JP2018081273A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
0.2≦Dp/Pd≦0.8・・・式(1)
(Pd−Dp)>Wd・・・式(2)
0.10μm≦Pd≦1.0μm・・・式(3)
ここで、上記式(1)における前記第1樹脂粒子の埋没深さcの個数平均値Dpは、前記トナー粒子の径方向における前記第1樹脂粒子の埋没部分の長さの個数平均値を意味する。前記第1樹脂粒子の前記埋没部分は、前記第1樹脂粒子のうち、前記トナーコアの前記表面よりも前記トナー粒子の径方向内側に位置する部分を意味する。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、「トナー」と記載することがある)は、正帯電性を有し、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層と、メラミン樹脂を含有する複数の第1樹脂粒子とを有する。トナーコアの表面領域のうち、シェル層が覆うトナーコアの面積の割合が、60%以上80%以下である。第1樹脂粒子は、各々、トナー粒子の径方向内側ではトナーコアの表面に埋め込まれ、トナー粒子の径方向外側ではトナーコアの表面よりもトナー粒子の径方向外側に突出している。シェル層の厚さbの平均値Wdと、第1樹脂粒子の埋没深さcの個数平均値Dpと、第1樹脂粒子の1次粒子径dの個数平均値Pdとは、下記式(1)〜(3)を満たす。
0.2≦Dp/Pd≦0.8・・・式(1)
(Pd−Dp)>Wd・・・式(2)
0.10μm≦Pd≦1.0μm・・・式(3)
ここで、上記式(1)における第1樹脂粒子の埋没深さcの個数平均値Dpは、トナー粒子の径方向における第1樹脂粒子の埋没部分の長さの個数平均値を意味する。第1樹脂粒子の埋没部分は、第1樹脂粒子のうち、トナーコアの表面よりもトナー粒子の径方向内側に位置する部分を意味する。
シェル層の被覆率は、次に示す方法に従って測定される。まず、トナー粒子をRu(ルテニウム)染色する。トナー粒子が外添剤を有する場合には、外添剤をシェル層の表面から除去した後にRu染色を行うことが好ましい。次に、染色されたトナー粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(例えば、日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて、例えば倍率50000倍で、観察する。このようにして、トナー粒子の反射電子像を得る。ここで、トナーコアよりも、シェル層の方が、Ru染色され易い。そのため、トナー粒子の反射電子像では、トナーコアよりも、シェル層の方が、明るく観察される。続いて、トナー粒子の反射電子像を、画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、解析する。そして、トナー粒子の反射電子像全体の面積SA1と、反射電子像において相対的に明るい領域の面積SB1とを求め、下記式に従ってシェル層の被覆率を算出する。
シェル層の被覆率=100×面積SB1/面積SA1
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一例を説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一例を示す断面図である。図2は、シェル層の厚さbと、第1樹脂粒子の埋没深さcと、第1樹脂粒子の1次粒子径dとを説明するための模式図である。なお、図2では、トナーコア11の表面とシェル層13の表面とを直線で記載しているが、実際のトナー粒子では、トナーコアの表面とシェル層の表面とは球面形状(断面視円形形状)を有する。
0.2≦Dp/Pd≦0.8・・・式(1)
(Pd−Dp)>Wd・・・式(2)
0.10μm≦Pd≦1.0μm・・・式(3)
図3は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の別の一例を示す断面図である。以下では、図1に示すトナー粒子10とは異なる点を主に説明する。
本実施形態に係るトナーは、次に示す方法に従って製造されることが好ましい。例えば、図1に示すトナー粒子10を複数含むトナーの製造方法は、トナーコアの形成工程と、第1樹脂粒子の埋め込み工程と、シェル層の形成工程とを含むことが好ましい。図3に示すトナー粒子20を複数含むトナーの製造方法は、図1に示すトナー粒子10を複数含むトナーの製造方法に加え、外添工程をさらに含むことが好ましい。なお、効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に製造することが好ましい。同時に製造されたトナー粒子は、互いに同一の構成を有すると考えられる。以下、本実施形態に係るトナーの好ましい製造方法を工程順に説明する。
トナーコアの形成工程では、公知の凝集法又は公知の粉砕法によりトナーコアを形成することが好ましい。これにより、トナーコアを容易に形成できる。
