JP6394582B2 - 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナー及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、静電潜像現像用トナー及びその製造方法に関する。
特許文献1には、トナー粒子の表面に存在する遊離離型剤粒子の数をトナー粒子100個あたり3個以下まで低減する技術が開示されている。
特開2004−077693号公報
発明者は、トナーに含まれる遊離離型剤の量を減らし過ぎた場合、トナーの種類によってはトナーのクリーニング性が不十分になり得ることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、連続印刷に用いられた場合でも、長期にわたって高画質の画像を形成し続けることができる静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、結着樹脂及び離型剤を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む。前記トナー中に存在する前記離型剤のうち、前記トナー粒子から遊離した前記離型剤の割合は、示差走査熱量分析による吸熱量換算で、2.0%以上5.0%以下である。前記トナーに対する微小圧縮試験において、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、前記トナー粒子に負荷速度60nN/秒で荷重を加え、最大荷重60nNに到達後、前記最大荷重のまま1秒間静置した時の前記トナー粒子の変位量をZ1、前記トナー粒子の粒子径をZ2と表す場合、式「トナー変位率=100×Z1/Z2」で示されるトナー変位率は0.50%以上0.70%以下である。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、本発明に係る静電潜像現像用トナーを製造する方法である。本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、溶融混練工程と、冷却工程とを含む。前記溶融混練工程では、前記コアの材料を溶融混練押出機のシリンダー内に供給し、前記溶融混練押出機を用いて前記シリンダー内で前記材料を溶融混練して混練物を得る。前記冷却工程では、前記溶融混練押出機から前記混練物を冷却ロールに向けて押し出して、前記混練物を温度5℃以上10℃以下の前記冷却ロールに通して冷却する。
本発明によれば、連続印刷に用いられた場合でも、長期にわたって高画質の画像を形成し続けることができる静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供することが可能になる。
離型剤遊離率の測定方法を説明するための図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。また、円形度(=粒子の投影面積と等しい円の周囲長/粒子の周囲長)の測定値は、何ら規定していなければ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、相当数(例えば、3000個)の粒子について測定した値の個数平均である。また、酸価及び水酸基価の各々の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。また、数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)の各々の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。また、ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(より具体的には、ボールミル等)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、キャリアとしてフェライトキャリアを使用することが好ましい。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料でキャリア粒子を形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリア粒子を形成してもよい。また、キャリアコアを被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。なお、正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、コア(以下、トナーコアと記載する)と、トナーコアの表面を覆うシェル層(カプセル層)とを備える。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。トナーコア及び/又はシェル層の表面に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。シェル層を備えるトナー粒子を主に含むトナー中に、シェル層を備えないトナー粒子が混じっていてもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。また、トナーコアを形成するための材料を、トナーコア材料と記載する。また、シェル層を形成するための材料を、シェル材料と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像器内の現像ローラーの表層部)上のトナー(摩擦により帯電したトナー)を静電潜像に付着させて、感光体にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、そのトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。なお、転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニングにより除去される。例えばブレードクリーニング方式の感光体ドラムでは、クリーニングブレード(例えば、ゴム製ブレード)のエッジ部で感光体の表面を擦ることにより、感光体上の残留トナーを掻き取って除去する。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用トナーである。
