JP6231449B2 - トナー - Google Patents
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Description
(1)シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含む。
(2)トナーの平均円形度が0.965以上0.975以下である。
(3)トナーに含まれる円形度0.85以下のトナー粒子の量が0.5個数%未満である。
(4)トナーに対する微小圧縮試験において、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下で、トナー粒子に負荷速度60nN/秒で荷重を加え、最大荷重60nNに到達後、最大荷重のまま1秒間放置した時のトナー粒子の変位量をZ1、トナー粒子の粒子径をZ2と表す場合、式「トナー変位率=100×Z1/Z2」で示されるトナー変位率が0.50%以上0.70%以下である。なお、トナー粒子の形状が真球でない場合、Z2は、トナー粒子の球換算径に相当する。また、測定時の環境条件に関しては、温度を22℃〜24℃の範囲で、湿度を40%RH〜60%RHの範囲で、それぞれ変動させても、測定されるトナー変位率への影響はほとんどないと考えられる。
トナー粒子のコアは、結着樹脂を含む。また、トナー粒子のコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
トナー粒子のコアにおいては、コア成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、コアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、コアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
トナー粒子のコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子のコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。コアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子のコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、コアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、コアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー粒子のコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金)、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
シェル層は、熱可塑性樹脂に由来する単位(以下、熱可塑性単位と記載する)と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位(以下、熱硬化性単位と記載する)とを含有する。シェル層においては、例えば熱可塑性単位が熱硬化性単位で架橋されている。こうしたシェル層は、熱可塑性樹脂に基づく適度な柔軟性と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーが形成する三次元の架橋構造に基づく適度な機械的強度との両方を兼ね備えると考えられる。このため、こうしたシェル層を有するトナー粒子から構成されるトナーは、耐熱保存性及び低温定着性の両方に優れる。詳しくは、保管時又は輸送時にシェル層が破壊されにくい。一方、定着時には、温度及び圧力が付与されることで容易にシェル層が破壊され、コア(結着樹脂等)の軟化又は溶融が速やかに進行し易い。このため、低い温度でトナーを記録媒体に定着させることが可能になると考えられる。
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
(コアの作製)
トナーA−1の製造方法では、以下の手順でコアを作製した。まず、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、低粘度ポリエステル樹脂(Tg:38℃、Tm:65℃)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg:53℃、Tm:84℃)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg:71℃、Tm:120℃)150gと、離型剤55gと、着色剤40gとを、回転速度2400rpmで混合した。結着樹脂(ポリエステル樹脂)における低粘度ポリエステル樹脂の比率を増やすことで、結着樹脂の溶融粘度を下げることができる。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。そして、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に、イオン交換水500mLと、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製「ジュリマー(登録商標)AC−103」)50gとを添加した。その結果、フラスコ内にポリアクリル酸ナトリウム水溶液が得られた。
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液をろ過(固液分離)して、トナー母粒子を得た。その後、得られたトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。続けて、トナー母粒子を乾燥した。
上記乾燥後、トナー母粒子に外添を行った。トナー母粒子100質量部と乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1.5質量部とを混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。これにより、多数のトナー粒子を含むトナーA−1が製造された。
トナーA−2の製造方法は、シェル層を形成するための重合反応時の攪拌速度を150rpmから140rpmに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーA−3の製造方法は、シェル層を形成するための重合反応時の攪拌速度を150rpmから130rpmに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−1の製造方法は、重合時間を30分から60分に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−2の製造方法は、重合時間を30分から90分に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−3の製造方法は、重合温度を65℃から60℃に変更し、重合時間を30分から15分に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−4の製造方法は、重合温度を65℃から60℃に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−5の製造方法は、重合温度を65℃から60℃に変更し、重合時間を30分から45分に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−6の製造方法は、重合温度を65℃から70℃に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーB−7の製造方法は、重合温度を65℃から70℃に変更し、重合時間を30分から60分に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーC−1の製造方法は、昭和電工株式会社製の「コーガムHW−62」6.9gに代えて、アクリル酸エステル樹脂液(昭和電工株式会社製「コーガムHW−750」、固形分濃度14.5質量%)6.9gを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーC−2の製造方法は、シェル層を形成するための重合反応時の攪拌速度を150rpmから130rpmに変更した以外は、トナーC−1の製造方法と同じである。
