JP4519700B2 - 静電荷現像用トナー及び該トナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、静電荷現像用トナー及び該トナーの製造方法に関する。
最近のOA機器の目覚しい発達に伴い、電子写真方式により印刷を行うプリンタ、ファクシミリ、コピー機などが広く普及している。電子写真方式においては、一般に、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体の表面に静電荷像を形成し、この静電荷像をトナーで現像し、このトナー像を紙などの転写材に定着させることによって画像が形成される。
従来から、静電荷像を現像するためのトナー(以下「静電荷像現像トナー」と称す)の製造方法は、乾式法と湿式法とに大別される。乾式法としては、例えば、結着用樹脂、着色剤などを混練して粉砕・分級する粉砕法が挙げられる。一方、湿式法としては、例えば、イ)着色剤の存在下に、懸濁安定剤によって分散媒中に分散させた結着樹脂のモノマーを重合させ、生成する結着樹脂粒子中に着色剤を包含させてトナーを得る懸濁重合法、ロ)樹脂分散液と、着色剤を分散媒に分散させた着色剤分散液とを混合して凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱融合してトナーを得る乳化重合凝集法、ハ)水分散性樹脂および着色剤を有機溶媒に溶解または分散させ、撹拌下、この溶液または分散液に該水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加え、着色剤などを内包する樹脂滴を生成させ、これを転相乳化させてトナーを得る転相乳化法、ニ)結着樹脂および着色剤を結着樹脂が溶解可能な有機溶媒中に溶解または分散させ、この溶液または分散液に、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの難水溶性アルカリ土類金属塩の水分散液を混合して造粒を行い、有機溶媒を除去してトナーを得る溶解懸濁法(例えば、特許文献1〜7参照)、ホ)結着樹脂および着色剤を非水溶性有機溶媒に溶解または分散させ、この溶液または分散液を水性分散液中に乳化分散させた後、有機溶媒を除去してトナーを得る乳化分散法(例えば、特許文献8〜13参照)などが挙げられる。また、ヘ)有機溶媒を用いずに、イオン性基を有する樹脂および着色剤の溶融体と、イオン性基を中和する物質を含む水性媒体とを、加熱加圧下に混合してトナーを得る方法も知られている(例えば、特許文献14を参照のこと)。
乾式法によって得られるトナーは、比較的幅の広い粒度分布を持ち、帯電性能にばらつきを生じ易い。帯電性能がばらついたトナーを用いて画像を形成すると、例えば、画像に色むらなどが発生して好ましくない。これに対して、湿式法では、粒度分布が小さくかつ帯電性能のばらつきが少ないトナーを比較的容易に製造できるので、トナーの製造には湿式法を採用することが多い。しかしながら、湿式法にも解決すべき課題がある。
例えば、得られるトナー粒子中に、結着樹脂を溶解または分散させるための有機溶媒、結着樹脂のモノマーなどが微量に残留することにより、該トナー粒子の帯電性能をばらつかせることがある。また、結着樹脂を溶解または分散させるための有機溶媒を除去する際の圧力(減圧)、温度、時間などによって、トナー粒子の形状が不均一になり、その帯電性能にばらつきを生じることもある。
また、上記イ)の懸濁重合法では、得られるトナー粒子の表面に懸濁安定剤またはモノマーが残留し、トナー粒子の帯電性能を悪化させる。懸濁安定剤、モノマーの除去には繁雑な工程を要し、トナーの製造コストを上昇させる。
また、上記ヘ)の方法では、生成するトナー粒子が付着しあって粗大化するという問題がある。これを防止するためには、混合後の混合系内における液温などの諸条件を精密に制御する必要があるが、そのような制御は現実には非常に困難である。
湿式法においても、使用される有機溶媒、結着樹脂のモノマーなどは、環境に与える負荷が大きいので、処理設備などが必要になり、製造コストを増大させる。
さらに、上記した従来の方法によっては、転写材上に形成される画像の画質(画像濃度、白地カブリの有無など)、転写材への転写率などの特性に優れたトナーが得られ難い。
また、上記種々のトナー製法に共通する課題として、トナーの帯電性制御法が挙げられる。トナーには、十分な帯電量とその安定性が求められており、帯電制御剤の添加・分散方法に関する技術が報告されている。しかしながら、粉砕法によるトナー製造方法において、溶融混練の際に帯電制御剤を添加する場合、分散の制御に関する技術はこれまでに開示されていない。
これに対して、粉砕法によるトナー製造方法において、帯電制御剤を外添する方法は開示されている。例えば、芯粒子表面に合成樹脂からなる微粒子を静電的に付着させ、微粒子表面を機械的せん断力によって溶融し成膜化して、さらに荷電制御剤を溶融固着する方法が開示されている(例えば、特許文献15を参照のこと)。しかしながら、この方法では、帯電制御剤を粉末で添加するので帯電制御剤の分散状態や付着する帯電制御剤の粒径を制御することは困難である。
粉砕法以外のトナー製造方法として、懸濁重合法や乳化重合法などの重合トナーの製造方法も知られている。
重合トナーの帯電性能を制御する方法については、例えば、トナー粒子と帯電制御剤の乳化分散液を混合して、トナー粒子の表面に帯電制御剤を付着させた後、トナー粒子のガラス転移点付近まで加熱することによって、トナー粒子の表面上に帯電制御剤を固着させる方法が開示されている(例えば、特許文献16を参照のこと)。しかしながら、この方法においては、粉末状態の帯電制御剤を乳化剤で分散したものを添加するので、帯電制御剤の分散状態や付着する粒径を制御することに困難を伴う。
また、懸濁重合によって得た着色重合体粒子にメタノールなどの溶媒に分散した帯電制御剤を混ぜ合わせ、該粒子表面上に帯電制御剤を付着させる調製方法も知られている(例えば、特許文献17を参照のこと)。
しかしながら、上記した従来の方法では帯電制御剤を有効に利用するについては問題はないものの、トナー粒子補油面上への帯電制御剤の付着が不十分になりやすく、解決されるべき課題を抱えていた。すなわち、帯電制御剤が着色重合体の粒子表面から脱離し易く、トナーとしての使用に際して帯電阻害を起こしやすいという問題点があった。
特開平7−152202号公報 特開平7−168395号公報 特開平7−168396号公報 特開平7−219267号公報 特開平8−179555号公報 特開平8−179556号公報 特開平9−230624号公報 特開平7−325429号公報 特開平7−325430号公報 特開平7−333890号公報 特開平7−333899号公報 特開平7−333901号公報 特開平7−333902号公報 特許第3351505号明細書 特許2625805号明細書 特開2001−134013号公報 特開平4−67155号公報