第1樹脂粒子の埋め込み工程では、複数の第1樹脂粒子の各々の一部分をトナーコアの表面に埋め込む。好ましくは、複数の第1樹脂粒子の各々の一部分をトナーコアの表面に機械的に埋め込む。複数の第1樹脂粒子の各々の一部分をトナーコアの表面に機械的に埋め込む方法としては、例えば、混合機(例えば、ハイブリダイゼーションシステム(登録商標))を用いて、トナーコアと第1樹脂粒子とを混合する方法が挙げられる。ハイブリダイゼーションシステムを用いてトナーコアと第1樹脂粒子とを混合すれば、トナーコアと第1樹脂粒子の各々との衝突による衝撃力が発生する。これにより、第1樹脂粒子の各々の一部分がトナーコアの表面に埋め込まれ易くなる。
シェル層の形成工程では、複数の第1樹脂粒子の各々の一部分が埋め込まれたトナーコアの表面にシェル層を形成する。例えばin−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法に従って、シェル層を形成できる。このようにして、トナー母粒子が得られる。そして、下記外添工程を行わない場合には、得られたトナー母粒子がトナー粒子に相当する。そのため、図1に示すトナー粒子10を多数含むトナーが得られる。
外添工程では、シェル層の表面に外添剤を付着させる。例えば、混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合することが好ましい。このとき、トナー母粒子と外添剤との混合条件としては、外添剤がシェル層の表面に埋没しない条件を選択することが好ましい。また、外添剤粒子としては、メラミン外添剤粒子を使用しないことが好ましい。このようにして、図3に示すトナー粒子20を多数含むトナーが得られる。
第1樹脂粒子は、メラミン樹脂を含有し、好ましくはメラミン樹脂で構成される。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの縮重合により得られ、三次元的な網目構造を有する。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを付加反応させる。これにより、メチロールメラミン(メラミン樹脂の前駆体)が得られる。得られたメチロールメラミン同士を縮合反応させる。これにより、一のメチロールメラミンのアミノ基が、メチレン基を介して、他のメチロールメラミンのアミノ基と結合する。その結果、メラミン樹脂が得られる。得られたメラミン樹脂は、メラミンに由来する繰返し単位を含む。
トナーコアは、結着樹脂を含有する。トナーコアは、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のうちの少なくとも1つをさらに含有しても良い。
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。
着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1.00質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1.00質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属もしくはその合金、強磁性金属酸化物、又は強磁性化処理が施された材料を使用できる。強磁性金属としては、例えば、鉄、コバルト、又はニッケルを使用できる。強磁性金属酸化物としては、例えば、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロムを使用できる。強磁性化処理としては、例えば、熱処理が挙げられる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
シェル層は、メラミン樹脂を含有することが好ましい。メラミン樹脂については、上記(メラミン樹脂)に記載の通りである。
多数の外添剤粒子を含む外添剤は、例えばトナー粒子の流動性又はトナーの取扱性を向上させるために使用される。例えば、外添剤の量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.500質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。また、外添剤粒子の粒子径は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
(複合粒子TA−1の製造方法)
まず、ポリエステル樹脂を合成した。詳しくは、4つ口フラスコ(容量:5L)に、1500質量部のテレフタル酸と、1500質量部のイソフタル酸と、1200質量部のビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と、800.0質量部のエチレングリコールとを入れた。次に、フラスコ内を窒素雰囲気とし、フラスコの内容物を攪拌しながらフラスコ内部の温度を250℃まで上昇させた。4時間にわたって、フラスコ内部の圧力を常圧に保ち、フラスコ内部の温度を250℃に保った。この間に、フラスコの内容物が反応した。
メラミン樹脂粒子としてメラミン樹脂粒子(株式会社日本触媒製「エポスターS」)を用いたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−2を製造した。
