微粒子14及び第2無機微粒子24の一部が、第1シェル層12及び第2シェル層22に露出しており帯電性を維持しやすいので好ましい。
第1シェル層12中の第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14の量と、第2シェル層22中の第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24の量との合計量は、静電潜像現像用トナー1の全量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上6.0質量%以下であることがより好ましい。第1シェル層12中の第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14の量と、第2シェル層22中の第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24の量との合計量は、0.1質量%以上である場合は、現像性を向上させることができる。一方、第1シェル層12中の第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14の量と、第2シェル層22中の第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24の量との合計量が10質量%以下である場合は、静電潜像現像用トナー1の過度のチャージアップ、及び形成した画像の画像濃度が所望する値を下回ることを抑制できる。
なお、第1シェル層12中の第1無機微粒子13と第1無機微粒子14との合計個数は、例えば、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14の嵩密度を用いて算出され得る。第1シェル層12中の第1無機微粒子13と第1無機微粒子14との合計個数は、1個の第1トナー粒子10に対して、5万個以上55万個以下である。同様に、第2シェル層22中の第2無機微粒子23と第2無機微粒子24との合計個数は、例えば、第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24の嵩密度を用いて算出され得る。第2シェル層22中の第2無機微粒子23と第2無機微粒子24との合計個数は、1個の第2トナー粒子20に対して、5万個以上55万個以下である。
本実施形態の静電潜像現像用トナーの別の態様について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の静電潜像現像用トナー2を示す。静電潜像現像用トナー2は、第1トナー粒子30の集合体と第2トナー粒子40の集合体とを含有する
第1トナー粒子30は、第1粒径を有する第1コア粒子31と、第1コア粒子31を被覆する第1シェル層32と、第1無機微粒子33及び第1無機微粒子34とを含む。第1コア粒子31はアニオン性(負帯電性)を示し、結着樹脂を含む。第1シェル層32はカチオン性(正帯電性)を示し、熱硬化性樹脂を主成分とする。第1無機微粒子34は、第1無機微粒子33よりも大きい粒径を有する。なお、図3においては、粒径の異なる2種類の第1無機微粒子33及び第1無機微粒子34が用いられているが、1種類の第1無機微粒子を単独で用いてもよい。
第1コア粒子31の表面を被覆するように、第1シェル層32が形成されている。第1シェル層32が形成されていることにより本実施形態の静電潜像現像用トナー2は、例えば、耐ブロッキング性、搬送性、及び保存性に優れる。そして、第1トナー粒子30が記録媒体に転写され、熱及び荷重が付与されると、第1シェル層32が破壊されることにより第1トナー粒子30の表面に露出し、第1コア粒子31が溶融又は軟化して記録媒体に定着される。
第1トナー粒子30において、第1無機微粒子33及び第1無機微粒子34は、第1シェル層32に内包されており表面に露出していない。そのため、第1シェル層32からの第1無機微粒子33及び第1無機微粒子34の脱落を抑制できる。
第2トナー粒子40は、第2粒径を有する第2コア粒子41と、第2コア粒子を被覆する第2シェル層42と、第2無機微粒子43及び第2無機微粒子44とを含む。第2コア粒子41はアニオン性を示し、結着樹脂を含む。第2シェル層42はカチオン性を示し、熱硬化性樹脂を主成分とする。第2無機微粒子44は、第2無機微粒子43よりも大きい粒径を有する。なお、図3においては、粒径の異なる2種類の第2無機微粒子33及び第2無機微粒子34が用いられているが、1種類の第2無機微粒子を単独で用いてもよい。
第2コア粒子41の表面を被覆するように、第2シェル層42が形成されている。第2シェル層42が形成されていることにより、本実施形態の静電潜像現像用トナー2は、例えば、耐ブロッキング性、搬送性、及び保存性に優れる。そして、第2トナー粒子40が記録媒体に転写され、熱及び荷重が付与されると、第2シェル層42が破壊されることにより第2トナー粒子40の表面に露出し、第2コア粒子41が溶融又は軟化して記録媒体に定着される。
