JP2022148137A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、酸化チタン粒子の含有割合が低く、かつ流動性及び画質安定性に優れるトナーの提供を目的とする。【解決手段】本発明のトナーは、トナー粒子を含む。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える。前記外添剤は、特定外添剤粒子を含む。前記特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、前記多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含む。前記多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下である。前記トナー母粒子100質量部に対する前記特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満である。前記多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)【選択図】図1

Description

本発明は、トナー及びトナーの製造方法に関する。
電子写真法による画像形成においては、トナー粒子を含むトナーが用いられる。トナー粒子は、例えば、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える。外添剤としては、例えば、酸化チタン粒子が用いられる。酸化チタン粒子は、例えば、電子写真感光体の表面を研磨する機能を発揮する。これにより、酸化チタン粒子を用いたトナーは、優れた画質安定性(連続印刷を行った際に、画質に優れる画像を形成し続けることができる性能)を発揮する。
一方、酸化チタン粒子は、IARC(国際がん研究機関)により作成される「発がん性のリスク情報のリスト」において、以前は「グループ3(人に対する発がん性については分類できない(不明である))」に分類されていたが、現在は「グループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)」に分類されている。その結果、酸化チタン粒子は、欧州を中心として使用が制限されつつある。例えば、欧州においては、酸化チタン粒子を1質量%以上含有するトナー粒子を含むトナーについて警告表記を行うことが要求されている。このような経緯から、トナー分野において、酸化チタン粒子の含有割合を低減する取り組みが行われている。酸化チタン粒子の含有割合が少ないトナーとして、例えば、酸化チタン粒子の代替としてチタン酸ストロンチウム粒子を用いたトナーが提案されている(特許文献1)。
特開2018-20919号
しかし、本発明者の検討により、特許文献1に記載のトナーは、流動性及び画質安定性が不十分であることが明らかとなった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化チタン粒子の含有割合が低く、かつ流動性及び画質安定性に優れるトナーと、トナーの製造方法とを提供することである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を含む。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える。前記外添剤は、特定外添剤粒子を含む。前記特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、前記多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含む。前記多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下である。前記トナー母粒子100質量部に対する前記特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満である。前記多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
本発明に係るトナーの製造方法は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、前記外添剤は、特定外添剤粒子を含み、前記特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、前記多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含み、前記多孔質酸化チタン粒子を前記脂肪酸金属塩でコーティングすることで前記特定外添剤粒子を調製する第1工程と、前記特定外添剤粒子を含む前記外添剤を前記トナー母粒子の表面に付着させることで前記トナー粒子を調製する第2工程とを備える。前記第1工程において、前記多孔質酸化チタン粒子の使用量100質量部に対する前記脂肪酸金属塩の使用量は、0.3質量部以上7.0質量部以下である。前記多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下である。前記トナー母粒子100質量部に対する前記特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満である。前記多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
本発明に係るトナー及びトナーの製造方法は、酸化チタン粒子の含有割合が低く、かつ流動性及び画質安定性に優れるトナーを提供できる。
