JP4861202B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置は、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを備える。帯電手段は、感光体表面を帯電させる。露光手段は、帯電状態にある感光体表面に信号光を照射して画像情報に対応する静電潜像を形成する。現像手段は、感光体表面に形成された静電潜像に現像剤中の電子写真用トナー(以下単に「トナー」という)を供給してトナー像を形成する。転写手段は、感光体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する。定着手段は、転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。クリーニング手段は、たとえばクリーニングブレードであり、トナー像転写後の感光体表面に残留するトナーをブレードで掻取って感光体表面を清浄化する。このような画像形成装置では、現像剤として、トナーを含む1成分現像剤、またはトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いて静電潜像を現像し、画像を形成する。ここで用いられるトナーは、マトリックスである結着樹脂中に着色剤、離型剤であるワックスなどを分散させて粒状化した樹脂粒子である。
電子写真方式を用いる画像形成装置は、画像品位の良好な画像を高速でかつ安価に形成できるので、複写機、プリンタ、ファクシミリなどに利用され、最近における普及は目覚しいものがある。それに伴って、画像形成装置に対する要求は一層厳しくなっている。なかでも画像形成装置によって形成される画像の高精細化、高解像化、画像品位の安定化、画像形成速度の高速化などが特に重視される。これらを達成するには、画像形成プロセスおよび現像剤の両面からの検討が必要不可欠になっている。
画像の高精細化、高解像化に関して、現像剤の面からは、静電潜像を忠実に再現することが重要との観点から、トナー粒子を小径化すること、およびトナー粒子の粒度分布幅を狭くすることが解決すべき課題となっている。粒度分布幅が狭い小径化トナー粒子の製造方法としては、懸濁重合法などの重合法が知られている。懸濁重合法によれば、重合性モノマーおよび着色剤、ならびに必要に応じて用いられる重合開始剤、帯電制御剤、その他添加剤を均一に溶解または分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤を含有する水性媒体中に投入し、撹拌下に造粒することによって単量体組成物粒子を形成し、重合してトナー粒子を形成する。
このような懸濁重合法によって得られるトナー粒子は、形状が球形に近く、表面が平滑であるので、トナー像転写後の感光体表面に残留したトナーを除去するときに、トナーがクリーニングブレードに引っ掛かり難く、クリーニング性に劣るという問題がある。このような問題に鑑み、クリーニング性に優れるトナーとして、表面に凹凸が形成されるトナーが提案されている(たとえば、特許文献1および2参照)。
特許文献1では、乳化重合、懸濁重合、または分散重合によって形成されてなるトナー粒子表面に、ラジカル連鎖移動基を有するモノマーをグラフト重合させるか、2個以上のラジカル連鎖移動基を有するモノマーをグラフト重合させ、さらにラジカル連鎖移動基を有するモノマーをラジカル重合させることによって製造されるトナーであって、粒子表面に凹凸を有するトナーが開示されている。
特許文献2では、融点が20〜120℃の化合物を含有するトナー粒子の凹凸度を示すDB値が0.95以下であり、コールター法で測定した体積平均粒径が6.5μm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。DB値とは、コールター法による体積平均粒径の値を、レーザ回折法による体積平均粒径の値で除した値である。トナー粒子の形状が真球に近づくほどDB値は1に近づく。特許文献2では、DB値を上記範囲に設定することによって、トナー粒子の3次元的な凹凸度を好適にする。
特許文献1および2に開示されるトナーにはいずれも表面に凹凸が形成されており、クリーニング時にトナーがクリーニングブレードに引っ掛かり易くなるので、クリーニング性が向上する。しかしながら特許文献1および2に開示されるトナーは、たとえば体積平均粒径が6.5μm以下と小粒径であり、現像容器内でトナーが凝集しやすくなるので、このトナー凝集による流動性の低下が発生する。このような流動性低下を防止するために、トナー粒子に外添剤が外添されて用いられるけれども、トナー粒子の表面状態によっては、必ずしも外添剤を外添することによる効果が発揮されない場合がある。たとえばトナー粒子の表面が平滑である場合、外添剤とトナー粒子との接触部分の面積が小さく、外添剤のトナー粒子に対する付着力が小さいので、外添剤がトナー粒子から脱離し易く、外添剤を外添することによる効果が発揮され難い。
このような問題は、特許文献1および2に開示されるようにトナーに凹凸を形成しても生じ得る。特許文献1に開示されるトナーでは、トナーに形成される凹凸の寸法および形状を制御することができず、トナー粒子の表面が平滑である場合と同様の問題が生じるおそれがある。また特許文献2に開示されるトナーでは、DB値によってトナーの凹凸度が規定されるけれども、この凹凸度はトナー粒子全体の形状を反映する値であり、表面に形成される個々の凸部および凹部の大きさを規定するものではない。したがって特許文献2に開示されるトナーでも、トナー粒子の表面が平滑である場合と同様の問題が生じ得る。
特開平9−22144号公報 特開2006−146285号公報
本発明の目的は、流動性、クリーニング性および帯電安定性に優れ、粒度分布幅が狭い小粒径の電子写真用トナーの製造方法を提供することである。
また本発明は、結着樹脂と着色剤とを含むトナー粒子と、外添剤とを含む電子写真用トナーの製造方法であって、
酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物の溶融混練物を、酸価が238mgKOH/g以上のスチレンアクリル酸共重合体からなる水溶性分散剤を含む水性媒体中で乳化させ、凸部山頂の平均間隔が100nm以上500nm以下の凹凸が形成されるトナー粒子を得る工程と、
得られたトナー粒子に、外添剤を外添する工程とを含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法である。
また本発明は、結着樹脂が、ポリエステルを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記トナー粒子に形成される凹凸の凹部は、トナー粒子表面に1μm 当り平均4個以上形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記トナー粒子の体積平均粒径が、3μm以上10μm以下であることを特徴とする。
また本発明によれば、結着樹脂と着色剤とを含み、凸部山頂の平均間隔が100nm以上500nm以下の凹凸が形成されるトナー粒子と、外添剤とを含む電子写真用トナー(以下単に「トナー」という)が製造される。このようなトナーは、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物の溶融混練物を、酸価が238mgKOH/g以上の水溶性分散剤を含む水性媒体中で乳化させることによって得られる。水溶性分散剤は、スチレンアクリル酸共重合体である。結着樹脂を含むトナー組成物の溶融混練物を水溶性分散剤に投入して造粒すると、造粒された溶融混練物表面における結着樹脂の低分子量成分が水性媒体中で溶出することによって溶出部位が窪み、トナー表面に凹凸が形成される。ここで結着樹脂として酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の樹脂を用いるとともに、水溶性分散剤として酸価が238mgKOH/g以上のスチレンアクリル酸共重合体を用いることによって、トナー粒子表面に形成される凹凸の凸部山頂の平均間隔を0.05μm以上0.5μm以下とすることができ、流動性およびクリーニング性に優れ、粒度分布幅が狭い小粒径のトナーを得ることができる。
このような凹凸が形成されると、トナー粒子と外添剤との接触面積が増大し、外添剤のトナー粒子に対する付着力が増大する。これによってトナー粒子からの外添剤の脱離が防止されるので、たとえばトナーの小径化および粒度分布幅の狭小化を目的とした溶融乳化法などの方法を用いて製造された小粒径トナーであっても、外添剤の脱離による小粒径トナーの流動性低下および帯電安定性低下の問題が発生することを防止できる。また外添剤の脱離が防止されるので、トナー粒子とキャリアとが直接接触することがない。これによって、トナー粒子に含まれる結着樹脂、離型剤などの成分がキャリアに付着するキャリアスペントを防止することができる。さらにトナー表面にこのような凹凸が形成されることによって、クリーニング時にトナーがブレードに引っ掛かりやすくなり、トナーのクリーニング性を向上させることができる。
また本発明によれば、結着樹脂はポリエステルを含む。ポリエステルは透明性に優れ、得られるトナー粒子に低温定着性、二次色再現性などを付与できるので、カラートナーの結着樹脂として特に好適に用いることができる。
また本発明によれば、トナー粒子に形成される凹凸の凹部は、トナー粒子表面に1μm 当り平均4個以上形成される。凹凸がこのように形成されることによって、トナーの流動性を向上させ得る充分量の外添剤をトナー粒子に付着させることができるとともに、この外添剤のトナー粒子からの脱離を防止することができるので、小粒径トナーの流動性を一層向上させることができる。
また本発明によれば、トナー粒子の体積平均粒径が3μm以上10μm以下と小粒径であるので、高精細かつ高解像の画像を形成することができる。またこのような流動性が低下し易い小粒径トナーにおいても、外添剤を添加することによる流動性向上の効果を発揮することができ、一層高画質の画像を形成することができる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法で製造されるトナーは、結着樹脂と着色剤とを含み、凸部山頂の平均間隔が100nm以上500nm以下の凹凸が形成されるトナー粒子と、外添剤とを含むことを特徴とする。このようなトナーによれば、トナー粒子表面に前記のような凸部山頂の平均間隔を有する凹凸が形成され、トナー粒子と外添剤との接触面積が増大するので、外添剤のトナー粒子に対する付着力を増大させることができる。これによってトナー粒子からの外添剤の脱離が防止されるので、たとえばトナーの小径化および粒度分布幅の狭小化を目的とした溶融乳化法などの方法を用いて製造された小粒径トナーであっても、外添剤の脱離による小粒径トナーの流動性低下および帯電安定性低下の問題が発生することを防止できる。また外添剤の脱離が防止されるので、トナー粒子とキャリアとが直接接触することがない。これによって、トナー粒子に含まれる結着樹脂、離型剤などの成分がキャリアに付着するキャリアスペントを防止することができる。さらにトナー粒子表面にこのような凹凸が形成されることによって、トナーのクリーニング性を向上させることができる。
本実施の形態において、トナー粒子における凸部山頂の平均間隔は、以下のようにして算出される。たとえば、電子顕微鏡(商品名:VE−9500、株式会社キーエンス製)によって10,000倍の倍率でトナー粒子を写真撮影する。次いでトナー粒子の撮影写真において、凸部山頂の平均間隔を算出する対象(以下「算出対象」という)であるトナー粒子を撮影写真より任意に選択する。さらにこの選択したトナー粒子の輪郭部から重心を決定することができ、トナー粒子の撮影像を平面図形としてみたときの該図形の重心をトナー粒子の中央部として設定する。トナー粒子の中央部が設定されると、撮影写真に、中央部を通り、かつ算出対象であるトナー粒子の撮影像に含まれる長さ3μm(写真上において3cm)の直線を引き、その直線上に存在する凸部山頂の個数をカウントする。撮影写真では、トナー粒子表面における凸部山頂の部分は相対的に薄く写り、凹部の部分は濃く写る。たとえば前記直線上に存在する凸部山頂の個数がn個である場合、そのトナー粒子における凸部山頂の平均間隔は(3000/n)nmである。このようにして無作為に抽出した100個のトナー粒子における凸部山頂の平均間隔を求め、さらにこの値の平均から、そのトナーに含まれるトナー粒子全体の凸部山頂の平均間隔を得ることができる。凸部山頂の平均間隔は、前記直線上に存在する凹部の個数に基づいて算出されてもよい。
