JP2015049250A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、耐摩擦性に優れる画像を形成できる、静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む。離型剤は、示差走査熱量計を用いて測定される、離型剤の融点Mpr、及び融解時の吸熱量Qrがそれぞれ所定の範囲内である。シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなる。熱硬化性樹脂のモノマーとして、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂のモノマーを用いる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む。離型剤は、示差走査熱量計を用いて測定される、離型剤の融点Mpr、及び融解時の吸熱量Qrがそれぞれ所定の範囲内である。シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなる。熱硬化性樹脂のモノマーとして、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂のモノマーを用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
トナーに関して、省エネルギー化、及び装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤が使用されることが多い。そのため、このようなトナーを高温で保存する場合にトナーに含まれるトナー粒子が凝集しやすいという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下しやすい。
そこで、従来より低い温度域においても定着性に優れるトナーを得る目的、高温でのトナーの保存安定性の向上の目的、及びトナーの耐ブロッキング性の向上の目的で、低融点の結着樹脂を含むトナーコアが、トナーコアに含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高いTgを有する樹脂からなるシェル層により被覆されているコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが使用されている。
このようなコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーとして、熱硬化性樹脂を含む薄膜により、トナーコアの表面が被覆されたトナーであって、被覆前のトナーコアの軟化温度が40℃以上150℃以下であるトナーが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載のトナーは、トナーコアが低温で軟化可能であるように設計されているものの、必ずしも、低温で良好に定着されるわけではない。また、特許文献1に記載のトナーを用いて画像を形成する場合、
・高温でトナー像を被記録媒体に定着させる際に、溶融したトナー粒子の加熱された定着ローラーへの融着に起因するオフセットが生じやすいこと、及び
・トナーコアに含まれる離型剤の種類によっては、記録媒体に対してトナーが良好に定着されにくかったり、摩擦に対する堅牢性(耐摩擦性)に優れる画像を得にくかったりすることのような問題がある。
・高温でトナー像を被記録媒体に定着させる際に、溶融したトナー粒子の加熱された定着ローラーへの融着に起因するオフセットが生じやすいこと、及び
・トナーコアに含まれる離型剤の種類によっては、記録媒体に対してトナーが良好に定着されにくかったり、摩擦に対する堅牢性(耐摩擦性)に優れる画像を得にくかったりすることのような問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、耐摩擦性に優れる画像を形成できる、静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明は、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)前記離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)前記離型剤の融解時の吸熱量Qrが80J/g以上であり、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、静電潜像現像用トナーに関する。
示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)前記離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)前記離型剤の融解時の吸熱量Qrが80J/g以上であり、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、静電潜像現像用トナーに関する。
本発明によれば、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、耐摩擦性に優れる画像を形成できる、静電潜像現像用トナーを提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)に含まれるトナー粒子は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層と、からなる。トナーコアは、結着樹脂、及び離型剤の他に、必要に応じて着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。示差走査熱量計を用いて測定される離型剤の融点Mpr、及び融解時の吸熱量Qrは、それぞれ所定の範囲内である。シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。本発明のトナーはトナー粒子からなるが、トナー粒子の他の成分を含んでいてもよい。
トナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じて、トナー粒子(トナー母粒子)の表面が外添剤を用いて処理されたものであってもよい。トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナーコアを構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、離型剤、着色剤、電荷制御剤、磁性粉、シェル層を構成する樹脂、外添剤、トナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリア、及びトナーの製造方法について順に説明する。
[結着樹脂]
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。後述するように、本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、熱硬化性樹脂のモノマーを含むシェル層の材料を硬化させて、トナーコアの表面をシェル層で被覆して調製されている。結着樹脂として、水酸基やカルボキシル基のように熱硬化性樹脂のモノマーと反応し得る官能基を有する結着樹脂を用いる場合、結着樹脂を含むトナーコアの表面にはこれらの官能基が露出している。このため、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂を用いる場合、トナーコアの表面をシェル層で被覆する際に、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと、トナーコアの表面に露出する水酸基やカルボキシル基のような官能基とが反応して、トナーコアとシェル層との間に共有結合が形成される。従って、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂が含まれるトナーコアでは、シェル層とトナーコアとが強固に結合している。
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。後述するように、本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、熱硬化性樹脂のモノマーを含むシェル層の材料を硬化させて、トナーコアの表面をシェル層で被覆して調製されている。結着樹脂として、水酸基やカルボキシル基のように熱硬化性樹脂のモノマーと反応し得る官能基を有する結着樹脂を用いる場合、結着樹脂を含むトナーコアの表面にはこれらの官能基が露出している。このため、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂を用いる場合、トナーコアの表面をシェル層で被覆する際に、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと、トナーコアの表面に露出する水酸基やカルボキシル基のような官能基とが反応して、トナーコアとシェル層との間に共有結合が形成される。従って、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂が含まれるトナーコアでは、シェル層とトナーコアとが強固に結合している。
水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナーコア中の着色剤の分散性、トナー粒子の帯電性と、用紙に対する定着性との面から、ポリエステル樹脂が好ましい。以下、ポリエステル樹脂について説明する。
結着樹脂として使用されるポリエステル樹脂は、従来トナー用の結着樹脂として使用されているポリエステル樹脂から適宜選択できる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合ないし共縮重合して得られるものを使用することができる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下の2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、及びポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、及び低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)は、10,000以上50,000以下が好ましい。Mwと、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)との比で表される、ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、8以上50以下が好ましい。このような範囲内の質量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)であるポリエステル樹脂を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制しやすい。ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。以下、GPCを用いる分子量の測定方法について説明する。
