JP7196697B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーに関する。
電子写真法による画像形成においては、トナー母粒子を備えるトナー粒子を含むトナーが用いられる。トナー母粒子は、例えば、結着樹脂及び磁性粉を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える(特許文献1又は2)。
特開2009-98257号公報 特開昭62-099763号公報
しかし、特許文献1又は2に記載のトナー母粒子を用いたトナーは、現像ローラー上に形成されるトナー層(トナーチェーン)の帯電量分布が広いため、十分な画像濃度が得られ難いことが本発明者の検討により判明した。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であり、ひいては画像濃度に優れるトナーを提供することである。
本発明のトナーは、トナー母粒子を備えるトナー粒子を含む。前記トナー母粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。前記トナーコアは、第1結着樹脂及び磁性粉を含有する。前記シェル層は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有する。
本発明のトナーは、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であり、ひいては画像濃度に優れる。
本発明の実施形態に係るトナーの一例を示す模式的断面図である。 cole-coleプロットの概要を示す図である。 トナー(T-1)~(T-5)のcole-coleプロットである。 トナー(T-6)~(T-7)及び(t-1)~(t-3)のcole-coleプロットである。 トナー(t-4)~(t-7)のcole-coleプロットである。 図3のcole-coleプロットの原点付近の拡大図である。 図4のcole-coleプロットの原点付近の拡大図である。 図5のcole-coleプロットの原点付近の拡大図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いて測定されたメディアン径である。
粉体の個数平均1次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:1次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均1次粒子径は、例えば100個の1次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均1次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均1次粒子径を指す。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、公知の帯電列などで確認できる。
軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121-2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、ガラス転移に起因する変曲点の温度(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点の温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。
ポリエステル樹脂の酸価は、JIS(日本工業規格)K0070-1992に準拠する方法で測定することができる。
樹脂の分子量(例えば、数平均分子量(Mn)又は質量平均分子量(Mw))の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
<トナー>
本発明の実施形態に係るトナーは、トナー母粒子を備えるトナー粒子を含む。トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。トナーコアは、第1結着樹脂及び磁性粉を含有する。シェル層は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有する。
本発明のトナーは、例えば正帯電性を有する磁性トナー(一成分現像剤)として、静電潜像の現像に好適に用いることができる。
図1は、本発明のトナーに含まれるトナー粒子1の一例を示す。図1に示すトナー粒子1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に付着した外添剤3とを備える。トナー母粒子2は、トナーコア2aと、トナーコア2aの表面を被覆するシェル層2bとを有する。但し、本発明のトナーの含むトナー粒子は、図1に示すトナー粒子1とは異なる構造であってもよい。例えば、トナー粒子は、外添剤を備えなくてもよい。以上、図1に基づいて本発明のトナーを説明した。
本発明のトナーは、上述の構成を備えることにより、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であり、ひいては画像濃度に優れる。その理由を以下に説明する。本発明のトナーを一成分現像剤として使用した場合、トナー粒子は磁気拘束力に支えられた薄いトナー層(トナーチェーン)を現像ローラー上に形成する。トナーチェーンにおけるトナー粒子は、現像ローラー表面との摩擦帯電により生じた電荷によって帯電する。具体的には、トナーチェーンにおけるトナー粒子は、まず現像ローラー側に存在するトナー粒子が現像ローラーとの摩擦帯電により帯電する。次に、現像ローラー側に存在する帯電したトナー粒子から、隣接するトナー粒子へと電荷が順次移動することにより、トナーチェーンにおける全てのトナー粒子が帯電する。磁性トナーでは、適切な画像濃度を得る観点から、現像ローラーとトナー粒子との間での電荷移動、及びトナー粒子間での電荷移動を促進し、トナーチェーンにおけるトナー粒子を満遍なく帯電させることが求められる。