凸部山頂の平均間隔が100nm未満であると、外添剤の粒径にもよるけれども、外添剤が凹凸の凹部に入込むことができず、外添剤とトナー粒子との付着強度を増大することができないおそれがある。凸部山頂の平均間隔が500nmを超えると、凹凸が形成されないトナーと同様に、外添剤とトナー粒子との付着強度が小さく、外添剤がトナー粒子から脱離するおそれがある。凸部山頂の平均間隔は、100nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。凸部山頂の平均間隔がこのような範囲であると、クリーニング性を一層向上することができ、またトナー粒子からの外添剤の脱離を一層確実に防止することができる。
凹部の凹み深さは、使用する外添剤の粒径などによって決定され、特に限定されないけれども、トナー粒子の凹部に外添剤が付着しているときに、外添剤の少なくとも一部が露出する深さとなるように設定される。凹部の凹み深さが、外添剤が露出する深さよりも深いと、外添剤を外添することによるトナーの流動性向上の効果を発揮することができない。またトナー粒子とキャリアとが直接接触すると、キャリアがトナーによって汚染されるキャリアスペントを発生する。凹部の凹み深さは、後述する本発明のトナーの製造方法によって、好適な深さとすることができる。
トナー粒子に形成される凹凸の凹部は、トナー粒子表面に1μm当り平均4個以上形成されることが好ましく、4個以上100個以下形成されることがさらに好ましい。凹部がトナー粒子表面に1μm当り平均4個以上形成されると、トナーの流動性を向上させ得る充分量の外添剤をトナー粒子に付着させることができるとともに、この外添剤のトナー粒子からの脱離を防止することができるので、小粒径トナーの流動性を一層向上させることができる。凹部の形成個数が1μm当り平均4個未満であると、凹部の形成個数が少なく、充分量の外添剤を凹部部分に付着させることができないので、外添剤の脱離が生じるおそれがある。凹部の形成個数が1μm当り平均100個を超えると、凸部山頂の平均間隔が小さくなり、外添剤の粒径にもよるけれども、外添剤が凹凸の凹部に入込むことができず、外添剤とトナー粒子との付着強度を増大することができないおそれがある。
またトナー粒子は、体積平均粒径が3μm以上10μm以下であることが好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が3μm以上10μm以下であると、高精細かつ高解像の画像を形成することができる。またこのような小粒径トナーであっても、前述のような凹凸が形成されることによって流動性の低下が防止されるので、一層高画質の画像を形成することができる。トナー粒子の体積平均粒径が3μm未満であると、トナー粒子の粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および流動性低下が起こるおそれがある。この高帯電化および流動性低下が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー粒子の体積平均粒径が10μmを超えると、トナー粒子の粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またトナー粒子の粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が低くなる。トナーの帯電量が低くなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
本発明のトナーの製造方法で製造されるトナーは、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー添加成分を含む。その他のトナー添加成分としては、たとえば、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。以下本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物の溶融混練物を、酸価が200mgKOH/g以上の水溶性分散剤を含む水性媒体中で乳化させ、トナー粒子を得る工程と、溶融乳化工程で得られたトナー粒子に、外添剤を外添する工程とを含むことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。本実施の形態におけるトナーの製造方法は、ステップs1の溶融混練工程と、ステップs2の水性媒体調製工程と、ステップs3の造粒工程と、ステップs4の冷却工程と、ステップs5の洗浄工程と、ステップs6の分離工程と、ステップs7の乾燥工程と、ステップs8の外添剤添加工程とを含む。ステップs1の溶融混練工程およびステップs2の水性媒体調製工程はいずれが先に行われてもよい。またステップs5の洗浄工程は、ステップs7の乾燥工程の前であれば、ステップs6の分離工程の後に行われてもよい。
〔溶融混練工程〕
ステップs1の溶融混練工程では、結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物を溶融混練し、結着樹脂以外の材料を軟化させた結着樹脂中に分散させる。
(a)結着樹脂