本発明に係るトナーが含むトナー粒子の一例を示す模式的断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。キャリアは、キャリア粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の体積中位径D50は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製「LA-920V2」)を用いて測定した、体積基準のメディアン径である。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電極性トナー用標準キャリア:P-01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定し、摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
<第1実施形態:トナー>
本発明の第1実施形態に係るトナーは、トナー粒子を含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える。外添剤は、特定外添剤粒子を含む。特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含む。多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下である。トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満である。多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
ここで、多孔質酸化チタン粒子とは、表面又は内部に多くの細孔又は空隙を有する酸化チタン粒子を示す。多孔質酸化チタン粒子は、内部が密に詰まっていないため、多孔質ではない酸化チタン粒子よりも密度が低い。また、多孔質酸化チタン粒子は、複雑な構造を有するため、多孔質ではない酸化チタン粒子と比較し、表面に複雑な凹凸を有する。多孔質酸化チタン粒子は、これらの特徴から、少量(低質量)であっても優れた研磨作用を発揮する傾向がある。本明細書においては、多孔質酸化チタン粒子の構造の複雑さ(細孔又は空隙の多さ、及び細孔又は空隙の微細さ)について、以下の数式(i)で求められる値iで表現している。値iが大きいほど、多孔質酸化チタン粒子の構造が複雑であることを示す。
値i=BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6・・・(i)
本発明のトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本発明のトナーは、1成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーは、混合装置(例えば、ボウルミル)を用いてキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーは、1成分現像剤として使用する場合、現像装置内において現像スリーブ又はトナー帯電部材と摩擦することで例えば正に帯電する。トナー帯電部材としては、例えば、ドクターブレードが挙げられる。本発明のトナーは、2成分現像剤を構成する場合、現像装置内においてキャリアと摩擦することで例えば正に帯電する。以下、トナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のトナーに含まれるトナー粒子の一例であるトナー粒子1を示す。図1に示すトナー粒子1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に付着した外添剤とを備える。外添剤は、特定外添剤粒子3を含む。
但し、本発明のトナーの含むトナー粒子は、図1に示すトナー粒子1とは異なる構造であってもよい。具体的には、外添剤は、特定外添剤粒子以外の他の外添剤粒子を更に含んでいてもよい。トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層とを含むカプセルトナー粒子であってもよい。以上、本発明のトナーに含まれるトナー粒子の詳細について、図1を基に説明した。
本発明のトナーは、上述の構成を備えることにより、酸化チタン粒子の含有割合が低く、かつ流動性及び画質安定性に優れる。その理由を以下に説明する。特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子を含む。多孔質酸化チタン粒子は、上述の通り、少量であっても優れた研磨作用を発揮する傾向がある。特に、数式(I)を満たす多孔質酸化チタン粒子は、比較的複雑な構造を有し、極めて優れた研磨作用を発揮する。そのため、多孔質酸化チタン粒子を基体とする特定外添剤粒子は、電子写真感光体の表面を効果的に研磨することができる。これにより、本発明のトナーは、優れた画質安定性を発揮できる。また、本発明のトナーは、トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量が0.1質量部以上1.0質量部未満であるため、酸化チタン粒子の含有割合(より詳しくは、多孔質酸化チタン粒子の含有割合)が1.0質量%未満となる。そのため、本発明のトナーは、欧州においても警告表示が不要である。
一方、多孔質酸化チタン粒子は、表面に凹凸を有するため、トナー粒子の摩擦係数を増大させ、トナーの流動性を低下させる傾向がある。これに対して、特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩を含む。脂肪酸金属塩は、特定外添剤粒子の表面に適度な潤滑性を付与する。これにより、特定外添剤粒子は、トナー粒子の摩擦係数を過度に増大させない。そのため、本発明のトナーは、流動性に優れる。
