JP6252387B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
結着樹脂としては、トナー用の結着樹脂として用いられている公知の樹脂を使用できる。後述するように、本実施形態のトナーでは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のモノマーとの反応により生成する樹脂からなるシェル層で、トナーコアが被覆されている。このため、結着樹脂としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような官能基を持つ樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を持つ樹脂がより好ましい。このような樹脂が有する水酸基のような官能基は、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと反応して化学的に結合する。従って、このような結着樹脂を用いてトナーを製造すると、シェル層がトナーコアに強固に結合するトナーを調製できる。
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(質量%)=(X/107.5)×100 (1)
高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて結着樹脂の軟化点(Tmr)の測定を行う。測定試料を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tmr)を測定する。高化式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tmr)を読み取る。
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコアは必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコアに電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト又はマグネタイトのような鉄;コバルト又はニッケルのような強磁性金属;鉄及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、例えば、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマー又はプレポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー又はプレポリマーである。
シェル層を構成する樹脂に熱可塑性樹脂に由来する単位を導入するために用いられる熱可塑性樹脂は、メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基を持つ熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂モノマーが有する官能基との反応性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような活性水素原子を含む官能基が挙げられる。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。シェル層の形成を容易にするためには、熱可塑性樹脂として、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む樹脂、又は、カルボジイミド基、オキサゾリン基、もしくはグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含む樹脂を用いることが好ましい。シェル層の形成に使用される熱可塑性樹脂は、水溶性を有することが好ましく、水性媒体中で、熱硬化性樹脂のモノマーやトナーコアと化学的に結合できることが好ましい。
シェル層の厚さ=(熱硬化性樹脂のモノマーの量+熱可塑性樹脂の量)/トナーコアの比表面積
本実施形態のトナーは、必要に応じて、その表面に外添剤を付着させたトナー粒子を含んでいてもよい。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
トナーの製造方法としては、前述の材質からなるシェル層でトナーコアを被覆でき、所定の範囲内の平均円形度を有するトナー粒子を含むトナーを製造できる方法が好ましい。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いてトナー粒子の円形度を測定する。詳しくは、23℃、60%RHの環境下で、3000個のトナー粒子について、粒子像と同じ投影面積を持つ円の円周の長さ(L0)と、粒子投影像の外周の長さ(L)とを測定し、下式により円形度を求める。3000個のトナー粒子の測定データを用いて、平均円形度を算出する。3000個のトナー粒子の円形度の総和を、測定したトナー粒子の数(3000)で除した値を平均円形度とする。
(円形度算出式)円形度=L0/L
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコアの好適な製造方法としては、凝集法と粉砕法とが挙げられる。所定の範囲内の平均円形度を有するトナー粒子を含むトナーの調製が容易であることと、トナーコアの調製が容易であることとから、これらの方法の中では粉砕法が好ましい。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、日本触媒株式会社製「K−85」)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に分散媒(界面活性剤を含むイオン交換水)に分散させて分散液を得る。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得る。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて測定する。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)100質量部と、トナーコア7質量部とを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(TREK社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさとの指標となる。
粉砕法では、必須成分である結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを混合した後、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコアを得る。粉砕法は、後述の凝集法と比較して、トナーコアの調製が容易である利点を有する。一方で、粉砕法は、粉砕工程を経てトナーコアを得るがゆえに、平均円形度の高いトナーコアを得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子を製造する場合、後述するシェル層の形成工程において、加熱によりシェル層の硬化反応が進行する際にトナーコアが表面張力によって収縮することで、やや軟化したトナーコアが球形化される。従って、トナーコアを粉砕法で製造する場合、トナーコアの平均円形度が幾分低くても、所望の平均円形度を有するトナー粒子を含むトナーを調製し易い。
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナーコアを含む水性分散液を得る。水性分散液から分散剤のような成分を除去し、洗浄したトナーコアを用いて、後述の方法でトナーコアの表面にシェル層を形成する。このような手順により、粉砕法と同様、トナー粒子(トナー母粒子)が得られる。
