JP2017015977A - 正帯電性トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】安定して高画質の(例えば、かぶり濃度の低い)画像を形成することのできる正帯電性トナーを提供する。【解決手段】正帯電性トナーが、コアと、コアの表面に形成されたシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む。シェル層は、第1樹脂と第2樹脂とを含有する。第1樹脂は、アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む。第2樹脂は、4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む。標準キャリア100質量部とトナー10質量部との混合物を、温度23℃、湿度60%RHの環境下でシェイカーミキサーを用いて攪拌した場合に、3分間攪拌した時点でのトナーの帯電量は、30分間攪拌した時点でのトナーの帯電量以上かつ20μC/g以上である。現像ローラーに担持されたトナーの帯電量分布を測定した場合に、測定された帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとが、式「Y/X≦3.5」の関係を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、正帯電性トナーに関し、特にカプセルトナーに関する。
特許文献1には、電荷制御剤として4級アンモニウム化合物を使用したトナーが開示されている。
特開2014−48501号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安定して高画質の(例えば、かぶり濃度の低い)画像を形成することのできる正帯電性トナーを提供することを目的とする。
本発明に係る正帯電性トナーは、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む。前記シェル層は、第1樹脂と第2樹脂とを含有する。前記第1樹脂は、アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む。前記第2樹脂は、4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む。標準キャリア100質量部と前記トナー10質量部との混合物を、温度23℃、湿度60%RHの環境下でシェイカーミキサーを用いて攪拌した場合に、3分間攪拌した時点での前記トナーの帯電量は、30分間攪拌した時点での前記トナーの帯電量以上かつ20μC/g以上である。現像ローラーに担持された前記トナーの帯電量分布を測定した場合に、前記測定された帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとが、式「Y/X≦3.5」の関係を満たす。
本発明によれば、安定して高画質の(例えば、かぶり濃度の低い)画像を形成することのできる正帯電性トナーを提供することが可能になる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係るトナーは、正帯電性トナーであり、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、キャリアとしてフェライトキャリアを使用することが好ましい。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。磁性キャリア粒子を作製するためには、キャリアコアを磁性材料で形成してもよいし、樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましく、8質量部以上12質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、コア(以下、トナーコアと記載する)と、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを備える。シェル層は、トナーコアの表面を覆っている。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよいし、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。トナーコア又はシェル層の表面に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。また、シェル層を形成するための材料を、シェル材料と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、現像スリーブ(例えば、現像器内の現像ローラーの表層部)上のトナー(帯電したトナー)を感光体の静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)を有する正帯電性トナーである。
(1)標準キャリア100質量部とトナー10質量部との混合物を、温度23℃、湿度60%RHの環境下でシェイカーミキサーを用いて攪拌した場合に、3分間攪拌した時点でのトナーの帯電量(以下、帯電量Q3と記載する)は、30分間攪拌した時点でのトナーの帯電量(以下、帯電量Q30と記載する)以上かつ20μC/g以上である。現像ローラーに担持されたトナーの帯電量分布を測定した場合に、測定された帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとが、式「Y/X≦3.5」の関係を満たす。トナーの帯電特性(帯電量Q3、帯電量Q30、及び帯電量分布)の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。シェル材料の種類又は量を変更することで、トナーの帯電特性を調整することができる。