(トナーの基本構成)
トナーが、トナーコア及びシェル層を備えるトナー粒子を、複数含む。トナーコアは、結着樹脂及び離型剤を含有する。シェル層は、トナーコアの表面を覆っている。トナー中に存在する離型剤のうち、トナー粒子から遊離した離型剤の割合(以下、離型剤遊離率と記載する)は、示差走査熱量分析による吸熱量換算で、2.0%以上5.0%以下である。トナーに対する微小圧縮試験において、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、トナー粒子に負荷速度60nN/秒で荷重を加え、最大荷重60nNに到達後、最大荷重のまま1秒間静置した時のトナー粒子の変位量をZ1、トナー粒子の粒子径をZ2と表す場合、式「トナー変位率=100×Z1/Z2」で示されるトナー変位率は0.50%以上0.70%以下である。
トナー粒子から遊離した離型剤(以下、遊離離型剤と記載する)には、トナー粒子から完全に脱離した離型剤と、トナー粒子から遊離した状態でトナー粒子の表面に存在する離型剤とが含まれる。トナー粒子から遊離した状態でトナー粒子の表面に存在する離型剤は、トナー粒子の表面に軽く付着している。こうした離型剤は、トナー粒子と一体化していないため、容易にトナー粒子から離れる。一方、トナー粒子の表面に固着している離型剤は、トナー粒子から遊離していない。
離型剤遊離率は、示差走査熱量分析により離型剤の量を吸熱量に換算して算出される。詳しくは、吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:時間)に含まれる吸熱ピークのうち、離型剤に由来する吸熱ピークの面積からそのピークの吸熱量(離型剤の量に応じた吸熱量)が求められる。離型剤遊離率の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。図1に、本実施形態に係るトナーについて測定された吸熱曲線の一例を示す。図1に示されるピークP1は、離型剤に由来する吸熱ピークに相当する。ピークP1の吸熱量は5.88mJ/mgであった。
十分なトナーの帯電安定性、耐熱保存性、及び耐付着性を確保するためには、トナー変位率が上記基本構成に規定される範囲(0.50%以上0.70%以下)にあることが好ましい。トナー変位率が大き過ぎると、トナーの耐熱保存性及び耐付着性が悪くなる傾向がある。トナー変位率が小さ過ぎると、トナーの帯電安定性が悪くなる傾向がある。
トナー変位率が上記基本構成に規定される範囲にあることで、十分なトナーの帯電安定性、耐熱保存性、及び耐付着性を確保し易くなる。こうしたトナー変位率を有するトナーを用いて高印字率(例えば、印字率10%)の連続印刷を行った場合には、現像スリーブに対するトナー付着が生じにくい。ただし、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、十分なトナーのクリーニング性を確保することが課題となる。
一般に、遊離離型剤は、トナーに悪影響を及ぼす因子として知られている。遊離離型剤は、トナーの帯電性又は耐付着性に悪影響を及ぼすことが多い。しかし、発明者は、トナー中に微量の遊離離型剤を含ませることで、トナーのクリーニング性を向上させることができることを見出した。トナー中の遊離離型剤が、トナー中で潤滑油のように作用してトナーの流動性を向上させると考えられる。トナーの流動性が低下すると、感光体ドラム(像担持体)とクリーニングブレードとの間の滑り性が低下する。このため、トナーの流動性が低下すると、クリーニングブレードがめくれてしまう現象(以下、ブレードめくれ)が発生し易くなる。本実施形態に係るトナーでは、離型剤遊離率を2.0%以上5.0%以下とすることで、トナーを連続印刷に用いた場合でも、ブレードめくれの発生を抑制しつつ、長期にわたって高画質の画像を形成し続けることが可能になる(後述する表1及び表2を参照)。
さらに、発明者は、離型剤遊離率を上記基本構成に規定される範囲に容易かつ適切に調整する方法を見出した。詳しくは、トナーコアを粉砕法で作製する場合、トナーコア材料の溶融混練物を低温の冷却ロールで急冷することで、離型剤遊離率を2.0%以上5.0%以下の範囲に調整し易くなる。
トナーコアからの離型剤の遊離を適度に抑制するためには、トナーコア中の離型剤の粒子の分散径(以下、離型剤分散径と記載する)が0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。離型剤分散径は、トナー粒子(特に、トナーコア)の断面における相当数の離型剤粒子の分散径(直径)の個数平均値である。離型剤分散径は、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。なお、離型剤粒子の断面が真円でない場合には、長径(最も長い径)を分散径とする。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層が、トナーコアの表面領域のうち、50%以上90%以下の面積を覆っていることが好ましい。トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層の最大厚さが1nm以上100nm以下であることが好ましい。
トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、トナー母粒子の円形度が0.950以上0.985未満であることが好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナーの体積中位径(D50)が、1μm以上10μm未満であることが好ましい。
次に、トナーコア材料及びシェル材料について説明する。トナー粒子を形成するために適した樹脂は、以下のとおりである。
<好適な熱可塑性樹脂>
トナー粒子(特に、トナーコア及びシェル層)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を好適に使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として好適に使用できる。