トナーコアを被覆するシェル層は、メラミン、尿素、又はグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、熱可塑性樹脂とを反応させて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐことが望ましい。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われることが好ましい。
トナー母粒子は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。トナー母粒子の好適な洗浄方法としては、遠心分離法又はフィルタープレス法によって、トナー母粒子を含む水性分散液を固液分離し、得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、水を用いて洗浄する方法が一般的である。
トナー母粒子は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー母粒子を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法が特に好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
必要に応じてトナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないように条件を調整して、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)やナウターミキサー(登録商標)のような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔ポリエステル樹脂の製造〕
以下の方法に従って、表1に記載のガラス転移点(Tgr)、軟化点(Tmr)、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、酸価、及び水酸基価を有するポリエステル樹脂a〜eを製造した。
テレフタル酸1245g、イソフタル酸1245g、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1248g、エチレングリコール744g、及びアジピン酸100gを、5Lの4つ口フラスコに仕込んだ。次いで、フラスコ内を窒素雰囲気とし、攪拌しながらフラスコ内部の温度を250℃まで上昇させた。次いで、常圧、250℃で4時間反応を行った後、三酸化アンチモン0.875g、トリフェニルホスフェート0.548g、及びテトラブチルチタネート0.102gを、フラスコ内に添加した。次いで、フラスコ内を0.3mmHgに減圧して、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた。次いで、280℃で6時間、反応を行った。次いで、架橋剤として、トリメリット酸30.0gをフラスコ内に添加し、フラスコ内部の圧力を常圧に戻し、フラスコ内部の温度を270℃まで降下させた。次いで、常圧、270℃で1時間、反応を行った。反応終了後、フラスコの内容物を取り出し、冷却してポリエステル樹脂aを得た。
トリメリット酸の添加量を20.0gに変更したことの他は、ポリエステル樹脂aと同様にしてポリエステル樹脂bを得た。
トリメリット酸の添加量を36.0gに変更したことの他は、ポリエステル樹脂aと同様にしてポリエステル樹脂cを得た。
エチレングリコールの使用量を950gに変更したことの他は、ポリエステル樹脂aと同様にしてポリエステル樹脂dを得た。
テレフタル酸の使用量とイソフタル酸の使用量とをそれぞれ1328gに変更したことの他は、ポリエステル樹脂aと同様にしてポリエステル樹脂eを得た。
〔トナーコアA〜Eの製造〕
表2に記載の種類の結着樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、銅フタロシアニン)5質量部と、離型剤(エステルワックス、日油株式会社製「WEP−3」)5質量部とを、混合機(FMミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。次いで、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練して、混練物を得た。次いで、得られた混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)を用いて粉砕し、粉砕物を得た。次いで、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェット」)を用いて分級し、体積平均粒子径(D50)が6.0μm、平均円形度が0.93のトナーコアを得た。トナーコアの体積平均粒子径は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定した。トナーコアの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて測定した。得られたトナーコアの一部を取り出し、それを、ガラス転移点の測定と、標準キャリアとの摩擦帯電量の測定と、pH4の分散液中のゼータ電位の測定とに用いた。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)100質量部と、トナーコア7質量部とを、ターブラミキサーを用いて30分間混合した。得られた混合物を測定試料として、標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(TREK社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて測定した。このようにして測定される摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさとの指標となる。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、日本触媒株式会社製「K−85」)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に分散媒(界面活性剤を含むイオン交換水)に分散させて分散液を得た。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得た。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて測定した。
・熱硬化性樹脂のモノマーの水溶液
Ma:メチロールメラミンの水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)607」、固形分濃度80質量%)
Mb:メチロール化尿素の水溶液(DIC株式会社製「BECKAMINE(登録商標)J−300S」、固形分濃度70質量%)
・熱可塑性樹脂の水溶液
TPRa:ポリアクリルアミドの水溶液(DIC株式会社製「BECKAMINE(登録商標)A−1」、固形分濃度11質量%)
TPRb:アクリルアミド系共重合体の水溶液(単量体組成:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/アクリルアミド/メタクリル酸−メトキシポリエチレングリコール=30/50/20(モル比率)、固形分濃度:5質量%、ガラス転移点(Tg):110℃、質量平均分子量:55,000)
〔シェル層形成工程〕
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表3〜5に記載の種類及び量の熱硬化性樹脂のモノマーの水溶液と、表3〜5に記載の種類及び量の熱可塑性樹脂の水溶液とを添加した。次いで、フラスコの内容物を攪拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液を減圧ろ過して、ウエットケーキ状のトナー母粒子を得た。得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を再度イオン交換水に分散させて、トナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