メラミン樹脂粒子としてメラミン樹脂粒子(株式会社日本触媒製「エポスターS6」)を用いたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−3を製造した。
メラミン樹脂粒子としてメラミン樹脂粒子(株式会社日本触媒製「エポスターS10」)を用いたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−4を製造した。
メラミン樹脂粒子としてメラミン樹脂粒子(株式会社日本触媒製「エポスターS12」)を用いたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−5を製造した。
メラミン樹脂粒子の代わりにシリカ粒子(株式会社日本触媒製「シーホスター(登録商標)KE−S10」)を用いたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−6を製造した。
ハイブリダイゼーションシステムによる混合を行わなかった。これを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−7を製造した。
ハイブリダイゼーションシステムによる混合時間を10分間としたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−8を製造した。
メラミン樹脂粒子としてメラミン樹脂粒子(1次粒子径dの個数平均値Pdが0.050μm)を用いたこと、及びハイブリダイゼーションシステムでの回転速度を2000rpmにしたことを除いては複合粒子TA−1の製造方法に従って、複合粒子TA−9を製造した。
(トナーT−1の製造方法)
まず、複合粒子TA−1の表面にシェル層を形成した。詳しくは、温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコ(容量:1L)に、イオン交換水300mLを入れた。ウォーターバス(アズワン株式会社販売「IWB−250型」)を用いて、フラスコ内部の温度を30℃に保持した。フラスコに希塩酸を加えて、フラスコ内の液のpHを4に調整した。フラスコに、メチロールメラミン水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」)1.00mLと、ポリアクリルアミド水溶液(和光純薬工業株式会社製、ポリアクリルアミド濃度:10質量%)1.00mLとをさらに加えた。フラスコの内容物を攪拌して、シェル層原料の水溶液S−1を得た。
次に示すことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、トナーT−2を得た。詳しくは、3つ口フラスコへのメチロールメラミン水溶液及びポリアクリルアミド水溶液の各々の添加量を2.00mLとして、シェル層原料の水溶液を得た。
複合粒子TA−1の代わりに複合粒子TA−2〜TA−4を使用したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、各々、トナーT−3〜T−5を得た。
次に示すことを除いてはトナーT−3の製造方法に従って、トナーT−6を得た。詳しくは、メチロールメラミン水溶液の代わりに5.00mLのメチロール化尿素の水溶液(日本カーバイド工業株式会社製「MX−280」)を3つ口フラスコに加えて、シェル層原料の水溶液を得た。
シェル層を形成しなかったことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、トナーT−7を得た。詳しくは、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」、容量:10L)を用いて、100質量部の複合粒子TA−1と、0.500質量部の正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL REA90」)とを、5分間混合した。これにより、複合粒子TA−1の表面に外添剤を付着させた。得られた粒子を、200メッシュの篩を用いて、篩別した。このようにして、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−7)が得られた。
次に示すことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、トナーT−8を得た。詳しくは、3つ口フラスコへのメチロールメラミン水溶液及びポリアクリルアミド水溶液の各々の添加量を0.500mLとして、シェル層原料の水溶液を得た。
次に示すことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、トナーT−9を得た。詳しくは、3つ口フラスコへのメチロールメラミン水溶液及びポリアクリルアミド水溶液の各々の添加量を4.00mLとして、シェル層原料の水溶液を得た。
複合粒子TA−1の代わりに複合粒子TA−5〜TA−9を使用したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従って、各々、トナーT−10〜T−14を得た。