結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として常用されるものであれば特に限定されず、たとえば、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。また同一種の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれか1つまたは複数が異なる樹脂を複数種併用することができる。
ポリエステルは透明性に優れ、低温定着性および二次色再現性に優れるので、カラートナー用の結着樹脂に好適である。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。なお、ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。またポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
アクリル樹脂としては特に制限されないけれども、酸性基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。酸性基含有アクリル樹脂は、たとえば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有することのあるアクリル酸、置換基を有することのあるメタアクリル酸、置換基を有することのあるアクリル酸エステル、置換基を有することのあるメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーの具体例としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などによって行われる。
スチレン−アクリル樹脂としては、たとえば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
本発明では、結着樹脂として、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である樹脂を用いる。酸価の測定は、日本工業規格(JIS)K0070−1992に記載の電位差滴定法に準拠して行う。
結着樹脂の酸価が5mgKOH/g未満であると、水溶性分散剤との親和力が不足し、水中での造粒物の分散安定性が低下する。結着樹脂の酸価が30mgKOH/gを超えると、トナー粒子表面に残存する官能基数が多くなるので、高温高湿環境下(たとえば、温度35℃湿度85%RH(Relative Humidity))における水分吸着量が大きくなり、トナーの含水率が高くなるおそれがある。これによってトナーの体積抵抗率が低くなり、帯電制御剤を添加しても環境変化に対する帯電量安定制御を行うことが難しくなる。結着樹脂の酸価が上記範囲に含まれると、水中での造粒物の分散安定性を保持することができるとともに、環境変動があっても帯電性能の変化が小さく環境安定性に優れるトナーを製造することができる。
結着樹脂は、トナー粒子への造粒操作を容易に実施すること、合成樹脂への添加剤との混練性、トナー粒子の形状および大きさを一層均一にすることなどを考慮すると、軟化点が150℃以下であることが好ましく、80℃以上150℃以下であることが特に好ましい。結着樹脂の軟化点がこのような範囲であると、ステップs3の造粒工程で結着樹脂を軟化させ易く、造粒を容易に実施することができる。またステップs1の溶融混練工程において着色剤および離型剤などを結着樹脂中に分散させ易い。結着樹脂の軟化点が150℃を超えると、結着樹脂を軟化させるために溶融混練温度を高くする必要があり、トナー組成物として離型剤を添加する場合、溶融混練温度の上昇によって離型剤が溶融し過ぎ離型剤を結着樹脂中に分散させ難くなるおそれがある。離型剤が溶融しないように溶融混練温度を低くすると、結着樹脂が軟化せず、着色剤を結着樹脂中に分散させることが困難となるおそれがある。また結着樹脂の軟化点が150℃を超えると、造粒工程において水性媒体と溶融混練物との混合物の温度を結着樹脂の軟化点よりも高くする必要があり、混合物の温度を高くするために造粒を行う容器内の圧力を高める必要が生じる。結着樹脂の軟化点が80℃未満であると、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が常温に近いものになりやすいので、トナーが画像形成装置の内部で熱凝集するブロッキングを発生し、トナーの保存安定性が低下するとともに、印刷不良、装置の故障などを誘発するおそれがある。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、特に限定されることなく、広い範囲から適宜選択できるけれども、得られるトナーの定着性および保存安定性を考慮すると、50℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移点(Tg)が50℃未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移点(Tg)が80℃を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。また結着樹脂の重量平均分子量は、5000〜500000であることが好ましい。
(b)着色剤
着色剤としては特に制限されず、たとえば、有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
黄色着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
橙色着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGおよびC.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白および硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくはトナー組成物全量の0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。