上記構成(1)を有するトナーは、変動係数(=Y/X)3.5以下の帯電量分布を有する。また、上記構成(1)を有するトナーでは、帯電量Q3と帯電量Q30とが式「Q30≦Q3」の関係を満たす。こうした帯電特性(帯電量Q3、帯電量Q30、及び帯電量分布)を有するトナーを用いて画像を形成する場合には、かぶりが生じにくいことを、発明者が見出した。また、上記構成(1)を有するトナーでは、帯電量Q3が20μC/g以上である。3分間攪拌した時点でトナーの帯電量(帯電量Q3)が20μC/g以上になる。このため、上記構成(1)を有するトナーは、帯電立ち上がり特性に優れる。なお、安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成するためには、帯電量Q3が40μC/g以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、次に示す構成(2)を有する。
(2)シェル層が、第1樹脂と第2樹脂とを含有する。第1樹脂は、アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む。第2樹脂は、4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む。
シェル層を構成する樹脂が、4級アンモニウムカチオンを有する繰返し単位を含む場合には、トナーの帯電立ち上がり特性が向上する(早期に帯電量が飽和する)傾向がある。4級アンモニウム化合物は、窒素含有複素環化合物(より具体的には、ニグロシン又はイミダゾール等)と比べて、着色性が低い。このため、カラートナーに4級アンモニウム化合物を含有させた場合、4級アンモニウム化合物はカラートナーの発色を阻害しにくい。また、シェル層を構成する樹脂が、アミド基を有する繰返し単位を含む場合には、トナーの帯電量分布がシャープになる傾向がある。トナーに含まれるトナー粒子が構成(2)を有することで、トナーの帯電特性を、構成(1)に規定する帯電特性に調整し易くなる。
式(1)に、4級アンモニウムカチオン(NR4 +)を有する繰返し単位の一例を示す。また、式(2)に、アミド基(−CO−NR2)を有する繰返し単位の一例を示す。式(1)及び式(2)の各々におけるnは、各々独立して、繰返し単位の繰返し数を示す。
Figure 2017015977
Figure 2017015977
上記構成(1)を有するトナーを用いて画像を形成することで、安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成し易くなる(後述する表1及び表2を参照)。トナーを用いて安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成するためには、トナーが、構成(2)を有するトナー粒子を、80個数%以上の割合で含むことが好ましく、90個数%以上の割合で含むことがより好ましく、100個数%の割合で含むことがさらに好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層が、トナーコアの表面積のうち、50%以上99%以下の面積を覆っていることが好ましく、70%以上95%以下の面積を覆っていることがより好ましい。なお、シェル層は、粒状感のない膜であってもよいし、粒状感のある膜であってもよい。シェル層を形成するための材料として樹脂粒子を使用した場合、材料(樹脂粒子)が完全に溶けて膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、粒状感のない膜が形成されると考えられる。他方、材料(樹脂粒子)が完全に溶けずに膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、樹脂粒子が2次元的に連なった形態を有する膜(粒状感のある膜)が形成されると考えられる。また、シェル層全体が一体的に形成されるとは限らない。シェル層は、単一の膜であってもよいし、互いに離間して存在する複数の膜(島)の集合体であってもよい。
トナーを用いて安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成するためには、シェル層が、実質的に第1樹脂(アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む樹脂)から構成される第1樹脂粒子と、実質的に第2樹脂(4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む樹脂)から構成される第2樹脂粒子とを含むことが好ましい。トナーを用いて安定して高画質の(特に、かぶり濃度の低い)画像を形成するためには、シェル層における第1樹脂粒子の割合が0.5質量%以上5.0質量%以下であり、かつ、シェル層における第2樹脂粒子の割合が95.0質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。シェル層における樹脂粒子の割合(単位:質量%)は、式「100×(その樹脂粒子を構成する樹脂の質量)/(シェル層を構成する全ての樹脂の質量)」に基づいて算出できる。
シェル材料が溶解又は分散している液にトナーコアを分散させることで、トナーコアの分散液が得られる。そして、トナーコアの分散液中でシェル材料を重合させる場合には、トナーコアがアニオン性を有し、シェル材料がカチオン性を有することが好ましい。トナーコアの分散液中で、アニオン性のトナーコアにカチオン性のシェル材料が電気的に引き寄せられることで、in−situ重合によりトナーコアの表面にシェル層が形成され易くなる。また、界面活性剤を用いずとも(又は、少量の界面活性剤だけで)、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成することが可能になる。
アニオン性又はカチオン性の大きさを示す指標としては、ゼータ電位を用いることができる。トナーコアとシェル層との結合を強めるためには、トナーコアのpH4のゼータ電位が0Vよりも小さく、かつ、トナー粒子のpH4のゼータ電位が0Vよりも大きいことが好ましく、トナーコアのpH4のゼータ電位が−5mV以下であり、かつ、トナー粒子のpH4のゼータ電位が5mV以上であることがより好ましい。トナーコアが強いアニオン性を有するためには、トナーコアがポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ゼータ電位の測定方法は、次に示す方法又はその代替方法である。
