JP2015022230A - 正帯電性トナー - Google Patents
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Abstract
Description
前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、正帯電性トナーであって、
前記シェル層が、内層と、外層とからなり、
前記内層が負帯電性の樹脂を含み、
前記外層が正帯電性の樹脂を含む、正帯電性トナーに関する。
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、及びスチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、着色剤のトナー粒子中での分散性、トナー粒子の帯電性、及びトナー粒子の用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。以下、本実施形態で用いるスチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。1.5gの測定試料を高架式フローテスターにセットし、高さ1.0mm、直径0.5mmのダイを使用し、プランジャー荷重10kg/cm2、昇温速度1℃/分、測定温度範囲35〜200℃の条件で、試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用できる。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコア粒子に電荷制御剤を配合しなくてもよいが、トナーコア粒子は、正帯電性の電荷制御剤を含んでいてもよい。
トナーコア粒子は、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉を含むトナーコア粒子を用いて製造されたトナー粒子を含有するトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
シェル層の内層の材質は、負帯電性の樹脂を含む限り、特に制限されないが、樹脂であるのが好ましい。負帯電性の樹脂としては、樹脂中に負帯電性の官能基を導入しやすいことから、樹脂に負帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たず不飽和結合を有するモノマーとの共重合体がこのましい。樹脂に負帯電性を付与する場合に使用される、帯電性官能基と不飽和結合を有するモノマーとしては、フッ素置換された炭化水素基、又はスルホ基と不飽和結合とを有するモノマーが好ましい。
シェル層の内層の厚さ=Di×R/100
被覆率Rは、トナーコア粒子について、平均粒子径がDc、真比重がρc、及び質量がWcであり、微粒子cについて、平均粒子径がDi、真比重がρi、及び質量がWiであるとき、以下の式(1)に従って算出できる。
被覆率R[%]=(Wi×Dc×ρc)/(4×Wc×Di×ρi)×100000)・・・(1)
シェル層の外層の材質は、正帯電性の樹脂を含む限り、特に制限されないが、樹脂であるのが好ましい。正帯電性の樹脂としては、樹脂中に正帯電性の官能基を導入しやすいことから、樹脂に正帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たず不飽和結合を有するモノマーとの共重合体がこのましい。樹脂に正帯電性を付与する場合に使用される、帯電性官能基と不飽和結合を有するモノマーとしては、4級アンモニウム基のような含窒素極性官能基と不飽和結合とを有するモノマーが好ましい。不飽和結合を有するモノマーとしては、内層の材質と同様のものが挙げられる。
CH2=C(R1)−(CO)−X−N(R2)(R3)
(式中、R1は水素又はメチル基を示す。R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を示す。Xは−O−、−O−Q−、−NH−又は−NH−Q−を示す。Qは炭素数1以上10以下のアルキレン基、フェニレン基、又はこれらの基の組合せを示す。)
シェル層の外層の厚さ=Do×R/100
被覆率Rは、トナーコア粒子について、平均粒子径がDc、真比重がρc、及び質量がWcであり、微粒子fについて、平均粒子径がDo、真比重がρo、及び質量がWoであるとき、以下の式(2)に従って算出できる。
被覆率R[%]=(Wo×Dc×ρc)/(4×Wc×Do×ρo)×100000)・・・(2)
トナーに含まれるトナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコア粒子を特定の構造のシェル層で被覆して製造される。トナーコア粒子は、従来知られる方法を用いて製造することができる。トナーコア粒子の好ましい製造方法の具体例としては、トナーコア粒子に含まれる成分の混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕及び分級してトナーコア粒子を得る粉砕法と、トナーコア粒子に含まれる成分を含有する微粒子を凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱により凝集粒子に含まれる成分を合一化させる凝集法とが挙げられる。トナーコア粒子の製造方法としては、形状の均一なトナーコア粒子を得やすいことから凝集法が好ましい。以下、凝集法を用いるトナー粒子の製造方法について説明する。
工程(I):結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に微粒子aを凝集させてトナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る工程、
工程(II):水性分散液(B)と、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)とを混合して、トナーコア粒子と、微粒子cとを含む水性分散液(D)を得る工程、
工程(III):水性分散液(D)を加熱して、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に形成及び膜化させ、その表面に内層を備えるトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る工程、
工程(IV):水性分散液(E)と、シェル層の外層を構成する樹脂を含有する微粒子fを含む水性分散液(F)とを混合して、表面に内層を備えるトナーコア粒子と、微粒子fとを含む水性分散液(G)を得る工程、
工程(V):水性分散液(G)を加熱して、トナーコア粒子の表面に内層と外層とからなるシェル層を形成する工程。
工程(VI):トナー粒子又はトナー母粒子を洗浄する、洗浄工程。
工程(VII):トナー粒子又はトナー母粒子を乾燥する、乾燥工程。