<GPCを用いる分子量の測定方法>
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いる。測定する試料を、3.0mg/mLの濃度となるようにTHFに投入し、1時間静置させてTHF中に溶解させる。得られるTHF溶液を前処理用フィルター(例えば、クロマトディスク 25N(倉敷紡績株式会社製)、非水系、ポアサイズ:0.45μm)で濾過して、測定用試料溶液を得る。GPCの測定は、下記の装置及び条件で行われる。具体的には、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させた後、同温度で、1mL/分の流速でTHF溶液をカラムに流し、測定試料溶液を、50〜200μL注入して、GPCの測定が行われる。
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いる。測定する試料を、3.0mg/mLの濃度となるようにTHFに投入し、1時間静置させてTHF中に溶解させる。得られるTHF溶液を前処理用フィルター(例えば、クロマトディスク 25N(倉敷紡績株式会社製)、非水系、ポアサイズ:0.45μm)で濾過して、測定用試料溶液を得る。GPCの測定は、下記の装置及び条件で行われる。具体的には、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させた後、同温度で、1mL/分の流速でTHF溶液をカラムに流し、測定試料溶液を、50〜200μL注入して、GPCの測定が行われる。
試料の分子量分布は単分散ポリスチレン標準試料を数種類使用して算出した検量線を用い、検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。好適に使用される単分散ポリスチレン標準試料としては、東ソー株式会社製の、分子量3.84×106、1.09×106、3.55×105、1.02×105、4.39×104、9.10×103、及び2.98×103の標準ポリスチレンが挙げられる。検出器としては、試料の組成によらず検出が可能である点でRI検出器が好ましい。カラムとしては標準的なポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することができる。好適なGPC測定条件としては以下のような測定条件が挙げられる。
(GPC測定条件)
装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel GMHXL(東ソー株式会社製)
カラム本数:2本
検出器:RI
溶出液流速:1mL/分
試料溶液濃度:3.0mg/mL
カラム温度:40℃
試料溶液量:100μL
検量線:標準ポリスチレンを用いて作製
(GPC測定条件)
装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel GMHXL(東ソー株式会社製)
カラム本数:2本
検出器:RI
溶出液流速:1mL/分
試料溶液濃度:3.0mg/mL
カラム温度:40℃
試料溶液量:100μL
検量線:標準ポリスチレンを用いて作製
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は、ポリエステル樹脂を製造する際の、2価又は3価以上のアルコール成分の使用量と、2価又は3価以上のカルボン酸成分の使用量とを、それぞれ適宜変更することで調整できる。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。本出願の明細書、及び特許請求の範囲において、結晶性ポリエステル樹脂は結晶性指数が0.90以上1.10未満、好ましくは0.98以上1.05以下であるポリエステル樹脂である。結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、低温定着性に優れ、高温で定着を行う際のオフセットの発生を特に抑制できる。
結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合や共縮重合によって得られるものを使用できる。結晶性ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、結着樹脂として使用されるポリエステル樹脂のモノマーとして上記した2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
アルコール成分のなかでは、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2〜8の脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールの中では、ポリエステル樹脂の結晶化をより促進しやすいことから炭素原子数2〜8のα,ω−アルカンジオールがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルコール成分中の炭素原子数2〜10の脂肪族ジオールが80モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルコール成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましく、100モル%であるのが最も好ましい。
カルボン酸成分の中では、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2〜16の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数2〜16のα,ω−アルカンジカルボン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン酸成分中の炭素原子数2〜16の脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましく、100モル%であるのが最も好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性指数は、結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tmc)と結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC曲線中の最大吸熱ピークの温度、Mpc)との比(Tmc/Mpc)から求めることができる。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、示差走査熱量計を用いて測定される、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)は、30℃以上100℃以下が好ましい。融点(Mpc)がこのような範囲内である結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う際のオフセットの発生を特に抑制しやすい。Mpcの示差走査熱量計を用いる測定は、以下の方法に従って行う。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tmc)は、後述する結着樹脂の軟化点の測定方法と同様にして、フローテスターを用いて測定することができる。
<融点測定方法>
示差走査熱量計(DSC)として、DSC6220(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10〜20mgの結晶性ポリエステル樹脂の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。30℃を測定開始温度とし、10℃/分の速度で170℃まで昇温を行う。昇温の際に観測される融解熱の最大ピーク温度を、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)とする。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC6220(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10〜20mgの結晶性ポリエステル樹脂の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。30℃を測定開始温度とし、10℃/分の速度で170℃まで昇温を行う。昇温の際に観測される融解熱の最大ピーク温度を、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)とする。
ポリエステル樹脂の結晶性指数は、単量体であるアルコール成分やカルボン酸成分の、種類、及び使用量を適宜調整することで、調整できる。結晶性ポリエステルは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂中の、結晶性ポリエステル樹脂の含有量(P)は、Pと結晶性ポリエステル樹脂を除くポリエステル樹脂(非結晶性ポリエステル樹脂)の含有量(Q)との比(P/Q)が、0.1以上0.3以下であるのが好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、30℃以上60℃以下が好ましく、35℃以上55℃以下がより好ましい。Tgは、以下の方法に従って測定できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、結着樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル株式会社製DSC−6200)を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで決着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分、という条件で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線より結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は、60℃以上150℃以下が好ましく、70℃以上140℃以下がより好ましい。また、異なるTmを有する複数の樹脂を、結着樹脂の軟化点が上記の範囲内の値となるように組み合わせて用いることもできる。結着樹脂の軟化点は、以下の方法に従って測定できる。
<軟化点測定方法>
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。測定試料を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。高架式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取る。