<ゼータ電位の測定方法>
試料(例えば、トナーコア又はトナー)0.2gと、イオン交換水80gと、濃度1質量%のノニオン界面活性剤(日本触媒株式会社製「K−85」、ポリビニルピロリドン)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合する。続けて、液中に試料を均一に分散させて、分散液を得る。続けて、得られた分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4の分散液を得る。そして、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて、電気泳動法(より詳しくは、レーザードップラー方式の電気泳動法)により、温度25℃かつpH4の分散液中の試料のゼータ電位を測定する。
次に、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分を割愛してもよい。なお、粉体(より具体的には、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)である。以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
<好適な熱可塑性樹脂>
トナー粒子(特に、トナーコア又はシェル層)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を好適に使用できる。また、上記樹脂のいずれかの繰返し単位と同一のモノマーに由来する繰返し単位を1種以上含む共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として好適に使用できる。
熱可塑性樹脂は、1種以上の熱可塑性モノマー(より具体的には、アクリル酸系モノマー又はスチレン系モノマー等)を縮重合又は共縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性モノマーは、単独重合させることによって熱可塑性樹脂になるモノマーである。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。アクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。アクリル酸系モノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸系樹脂の酸価を調整できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。また、ポリエステル樹脂を合成する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
なお、上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(より具体的には、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル等)に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素数1以上6以下のアルキル基を意味する。
<好適な熱硬化性樹脂>
トナー粒子(特に、シェル層)を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体等)、又はキシレン系樹脂を好適に使用できる。
熱硬化性樹脂は、1種以上の熱硬化性モノマーを縮重合又は共縮重合させることで得られる。また、架橋剤を用いることで、熱可塑性モノマーにより熱硬化性樹脂を合成することもできる。なお、熱硬化性モノマーは、単独重合させることによって熱硬化性樹脂になるモノマーである。
熱硬化性モノマーの好適な例としては、メチロールメラミン、メラミン、メチロール化尿素(より具体的には、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、又はスピログアナミンが挙げられる。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含有する。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。
(結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)及び酸価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、及びメチル基からなる群より選択される1種以上の基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が、20℃以上55℃以下であることが好ましい。高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂の軟化点(Tm)が、100℃以下であることがより好ましい。なお、Tg及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。樹脂の成分(モノマー)の種類又は量を変更することで、樹脂のTg及び/又はTmを調整することができる。複数種の樹脂を組み合わせることによっても、結着樹脂のTg及び/又はTmを調整することができる。
トナーコアの結着樹脂としては、熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)が好ましい。トナーコア中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂としてスチレン−アクリル酸系樹脂又はポリエステル樹脂を用いることが特に好ましい。