熱可塑性樹脂は、1種以上の熱可塑性モノマーを、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性モノマーは、単独重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(より具体的には、アクリル酸系モノマー又はスチレン系モノマー等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になるアルコール及びカルボン酸)である。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。アクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
<好適な熱硬化性樹脂>
トナー粒子(特に、シェル層)を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体等)、又はキシレン系樹脂を好適に使用できる。
熱硬化性樹脂は、1種以上の熱硬化性モノマーを架橋反応(重合)させることで得られる。また、架橋剤を用いることで、熱可塑性モノマーにより熱硬化性樹脂を合成することもできる。なお、熱硬化性モノマーは、架橋性を有するモノマーである。例えば、同種のモノマー同士が「−CH2−」を介して3次元的につながって熱硬化性樹脂になる場合、そのモノマーは「熱硬化性モノマー」に相当する。
熱硬化性モノマーの好適な例としては、メチロールメラミン、メラミン、メチロール化尿素(より具体的には、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、又はスピログアナミンが挙げられる。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤)を割愛してもよい。
[トナーコア]
(結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価及び酸価の少なくとも一方が10mgKOH/g以上であることが好ましい。
高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が20℃以上55℃以下であることが好ましい。高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂の軟化点(Tm)が100℃以下であることが好ましい。
トナーの低温定着性を向上させるためには、トナーコアが、結着樹脂として、熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。トナーコアは、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナーコアに含有される樹脂のうち、80質量%以上の樹脂がポリエステル樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂がポリエステル樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂がポリエステル樹脂であることがさらに好ましい。
離型剤遊離率を上記基本構成で規定される値に調整するためには、トナーコアが、結着樹脂として、異なる軟化点(Tm)を有する複数種のポリエステル樹脂を含有することが好ましく、軟化点70℃以下のポリエステル樹脂と、軟化点75℃以上100℃以下のポリエステル樹脂と、軟化点110℃以上のポリエステル樹脂とを含有することが特に好ましい。
トナーコアの結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
本実施形態に係るトナーでは、トナーコアが離型剤を含有する。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。
離型剤遊離率を上記基本構成で規定される値に調整するためには、離型剤の量(複数種の離型剤を使用する場合には、それら離型剤の合計量)が、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、又はニッケル等)もしくはその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された材料を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
シェル層は、粒状感のない膜であってもよいし、粒状感のある膜であってもよい。シェル層を形成するための材料として樹脂粒子を使用した場合、材料(樹脂粒子)が完全に溶けて膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、粒状感のない膜が形成されると考えられる。他方、材料(樹脂粒子)が完全に溶けずに膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、樹脂粒子が2次元的に連なった形態を有する膜(粒状感のある膜)が形成されると考えられる。シェル層を構成する樹脂粒子の形状は、球形状であってもよい。また、球形状の樹脂粒子が膜化の過程で扁平状に変形していてもよい。乾燥工程で加熱されて、又は外添工程で物理的な衝撃力を受けて、樹脂粒子の膜化が進行することがある。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層が、熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)を含有することが好ましい。また、トナーの耐熱保存性を向上させるために、熱可塑性樹脂に加えて、熱硬化性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱硬化性樹脂等)を、シェル層に含有させてもよい。
トナーの帯電安定性を向上させるためには、シェル層が、疎水性熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、1種以上のスチレン系モノマー(例えば、スチレンモノマー)と1種以上のアクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸エステルモノマー)との共重合体を含有することが特に好ましい。また、シェル層の膜質を向上させるためには、シェル層に含有される樹脂が、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルに由来する1種以上のアルコール性水酸基を有することが好ましい。