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。測定試料を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。高架式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取る。
軟化点(Tm)の読み取り方を、図1を用いて説明する。ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とする。S字カーブ中の、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度を、測定試料の軟化点(Tm)とする。
[離型剤]
トナーコアは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含む。示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)離型剤の融点Mprは50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)離型剤の融解時の吸熱量Qrは80J/g以上である。
トナーコアは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含む。示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)離型剤の融点Mprは50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)離型剤の融解時の吸熱量Qrは80J/g以上である。
離型剤の融解時の吸熱量Qrは、離型剤の入手の容易性の点から、300J/g以下が好ましく、250J/g以下がより好ましい。
融点Mpr、及び融解時の吸熱量Qrがこのような範囲内の離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、このトナーを用いることで、耐摩擦性に優れる画像を形成できる。
融点Mprが低すぎる離型剤を含むトナーコアを用い、後述するシェル層の好適な形成方法を用いてトナーを調製する場合、シェル層を形成するための材料の水溶液にトナーコアを分散させる際に、トナーコアの凝集が生じることがある。融点Mprが高すぎる離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成する場合、低温で、トナーが良好に定着されない場合がある。
融解時の吸熱量Qrが過少である離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成する場合、耐摩擦性に優れる画像を形成しにくい。Mpr及びQrは、示差走査熱量計を用いて以下の方法に従って測定される。
<融点測定方法>
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得る。得られたDSC曲線中の融解熱が最大ピーク(吸熱ピーク)を示す温度を、離型剤の融点(Mpr)とし、DSC曲線中の吸熱ピークから融解時の吸熱量Qrを算出する。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得る。得られたDSC曲線中の融解熱が最大ピーク(吸熱ピーク)を示す温度を、離型剤の融点(Mpr)とし、DSC曲線中の吸熱ピークから融解時の吸熱量Qrを算出する。
離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、及びモンタンワックスが挙げられる。エステルワックスとしては、合成エステルワックスや、カルナウバワックス及びライスワックスのような天然エステルワックスが挙げられる。これらの離形剤は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの離型剤の中では、エステルワックスがより好ましい。
エステルワックスの中では、合成原料を適宜選択することで、示差走査熱量計を用いて測定される離型剤の融点(DSC曲線中の最大吸熱ピークの温度、Mpr)を50℃以上100℃以下の範囲内に調整しやすいことから、合成エステルワックスが好ましい。
合成エステルワックスを製造する方法は、化学合成法であれば特に限定されない。例えば、合成エステルワックスは、酸触媒の存在下でのアルコールとカルボン酸との反応や、カルボン酸ハライドとアルコールとの反応のような周知の方法を用いて合成することができる。なお、合成エステルワックスの原料は、例えば、天然油脂から製造される長鎖脂肪酸のように天然物に由来するものでもよい。また、合成エステルワックスとしては、合成品として市販されているものを用いてもよい。
離型剤の25℃での針入度は、5mm以下が好ましく、0.1mm以上5mm以下がより好ましく、1mm以上5mm以下が特に好ましい。25℃での針入度がこのような範囲内の離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成することで、耐摩擦性に特に優れる画像を形成できる。離型剤の25℃での針入度は、JIS K2235(1991)に記載の方法で測定される。針入度は、ワックスの硬さを表し、試験温度25℃において、試料に規定の針が垂直に進入する深さ(mm)で表される。
針入度がこのような範囲内である離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性に優れると共に、このトナーを用いることで、耐摩擦性に優れる画像を特に形成しやすい。
離型剤の、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr及び25℃における針入度は、トナーコアに配合される前の離型剤を試料として用いるか、下記方法に従ってトナー粒子から分離された離型剤を試料として用いて測定することができる。
<トナー粒子からの離型剤の分離方法>
トナー10gを150℃の温度で溶融させ、トナー溶融物を得る。次いで、トナー溶融物を常温まで冷却して固化させ、固体試料を得る。固体試料を、メチルエチルケトン(MEK)中で、25℃で24時間静置して得られる試料をガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。次いで、ガラスフィルター上の残渣を50℃のトルエン30mL中に加えた後、トルエンを25℃まで冷却する。その後、残渣を含むトルエンを、25℃で4時間静置して得られる試料を、ガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。ろ液を12時間静置した後、上澄み液を採取する。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として離型剤が得られる。
トナー10gを150℃の温度で溶融させ、トナー溶融物を得る。次いで、トナー溶融物を常温まで冷却して固化させ、固体試料を得る。固体試料を、メチルエチルケトン(MEK)中で、25℃で24時間静置して得られる試料をガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。次いで、ガラスフィルター上の残渣を50℃のトルエン30mL中に加えた後、トルエンを25℃まで冷却する。その後、残渣を含むトルエンを、25℃で4時間静置して得られる試料を、ガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。ろ液を12時間静置した後、上澄み液を採取する。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として離型剤が得られる。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
[着色剤]
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤としては後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
トナーがカラートナーである場合に、トナーコアに配合される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、及びC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、及びC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
[電荷制御剤]
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコアに電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコアに電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
[磁性粉]
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とする場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
[シェル層を構成する樹脂]
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
〔熱硬化性樹脂のモノマー〕
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキザールと尿素との反応物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキザールと尿素との反応物である。メラミン、尿素及びグリオキザールと反応させる尿素は、周知の変性を受けていてもよい。熱硬化性樹脂のモノマーは、シェル層の形成前にホルムアルデヒドによりメチロール化された誘導体として使用できる。
シェル層を構成する樹脂には、メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基を持つ熱可塑性樹脂に由来する単位を導入してもよい。このように、シェル層を構成する樹脂に、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含有させることで、熱可塑性樹脂に由来する単位に起因する適度な柔軟性を有すると共に、熱硬化性樹脂のモノマーが形成する三次元の架橋構造に起因する適度な機械的強度を有するシェル層を備えるトナー粒子を得ることができる。
メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような活性水素原子を含む官能基が挙げられる。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。シェル層の形成が容易であることから、熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む樹脂や、カルボジイミド基、オキサゾリン基、及びグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
