JP6248866B2 - トナー - Google Patents
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Description
(1)トナー粒子が、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層とを有する。トナーコアはポリエステル樹脂を含む。シェル層は熱硬化性樹脂を含む。
(2)トナーコアが、融点50℃以上100℃以下かつ炭素数16以上の第1級アルコールを含む。
トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、融点50℃以上100℃以下かつ炭素数16以上の第1級アルコールを含む。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
トナーコアにおいては、全成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーは、前述の構成(2)を有する。トナーコアは、融点50℃以上100℃以下かつ炭素数16以上の第1級アルコールを含む。トナーの低温定着性、高温定着性、及び耐熱保存性を向上させるためには、セタノール(炭素数16)、ステアリルアルコール(炭素数18)、及びベヘニルアルコール(炭素数22)からなる群より選択される1種以上の第1級アルコールを、トナーコアに含ませることが好ましい。
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、前述の構成(1)を有する。シェル層は熱硬化性樹脂を含む。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂のみからなってもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有してもよい。また、シェル層において、熱可塑性樹脂が、架橋性を有するモノマー又はプレポリマー(例えば、後述する熱硬化性樹脂の調製に用いられ得るモノマー)で架橋されてもよい。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との割合は任意である。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との割合の例としては、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:1、3:1、4:1、又は5:1(それぞれ質量比で、熱可塑性樹脂:熱硬化性樹脂)が挙げられる。
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(トナーコアの作製)
トナーA−1の製造方法では、以下の手順でトナーコアを作製した。まず、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、ポリエステル樹脂(花王株式会社製「CBC500」)87質量部と、離型剤(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)5質量部と、着色剤(大日精化工業株式会社製「ECR−101」)5質量部と、固体アルコール(高級アルコール工業株式会社製「セチルアルコールNX」、組成「約95質量%:C16、約5質量%:C18」、融点51℃)3質量部とを、回転速度2400rpmで180秒間混合した。以下、固体アルコール(高級アルコール工業株式会社製「セチルアルコールNX」、組成「約95質量%:C16、約5質量%:C18」、融点51℃)を、アルコールAと記載する。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れて、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水系媒体(イオン交換水)のpHを4に調整した。
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
続けて、得られたトナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)0.5質量部とを、10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーA−1が得られた。
トナーA−2の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.7mLに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーA−3の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.3mLに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーA−4の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから40mLに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーA−5の製造方法は、シェル層を形成する工程において、35mLのシェル材料Aに代えて、メチル化尿素樹脂の水溶液(株式会社三和ケミカル製「ニカラック(登録商標)MX−280」、固形分濃度95質量%)35mLを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、メチル化尿素樹脂の水溶液(株式会社三和ケミカル製「ニカラック(登録商標)MX−280」、固形分濃度95質量%)を、シェル材料Bと記載する。
トナーA−6の製造方法は、シェル層を形成する工程において、35mLのシェル材料Aに代えて、10mLのシェル材料Aと10mLのシェル材料Bとを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーA−7の製造方法は、シェル層を形成する工程において、35mLのシェル材料Aに代えて、10mLのシェル材料Aと10mLのシェル材料Cとを使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。シェル材料Cは、以下に示す方法に従って合成されたスチレンアクリル酸ブチル共重合体微粒子であった。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水875mLと、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムルWX」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)75mLとを入れた。続けて、ウォーターバスを用いて、フラスコ内容物の温度を80℃に昇温させた。続けて、スチレン溶液18mL及びアクリル酸ブチル溶液2mLの混合液と、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液とを、それぞれ5時間かけてフラスコ内に滴下した。その後、フラスコ内容物の温度を80℃に2時間保って、フラスコ内で重合反応を行った。その結果、スチレンアクリル酸ブチル共重合体微粒子の分散液が得られた。得られた樹脂微粒子の分散液について、透過型電子顕微鏡を用いて樹脂微粒子を観察することで、樹脂微粒子の平均粒子径が32nmであることを確認した。また、示差走査型熱量計により測定された樹脂微粒子のTgは71℃であった。
トナーB−1の製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール4098」、ミリスチルアルコール、融点40℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール4098」、ミリスチルアルコール、融点40℃)を、アルコールBと記載する。
トナーB−2の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.7mLに変更した以外は、トナーB−1の製造方法と同じである。
トナーCの製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール8098」、ステアリルアルコール、融点56℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール8098」、ステアリルアルコール、融点56℃)を、アルコールCと記載する。