本発明は、上記した従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明はトナーの帯電性能に悪影響を及ぼす成分のトナー粒子表面への露出などを伴うことなく、トナー粒子の大きさが均一で静電荷像現像用トナーとしての諸特性に優れるトナーならびに該トナーの製造方法を提供する。
本発明のトナーは、少なくとも合成樹脂および着色剤とを含む樹脂粒子と、その樹脂粒子表面に帯電制御樹脂成分が溶融状態を経て融着した帯電制御樹脂成分からなる外殻とから構成されることを特徴とする。
本発明は、また、前記トナーの製造方法を提供する。本発明のトナーの製造方法においては、以下の2つの工程、すなわち、
工程(A): 芯粒子となる、少なくとも合成樹脂および着色剤を含みかつ有機溶媒を含
まない樹脂粒子と、軟化点が該芯粒子の主樹脂の軟化点より低い帯電制御樹
脂成分とに、水溶性の高分子分散剤の水溶液を添加して、加熱下または加熱
加圧下で混合して、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹
脂粒子を生成する工程
工程(B): 上記工程(A)で得られた該合成樹脂粒子を含んだ混合物を冷却し、着色
剤を含有する合成樹脂粒子のみを該混合物中から分離して乾燥する工程
を含むことを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法においては、芯粒子としての主樹脂が、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
さらに本発明のトナーの製造方法においては、前述の工程(A)における水溶性の高分子分散剤として、ポリカルボン酸化合物を好適に用いることができる。
本発明によれば、工程(A)では芯粒子と該芯粒子樹脂の軟化点より低い帯電制御樹脂成分とを水溶性の高分子分散剤の水溶液と混合することによって、帯電制御樹脂成分が微粒子化し、トナー原体である、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子が造粒される。このとき、帯電制御樹脂成分は加熱され、溶融状態にあるので粘着性を持ち、芯粒子の表面に付着して帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子を生成する。工程(B)で加熱下または加熱加圧下での合成樹脂粒子の生成後、冷却により着色剤を含む芯粒子の表面に帯電制御樹脂成分が均一に付着したトナー粒子が生成する。そして冷却後の洗浄工程で、合成樹脂粒子を含む水分散液から合成樹脂粒子のみを分離して水で洗浄をすることで、樹脂微粒子の表面が滑らかで均一形状のトナー粒子が製造できる。
本発明のトナー及びトナー製造方法には、次のような利点がある。
(1)本発明の製造法により得られるトナー粒子は、3〜15μm程度の体積平均粒子径を有し、粒子形状および大きさが均一である。該トナー粒子は、帯電制御樹脂成分で覆われているため、帯電性能にばらつきが無く、さらに帯電制御剤の水への溶出が無く、例えば、電子写真方式などの静電荷現像用トナーとして好適に使用できる。水溶性の高分子分散剤の除去も、簡易な水による洗浄操作で容易に行えるので工業的に有利である。
本発明のトナーを電子写真方式において使用すると、転写材へ高い転写率で転写され、画像濃度が高く、白地カブリのない高画質品位の画像を容易に形成できる。
(2)本発明では、有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどを使用することがないので、これらがトナー粒子中に残存することがなく、また有機溶媒を除去する工程を要しないので、前述の合成樹脂粒子に分級、乾燥などの処理を施すことによって、最終的に得られるトナー粒子の形状が不均一になることもない。
(3)本発明では、有機溶媒を用いた乳化分散とは異なり、加熱により溶融する樹脂であれば特に制限なく使用でき、(有機溶媒に溶解しにくい樹脂でも、)異なる樹脂を組合せて使用することもできる。したがって、最終的に得られるトナー粒子の低温定着性、耐久性などを適宜制御することができる。
(4)本発明によれば、合成樹脂としてポリエステルを使用することができるので、透明性に優れており、得られるトナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性、二次色再現性などを付与することができる。このため、本発明のトナーは、カラートナーの結着樹脂に適している。
(5)本発明によれば、前記水溶性の高分子分散剤として、ポリカルボン酸化合物を用いることによって、樹脂の微粒子化が進行しやすく、結果として滑らかで、ひび割れ等がない均一な形状および大きさを有する合成樹脂粒子を特に効率よく得ることができる。
本発明のトナーの製造方法によれば、芯粒子表面に帯電制御樹脂成分を付着させることによって、帯電性能が均一になり、各トナー粒子間の帯電量のばらつきを防ぐことができる。したがって、トナー粒子中に帯電制御樹脂を効率良く均一に含有でき、トナーを製造する際の帯電制御樹脂の利用効率が高く、帯電制御樹脂の濃度調整も容易である。このため、本発明のトナー製造方法によって得られたトナーを用いて画像を形成した場合、カブリや画像濃度ムラがなく、良好な画像が得られる。
本発明のトナーの製造方法は、静電荷現像用トナーの製造法であって、芯粒子となる、少なくとも1種の合成樹脂および着色剤とを含みかつ有機溶媒を含まない芯粒子と、軟化点が該芯粒子の主樹脂の軟化点より低い帯電制御樹脂成分とに水溶性の高分子分散剤の水溶液とを添加し、加熱下または加熱加圧下で混合して、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子を生成させる工程(A)と、該合成樹脂粒子を含む混合物を冷却し、着色剤を含有する合成樹脂粒子のみを前記混合物中から分離して乾燥する工程(B)とを含むことを特徴とする。
図1は、本発明のトナーの製造方法の実施の形態を示すフローチャートである。
本発明の製造方法は、芯粒子である樹脂粒子の調製工程S1と、水溶性高分子分散剤の水溶液の調製工程S2と、帯電制御樹脂成分で被覆された合成樹脂粒子の調製工程S3と、水溶性高分子分散剤の除去工程S4と、合成樹脂粒子の分離・洗浄・乾燥工程S5とを含む。これらの工程のうち、芯粒子の調製工程S1、水溶性高分子分散剤の水溶液の調製工程S2および帯電制御樹脂成分で被覆された合成樹脂粒子の調製工程S3は、前述の工程(A)に含まれ、水溶性高分子分散剤の除去工程S4と、合成樹脂粒子の分離・洗浄・乾燥工程S5は、前述の工程(B)に含まれる。また、芯粒子の調製工程S1および水溶性高分子分散剤の水溶液の調製工程S2は、いずれを先に行っても良い。