以下、シェル層の厚さbの平均値Wd、シェル層の被覆率、粒子Yの埋没深さcの個数平均値Dp、及びトナーの溶融温度の各々の測定方法を説明する。なお、シェル層の厚さbの平均値Wdと、シェル層の被覆率と、粒子Yの埋没深さcの個数平均値Dpとを測定する際には、試料としては、下記(前処理)に示す方法で外添剤が除去されたトナー粒子(つまり、トナー母粒子)を使用した。
次に示す方法で、トナーT−1〜T−14の各々に含まれるトナー粒子の表面から外添剤を除去した。
詳しくは、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の水溶液(濃度が2質量%)100gに、2.00gのトナーを分散させた。得られた分散液を水浴させながら、分散液に対し、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて超音波を照射した。得られた懸濁液を、定性ろ紙(アドバンテック社製「FILTER PAPER 1号」、孔径約5μm)をセットしたセパレート型の吸引濾過装置(濾過鐘及びブフナー漏斗)を用いて、吸引濾過した。その後、50.0mLのイオン交換水を加えるリスラリーと、吸引濾過とを、3回繰り返した。これにより、トナー粒子の表面から外添剤を除去した。このようにして、シェル層の厚さbの平均値Wd、シェル層の被覆率、及び粒子Yの埋没深さcの個数平均値Dpの測定用サンプルであるトナー母粒子を得た。
まず、トナー母粒子の断面TEM写真を撮影した。詳しくは、トナー母粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置した。このようにして得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。染色された硬化物から、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて、薄片の試料(厚さ200nm)を切り出した。得られた薄片の試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて、倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー母粒子の断面TEM写真を撮影した。
まず、トナー母粒子を、常温(25℃)の大気雰囲気下で、RuO4水溶液2mL(濃度が5質量%)の蒸気中に20分間、暴露した。このようにして染色されたトナー母粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて、観察し、トナー母粒子の反射電子像を得た。トナーコアの表面領域のうち、シェル層で被覆されている領域は、シェル層で被覆されていない領域に比べ、ルテニウム(Ru)に染色され易かった。そのため、得られた反射電子像では、トナーコアの表面領域のうち、シェル層で被覆されている領域は、シェル層で被覆されていない領域に比べ、明るく観察された。なお、電界放射型走査型電子顕微鏡による観察は、加速電圧が10.0kVであり、且つ照射電流が約95pAであるという条件で、行われた。また、電界放射型走査型電子顕微鏡による撮影は、倍率が50000倍であり、Contrastが4800であり、且つbrightnessが550で一定であるという条件で、行われた。
シェル層の被覆率=100×面積SB1/面積SA1
まず、トナー母粒子の断面TEM写真を撮影した。次に、トナー母粒子の断面TEM写真を、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、解析した。詳しくは、画像解析ソフトウェアにおいて、計測ツールの手動計測のライン長計測を選択した。手動計測のライン長計測を選択した状態で、トナー母粒子の断面TEM写真において、1個のトナーコアの表面に埋め込まれている粒子Y(メラミン樹脂粒子又はシリカ粒子)を無作為に数個、選択した。選択した粒子Yの各々において、粒子Yの埋没深さを計測した。このような粒子Yの埋没深さの計測を10個のトナー母粒子に対して行い、粒子Yの埋没深さcの個数平均値Dpを算出した。結果を表1に示す。
トナーT−1〜T−14の溶融温度を次に示す方法で測定した。
まず、円柱形状のサンプルを作製した。詳しくは、温度23℃±1℃且つ湿度50%RH±5%RHの環境下で、トナーを12時間以上静置した。これにより、トナーが調湿された。次に、加圧成型器を用いて、2gのトナーを10MPaの圧力で加圧成型した。このようにして、円柱形状のサンプル(直径が1cmの円を底面とする円柱形状のサンプル)を得た。
トナーT−1〜T−14は、以下に示す方法で、評価された。以下に示す何れの評価においても、評価対象としては、次に示す方法で製造された2成分現像剤を使用した。詳しくは、トナーの含有量が10質量%となるように、トナーT−1〜T−14の各々とCu−Zn系フェライトキャリア(パウダーテック株式会社製、体積固有抵抗値:107Ωcm、飽和磁化:70emu/g、平均粒子径:35μm)とをボールミルに入れ、30分間混合した。このようにして、評価対象が得られた。なお、Cu−Zn系フェライトキャリアでは、フェライト粒子(キャリアコア)の表面には、フェライト粒子100質量部に対して20.0質量部のフッ素樹脂からなる被覆層が形成されていた。