シェル層を構成する樹脂中の、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。厚過ぎるシェル層を備えるトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成する場合、トナーを被記録媒体へ定着させる際にトナー粒子に圧力が印加されても、シェル層が破壊されにくい。この場合、トナーコアに含まれる結着樹脂や離型剤の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを被記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は、強度が低い。シェル層の強度が低いと、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊される場合がある。高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集することがある。高温条件下では、シェル層が破壊された箇所を通じて離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出することがあるためである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって、計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。このようなシェル層の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子に対して行い、測定対象の複数のトナー粒子それぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求める。求められる平均値を、トナー粒子が備えるシェル層の膜厚とする。
シェル層が薄すぎる場合、TEM画像上でシェル層とトナーコアとの界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と、エネルギー分散X線分光分析(EDX)とを組み合わせて、TEM画像中で、窒素のようなシェル層の材質に特徴的な元素のマッピングを行い、シェル層とトナーコアとの界面を明確化して、シェル層の厚さを計測すればよい。
シェル層の厚さは、シェル層を形成するために使用される熱硬化性樹脂のモノマーのような材料の使用量を調整することで、調整できる。シェル層の厚さは、トナーコアの比表面積に対する、熱硬化性樹脂のモノマーの量から、下記式を用いて求めることもできる。
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコアの比表面積
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコアの比表面積
[外添剤]
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
外添剤としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましい。
[キャリア]
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、及びコバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、及びアルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、及び鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、及びニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及びロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、並びに樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂としては、具体的に、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、及びポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、及びアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましい。
[トナーの製造方法]
トナーの製造方法は、トナーコアを前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。
トナーの製造方法は、トナーコアを前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。
トナーのガラス転移点Tgtは、30℃以上50℃以下が好ましい。高架式フローテスターを用いて測定されるトナーの軟化点Tmtは、70℃以上100℃以下であるのが好ましい。トナーのガラス転移点Tgt及び軟化点Tmtは、トナーを試料として用いて、前述する結着樹脂のガラス転移点及び軟化点と同様の方法で測定できる。トナーのガラス転移点Tgtの測定において、ガラス転移点が多段階で観測される場合、最も低温で観測される点をTgtとする。Tgt及びTmtがこのような範囲内であるトナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う際のオフセットの発生を抑制できる。Tgt及びTmtは、トナーコア中のポリエステル樹脂、及び離型剤の種類及び組成を調整することにより調整できる。
以下、本発明の静電潜像現像用トナーの好適な製造方法に関して、トナーコアの製造方法と、シェル層の形成方法とについて順に説明する。
〔トナーコアの製造方法〕
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコアの製造方法としては、粉砕法と、凝集法とが挙げられる。
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコアの製造方法としては、粉砕法と、凝集法とが挙げられる。
<粉砕法>
粉砕法は、必須成分である結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを混合した後、混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコアを得る方法である。粉砕法は、後述の凝集法と比較して、トナーコアの調製が容易である利点を有する。一方で、粉砕法は、粉砕工程を経てトナーコアを得るがゆえに、平均円形度の高いトナーコアを得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、後述するシェル層の形成工程では、シェル層の原料の加熱によりシェル層の硬化反応が進行する際に、やや軟化したトナーコアが表面張力によって収縮することでトナーコアが球形化される。従って、トナーコアを粉砕法で製造する場合、トナーコアの平均円形度が幾分低くても大きなデメリットとはならない。以上より、本発明のトナーの製造に用いるトナーコアの製造方法としては、粉砕法が特に好ましい。
粉砕法は、必須成分である結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを混合した後、混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコアを得る方法である。粉砕法は、後述の凝集法と比較して、トナーコアの調製が容易である利点を有する。一方で、粉砕法は、粉砕工程を経てトナーコアを得るがゆえに、平均円形度の高いトナーコアを得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、後述するシェル層の形成工程では、シェル層の原料の加熱によりシェル層の硬化反応が進行する際に、やや軟化したトナーコアが表面張力によって収縮することでトナーコアが球形化される。従って、トナーコアを粉砕法で製造する場合、トナーコアの平均円形度が幾分低くても大きなデメリットとはならない。以上より、本発明のトナーの製造に用いるトナーコアの製造方法としては、粉砕法が特に好ましい。
<凝集法>
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナーコアを含む水性分散液を得る。水性分散液から分散剤のような成分を除去し、洗浄したトナーコアを用いて、後述の方法でトナーコアにシェル層を形成する。このような手順により、粉砕法でトナーコアを製造した場合と同様のトナー粒子(トナー母粒子)を得られる。
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナーコアを含む水性分散液を得る。水性分散液から分散剤のような成分を除去し、洗浄したトナーコアを用いて、後述の方法でトナーコアにシェル層を形成する。このような手順により、粉砕法でトナーコアを製造した場合と同様のトナー粒子(トナー母粒子)を得られる。
トナーコアのpH4に調整された水性媒体中で測定されるゼータ電位は、負極性であるのが好ましく、−10mV以下であるのがより好ましい。以下、pH4に調整された水性媒体中でのトナーコアのゼータ電位の具体的な測定方法を説明する。
<pH4の水性媒体中でのトナーコアのゼータ電位の測定方法>
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得る。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得る。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定する。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得る。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得る。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定する。
標準キャリアと、標準キャリアに対して7質量%のトナーコアとをターブラミキサーを用いて30分間混合する場合のトナーコアの摩擦帯電量は、負極性であるのが好ましく、−10μC/g以下であるのがより好ましい。以下、摩擦帯電量の具体的な測定方法を説明する。
<摩擦帯電量の測定方法>
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、トナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。この時、トナーコアの使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、トナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。この時、トナーコアの使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