(c)離型剤
離型剤としても特に制限されず、たとえば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピレンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)とその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。これらの中でも、造粒工程における水溶性分散剤水溶液の液温以上の融点を有するワックスが好ましい。
離型剤の融点は、60℃以上130℃以下であることが好ましい。離型剤の融点が60℃未満であると、画像形成装置内でトナー粒子同士が凝集し、保存安定性が低下するおそれがある。離型剤の融点が130℃を超えると、トナーを加熱して定着させるときに離型剤が充分に溶融せず、高温オフセットを発生するおそれがある。離型剤の融点が上記好適な範囲であると、保存安定性に優れるとともに、高温オフセットを防止することができるトナーを得ることができる。離型剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、トナー組成物全量の0.2〜20重量%である。
(d)帯電制御剤
帯電制御剤としても特に制限されず、正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。帯電制御剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくはトナー組成物全量の0.5〜3重量%である。
溶融混練工程では、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー添加成分を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度未満の温度、たとえば80℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上150℃以下程度に加熱して溶融混練し、結着樹脂を軟化させて結着樹脂中に着色剤およびトナー添加成分を分散させる。トナー組成物は、乾式混合されることなくそのまま溶融混練されてもよいけれども、乾式混合した後に溶融混練を行う方が、着色剤、離型剤などの結着樹脂以外の原料の結着樹脂中での分散性を向上させ、得られるトナーの帯電性能などの特性を均一にすることができるので好ましい。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
着色剤などの合成樹脂用添加剤は、合成樹脂用添加剤を混練物中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また合成樹脂用添加剤の2種以上を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、合成樹脂用添加剤の2種以上に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際に粉体混合物に混入される。
このようにして得られる溶融混練物の軟化点は、たとえば80℃以上150℃以下であり、好ましくは100℃以上130℃以下である。また溶融混練物は、後述するステップs3の造粒工程において溶融混練物と水性媒体との混合物が加熱される温度(以下、「造粒温度」という)における溶融粘度が、10Pa・s以下であることが好ましい。これによって、溶融混練物の造粒が一層容易となる。溶融混練物の軟化点および造粒温度における溶融粘度は、たとえば、原料の構成材料、混合割合などを適宜選択することによって調整することができる。
〔水性媒体調製工程〕
ステップs2の水性媒体調製工程では、酸価が200mgKOH/g以上の水溶性分散剤(以下単に「分散剤」という場合がある)を含む水性媒体を調製する。水性媒体は、たとえば後述の分散剤の適量を水に溶解または分散させることによって調製することができる。水としては、導電率が20μS/cm以下である水を用いることが好ましい。導電率が前記範囲内にある水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法または逆浸透法などによって調製することができる。またこれらの方法のうち、2種以上を組合わせて導電率が前記範囲内にある水を調製してもよい。また市販の純水製造装置、たとえば野村マイクロ・サイエンス株式会社製のミニピュアTW−300RU(商品名)などを用いて調製することもできる。
酸価が200mgKOH/g以上の分散剤を用いると、水性媒体中での造粒物の分散安定性を保持することができる。分散剤の酸価が200mgKOH/g未満であると、分散剤と水との親和力が不足するので、水性媒体中での造粒物の分散安定性が不足し、トナー粒子の粒径を制御することができない。分散剤の酸価の上限値としては特に限定されないけれども、通常入手できる分散剤の酸価は300mgKOH/g以下であり、この範囲においては分散安定性を示す効果が発揮される。したがって分散剤の酸価は、200mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。
分散剤としては、酸価が上記範囲であればこの分野で常用されるものをいずれも使用することができ、たとえば、水溶性高分子分散剤などが挙げられる。水溶性高分子分散剤としては、ビニルカルボン酸の単独重合体および共重合体、ならびにこれらの塩などが挙げられる。ビニルカルボン酸としては、たとえば、アクリル酸およびメタクリル酸などのアクリル酸類、ならびにマレイン酸などが挙げられる。