第2トナー粒子40において、第2無機微粒子43及び第2無機微粒子44は、第2シェル層42に内包されており表面に露出していない。そのため、第2シェル層42からの第2無機微粒子43及び第2無機微粒子44の脱落を抑制できる。
他の実施形態に係る静電潜像現像用トナー3について、図4を参照して説明する。図4は、静電潜像現像用トナー3を示す。静電潜像現像用トナー3は、静電潜像現像用トナー1の表面に外添剤による処理が施されている。具体的には、図4に示すように、静電潜像現像用トナー3は、第1トナー粒子50の集合体と第2トナー粒子60の集合体とを含有する。
第1トナー粒子50は、第1粒径を有する第1コア粒子11と、第1コア粒子11を被覆する第1シェル層12と、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14と、外添剤15とを含む。
第2トナー粒子60は、第2粒径を有する第2コア粒子21と、第2コア粒子21を被覆する第2シェル層22と、第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24と、外添剤15とを含む。
第1トナー粒子50及び第2トナー粒子60の表面は、流動性及び取扱性を向上させるために、外添剤15を用いて外添処理されている。外添剤15を用いた外添処理方法は、特に限定されず、従来知られている方法が用いられる。具体的には、第1シェル層12及び第2シェル層22中に外添剤15が埋没しないように外添条件を調整し、混合機(例えば、ヘンシェルミキサー又はナウターミキサー)を用いて、第1シェル層12及び第2シェル層22の表面に対して外添処理が行われる。
外添剤15としては、例えば、シリカ及び金属酸化物(アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)の粒子が挙げられる。外添剤15の粒径は、流動性及び取扱性の向上のために、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
静電潜像現像用トナー1(第1トナー粒子10及び第2トナー粒子20を含むトナー)を「トナー母粒子」と記載する場合がある。外添剤15の使用量は、流動性及び取扱性の向上のために、トナー母粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
以上、図1〜4を参照して、本実施形態に係る静電潜像現像用トナー1〜3を説明した。なお、静電潜像現像用トナー1〜3は、いわゆる1成分現像剤として用いられてもよい。いわゆる1成分現像剤は、上述のフェライト又はマグネタイトのような磁性粉をさらに含有する。又は、所望のキャリアと混合されて、いわゆる2成分現像剤として用いられてもよい。
キャリアは磁性キャリアが好ましい。磁性キャリアの具体例としては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材としては、例えば、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、若しくはコバルトの粒子、又はこれらの材料と、マンガン、亜鉛、又はアルミニウムの金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウムのセラミックスの粒子;リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩の高誘電率物質の粒子が挙げられる。さらにキャリア芯材として、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が用いられてもよい。
キャリア芯材を被覆する樹脂の例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。キャリア芯材を被覆する樹脂としては、磁性を良好にするために、シリコーン樹脂が好ましい。
特に、キャリア芯材を被覆する樹脂の割合は、芯材100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
キャリアの粒径は、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。キャリアの粒径は電子顕微鏡で測定できる。
本実施形態の静電潜像現像用トナー1〜3を2成分現像剤として用いる場合、静電潜像現像用トナー1〜3の使用量は、2成分現像剤の全量に対して5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上12質量%以下が好ましい。
本実施形態の静電潜像現像用トナー1〜3において、第2トナー粒子20の集合体の合計質量に対する第1トナー粒子10の集合体の合計質量の割合((第1トナー粒子10の集合体の合計質量)/(第2トナー粒子20の集合体の合計質量))は、選択現像現象及びかぶりを効果的に抑制するために、3/7〜5/5であることが好ましい。