工程(VIII):トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
工程(I)では、結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下で、微粒子aを凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る。以下、結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)の調製方法と、微粒子の凝集方法とについて説明する。
微粒子aは、結着樹脂の微粒子、又は、結着樹脂と、着色剤、及び離型剤のような任意成分とを含有する結着樹脂組成物の微粒子の何れであってもよい。通常、結着樹脂を含有する微粒子aは、水性媒体中で、結着樹脂又は結着樹脂と着色剤、及び離型剤のような任意成分とを含有する組成物を所望のサイズに微粒子化することで、微粒子を含む水性分散液として調製される。
以下、結着樹脂の微粒子abを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。
以下、離型剤を含有する微粒子arを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。微粒子arを調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。
以下、着色剤を含有する微粒子acを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。微粒子acを調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。
以下、結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子abrを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。
上記方法を用いて調製された微粒子aは、トナーコア粒子に所定の成分が含まれるように、適宜組み合わせて、凝集粒子であるトナーコア粒子とされる。微粒子を凝集させる好適な方法としては、微粒子aを含む水性分散液に、凝集剤を添加する方法が挙げられる。
工程(II)では、工程(I)で得られた水性分散液(B)と、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)とを混合して、トナーコア粒子と、微粒子cとを含む水性分散液(D)を得る。以下、微粒子cを含む水性分散液(C)の好適な調製方法について説明する。
以下、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)を調製する方法の好適な例について説明する。水性分散液(C)を調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。シェル層の内層を構成する樹脂を予め30〜50μm以下程度に粉砕し、シェル層の内層を構成する樹脂の粉体を得る。シェル層の内層を構成する樹脂の粉体を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製する。次いで、得られるスラリーをシェル層の内層を構成する樹脂の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、水性分散液(C)を調製する。
工程(III)では、工程(II)で得られる水性分散液(D)を加熱して、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に形成及び膜化させ、その表面に内層を備えるトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る。工程(III)では、被覆層Iが加熱されることで膜化し、シェル層を構成する内層に変化する。水性分散液(D)を加熱する温度は、55℃以上70℃以下が好ましい。このような範囲内の温度で水性分散液(D)を加熱することで、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に均一に形成させ、膜化できる。
工程(IV)では、工程(III)で得られる水性分散液(E)と、シェル層の外層を構成する樹脂を含有する微粒子fを含む水性分散液(F)とを混合して、表面に内層を備えるトナーコア粒子と、微粒子fとを含む水性分散液(G)を得る。水性分散液(E)と、水性分散液(F)とを混合する方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。また、微粒子fを含む水性分散液(F)の調製方法としては、微粒子cを含む水性分散液(C)の好適な調製方法と同様の方法が挙げられる。
工程(V)では、工程(IV)で得られる水性分散液(G)を加熱して、トナーコア粒子の表面に内層と外層とからなるシェル層を形成する。工程(V)では、被覆層IIが加熱されることで膜化し、シェル層を構成する外層に変化する。水性分散液(G)を加熱する温度は、65℃以上80℃以下が好ましい。このような範囲内の温度で水性分散液(G)を加熱することで、被覆層IIを良好に膜化できる。このようにして得られる、それぞれ所定の材質からなる内層と外層とを含む2層構造のシェル層で被覆されたトナーコア粒子は、そのままトナー粒子として、又はトナー母粒子として使用される。
工程(V)で得られるトナー粒子又はトナー母粒子は、必要に応じて、(VI)洗浄工程において、水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、トナー粒子又はトナー母粒子を含む水性分散液から、固液分離してトナー粒子又はトナー母粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子又はトナー母粒子を含む水性分散液中の粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子又はトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
工程(V)で得られるトナー粒子又はトナー母粒子は、必要に応じて、(VII)乾燥工程を経て乾燥される。トナー粒子又はトナー母粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子又はトナー母粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。工程(VI)で回収される粒子をトナー母粒子とする場合、スプレードライヤーを用いて、トナー母粒子を含む水性分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液をトナー母粒子に対して噴霧することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
トナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。工程(VIII)では、上記工程を経て回収される粒子をトナー母粒子として用い、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないように条件を調整してトナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔結着樹脂微粒子分散液の調製〕
結着樹脂として以下の物性のポリエステル樹脂を用いた。
数平均分子量(Mn):2400
質量平均分子量(Mw):11700
分子量分布(Mw/Mn):4.86
ガラス転移点(Tg):45℃
軟化点(Tm):90℃
酸価:20.5mgKOH/g
(離型剤微粒子分散液の調製方法)
離型剤(エステルワックス、WEP−3(日油株式会社製)、融点73℃)200gと、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤、エマール 0(花王株式会社製))の濃度25質量%の水溶液20gと、イオン交換水780gとを混合し、90℃に加熱した。その後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて、5分間、撹拌速度2,000rpmで混合液の乳化を行った。さらに、高圧式ホモジナイザー(NV−200(吉田機械興業株式会社製)、加熱システムを追加)を用いて、100℃、吐出圧力100MPaの処理条件で乳化処理を行い、固形分濃度10質量%の離型剤微粒子分散液を得た。離型剤微粒子分散液に含まれる離型剤の微粒子の体積平均粒子径は120nmであった。離型剤微粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。
(顔料微粒子分散液の調製方法)
顔料(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))100gと、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(エマール E27C(花王株式会社製))20gと、イオン交換水380gとを混合し、撹拌容器内にビーズ(ジルコニア製、φ0.1)400mlを投入したダイノーミル(ECM−AP2(ウィリー・エ・バッコーフェン社製))を用いて、ローター周速10m/秒、処理時間2時間の条件で分散処理を行い、顔料の濃度が20質量%であり、総固形分濃度が21質量%の顔料微粒子分散液を得た。顔料微粒子分散液に含まれる顔料微粒子の体積平均粒子径は113nmであった。顔料微粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。
〔負帯電性のビニル系ポリマーAの調製〕
撹拌装置、コンデンサー、温度計、及び窒素導入装置を備えた容量2Lのフラスコに、メタノール300gと、メチルエチルケトン100gと、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸30g、スチレン510g、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル60gからなるモノマー混合物とを仕込んだ。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら、フラスコ内の温度を70℃まで上昇させた。昇温後、70℃で7時間、重合反応を行った。次いで、フラスコの内容物に水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10質量%)60gを添加した後、70℃で1時間、撹拌を続けた。その後、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)60g添加した後、70℃で1時間撹拌して中和処理を行った。中和処理後、フラスコの内容物を減圧加熱炉に移し、脱溶剤して、負帯電性のビニル系ポリマーa(Tg:55℃)を得た。
〔ビニル系ポリマーBの調製〕
モノマー混合物を、スチレン540g、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル60gからなるモノマー混合物に変える他は調製例4と同様にしてビニル系ポリマー(Tg:55℃)を得た。
〔正帯電性のビニル系ポリマーCの調製〕
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2Lの4つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、イソブタノール250gを加え、さらに、ジエチルアミノエチルメタクリレート45gと、パラトルエンスルホン酸メチル45gとを加えた。窒素雰囲気下、80℃、撹拌速度230rpmの条件(重合反応終了まで同速度で撹拌)で、フラスコ内容物を1時間撹拌し、4級化反応を行った。次いで、窒素雰囲気下で、スチレン156gと、ブチルアクリレート72gと、過酸化物系開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gとを反応容器に加えた。反応容器の内温を95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、同温度で3時間撹拌した。次いで、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器内に加えた。その後、反応容器の内容物を95℃で3時間撹拌して、重合反応を終えた。反応容器の内容物を、繰り返し濾過及び洗浄して、正帯電性のビニル系ポリマーcを得た。
〔ビニル系ポリマー微粒子分散液a〜g〕
〔トナー母粒子調製工程〕
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコに、調製例1で得た結着樹脂微粒子分散液340gと、離型剤微粒子分散液100gと、顔料分散液25gと、イオン交換水500gとを投入し、これらを25℃で混合した。次いで、フラスコ内の混合物を、撹拌羽根を用いて、回転数200rpmで10分撹拌した。フラスコ内の混合物のpHを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10に調整した後、混合物を10分撹拌した。その後、濃度50質量%の塩化マグネシウム六水和物水溶液(凝集剤)10gを5分かけてフラスコ内に滴下した。次いで、フラスコ内の混合物を、0.2℃/分の速度で昇温させて、微粒子の凝集を開始させた。40℃で昇温を停止した後、フラスコ内の混合物を、300rpmで撹拌しながら30分間40℃に保持し、微粒子の凝集を進行させた。その後、フラスコ内の混合物に濃度20質量%の塩化ナトリウム水溶液を50g添加して、微粒子の凝集の進行を停止させ、凝集粒子を含む凝集粒子分散液を得た。