トナーの帯電安定性を向上させるために、シェル層に帯電性樹脂(電荷制御剤を含む樹脂)を含有させてもよい。シェル層に含有させる帯電性樹脂としては、正帯電性の電荷制御剤に由来する繰返し単位を組み込んだ熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)が好ましく、1種以上の4級アンモニウム化合物(例えば、4級アンモニウム塩)モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸エステルモノマー)との共重合体が特に好ましい。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子を好適に使用できる。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
以下、上記構成を有する本実施形態に係るトナーを製造する方法の一例について説明する。
以下、より具体的な例に基づいて、本実施形態に係るトナーの製造方法についてさらに説明する。
(トナーコアの準備)
好適なトナーコアを容易に得るためには、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを作製することが好ましい。また、前述の基本構成を有するトナーを容易かつ適切に製造するためには、粉砕法によりトナーコアを作製することが特に好ましい。
以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を冷却する。続けて、冷却された溶融混練物を粉砕及び分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
前述の基本構成を有するトナーを容易かつ適切に製造するためには、トナーコア材料(例えば、結着樹脂及び離型剤)の溶融混練及びその後の冷却が、下記のような工程(溶融混練工程及び冷却工程)を経て行われることが好ましい。溶融混練工程では、トナーコア材料を溶融混練押出機のシリンダー内に供給し、溶融混練押出機を用いてシリンダー内でトナーコア材料を溶融混練して混練物を得る。冷却工程では、溶融混練押出機から混練物を冷却ロールに向けて押し出して、混練物を温度5℃以上10℃以下の冷却ロールに通して冷却する。トナーコア材料の溶融混練物を低温の冷却ロールで急冷することで、離型剤遊離率を2.0%以上5.0%以下の範囲に調整し易くなる。冷却ロールによる溶融混練物の冷却速度は、10℃/秒以上20℃/秒以下であることが好ましい。
(シェル層の形成)
まず、水性媒体(例えば、イオン交換水)を準備する。なお、水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。水性媒体の沸点は約100℃である。
続けて、酸性物質(例えば、塩酸)を用いて水性媒体のpHを3.0以上6.0以下に調整する。続けて、pHが調整された水性媒体(酸性の水性媒体)に、トナーコアと、シェル材料(例えば、疎水性樹脂のサスペンション)とを添加する。シェル材料の添加量を多くするほど、形成されるシェル層の厚さが厚くなる傾向がある。疎水性樹脂としては、例えば、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体を使用できる。シェル層の膜質を向上させるためには、疎水性樹脂粒子の個数平均粒子径は20nm以上50nm以下であることが好ましい。
トナーコア及びシェル材料を水性媒体に添加すると、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル材料(例えば、サスペンションに含まれる樹脂粒子)が付着すると考えられる。トナーコアの表面に均一にシェル材料を付着させるためには、シェル材料を含む液中にトナーコアを高度に分散させることが好ましい。液中にトナーコアを高度に分散させるために、液中に界面活性剤を含ませてもよいし、強力な攪拌装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスディスパーミックス」)を用いて液を攪拌してもよい。トナーコアがアニオン性を有する場合には、同一極性を有するアニオン界面活性剤を使用することで、トナーコアの凝集を抑制できる。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、又は石鹸を使用できる。
続けて、トナーコア及びシェル材料を含む上記液を所定の時間(例えば、15分間以上2時間以下から選ばれる時間)攪拌する。攪拌中の液の温度は、例えば20℃以上40℃以下から選ばれる温度である。
続けて、トナーコア及びシェル材料を含む上記液を攪拌しながら液の温度を所定の速度(例えば、0.1℃/分以上3℃/分以下から選ばれる速度)で所定の保持温度(例えば、50℃以上85℃以下から選ばれる温度)まで上昇させる。さらに、液を攪拌しながら液の温度を上記保持温度に所定の時間(例えば、30分間以上4時間以下から選ばれる時間)保つ。液の温度を高温に保っている間に、トナーコアとシェル材料との間で反応(シェル層の固定化)が進行すると考えられる。シェル材料がトナーコアと結合することで、シェル層が形成される。トナーコアの表面でシェル材料の粒子(サスペンションに含まれる非水溶性熱可塑性樹脂の粒子)が2次元的に連なって、粒状感のある膜(シェル層)が形成されると考えられる。
上記のようにして、液中でトナーコアの表面にシェル層を形成することで、トナー母粒子の分散液が得られる。続けて、例えばブフナー漏斗を用いて、得られたトナー母粒子の分散液をろ過する。これにより、トナー母粒子が液から分離(固液分離)され、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られる。続けて、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する。その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、乾燥工程でスプレードライヤーを用いる場合には、外添剤(例えば、シリカ粒子)の分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と外添工程とを同時に行うことができる。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが得られる。