ウエットケーキ状のトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させて、スラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーの乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))1.0質量部とを、10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して、トナー母粒子に外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩によりトナーを篩別した。
熱硬化性樹脂のモノマーの水溶液の使用量を表5に記載の量に変えることと、熱可塑性樹脂の水溶液を用いないこととの他は、実施例1と同様にして比較例3のトナーを得た。
実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。また、実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーに含まれるトナー粒子の平均円形度を以下の方法に従って測定した。実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーについて、トナー粒子が備えるシェル層の厚さと、トナー粒子の平均円形度とを、表3〜5に示す。
トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いてトナー粒子の円形度を測定した。詳しくは、23℃、60%RHの環境下において、3000個のトナー粒子について、粒子像と同じ投影面積を持つ円の円周の長さ(L0)と、粒子投影像の外周の長さ(L)とを測定し、下式により円形度を求めた。3000個のトナー粒子の測定データを用いて、平均円形度を算出した。測定した3000個のトナー粒子の円形度の総和を、測定したトナー粒子数(3000)で除した値を平均円形度とした。
(円形度算出式)円形度=L0/L
以下の方法に従って評価した実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表3〜5に示す。
トナー2gを、容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、得られた耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、100メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度(質量%)を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○の評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度(質量%)=(篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量)×100
○:凝集度が20質量%以下であった。
×:凝集度が20質量%超であった。
実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、転写性、及びクリーニング性を評価した。低温定着性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」、中間転写ベルトを備えたプリンター)を用いた。以下の方法に従って調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機は、線速を200mm/秒、トナー載り量を1.0mg/cm2にそれぞれ設定した。実施例1〜9及び比較例1〜3のトナーの低温定着性、転写性、及びクリーニング性の評価結果を、表3〜5に示す。
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(FS−C5250DN用キャリア)100質量部と、トナー10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
上記評価機を用いて、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。定着温度を100℃以上200℃以下の範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させて、ベタ画像がオフセットすることなく被記録媒体に定着できる最低温度である最低定着温度を測定した。トナーの低温定着性を、下記基準により評価した。
○:最低定着温度が160℃以下であった。
×:最低定着温度が160℃超であった。
転写性評価試験として、25℃、60%RHの環境下、印字率5%の条件で、1万枚連続して文字パターン画像の形成を行った。転写性評価試験後に、感光体ドラムから中間転写ベルトへの転写(1次転写)において、感光体ドラムのクリーニング部で回収された残留トナーの量(a)と、中間転写ベルトから被記録媒体への転写(2次転写)において、中間転写ベルトのクリーニング部で回収された残留トナーの量(b)とを測定した。残留トナーの量(a)から、下記式に従って1次転写の転写効率A[%]を算出した。また、残留トナーの量(a)及び(b)から、下記式に従って2次転写の転写効率B[%]を算出した。算出したA及びBから、下記式に従って、評価機全体の転写効率C[%]を算出した。なお、転写性評価試験で使用したトナー量をtとした。
(転写効率算出式)
1次転写の転写効率A[%]=((t−a)/a)×100
2次転写の転写効率B[%]=(((t−a)−b)/(t−b))×100
全体の転写効率C[%]=100−((100−A)+(100−B))
(評価基準)
○:転写効率が93%以上であった。
×:転写効率が93%未満であった。
評価機を用いて、ベタ画像を形成した直後に白紙画像を形成し、トナーすり抜けの状態を目視により観察して、下記基準に従ってクリーニング性を評価した。
○:白紙画像中にトナーすり抜けによる黒筋が確認されなかった。
×:白紙画像中に多量のトナーすり抜けによる黒筋が確認された。
・結着樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層と、からなるトナー粒子を含むトナーであって、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
・トナー粒子の平均円形度が0.950以上0.985以下である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、クリーニング部でのトナーすり抜けに起因する形成画像における画像不良の発生を抑制でき、被記録媒体に高い転写効率で転写されることが分かる。
Claims (2)
- 結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナー粒子の平均円形度が0.950以上0.985以下であり、
pH4に調整された水性媒体中で測定される前記トナーコアのゼータ電位が、−20mV以上−4mV以下である、静電潜像現像用トナー。 - 結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナー粒子の平均円形度が0.950以上0.985以下であり、
前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む、静電潜像現像用トナー。
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