本発明のトナーは、アジン化合物を含有するシェル層を備える。アジン化合物は、仕事関数が低く、かつトナー粒子の粒界の時定数を低下させる働きを有する。そのため、トナー粒子は、その表面(シェル層の表面)を介して電荷を効率的に移動させることができる。また、トナー粒子は、比較的多量の電荷を保持できるチタン酸ストロンチウムがシェル層に含まれるため、上述の電荷の移動が促進されている。これらの結果、本発明のトナーにより形成されるトナーチェーンは、全てのトナー粒子が満遍なく帯電し易い。そのため、本発明のトナーは、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であり、ひいては画像濃度に優れる。
ここで、トナーチェーンにおけるトナー粒子の電気特性について説明する。トナー粒子は、電気特性として抵抗成分Rと容量成分Cとを考慮すると、RC並列の電気回路として捉えることができる。そのため、トナー粒子は、ペレット化した上で複素インピーダンスを測定することで、抵抗成分R及び容量成分Cを算出できる。そして、サンプル(ペレット化したトナー粒子)の帯電速度を決める時定数は、「抵抗成分R×容量成分C(或いはサンプル条件を考慮した抵抗率ρ×誘電率ε)=τ」を算出することで求めることができる。
ここで、複素インピーダンス測定において、測定される抵抗成分RとリアクタンスXとの関係は、「cole-coleプロット」により表される。cole-coleプロットでは、高周波数側から低周波数側へのサンプルの電気応答に応じて容量性半円が得られる。容量性半円は、周波数に応じたサンプルの電気応答を示している。ペレット化したトナー粒子をサンプルとして用いた測定では、容量性半円は、通常、トナー粒子の内部の成分に由来する電気応答を示している。
図2に例示するように、cole-coleプロットでは、トナー粒子の内部の成分に由来する電気応答を示す容量性半円(以下、容量性半円Rと記載することがある)以外に、トナー粒子の界面に由来する電気応答を示す容量性半円(以下、容量性半円Rと記載することがある)が得られる場合がある。容量性半円Rは、容量性半円Rと比べ、cole-coleプロットの低周波数領域(図2においては右側の領域)に得られる。容量性半円Rから算出された抵抗率ρ[Ωm]と誘電率ε[F/m]との積である時定数τ[秒]と、容量性半円Rから算出された抵抗率ρ[Ωm]と誘電率ε[F/m]との積である時定数τ[秒]とが約100倍以上に相違する場合、容量性半円R及び容量性半円Rが区別できるようになる。
トナー粒子の界面に由来する電気応答は、トナーチェーン内でのトナー粒子の表面における電子移動に対応する。そのため、測定周波数域において、トナー粒子の界面に由来する電気応答が観測される場合(容量性半円Rが得られる場合)、サンプルの時定数が小さく、トナーチェーン内での電子移動が速いことを意味する。
以上から、本発明のトナーは、粉体電極間にペレット化された状態で複素インピーダンス測定してcole-coleプロットを形成した際に、高周波数域及び低周波数域に分離可能な容量性半円を有することが好ましい。また、本発明のトナーは、cole-coleプロットに基づいて抵抗成分R及び容量成分Cの並列回路として算出した場合に、抵抗率ρ[Ωm]、誘電率ε[F/m]、及びその積である時定数τ[秒]と、抵抗率ρ[Ωm]、誘電率ε[F/m]及びその積である時定数τ[秒]との関係が以下の関係式(1)~(3)を満足することがより好ましい。なお、複素インピーダンスは、実施例に記載の測定方法と同様の方法により測定するものとする。
τ(=ρ×ε)<1[秒]・・・(1)
50×τ<τ・・・(2)
ρ<1×1011[Ωm]・・・(3)
ここで、関係式(1)において、τ>1[秒]の場合、トナーにより現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電速度が遅くなり、トナーチェーンの帯電量分布が狭小になり難い傾向がある。
関係式(2)において、50×τ≧τの場合(即ち、容量性半円が1つしか存在しない場合、或いは容量性半円を明確に2つに分割できない場合)、トナー粒子の界面での電子移動が起こり難い傾向がある。そのため、トナーにより現像ローラー上に形成されるトナーチェーン内での帯電速度が遅くなり、トナーチェーンの帯電量分布が狭小になり難い傾向がある。
現像ローラーとトナー粒子との間での帯電速度は、両者の抵抗率が影響するため、ρは低い方が好ましい。関係式(3)において、ρ>1×1011[Ωm]の場合、トナーチェーンにおける現像ローラー側のトナー粒子の帯電速度が不十分となり、トナーチェーンの帯電量分布が狭小になり難い傾向がある。
[トナー母粒子]
トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。良好な画像を形成する観点から、トナー母粒子の体積中位径(D50)としては、4μm以上9μm以下が好ましい。
(トナーコア)
トナーコアは、第1結着樹脂及び磁性紛を含有する。トナーコアは、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤及び電荷制御剤の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。トナーコアの製造方法としては、粉砕法及び凝集法が挙げられ、粉砕法が好ましい。
(第1結着樹脂)