ビニルカルボン酸の単独重合体(以下「ポリビニルカルボン酸」という)としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのポリアクリル酸類などが挙げられる。ポリビニルカルボン酸の塩としては、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸アンモニウムなどのポリビニルカルボン酸のアンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどのポリビニルカルボン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
ビニルカルボン酸の共重合体(以下「ビニルカルボン酸系共重合体」という)としては、ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。ビニルカルボン酸としては、前述のアクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類、マレイン酸などが挙げられる。ビニルカルボン酸と共重合されるビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのα−アルキルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。ビニル系モノマーは、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体の具体例としては、スチレンとアクリル酸との共重合体であるスチレン−アクリル酸共重合体、スチレンとα−メチルスチレンとアクリル酸との共重合体であるスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体などのスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体などのスチレン−ビニルカルボン酸系共重合体などが挙げられる。
ビニルカルボン酸系共重合体の塩としては、スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩などのスチレン−アクリル酸系共重合体アンモニウム塩などの、ビニルカルボン酸系共重合体のアンモニウム塩、スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体ナトリウムなどのスチレン−アクリル酸系共重合体ナトリウム塩などの、ビニルカルボン酸系共重合体のアルカリ金属塩などが挙げられる。
ポリビニルカルボン酸は、たとえば、ビニルカルボン酸を、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。ビニルカルボン酸系共重合体は、たとえば、ビニルカルボン酸の1種または2種以上と、ビニル系モノマーの1種または2種以上とを、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。
これらの中でも、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩が好ましい。ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種を用いることによって、水性媒体中に溶融混練物を一層均一に分散させることができるので、均一な粒径を有するトナーをさらに確実に得ることができる。水溶性高分子分散剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は、1000以上10000以下であることが好ましい。水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)をこの範囲とすることによって、水性媒体の粘度の上昇を抑制することができ、水性媒体中に効率よく溶融混練物を分散させることができる。これによって、たとえば体積平均粒径が10μm以下の小さいトナー粒子を容易に生成することができる。またトナー粒子の粒度分布幅の広がりを抑制することができるので、トナーの帯電量が不均一となることを防止できる。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が10000を超えると、水性媒体の粘度が上昇し、造粒工程における溶融混練物との混合が困難になるおそれがある。また造粒工程において混合物を撹拌することなどによって生じる剪断力が水性媒体に加わり、溶融混練物に加わりにくくなるので、溶融混練物の造粒が阻害され、水性媒体中に溶融混練物を分散させることが困難になる。これによって、トナー粒子の粒径が大きくなりやすく、体積平均粒径が3μm以上10μm以下の小粒径トナー粒子を生成することが困難になるおそれがある。また所望の平均粒径を有するトナー粒子を生成することができたとしても、トナー粒子の粒度分布幅が広くなりやすく、トナーの帯電量が不均一になるおそれがある。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が1000未満であると、水溶性高分子分散剤中にオリゴマーまたは未反応のモノマーが含まれる可能性が高くなり、水溶性高分子分散剤がオリゴマーまたはモノマーに近い性質を示すようになるので、造粒工程において分散剤としての機能を発揮することができず、溶融混練物を水性媒体中に分散させることができなくなるおそれがある。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は、たとえば、水溶性高分子分散剤の原料であるモノマーの種類、重合度などによって調整することができる。また水溶性高分子分散剤が共重合体からなる場合には、共重合比などによっても調整することができる。ここで、水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography;略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
