JP6248867B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来の材料(植物性バイオマス)を含むトナーに関する。
近年、地球温暖化対策のため、植物由来の成分を含む結着樹脂を使用したトナーが提案されている(特許文献1参照)。
特開2010−60847号公報
しかしながら、植物由来の成分を含む結着樹脂は軟らかいため、こうした結着樹脂を含むトナーは付着力が高くなり易い。このため、こうしたトナーを用いて画像を形成する場合には、現像剤用キャリア、現像スリーブ、又は感光体ドラムの表面にトナーが付着し易くなる。このようなトナーの付着が生じると、高品質の画像を形成しにくくなる。例えば、2成分現像剤において、トナーがキャリアの表面に付着すると、トナーの帯電性が低下したりトナーが飛翔したりして、現像剤の現像性が低下する傾向がある。トナーがキャリアの表面に付着することをスペントと呼ぶ。また、トナーが現像スリーブの表面に付着すると、現像に用いられるトナーの量が減少し、現像剤の現像性が低下する傾向がある。また、トナーが感光体ドラムの表面に付着すると、形成された画像にダッシュマーク(画像欠陥)が生じ易くなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、環境にやさしい植物由来の材料(植物性バイオマス)を用いて製造することができて、耐付着性及び低温定着性に優れるトナーを提供することを目的とする。
本発明に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む。前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有する。前記コアは、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂を含有する。前記シェル層は、気泡及び粒子の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂から実質的に構成される。前記シェル層の厚さは1nm以上30nm以下である。前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡と前記粒子との総数が5個以上50個以下である。
本発明に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む。前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有する。前記コアは、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂を含有する。前記シェル層は、気泡及び粒子の少なくとも一方を含む樹脂から実質的に構成される。前記シェル層を構成する前記樹脂は、熱可塑性樹脂に由来する単位と熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含有する。前記シェル層の厚さは20nm以上45nm以下である。前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡と前記粒子との総数が8個以上56個以下である。
本発明によれば、環境にやさしい植物由来の材料(植物性バイオマス)を用いて製造することができて、耐付着性及び低温定着性に優れるトナーを提供することが可能になる。
シェル層を形成するための材料(シェル材料)の溶液を攪拌する速度(攪拌装置の羽根の回転速度)と、形成されたシェル層に含まれる気泡の数との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係るトナーは、静電荷像の現像に用いることができる。本実施形態のトナーは、多数の粒子(以下、トナー粒子と記載する)から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。
電子写真装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電荷像を現像する。これにより、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、さらに転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、コア(以下、トナーコアと記載する)と、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを有する。シェル層の表面に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)〜(3)を有する。
(1)トナーコアが、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂(以下、植物性ポリエステル樹脂と記載する)を含有する。
(2)シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位と熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含有する樹脂(以下、複合樹脂と記載する)と熱硬化性樹脂とのいずれか一方から実質的に構成される。
(3)シェル層を構成する樹脂中に、気泡及び粒子の少なくとも一方が含まれる。そして、シェル層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、シェル層の500nm角(=500nm×500nm)あたりに存在する気泡と粒子との総数(以下、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数と記載する)が5個以上50個以下である。また、シェル層を構成する樹脂が複合樹脂である場合には、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数が8個以上56個以下である。
構成(1)は、トナーの環境性を向上させるために有益である。トナーコアを構成するポリエステル樹脂が、植物由来の1,2−プロパンジオールを含むことで、トナーの環境性が向上する。トナーの環境性を向上させるためには、植物性ポリエステル樹脂のアルコール成分のうち、60質量%以上のアルコール成分が植物由来の1,2−プロパンジオールであることが好ましく、75質量%以上のアルコール成分が植物由来の1,2−プロパンジオールであることがより好ましく、100質量%のアルコール成分が植物由来の1,2−プロパンジオールであることがさらに好ましい。トナーの環境性をさらに向上させるためには、植物性ポリエステル樹脂がカルボン酸成分として植物由来のカルボン酸を含むことが好ましい。植物由来のカルボン酸は、例えば、デンプンを含む植物性バイオマス(例えば、トウモロコシ)から抽出できる。トナーの環境性を向上させるためには、トナーコアに含まれる樹脂のうち、80質量%以上の樹脂が植物性ポリエステル樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂が植物性ポリエステル樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂が植物性ポリエステル樹脂であることがさらに好ましい。トナーコアは、1種の植物性ポリエステル樹脂のみを含んでいてもよいし、2種以上の植物性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の比率は25質量%以上90質量%以下であることが好ましい。大気中に存在するCO2のうち、放射性炭素(14C)を含むCO2の濃度は、大気中において一定に保たれている。一方、植物は大気中の14Cを含むCO2を光合成の過程において取り込む。このため、植物の有機成分における炭素中の14Cの濃度は、大気中における14Cを含むCO2の濃度に対応する値となっていることが多い。一般的な植物の有機成分における炭素中の14Cの濃度は約107.5pMC(percent Modern Carbon)である。トナー中に含まれる14Cの濃度をX(pMC)とすると、式「バイオマス由来の炭素の比率(質量%)=(X/107.5)×100」に従ってトナー中の炭素のうちのバイオマス由来の炭素の比率を求めることができる。製品に含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25質量%以上であるプラスチック製品は、カーボンニュートラルの観点から特に好ましい。こうしたプラスチック製品には、バイオマスプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)が与えられる。トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25質量%以上となる場合において、そのトナー中の14Cの濃度Xを上記式から求めると、14Cの濃度Xは26.9pMC以上となる。従って、トナーに含まれる炭素の放射性炭素同位体14Cの濃度が26.9pMC以上となるように、ポリエステル樹脂を調製することが好ましい。なお、石油化学製品の炭素元素中における14Cの濃度は、ASTM−D6866試験に従って測定できる。