なお、上記トナーの製造方法の内容及び順序はそれぞれ、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、シェル材料は、一度に液に添加されてもよいし、複数回に分けて液に添加されてもよい。また、液中で材料(例えば、シェル材料)を反応させる場合、液に材料を添加した後、所定の時間、液中で材料を反応させてもよいし、長時間かけて液に材料を添加して、液に材料を添加しながら液中で材料を反応させてもよい。シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法のいずれの方法を用いて、シェル層を形成してもよい。液中でシェル層を形成する際に液中に添加剤(より具体的には、界面活性剤又は重合開始剤等)が存在する場合には、製造されたトナー(特に、トナーコアとシェル層との界面、又はシェル層の内部)に添加剤が含まれることがある。外添工程の後で、トナーを篩別してもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、市販品をそのまま材料として用いることができる場合には、市販品を用いることで、その材料を調製する工程を割愛できる。また、液のpHを調整しなくても、シェル層を形成するための反応が良好に進行する場合には、pH調整工程を割愛してもよい。また、外添剤が不要であれば、外添工程を割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。トナーコア材料とシェル材料とはそれぞれ、前述の化合物(樹脂を合成するための各種モノマー等)に限られない。例えば、必要に応じて、前述の化合物の誘導体をトナーコア材料又はシェル材料として使用してもよいし、モノマーに代えてプレポリマーを使用してもよい。また、前述の化合物を得るために、原料として、その化合物の塩、エステル、水和物、又は無水物を使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−5(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。
Figure 0006394582
以下、トナーTA−1〜TB−5の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて測定された1次粒子の円相当径の個数平均値である。また、Tg(ガラス転移点)及びTm(軟化点)はそれぞれ、次に示す方法で測定した。
<Tgの測定方法>
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、樹脂)の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)を求めた。続けて、得られた吸熱曲線から試料のTg(ガラス転移点)を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。続けて、得られたS字カーブから試料のTm(軟化点)を読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料のTm(軟化点)に相当する。
[トナーの製造]
(トナーコアの作製)
低粘度ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃)150gと、離型剤(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」、カルナバワックス)55gと、着色剤(DIC株式会社製「KET BLUE 111」、フタロシアニンブルー)40gとを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転速度2400rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲(シリンダー温度)80℃以上110℃以下の条件で、溶融混練した。二軸押出機(PCM−30)は、シリンダーと、シリンダー内に材料を供給するためのフィーダー(定量供給装置)付ホッパーと、シリンダー内に配置された2本のスクリューと、シリンダー温度を制御するためのヒーターとを備えていた。また、二軸押出機の排出口近傍に冷却ロール(株式会社池貝製「PCM−30」の付属品)が配置されることで、二軸押出機(PCM−30)から排出されたシート状の溶融混練物が、ベルトコンベアで搬送されて、すぐに冷却ロールに通されるようになっていた。
続けて、得られた溶融混練物を上記冷却ロールに通して冷却した。冷却時(溶融混練物が通過する時)の冷却ロールの温度は、所定の温度(トナーTA−1〜TB−5の各々に定められた、表1に示される温度)に設定した。例えば、トナーTA−1の製造では、冷却ロールの温度を7℃に設定した。冷却ロールの温度は、冷却ロール中を循環する冷却水の温度を制御することによって制御した。
続けて、冷却された溶融混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6μmのトナーコアが得られた。
(サスペンションAの調製)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内に、温度30℃のイオン交換水875gと、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムル(登録商標)WX」、成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、固形分濃度:26質量%)75gとを入れた。その後、フラスコ内容物を攪拌しながら、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた。続けて、80℃のフラスコ内容物を攪拌しながら、2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけてフラスコ内に滴下した。第1の液は、スチレン14gと、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)4gと、アクリル酸ブチル2gとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30gに溶かした溶液であった。