また、特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子の表面に凹凸が存在することにより、脂肪酸金属塩及び多孔質酸化チタン粒子が強く密着している。そのため、本発明のトナーは、多孔質酸化チタン粒子から脂肪酸金属塩が脱離し難い。更に、多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下と比較的微細な粒子である。このような比較的微細な粒子は、トナー母粒子から脱離し難い。以上から、本発明のトナーは、脂肪酸金属塩が多孔質酸化チタン粒子から脱離することに起因する異常画像、及び特定外添剤粒子がトナー母粒子から脱離することに起因する異常画像が発生し難い。これらにより、本発明のトナーは、優れた流動性及び画質安定性を両立している。
以下、本発明のトナーの詳細を更に説明する。なお、以下に記載する各成分については、特に断りのない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(特定外添剤粒子)
特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含む。特定外添剤粒子は、他の成分を更に含んでもよいが、多孔質酸化チタン粒子及び脂肪酸金属塩のみを含むことが好ましい。詳しくは、特定外添剤粒子において、多孔質酸化チタン粒子及び脂肪酸金属塩の合計含有割合としては、95質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
特定外添剤粒子は、例えば、後述する本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法において説明する第1工程により調製できる。
本発明のトナーにおいて、トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満であり、0.4質量部以上1.0質量部未満が好ましい。特定外添剤粒子の含有量を0.1質量部以上とすることで、本発明のトナーは、優れた画質安定性を発揮できる。特定外添剤粒子の含有量を1.0質量部未満とすることで、本発明のトナーは、酸化チタン粒子の含有割合が1.0質量%未満となり、欧州において警告表示が不要となる。
(多孔質酸化チタン粒子)
多孔質酸化チタン粒子は、特定外添剤粒子の基体である。多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積及び体積中位径D50は、実施例に記載の方法、又はこれに準拠した方法により測定できる。なお、多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積は、特定外添剤粒子に対して脂肪酸金属塩を除去する処理(例えば、洗浄処理)を行い、単離された多孔質酸化チタン粒子を試料として測定される。
下記数式(i)で求められる値iは、多孔質酸化チタン粒子の構造の複雑さを示す。多孔質酸化チタン粒子の値iとしては、数式(I)が示すように、0.8cm3/g超3.4cm3/g未満であり、1.0cm3/g以上2.0cm3/g以下が好ましい。多孔質酸化チタン粒子の値iを0.8cm3/g超とすることで、本発明のトナーの画質安定性を向上できる。多孔質酸化チタン粒子の値iを3.4cm3/g未満とすることで、本発明のトナーの流動性を向上できる。
値i=BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6・・・(i)
参考として、真球の値iは、0.23cm3/g程度である。多孔質ではない酸化チタン粒子の値iは、0.20cm3/g~0.50cm3/g程度である。
多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積としては、23m2/g以上120m2/g以下が好ましく、30m2/g以上50m2/g以下がより好ましい。多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積を23m2/g以上120m2/g以下とすることで、多孔質酸化チタン粒子の値iを上述の範囲に調整し易くなる。
多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、特定外添剤粒子の体積中位径D50と実質的に同一である。脂肪酸金属塩の存在は、特定外添剤粒子の体積中位径D50にほとんど影響を与えない。多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50としては、0.10μm以上0.50μm以下であり、0.15μm以上0.30μm以下が好ましい。多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50を0.10μm以上0.50μm以下とすることで、特定外添剤粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。その結果、本発明のトナーは、優れた画質安定性を発揮できる。
(多孔質酸化チタン粒子の調製)
多孔質酸化チタン粒子の調製方法としては、例えば、以下の調製方法A、水熱法、ゾル-ゲル法、及び自己集合(自己組織化)法が挙げられる。また、多孔質酸化チタン粒子は、多孔質ではない酸化チタン粒子に対して多孔質化処理(例えば、エッチング処理)を行うことでも調製できる。
調製方法Aでは、チタンと希土類元素に属する特定金属との複合酸化物(チタン-特定金属複合酸化物)を含む粒子を調整した後に、酸処理によって上述の粒子から特定金属を除去することで多孔質酸化チタン粒子を調製する。具体的には、チタンアルコキシド及び水溶性有機溶媒を含有する第1溶液に、弱酸と弱塩基との塩化合物、弱酸と強塩基との塩化合物、又は弱塩基と強酸との塩化合物を含む特定塩化合物、水及び特定金属の塩化物を添加(添加処理)する。得られた混合液では、チタン-特定金属複合酸化物を含む沈殿物が生じる。次いで、上述の沈殿物を回収した後に焼成処理することにより、チタン-特定金属複合酸化物を含む粒子を得ることができる。次いで、上述の粒子を酸溶液で酸処理することにより、多孔質酸化チタン粒子を得ることができる。