本実施形態の静電潜像現像用トナー1〜3は、例えば、電子写真法のような画像形成方法において好ましく用いられる。
図1を参照し、本実施形態の静電潜像現像用トナー1の製造方法を以下に説明する。本実施形態の静電潜像現像用トナー1の製造方法は、準備工程と、付着工程と、被覆工程とを包含する。
準備工程は、第1粒径を有する第1コア粒子11と、第2粒径を有する第2コア粒子21とを準備する工程である。付着工程は、第1コア粒子に第1無機微粒子を付着し、第2コア粒子に第2無機微粒子を付着する工程である。被覆工程は、第1コア粒子に第1シェル層を被覆し、第2コア粒子に第2シェル層を被覆する工程である。ここで、第1粒径は、(第1コア粒子と第2コア粒子との平均粒径)/A以上である。第2粒径は(前記第1コア粒子と前記第2コア粒子との平均粒径)/A未満である。Aの値は1.2以上2.0以下である。
第1コア粒子11と第2コア粒子21とは結着樹脂を含み、第1シェル層11と第2シェル層21とは熱硬化性樹脂を主成分とする。(第2トナー粒子の集合体の質量に対する第2無機微粒子の質量の割合)/(第1トナー粒子の集合体の質量に対する第1無機微粒子の質量の割合)が1.2以上2.0以下である。
準備工程は、調製工程と分級工程とを包含することができる。調製工程においては、第1コア粒子11と第2コア粒子21とを含むコア粒子混合物を調製する工程である。分級工程においては、調製されたコア粒子混合物から、第1コア粒子11と第2コア粒子21とを分級する。
調製工程を実行するには、結着樹脂中に、必要に応じて結着樹脂以外の成分(例えば、着色剤、帯電制御剤、離型剤、又は磁性粉)を良好に分散させる方法を用いることができる。調製工程を実行する方法としては、例えば、溶融混練法及び重合法が挙げられる。
溶融混練法について、以下に説明する。まず、結着樹脂と必要に応じて結着樹脂以外の成分とを混合し混合物を得る。そして、得られた混合物を溶融混練し、得られた溶融混練物を公知の手法で粉砕して粉砕物であるコア粒子混合物を得る。このコア粒子混合物には、第1コア粒子11と第2コア粒子21とが含まれている。
重合法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、溶融混練法と同様にして得られた溶融混練物を、例えばディスク又は多流体ノズルを用いて空気中に霧化しコア粒子を得る方法;懸濁重合法を用いて直接コア粒子を生成する方法;単量体は可溶であるが得られる重合体が不溶であるような水系有機溶剤を用い、直接コア粒子を生成する分散重合法;水溶性極性重合開始剤の存在下で直接重合しコア粒子を生成する、いわゆるソープフリー重合法のような乳化重合法;一次極性乳化重合粒子を調製した後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法が挙げられる。このような方法でコア粒子混合物が得られ、このコア粒子混合物には第1コア粒子11と第2コア粒子21とが含まれている。
分級工程においては、このコア粒子混合物を、気流分級のような公知の手法で分級し、第1コア粒子11と第2コア粒子21とに分級する。分級工程には、例えば、分級機(日鉄鉱業社製「エルボージェット」)を用いることができる。
次いで、分級工程を経た第1コア粒子11及び第2コア粒子21を、付着工程に付する。付着工程においては、第1コア粒子11の表面に第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14を付着し、第2コア粒子21の表面に第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24を付着する。付着方法としては、例えば、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14が第1コア粒子11中に完全に埋没しないように、さらに、第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24が第2コア粒子21中に完全に埋没しないように付着条件を調整し、混合機(例えば、ヘンシェルミキサー又はナウターミキサー)を用いて、第1コア粒子11と、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14とを混合し、第2コア粒子21と、第2無機微粒子23及び第1無機微粒子24とを混合する方法が挙げられる。
被覆工程について以下に説明する。被覆工程は、供給工程と、樹脂化工程とを包含することができる。供給工程は、付着工程を経た第1コア粒子11及び第2コア粒子12の表面に、それぞれ、シェル層形成用液を供給する工程である。シェル層形成用液は、熱硬化性樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーを含有する。樹脂化工程は、第1コア粒子11及び第2コア粒子12に供給されたシェル層形成用液に含まれる熱硬化性樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーを樹脂化する工程である。