通常、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成する場合、トナーコアを、分散剤を含む水性媒体中で高度に分散させておく必要がある。しかし、トナーコアについて、上記の特定の条件で測定される標準キャリアとの摩擦帯電量が所定の範囲内の負の値である場合、水性媒体中で、トナーコアと、含窒素化合物であって水性媒体中で正に帯電する熱硬化性樹脂のモノマーとが、相互に電気的に引き寄せられる。そして、トナーコアの表面では、トナーコアに吸着された熱硬化性樹脂のモノマーと、熱可塑性樹脂との反応が良好に進行する。このため、水性媒体中で負帯電するトナーコアを用いてトナーコアの表面にシェル層を形成する場合、分散剤を用いてトナーコアを水性媒体中に高度に分散させずとも、トナーコアの表面に均一にシェル層を形成できる。
上記の所定の方法で測定される、トナーコアのpH4の水性媒体中でのゼータ電位が、所定の範囲内である場合にも、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、同様の効果が得られる。
上記の標準キャリアとの摩擦帯電量、及びpH4の水性媒体中でのゼータ電位の少なくとも一方が、上記の所定の範囲内の負の値であるトナーコアを用いてトナー粒子を製造する場合、上記のように、分散剤を用いることなく、均一なシェル層でトナーコアが被覆されたトナー粒子を得ることができる。このようにして、トナー粒子を製造する場合、排水負荷の非常に高い分散剤を用いないことによって、トナー粒子を製造する際に排出される排水の全有機炭素濃度を、排水を希釈することなく、15mg/L以下の低いレベルとすることが可能となる。
〔シェル層の形成方法〕
トナーコアを被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、必要に応じて、熱可塑性樹脂とを用いて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
トナーコアを被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、必要に応じて、熱可塑性樹脂とを用いて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
シェル層の形成は、シェル層を形成するための材料の水溶液にトナーコアを添加して行われるのが好ましい。水性媒体中にトナーコアを添加した後、水性媒体中にトナーコアを良好に分散させる方法としては、分散液を強力に撹拌できる装置を用いてトナーコアを水性媒体中に機械的に分散させる方法が挙げられる。
分散液を強力に撹拌できる装置を用いてトナーコアを水性媒体中に機械的に分散させる方法では、ハイビスミックス(プライミックス株式会社製)のような装置を用いるのが好ましい。
シェル層を形成するための材料の水溶液のpHは、トナーコアを水溶液に添加前に酸性物質を用いて4程度に調整されるのが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、後述するシェル層を形成させるために用いられる材料の重縮合反応が促進される。
必要に応じてシェル層を形成するための材料の水溶液のpHを調整した後、水性媒体中で、シェル層を形成するための材料とトナーコアとを混合する。その後、水性分散液中で、トナーコアの表面でのシェル層を形成させるための材料間の反応を進行させて、トナーコアの表面を被覆するシェル層を形成する。
トナーコアの表面でシェル層を形成する際の温度は、40℃以上95℃以下が好ましく、50℃以上80℃以下がより好ましい。このような範囲内の温度下でシェル層を形成することで、シェル層の形成が良好に進行する。
上記のようにしてシェル層を形成した後、シェル層で被覆されたトナーコアを含む水性分散液を常温まで冷却して、トナー粒子(トナー母粒子)の分散液を得ることができる。その後、必要に応じて、トナー粒子(トナー母粒子)を洗浄する洗浄工程、トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥する乾燥工程、及び、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程から選択される1以上の工程を経て、トナー粒子(トナー母粒子)の分散液からトナーが回収される。以下、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程について説明する。
(洗浄工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
(乾燥工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制することがあることからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制することがあることからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
(外添工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
以上説明した本発明の静電潜像現像用トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温でのオフセットの発生を抑制でき、本発明のトナーを用いることで耐摩擦性に優れる画像を形成できる。このため、本発明の静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[製造例1]
〔非結晶性ポリエステル樹脂A〜Cの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1060g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物688g、アルケニル無水コハク酸109g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、フマル酸285gを反応容器に添加した。フマル酸の添加後、反応混合物が表1に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂A〜Cを得た。
〔非結晶性ポリエステル樹脂A〜Cの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1060g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物688g、アルケニル無水コハク酸109g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、フマル酸285gを反応容器に添加した。フマル酸の添加後、反応混合物が表1に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂A〜Cを得た。
[製造例2]
〔非結晶性ポリエステル樹脂Dの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1575g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物163g、アルケニル無水コハク酸183g、テレフタル酸572g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、トリメリット酸無水物336gを反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、反応混合物が表1に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Dを得た。
〔非結晶性ポリエステル樹脂Dの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1575g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物163g、アルケニル無水コハク酸183g、テレフタル酸572g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、トリメリット酸無水物336gを反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、反応混合物が表1に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Dを得た。
[製造例3]
〔非結晶性ポリエステル樹脂Eの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物420g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物1,660g、テレフタル酸714g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、トリメリット酸無水物212gを反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、反応混合物が表2に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Eを得た。
〔非結晶性ポリエステル樹脂Eの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物420g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物1,660g、テレフタル酸714g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、トリメリット酸無水物212gを反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、反応混合物が表2に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Eを得た。
[製造例4]
〔非結晶性ポリエステル樹脂Fの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物108g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物2,002g、テレフタル酸426g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、フマル酸66gを反応容器に添加した。フマル酸の添加後、反応混合物が表2に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Fを得た。