構成(2)は、トナーの耐付着性を向上させるために有益である。詳しくは、トナーコアの表面にシェル層を形成(カプセル化)することで、トナーの付着力を低減することが可能になる。また、カプセル化されたトナー(カプセルトナー)は、耐熱保存性及び耐ストレス性にも優れる。また、シェル層が熱硬化性樹脂(又は、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位)を含む場合には、シェル層がトナーの耐付着性、耐熱保存性、及び耐ストレス性を高める効果が特に大きくなると考えられる。トナーの耐付着性、耐熱保存性、及び耐ストレス性を向上させるためには、シェル層に含まれる樹脂のうち、80質量%以上の樹脂が熱硬化性樹脂及び複合樹脂のいずれか一方であることが好ましく、90質量%以上の樹脂が熱硬化性樹脂及び複合樹脂のいずれか一方であることがより好ましく、100質量%の樹脂が熱硬化性樹脂及び複合樹脂のいずれか一方であることがさらに好ましい。
構成(3)は、構成(2)の、トナーの耐付着性を向上させる機能を確保しつつ、トナーの低温定着性を向上させるために有益である。シェル層に気泡又は粒子(異物粒子)を含ませることで、シェル層が破壊(特に、圧壊)され易くなる。また、シェル層が破壊され易くなることで、トナーの低温定着性を向上させることが可能になる。しかし、シェル層の単位面積あたりの破壊点(気泡又は粒子)の数が多すぎると、シェル層の上述の機能を損なう可能性がある。発明者は、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数を所定の値にすることで、耐付着性及び低温定着性の両方に優れるトナーを提供できることを見出した。詳しくは、シェル層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数を5個以上にすることでトナーの低温定着性を向上させることが可能になり、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数を50個以下にすることでトナーの耐付着性を向上させることが可能になることを、発明者が見出した(後述する表1〜表6を参照)。また、シェル層を構成する樹脂が複合樹脂である場合には、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数を8個以上にすることでトナーの低温定着性を向上させることが可能になり、シェル層の単位面積あたりの破壊点の数を56個以下にすることでトナーの耐付着性を向上させることが可能になることを、発明者が見出した(後述する表1〜表6を参照)。
シェル層の単位面積あたりの破壊点の数は、例えば次に示すアルカリ浸漬法によって測定できる。
<破壊点の数の測定方法(アルカリ浸漬法)>
pH10に調整されたイオン交換水にアニオン界面活性剤を添加して、アルカリ性の水性媒体を得る。続けて、得られたアルカリ性の水性媒体中に試料(トナー)を分散させて50℃で10時間浸漬して、評価用試料(アルカリ性の液中に所定時間放置したトナー)の分散液を得る。その後、得られた評価用試料の分散液をろ過して、液から評価用試料を取り出す。続けて、取り出した評価用試料をイオン交換水に分散させる。さらに、分散とろ過とを繰り返して、評価用試料を洗浄する。洗浄後のろ液の導電率が10μS/cm以下になったときに、洗浄が完了したと判定する。導電率は、例えば株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「HORIBA ES−51」を用いて測定できる。
上記洗浄が完了したら、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて評価用試料の表面を観察し、その映像を撮影する。そして、得られたSEM撮影像を解析することで、シェル層の500nm角(=500nm×500nm)あたりに存在する気泡と粒子との総数を求める。詳しくは、試料(トナー)を上記アルカリ性の水性媒体中に浸漬することによって、シェル層中の気泡又は粒子が存在する部分に、気泡又は粒子に対応する貫通孔が形成される。こうした貫通孔の数は、試料(浸漬前のトナー)のシェル層に存在する気泡と粒子との総数に対応するため、貫通孔の数をカウントすることによってシェル層の単位面積あたりの破壊点の数を求めることができる。
シェル層に含ませる粒子としては、シェル層を構成する樹脂とは異なる樹脂から実質的に構成される粒子(有機微粒子)が好ましい。シェル層に含ませる粒子としては、例えば、実質的に熱可塑性樹脂から構成される樹脂粒子を好適に使用できる。また、シェル層に含ませる粒子として、ワックス、顔料、又は無機微粒子(例えば、シリカ粒子)を使用してもよい。一種の粒子を単独で使用してもよいし、複数種の粒子を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、構成(1)〜(3)の全てを有するトナー粒子(以下、本実施形態のトナー粒子と記載する)を含む。本実施形態のトナー粒子を含むトナーは、環境にやさしい植物由来の材料(植物性バイオマス)を用いて製造することができて、耐付着性及び低温定着性に優れる(後述する表4〜表6を参照)。なお、トナーは、80個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが好ましく、90個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがより好ましく、100個数%の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがさらに好ましい。
本実施形態に係るトナーにおいて、トナーコアがアニオン性を有し、シェル層を形成するための材料(以下、シェル材料と記載する)がカチオン性を有する場合には、シェル層の形成時にカチオン性のシェル材料をトナーコアの表面に引き付けることが可能になる。詳しくは、例えば水性媒体中で負に帯電するトナーコアに、水性媒体中で正に帯電するシェル材料が電気的に引き寄せられ、例えばin−situ重合によりトナーコアの表面にシェル層が形成されると考えられる。シェル材料がトナーコアに引き寄せられることで、分散剤を用いずとも、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成し易くなると考えられる。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。なお、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
(トナーコアの結着樹脂)
トナーコアにおいては、トナーコア成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。
