JP5800864B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
前記トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナーコア粒子と前記シェル層との界面に、
(1)トナーの逆の帯電性を有する、又は
(2)体積抵抗率が、前記結着樹脂の体積抵抗率、及び前記シェル層の体積抵抗率より低い、微粒子が存在する、静電潜像現像用トナーに関する。
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。後述するように、本発明のトナーでは、熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂のモノマーとの反応により生成する樹脂からなるシェル層で、トナーコア粒子が被覆されている。このため、結着樹脂としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような官能基を持つ樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を持つ樹脂がより好ましい。このような樹脂が有する水酸基のような官能基は、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと反応して化学的に結合する。従って、このような結着樹脂を用いてトナーを製造すると、シェル層がトナーコア粒子に強固に結合しているトナーを調製できる。
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(%)=(X/107.5)×100 (1)
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tmr)の測定を行う。測定試料を高架式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tmr)を測定する。高架式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tmr)を読み取る。
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコア粒子に電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコア粒子には、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコア粒子を用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
本発明のトナーでは、トナーコア粒子とシェル層との界面に、トナーの逆の帯電性を有する微粒子、又は所定の体積抵抗率を有する微粒子が存在する。この場合、連続して画像を形成する際に、現像器内でトナー粒子が長期間にわたり撹拌される場合であっても、トナー粒子が過剰に帯電されることが抑制できる。微粒子の材質は、微粒子が上記の所定の電気的性質を備える限り特に限定されず、無機材料であっても有機材料であってもよい。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
樹脂に熱可塑性樹脂に由来する単位を導入するために用いられる熱可塑性樹脂は、メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基を持つ熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂モノマーが有する官能基との反応性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような活性水素原子を含む官能基が挙げられる。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。シェル層の形成が容易であることから、熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む樹脂や、カルボジイミド基、オキサゾリン基、及びグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
シェル層の厚さ=(熱硬化性樹脂のモノマーの量+熱可塑性樹脂の量)/トナーコア粒子の比表面積
本発明のトナーは、必要に応じてその表面に外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーの製造方法は、トナーコア粒子とシェル層との界面に、トナーの逆の帯電性を有する、又は所定の体積抵抗率を有する微粒子が存在するように、トナーコア粒子を前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。以下、本発明の静電潜像現像用トナーの好適な製造方法に関して、トナーコア粒子の製造方法と、微粒子を用いるトナーコア粒子の表面処理方法と、シェル層の形成方法とについて順に説明する。
トナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコア粒子の製造方法としては、凝集法と、溶融混錬法とが挙げられる。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、微粒子で表面処理されたトナーコア粒子とを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。この時、微粒子で表面処理されたトナーコア粒子の使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコア粒子の摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定する。このようにして測定される微粒子で表面処理されたトナーコア粒子の摩擦帯電量は、トナーコア粒子が正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコア粒子の帯電されやすさの指標となる。
溶融混練法は、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉のような任意成分とを混合した後、混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコア粒子を得る方法である。溶融混練法は、後述の凝集法と比較して、トナーコア粒子の調製が容易である利点を有する。一方で、溶融混練法は、粉砕工程を経てトナーコア粒子を得るがゆえに、球形度の高いトナーコア粒子を得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、本発明のトナーを製造する際、後述するシェル層の形成工程では、シェル層の硬化反応が進行する際にトナーコア粒子が表面張力によって収縮することで、やや軟化したトナーコア粒子が球形化される。従って、本発明のトナーを製造する場合、トナーコア粒子の球形度が幾分低くても大きなデメリットとはならない。以上より、本発明のトナーの製造に用いるトナーコア粒子の製造方法としては、溶融混練法が特に好ましい。
トナーコア粒子の調製方法として凝集法を用いる場合、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナーコア粒子を得やすい。凝集法を用いるトナーコア粒子の製造方法は、下記工程(i)及び(ii):