トナーコアの結着樹脂としてスチレン−アクリル酸系樹脂を使用する場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、スチレン−アクリル酸系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレン−アクリル酸系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレン−アクリル酸系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
トナーコアの結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の使用量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト等)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
構成(2)を有するトナー粒子では、シェル層が第1樹脂(アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む樹脂)と第2樹脂(4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む樹脂)とを含有する。また、シェル層は、第1樹脂及び第2樹脂に加えて、さらに熱硬化性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱硬化性樹脂等)を含んでもよい。トナーの帯電安定性及び耐熱保存性を向上させるためには、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、及びグリオキザール系樹脂からなる群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂を、樹脂全体に対して0.1質量%以上10質量%以下の割合でシェル層に含ませることが好ましい。
(第1樹脂)
前述の構成(2)において、第1樹脂としては、アミド化合物に由来する繰返し単位を組み込んだ熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)が好ましく、1種以上のスチレン系モノマー(例えば、スチレン)と1種以上のアクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸エステル)と1種以上のアミド化合物モノマー(例えば、アクリルアミド)との共重合体が特に好ましい。
(第2樹脂)
前述の構成(2)において、第2樹脂としては、4級アンモニウム化合物に由来する繰返し単位を組み込んだ熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)が好ましく、1種以上の4級アンモニウム化合物モノマー(例えば、4級アンモニウム塩)と1種以上のアクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸エステル)との共重合体が特に好ましい。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子を好適に使用できる。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
以下、上記構成を有する本実施形態に係るトナーを製造する方法の一例について説明する。まず、トナーコアを準備する。続けて、液中にトナーコアとシェル材料とを入れる。均質なシェル層を形成するためには、シェル材料を含む液を攪拌するなどして、シェル材料を液に溶解又は分散させることが好ましい。続けて、液中でシェル材料を反応させて、トナーコアの表面にシェル層(硬化した膜)を形成する。シェル層形成時におけるトナーコア成分(特に、結着樹脂及び離型剤)の溶解又は溶出を抑制するためには、水性媒体中でシェル層を形成することが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。
以下、より具体的な例に基づいて、本実施形態に係るトナーの製造方法についてさらに説明する。この例では、トナーコアがアニオン性を有し、シェル材料(ひいては、シェル層)がカチオン性を有する。
(トナーコアの準備)
好適なトナーコアを容易に得るためには、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを製造することが好ましく、粉砕法によりトナーコアを製造することがより好ましい。
以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
以下、凝集法の一例について説明する。まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。その結果、トナーコアの分散液が得られる。その後、トナーコアの分散液から、不要な物質(分散剤等)を除去することで、トナーコアが得られる。
(シェル層の形成)
トナーコアとシェル材料とが入れられる上記水性媒体として、例えばイオン交換水を準備する。続けて、例えば塩酸を用いて水性媒体のpHを所定のpH(例えば、3以上5以下から選ばれるpH)に調整する。続けて、pHが調整された水性媒体(例えば、酸性のイオン交換水)に、トナーコアと、第1樹脂のサスペンション(第1樹脂粒子を含む液)と、第2樹脂のサスペンション(第2樹脂粒子を含む液)とを添加する。また、必要に応じて、熱硬化性樹脂を合成するための材料も、水性媒体中に添加してもよい。
上記シェル材料等は、室温の水性媒体に添加してもよい。ただし、水性媒体の温度を管理することでシェル層の分子量をコントロールすることができる。シェル材料の適切な添加量は、トナーコアの比表面積に基づいて算出できる。また、上記シェル材料に加えて、重合促進剤を水性媒体中に添加してもよい。
トナーコアの表面に均一にシェル材料を付着させるためには、シェル材料を含む液中にトナーコアを高度に分散させることが好ましい。液中にトナーコアを高度に分散させるために、液中に分散剤を含ませてもよいし、強力な攪拌装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスディスパーミックス」)を用いて液を攪拌してもよい。