トナーコアは、結着樹脂として植物性ポリエステル樹脂を含有する。植物性ポリエステル樹脂は、例えば、植物由来の1,2−プロパンジオールを含むアルコールと、2価又は3価以上のカルボン酸との共重合体である。トナーコアは、実質的に植物性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として含んでいてもよいし、植物性ポリエステル樹脂に加えて他の樹脂(例えば、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル系樹脂のような熱可塑性樹脂)を、結着樹脂として含んでいてもよい。
トナーコアにおいて植物性ポリエステル樹脂を構成する植物由来の1,2−プロパンジオールは、例えば、化学合成、発酵法、又はこれらの方法を組み合わせた方法を用いて製造できる。
植物由来の1,2−プロパンジオールを製造する方法の一例では、グルコースのような糖類を含む植物性バイオマスを加水分解してグリセリンを得る。続けて、グリセリンと水素とを反応させることにより、植物由来の1,2−プロパンジオールを得る。植物性バイオマスとしては、例えば、大豆油、ヤシ油、パーム油、ひまし油、及びカカオ油からなる群より選択される1種以上の植物性油脂を使用できる。植物性バイオマスを加水分解する方法としては、酸又は塩基を用いる化学的方法を採用してもよいし、酵素又は微生物を用いる生物的方法を採用してもよいし、他の方法を採用してもよい。
植物性ポリエステル樹脂として、花王株式会社製の「タフトン(登録商標)」を使用してもよい。トナーコアを構成する植物性ポリエステル樹脂は、実質的に植物由来の1,2−プロパンジオールのみをアルコール成分として含んでいてもよいし、植物由来の1,2−プロパンジオールに加えて他のアルコールを、アルコール成分として含んでいてもよい。トナーに含有される植物由来の1,2−プロパンジオールの量は、熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)により測定することができる。具体的には、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(例えば、日本電子株式会社製「GC mate II」)の試料導入部に熱分解装置(例えば、株式会社島津製作所製「GC−14B」)を取り付けた装置を用いて、試料を構成する分子の種類、及び各分子の含有量を測定することができる。熱分解により、複雑な組成の物質を単純な分子へ分解できる。
植物性ポリエステル樹脂の調製には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、及びイソドデシルコハク酸)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸)からなる群より選択される1種以上の2価カルボン酸を使用できる。
植物性ポリエステル樹脂の調製には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸からなる群より選択される1種以上の3価以上カルボン酸を使用できる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
トナーコアが実質的に植物性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として含む場合、トナーコアが強いアニオン性を有するためには、植物性ポリエステル樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましい。植物性ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、植物性ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。植物性ポリエステル樹脂の分子量を上げると、植物性ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
トナーコアに含まれる植物性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する植物性ポリエステル樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくいと考えられる。
樹脂のTgは、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて試料(樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から樹脂のTgを求めることができる。
トナーコアが実質的に植物性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として含む場合、トナーコアに含まれる植物性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は100℃以下であることが好ましい。こうしたTmを有する植物性ポリエステル樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくくなる。
樹脂のTmは、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(樹脂)をセットし、所定の条件(ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分)で1cm3の樹脂を溶融流出させる。そして、結着樹脂のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を測定する。得られたS字カーブから樹脂のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値(mm)をS1とし、低温側のベースラインのストローク値(mm)をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、測定試料(樹脂)のTmに相当する。
トナーコアが実質的に植物性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として含む場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、植物性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上2500以下であることが好ましい。また、植物性ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は20以上29以下であることが好ましい。樹脂のMn及びMwはそれぞれ、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
トナーコアが実質的に植物性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として含む場合、植物性ポリエステル樹脂の溶解指数(SP値)は10以上30以下であることが好ましい。植物性ポリエステル樹脂のSP値が水のSP値(23)に近づくため、トナーコアの水性媒体への濡れ性が向上すると考えられる。そのため、分散剤を用いずにトナーコアの水性媒体への分散性を向上させることができると考えられる。
(トナーコアの着色剤)
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(トナーコアの離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(トナーコアの電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(トナーコアの磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
本実施形態のトナー粒子では、シェル層が、熱硬化性樹脂と複合樹脂とのいずれか一方から実質的に構成される。
シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合、熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリイミド樹脂、又はこれら各樹脂の誘導体を好適に使用できる。ポリイミド樹脂は、窒素元素を分子骨格に有する。このため、ポリイミド樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位を含むシェル層は、強いカチオン性を有し易い。ポリイミド樹脂としては、マレイミド系重合体、又はビスマレイミド系重合体(より具体的には、アミノビスマレイミド重合体又はビスマレイミドトリアジン重合体)を好適に使用できる。
シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合、熱硬化性樹脂としては、アミノ基を含む化合物とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)との重縮合によって生成される樹脂が特に好ましい。なお、メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂は、グリオキザールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。
熱硬化性樹脂の調製には、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、スピログアナミン、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)からなる群より選択される1種以上のモノマーを使用できる。
シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位(以下、熱可塑性単位と記載する)と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位(以下、熱硬化性単位と記載する)とを含有する場合には、シェル層において熱可塑性単位が熱硬化性単位で架橋されると考えられる。こうしたシェル層は、熱可塑性樹脂に基づく適度な柔軟性と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーが形成する三次元の架橋構造に基づく適度な機械的強度との両方を兼ね備えると考えられる。
熱可塑性単位と熱硬化性単位との割合は任意である。熱可塑性単位と熱硬化性単位との割合の例としては、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:1、3:1、4:1、又は5:1(それぞれ質量比で、熱可塑性単位:熱硬化性単位)が挙げられる。
熱硬化性単位に係る熱硬化性樹脂として好適な樹脂は、シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合の熱硬化性樹脂と同様(前述したメラミン樹脂等)である。シェル層を形成する際に、例えば、前述した熱硬化性樹脂を調製するためのモノマーを添加することで、シェル層に熱硬化性単位を導入できる。熱硬化性単位に窒素元素を含ませることで、熱硬化性単位の架橋硬化機能を向上させることができる。熱硬化性単位の反応性を高めるためには、メラミン樹脂系の熱硬化性単位では40質量%以上55質量%以下に、尿素樹脂系の熱硬化性単位では40質量%程度に、グリオキザール樹脂系の熱硬化性単位では15質量%程度に、窒素元素の含有量を調整することが好ましい。
熱可塑性単位は、熱硬化性単位の官能基(例えば、メチロール基又はアミノ基)と反応し易い官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基)を有することが好ましい。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性単位中に含まれてもよい。
熱可塑性単位に係る熱可塑性樹脂としては、水溶性を有する樹脂が好ましく、極性官能基を有する単位(例えば、グリコール、カルボン酸、又はマレイン酸)を含む水溶性の樹脂が特に好ましい。極性官能基を有する熱可塑性樹脂は、高い反応性を有する。水溶性を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(又はその誘導体)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキサイドが好ましい。
熱可塑性単位はアクリル成分を含むことが好ましく、反応性アクリレートを含むことがより好ましい。アクリル成分を含む熱可塑性単位は、熱硬化性樹脂と反応し易いため、シェル層の膜質を向上させることができると考えられる。熱可塑性単位は、2HEMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)を含むことが特に好ましい。
熱可塑性単位に係る熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、シリコーン−(メタ)アクリル系グラフト共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、又はエチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。熱可塑性単位に係る熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、又はシリコーン−(メタ)アクリル系グラフト共重合体が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
シェル層へ熱可塑性単位を導入するためのアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、又は(メタ)アクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテル(より具体的には、メチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、又はn−ブチルエーテル)を好適に使用できる。一種のアクリル系モノマーを単独で使用してもよいし、複数種のアクリル系モノマーを併用してもよい。
シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合、シェル層の厚さは、1nm以上30nm以下であることが好ましい。また、シェル層が実質的に複合樹脂から構成される場合、シェル層の厚さは、20nm以上45nm以下であることが好ましい。シェル層の厚さが30nm以下(複合樹脂の場合は45nm以下)であると、シェル層が破壊され易くなり、低温でトナーを記録媒体に定着させることが可能になると考えられる。さらに、シェル層の厚さが30nm以下(複合樹脂の場合は45nm以下)であると、シェル層の帯電性が過剰に強くなることが抑制され、画像が適正に形成され易くなると考えられる。一方、シェル層の厚さが1nm以上(複合樹脂の場合は20nm以上)であると、シェル層が十分な強度を有すると考えられる。このため、トナーに衝撃(例えば、輸送時の衝撃)が加わった場合にシェル層が破壊されにくくなり、トナーの保存性が向上すると考えられる。なお、シェル層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤としては、シリカ、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)を好適に使用できる。一種の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーと現像剤用キャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。現像剤用キャリアとしては、例えば、キャリア芯材と、キャリア芯材を被覆する樹脂層とを有する磁性キャリアを好適に使用できる。磁性キャリアを作製するためには、キャリア芯材を磁性材料で形成してもよいし、樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。トナー飛散を抑制し、高品質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの含有量は、8質量%以上15質量%以下であることが好ましく、10質量%以上12質量%以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。本実施形態に係るトナーの製造方法では、トナーコアを準備する。続けて、液中にトナーコアとシェル材料とを入れる。この際、液を攪拌するなどして、シェル材料を液に溶かすことが好ましい。続けて、液中でシェル層をトナーコアの表面に形成する(シェル層を硬化させる)。