水性媒体中における水溶性高分子分散剤の濃度は、特に限定されず、溶融混練物に含まれる結着樹脂、着色剤、離型剤および添加剤の種類および含有量などに応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、溶融混練物と水性媒体との混合操作の容易性、生成されたトナー粒子の分散安定性などを考慮すると、温度25℃の分散剤を含む水性媒体全量に対して、0.05重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下であることがさらに好ましい。水溶性高分子分散剤の濃度が0.05重量%未満であると、後述する造粒工程において溶融混練物に対する水溶性高分子分散剤の好適な使用割合を実現するために多量の水性媒体が必要になるので、溶融混練物と水性媒体との混合操作が煩雑になるおそれがある。水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%を超えると、水性媒体の粘度が高くなるので、造粒工程における溶融混練物との混合が困難になるおそれがある。また溶融混練物の造粒が阻害され、水性媒体中に溶融混練物を均一に分散させることができず、生成されるトナー粒子の粒径が不均一になるおそれがある。
〔造粒工程〕
ステップs3の造粒工程では、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物の溶融混練物を、酸価が200mgKOH/g以上の水溶性分散剤を含む水性媒体中で乳化させ、トナー粒子を得る。
造粒工程では、水性媒体中で、溶融混練工程によって得られた溶融混練物の結着樹脂を軟化させるために、水性媒体と溶融混練物との混合物を加熱する。造粒工程における水性媒体と溶融混練物との混合物の加熱温度(造粒温度)は、特に制限されず、溶融混練物に含まれる結着樹脂の種類およびその特性、たとえば軟化点など、最終的に得ようとするトナー粒子の粒径などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、溶融混練物に含まれる結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度未満の温度であることが好ましく、90℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。このような温度で造粒することによって、結着樹脂を熱分解させることなく軟化させることができるので、造粒を効率よく行うことができる。造粒工程では、必ずしも水性媒体と溶融混練物との混合物を加熱する必要はなく、たとえば、水性媒体および溶融混練物が予め好適な温度に加熱されており、造粒中の混合物の温度が前記温度範囲に保持されていれば、加熱を行わなくてもよい。
水性媒体と溶融混練物との混合は、たとえば、乳化機、分散機などを用いて行われる。乳化機および分散機(以後、乳化機および分散機を合わせて乳化機と呼ぶ)としては、水性媒体と溶融混練物とをバッチ式または連続式で受入れることができ、かつ加熱手段または加熱手段および加圧手段を有し、水性媒体と溶融混練物とを加熱下または加熱加圧下に混合し、水性媒体中にトナー粒子を生成させ、トナー粒子をバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。また乳化機は、撹拌手段を有し、水性媒体と溶融混練物とを撹拌下に混合できるものであることが必要である。また乳化機は、水性媒体と溶融混練物とを混合するための混合容器が温度調整手段を有するものであることが好ましい。混合容器は、好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力調整弁などを備える。このような混合容器を用いれば、容器内の混合物の温度をほぼ一定に保持することができ、混合容器内の圧力も結着樹脂の軟化点と水性媒体の蒸気圧との兼ね合いで一定圧力に制御される。また水性媒体と溶融混練物との混合を100℃以上の加熱温度で行う場合、加圧状態での使用になるので、乳化機にはメカニカルシールが備えられ、混合容器は密閉可能とされることが好ましい。
このような乳化機は市販されている。市販されている乳化機としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ(KINEMATICA)社製)、およびT.K.オートホモミクサー(商品名、プライミクス株式会社製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、株式会社荏原製作所製)、T.K.パイプラインホモミクサー、T.K.ホモミックラインフロー、T.K.フィルミックス(以上いずれも商品名、プライミクス株式会社製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(以上いずれも商品名、三井三池化工機株式会社製)、キャビトロン(商品名、株式会社ユーロテック製)、およびファインフローミル(太平洋機工株式会社製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック株式会社製)、フィルミックス(商品名、プライミクス株式会社製)などが挙げられる。
水性媒体と溶融混練物との撹拌速度は、特に限定されず、溶融混練物中の結着樹脂および着色剤の種類および含有量などに応じて、撹拌操作を容易に実施でき、所望の粒径、粒度分布および形状を有するトナー粒子が得られる値を適宜選択すればよい。たとえば混合容器と、混合容器内に備えられる回転ロータおよび固定ステータとを備える乳化機を用いる場合、ロータの回転数は毎分2000回転(2000rpm)以上毎分12000回転(12000rpm)以下であることが好ましい。ロータの回転数が2000rpm未満であると、混合容器内における均一な撹拌が困難であり、溶融混練物が造粒されてなる微粒子表面の結着樹脂の低分子成分の溶出が不均一となるおそれがある。ロータの回転数が12000rpmを超えると、撹拌装置にかかる負荷が増大し、装置の耐久性の点で問題となる。