添加処理においては、特定塩化合物、水及び水溶性有機溶媒を含有する第2溶液と、特定金属の塩化物、水及び水溶性有機溶媒を含有する第3溶液とをあらかじめ用意し、第1溶液に第2溶液及び第3溶液を同時に添加するとよい。
添加処理においては、原料(特に、チタンアルコキシド及び特定金属の塩化物)の濃度を高くするほど、体積中位径D50が大きい多孔質酸化チタン粒子が得られる傾向がある。添加処理で得られた混合液において、チタンアルコキシドの濃度としては、0.1mol/L以上0.3mol/L以下が好ましい。添加処理で得られた混合液において、特定金属の塩化物の濃度としては、0.02mol/L以上0.10mol/L以下が好ましい。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド及びチタンブトキシドが挙げられ、チタンブトキシドが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール化合物(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)が挙げられ、メタノール又はブタノールが好ましい。
特定金属としては、ランタノイドが好ましく、ランタンがより好ましい。特定金属の塩化物としては、塩化ランタンが好ましい。
特定塩化合物としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウ及び酢酸ナトリウムが挙げられ、酢酸アンモニウムが好ましい。
調製方法Aでは、焼成処理における焼成温度を高くするほど、表面が滑らかな多孔質酸化チタン粒子(値iが小さい多孔質酸化チタン粒子)が得られる傾向がある。焼成処理における焼成温度としては、150℃以上500℃以下が好ましく、180℃以上250℃以下がより好ましい。
調製方法Aでは、焼成処理における焼成時間を長くするほど、体積中位径D50が大きい多孔質酸化チタン粒子が得られる傾向がある。焼成処理における焼成時間としては、70分以上360分以下が好ましく、100分以上150分以下がより好ましい。
調製方法Aでは、酸処理において、強い酸を含む酸溶液を用いるか、又は高濃度の酸溶液を用いることによって、構造が複雑な多孔質酸化チタン粒子(値iが大きい多孔質酸化チタン粒子)が得られる傾向がある。酸溶液が含む酸としては、例えば、塩酸、硫酸及び硝酸が挙げられ、塩酸が好ましい。酸溶液における酸濃度としては、0.5M以上4.0M以下が好ましく、0.7M以上1.5M以下がより好ましい。
(脂肪酸金属塩)
脂肪酸金属塩は、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する。脂肪酸金属塩のうち一部は、多孔質酸化チタン粒子の内部の細孔又は空隙に充填されていてもよい。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、高級脂肪酸(例えば、炭素原子数13以上25以下の脂肪酸)が好ましく、飽和高級脂肪酸がより好ましく、ステアリン酸が更に好ましい。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、マンガン及びニッケルが挙げられ、亜鉛、マグネシウム又はカルシウムが好ましい。脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムが好ましい。
(その他の外添剤粒子)
その他の外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(具体的には、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等)の粒子がより好ましく、シリカ粒子が更に好ましい。但し、その他の外添剤粒子として、脂肪酸金属塩(具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子、又は樹脂粒子を使用してもよい。
トナー粒子におけるその他の外添剤粒子の含有量としては、トナー母粒子からの脱離を抑制しながらその機能を十分に発揮させる観点から、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上15.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
(トナー母粒子)
トナー母粒子としては、特に限定されず、公知のトナーにおけるトナー母粒子を用いることができる。トナー母粒子は、例えば主成分として結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。トナー母粒子の製造方法としては、粉砕法及び凝集法が挙げられ、粉砕法が好ましい。
(結着樹脂)
低温定着性に優れたトナーを提供する観点から、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、オレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂)、ビニル樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、及びN-ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(例えば、スチレン-アクリル酸エステル樹脂、及びスチレン-ブタジエン樹脂)も、結着樹脂として使用できる。
トナー母粒子における結着樹脂の含有割合としては、60質量%以上95質量%以下が好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。