トナーC−3の製造方法は、昭和電工株式会社製の「ミルベンレジンSU−100」1gに代えて、水溶性メチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレヂン(登録商標)S−176」)1gを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーC−4の製造方法は、シェル層を形成するための重合反応時の攪拌速度を150rpmから130rpmに変更した以外は、トナーC−3の製造方法と同じである。
トナーC−5の製造方法は、昭和電工株式会社製の「ミルベンレジンSU−100」1gに代えて、水溶性メチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレヂン(登録商標)S−260」)1gを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーC−6の製造方法は、シェル層を形成するための重合反応時の攪拌速度を150rpmから130rpmに変更した以外は、トナーC−5の製造方法と同じである。
各試料(トナーA−1〜C−6)の評価方法は、以下の通りである。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、試料(トナー)の円形度を測定した。詳しくは、試料(トナー)に含まれる3000個のトナー粒子の各々の円形度を測定し、測定された3000個の円形度の平均値を評価値とした。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、試料(トナー)を撮影した。そして、撮影された画像に基づいて、試料(トナー)における円形度0.85以下のトナー粒子の割合(以下、トナー結合率と記載する)を求めた。詳しくは、試料(トナー)に含まれる3000個のトナー粒子についてそれぞれ、円形度が0.85以下であるか否かを判定することで、円形度0.85以下のトナー粒子(以下、結合粒子と記載する)の数を求めた。そして、次の式に従ってトナー結合率(個数%)を求めた。
トナー結合率(個数%)=100×結合粒子の数/3000
走査型プローブ顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンス製「S−image」)を備えたSPMプローブステーション(株式会社日立ハイテクサイエンス製「NanoNaviReal」)を用いて、試料(トナー)に対して微小圧縮試験を行った。SPMの最大荷重を60nNに設定し、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下で、負荷速度60nN/秒で、試料(トナー)に含まれるトナー粒子(詳しくは、シェル層)に荷重を加えた。そして、最大荷重(60nN)に到達後1秒経過時のトナー粒子の変位量(以下、変位量Z1と記載する)を測定した。また、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いて、トナー粒子の粒子径(球換算径)を測定した。以下、測定されたトナー粒子の粒子径(球換算径)を、粒子径Z2と記載する。試料(トナー)に含まれる10個のトナー粒子の各々について、上記方法により測定された変位量Z1及び粒子径Z2に基づき、式「トナー変位率=100×変位量Z1/粒子径Z2」で示されるトナー変位率(%)を算出した。そして、10個の測定値の平均を、試料(トナー)の評価値とした。
試料(トナー)3gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて密閉し、密閉された容器を、55℃に設定された恒温槽(ヤマト科学株式会社製「DKN302」)内に3時間静置した。その後、恒温槽から取り出したトナーを室温まで冷却して、評価用トナーを得た。
トナー通過率(質量%)=100×篩を通過したトナーの質量/篩別前のトナーの質量
現像剤用キャリア(FS−C5300DN用キャリア)100質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。そして、得られた2成分現像剤を、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間放置した。その後、QMメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて、同じ環境(温度20℃、湿度65%RH)下で、2成分現像剤中のトナーの帯電量を測定した。詳しくは、QMメーターの吸引部を用いて現像剤0.10g(±0.01g)中の試料(トナー)を吸引し、吸引された試料(トナー)の量とQMメーターの表示(電荷量)とに基づいて帯電量を算出した。トナーの帯電量が25μC/g以上35μC/g以下であれば○(良い)と評価し、トナーの帯電量が25μC/g未満又は35μC/g超であれば×(悪い)と評価した。
トナーA−1〜C−6の各々についての評価結果は以下のとおりである。表2に、帯電量、耐熱保存性、画像濃度、定着性、及びブレードクリーニング性の評価結果を示す。なお、平均円形度、トナー結合率、及びトナー変位率の評価結果は、表1に示されている。
Claims (3)
- 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
前記シェル層は、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含み、
前記シェル層において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は前記熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位で架橋されており、
前記トナーの平均円形度は0.965以上0.975以下であり、
前記トナーに含まれる円形度0.85以下のトナー粒子の量は0.5個数%未満であり、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下で、前記トナー粒子に負荷速度60nN/秒で荷重を加え、最大荷重60nNに到達後、前記最大荷重のまま1秒間放置した時の前記トナー粒子の変位量をZ1、前記トナー粒子の粒子径をZ2と表す場合、式「トナー変位率=100×Z1/Z2」で示されるトナー変位率は0.50%以上0.70%以下である、トナー。 - 前記トナーに含まれる円形度0.85以下のトナー粒子の量は0.3個数%以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記シェル層は、アクリル系樹脂に由来する単位と、尿素樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含み、
前記トナーの平均円形度は0.965以上0.970以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
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