〔非結晶性ポリエステル樹脂Fの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物108g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物2,002g、テレフタル酸426g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、フマル酸66gを反応容器に添加した。フマル酸の添加後、反応混合物が表2に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Fを得た。
[製造例5]
〔結晶性ポリエステル樹脂A及びBの調製〕
1,6−ヘキサンジオール132g、1,10−デカンジカルボン酸230g、触媒(酸化ジブチル錫)1g、及びハイドロキノン0.3gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度で副生水を留去しながら、5時間重合反応を行った。次いで、反応容器内を5〜20mmHgに減圧して、重合反応を継続し、同温度で、反応混合物が表3に記載の物性になるまで反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、結晶性ポリエステル樹脂A及びBを得た。結晶性ポリエステル樹脂A及びBについて、以下の方法に従って、融点Mpcを測定した。結晶性ポリエステル樹脂A及びBのMpcを表3に記す。
〔結晶性ポリエステル樹脂A及びBの調製〕
1,6−ヘキサンジオール132g、1,10−デカンジカルボン酸230g、触媒(酸化ジブチル錫)1g、及びハイドロキノン0.3gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度で副生水を留去しながら、5時間重合反応を行った。次いで、反応容器内を5〜20mmHgに減圧して、重合反応を継続し、同温度で、反応混合物が表3に記載の物性になるまで反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、結晶性ポリエステル樹脂A及びBを得た。結晶性ポリエステル樹脂A及びBについて、以下の方法に従って、融点Mpcを測定した。結晶性ポリエステル樹脂A及びBのMpcを表3に記す。
<Mpの測定方法>
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いた。アルミ皿に10mgの結晶性ポリエステル樹脂の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、融点(Mpc)として算出した。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いた。アルミ皿に10mgの結晶性ポリエステル樹脂の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、融点(Mpc)として算出した。
[製造例6]
〔離型剤A〜Cの調製〕
下記方法に従って、α−オレフィン重合体からなる、表4に記載の離型剤A〜Cを調製した。
〔離型剤A〜Cの調製〕
下記方法に従って、α−オレフィン重合体からなる、表4に記載の離型剤A〜Cを調製した。
熱乾燥させた1Lのオートクレーブに、表4に記載の炭素数のα−オレフィン200gと、トリイソブチルアルミニウム0.5mmolと、下式の化合物(触媒、(1,1’−Me2SiSiMe2)(2,2’−(iso−プロピル)2NB)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド)1μmolと、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート4μmolとを加えた。さらに、反応容器内に、反応容器内圧が0.8MPa(G)となるように水素を導入した後、重合温度100℃で240分間反応を行った。重合反応終了後、反応容器の内容物に、アセトンを加えてα−オレフィン重合体を沈殿させた。沈殿を回収した後、乾燥させ、α−オレフィン重合体である離型剤A〜Cを得た。離型剤A〜Cについて、以下の方法に従って、融点Mpr、及び融解時の吸熱量Qrを測定した。また、離型剤A〜Cについて、JISK2235(1991)に記載の方法に従って、25℃での針入度を測定した。離型剤A〜CのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表4に記す。
<Mpr及びQrの測定方法>
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いた。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、離型剤の融点(Mpr)とし、DSC曲線中の吸熱ピークから融解時の吸熱量Qrを算出した。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC200(セイコーインスツル株式会社製)を用いた。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。30℃/分の速度で200℃まで昇温を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、離型剤の融点(Mpr)とし、DSC曲線中の吸熱ピークから融解時の吸熱量Qrを算出した。
〔離型剤D及びE〕
離型剤D及びEとして、表5に記載の種類の日本精蝋株式会社製のフィッシャートロプシュワックスを用いた。離型剤D及びEについて、離型剤Aと同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤D及びEのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表5に記す。
離型剤D及びEとして、表5に記載の種類の日本精蝋株式会社製のフィッシャートロプシュワックスを用いた。離型剤D及びEについて、離型剤Aと同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤D及びEのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表5に記す。
[製造例7]
〔離型剤F及びG〕
下記方法に従って、変性オレフィンワックスからなる、表6に記載の離型剤F及びGを調製した。
〔離型剤F及びG〕
下記方法に従って、変性オレフィンワックスからなる、表6に記載の離型剤F及びGを調製した。
製造例5で得られた離型剤A(α−オレフィン重合体)を、ガラス製の反応容器中に加えた。窒素雰囲気下に、100℃で離型剤aを溶融させた。溶融した離型剤Aを撹拌しながら、反応容器内に、60℃に加熱された液状無水マレイン酸26.7gと、60℃に加熱されたジ−tert−ブチルパーオキシド10.5gとを、それぞれ異なる滴下漏斗から、3時間かけて滴下した。その後、反応容器中にジ−tert−ブチルパーオキシド1.1gを加え、反応容器の内容物の温度を表6に記載の反応温度まで上昇させた。次いで、同温度で2時間、反応容器の内容物を撹拌した。2時間撹拌後、反応容器内を22mmHgまで減圧し、揮発性成分を留去した。30分間静置した後、反応容器内に窒素を導入し、反応容器内を大気圧にした。残りの揮発性成分を分離するため、反応容器内に、さらに15分間、窒素を導通した後、反応容器内から変性オレフィンワックスからなる離型剤F及びGを得た。離型剤F及びGについて、離型剤A同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤F及びGのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表6に記す。
[製造例8]
〔離型剤H及びI〕
下記方法に従って、エステルワックスからなる、表7に記載の離型剤H及びIを調製した。
〔離型剤H及びI〕
下記方法に従って、エステルワックスからなる、表7に記載の離型剤H及びIを調製した。
4つロフラスコに、それぞれ表7に記載の種類及び量の、アルコール成分とカルボン酸成分とを加えた。次いで、窒素気流下、220℃で副生水を留去しつつ、大気圧下で、15時間反応を行い、エステルの粗生成物を得た。得られた粗生成物100質量部に対して、20質量部のイオン交換水をフラスコ内に入れた。フラスコの内容物を、70℃で30分間撹拌し、粗生成物を水洗した。その後、フラスコの内容物を30分間静置して、有機層と、洗浄水層とに分液し、洗浄水層を除去した。洗浄水のpHが中性になるまで、水洗を繰り返した。洗浄後の有機層(エステル層)を、7.5mmHgの減圧条件下で180℃に加熱して、揮発物を留去し、エステルワックスからなる離型剤H及びIを得た。離型剤H及びIについて、離型剤Aと同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤H及びIのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表7に記す。
〔離型剤J〕
表8に記載の種類の日本精蝋株式会社製のパラフィンワックス(HNP−10)を離型剤Jとして用いた。離型剤Jについて、離型剤Aと同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤JのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表8に記す。
表8に記載の種類の日本精蝋株式会社製のパラフィンワックス(HNP−10)を離型剤Jとして用いた。離型剤Jについて、離型剤Aと同様に、融点Mpr、融解時の吸熱量Qr、及び25℃での針入度を測定した。離型剤JのMpr、Qr、及び25℃での針入度を表8に記す。
[実施例1〜15、及び比較例1〜3]
〔トナーコアの調製〕
結着樹脂として、表9〜12に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))5質量部と、表9〜12に記載の種類の離型剤5質量部とを、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。
〔トナーコアの調製〕
結着樹脂として、表9〜12に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))5質量部と、表9〜12に記載の種類の離型剤5質量部とを、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。
次いで、混合物を、2軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて溶融混練して混練物を得た。混練物を、機械式粉砕機(ターボミル(ターボ工業株式会社製))を用いて粉砕し、粉砕物を得た。粉砕物を、分級機(エルボージェット(日鉄鉱業株式会社製))を用いて分級し、体積平均粒子径(D50)が6.0μmのトナーコアを得た。トナーコアの体積平均粒子径は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。実施例1のトナーの調製に用いるトナーコアについて、その一部を取り出し、それを、標準キャリアとの摩擦帯電量の測定と、pH4の分散液中のゼータ電位の測定とに用いた。