本発明のトナーの低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジオール化合物、及びビスフェノール化合物)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、及び多価カルボン酸ハライド)を使用してもよい。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ペンテン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4-ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシエチレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸と、イソフタル酸と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物と、エチレングリコールとの縮重合物が好ましい。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、本発明のトナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。本発明のトナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
トナー母粒子は、黒色着色剤、マゼンタ着色剤又はシアン着色剤を含むことが好ましい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、本発明のトナーに耐オフセット性を付与する目的で使用される。本発明のトナーに充分な耐オフセット性を付与させる観点から、離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス、及び脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体が挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスが挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン及び鯨ろうが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、及びペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス及びカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスとしては、例えば、脱酸カルナバワックスが挙げられる。離型剤としては、パラフィンワックスが好ましい。
トナー母粒子が離型剤を含有する場合、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、より優れた帯電安定性又は優れた帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。
<第2実施形態:トナーの製造方法>
本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、外添剤は、特定外添剤粒子を含み、特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含み、多孔質酸化チタン粒子を脂肪酸金属塩でコーティングすることで特定外添剤粒子を調製する第1工程と、特定外添剤粒子を含む外添剤をトナー母粒子の表面に付着させることでトナー粒子を調製する第2工程とを備える。第1工程において、多孔質酸化チタン粒子の使用量100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量は、0.3質量部以上7.0質量部以下である。多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下である。トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満である。多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
本発明のトナーの製造方法は、第1実施形態に係るトナーの製造方法として好適である。
[第1工程]
本工程では、多孔質酸化チタン粒子を脂肪酸金属塩でコーティングすることで特定外添剤粒子を調製する。多孔質酸化チタン粒子を脂肪酸金属塩でコーティングする方法としては、例えば、多孔質酸化チタン粒子及び脂肪酸金属塩を流動コーティング法によって混合する方法が挙げられる。
本工程において、多孔質酸化チタン粒子の使用量100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量は、0.3質量部以上7.0質量部以下であり、1.5質量部以上3.0質量部以下が好ましい。脂肪酸金属塩の使用量を0.3質量部以上とすることで、流動性に優れるトナーを得ることができる。脂肪酸金属塩の使用量を7.0質量部以下とすることで、得られるトナーにおいて、特定外添剤粒子から脂肪酸金属塩が脱離することに起因する異常画像の発生を抑制できる。
[第2工程]
本工程では、特定外添剤粒子を含む外添剤をトナー母粒子の表面に付着させることでトナー粒子を調製する。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子及び外添剤をミキサー等で攪拌する方法が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
[BET比表面積の測定]