以下、より具体的な例に基づいて、本実施形態に係るトナーの製造方法についてさらに説明する。例えば、上記液としてイオン交換水を準備する。続けて、例えば塩酸を用いて液のpHを調整する。続けて、液中に、シェル材料を添加する。これにより、液中でシェル材料が溶けて、シェル材料の溶液が得られる。シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成される場合には、シェル材料として、熱硬化性樹脂を形成するための材料(熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマー)を添加する。シェル層が実質的に複合樹脂から構成される場合には、シェル材料として、熱可塑性単位を形成するための材料、及び熱硬化性単位を形成するための材料を添加する。シェル材料の適切な添加量は、トナーコアの比表面積に基づいて算出できる。
前述の構成(3)を有するトナーを製造するためには、シェル層を形成する工程において、トナーコア及びシェル材料と共に、液に溶けない粒子(例えば、樹脂ビーズ)を液中に適量添加して、添加された粒子を含むシェル層を、液中でトナーコアの表面に形成することが好ましい。
続けて、得られたシェル材料の溶液にトナーコアを添加する。続けて、溶液を攪拌しながら溶液の温度を所定の速度(例えば、0.5℃/分以上2℃/分以下から選ばれる速度)で所定のシェル層硬化温度(例えば、60℃以上70℃以下から選ばれる温度)まで上昇させて、溶液を攪拌しながら溶液の温度をシェル層硬化温度に所定の時間(例えば、1時間以上2時間以下から選ばれる時間)保つ。これにより、トナーコアの表面にシェル材料が付着し、付着した材料が重合反応して硬化する。その結果、トナー母粒子の分散液が得られる。
シェル層硬化時におけるシェル材料の溶液の温度がトナーコアのガラス転移点(Tg)以上になると、トナーコアが変形し易い。また、高温でシェル材料を反応させると、シェル層が硬くなり易い。シェル層硬化時の液温を高くすると、トナーコアの変形が促進され、トナー母粒子の形状が真球に近づく傾向がある。トナー母粒子が所望の形状になるようにシェル層硬化時の液温を調整することが望ましい。なお、シェル層硬化時の液温に基づいて、シェル層の分子量を制御することもできる。
前述の構成(3)を有するトナーを製造するためには、液中に泡が生じる程度に攪拌速度を速めた状態で、シェル層を硬化させることが好ましい。シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料(溶液)を攪拌する速度が速いほど、形成されたシェル層に含まれる気泡の数が多くなる傾向がある。図1に、発明者が実験した結果を示す。図1に示されるように、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料(溶液)を攪拌する速度を速めるほど、形成されたシェル層に含まれる気泡の数が多くなった。
上記のようにしてシェル層を硬化させた後、例えば水酸化ナトリウムを用いてトナー母粒子の分散液を中和する。続けて、液を冷却する。続けて、液をろ過する。これにより、トナー母粒子が液から分離(固液分離)される。続けて、得られたトナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥させる。その後、必要に応じて、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。これにより、トナー粒子を多数有するトナーが完成する。なお、上記トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば溶媒にシェル材料を溶解させる工程よりも前に溶媒中にコアを添加する工程を行うようにしてもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1〜表3に、実施例又は比較例に係るトナーA−1〜A−11、B−1〜B−11、及びC−1〜C−11(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。
Figure 0006248867
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以下、トナーA−1〜A−11、B−1〜B−11、及びC−1〜C−11の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、粉体(例えば、トナーコア又はトナー)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の平均である。
[トナーA−1の製造方法]
(トナーコアAの作製)
大豆油(植物性バイオマス)を加水分解してグリセリンを得た。続けて、得られたグリセリンから、バイオ法によって植物由来の1,2−プロパンジオールを得た。続けて、得られた植物由来の1,2−プロパンジオールと、石油由来のテレフタル酸、コハク酸、及び無水トリメリット酸とを、酸化チタン触媒下で反応させて、バイオマス含有量50質量%の植物性ポリエステル樹脂Aを得た。得られた植物性ポリエステル樹脂Aに関して、水酸基価(OHV値)は10mgKOH/g、酸価(AV値)は15mgKOH/g、Tm(軟化点)は100℃、Tg(ガラス転移点)は50℃、Mw(質量平均分子量)は57000、Mn(数平均分子量)は2350であった。
次に、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、上述のようにして得られた80質量部の植物性ポリエステル樹脂A(結着樹脂)と、着色剤10質量部と、離型剤10質量部とを混合した。着色剤としては、カーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA−100」)を用いた。離型剤としては、エステルワックス(日油株式会社製「WEP−3」)を用いた。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。
続けて、得られた混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル T250」)を用いて、設定粒子径6μmの条件で粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.0μm、円形度0.93、バイオマス含有量30質量%のトナーコアAが得られた。粒子径の測定には、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いた。円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いた。
pH4におけるトナーコアAのゼータ電位は−25mVであり、トナーコアAの摩擦帯電量は−10μC/gであった。ゼータ電位及び摩擦帯電量の測定値から、トナーコアAがアニオン性を有することは明らかであった。トナーコアAのゼータ電位及び摩擦帯電量の測定方法を以下に示す。
<トナーコアのゼータ電位の測定方法>
トナーコア0.2gと、イオン交換水80gと、1質量%濃度のノニオン界面活性剤(日本触媒株式会社製「K−85」、ポリビニルピロリドン)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合した。そして、液中にトナーコアを均一に分散させて分散液を得た。その後、得られた分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得た。そして、得られたpH4のトナーコアの分散液を測定試料として用いて、トナーコアのゼータ電位を測定した。詳しくは、測定試料中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて測定した。