トナーDの製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール220−80」、ベヘニルアルコール、融点68℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、固体アルコール(花王株式会社製「カルコール220−80」、ベヘニルアルコール、融点68℃)を、アルコールDと記載する。
トナーEの製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、炭素数20〜40の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)350 Alcohol」、融点79℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、炭素数20〜40の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)350 Alcohol」、融点79℃)を、アルコールEと記載する。
トナーF−1の製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、炭素数30〜50の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)550 Alcohol」、融点99℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、炭素数30〜50の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)550 Alcohol」、融点99℃)を、アルコールFと記載する。
トナーF−2の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.7mLに変更した以外は、トナーF−1の製造方法と同じである。
トナーF−3の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.3mLに変更した以外は、トナーF−1の製造方法と同じである。
トナーF−4の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから40mLに変更した以外は、トナーF−1の製造方法と同じである。
トナーG−1の製造方法は、トナーコアを作製する工程において、3質量部のアルコールAに代えて、炭素数30〜50の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)550 Alcohol」の高純度グレード、融点105℃)3質量部を使用した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。以下、炭素数30〜50の第1級アルコール混合物(ベーカー・ヒューズ社製「PERFORMACOL(登録商標)550 Alcohol」の高純度グレード、融点105℃)を、アルコールGと記載する。
トナーG−2の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.7mLに変更した以外は、トナーG−1の製造方法と同じである。
トナーG−3の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.3mLに変更した以外は、トナーG−1の製造方法と同じである。
トナーH−1の製造方法は、トナーコアを作製する工程において、アルコールAを使用せず、ポリエステル樹脂(花王株式会社製「CBC500」)の使用量を87質量部から90質量部に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じである。
トナーH−2の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.7mLに変更した以外は、トナーH−1の製造方法と同じである。
トナーH−3の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの使用量を35mLから0.3mLに変更した以外は、トナーH−1の製造方法と同じである。
各試料(トナーA−1〜H−3)の評価方法は、以下の通りである。
試料(トナー)を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散し、40℃の雰囲気で2日間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物を四酸化オスミウムを用いて染色した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて切り出し、薄片試料を得た。続けて、得られた薄片試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて撮影した。
試料(トナー)0.1gに常温で荷重20kNを2分間かけて、直径10mm、厚さ1mmの円盤状の評価用試料を作製した。評価機としては、レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製「ARES」)を用いた。評価機の測定プレートとしては、直径10mmの円形パラレルプレートを用いた。
・測定周波数:6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定:初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードで測定した。
・試料の伸長補正:自動測定モードで調整した。
・測定温度:50℃から200℃まで2℃/分の速度で昇温した。
・測定間隔:15秒ごとに測定値(弾性率)を得た。
試料(トナー)3gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて密閉し、密閉された容器を、60℃に設定された恒温槽(ヤマト科学株式会社製「DKN302」)内に3時間静置した。その後、恒温槽から取り出したトナーを室温まで冷却して、評価用トナーを得た。
トナー通過率(質量%)=100×篩を通過したトナーの質量/篩別前のトナーの質量
現像剤用キャリア(FS−C5300DN用キャリア)100質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
トナーA−1〜H−3の各々についての評価結果は以下のとおりである。表2に、最低定着温度、最高定着温度、及び耐熱保存性の評価結果をそれぞれ示す。なお、シェル層の厚さ、貯蔵弾性率、及び損失弾性率の各々の評価結果は、表1に示されている。
Claims (4)
- 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
前記コアは、ポリエステル樹脂と、カルナバワックスと、融点50℃以上100℃以下かつ炭素数16以上50以下の第1級アルコールとを含み、
前記シェル層は実質的に熱硬化性樹脂から構成され、
前記熱硬化性樹脂はメラミン樹脂又は尿素樹脂であり、
前記トナーの110℃における貯蔵弾性率が2000Pa以上54000Pa以下であり、
前記トナーの110℃における損失弾性率が7600Pa以上80000Pa以下である、トナー。 - 前記シェル層の厚さは1nm以上100nm以下である、請求項1に記載のトナー。
- 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
前記コアは、ポリエステル樹脂と、カルナバワックスと、融点50℃以上100℃以下かつ炭素数16以上50以下の第1級アルコールとを含み、
前記シェル層は、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含み、
前記シェル層において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は前記熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位で架橋されており、
前記熱可塑性樹脂はスチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂であり、
前記トナーの110℃における貯蔵弾性率が2000Pa以上54000Pa以下であり、
前記トナーの110℃における損失弾性率が7600Pa以上80000Pa以下である、トナー。 - 前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂はスチレンアクリル酸ブチル共重合体であり、
前記スチレンアクリル酸ブチル共重合体は90体積部のスチレンと10体積部のアクリル酸ブチルとの共重合体である、請求項3に記載のトナー。
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