実施例において、多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積は、「JIS(日本産業規格)Z8830:2001 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準拠し、窒素吸着によるBET法で測定した。測定には、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「Macsorb(登録商標)HM MODEL-1208」)を用いた。
[体積中位径D50の測定]
実施例において、多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-920V2」)を用いて測定した。測定においては、メタノール99.5質量部及び多孔質酸化チタン粒子0.5質量部を混合した後に10分間超音波処理(100kHz)することで調製した分散液(多孔質酸化チタン粒子の濃度:0.5質量%)を測定試料として用いた。
[特定外添剤粒子の調製]
以下の方法により、特定外添剤粒子(T-1)~(T-13)を調製した。
(特定外添剤粒子(T-1))
チタンブトキシド0.25molをブタノールに溶解させることにより、全量が500mLの第1溶液を調製した。次いで、酢酸アンモニウム0.25molと、精製水0.625molとをブタノールに溶解させることにより、全量が750mLの第2溶液を調製した。次いで、塩化ランタン0.05molと、精製水3.75molとをメタノールに溶解させることにより、全量が500mLの第3溶液を調製した。次いで、第1溶液を攪拌しながら、第2溶液及び第3溶液の全量を同時に添加して混合液を得た。次いで、オルトフタル酸を混合液に更に添加した。オルトフタル酸の添加量は、混合液におけるオルトフタル酸の濃度が0.5mol/Lとなる量とした。次いで、混合液をオートクレーブで0.2MPa、120℃にて1時間静置した。次いで、混合液を15000rpmで15分間の遠心分離を行い、沈殿物を回収した。次いで、回収した沈殿物を精製水で3回洗浄した後、90℃で1時間乾燥させた。次いで、乾燥後の沈殿物を200℃で2時間焼成処理し、粉体を得た。得られた粉体を1M塩酸1,000mL中に添加して攪拌(酸処理)した後、15000rpmで15分間遠心分離して粉体を回収した。これにより、多孔質酸化チタン粒子を得た。
得られた多孔質酸化チタン粒子は、BET比表面積が33m2/g、体積中位径D50が0.22μmであった。得られた多孔質酸化チタン粒子は、下記計算式(i)により算出される値iが1.2cm3/gであった。
値i=BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6・・・(i)
流動コーティング法により、上述の多孔質酸化チタン粒子を脂肪酸金属塩でコーティングした(第2実施形態の第1工程に相当)。詳しくは、転動流動層造粒・コーティング装置(パウレック社製「FD-MP-01」)を用いて、上述の多孔質酸化チタン粒子100質量部と、ステアリン酸亜鉛(日東化成工業株式会社製)2.0質量部とを混合した。混合においては、ローター回転数200rpm、給気温度80度、混合時間1時間とした。混合により得られた粒子を、特定外添剤粒子(T-1)とした。
(特定外添剤粒子(T-2)~(T-13))
各条件を下記表1及び2に示す通りに変更した以外は、特定外添剤粒子(T-1)の調製と同様の方法により、特定外添剤粒子(T-2)~(T-13)を調製した。
下記表1及び2において、「チタンブトキシド量」は、多孔質酸化チタン粒子の調製に用いた第1溶液に含まれるチタンブトキシドの量を示す。「塩化ランタン量」は、多孔質酸化チタン粒子の調製に用いた第3溶液に含まれる塩化ランタンの量を示す。「焼成温度」及び「焼成時間」は、多孔質酸化チタン粒子の調製で行った焼成処理における温度及び時間を示す。「塩酸濃度」は、多孔質酸化チタン粒子の調製で行った酸処理において使用した塩酸の濃度を示す。「値i」は、多孔質酸化チタン粒子について、計算式(i)により算出される値を示す。脂肪酸金属塩の「種類」において、「ZiS」、「MgS」及び「CaS」は、それぞれ、ステアリン酸亜鉛(日東化成工業株式会社製)、ステアリン酸マグネシウム(日東化成工業株式会社製)及びステアリン酸カルシウム(日東化成工業株式会社製)を示す。脂肪酸金属塩の「質量部」は、流動コーティング法において、多孔質酸化チタン粒子の使用量100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量を示す。
Figure 2022148137000002
Figure 2022148137000003
<トナーの製造>
[結着樹脂の調製]
テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、エチレングリコール800gとを、4つ口フラスコに投入した。次に、フラスコ内部を窒素雰囲気とし、フラスコの内容物を攪拌しながらフラスコ内部の温度を250℃まで上昇させた。次に、常圧かつ250℃の条件で、フラスコの内容物を4時間反応させた。次に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラブチルチタネート0.1gとを、フラスコに更に投入した。次に、フラスコ内部の圧力を0.04kPaになるまで減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、トリメリット酸(架橋剤)10.0gをフラスコに更に投入した。次に、フラスコ内部の圧力を常圧に戻し、フラスコ内容物の温度を230℃まで降下させた後、フラスコ内容物を更に1時間反応させた。反応終了後、反応生成物(ポリエステル樹脂)をフラスコから取り出して冷却した。得られたポリエステル樹脂を、結着樹脂とした。得られたポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が43.8℃であり、軟化点(Tm)が84.4℃であった。