付着工程と形成工程とを包含する本実施形態の製造方法によれば、第1無機微粒子13及び第1無機微粒子14が第1コア粒子11の表面に均一に付着し、第2無機微粒子23及び第2無機微粒子24が第2コア粒子21の表面に均一に付着した静電潜像現像用トナー1を製造できる。また、製造直後の第1コア粒子11及び第2コア粒子21に付着工程を実行すれば、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の保存中の取扱性及び流動性を向上できる。
供給工程においては、付着工程を経た第1コア粒子11及び第2コア粒子21のそれぞれの表面に、シェル層形成用液を供給する。シェル層形成用液を第1コア粒子11及び第2コア粒子21に供給する方法としては、例えば、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の表面にシェル層成形用液を噴霧する方法、又はシェル層形成用液中に第1コア粒子11及び第2コア粒子21を浸漬する方法が挙げられる。
シェル層形成用液を調製するためには、例えば、溶剤、熱硬化性樹脂モノマー及び/又はプレポリマー、並びに必要に応じてその他の添加剤(後述の分散剤)を、例えば、撹拌により混合すればよい。溶剤の種類は、特に限定されず、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、又は水が挙げられる。
上記の熱硬化性樹脂のモノマーは適宜に選択される。また、上記の熱硬化性樹脂のプレポリマーは、熱硬化性樹脂のモノマーの重合度をある程度まで上げたポリマーの前段階の状態のものであり、初期重合体又は初期縮合体とも称される。
シェル層形成用液には、溶剤に対する熱硬化性樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーの分散性を向上させるために、公知の分散剤が含有されていてもよい。シェル層形成用液中の分散剤の含有量は、例えば、0.1質量%以上15質量%以下である。シェル層形成用液中の分散剤の含有量が0.1質量%以上である場合は、分散性を良好に発現させることができる。一方、シェル層形成用液中の分散剤の含有量が15質量%以下である場合は、分散剤に起因する環境負荷を低減させることができる。なお、分散剤は、本実施形態の静電潜像現像用トナー1が製造された後、洗浄のような処理により除去できる。
樹脂化工程においては、シェル層形成用液に含有される熱硬化性樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーを、任意の重合又は縮合により樹脂化し熱硬化性樹脂とする。これにより、第1コア粒子11及び第2コア粒子21の表面に、それぞれ、第1シェル層12及び第2シェル層22が形成され、第1トナー粒子10の集合体及び第2トナー粒子20の集合体が得られる。なお、樹脂化には、重合度が十分に高い完全な樹脂化のみならず、重合度が中程度の部分的な樹脂化も含まれる。
樹脂化工程の反応温度(樹脂化温度)は、40℃以上90℃以下の範囲に維持されることが好ましく、50℃以上80℃以下に維持されることがより好ましい。反応温度を40℃以上とすることで、第1シェル層12及び第2シェル層22の硬度を十分に高くすることができる。一方、反応温度を90℃以下に維持することで、第1シェル層12及び第2シェル層22の硬度が過度に高くなることを抑制でき、定着時の加熱及び加圧により第1シェル層12及び第2シェル層22を容易に破壊できる。
形成工程を経た第1トナー粒子10の集合体及び第2トナー粒子20の集合体を適宜に回収し、混合することで、本実施形態の静電潜像現像用トナー1を製造できる。
以上、図1を参照して本実施形態の静電潜像現像用トナー1の製造方法を説明した。なお、本実施形態の製造方法において、第1トナー粒子10の集合体及び第2トナー粒子20の集合体の製造過程において、必要に応じて、形成工程を経た後に洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程から選択される1以上の工程を実行してもよい。
洗浄工程では、形成工程を実行することによって得られた静電潜像現像用トナー1を、例えば、水で洗浄する。
乾燥工程においては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機)で、洗浄後の静電潜像現像用トナー1を乾燥する。乾燥中の静電潜像現像用トナー1の凝集を抑制しやすいため、スプレードライヤーを用いることが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合は、乾燥とともに、外添剤15(例えば、シリカ微粒子)が分散された分散液を噴霧できるため、後述の外添工程を同時に行うことができる。