下記方法に従って、得られたトナーコアについて、標準キャリアとの摩擦帯電量と、pH4の分散液中のゼータ電位とを測定した。実施例1のトナーの調製に用いるトナーコアの、標準キャリアとの摩擦帯電量は−20μC/gであり、pH4の分散液中のゼータ電位は−30mVであった。
<標準キャリアとの摩擦帯電量の測定方法>
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、標準キャリアの質量に対して7質量%のトナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合した。得られた混合物を測定試料として、標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定した。このようにして測定される摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、標準キャリアの質量に対して7質量%のトナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合した。得られた混合物を測定試料として、標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定した。このようにして測定される摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
<pH4の分散液中のゼータ電位の測定方法>
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得た。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得た。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定した。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得た。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得た。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定した。
〔シェル層形成工程〕
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表9〜12に記載の量のメチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)を添加した。次いで、フラスコの内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表9〜12に記載の量のメチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)を添加した。次いで、フラスコの内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
水溶液(A)に、トナーコア300gを添加し、フラスコの内容物を200rpmの速度で1時間撹拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水300mLを追加した。その後、フラスコの内容物を100rpmで撹拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内温を70℃まで上げた。昇温後、同温度、100rpmの条件でフラスコの内容物を2時間撹拌し続けた。その後、フラスコ内に、水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却してトナー母粒子を含む分散液を得た。なお、比較例1では、シェル層の形成工程でトナーコアが凝集したため、以降の操作と、トナーの評価とを行わなかった。
〔洗浄工程〕
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
〔乾燥工程〕
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
〔外添工程〕
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))0.5質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))0.5質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
[実施例16及び17]
結着樹脂として、表13に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂85質量部と、表13に記載の種類の結晶性ポリエステル樹脂15質量部とを用いる他は、実施例1と同様にして、実施例16及び17のトナーを得た。
結着樹脂として、表13に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂85質量部と、表13に記載の種類の結晶性ポリエステル樹脂15質量部とを用いる他は、実施例1と同様にして、実施例16及び17のトナーを得た。
[実施例18]
シェル層の原料を、メチロールメラミン水溶液から、メチロール化尿素の水溶液(MX−280(日本カーバイド工業株式会社製))6mLに変えることの他は、実施例1と同様にして、実施例18のトナーを得た。
シェル層の原料を、メチロールメラミン水溶液から、メチロール化尿素の水溶液(MX−280(日本カーバイド工業株式会社製))6mLに変えることの他は、実施例1と同様にして、実施例18のトナーを得た。
[比較例4]
シェル層の形成工程を行わず、トナーコアをトナー母粒子として用いた。トナー母粒子を実施例1と同様に外添処理して、比較例4のトナーを得た。
シェル層の形成工程を行わず、トナーコアをトナー母粒子として用いた。トナー母粒子を実施例1と同様に外添処理して、比較例4のトナーを得た。
≪トナーのガラス転移点Tgt、及び軟化点Tmt≫
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーについて、ガラス転移点Tgtを、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、軟化点Tmtを、高架式フローテスターを用いて測定した。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーのTmtを、表9〜13に記す。
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーについて、ガラス転移点Tgtを、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、軟化点Tmtを、高架式フローテスターを用いて測定した。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーのTmtを、表9〜13に記す。
≪シェル層の厚さ≫
実施例1〜18、比較例2、及び比較例3のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。なお、トナー粒子がシェル層を備えないため、比較例4のトナーに含まれるトナー粒子についてシェル層の厚さを測定しなかった。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜18、比較例2、及び比較例3のトナーに含まれるトナー粒子が備えるシェル層の厚さを、表9〜13に記す。
実施例1〜18、比較例2、及び比較例3のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。なお、トナー粒子がシェル層を備えないため、比較例4のトナーに含まれるトナー粒子についてシェル層の厚さを測定しなかった。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜18、比較例2、及び比較例3のトナーに含まれるトナー粒子が備えるシェル層の厚さを、表9〜13に記す。
<トナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法>
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
<シェル層の厚さの測定方法>
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
≪評価1≫
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表9〜13に記す。
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表9〜13に記す。
<耐熱保存性評価>
トナー2gを、容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度(%)を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度(%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が30%以下。
×:凝集度が30%超。
トナー2gを、容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度(%)を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度(%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が30%以下。
×:凝集度が30%超。
≪評価2≫
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性を評価した。低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性の評価は、以下の方法に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーの低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性の評価結果を、表9〜13に記す。
実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性を評価した。低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性の評価は、以下の方法に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜18、及び比較例2〜4のトナーの低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成された画像の耐摩擦性の評価結果を、表9〜13に記す。