<トナーコアの摩擦帯電量の測定方法>
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)100質量部と、トナーコア7質量部とを、混合装置(株式会社シンマルエンタープライゼス製「ターブラミキサー」)を用いて30分間混合した。そして、得られた混合物を測定試料として用いて、トナーコアの摩擦帯電量を測定した。詳しくは、測定試料について、トナーコアと標準キャリアとを摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定した。
(シェル層の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。そして、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを添加した。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体(イオン交換水)のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内に水溶性メチロールメラミン(昭和電工株式会社製「ミルベン607」、固形分濃度80質量%)4mLを添加し、フラスコ内容物を攪拌してメチロールメラミンを水性媒体に溶解させた。以下、上記「ミルベン607」をシェル材料Aと記載する。
続けて、フラスコ内(シェル材料が溶解した酸性水溶液中)に、前述の手順で作製した300gのトナーコアAを添加し、回転速度200rpmかつ温度40℃の条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。続けて、フラスコ内にイオン交換水600mLを追加し、フラスコ内容物を回転速度100rpm(シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度)で攪拌しながら0.5℃/分の速度でフラスコ内の温度を60℃(シェル層硬化温度)まで上げて、温度60℃かつ回転速度100rpmの条件でフラスコ内容物を1時間攪拌した。これにより、トナーコアAの表面にシェル層が形成され、トナー母粒子を含む分散液が得られた。その後、トナー母粒子の分散液を常温まで冷却し、水酸化ナトリウムを用いてトナー母粒子の分散液のpHを7に調整(中和)した。
(トナー母粒子の洗浄及び乾燥)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液をろ過(固液分離)して、トナー母粒子を得た。その後、得られたトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。続けて、トナー母粒子を乾燥した。
(外添)
上記乾燥後、トナー母粒子に外添を行った。トナー母粒子100質量部と乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)2質量部とを混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。これにより、多数のトナー粒子を含むトナーA−1が製造された。
[トナーA−2の製造方法]
トナーA−2の製造方法は、シェル層を形成しなかった以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーA−3の製造方法]
トナーA−3の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を4mLから0.5mLに変更し、シェル材料Aと共に、下記方法に従って作製した樹脂ビーズ0.3gをフラスコ内に添加した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
<樹脂ビーズの作製方法>
温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、及び攪拌機を装着したガラス製の反応容器に、イオン交換水200質量部と、ラウリル硫酸ナトリウム3質量部とを入れた。続けて、窒素ガス雰囲気下で容器内容物を80℃に加熱し、容器内に過硫酸アンモニウム1質量部を添加した。続けて、容器内に、スチレンモノマー65質量部とブチルアクリルレートモノマー35質量部とからなるモノマー混合物を、1時間かけて滴下した。その後、容器内容物を1時間攪拌して、容器内にエマルジョンを得た。続けて、得られたエマルジョンを乾燥して、平均粒子径(長径の個数平均)60nm、Tg(ガラス転移点)70℃の樹脂ビーズを得た。
[トナーA−4の製造方法]
トナーA−4の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから8mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから1gに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーA−5の製造方法]
トナーA−5の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから12mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから2gに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーA−6の製造方法]
トナーA−6の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから15mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから2.5gに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーA−7の製造方法]
トナーA−7の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を4mLから8mLに変更し、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度を100rpmから200rpmに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーA−8の製造方法]
トナーA−8の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度を200rpmから500rpmに変更した以外は、トナーA−7の製造方法と同じであった。
[トナーA−9の製造方法]
トナーA−9の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから12mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから1gに変更し、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度を100rpmから500rpmに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーA−10の製造方法]
トナーA−10の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから8mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから0.5gに変更し、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度を100rpmから250rpmに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーA−11の製造方法]