トナーコアは、例えば主成分として第1結着樹脂を含有する。低温定着性に優れたトナーを提供する観点から、トナーコアは、第1結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、第1結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル酸エステル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、第1結着樹脂として使用できる。第1結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
トナーコアにおける第1結着樹脂の含有割合としては、30質量%以上90質量%以下が好ましく、40質量%以上70質量%以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類、ビスフェノール類等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するための多価カルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、及び多価カルボン酸ハライド等)を使用してもよい。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、炭素原子数5以上30以下のα,ω-直鎖アルカンジオール(より具体的には、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,23-トリコサンジオール、1,25-ペンタコサンジオール等)、2-ペンテン-1,5-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4-ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、炭素原子数10以上35以下のα,ω-直鎖アルカンジカルボン酸(より具体的には、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,26-ヘキサコサンジカルボン酸、1,28-オクタコサンジカルボン酸等)、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
以下、第1結着樹脂として好適なポリエステル樹脂の物性を説明する。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、1,000以上5,000以下が好ましく、1,200以上1,800以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、250以上5,000以下が好ましく、300以上350以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価としては、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上25mgKOH/g以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)としては、50℃以上90℃以下が好ましく、65℃以上80℃以下がより好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)としては、40℃以上70℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。
(磁性粉)
磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、及びこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト及び二酸化クロム等)、及び強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。
良好な画像を形成する観点から、トナーコアにおける磁性粉の含有量としては、第1結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上120質量部以下が好ましく、50質量部以上90質量部以下がより好ましい。
磁性紛の個数平均1次粒子径としては、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.3μm以下がより好ましい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。トナー粒子の表面に金属イオンが溶出すると、トナー粒子同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナー粒子同士の固着を抑制できると考えられる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、第1結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤は、磁性粉であってもよい。すなわち、トナーコアは、磁性粉以外の着色剤を含まなくてもよい。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーに耐オフセット性を付与する目的で使用される。
離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス(例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(例えば、酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックス)、動物系ワックス(例えば、蜜蝋、ラノリン、及び鯨ろう)、鉱物系ワックス(例えば、オゾケライト、セレシン、及びペトロラタム)、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス(例えば、モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックス)、並びに脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックス(例えば、脱酸カルナバワックス)が挙げられる。離型剤としては、カルナバワックスが好ましい。