続けて、フラスコ内の温度を80℃に保ちつつ、フラスコ内容物をさらに2時間攪拌して、フラスコ内容物の重合反応を十分に進行させた。その結果、樹脂微粒子(疎水性樹脂)のサスペンションA(固形分濃度10質量%)が得られた。得られたサスペンションAに含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は38nmであった。サスペンションAに含まれる樹脂粒子をテトラヒドロフラン(THF)に投入したところ、樹脂粒子は、膨潤したが、溶解しなかった。
(サスペンションBの調製)
樹脂微粒子(疎水性樹脂)のサスペンションB(固形分濃度10質量%)の調製方法は、第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を5時間から7時間に変更した以外は、サスペンションAの調製方法と同じであった。得られたサスペンションBに含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は42nmであった。サスペンションBに含まれる樹脂粒子をテトラヒドロフラン(THF)に投入したところ、樹脂粒子は、膨潤したが、溶解しなかった。
(シェル層の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコ内に、イオン交換水500gと、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製「ジュリマー(登録商標)AC−103」)50gとを添加した。その結果、フラスコ内にポリアクリル酸ナトリウム水溶液が得られた。
続けて、前述の手順で作製したトナーコア100gをフラスコ内に添加した。続けて、フラスコ内容物を室温(約25℃)で十分攪拌した。その結果、フラスコ内にトナーコアの分散液が得られた。
続けて、得られたトナーコアの分散液を目開き3μmの濾紙を用いて濾過して、トナーコアを濾別した。続けて、得られたトナーコアをイオン交換水に再分散させた。その後、濾過と分散とを5回繰り返すことにより、トナーコアを洗浄した。続けて、フラスコ内でイオン交換水500gにトナーコア100gを分散させて、トナーコアの懸濁液を得た。
続けて、フラスコ内にシェル材料(表1に示すようにトナーTA−1〜TB−5の各々に定められたサスペンションA又はB)6.5gを添加して、トナーコア及びシェル材料を含む懸濁液を得た。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の懸濁液のpHを4に調整した。
続けて、pHが4に調整された懸濁液を、温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lのセパラブルフラスコに移し、そのフラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら、1℃/分の速度でフラスコ内容物を所定の温度(トナーTA−1〜TB−5の各々に定められた、表1に示される温度)まで昇温させて、その温度に所定の時間(トナーTA−1〜TB−5の各々に定められた、表1に示される時間)保った。例えば、トナーTA−1の製造では、シェル材料としてサスペンションAを使用し、温度65℃、保持時間10分間の条件で、シェル層を形成した。昇温開始時において、フラスコ内容物の温度は30℃であった。
続けて、フラスコ内に冷水を入れて、フラスコ内容物を常温(約25℃)まで急冷した。その結果、トナー母粒子を含む分散液が得られた。
(洗浄)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)した。その結果、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られた。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥)
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、乾燥したトナー母粒子(粉体)が得られた。
(外添)
上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」)1.5質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別して、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−5)を得た。
上記のようにして得られたトナーTA−1〜TB−5に関して、トナー変位率(単位:%)を下記方法により測定した。測定結果は、表1に示している。例えばトナーTA−1では、トナー変位率の測定値が0.61%であった。
<トナー変位率の測定方法>
走査型プローブ顕微鏡(SPM)(株式会社日立ハイテクサイエンス製「多機能型ユニットAFM5200S」)を備えたSPMプローブステーション(株式会社日立ハイテクサイエンス製「NanoNaviReal」)を用いて、試料(トナー)に対して微小圧縮試験を行った。SPMの最大荷重を60nNに設定し、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、負荷速度60nN/秒で、試料(トナー)に含まれるトナー粒子に荷重を加えた。そして、最大荷重(60nN)に到達後1秒経過時のトナー粒子の変位量(以下、変位量Z1と記載する)を測定した。詳しくは、SPMのDIF信号(カンチレバーの上下方向の変位に対応した信号)に基づいて変位量Z1を測定した。また、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づきトナー粒子の粒子径(球換算径)を測定した。以下、測定されたトナー粒子の粒子径(球換算径)を、粒子径Z2と記載する。試料(トナー)から10個の平均的なトナー粒子を選び取って、それらトナー粒子の各々について、上記方法により変位量Z1及び粒子径Z2を測定した。測定された変位量Z1及び粒子径Z2に基づき、式「トナー変位率=100×変位量Z1/粒子径Z2」で表されるトナー変位率(%)を算出した。そして、得られた10個の測定値の算術平均を、試料(トナー)の評価値(トナー変位率)とした。