トナーA−11の製造方法は、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aの添加量を0.5mLから8mLに変更し、樹脂ビーズの添加量を0.3gから0.5gに変更し、シェル層硬化温度へ昇温中のシェル材料の攪拌速度を100rpmから350rpmに変更した以外は、トナーA−3の製造方法と同じであった。
[トナーB−1〜B−11の製造方法]
トナーB−1〜B−11の製造方法はそれぞれ、トナーコアAに代えてトナーコアBを用いた以外は、トナーA−1〜A−11の製造方法と同じであった。トナーコアBの作製方法は、植物性ポリエステル樹脂Aに代えて、下記方法に従って合成した植物性ポリエステル樹脂Bを用いた以外は、トナーコアAの作製方法と同じであった。トナーコアBに関して、体積中位径(D50)は6.0μm、円形度は0.92、pH4におけるゼータ電位は−35mV、摩擦帯電量は−15μC/g、バイオマス含有量は80質量%であった。トナーコアBの評価は、トナーコアAの評価と同じ方法で行った。
<植物性ポリエステル樹脂Bの合成方法>
大豆油(植物性バイオマス)を加水分解してグリセリンを得た。続けて、得られたグリセリンから、バイオ法によって植物由来の1,2−プロパンジオールを得た。また、トウモロコシからイソブタノールを抽出し、得られたイソブタノールからパラキシレンを経て植物由来のテレフタル酸を得た。続けて、得られた植物由来の1,2−プロパンジオール及び植物由来のテレフタル酸を、酸化チタン触媒下で反応させて、バイオマス含有量100質量%の植物性ポリエステル樹脂Bを得た。得られた植物性ポリエステル樹脂Bに関して、水酸基価(OHV値)は15mgKOH/g、酸価(AV値)は20mgKOH/g、Tm(軟化点)は110℃、Tg(ガラス転移点)は55℃、Mw(質量平均分子量)は54000、Mn(数平均分子量)は2200であった。
[トナーC−1〜C−11の製造方法]
トナーC−1〜C−11の製造方法はそれぞれ、シェル層を形成する工程において、シェル材料Aに加えて、エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社製「D.E.R.(登録商標)エポキシ樹脂664U」)1mLをフラスコ内に添加した以外は、トナーA−1〜A−11の製造方法と同じであった。以下、上記「D.E.R.エポキシ樹脂664U」をシェル材料Bと記載する。
[評価方法]
各試料(トナーA−1〜A−11、B−1〜B−11、及びC−1〜C−11)の評価方法は、以下の通りである。
(シェル層の単位面積あたりの破壊点の数)
pH10に調整されたイオン交換水45mLにアニオン界面活性剤5gを添加して、アルカリ性の水性媒体を得た。続けて、得られたアルカリ性の水性媒体中に試料(トナー)0.5gを分散させて、50℃で10時間浸漬して、評価用試料(アルカリ性の液中に所定時間放置したトナー)の分散液を得た。その後、得られた評価用試料の分散液をろ過して、液から評価用試料を取り出した。続けて、取り出した評価用試料をイオン交換水に分散させた。さらに、分散とろ過とを繰り返して、評価用試料を洗浄した。洗浄後のろ液の導電率が10μS/cm以下になったときに、洗浄が完了したと判定した。導電率の測定には、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「HORIBA ES−51」を用いた。
上記洗浄が完了した後、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて30万倍の倍率で評価用試料の表面を観察し、その映像を撮影した。そして、得られたSEM撮影像を解析することで、シェル層の500nm角(=500nm×500nm)あたりに存在する気泡と粒子との総数(破壊点の数)を求めた。詳しくは、気泡又は粒子に対応する貫通孔の数をカウントすることによってシェル層の単位面積あたりの破壊点の数を求めた。シェル層における10箇所の500nm角領域についてそれぞれ気泡又は粒子に対応する貫通孔の数を測定し、得られた10個の測定値の平均を、測定対象である1個のトナー粒子のシェル層の単位面積あたりの破壊点の数とした。試料(トナー)に含まれる10個のトナー粒子についてそれぞれシェル層の単位面積あたりの破壊点の数を測定し、得られた10個の測定値の平均を評価値とした。なお、貫通孔の形状又は大きさから気泡又は粒子に対応する貫通孔でないと考えられる貫通孔については破壊点としてカウントしなかった。確認された気泡又は粒子に対応する貫通孔の孔径(長径)は10nm以上200nm以下であった。
(シェル層の厚さ)
試料(トナー)を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散し、40℃の雰囲気で2日間硬化させて硬化物を得た。この硬化物を四酸化オスミウムにて染色した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて切り出し、薄片試料を得た。そして、薄片試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて撮影した。
画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてTEM撮影像を解析することで、シェル層の厚さを計測した。具体的には、トナー粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、この2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。そして、測定された4箇所の長さの平均値を、測定対象である1個のトナー粒子のシェル層の厚さとした。試料(トナー)に含まれる10個のトナー粒子についてそれぞれシェル層の厚さを測定し、得られた10個の測定値の平均を評価値とした。
なお、シェル層の厚さが薄い場合には、TEM撮影像上でのトナーコアとシェル層との境界が不明瞭になるため、シェル層の厚さの測定が困難な場合がある。このような場合には、TEMと電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせてトナーコアとシェル層との境界を明確にすることにより、シェル層の厚さを測定した。具体的には、TEM撮影像中で、EELSを用いてシェル層に含まれる元素(例えば、窒素元素)のマッピングを行った。
(耐スリーブ付着性、耐ドラム付着性、耐スペント性)
現像剤用キャリア(FS−C5200DN用キャリア)と試料(トナー)とを、ボールミルを用いて30分間混合して、トナー含有量10質量%の2成分現像剤を調製した。そして、得られた2成分現像剤を用いて画像を形成して、トナーの耐スリーブ付着性、耐ドラム付着性、及び耐スペント性を評価した。評価機としては、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「FS−C5200DN」の定着器を取り外したカラープリンターを用いた。上述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、評価機のトナーコンテナに試料(トナー)を投入した。
上記評価機を用いて、常温常湿度環境で、印字率10%の連続印刷を10万枚の紙(A4サイズ普通紙)に対して行った。その後、紙(印刷用紙)に、トナー載り量0.5mg/cm2の条件で、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、90g/m2)に未定着のソリッド画像を形成した。その後、評価機の現像スリーブ及び感光体ドラムの各々の表面と、評価用紙上のソリッド画像とを目視で観察し、以下の基準で試料(トナー)の耐スリーブ付着性及び耐ドラム付着性を評価した。
耐スリーブ付着性の評価基準は以下のとおりであった。
○(良い):現像スリーブの表面にトナーによる着色が観察されず、ソリッド画像が良好に形成されていた。
△(普通):現像スリーブの表面にトナーによる着色が若干観察されたが、ソリッド画像が良好に形成されていた。