図1及び図4を参照して、外添工程について説明する。外添工程においては、静電潜像現像用トナー1の表面に外添剤15を付着させる。外添剤15を付着させる好適な方法としては、外添剤15がシェル層12及びシェル層22の表面に埋没しないように外添条件を調整して、混合機(例えば、ヘンシェルミキサー又はナウターミキサー)を用い、静電潜像現像用トナー1と、外添剤15とを混合する方法が挙げられる。
図1〜4を参照して説明された静電潜像現像用トナー1、2及び3を記録媒体に定着する場合、定着荷重を、例えば、20N/cm2以上100N/cm2以下とすることができる。また、定着時間を、例えば20msec以上70msec以下、好ましくは20msec以上50msec以下とすることができる。
図1〜4を参照して説明したように、静電潜像現像用トナー1、2及び3は、画像形成時のかぶり及び選択現像現象の発現を抑制する。このため、これらの静電潜像現像用トナーは、例えば電子写真法が適用される画像形成装置において好適に使用できる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されない。
実施例1
(調製工程)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1248g、テレフタル酸1245g、イソフタル酸1245g、及びエチレングリコール744gを5Lの4つ口フラスコに仕込んだ。次いで、フラスコ内を窒素雰囲気とし、撹拌しながらフラスコ内部の温度を250℃まで上昇させ、常圧かつ250℃で4時間反応を行った後、三酸化アンチモン0.875g、トリフェニルホスフェート0.548g、及びテトラブチルチタネート0.102gをフラスコ内に添加した。その後フラスコ内を3mmHgに減圧して、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させ、280℃で6時間反応をさせた。反応終了後、フラスコの内容物を取り出し、冷却してポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂は、数平均分子量Mnが1,295、質量平均分子量Mwが14,500、質量平均分子量/数平均分子量が11.2、酸価が40mgKOH/g、水酸基価が20mgKOH/g、軟化点Tmが100℃、ガラス転移点Tgが48℃という物性を有していた。このポリエステル樹脂100質量部に対し、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3タイプ(銅フタロシアニン))5質量部、及び離型剤(エステルワックス、日油社製「WEP−3」)5質量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した。得られた混合物を二軸押出機(池貝社製「PCM−30」)で溶融混練した。得られた混練物を機械式粉砕機(フロイントターボ社製「ターボミル」)で粉砕し、コア粒子混合物を得た。このコア粒子混合物の平均粒径は6μmであった。
(分級工程)
得られたコア粒子混合物を分級機(日鉄鉱業社製「エルボージェット」)にて4μmの粒径で分級し、第1粒径(4μm以上の粒径)を有する第1コア粒子と、第2粒径(4μm未満の粒径)を有する第2コア粒子とに分級した。
(付着工程)
第1粒径を有するコア粒子に対し、付着量がこのコア粒子全量に対して1.5質量%となるようにシリカ微粒子(日本アエロジル社製「R972」、粒径16nm)を添加し、さらに付着量がこの第1粒径を有するコア粒子全量に対して1.0質量%となるように酸化チタン微粒子(チタン工業社製「EC300E、粒径300nm)を添加した。これらを、ヘンシェルミキサーを用いて周速度3m/sで10分間混合して、第1粒径を有する第1コア粒子の表面に第1無機微粒子を付着させた。一方、第2粒径を有する第2コア粒子に対し、付着量がこのコア粒子全量に対して1.8質量%となるようにシリカ微粒子(日本アエロジル社製「RX200」、粒径12nm)を添加し、付着量がこのコア粒子の全量に対して1.2質量%となるように酸化チタン微粒子(チタン工業社「EC700」、粒径380nm)を添加し、これらをヘンシェルミキサーを用いて周速度3m/sで10分間混合して、第2粒径を有する第2コア粒子の表面に第2無機微粒子を付着させた。
(供給工程)
1L容の三口フラスコを30℃のウォーターバス中にセットし、フラスコ内で、塩酸を用いてイオン交換水(300ml)のpHを4に調整した。このイオン交換水に2mlのメチロールメラミンの初期重合体水溶液(昭和電工社製「ミルベン607」、固形分濃度80質量%)を溶解し、シェル層形成用液を得た。同様のシェル層形成用液を別途調製し、それぞれのシェル層形成用液に、付着工程を経た第1コア粒子、及び第2コア粒子を300gずつ添加した。
(樹脂化工程)
シェル層形成用液と第1コア粒子とを200rpmの速度で1時間撹拌した。500mlのイオン交換水を追加し、フラスコの内容物を100rpmで撹拌しながら、1℃/分の昇温速度でフラスコ内部の温度を70℃にまで昇温した。昇温後、70℃かつ100rpmで、フラスコの内容物を2時間撹拌し続けた。次いで、水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。そして、フラスコ内容物を常温まで冷却し、第1トナー粒子の集合体を含む液(液1)を得た。そして、シェル層形成用液と第2コア粒子とに対して同様の操作を行って、第2トナー粒子の集合体を含む液(液2)を得た。