評価対象を用いて画像形成を行い、トナーの低温定着性を評価した。評価機としては、定着温度を調節できるようにプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を改造したものを使用した。詳しくは、評価対象(未使用)を評価機の現像装置に入れ、補給用トナー(未使用)を評価機のトナーコンテナに入れた。本実施例では、補給用トナーとしては、評価対象に含まれるトナーと同一のトナーを用いた。
評価対象を用いて画像形成を行い、画像濃度とかぶり濃度とを評価した。評価機としては、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を使用した。詳しくは、評価対象(未使用)を評価機の黒色用現像部に入れ、補給用トナー(未使用)を評価機のトナーコンテナに入れた。本実施例では、補給用トナーとしては、評価対象に含まれるトナーと同一のトナーを用いた。また、評価機において、現像ローラーに内蔵されたマグネットロールと現像スリーブとの間の電圧差(ΔV)を250Vに設定し、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定した。
FD=(空白部の反射濃度)−(未印刷紙の反射濃度)
評価対象を用いて画像形成を行い、画像における色点及び画像抜けの発生の有無と、感光体ドラムの表面へのトナーの付着の有無とを評価した。評価機としては、上記(トナーの帯電安定性の評価)で使用した評価機を使用した。
○(良い):ソリッド画像及びハーフトーン画像における色点及び画像抜けは確認されなかったが、感光体ドラムの表面におけるトナー成分の付着が確認された。
×(悪い):ソリッド画像及びハーフトーン画像における色点及び画像抜けが確認され、且つ、感光体ドラムの表面におけるトナー成分の付着が確認された。
0.2≦Dp/Pd≦0.8・・・式(1)
(Pd−Dp)>Wd・・・式(2)
0.10μm≦Pd≦1.0μm・・・式(3)
11 トナーコア
13 シェル層
15 第1樹脂粒子
17 外添剤
20 トナー粒子
Dr 径方向
X1 径方向内側
X2 径方向外側
Claims (7)
- トナー粒子を複数含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記静電潜像現像用トナーは、正帯電性を有し、
前記トナー粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層と、メラミン樹脂を含有する複数の第1樹脂粒子とを有し、
前記トナーコアの表面領域のうち、前記シェル層が覆う前記トナーコアの面積の割合が、60%以上80%以下であり、
前記第1樹脂粒子は、各々、前記トナー粒子の径方向内側では前記トナーコアの前記表面に埋め込まれ、前記トナー粒子の径方向外側では前記トナーコアの前記表面よりも前記トナー粒子の径方向外側に突出しており、
前記シェル層の厚さbの平均値Wdと、前記第1樹脂粒子の埋没深さcの個数平均値Dpと、前記第1樹脂粒子の1次粒子径dの個数平均値Pdとは、下記式(1)〜(3)を満たす、静電潜像現像用トナー。
0.2≦Dp/Pd≦0.8・・・式(1)
(Pd−Dp)>Wd・・・式(2)
0.10μm≦Pd≦1.0μm・・・式(3)
ここで、上記式(1)における前記第1樹脂粒子の埋没深さcの個数平均値Dpは、前記トナー粒子の径方向における前記第1樹脂粒子の埋没部分の長さの個数平均値を意味し、前記第1樹脂粒子の前記埋没部分は、前記第1樹脂粒子のうち、前記トナーコアの前記表面よりも前記トナー粒子の径方向内側に位置する部分を意味する。 - 高化式フローテスターを用いて測定される前記トナーの溶融温度が、80.0℃以上110℃以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記シェル層の厚さbの平均値Wdは、10nm以上50nm以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1樹脂粒子の1次粒子径dの個数平均値Pdは、0.20μm以上1.0μm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記シェル層は、前記トナーコアの前記表面のうち前記第1樹脂粒子の各々を囲む領域を被覆する、請求項1〜4の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記シェル層は、メラミン樹脂を含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記トナー粒子は、前記シェル層の前記表面に付着する外添剤をさらに有し、
前記外添剤は、メラミン樹脂を含有する粒子を含まない、請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
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