芯粒子の調製工程S1は、どんな方法で行っても構わないが、例えば、少なくとも合成樹脂および着色剤を含む樹脂混練物と水溶性の高分子分散剤の水溶液とを加熱下または加熱加圧下で混合して樹脂粒子を調製する工程である。
本発明によれば、その表面が帯電制御樹脂成分で被覆された、着色剤を含有する合成樹脂粒子が分散した混合液を生成させる工程(A)と、この合成樹脂粒子を含む混合液を冷却し、着色剤を含有する合成樹脂粒子のみを分離して乾燥する工程(B)とを含むトナーの製造方法が提供される。
本発明の工程(A)では、まず、帯電制御樹脂成分と少なくとも合成樹脂および着色剤を含有する樹脂粒子と、水溶性高分子分散剤の水分散液とを、加熱下または加熱加圧下で混合撹拌することによって、帯電制御樹脂成分が溶融し、微粒子化して芯粒子表面に付着して、トナー原体である、着色剤を含有する合成樹脂粒子が生成する。生成直後の合成樹脂粒子は表面が溶融状態にあり、粘着性を有するので、通常であれば合成樹脂粒子同士が付着しあって粗大化する。ところが、本発明の方法においては、合成樹脂粒子の微粒子化が水溶性高分子分散剤の存在下で行われ、生成する合成樹脂粒子が安定化しており、微粒子化したままの状態で冷却するので合成樹脂粒子の粗大化が防止され、形状および大きさの均一な合成樹脂粒子を含む混合物が得られる。
さらに、本発明の方法では、トナー芯粒子と帯電制御樹脂成分からなる微粒子が、同じ製法を用いて同一容器内で連続して製造できる利点がある。また、粒径の揃った溶融状態の樹脂微粒子をトナー芯粒子に付着させる方法であるため、帯電制御剤がトナー表面に存在しているにも拘らず、帯電制御剤をトナー表面に強く付着させることが可能となる。芯粒子表面に帯電制御樹脂成分を付着することによって、帯電性能が均一になり、トナー粒子間の帯電のばらつきを防いでいる。
帯電制御剤をトナー粒子内に混ぜ込んだ場合、帯電制御剤の分散状態が調製毎に異なることが影響して、トナーの帯電性能がばらつき、画像形成時に転写材への転写率が低下して、画像濃度(光学濃度)の低下、白地カブリの発生などの原因になる。
本発明によれば、芯粒子表面に粒子径がほぼ均一な帯電制御樹脂成分を付着することによって、帯電性能が均一で、表面が滑らかで均一形状のトナー粒子が製造可能となる。
合成樹脂は、トナー粒子の結着樹脂として用いられるものである。合成樹脂としては、特に制限されず、公知のものを使用でき、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを使用することができる。
本発明において使用されるポリエステルは、通常の重縮合反応により合成される。例えば、有機溶媒の存在下または非存在下および触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合反応させることによって、ポリエステルを得ることができる。このとき、多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行ってもよい。ここで多塩基酸としては、ポリエステルのモノマーとして常用されるものを使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類などを使用することができる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてはポリエステルのモノマーとして常用されるものを使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などを使用することができる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は、生成する樹脂の酸価および軟化点が所定の値になったところで終了させればよい。このとき、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、例えば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整することができ、ひいては得られるポリエステルの特性(例えば、軟化点など)を調整することができる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステル中にカルボキシル基を側鎖として容易に導入することができ、この側鎖カルボキシル基の利用によっても得られるポリエステルを変性することができる。
本発明において使用されるポリウレタンとしては特に制限されないが、例えば、酸性基または塩基性基含有ポリウレタンを好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有ポリウレタンは、公知の方法に従って製造できる。例えば、酸性基または塩基性基含有ジオール、ポリオールおよびポリイソシアネートを付加重合させればよい。酸性基または塩基性基含有ジオールとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、N−メチルジエタノールアミンなどが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの各成分はそれぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明において使用されるエポキシ樹脂としては特に制限されないが、例えば、酸性基または塩基性基含有エポキシ系樹脂を好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有エポキシ樹脂は、例えば、ベースになるエポキシ樹脂にアジピン酸、無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
本発明において使用されるアクリル樹脂としても特に制限されないが、酸性基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。酸性基含有アクリル樹脂は、例えば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、例えば、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などにより行われる。