(洗浄工程)
次いで、液1から、ブフナーロートを用いて、第1トナー粒子のウエットケーキをろ取した。このウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーを洗浄し、トナーのイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。同様に、液2から第2トナー粒子のウエットケーキをろ取し、同様の洗浄を繰り返した。
(乾燥工程)
回収した第1トナー粒子の集合体2gを水20gに分散させたときの分散液の導電度が10μS/cm以下となった時点で、回収した第1トナーを40℃雰囲気中に48時間放置して乾燥させた。同様に、回収した第2トナー粒子の集合体を乾燥させた。第1トナー粒子の第1シェル層の厚さは5nmであり、第2トナー粒子の第2シェル層の厚さは8nmであった。
(外添工程)
乾燥後の第1トナー粒子の集合体及び第2トナー粒子の集合体を同量混合し、ヘンシェルミキサーを用いて、その表面に乾式シリカ(日本アエロジル社製「90G」、粒径20μm)を外添処理し、実施例1の静電潜像現像用トナーを得た。乾式シリカの外添量はトナーの全量に対して0.5質量%であった。この静電潜像現像用トナーに後述の評価を実施した。その評価結果を表1に示す。
実施例2〜3、及び比較例1〜2
実施例1の方法に対し、以下のように変更を行って、実施例2〜3、及び比較例1〜2の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表1に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を行った以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例2〜3、及び比較例1〜2の静電潜像現像用トナーを得た。実施例2〜3、及び比較例1〜2にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表1に示す。
比較例3
分級工程において5.5μmで分級した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3の静電潜像現像用トナーを得た。比較例3にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表2に示す。
比較例4〜7
比較例3の方法に対し、以下のように変更を行って、比較例4〜7の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表2に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を実行した以外は、比較例3と同様の操作を行って、比較例4〜7の静電潜像現像用トナーを得た。比較例4〜7にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表2に示す。
実施例4
実施例1の方法に対し、以下のように変更を行って、実施例4の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、コア粒子混合物の平均粒径が9μmとなるように調製工程を実行し、6μmの粒径で分級工程を実行し、第1コア粒子におけるシリカ微粒子の付着量が1.0質量%、第1コア粒子における酸化チタン微粒子の付着量が0.6質量%となるように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子の付着量が1.2質量%となるように、さらに第2コア粒子に対する酸化チタン微粒子の付着量が0.72質量%となるように付着工程を実行した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例4の静電潜像現像用トナーを得た。実施例4にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表3に示す。
実施例5〜6、及び比較例8〜9
実施例4の方法に対し、以下のように変更を行って、実施例5〜6、及び比較例8〜9の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表3に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を実行した以外は、実施例4と同様の操作を行って、実施例5〜6、及び比較例8〜9の静電潜像現像用トナーを得た。実施例5〜6、及び比較例8〜9にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表3に示す。
比較例10