トナーに充分な耐オフセット性を付与する観点から、離型剤の含有量としては、第1結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーコアが離型剤を含有する場合、第1結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、トナーコアに相溶化剤を更に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、より優れた帯電安定性又は優れた帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
(シェル層)
シェル層は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有する。トナー母粒子におけるシェル層の質量としては、トナーコア100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、20質量部以上50質量部以下がより好ましい。
(第2結着樹脂)
第2結着樹脂としては、例えば、第1結着樹脂において例示した樹脂と同様の樹脂を用いることができる。第2結着樹脂としては、トナーの低温定着性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
以下、第2結着樹脂として好適なポリエステル樹脂の物性を説明する。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、1,000以上5,000以下が好ましく、1,500以上2,500以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、300以上800以下が好ましく、400以上500以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価としては、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上20mgKOH/g以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)としては、60℃以上100℃以下が好ましく、70℃以上90℃以下がより好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)としては、40℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
シェル層における第2結着樹脂の含有割合としては、20質量%以上75質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。
(アジン化合物)
アジン化合物とは、下記式で表される骨格構造(アジン骨格)を有する化合物である。下記式において、Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xとしては、窒素原子が好ましい。
Figure 0007196697000001
アジン化合物としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-71」、「同N-75」、「同N-77」、「N-79」、「N-100」等を用いることができる。
シェル層におけるアジン化合物の含有量としては、第2結着樹脂100質量部に対して、15質量部以上150質量部以下が好ましく、35質量部以上80質量部以下がより好ましい。シェル層におけるアジン化合物の含有量を15質量部以上150質量部以下とすることで、トナーにより現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電速度がより速くなる傾向がある。
(チタン酸ストロンチウム粒子)
チタン酸ストロンチウム粒子とは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)を主成分とする粒子である。チタン酸ストロンチウム粒子におけるチタン酸ストロンチウムの含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均1次粒子径としては、30nm以上300nm以下が好ましく、50nm以上100nm以下がより好ましい。
シェル層におけるチタン酸ストロンチウム粒子の含有量としては、第2結着樹脂100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下が好ましく、70質量部以上120質量部以下がより好ましい。シェル層におけるチタン酸ストロンチウム粒子の含有量を30質量部以上200質量部以下とすることで、トナーにより現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電速度がより速くなる傾向がある。
[外添剤]
トナー粒子は、トナー母粒子の表面に付着する外添剤を備えることが好ましい。外添剤は、外添剤粒子を含む。外添剤粒子としては、無機粒子が好ましい。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子(特に、乾式シリカ粒子)、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウム)の粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ粒子が好ましい。無機粒子の個数平均1次粒子径としては、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上40nm以下がより好ましい。