(i)トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を、水性媒体中で凝集させて凝集粒子を形成させる、凝集工程、及び
(ii)前記凝集粒子に含まれる成分を、水性媒体中で合一化させてトナーコア粒子を形成させる合一化工程、
を含むのが好ましい。
以下、(i)凝集工程、及び(ii)合一化工程について説明する。
凝集工程では、トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を用いる。トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子は、前述する結着樹脂と共に、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような成分を含む樹脂組成物の微粒子であってもよい。
結着樹脂、又は結着樹脂とトナーコア粒子が含んでいてもよい任意成分とを含む樹脂組成物を、ターボミルのような粉砕装置を用いて粗粉砕する。粗粉砕品を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた状態で、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含む水性分散液(結着樹脂微粒子分散液)が得られる。
以下、離型剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
以下、着色剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
(ii)合一化工程では、上記のようにして得られる凝集粒子を含む水性分散液を加熱し、凝集粒子に含まれる成分を合一化して、所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性分散液を得る。凝集粒子を含む水性分散液を加熱する際の温度としては、結着樹脂のガラス転移点(Tg)+10℃以上、結着樹脂の融点以下の温度であるのが好ましい。凝集粒子を含む水性分散液をこのような範囲内の温度に加熱することで、凝集粒子に含まれる成分の合一化を良好に進行させることができる。
洗浄工程では、上記方法で得られたトナーコア粒子を、水を用いて洗浄する。洗浄方法は特に限定されず、トナーコア粒子を含む水性分散液から、固液分離を用いてトナーコア粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナーコア粒子を含む水性分散液中のトナーコア粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナーコア粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナーコア粒子を乾燥する好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子では、トナーコア粒子とシェル層との界面にトナーの逆の帯電性を有する、又は所定の体積抵抗率を有する微粒子が存在する。このため、シェル層を形成する前に、トナーコア粒子は、その表面を微粒子で処理される。トナーの逆の帯電性を有する、又は所定の体積抵抗率を有する微粒子を用いて表面処理されたトナーコア粒子の表面に、さらに、シェル層が形成されることで、トナーコア粒子とシェル層との界面にトナーの逆の帯電性を有する、又は所定の体積抵抗率を有する微粒子が存在するトナー粒子を含むトナーを得ることができる。
トナーコア粒子を被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、熱可塑性樹脂とを反応させて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコア粒子に含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔結着樹脂の製造〕
以下の方法に従って、ガラス転移点53.8℃、軟化点100.5℃、数平均分子量1,295、分子量分布11.2、酸価16.8mgKOH/g、及び水酸基価22.8mgKOH/gを有するポリエステル樹脂を製造した。
〔トナーコア粒子の製造〕
製造例1で得た結着樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))5質量部と、離型剤(エステルワックス、WEP−3(日油株式会社製))5質量部とを、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。次いで、混合物を、2軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて溶融混練して混練物を得た。混練物を、機械式粉砕機(ターボミル(ターボ工業株式会社製))を用いて粉砕し、粉砕物を得た。粉砕物を、分級機(エルボージェット(日鉄鉱業株式会社製))を用いて分級し、体積平均粒子径(D50)が6.0μm、平均円形度が0.93のトナーコア粒子を得た。トナーコア粒子の体積平均粒子径は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて測定した。トナーコア粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いて測定した。
(トナーコア粒子の表面処理)
製造例2で得られたトナーコア粒子100質量部に対して、表1及び3に記載の種類の微粒子1質量部を用い、トナーコア粒子の表面を微粒子で表面処理した。トナーコア粒子の表面処理には、ヘンシェルミキサー 10型(日本コークス株式会社製)を用いた。ヘンシェルミキサーの処理槽内に、トナーコア粒子と微粒子とを投入し、回転数3000rpm、5分間の条件で処理して、微粒子で表面処理されたトナーコア粒子を得た。なお、下記の市販品を表1に記載のトナーコア粒子を表面処理する微粒子として用いた。
負帯電湿式シリカ:Nipsil E220(日本シリカ工業株式会社製)
負帯電乾式シリカ:アエロジル#200(日本アエロジル株式会社製)
酸化チタンA:アナターゼ型導電性酸化チタン(チタン工業株式会社製)、電気抵抗率107Ω・cm
酸化チタンB:ルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製)、電気抵抗率1010Ω・cm
正帯電乾式シリカ:REA200(日本アエロジル株式会社製)
正帯電樹脂ビーズ:FS−393(日本ペイント株式会社製)、帯電量300μC/g
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、標準キャリアの質量に対して7質量%のトナーコア粒子とを、ターブラミキサーを用いて30分間混合した。得られた混合物を測定試料として、標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコア粒子の摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定した。このようにして測定される摩擦帯電量は、トナーコア粒子が正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコア粒子の帯電されやすさの指標となる。
熱可塑性樹脂a:水溶性ポリアクリルアミド(BECKAMINE A−1(DIC株式会社製)、固形分濃度11質量%の水溶液)