[トナー母粒子の調製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に、結着樹脂としての上述のポリエステル樹脂90質量部と、カーボンブラック(三井化学株式会社製「MA100」)5質量部と、離型剤としてのパラフィンワックス(日本精蝋株式会社製「HNP-9」)5質量部とを投入し、2400rpmで180秒混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度5kg/時間、軸回転数150rpm、及びシリンダー温度150℃の条件にて溶融混練した後冷却した。得られた混練物をロートプレックスミル(株式会社東亜器機製作所製「8/16型」)にて粗粉砕した後、衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕し粉砕粒子を得た。得られた粉砕粒子をエルボージェット(日鉄鉱業株式会社製「EJ-LABO型」)で分級して、体積中位径D50が7.0μmであるトナー母粒子を得た。
[外添]
上述のトナー母粒子100.0質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」)1.0質量部と、下記表3及び4に示す種類及び量の特定外添剤粒子とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10C/I」)で5分間混合した(第2実施形態の第2工程に相当)。得られた混合物を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。これにより、実施例1~11及び比較例1~4のトナーを得た。
<評価>
以下の方法により、実施例1~11及び比較例1~4のトナーについて、2成分現像剤を調製した後、流動性及び画質安定性を評価した。画質安定性は、連続印刷における画像濃度の変化と、異常画像の有無との観点から評価した。評価結果を下記表3及び4に示す。
[2成分現像剤の調製]
評価対象(実施例1~11及び比較例1~4のトナーの何れか)10質量部と、キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa500ci」用キャリア)100質量部とを、ボウルミルにて30分間混合することにより、2成分現像剤を得た。
[評価機]
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa500ci」)を使用した。評価機のブラック用現像装置に2成分現像剤(詳しくは、実施例1~11及び比較例1~4のトナーのうち何れかを含む2成分現像剤)を投入した。また、評価機のブラック用トナーコンテナに、トナー(より具体的には、2成分現像剤が含むトナーと同一のトナー)300gを投入した。更に、評価機のブラック用現像装置について、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定し、現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧(ΔV)を250Vに調整した。印刷用紙としては、アスクル株式会社製「マルチペーパー スーパーエコノミーA4」を使用した。
[連続印刷]
評価機を用いて、温度10℃、湿度10%RHの条件で、1000枚の印刷用紙に印字率4%のパターン画像を連続印刷した。その後、印刷用紙に5cm×5cmのソリッド画像を含んだ画質評価用画像(印字率10%画像)を印刷した。以上の一連の操作を「第1連続印刷処理」とした。第1連続印刷処理を10回繰り返し、印字率4%のパターン画像計10000枚と、印字率10%の画質評価用画像計10枚とを印刷した。
[画質安定性]
画質評価用画像(計10枚)に基づいて、トナーの画質安定性を評価した。トナーの画質安定性は、ΔIDの判定結果が「特に良好(A)」であり、かつ異常画像の判定結果が「合格(A)」である場合を「特に良好(A)」、ΔIDの判定結果が「良好(B)」であり、かつ異常画像の判定結果が「合格(A)」である場合を「良好(B)」、それ以外の場合を「不良(C)」と判定した。
(ΔID)
得られた画質評価用画像(計10枚)のうち、5回目の第1連続印刷処理で印刷した画質評価用画像に含まれるソリッド画像の画像濃度(ID5000)と、10回目の第1連続印刷処理で印刷した画質評価用画像に含まれるソリッド画像の画像濃度(ID10000)とを、反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)で測定した。次に、ID10000からID5000を減じた値であるΔID(ID10000-ID5000)を算出した。ΔIDは、以下の基準で評価した。
特に良好(A):0.1未満
良好(B):0.1以上0.3未満
不良(C):0.3以上
(異常画像)
得られた画質評価用画像(計10枚)のうち、2回目、4回目、6回目、8回目及び10回目の第1連続印刷処理で印刷した画質評価用画像に含まれるソリッド画像を目視で観察し、異常画像(非印字領域における着色、ソリッド画像内の白抜け、又はソリッド画像内の白筋)の有無を確認した。異常画像は、以下の基準で評価した。
合格(A):5枚の画質評価用画像の何れにおいても異常画像が確認されない
不合格(B):5枚の画質評価用画像のうち、少なくとも1枚の画質評価用画像で異常画像が確認される
[流動性]
10回の第1連続印刷処理後、印刷用紙に画質評価用画像(印字率10%画像)を更に連続印刷(第2連続印刷処理)した。第2連続印刷処理は、評価機がトナーを全て消費し、評価機が「トナーエンプティー」のアラートを出して印刷を中止するまで続けた。次に、評価機からブラック用トナーコンテナを取り出し、ブラック用トナーコンテナの質量Aを測定した。質量Aを、第1連続印刷処理を行う前のブラック用トナーコンテナの質量B(トナーコンテナに投入したトナーの質量と、空のブラック用トナーコンテナの質量との合計)から減じた値(質量B-質量A)を算出し、得られた値を残トナー量とした。トナーの流動性が低い場合、トナーはトナーコンテナに残留しやすくなる。残トナー量は、その値が低いほど、トナーの流動性に優れることを示す。トナーの流動性は、以下の基準で判定した。