これらの合成樹脂の中でも、ポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは透明性に優れ、得られるトナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性、二次色再現性などを付与することができるので、カラートナーの結着樹脂に適している。また、ポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
芯粒子となる、少なくとも合成樹脂および着色剤とを含みかつ有機溶媒を含まない樹脂粒子の製造方法は、いかなる方法で製造しても構わないが、最終的に得られるトナーの形状、大きさの均一性を考慮すると、該樹脂混合物と高分子分散剤の水溶液とを加熱下または加熱加圧下で混合して製造する方法が最も好ましい。よって、この場合の造粒操作を容易に実施すること、着色剤との混練性、得られるトナー粒子の形状および大きさを均一にすることなどを考慮すると、軟化点が150℃以下の合成樹脂が好ましく、60〜150℃の合成樹脂が特に好ましい。その中でも、重量平均分子量が5,000〜500,000の合成樹脂が格別に好ましい。
合成樹脂は、1種を単独で使用できまたは異なる2種以上を併用できる。さらに、同じ種類の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれかがまたは全部が異なるものを複数種用いることができる。
合成樹脂と混合する着色剤としては、公知の有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。着色剤の具体例を色ごとに示せば、次のとおりである。
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。
合成樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないが、通常は合成樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部である。
樹脂混合物は、合成樹脂および着色剤の他に、必要に応じて、ワックスを含んでいてもよい。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、アルコール系ワックス、エステル系ワックスなどが挙げられる。ワックスは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明で使用する帯電制御樹脂成分は、既知のものを使用することができ、重合体の側鎖に、スルホン酸基、カルボン酸基、フェノール基、チオフェノール基等、またはそれらの塩から選ばれる置換基を有する樹脂が挙げられる。本発明では、これらの帯電制御樹脂成分を構成する単量体の1つとして、少なくともスルホン酸基含有の単量体を使用するのが望ましい。カルボキシル基またはカルボキシル基塩基含有単量体、スルホン酸またはスルホン酸塩基含有の単量体を構成成分として含む樹脂を使用することによって、帯電付与効果の向上を図ることができる。とりわけ、スルホン酸基含有またはスルホン酸塩基含有の単量体が負帯電性を高める効果があるため好ましい。
重合体の側鎖についた前記置換基が形成する塩として、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンと形成する塩、アミン塩または4級アンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
また帯電制御樹脂成分は必ずしも1成分であることに制限されず、調製しようとするトナー粒子の用途乃至は機能に応じて、適宜複数成分を用いても良いし、結着樹脂を混ぜ合わせても構わない。帯電制御樹脂成分は微粒子化された後、合成樹脂粒子表面に付着させ、トナー原体である着色剤を含有する合成樹脂粒子を生成する。微粒子化後の帯電制御樹脂の粒径は適宜制御することができるが、合成樹脂粒子表面への分散性を速くするためにできるだけ小さなものが用いられ、特に制限されないが0.1〜1μm程度の粒子径であるのが好ましい。
また、本発明における帯電制御樹脂成分が合成樹脂粒子全体の0.1質量%未満の場合は効果が得られず、20質量%を超える場合はトナー樹脂中での分散性が低下するために帯電分布が広くなり、カブリ等の影響が生じ、高温高湿時と低温低湿時での帯電量の差が大きくなる。
本発明に使用する帯電制御樹脂成分は、例えばスルホン酸置換基を有する樹脂の場合、スルホン酸基またはその塩を含有する芳香族または脂肪族系重合性モノマー及びこれらと共重合し得る他の重合性モノマーを共重合することで得ることができる。
酸基としてスルホニル基を有するモノマーの具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリロイル−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリロイル−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸基含有のモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸基含有のモノマーとしては、スチレンスルホン酸、スルホフェニルアクリルアミド、スルホフェニルマレイミド、及びスルホフェニルイタコンイミドなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
共重合し得る他の重合性モノマーとしては、芳香族ビニル系モノマー、エチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー等が挙げられる。それらの例としては、スチレン誘導体としてスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等、アクリル系重合性モノマーとしてメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等、メタクリル系重合性モノマーとしてメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニールメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル等、ビニルエステルとして酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等、ビニルエーテルとしてビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等、ビニルケトンとしてビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等が挙げられる。その他の複数の官能基をもつ重合性モノマー、具体的にはジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリルレート、エチレングリコールジメタクリルレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