上記のようにして得られたトナーTA−1〜TB−5に関して、離型剤遊離率(単位:%)を下記方法により測定した。測定結果は、表1に示している。例えばトナーTA−1では、離型剤遊離率の測定値が3.2%であった。
<離型剤遊離率の測定方法>
試料(トナー)に対して、試料から遊離離型剤を取り除くための分級処理を行った。詳しくは、100TTSP型分級機(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、試料供給量100g/分、回転速度12000rpm、ブロワ風量6m3/分の条件で、試料(トナー)に対して気流式の分級処理を行った。
分級処理の前及び後の各々において、試料(トナー)の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:時間)を、示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「DSC−6220」)及び基準物質を用いて測定した。そして、測定された吸熱曲線に含まれる吸熱ピークのうち、離型剤に由来する吸熱ピークの面積からそのピークの吸熱量(以下、離型剤吸熱量と記載する)を算出した。分級処理前の離型剤吸熱量C1と分級処理後の離型剤吸熱量C2とに基づいて、式「C0=100×(C1−C2)/C1」で表される離型剤遊離率C0(単位:%)を求めた。
[評価方法]
各試料(トナーTA−1〜TB−5)の評価方法は、以下のとおりである。
(耐熱保存性)
試料(トナー)3gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて密閉し、密閉された容器を、50℃に設定された恒温槽内に3時間静置した。その後、恒温槽から取り出したトナーを室温(約25℃)まで冷却して、評価用トナーを得た。
続けて、得られた評価用トナーを、質量既知の目開き150μmの篩に載せた。そして、評価用トナーを含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量を求めた。続けて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)に上記篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り2の条件で30秒間、篩を振動させ、評価用トナーを篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナー(篩上に残留したトナー)の質量(篩別後のトナーの質量)を測定した。そして、篩別前のトナーの質量W1と、篩別後のトナーの質量W2とに基づいて、次の式に従ってトナー通過率W0(単位:質量%)を求めた。
W0=100×(W1−W2)/W1
トナー通過率が60質量%以上であれば○(良い)と評価し、トナー通過率が60質量%を超えれば×(良くない)と評価した。
(評価用現像剤の調製)
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「FS−C5300DN」用キャリア)100質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を調製した。
(評価機の準備)
評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)を用いた。上述のようにして調製した評価用現像剤を評価機の現像器に投入し、評価機のトナーコンテナに試料(補給用トナー)を投入した。
(帯電性、帯電安定性)
上記評価機を用いて、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、印字率10%の連続印刷を1万枚の紙(A4サイズの印刷用紙)に対して行った。連続印刷中、印刷開始から1000枚までは200枚ごとに、それ以降は1000枚ごとに、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−1」)を用いて、下記方法により上記評価機の現像器内のトナーの帯電量を測定した。
<現像剤中のトナーの帯電量の測定方法>
Q/mメーターの測定セルに現像剤(キャリア及びトナー)0.10gを投入し、投入された現像剤のうちトナーのみを篩(金網)を介して10秒間吸引した。そして、式「吸引されたトナーの総電気量(単位:μC)/吸引されたトナーの質量(単位:g)」に基づいて、現像剤中のトナーの帯電量(単位:μC/g)を算出した。
続けて、上記のようにして測定されたトナーの帯電量に基づき、それら帯電量の測定値の算術平均値(以下、平均帯電量と記載する)と、それら帯電量の測定値の範囲(以下、帯電量差と記載する)とを算出した。帯電量差は、連続印刷中に測定された最も大きい帯電量と最も小さい帯電量との差に相当する。
平均帯電量が20μC/g以上30μC/g以下であれば○(良い)と評価し、平均帯電量が20μC/g未満又は30μC/g超であれば×(良くない)と評価した。帯電量差が10μC/g以下であれば○(良い)と評価し、帯電量差が10μC/gを超えれば×(良くない)と評価した。
(現像性)
上記評価機を用いて、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、印字率10%の連続印刷を10万枚の紙(A4サイズの印刷用紙)に対して行った。連続印刷後、ソリッド部を含むサンプル画像を評価用紙に印刷して、サンプル画像におけるソリッド部の画像濃度(ID)を測定した。画像濃度の測定には、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いた。画像濃度が1.3以上であれば○(良い)と評価し、画像濃度が1.3未満であれば×(良くない)と評価した。