トナー粒子が外添剤を備える場合、その含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
<トナーの製造方法>
本発明のトナーは、例えば、トナーコアを準備するトナーコア準備工程と、トナーコアの表面を被覆するシェル層を形成することでトナー母粒子を得るシェル層形成工程とを備える製造方法により製造することができる。上述の製造方法は、必要に応じて、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程を更に備えてもよい。
[トナーコア準備工程]
本工程では、トナーコアを準備する。トナーコアの製造方法としては、特に限定されず、公知の粉砕法及び公知の凝集法を用いることができる。トナーコアの製造方法としては、粉砕法が好ましい。
[シェル層形成工程]
本工程では、トナーコアの表面を被覆するシェル層を形成する。シェル層を形成する方法としては、例えば、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有する粒子(以下、シェル層用材料と記載することがある)とトナーコアとを水系分散液中で反応させる方法が挙げられる。
シェル層用材料は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を溶融混練した後に混練物を粉砕することで得ることができる。混練物を粉砕する方法としては、例えば、公知のスクリーン式中砕機及び微粉砕機等により混練物を粉砕した後、得られた粉砕物を更にビーズミル等で粉砕する方法が挙げられる。ビーズミルでの粉砕は、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)及びトリエタノールアミン等を含む水系媒体中で行うことが好ましい。
シェル層用材料及びトナーコアを水系分散液中で反応させる際の反応条件としては、例えば、反応温度50℃以上90℃以下、反応時間30分以上5時間以下、pH3以上5以下とすることができる。得られたトナー母粒子は、必要に応じて洗浄及び乾燥を行うとよい。
[外添工程]
本工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。これにより、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子が得られる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子及び外添剤をミキサー等で攪拌する方法が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<トナーの製造>
以下の方法により、実施例及び比較例のトナーを製造した。まず、各トナーの製造に用いた材料について説明する。
(添加剤)
添加剤(N-71):アジン化合物、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-71」
添加剤(N-77):アジン化合物、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-77」
添加剤(N-79):アジン化合物、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-79」
添加剤(N-100):アジン化合物、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-100」
添加剤(P-51):4級アンモニウム塩、オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P-51」
(無機粒子)
無機粒子(SW-350):チタン工業株式会社製「SW-350」、個数平均1次粒子径80nm
無機粒子(KA-30):チタン工業株式会社製「KA-30」、個数平均1次粒子径300nm
無機粒子(KA-20):チタン工業株式会社製「KA-20」、個数平均1次粒子径355nm
(結着樹脂)
ポリエステル樹脂1:花王株式会社製「ポリエステル樹脂KDC-65」、Mn1,429、Mw312、酸価22.5mgKOH/g、Tm72.3℃、Tg53.1℃
ポリエステル樹脂2:花王株式会社製「ポリエステル樹脂KMCH-4」、Mn1,882、Mw432、酸価13.4mgKOH/g、Tm80.1℃、Tg57.1℃
(トナーコアAの調製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に、トナーコア材料として、第1結着樹脂(ポリエステル樹脂1)2,240gと、磁性粉(戸田工業株式会社製「マグネタイトMRO-15A」、個数平均1次粒子径0.18μm)1,600gと、離型剤としてのカルナウバワックス(加藤洋行株式会社「特製カルナバ1号」)160gとを投入した。そして、FMミキサーの内容物を回転速度2,000rpmで5分間にわたって混合した。これにより、第1結着樹脂(100質量部)、磁性粉(71.4質量部)及び離型剤(7.1質量部)を含有するトナーコア材料の混合物を得た。
得られたトナーコア材料の混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度6kg/時、軸回転速度160rpm、かつ設定温度(シリンダー温度)100℃の条件で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した。冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、設定粒子径2mm以下の条件で粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルTA型」)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。このようにして、体積中位径(D50)8μmのトナーコアAを得た。