共重合させるに際して用いることのできる重合開始剤としては、特に制限はなく、ラジカル重合反応において、通常使用される公知のアゾ系開始剤または過酸化物開始剤等が使用できる。
樹脂混合物は、例えば、合成樹脂、着色剤および必要に応じて上記各種の添加剤を、混合機で乾式混合した後、合成樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら、溶融混練することにより製造できる。ここで混合機としては公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山(株)製)、スーパーミキサー(商品名、(株)カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工(株)製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、(株)奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業(株)製)などが挙げられる。溶融混練には、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を用いることができ、さらに具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械(株)製)、PCM−65/87(商品名、(株)池貝製)などの1軸もしくは2軸のエクストルーダー、ニーディックス(商品名、三井鉱山(株)製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。得られた樹脂混合物は、例えば該樹脂混合物と高分子分散剤の水溶液とを加熱下または加熱加圧下で混合撹拌する製造方法により粒子化されて、芯粒子となる少なくとも合成樹脂および着色剤とを含む樹脂粒子が製造される。
芯粒子、帯電制御樹脂成分と混合する水溶性高分子分散剤の水溶液は、濃度調整及び洗浄の容易性の観点から、該高分子分散剤としては、水に易溶であるものが望ましい。そのような水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースガム、ポリアクリル酸やポリスチレンアクリル酸等のポリカルボン酸などの化合物並びにそれらのアンモニウム塩または金属塩などが挙げられる。中でもポリカルボン酸(ポリアクリル酸やポリスチレンアクリル酸等)の化合物の塩が水に易溶であるため、望ましい。水溶性高分子分散剤は1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子分散剤の分子量としては、重量平均分子量で通常は5,000〜50,000程度、好ましくは5,000〜20,000程度が望ましい。
上記水溶性高分子分散剤は、帯電制御樹脂成分100質量部に対して10〜500質量部の範囲で使用することが好ましい。該使用量が10質量部未満では、得られる帯電制御樹脂成分の粒子の形状・粒度分布幅が大きくなり芯粒子表面を均一に覆うことができなくなる。一方、該使用量が500質量部を超えると、水系媒体(水溶性媒体)の粘度が高くなりやすく、気泡を生じ易くなり、得られる合成樹脂粒子の分散性が意図に反して不安定になる場合があるため好ましくない。
芯粒子である樹脂粒子、帯電制御樹脂成分、水溶性の高分子分散剤の水溶液との混合は、加熱下または加圧加熱下に行われる。剪断力をかけながら混合を行うのが好ましい。芯粒子となる樹脂粒子は、合成樹脂、着色剤などを加熱下または加圧加熱下で溶融状態にして水溶性の高分子分散剤の水溶液と混合して得たものをそのまま使っても良いし、予め調製した芯粒子を用いても良い。帯電制御樹脂成分はブロック状や粉砕状のものを使用しても良いし、予め、水溶性の高分子分散剤の水溶液と加熱下または加圧加熱下で混合して微粒子化したものを使用してもよい。
芯粒子、帯電制御樹脂成分と水溶性の高分子分散剤の水溶液を加熱下または加熱加圧下で混合する際の加熱温度は、帯電制御樹脂成分の種類およびその特性(例えば分子量、軟化点など)、最終的に得ようとするトナー粒子の粒径などに応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は帯電制御樹脂成分の軟化温度〜該芯粒子の軟化温度の範囲内の温度が好適である。圧力も特に制限されず、帯電制御樹脂成分および芯粒子の樹脂の種類などに応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒径および形状を有するトナー粒子が得られる圧力を適宜選択すればよい。
さらに具体的には、芯粒子、帯電制御樹脂成分と水溶性の高分子分散剤の水溶液との混合は、例えば、乳化機、分散機などを用いて行われる。
乳化機および分散機としては、芯粒子、帯電制御樹脂成分と水溶性の高分子分散剤の水溶液とをバッチ式または連続式で受け入れることができ、加熱手段または加熱加圧手段を有し、該芯粒子、該帯電制御樹脂成分と該水溶性の高分子分散剤の水溶液とを加熱下または加熱加圧下に混合し、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子を生成させ、該合成樹脂粒子をバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。また乳化機および分散機は、撹拌手段を有し、芯粒子、帯電制御樹脂成分と水溶性の高分子分散剤の水溶液とを撹拌下に混合できるものであることが好ましい。また乳化機および分散機は、芯粒子、帯電制御樹脂成分と水溶性の高分子分散剤の水溶液とを混合するための撹拌容器が温度調整手段を有するものであることが好ましい。該撹拌容器は、好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力制御弁などを備える。このような撹拌容器を用いれば、容器内の温度はほぼ一定に保持され、圧力も樹脂の溶融温度と水溶液の蒸気圧との兼ね合いで一定圧力に制御される。なお、100℃以上で使用する場合は、加圧状態での使用になるので、乳化機および分散機にはメカニカルシールが備えられ、撹拌容器は密閉可能なものであることが望ましい。