×(悪い):現像スリーブの表面にトナーによる着色が観察され、ソリッド画像に画像欠陥(例えば、画像ムラ)が生じていた。
耐ドラム付着性の評価基準は以下のとおりであった。なお、ダッシュマークは、トナーが感光体ドラムの表面に付着することに起因して生じ得る画像欠陥である。
○(良い):感光体ドラムの表面にトナーによる着色が観察されず、ソリッド画像にダッシュマークが観察されなかった。
△(普通):感光体ドラムの表面にトナーによる着色が観察されたが、ソリッド画像にダッシュマークが観察されなかった。
×(悪い):感光体ドラムの表面にトナーによる着色が観察され、ソリッド画像にダッシュマークが観察された。
また、上述の画像形成後、上記評価機から2成分現像剤を取り出し、795メッシュの網を用いて2成分現像剤からトナーを吸引除去し、キャリアを抽出した。続けて、得られたキャリアを、固体炭素分析装置(株式会社堀場製作所製「EMIA−110」)の燃焼ボードに載置し、1400℃で燃焼させた。そして、固体炭素分析装置の赤外線分析計を用いて燃焼時に発生するガスを分析することで、キャリアに付着した炭素量(キャリア全質量に対する炭素量の割合)を算出した。炭素量の測定結果から、以下の基準で試料(トナー)の耐スペント性を評価した。なお、キャリアに付着した炭素は、トナー粒子に含まれる結着樹脂に由来すると考えられる。このため、上記のようにして得られる炭素量はスペント量の指標になる。
○(良い):炭素量が0.2質量%以下であった。
△(普通):炭素量が0.2質量%を超え、0.3質量%以下であった。
×(悪い):炭素量が0.3質量%を超えた。
(低温定着性)
現像剤用キャリア(FS−C5300DN用キャリア)と試料(トナー)とを、ボールミルを用いて混合して、トナー含有量10質量%の2成分現像剤を調製した。そして、得られた2成分現像剤を用いて画像を形成して、トナーの低温定着性を評価した。評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着器を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、評価機のトナーコンテナに試料(トナー)を投入した。
試料(トナー)の定着性を評価する場合には、上記評価機を用いて、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、90g/m2)に、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、大きさ25mm×25mm、印字率100%のソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を定着器に通した。定着温度の設定範囲は100℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着器の定着温度を100℃から徐々に上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。
定着できたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、画像を形成した面が内側となるように紙を半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。
最低定着温度が150℃未満であれば○(良い)と評価し、最低定着温度が150℃以上160℃未満であれば△(普通)と評価し、最低定着温度が160℃以上であれば×(悪い)と評価した。
[評価結果]
トナーA−1〜A−11、B−1〜B−11、及びC−1〜C−11の各々についての評価結果は以下のとおりである。表4〜表6に、耐スリーブ付着性、耐ドラム付着性、耐スペント性、及び低温定着性の評価結果を示す。なお、シェル層の厚さ及び破壊点の数の評価結果は、表1〜表3に示されている。
Figure 0006248867
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トナーA−3〜A−5、A−7、A−8、A−10、A−11、B−3、B−4、B−8、B−10、B−11、C−4〜C−8、C−10、及びC−11(実施例1〜19に係るトナー)はそれぞれ、前述の構成(1)〜(3)を有していた。詳しくは、実施例1〜19に係るトナーではそれぞれ、コアが、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂を含有していた。また、トナーA−3〜A−5、A−7、A−8、A−10、A−11、B−3、B−4、B−8、B−10、及びB−11(実施例1〜12に係るトナー)ではそれぞれ、シェル層が、気泡及び粒子の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂から実質的に構成され、シェル層の厚さは1nm以上30nm以下であり、シェル層の500nm角あたりに存在する気泡と粒子との総数が5個以上50個以下であった。また、トナーC−4〜C−8、C−10、及びC−11(実施例13〜19に係るトナー)ではそれぞれ、シェル層を構成する樹脂が、熱可塑性樹脂に由来する単位と熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含有し、シェル層の厚さは20nm以上45nm以下であり、シェル層の500nm角あたりに存在する気泡と粒子との総数が8個以上56個以下であった。表4〜表6に示されるように、実施例1〜19に係るトナーは、環境にやさしい植物由来の材料(植物性バイオマス)を用いて製造することができて、耐付着性及び低温定着性に優れていた。
本発明に係るトナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。

Claims (3)

  1. 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
    前記コアは、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂を含有し、
    前記シェル層は、気泡を含む熱硬化性樹脂、又は気泡と粒子を含む熱硬化性樹脂から実質的に構成され、
    前記シェル層の厚さは1nm以上30nm以下であり、
    前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡の総数、又は前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡と前記粒子との総数が5個以上50個以下である、トナー。
  2. 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有し、
    前記コアは、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含むポリエステル樹脂を含有し、
    前記シェル層は、気泡を含む樹脂、又は気泡と粒子を含む樹脂から実質的に構成され、
    前記シェル層を構成する前記樹脂は、熱可塑性樹脂に由来する単位と熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位とを含有し、
    前記シェル層において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は、前記熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに由来する単位で架橋され、
    前記シェル層の厚さは20nm以上45nm以下であり、
    前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡の総数、又は前記シェル層の500nm角あたりに存在する前記気泡と前記粒子との総数が8個以上56個以下である、トナー。
  3. 前記粒子は、スチレンとブチルアクリレートとの共重合体から構成される、請求項1又は2に記載のトナー。
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