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーを洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水を用いる同様の洗浄を6回繰り返した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給して、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥の条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られたトナー母粒子に対して外添処理を行った。具体的には、トナー母粒子100質量部と、外添剤(シリカ、RA200H(日本アエロジル株式会社製))2.0質量部とを、ヘンシェルミキサー(10B(日本コークス株式会社製))を用いて、5分間、撹拌速度40m/秒の条件で混合して外添剤を付着させてトナーを得た。
シェル層の内層の材料を用いないことの他は、実施例1と同様にして、単層のシェル層でトナーコア粒子が被覆されているトナー粒子を含む比較例1のトナーを得た。
実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーを用いて、以下の方法に従って、初期、及び所定の条件で行った連続画像形成試験の後に、評価用画像を形成した。初期及び連続画像形成試験後の評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を測定した。初期、及び連続画像形成試験後のトナーの帯電量を測定した。これらの評価及び測定は、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のプリンター(FS−C5300DN)を用い、10℃20%RH環境下で行った。これらの評価及び測定は、以下の調製例8に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。調製した2成分現像剤をプリンターの現像器内に投入し、トナーをプリンターのトナーコンテナに投入した。実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーの、画像濃度、及びかぶり画像の評価結果と、トナーの帯電量の測定結果とを、表2及び3に記す。
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(FS−5300DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)用キャリア)と、キャリアの質量に対して8質量%のトナーとを、ロッキングミキサーを用いて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
プリンターを用いて、被記録媒体に画像評価パターンを形成して初期の評価用画像を得た。その後、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、以下の方法に従って、初期のトナーの帯電量を測定した。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、以下の方法に従って評価した。
画像濃度は、反射濃度計(RD914(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。かぶり濃度は、評価用画像の白地部の画像濃度を測定してその最大値を求め、白紙部における画像濃度の最大値から、評価用画像を出力する前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像濃度及びかぶり濃度を、それぞれ以下の基準に従って評価した。◎及び○を合格と判定した。
・画像濃度の判定基準
◎:1.3以上。
○:1.1以上、1.3未満。
×:1.1未満。
・かぶり濃度の判定基準
◎:0.005以下。
○:0.005超、0.008以下。
×:0.008超。
帯電量の測定は、帯電量測定装置(Q/Mメーター、Model 210HS(TRek社製))を用いて行った。現像剤を約0.10g秤量して測定試料とし、帯電量測定装置の吸引部を用いて測定試料からトナーを吸引した。吸引したトナーの質量[g]と、帯電量測定装置で測定された電荷[C]とから、トナーの帯電量を算出した。
プリンターを用いて、印字率0.2%で、1万枚連続で画像を形成した後に、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、初期のトナーと同様の方法で、1万枚連続で画像を形成した後のトナーの帯電量を測定した。その後、被記録媒体に画像評価パターンを形成して、印字率0.2%で1万枚連続して画像を形成した後の評価用画像を得た。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、初期の評価用画像と同様の方法で評価した。
プリンターを用いて、印字率50%で、1千枚連続で画像を形成した後に、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、初期のトナーと同様の方法で、1千枚連続で画像を形成した後のトナーの帯電量を測定した。その後、被記録媒体に画像評価パターンを形成して、印字率50%で1千枚連続して画像を形成した後の評価用画像を得た。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、初期の評価用画像と同様の方法で評価した。
・結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、トナーであって、
・シェル層が、内層と、外層とからなり、
・内層が負帯電性の樹脂を含み、
・外層が正帯電性の樹脂を含む、
トナーは、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成でき、高印字率で画像を形成する場合に、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できることが分かる。
Claims (3)
- 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、正帯電性トナーであって、
前記シェル層が、内層と、外層とからなり、
前記内層が負帯電性の樹脂を含み、
前記外層が正帯電性の樹脂を含む、正帯電性トナー。 - 前記内層の厚さが80nm以上200nm以下である、請求項1に記載の正帯電性トナー。
- 前記外層の厚さが80nm以上200nm以下である、請求項1又は2に記載の正帯電性トナー。
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