(耐付着性)
上記評価機を用いて、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、印字率10%の連続印刷を10万枚の紙(A4サイズの印刷用紙)に対して行った。連続印刷中、印刷開始から1000枚までは200枚ごとに、それ以降は1000枚ごとに、トナー載り量0.5mg/cm2の条件で、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、90g/m2)に未定着のソリッド画像を形成し、形成されたソリッド画像を目視で観察した。また、評価機の現像スリーブの表面を目視で観察した。そして、以下の基準で試料(トナー)の耐付着性を評価した。
○(良い):10万枚の連続印刷を通して、現像スリーブの表面にトナーによる着色が観察されず、かつ、ソリッド画像に画像欠陥が観察されなかった。
×(良くない):10万枚の連続印刷中のいずれかのタイミングで、現像スリーブの表面にトナーによる着色が観察されるか、又は、ソリッド画像に画像欠陥(例えば、縦すじ)が観察された。
(クリーニング性)
上記評価機を用いて、ブレードクリーニング方式で感光ドラムをクリーニングしながら、連続して1000枚の紙(印刷用紙)に印字率8%の評価用画像を印刷した後、最後に印刷された紙について、画像汚れ(すじ模様など)の有無を目視で判定した。画像汚れが確認されなかった場合には○(良い)と評価し、画像汚れが確認された場合には×(悪い)と評価した。なお、感光ドラムでのブレードクリーニングが不十分であると、トナーのすり抜けなどに起因して、画像にすじ模様が現れることがある。
[評価結果]
表2に、各試料(トナーTA−1〜TB−5)の評価結果(耐熱保存性:トナー通過率、帯電性:平均帯電量、帯電安定性:帯電量差、現像性:画像濃度、耐付着性:トナー付着の有無、クリーニング性:クリーニング不良の有無)をまとめて示す。
Figure 0006394582
トナーTA−1〜TA−7(実施例1〜7に係るトナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、実施例1〜7に係るトナーではそれぞれ、トナーコアが、結着樹脂(異なる軟化点を有する3種類のポリエステル樹脂)及び離型剤(カルナバワックス)を含有していた。表1に示すように、離型剤遊離率(トナー中に存在する離型剤のうち、トナー粒子から遊離した離型剤の割合)は2.0%以上5.0%以下であった。表1に示すように、トナー変位率は0.50%以上0.70%以下であった。なお、実施例1〜7に係るトナーではそれぞれ、離型剤分散径(トナーコア中のワックス粒子の分散径)が0.1μm以上1.0μm以下であった。
表2に示されるように、実施例1〜7に係るトナーはそれぞれ、耐熱保存性、帯電性、帯電安定性、現像性、耐付着性、及びクリーニング性の全てに優れていた。実施例1〜7に係るトナーのいずれを用いて連続印刷を行った場合にも、トナー付着及びブレードめくれの発生を抑制しつつ、長期にわたって高画質の画像を形成し続けることができた。
なお、冷却ロールの温度を20℃に設定した以外は、トナーTA−1(実施例1に係るトナー)と同様にしてトナーを製造したところ、そのトナーの離型剤遊離率は約10%であった。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば、複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (7)

  1. 結着樹脂及び離型剤を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
    前記トナー中に存在する前記離型剤のうち、前記トナー粒子から遊離した前記離型剤の割合は、示差走査熱量分析による吸熱量換算で、2.0%以上5.0%以下であり、
    前記トナーに対する微小圧縮試験において、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下で、前記トナー粒子に負荷速度60nN/秒で荷重を加え、最大荷重60nNに到達後、前記最大荷重のまま1秒間静置した時の前記トナー粒子の変位量をZ1、前記トナー粒子の粒子径をZ2と表す場合、式「トナー変位率=100×Z1/Z2」で示されるトナー変位率は0.50%以上0.70%以下である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記コア中の前記離型剤の粒子の分散径が0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記トナー中に存在する前記離型剤の量は、前記結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上10質量部以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記シェル層は、疎水性熱可塑性樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記シェル層は、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルに由来する1種以上のアルコール性水酸基を有する樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記コアは、前記結着樹脂として、異なる軟化点を有する複数種のポリエステル樹脂を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーを製造する方法であって、
    前記コアの材料を溶融混練押出機のシリンダー内に供給し、前記溶融混練押出機を用いて前記シリンダー内で前記材料を溶融混練して混練物を得ることと、
    前記溶融混練押出機から前記混練物を冷却ロールに向けて押し出して、前記混練物を温度5℃以上10℃以下の前記冷却ロールに通して冷却することと、
    を含む、静電潜像現像用トナーの製造方法。
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