このような乳化機および分散機は市販されている。その具体例としては、例えば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン(株)製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(商品名、特殊機化工業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、(株)荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(いずれも商品名、特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(いずれも商品名、三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(商品名、(株)ユーロテック製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック(株)製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。
このようにして、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子(トナー原体)を含む混合物が得られる。この混合物は、引き続き、残存する水溶性高分子分散剤の除去工程S5に供される。
合成樹脂粒子の分離は公知の方法に従って実施でき、例えば、濾過、吸引濾過、遠心分離などにより実施することができる。
分離・洗浄・乾燥工程S5は、前工程S4において水溶性高分子分散剤と合成樹脂粒子を含む混合物中から、合成樹脂粒子を分離し、乾燥し、さらに必要に応じて分級し、本発明のトナー粒子を得る工程である。
合成樹脂粒子の混合物中からの分離および回収は公知の方法に従って実施でき、例えば、濾過、吸引濾過、遠心分離などにより実施することができる。
工程S5では、合成樹脂粒子を分離する前に、合成樹脂粒子の水洗を行ってもよい。または、合成樹脂粒子を分離した後に水洗を行ってもよい。合成樹脂粒子の水洗は、水溶性高分子分散剤などに由来する不純物類を除去するために実施される。このような不純物類がトナー粒子に付着すると、得られるトナー粒子の帯電性能が、空気中の水分の影響によって低下するおそれがある。合成樹脂粒子の水洗は、導電率計などを用い、合成樹脂粒子を洗浄した後の洗浄水(上澄み水)の導電率が50μS/cm以下になるまで繰返し行うのが好ましい。
本発明の製造方法では、合成樹脂粒子を分離する前に、水洗を行ってもよい。または、合成樹脂粒子を分離した後に水洗を行ってもよい。合成樹脂粒子の水洗は、得られるトナー粒子の帯電量に影響を及ぼす不純物類を除去するために行うものであり、導電率計などを用い、合成樹脂粒子を洗浄した後の上澄み水の導電率が50μS/cm以下になるまで繰返し行うのが好ましい。これによって、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。水洗に用いる水は、導電率20μS/cm以下であることが好ましい。このような導電率の水は、例えば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって得ることができる。もちろん、これらの方法の2種以上を組合せて水を調製してもよい。合成樹脂粒子の水洗は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄水の温度は特に制限されないが、10〜80℃で洗浄するのが好ましい。
乾燥は、公知の方法に従って実施できる。トナー粒子を乾燥させる際には、不純物類の有無を導電率計などでチェックした後に、乾燥を行うのが好ましい。乾燥の具体的な方法としては、例えば、凍結乾燥法、気流式乾燥法などが挙げられる。
分級は、粉砕法および従来の湿式法の場合と同様に実施できる。また、例えば、湿式サイクロン法などの湿式分級法を併用することもできる。分級により、所望の粒度分布を有するトナー粒子が得られる。なお、分級は、乾燥の前に行うこともできる。
以上の工程を経た処理物は、次に最終工程S5に附され、結果として本発明にかかる静電荷現像用トナーの粒子が得られる。こうして得られたトナー粒子には、シリカ、酸化チタンなどの添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、例えば、シリカではシランカップリング剤による表面改質(疎水化)などの、種々の表面改質を行うことも可能である。トナー粒子と添加剤との使用割合は特に制限されないが、通常はトナー粒子100質量部に対して、好ましくは添加剤を0.1〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部を用いればよい。
本発明の製造方法により得られるトナーは、一成分系現像剤および二成分系現像剤として使用できる。一成分系現像剤、その中でも、非磁性トナーとして用いる場合には、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させて、スリーブ上にトナーを付着させて搬送することにより、感光体表面の静電潜像(静電荷像)にトナーを供給することができる。
また、二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本発明のトナーと共に使用されるキャリアとしては特に制限されず、この分野で常用されるものを使用できるが、主として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素などからなる複合フェライトおよび/またはフェライト、キャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが好適に用いられる。被覆物質としては、トナーに含まれる成分に応じて適宜選択されるが、その例として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料およびそのレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。被覆物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。キャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmである。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
〔水の調製〕