続けて、上記シェル材料等を含む液を攪拌しながら液の温度を所定の速度(例えば、0.1℃/分以上3℃/分以下から選ばれる速度)で所定の保持温度(例えば、50℃以上85℃以下から選ばれる温度)まで上昇させる。さらに、液を攪拌しながら液の温度を上記保持温度に所定の時間(例えば、30分間以上4時間以下から選ばれる時間)保つ。液の温度を高温に保っている間に、トナーコアの表面にシェル材料が付着し、シェル材料が反応する。シェル材料が反応することで、トナーコアの表面で、実質的に樹脂(例えば、第1樹脂及び第2樹脂)から構成されるシェル層が膜化する。
上記保持温度、及びその温度での保持時間の少なくとも一方を変更することで、トナー母粒子の円形度を調整することができる。トナーコア成分の溶出又はトナーコアの変形を抑制するためには、上記保持温度(シェル層膜化時における液の温度)は、トナーコアのガラス転移点(Tg)未満であることが好ましい。しかし、上記保持温度をトナーコアのガラス転移点(Tg)以上にして、あえてトナーコアを変形させてもよい。上記保持温度を高くすると、トナーコアの変形が促進され、トナー母粒子の形状が真球に近づく傾向がある。トナー母粒子が所望の形状になるように上記保持温度を調整することが望ましい。また、高温でシェル材料を反応させると、シェル層が硬くなり易い。
上記のようにしてシェル層を膜化させた後、例えば水酸化ナトリウムを用いてトナー母粒子の分散液を中和する。続けて、トナー母粒子の分散液を、例えば常温(約25℃)まで冷却する。続けて、例えばブフナー漏斗を用いて、トナー母粒子の分散液をろ過する。これにより、トナー母粒子が液から分離(固液分離)され、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られる。続けて、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する。その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、乾燥工程でスプレードライヤーを用いる場合には、外添剤(例えば、シリカ粒子)の分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と外添工程とを同時に行うことができる。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが製造される。
なお、上記トナーの製造方法の内容及び順序はそれぞれ、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、液(例えば、水性媒体)のpHを調整するタイミングは、前述のシェル材料等(例えば、シェル材料及びトナーコア)を液に添加する前でも後でもよい。シェル材料等は、まとめて同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。また、液にシェル材料等を添加する工程よりも前に、液を上記保持温度まで加熱する工程を行うようにしてもよい。また、液中で材料(例えば、シェル材料)を反応させる場合、液に材料を添加した後、所定の時間、液中で材料を反応させてもよいし、長時間かけて液に材料を添加して、液に材料を添加しながら液中で材料を反応させてもよい。また、シェル材料は、一度に液に添加されてもよいし、複数回に分けて液に添加されてもよい。シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法のいずれの方法を用いて、シェル層を形成してもよい。また、外添工程の後で、トナーを篩別してもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、液のpHを調整しなくてもシェル材料の反応が良好に進行する場合には、pH調整工程を割愛してもよい。また、外添剤が不要であれば、外添工程を割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。トナーコアを形成するための材料(以下、トナーコア材料と記載する)と、シェル材料とはそれぞれ、前述の化合物(樹脂を合成するためのモノマー等)に限られない。例えば、必要に応じて、前述の化合物の誘導体をトナーコア材料又はシェル材料として使用してもよいし、モノマーに代えてプレポリマーを使用してもよい。また、前述の化合物を得るために、原料として、その化合物の塩、エステル、水和物、又は無水物を使用してもよい。各種材料は、固体状態で使用してもよいし、液体状態で使用してもよい。例えば、固体状態の材料の粉末を使用してもよいし、材料を練り込んだ樹脂(例えば、マスターバッチ)を使用してもよいし、材料の溶液(溶剤に溶かした液体状態の材料)を使用してもよいし、材料の分散液(固体状態の材料が分散した液体)を使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーA−1〜A−4、B−1、B−2、C−1、及びC−2(それぞれ正帯電性トナー)を示す。
Figure 2017015977
以下、実施例又は比較例に係るトナーA−1〜C−2(それぞれ正帯電性トナー)の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。個数平均粒子径の測定値は、何ら規定していなければ、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子を撮影して測定した値である。また、体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いて測定した値である。ゼータ電位の測定値は、何ら規定していなければ、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて測定した値(詳しくは、前述の方法で測定した値)である。また、Tg(ガラス転移点)及びTm(軟化点)の測定方法はそれぞれ、何ら規定していなければ、次に示すとおりである。
<Tgの測定方法>