特に良好(A):残トナー量が10g未満
良好(B):残トナー量が10g以上20g未満
不良(C):残トナー量が20g以上
Figure 2022148137000004
Figure 2022148137000005
実施例1~11のトナーは、トナー粒子を含んでいた。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えていた。外添剤は、特定外添剤粒子を含んでいた。特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含んでいた。多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下であった。トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満であった。多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たしていた。実施例1~11のトナーを用いた2成分現像剤は、酸化チタン粒子の含有割合が低く、かつ流動性及び画質安定性に優れていた。
0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
一方、比較例1のトナーは、トナー母粒子100質量部に対する特定外添剤粒子の含有量が0.1質量部未満であった。比較例1のトナーは、特定外添剤粒子が不足し、電子写真感光体の表面を十分に研磨することができなかったため、画質安定性が不良であった。
比較例2のトナーは、多孔質酸化チタン粒子が数式(I)を満たさなかった。比較例2のトナーは、特定外添剤粒子の表面が比較的滑らかであり、電子写真感光体の表面を十分に研磨することができなかったため、画質安定性が不良であった。
比較例3のトナーは、多孔質酸化チタン粒子が数式(I)を満たさなかった。比較例3のトナーは、特定外添剤粒子の表面に凹凸が多く、トナー粒子の摩擦係数が過度に増大したため、流動性が不十分であった。
比較例4のトナーは、多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50が0.50μm超であった。比較例4のトナーは、多孔質酸化チタン粒子が大径であり、トナー母粒子から脱離し易いため、画質安定性が不良であった。
本発明に係るトナー及びトナーの製造方法は、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いるトナーを提供できる。
1 トナー粒子
2 トナー母粒子
3 特定外添剤粒子

Claims (4)

  1. トナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備え、
    前記外添剤は、特定外添剤粒子を含み、
    前記特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、前記多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含み、
    前記多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下であり、
    前記トナー母粒子100質量部に対する前記特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満であり、
    前記多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす、トナー。
    0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
  2. 前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムを含む、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記多孔質酸化チタン粒子のBET比表面積は、20m2/g以上120m2/g以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、
    前記外添剤は、特定外添剤粒子を含み、
    前記特定外添剤粒子は、多孔質酸化チタン粒子と、前記多孔質酸化チタン粒子の表面を被覆する脂肪酸金属塩とを含み、
    前記多孔質酸化チタン粒子を前記脂肪酸金属塩でコーティングすることで前記特定外添剤粒子を調製する第1工程と、
    前記特定外添剤粒子を含む前記外添剤を前記トナー母粒子の表面に付着させることで前記トナー粒子を調製する第2工程とを備え、
    前記第1工程において、前記多孔質酸化チタン粒子の使用量100質量部に対する前記脂肪酸金属塩の使用量は、0.3質量部以上7.0質量部以下であり、
    前記多孔質酸化チタン粒子の体積中位径D50は、0.10μm以上0.50μm以下であり、
    前記トナー母粒子100質量部に対する前記特定外添剤粒子の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満であり、
    前記多孔質酸化チタン粒子は、下記数式(I)を満たす、トナーの製造方法。
    0.8cm3/g<(BET比表面積[m2/g]×体積中位径D50[μm]/6)<3.4cm3/g・・・(I)
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