以下の実施例および比較例において、水溶性高分子分散剤の水溶液調製用、トナー粒子の洗浄用には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この洗浄水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロサイエンス(株)製)を用いて水道水から調製した。水の導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、(株)井内盛栄堂製)を用いて測定した。
〔粒子径および粒度分布〕
合成樹脂粒子およびトナー粒子の粒径(体積平均粒子径、個数平均粒子径)および粒子径分布は、コールターマルチサイザーII(商品名、コールター社製)を用いて測定した。測定粒子数は50,000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。
〔平均円形度〕
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(商品名:FPIA−2000、東亜医用電子(株)製)を用いて測定した。平均円形度は該測定装置において検出される粒子像において、(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)で定義され、1以下の値であることを要する。1に近いほど、トナー粒子の形状が真球に近いことを意味する。
(実施例1)
[樹脂混練物の調製]
ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)82.5部、着色剤(カーボンブラック)40質量%含有ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)12.5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。
[水溶性高分子分散剤の水分散液の調製]
ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の20wt%水分散液を調製した。
[芯粒子の造粒工程]
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを投入し、150℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
[冷却工程]
その後加熱を止め、この混合物を撹拌しながら20℃まで冷却した。
[合成樹脂粒子の造粒工程]
アクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物からなる帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部を投入し、110℃で加熱しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
[洗浄・分離・乾燥工程]
その後、導電率0.5μS/cmの水を該混合物に加えて洗浄を行った。洗浄は、該混合物と水(導電率0.5μS/cm)とを混合し、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼で30分間撹拌(300rpm)を行い、この混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。その後、遠心分離によって混合物中の合成樹脂粒子を分取し、乾燥し、合成樹脂粒子を得た。
[粗大化粒子の有無の観察および後処理]
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着しあって粗大化したような粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
(実施例2)
合成樹脂粒子の造粒工程以外は、実施例1と同様に行った。
合成樹脂粒子の造粒工程は、実施例1と同様の方法で製造した芯粒子樹脂粒子100部に、アクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部およびポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)58℃、軟化点110℃)5部からなる混合物を投入し、110℃で加熱しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.5μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
(実施例3)
樹脂混練物の調製および芯粒子樹脂粒子の造粒工程以外は、実施例1と同様に行った。ポリエステル樹脂として(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)70部、およびポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)65℃、軟化点158℃)30部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部からなる混合物をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散して得た樹脂混練物を使用した。
芯粒子樹脂粒子の造粒工程は、圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、上記樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを、160℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(12,000rpm)。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着しあって粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径7.9μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
(実施例4)
水溶性高分子分散剤の水分散液の調製以外は、実施例1と同様に操作した。
水溶性高分子分散剤の水分散液はポリスチレンアクリル酸(重量平均分子量12,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、20wt%水分散液に調製したものを用いた。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
(比較例1)
[樹脂混練物の調製]
ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)100部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部、およびアクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。
[水溶性高分子分散剤の水分散液の調製]
ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の20wt%水分散液を調製した。
[合成樹脂粒子の造粒工程]
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを投入し、150℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
[冷却工程]
その後加熱を止め、この混合物を撹拌しながら20℃まで冷却した。
[洗浄・分離・乾燥工程]
その後、導電率0.5μS/cmの水を混合物に加えて洗浄を行った。洗浄は、混合物と水(導電率0.5μS/cm)とを混合し、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼で30分間撹拌(300rpm)を行い、この混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。その後、遠心分離によって混合物中の合成樹脂粒子を分取して乾燥し、合成樹脂粒子を得た。
[粗大化粒子の有無の観察および後処理]
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
(比較例2)
[樹脂混練物の調製]の工程においてアクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂を混合しない以外は比較例1と同様に行い、体積平均粒子径は7.5μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
[特性評価]
上述の実施例及び比較例のそれぞれにつき、得られたトナーを、平均粒子径60μmのフェライトキャリア97質量部に対し3質量部の割合で混合攪拌して2成分の現像剤を調整し、帯電特性の環境安定性を確認した。20℃,50%RHの常温常湿の環境条件下において帯電量測定を行い、帯電量の増加がなくなった摩擦時間の帯電量をもって飽和帯電量とした。
〔帯電安定性〕
この現像剤の帯電量の経時変化を測定していったとき
○:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min未満のもの
×:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min以上のもの
と評価した。
実施例および比較例で得られたトナー(現像剤)と、平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアとをトナー濃度が4質量%になるように調整及び混合して2成分の現像剤を作製した。
この現像剤を使用し、レーザプリンタ(商品名:AR−C150、シャープ(株)製)を用いて、「フルカラー専用紙」品番:PP106A4C、A4サイズ、シャープ(株)製)上にトナー付着量が0.6mg/cmになるように調整して印字させ、外部定着機を用いて、画像サンプルを作成した。
作成したそれぞれの画像サンプルを下記の評価に供した。その結果を表1に示す。
〔光学濃度〕
分光測色濃度計(商品名:X−Rite938、日本平版印刷機材(株)製)により測定し、光学濃度が1.4以上あれば、良好と判断した。
〔白地カブリ〕
画像サンプルの白地カブリは、黒トナーの場合は、A4サイズの前記専用紙の白度を、予め「白度計」(日本電色工業(株)製)にて測定し、その値を第1測定値とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を用いて、3枚複写し、得られたコピーサンプルの白部を前記白度計にて測定し、この値を第2測定値とする。第1測定値から第2測定値を差し引いた値をカブリの値とし、その値が2.0以下であれば、良好と判断した。カラートナーの場合は、目視にて判断を行い、カブリの認められないものを○、カブリの認められるものを×と評価した。
〔総合評価〕
下記の基準に従って評価した。
○:帯電安定性に関し、飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min未満、光学濃度が1.4以上、カブリ濃度2.0以下であるもの
×:上記条件を満たさないもの
それぞれの評価の結果を表1に示す。
Figure 0004519700
上述した評価基準に基づき評価を行った結果、表1に示したように、本発明の条件に合致する、即ち、芯粒子表面に帯電制御樹脂成分を付着する実施例1乃至4は総合評価として合格であった。一方、本発明の条件に合致しない、即ち、芯粒子表面に帯電制御樹脂成分を付着していない比較例1乃至2は総合評価として不合格であった。
本発明の製造方法の実施の第1形態を示すフローチャートである。 実施例1で得られた合成樹脂粒子の外観を模式的に示す図である。
符号の説明
A,Bはともに合成樹脂粒子を表わす。

Claims (4)

  1. 以下の工程(A)及び工程(B)を含む静電荷現像用トナーの製造方法。
    工程(A): 芯粒子となる、少なくとも合成樹脂および着色剤を含みかつ有機溶媒を含まない樹脂粒子と、軟化点が該芯粒子の主樹脂の軟化点より低い帯電制御樹脂成分とに、水溶性の高分子分散剤の水溶液を添加して、加熱下または加熱加圧下で混合し、帯電制御樹脂成分が樹脂粒子の表面に溶融状態を経て融着して外殻を形成して、該帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹脂粒子を生成する工程
    工程(B): 上記工程(A)で得られた該合成樹脂粒子を含んだ混合物を冷却し、着色剤を含有する合成樹脂粒子のみを該混合物中から分離して乾燥する工程
  2. 芯粒子の主樹脂としての樹脂粒子がポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  3. 工程(A)における水溶性の高分子分散剤がポリカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの項に記載のトナーの製造方法によって得られる静電荷現像用トナー。
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