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、樹脂)の吸熱曲線を求めた。続けて、得られた吸熱曲線から試料のTg(ガラス転移点)を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。続けて、得られたS字カーブから試料のTm(軟化点)を読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料のTm(軟化点)に相当する。
[トナーA−1の製造方法]
(トナーコアの作製)
低粘度ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃)150gと、カルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)55gと、着色剤(DIC株式会社製「KET BLUE 111」、フタロシアニンブルー)40gとを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転速度2400rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲(シリンダー温度)100℃以上130℃以下の条件で、溶融混練した。続けて、得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6μmのトナーコアが得られた。
(第1シェル材料の調製)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に、30℃のイオン交換水875mLと、カチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン(登録商標)24P」、成分:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)75mLとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた後、その温度(80℃)に保った。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけてフラスコ内に滴下した。第1の液は、スチレン18gとアクリル酸ブチル2gとアクリルアミド2gとを含む液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、固形分濃度5質量%の樹脂微粒子(アミド基含有樹脂)のサスペンション(以下、アミド基含有サスペンションと記載する)が得られた。得られたアミド基含有サスペンションに含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は26nmであり、pH4のゼータ電位は58mVであった。ゼータ電位は、超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(ディスパージョン・テクノロジー社製「DT−1200」)を用いて測定した。
(第2シェル材料の調製)
温度計、冷却管、窒素導入管、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコ内に、イソブタノール90gと、メタクリル酸メチル100gと、アクリル酸ブチル35gと、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(Alfa Aesar社製)30gと、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)6gとを入れた。続けて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物を3時間反応させた。その後、フラスコ内に2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)3gを加えて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物をさらに3時間反応させて、重合体溶液を得た。続けて、得られた重合体溶液を、減圧雰囲気、温度150℃の条件で乾燥した。続けて、乾燥した重合体を解砕し、正帯電性樹脂を得た。
続けて、混合装置(プライミクス株式会社製「ハイビスミックス2P−1型」)の容器に、上記のようにして得られた正帯電性樹脂200gと、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)184mLとを入れた。続けて、回転速度20rpmで容器内容物を1時間攪拌して、高粘度の溶液を得た。その後、得られた高粘度の溶液に、酢酸エチル等の水溶液(詳しくは、1N−塩酸18mLとカチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン24P」、成分:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)20gと酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)16gとをイオン交換水562mLに溶かした水溶液)を加えた。その結果、固形分濃度30質量%の正帯電性樹脂微粒子(4級アンモニウムカチオン含有樹脂)のサスペンション(以下、正帯電性サスペンションと記載する)が得られた。得られた正帯電性サスペンションに含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、pH4のゼータ電位は46mVであった。ゼータ電位は、超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(ディスパージョン・テクノロジー社製「DT−1200」)を用いて測定した。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水100mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを3に調整した。続けて、フラスコ内に、第1シェル材料(前述の手順で調製したアミド基含有サスペンション)2gと、第2シェル材料(前述の手順で調製した正帯電性サスペンション)30gとを添加した。