4μmの粒径で分級工程を実行した以外は、実施例4と同様の操作を行って、比較例10の静電潜像現像用トナーを得た。比較例10にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表4に示す。
比較例11〜14
比較例10の方法に対し、以下のように変更を行って、比較例11〜14の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表4に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を実行した以外は、比較例10と同様の操作を行って、比較例11〜14の静電潜像現像用トナーを得た。比較例11〜14にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表4に示す。
実施例7
実施例1の方法に対し、以下のように変更を行って、実施例7の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、コア粒子混合物の平均粒径が4μmとなるように調製工程を実行し、2.6μmの粒径で分級工程を実行し、第1コア粒子におけるシリカ微粒子の付着量を0.5質量%、第1コア粒子における酸化チタン微粒子を2.0質量%とし、第2コア粒子に対するシリカ微粒子の付着量を0.6質量%とし、さらに第2コア粒子に対する酸化チタン微粒子の付着量を2.4質量%として付着工程を実行した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例7の静電潜像現像用トナーを得た。実施例7にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表5に示す。
実施例8〜9、及び比較例15〜16
実施例17の方法に対し、以下のように変更を行って、実施例8〜9、及び比較例15〜16の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表5に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を実行した以外は、実施例17と同様の操作を行って、実施例8〜9、及び比較例15〜16の静電潜像現像用トナーを得た。実施例8〜9、及び比較例15〜16にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表5に示す。
比較例17
分級工程を3.5μmの粒径で実行した以外は、実施例7と同様の操作を行って、比較例17の静電潜像現像用トナーを得た。比較例17にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表6に示す。
比較例18〜21
比較例17の方法に対し、以下のように変更を行って、比較例18〜21の静電潜像現像用トナーを得た。つまり、表6に示すように、第2コア粒子に対するシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子の付着割合を変更して付着工程を実行した以外は、比較例17と同様の操作を行って、比較例18〜21の静電潜像現像用トナーを得た。比較例18〜21にて得られた静電洗浄現像用トナーの評価結果を表6に示す。
なお、実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナーの測定方法を以下に示す。
(1)画像濃度
実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナー10質量部とキャリア(京セラドキュメントソリューションズ社製のFS−C5500用キャリア)90質量部とをボールミルで30分混合し、2成分現像剤を作製した。この2成分現像剤を評価機(京セラドキュメントソリューションズ社製「FS−C5500」)のシアン色用の現像装置に投入し、実施例及び比較例にて得られた静電潜像現像用トナーをシアン用色のトナーコンテナに投入した。評価機の電源を入れ、評価機が安定して動作可能となった後に画像を出力し、これを初期画像とした。次いで、常温常湿環境(温度:20℃以上23℃以下、相対湿度:50%以上65%以下)において、印字率5%で、連続で1万枚印刷を行った後にベタ画像を得た。得られた初期画像及びベタ画像(1万枚印刷後の画像)について、マクベス反射濃度計(グレタグマクベス社製「SPM−50」)を用い、画像濃度(ID)を測定した。
(2)かぶり値
上記(1)の評価と同様の操作を行って、初期画像及び連続で1万枚印刷を行った後のベタ画像を得た。得られた初期画像及びベタ画像について、マクベス反射濃度計(グレタグマクベス社製「SPM−50」)を用い、かぶり値(FD)を測定した。
表1〜6から明らかなように、本実施形態の静電潜像現像用トナーは、1万枚の印刷を行った後でも、かぶりの発現が抑制されていた。さらに、画像濃度が適切で選択現像現象の発現も抑制されており、良好な現像性を有していた。