[製造例9]
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(TASKalfa5550用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルにて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(TASKalfa5550用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルにて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
<低温定着性評価>
評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(FSC−5250DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いた。製造例9で調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機について、線速を200mm/秒、及びトナー載り量を1.0mg/cm2に設定して、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。100℃以上200℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。ベタ画像が定着された被記録媒体を、画像を形成した面が内側となるように半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。次いで、被記録媒体を広げ、定着された画像の折り曲げ部を観察した。折り曲げ部のトナーの剥がれが1mm以下の場合を合格と判定し、1mm超の場合を不合格と判定した。トナーの剥がれが合格と判定される最低の定着温度を最低定着温度とした。低温定着性を、下記基準に従って評価した。
○:最低定着温度が160℃以下。
×:最低定着温度が160℃超。
評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(FSC−5250DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いた。製造例9で調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機について、線速を200mm/秒、及びトナー載り量を1.0mg/cm2に設定して、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。100℃以上200℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。ベタ画像が定着された被記録媒体を、画像を形成した面が内側となるように半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。次いで、被記録媒体を広げ、定着された画像の折り曲げ部を観察した。折り曲げ部のトナーの剥がれが1mm以下の場合を合格と判定し、1mm超の場合を不合格と判定した。トナーの剥がれが合格と判定される最低の定着温度を最低定着温度とした。低温定着性を、下記基準に従って評価した。
○:最低定着温度が160℃以下。
×:最低定着温度が160℃超。
<耐高温オフセット性評価>
低温定着性の評価と同様の評価機、及び被記録媒体を用い、同様の条件で、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。140℃以上230℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を140℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。オフセットが発生した最低温度をオフセット発生温度とした。耐高温オフセット性を、下記基準に従って評価した。
○:オフセット発生温度が200℃以上。
×:オフセット発生温度が200℃未満。
低温定着性の評価と同様の評価機、及び被記録媒体を用い、同様の条件で、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。140℃以上230℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を140℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。オフセットが発生した最低温度をオフセット発生温度とした。耐高温オフセット性を、下記基準に従って評価した。
○:オフセット発生温度が200℃以上。
×:オフセット発生温度が200℃未満。
<耐摩擦性評価>
低温定着性の評価と同様の評価機、及び被記録媒体を用い、定着温度を180℃に設定する以外は低温定着性の評価と同様条件で、評価用画像を得た。得られた評価用画像を、底面をさらし布(鈴蘭製)で被覆した1kgの分銅を用いて、評価用画像を分銅の底面で10往復摩擦した。摩擦後、さらし布の評価用画像と摩擦された部分の画像濃度(摩擦後画像濃度)を、反射濃度計(グレタグマクベススペクトロアイ(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。摩擦後のさらし布の画像濃度の値から、評価用画像を摩擦する前のさらし布の画像濃度の値を引いた値(評価用画像濃度)を用いて、形成された画像の耐摩擦性を、下記基準に従って評価した。
○:評価用画像濃度が0.10以下。
×:評価用画像濃度が0.10超。
低温定着性の評価と同様の評価機、及び被記録媒体を用い、定着温度を180℃に設定する以外は低温定着性の評価と同様条件で、評価用画像を得た。得られた評価用画像を、底面をさらし布(鈴蘭製)で被覆した1kgの分銅を用いて、評価用画像を分銅の底面で10往復摩擦した。摩擦後、さらし布の評価用画像と摩擦された部分の画像濃度(摩擦後画像濃度)を、反射濃度計(グレタグマクベススペクトロアイ(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。摩擦後のさらし布の画像濃度の値から、評価用画像を摩擦する前のさらし布の画像濃度の値を引いた値(評価用画像濃度)を用いて、形成された画像の耐摩擦性を、下記基準に従って評価した。
○:評価用画像濃度が0.10以下。
×:評価用画像濃度が0.10超。
実施例1〜18から、
・結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)離型剤の融解時の吸熱量Qrが80J/g以上であり、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、耐摩擦性に優れる画像を形成できることが分かる。
・結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)離型剤の融解時の吸熱量Qrが80J/g以上であり、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、耐摩擦性に優れる画像を形成できることが分かる。
比較例1では、シェル層の形成工程でトナーコアが凝集したためトナーが得られなかった。
比較例2から、融点Mprが高すぎる離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、低温定着性に劣ることが分かる。
比較例3から、融解時の吸熱量Qrが過少である離型剤を含むトナーコアを用いて調製されたトナー粒子を含むトナーは、耐摩擦性に優れる画像を形成できないことが分かる。
比較例4から、シェル層を備えないトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性に劣ることがあることが分かる。比較例4のトナーに含まれるトナー粒子では、トナーコアに含まれる離型剤のような成分のトナー粒子表面への染み出しが容易に生じる。このため、比較例7のトナーは、耐熱保存性に劣ると思われる。
Claims (7)
- 結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
示差走査熱量計を用いて測定される、
(1)前記離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、且つ、
(2)前記離型剤の融解時の吸熱量Qrが80J/g以上であり、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、静電潜像現像用トナー。 - 前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなる、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記離型剤の25℃における針入度が5mm以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記結着樹脂がポリエステル樹脂からなり、
前記ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)が8,000以上50,000以下であり、
前記質量平均分子量(Mw)と前記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)との比で表される、前記ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が8以上50以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記ポリエステル樹脂の酸価が、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
前記ポリエステル樹脂の水酸基価が、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である、請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
示差走査熱量計を用いて測定される、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpcが50℃以上100℃以下である、請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記トナーのガラス転移点Tgtが30℃以上50℃以下であり、
前記トナーの、高架式フローテスターを用いて測定される軟化点Tmtが70℃以上100℃以下である、請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
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