続けて、フラスコ内に、トナーコア(前述の手順で作製したトナーコア)300gを添加し、回転速度200rpmでフラスコ内容物を1時間攪拌した。その後、フラスコ内に、イオン交換水300mLを添加した。続けて、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら、フラスコ内の温度を1℃/分の速度で70℃まで上げた。続けて、温度70℃、回転速度100rpmの条件でフラスコ内容物を2時間攪拌した。
続けて、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が常温(約25℃)になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
(外添工程)
続けて、得られたトナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と、疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」)1.5質量部と、導電性酸化チタン微粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)1.5質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子及びチタン粒子)を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーA−1が得られた。
[トナーA−2〜C−2の製造方法]
トナーA−2〜C−2の製造方法はそれぞれ、シェル層形成工程において、第1シェル材料(アミド基含有サスペンション)及び第2シェル材料(正帯電性サスペンション)の各々の添加量を、表1に示すように変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。トナーB−1及びB−2の各々の製造方法では、第2シェル材料(正帯電性サスペンション)を使用しなかった。トナーC−1及びC−2の各々の製造方法では、第1シェル材料(アミド基含有サスペンション)を使用しなかった。
[評価方法]
各試料(トナーA−1〜C−2)の評価方法は、以下の通りである。
(トナーの帯電量)
ボールミルを用いて、標準キャリア(日本画像学会から提供される標準キャリアP−01)100質量部と試料(トナー)10質量部とを30分間混合して、評価用現像剤を調製した。得られた評価用現像剤を、温度23℃、湿度60%RHの環境下で、24時間静置した。その後、温度23℃、湿度60%RHの環境下で、シェイカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて評価用現像剤を攪拌した場合に、3分間攪拌した時点での評価用現像剤(以下、3分後現像剤と記載する)中の試料(トナー)の帯電量Q3と、30分間攪拌した時点での評価用現像剤(以下、30分後現像剤と記載する)中の試料(トナー)の帯電量Q30とを、それぞれ測定した。トナーの帯電量の測定には、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いた。具体的には、Q/mメーターの測定セルに評価用現像剤(3分後現像剤又は30分後現像剤)を投入し、投入された評価用現像剤のうちトナーのみを、篩(金網)を介して10秒間吸引した。そして、式「吸引されたトナーの総電気量(μC)/吸引されたトナーの量(g)」に基づいて試料(トナー)の帯電量(μC/g)を算出した。
(トナーの帯電量分布)
評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5400DN」)を用いた。評価機の現像器内の現像ローラーは、マグネットロールと、現像スリーブとを備えていた。非回転のマグネットロールの周りを現像スリーブが回転できるように、マグネットロールのシャフトと現像スリーブとがフランジを介して接続されていた。評価機の現像スリーブの表面に5mmのギャップを介して円筒状の電極を対向させた。その電極に直流電源の一端を電気的に接続し、直流電源の他端を電気的に接地した。
ボールミルを用いて、標準キャリア(日本画像学会から提供される標準キャリアP−01)100質量部と試料(トナー)10質量部とを30分間混合して、評価用現像剤を調製した。得られた評価用現像剤を、温度23℃、湿度60%RHの環境下で30分間攪拌した。これにより、評価用現像剤中の試料(トナー)の帯電量が飽和した。その後、温度23℃、湿度60%RHの環境下で、評価用現像剤3gを評価機の現像器に充填して、現像スリーブを回転速度500rpmで回転させることで、現像スリーブの表面に試料(トナー)及び標準キャリアを担持させた。引き続き回転速度500rpmで現像スリーブを回転させながら、上記直流電源を用いて、電解強度1kV/cmの条件で、現像スリーブの表面から試料(トナー)のみを電解分離して、試料(トナー)を回収した。そして、回収された試料(トナー)を帯電量・粒子径分布測定機(ホソカワミクロン株式会社製「イースパートアナライザ(登録商標)EST−II」)にセットし、試料(トナー)の帯電量分布(縦軸:個数、横軸:帯電量)を測定した。さらに、測定された帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとの比率Y/X(変動係数)を求めた。
(かぶり濃度)
評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5400DN」)を用いた。現像剤用キャリア(FS−C5400DN用キャリア)90質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。得られた2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(補充用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