(トナーコアBの調製)
以下の点を変更した以外はトナーコアAの調製と同様の方法により、トナーコアBを調製した。トナーコアBの調製では、トナーコア材料として、第1結着樹脂(ポリエステル樹脂1)1,640g(100質量部)と、磁性粉(戸田工業株式会社製「マグネタイトMRO-15A」、個数平均1次粒子径0.18μm)1,600g(97.6質量部)と、カルナウバワックス(加藤洋行株式会社「特製カルナバ1号」)160g(9.8質量部)と、アジン化合物としての添加剤(N-71)200g(12.2質量部)と、チタン酸ストロンチウム粒子としての無機粒子(SW-350)400g(24.4質量部)とを用いた。
[実施例1]
(シェル層用材料の調製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10C」)に、アジン化合物である添加剤(N-71)300gと、チタン酸ストロンチウム粒子である無機粒子(SW-350)600gと、第2結着樹脂(ポリエステル樹脂2)600gとを投入した。そして、FMミキサーの内容物を回転速度2,000rpmで5分間にわたって混合した。これにより、第2結着樹脂100質量部、アジン化合物50質量部及びチタン酸ストロンチウム粒子100質量部を含有するシェル層用混合物を得た。
得られたシェル層用混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度6kg/時、軸回転速度160rpm、かつ設定温度(シリンダー温度)130℃の条件で溶融混練した。得られた混練物を冷却した。冷却された混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて、設定粒子径2mm以下の条件で粗粉砕した。続いて、混練物の粗粉砕品を粉砕機(東京アトマイザー製造株式会社製「ミルスターダムMSD-LB型」)を用いて、先端周速度100m/秒、処理量7.2kg/時の条件で粉砕し、混練物の中粉砕品を得た。
次に、容量2Lのアルミナセラミックス製容器を備える卓上サンドミル(株式会社林商店製)を準備した。上述の混練物の中粉砕品150gと、濃度10質量%のアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液15gと、蒸留水335gとを、卓上サンドミルの容器に投入した。続けて、卓上サンドミルの容器内容物の温度を50℃に保ちつつ、超音波洗浄装置(シャープ株式会社製「UT-106」、高周波出力:最大100W、発振周波数:37kHz)を用いて、容器内容物に5分間超音波照射を行った。これにより、卓上サンドミルの容器内に上述の混練物の中粉砕品を充分に分散させた。
次に、卓上サンドミルの容器内に、直径1mmのジルコニアビーズ1,500gを投入した。そして、卓上サンドミルに設けられた3枚のアルミナセラミック製ディスクを回転させることで粉砕処理を行った。粉砕処理条件は、温度53℃、回転速度2,160rpm、処理時間180分間とした。その後、卓上サンドミルの容器内に、トリエタノールアミン17.8gを添加した。そして、卓上サンドミルに設けられた3枚のアルミナセラミック製ディスクを回転させることで粉砕処理を再度行った。粉砕処理条件は、温度53℃、回転速度2,160rpm、処理時間60分間とした。その後、卓上サンドミルの容器の内容物について、開口径0.5mmの篩を用いてジルコニアビーズを除去し、これをシェル層用材料とした。
(シェル層形成処理)
反応容器(2Lの三口フラスコ)に、シェル層用材料500g(固形分144.8g)と、イオン交換水400mLとを投入した後、トナーコアA(450g)を更に投入した。反応容器の内容物に1N塩酸を添加し、pHを4に調整した。その後、反応容器の内容物を回転速度200rpmで1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物について、回転速度100rpmで攪拌しながら、1℃/分の昇温速度で70℃まで昇温させた。昇温後、反応容器の内容物を70℃に維持しつつ、回転速度100rpmで2時間攪拌した。これにより、トナーコアAの表面にシェル層を形成した。その後、反応容器の内容物に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した。次いで、反応容器の内容物を常温まで冷却することにより、トナー母粒子を含むトナー母粒子分散液を得た。実施例1のトナーの製造において、トナーコア100質量部に対するシェル層用材料の固形分の質量は、32.2質量部であった。
(洗浄処理)
得られたトナー母粒子分散液を、ブフナー漏斗を用いて吸引濾過した。得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再度分散させた。得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いて、吸引濾過した。このような固液分離処理を5回にわたって繰り返し行った。これにより、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。
(乾燥処理)
得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をエタノール水溶液(濃度:50質量%)に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。このようにして、粉体状のトナー母粒子を得た。