熱可塑性樹脂b:アクリルアミド系共重合体(単量体組成:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/アクリルアミド/メタクリル酸−メトキシポリエチレングリコール=30/50/20(モル比率)、固形分濃度5質量%の水溶液、ガラス転移点(Tg):110℃、質量平均分子量:55,000)
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、メチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)2mLと、熱可塑性樹脂aの水溶液(固形分濃度11質量%の水溶性ポリアクリルアミドの水溶液)2mLとを添加した。次いで、フラスコ内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))1.0質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩によりトナーを篩別した。
熱可塑性樹脂aを、熱可塑性樹脂b(アクリルアミド系共重合体の固形分濃度5質量%の水溶液)に変えることの他は、実施例1と同様にして、実施例5のトナーを得た。
メチロールメラミン水溶液の使用量と、熱可塑性樹脂aの使用量とを、表2に記載の量に変えることの他は、実施例1と同様にして、実施例6及び7のトナーを得た。
メチロールメラミン水溶液の使用量を4mLに変えることと、熱可塑性樹脂を用いないこととの他は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
微粒子で表面処理されたトナーコア粒子に変えて、微粒子で表面処理されていないトナーコア粒子を用いることの他は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を以下の方法に従って撮影した。トナー粒子の断面のTEM写真から以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。測定した実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーが備えるシェル層の厚さを、表1〜3に記す。
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーについて、以下の方法に従って、帯電安定性、及び耐熱保存性を評価した。実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーの帯電安定性、及び耐熱保存性の評価結果を表1〜3に記す。
トナーと標準キャリアとが10分間混合された場合のトナーの摩擦帯電量(C10)と、トナーと標準キャリアと60分間混合された場合のトナーの摩擦帯電量(C60)とを測定した。C10は、ターブラミキサーを用いた混合時間を10分とする他は、上述の、微粒子で表面処理されたトナーコア粒子の、標準キャリアとの摩擦帯電量の測定方法と同様の方法で測定された。C60は、ターブラミキサーを用いた混合時間を60分とする他は、C10の測定方法と同様の方法で測定された。測定されたC10、及びC60から、帯電量変化率(C60/C10)を算出した。下記基準に従って、帯電安定性を評価した。
○:C60/C10が1.5以下。
×:C60/C10が1.5超。
トナー2gを、容量20mlのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度(%)を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○、及び△評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度(%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が20%以下。
△:凝集度が20%超、50%以下。
×:凝集度が50%超。
実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性を評価した。低温定着性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーの低温定着性の評価結果を、表1〜3に記す。
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(TASKalfa5550用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルにて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(FSC−5250DN(京セラドキュメントショリューションズ株式会社製))を用いた。製造例3で調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機は、線速を200mm/秒、及びトナー載り量を1.0mg/cm2に設定して、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。定着温度を100℃以上200℃以下の範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させて、ベタ画像がオフセットすることなく被記録媒体に定着できる最低温度である最低定着温度を測定した。低温定着性を、下記基準に従って評価した。
○:最低定着温度が160℃以下。
×:最低定着温度が160℃超。
・結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層と、からなるトナー粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
・トナーコア粒子とシェル層との界面に、
(1)トナーの逆の帯電性を有する、又は
(2)体積抵抗率が、結着樹脂の体積抵抗率、及びシェル層の体積抵抗率より低い、
微粒子が存在するトナーは、連続して画像を形成する場合のトナー粒子が過剰に帯電されることを抑制でき、耐熱保存性及び低温定着性に優れることが分かる。
Claims (5)
- 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナーコア粒子と前記シェル層との界面に、
(1)トナーの逆の帯電性を有する、又は
(2)体積抵抗率が、前記結着樹脂の体積抵抗率、及び前記シェル層の体積抵抗率より低い、微粒子が存在する静電潜像現像用トナー。 - 標準キャリアと、前記標準キャリアの質量に対して7質量%の、その表面に前記微粒子が付着している前記トナーコア粒子とを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する場合の、その表面に前記微粒子が付着している前記トナーコア粒子の摩擦帯電量が、−20μC/g以上−5μC/g以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記シェル層の厚さが1nm以上20nm以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記微粒子の体積抵抗率が105Ω・cm以上1010Ω・cm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記微粒子が負帯電性シリカである、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
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