上記評価機の電源を入れて、評価機の状態が安定した後、評価機を用いて、常温常湿(温度23℃、湿度60%RH)環境下で、ソリッド部及び空白部を含むサンプル画像を評価用紙に形成した。続けて、形成されたサンプル画像について、かぶり濃度(FD)を測定した。
次に、上記評価機を用いて、常温常湿(温度23℃、湿度60%RH)環境下で、印字率5%の連続印刷を1万枚の紙(A4サイズの印刷用紙)に行った。その後、ソリッド部及び空白部を含むサンプル画像を評価用紙に形成した。続けて、形成されたサンプル画像について、かぶり濃度(FD)を測定した。
上記初期及び上記1万枚印刷後の各々におけるかぶり濃度(FD)の測定においては、形成されたサンプル画像の空白部の画像濃度(ID)からベースペーパー(未印刷の評価用紙)の画像濃度(ID)を引いた値が、かぶり濃度(FD)に相当する。画像濃度(ID)の測定には、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いた。
測定されたかぶり濃度(FD)が、0.010未満であれば○(良い)と評価し、0.010以上であれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
表2に、トナーA−1〜C−2の各々についての評価結果を示す。
Figure 2017015977
トナーA−1〜A−4(実施例1〜4に係るトナー)はそれぞれ、前述の構成(1)を有していた。詳しくは、実施例1〜4に係るトナーではそれぞれ、帯電量Q3が、帯電量Q30以上かつ20μC/g以上であった。また、トナーの帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとが、式「Y/X≦3.5」の関係を満たしていた。実施例1〜4に係るトナーのいずれにおいても、トナーコアのpH4のゼータ電位が0Vよりも小さく、トナー粒子のpH4のゼータ電位が0Vよりも大きかった。実施例1〜4に係るトナーのいずれにおいても、シェル層における第1樹脂粒子の割合が0.5質量%以上5.0質量%以下であり、かつ、シェル層における第2樹脂粒子の割合が95.0質量%以上99.5質量%以下であった。例えば、実施例2に係るトナーでは、表1に示されるように、シェル層における第1樹脂粒子の割合が2.2質量%(≒100×2×0.05/4.6)であり、かつ、シェル層における第2樹脂粒子の割合が97.8質量%(≒100×15×0.30/4.6)であった。また、実施例3に係るトナーでは、表1に示されるように、シェル層における第1樹脂粒子の割合が0.6質量%(≒100×1×0.05/9.05)であり、かつ、シェル層における第2樹脂粒子の割合が99.4質量%(≒100×30×0.30/9.05)であった。表2に示されるように、実施例1〜4に係るトナーの各々を用いることで、安定して高画質の(詳しくは、かぶり濃度の低い)画像を形成することができた。
表2に示されるように、トナーB−1及びB−2(比較例1及び2に係るトナー)ではそれぞれ、実施例1〜4に係るトナーと比べて、かぶり濃度が高かった。この理由は、逆帯電トナーが発生したためであると考えられる。
表2に示されるように、トナーC−1及びC−2(比較例3及び4に係るトナー)ではそれぞれ、実施例1〜4に係るトナーと比べて、かぶり濃度が高かった。この理由は、比較例3及び4に係るトナーの各々の帯電量分布がブロード過ぎたためであると考えられる。
本発明に係る正帯電性トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (7)

  1. コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む正帯電性トナーであって、
    前記シェル層は、アミド基を有する1種以上の繰返し単位を含む第1樹脂と、4級アンモニウムカチオンを有する1種以上の繰返し単位を含む第2樹脂とを含有し、
    標準キャリア100質量部と前記トナー10質量部との混合物を、温度23℃、湿度60%RHの環境下でシェイカーミキサーを用いて攪拌した場合に、3分間攪拌した時点での前記トナーの帯電量は、30分間攪拌した時点での前記トナーの帯電量以上かつ20μC/g以上であり、
    現像ローラーに担持された前記トナーの帯電量分布を測定した場合に、前記測定された帯電量分布における算術平均値Xと標準偏差Yとが、式「Y/X≦3.5」の関係を満たす、正帯電性トナー。
  2. 前記シェル層は、実質的に前記第1樹脂から構成される第1樹脂粒子と、実質的に前記第2樹脂から構成される第2樹脂粒子とを含む、請求項1に記載の正帯電性トナー。
  3. 前記シェル層における前記第1樹脂粒子の割合が0.5質量%以上5.0質量%以下であり、かつ、前記シェル層における前記第2樹脂粒子の割合が95.0質量%以上99.5質量%以下である、請求項2に記載の正帯電性トナー。
  4. 前記第1樹脂は、アミド化合物に由来する繰返し単位を組み込んだ熱可塑性樹脂であり、前記第2樹脂は、4級アンモニウム化合物に由来する繰返し単位を組み込んだ熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の正帯電性トナー。
  5. 前記第2樹脂は、1種以上の4級アンモニウム化合物モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の正帯電性トナー。
  6. 前記第1樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーと1種以上のアミド化合物モノマーとの共重合体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の正帯電性トナー。
  7. 前記コアのpH4のゼータ電位は0Vよりも小さく、前記トナー粒子のpH4のゼータ電位は0Vよりも大きい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の正帯電性トナー。
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