(外添処理)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10C」)を用いて、トナー母粒子200g(100質量部)と、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、個数平均1次粒子径20nm)2g(1質量部)とを5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(乾式シリカ粒子)が付着した。混合後の粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。これにより、実施例1のトナー(T-1)を得た。
[実施例2~7及び比較例1~7]
以下の点を変更した以外は、実施例1のトナー(T-1)の製造と同様の方法により、実施例2~7及び比較例1~7のトナー(T-2)~(T-7)及び(t-1)~(t-7)を製造した。
トナー(T-2)~(T-7)及び(t-2)~(t-7)の製造では、シェル層用混合物の調製において、第2結着樹脂、添加剤(アジン化合物又は4級アンモニウム塩)及び無機粒子(チタン酸ストロンチウム粒子又は酸化チタン粒子)の種類及び使用量を下記表1に示す通りに変更した。なお、下記表1において、「-」は、該当する成分を使用していないことを示す。
また、比較例1のトナー(t-1)の製造では、シェル層形成処理を行わず、外添処理においてトナー母粒子の代わりにトナーコアBを200g用いた。比較例1のトナー(t-1)は、トナーコアB(100質量部)と、トナーコアBの表面に付着する外添剤(乾式シリカ粒子)(1質量部)とを備えていた。
実施例2、3及び5のトナー(T-2)、(T-3)及び(T-5)の製造では、シェル層用材料の調製において、卓上サンドミルに投入する材料の使用量を以下の通りに変更した。まず、混練物の中粉砕品の使用量を300gに変更し、アニオン界面活性剤水溶液の使用量を30gに変更し、蒸留水の使用量を670gに変更し、ジルコニアビーズの使用量を2,000gに変更し、トリエタノールアミンの使用量を26.7gに変更した。更に、実施例2、3及び5のトナー(T-2)、(T-3)及び(T-5)の製造では、シェル層形成処理において、シェル層用材料の使用量を1,000g(固形分:292.2g)に変更した。実施例2、3及び5のトナー(T-2)、(T-3)及び(T-5)の製造において、トナーコア100質量部に対するシェル層用材料の固形分の質量は、64.9質量部であった。各トナーの製造におけるシェル層用材料の固形分とトナーコアとの使用量を下記表2に示す。
Figure 0007196697000002
Figure 0007196697000003
[cole-coleプロット]
実施例1~7及び比較例1~7のトナー(T-1)~(T-7)及び(t-1)~(t-7)について、以下の方法により複素インピーダンスを測定した。測定結果に基づいて作成したcole-coleプロットを図3~図5に示す。また、図3~図5のcole-coleプロットの原点付近の拡大図を図6~図8に示す。
複素インピーダンスの測定では、安藤電気株式会社製「粉体用電極SE-43形」(断面積132.73mm)の電極間にサンプル(トナー(T-1)~(T-7)及び(t-1)~(t-7)のうち何れか)1gを挟んだ。そして、40kgf/cmの荷重をサンプルに印加することにより、サンプルを約2mm厚のペレットに成形した。1296型誘電体インターフェイス(Solartron社製)を、周波数応答解析装置(Solartron社製「1260型周波数応答解析装置(FRA)」)に接続した。この周波数応答解析装置を上述の電極の両端に接続して複素インピーダンスを測定した。
複素インピーダンスの測定条件は、電圧1Vpp(実効電圧0.353mV)、周波数1MHz-10mHz[5pt/decade]、測定回数3cycleとした。
複素インピーダンスの測定データは、パソコンから測定用ソフトウェア「SMaRT(Solartron社製)」を介して測定条件を制御して取り込んだ。取り込まれたデータは、解析用ソフトウェア「ZView2(Solartron社製)」を用い、RC並列回路としてフィッティングして高周波数側の抵抗率ρ[Ωm]、誘電率ε[F/m]及びその積である時定数τ[秒]と、低周波数側の抵抗率ρ[Ωm]、誘電率ε[F/m]及びその積である時定数τ[秒]とを算出した。算出結果を下記表3に示す。下記表3において、「-」は、高周波数側の容量性半円及び低周波数側の容量性半円が区別できなかったことを示す。
Figure 0007196697000004
<評価>
以下の方法により、各トナーの画像濃度と、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布とを評価した。評価は、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度80%RH)にて行った。評価結果を下記表4に示す。
評価機として、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)FS-P3060DN」)を用いた。評価機のブラック用現像装置に評価対象(トナー(T-1)~(T~7)及び(t-1)~(t-7)の何れか)を投入した。また、複合機のブラック用トナーコンテナに、トナー(評価対象のトナーと同一のトナー)を投入した。
評価機を用いて、印字率1%の文字原稿を5,000枚の印刷用紙に両面モードで印刷した。その後、ソリッド画像を含む評価用画像を1枚の印刷用紙に印刷した。反射濃度計(有限会社東京電色製「TC-6D」)を用い、評価用画像が印刷された印刷物のソリッド画像の画像濃度(ID)を測定した。画像濃度は、1.20以上の場合を「良好(A)」、1.20未満の場合を「不良(B)」と評価した。
その後、評価機から現像装置を取り出した。Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS-1」)を用い、現像装置の現像ローラーにおいて現像ニップ部に相当する領域のトナーチェーンからトナーを吸引してその帯電量[μC/g]を測定した。具体的には、まず現像ローラーの表面から500μmの距離にQ/mメーターのノズルを配設し、トナーチェーンからトナーを吸引してその吸引量及び帯電量を測定した(測定1回目)。次に、Q/mメーターのノズルを現像ローラーの表面に50μm近づけた後(現像ローラーの表面からの距離:450μm)、トナーチェーンからトナーを吸引してその吸引量及び帯電量を測定した(測定2回目)。このように、Q/mメーターのノズルを現像ローラーの表面に50μm近づけた後にトナーチェーンからトナーを吸引してその吸引量及び帯電量を測定するという操作を、現像ローラーの表面とQ/mメーターのノズルとの距離が100μmとなるまで繰り返した(測定は合計9回)。これにより、トナーチェーンの全てのトナーをQ/mメーターにより吸引した。
上述の測定結果に基づき、9回の測定におけるトナーの総帯電量を、トナーチェーンの全層における帯電量A[μC/g]とした。また、トナーチェーンにおける現像ローラーの表面から1g/cmまでの領域をトナーチェーンの最下層と見做した。そして、トナーチェーンの最下層に相当する領域のトナーの帯電量を算出し、これをトナーチェーンの最下層における帯電量B[μC/g]とした。トナーチェーンの全層における帯電量A[μC/g]に対するトナーチェーンの最下層における帯電量B[μC/g]の比(B/A)を算出し、その値が小さいほど現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であると判断した。比(B/A)は、3.60以下である場合を「良好(A)」と評価し、3.60超である場合を「不良(B)」と評価した。
Figure 0007196697000005
実施例1~7のトナー(T-1)~(T-7)は、各々、トナー母粒子を備えるトナー粒子を含んでいた。トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備えていた。トナーコアは、第1結着樹脂及び磁性粉を含有していた。シェル層は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有していた。表4に示すように、実施例1~7のトナー(T-1)~(T-7)は、各々、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布が狭小であり、ひいては画像濃度に優れていた。
一方、比較例1~7のトナー(t-1)~(t-7)は、各々、上述の構成を備えていなかった。詳しくは、比較例1のトナー(t-1)は、シェル層を備えず、代わりにトナーコアにアジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子が内添されていた。比較例2~4のトナー(t-2)~(t-4)は、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子のうち少なくとも一方がシェル層に含まれていなかった。比較例5のトナー(t-5)は、アジン化合物の代わりに4級アンモニウム塩化合物がシェル層に添加されていた。比較例6~7のトナー(t-6)~(t-7)は、チタン酸ストロンチウム粒子の代わりに酸化チタン粒子がシェル層に添加されていた。これらの結果、比較例1~7のトナー(t-1)~(t-7)は、各々、現像ローラー上に形成されるトナーチェーンの帯電量分布及び画像濃度のうち少なくとも一方が不良であった。
本発明のトナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
1 トナー粒子
2 トナー母粒子
2a トナーコア
2b シェル層
3 外添剤

Claims (6)

  1. トナー母粒子を備えるトナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー母粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備え、
    前記トナーコアは、第1結着樹脂及び磁性粉を含有し、
    前記シェル層は、第2結着樹脂、アジン化合物及びチタン酸ストロンチウム粒子を含有する、トナー。
  2. 前記トナー母粒子における前記シェル層の質量は、前記トナーコア100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シェル層における前記アジン化合物の含有量は、前記第2結着樹脂100質量部に対して、15質量部以上150質量部以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記シェル層における前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量は、前記第2結着樹脂100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下である、請求項1~3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記第2結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含有する、請求項1~4の何れか一項に記載のトナー。
  6. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均1次粒子径は、30nm以上300nm以下である、請求項1~5の何れか一項に記載のトナー。
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