水性媒体と溶融混練物との撹拌時間は特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂、着色剤、離型剤、相溶化剤および添加剤の種類および含有量、水性媒体中の分散剤の種類および濃度、混合物の加熱温度などの各種条件に応じて、広い範囲から適宜選択することができ、たとえば10分間以上20分間以下である。
混合物の加熱は、水性媒体と溶融混練物との混合物が収容される混合容器内を加圧状態にして行うことが好ましい。これによって、混合物中に含まれる水の沸点を上昇させることができるので、混合物中の水を沸騰させることなく混合物を100℃以上に加熱することができる。したがって、気泡の発生による剪断力の低下を防止でき、溶融混練物の造粒を一層効率的に行うことができる。
混合容器内を加圧状態として混合物の加熱を行う場合、混合容器内の気体の圧力(以下「混合容器内の圧力」という)は、特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂、着色剤、離型剤、相溶化剤および添加剤の種類および含有量、水性媒体中の分散剤の種類および濃度、混合物の加熱温度などの各種条件に応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒径および形状を有するトナー粒子が得られる圧力を適宜選択すればよい。混合容器内の圧力は、たとえば0.1MPa(約1atm)以上1MPa(約10atm)以下である。
ただし、混合容器内の圧力が高くなり過ぎると、混合物中で発生した気泡が消失せずに圧力で微細化されて系内に封じ込められ、溶融混練物の造粒が阻害されるおそれがあるので、混合容器内の圧力は、所望の加熱温度において混合物中の水の沸騰を抑制できる最小限の圧力であることが好ましい。したがって、混合容器内の圧力は、特に混合物の加熱温度を考慮して適宜選択される。たとえば、混合物の加熱温度を150℃とする場合、混合容器内の圧力は0.5MPa(約5atm)程度である。
水性媒体と混合する溶融混練物としては、結着樹脂、着色剤、離型剤、相溶化剤、添加剤などを含む原料を溶融混練したものをそのまま用いてもよく、溶融混練後に冷却して得た固化物をそのまま、または再度加熱して溶融状態に戻したものを用いてもよい。
水性媒体と溶融混練物との混合割合は特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂の含有量、水性媒体中の分散剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、水性媒体と溶融混練物との混合操作、水性媒体からのトナー粒子の分離操作などを効率よく実施するという観点から、分散剤として水溶性高分子分散剤を用いる場合、混練物100重量部に対して、水性媒体を100重量部以上500重量部以下で用いることが好ましい。
以上のようにして水性媒体と溶融混練物との混合物を加熱するとともに撹拌することによって、水性媒体中に、結着樹脂および着色剤を含むトナー粒子が生成される。このようにして製造されるトナー粒子は、小粒径かつ粒度分布幅が狭い。また結着樹脂を含むトナー組成物の溶融混練物を水溶性分散剤に投入して造粒すると、造粒された溶融混練物表面における結着樹脂の低分子量成分が水性媒体中で溶出することによって溶出部位が窪み、トナー表面に凹凸が形成される。
結着樹脂の酸価は、単位重量当りのカルボキシル基量を表す指標であり、その数値が高いほど単位重量当りの樹脂に存在するカルボキシル基が多く、樹脂の分子量も低い。また単位重量当りの樹脂に存在するカルボキシル基が多いと、分散剤を含む水性媒体への分散が容易となり、溶出しやすい。また分散剤の酸価も結着樹脂と同様に、その数値が高いほど分子量が低い。同じ重量を用いた場合、分子量が低いほど、水性媒体に含まれる分散剤のモル比率が高くなり、樹脂の分散性を向上させる効果に優れ、樹脂の溶出能力が高い。
ここで結着樹脂として酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の樹脂を用いるとともに、水溶性分散剤として酸価が200mgKOH/g以上の分散剤を用いることによって、造粒された溶融混練物表面における結着樹脂の溶出量が好適となる。これによってトナー粒子表面に凹凸が形成され、かつその凹凸の凸部山頂の平均間隔を0.05μm以上0.5μm以下とすることができる。このような凹凸が形成されるトナーは、流動性およびクリーニング性に優れる。また結着樹脂を含むトナー組成物の溶融混練物を水溶性分散剤を含む水性媒体に投入して造粒することによって、粒度分布幅が狭い小粒径のトナーを得ることができる。
〔冷却工程〕
ステップs4の冷却工程では、造粒されたトナー粒子を含有する混合物(以下「水性スラリー」という)を冷却する。水性スラリーの冷却は、ステップs3の造粒工程においてトナー粒子を生成させた後に、加熱を停止して、冷媒を用いて強制的に冷却する強制冷却またはそのまま放冷する自然冷却によって行われることが好ましい。
冷却工程では、トナー粒子を水性媒体中に均一に分散させた状態で、形状および大きさを保持したまま冷却することができ、たとえば、体積平均粒径が10μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下と小さく、かつ粒度分布幅が狭く均一な粒径を有するトナー粒子を得ることができる。混合物の冷却は、撹拌下に行うことが好ましい。混合物を撹拌せずに冷却すると、水溶性高分子分散剤による分散安定効果が充分に発揮されず、トナー粒子同士が互いに融着するおそれがある。
また混合物の加熱温度を100℃以上として加圧下で樹脂混練物の造粒を行った場合、冷却工程においても加圧を継続することが好ましい。混合物の温度が100℃以上である場合に、加圧を停止して混合容器内の圧力を大気圧に戻すと、混合物中の水が沸騰し、気泡が多数発生するので、その後の処理が困難になる。混合容器内の圧力は、混合容器内の混合物の温度が50℃以下になった時に大気圧に戻すことが好ましく、混合容器内の混合物が室温(25℃程度)まで冷却された後に大気圧に戻すことがさらに好ましい。
〔洗浄工程〕
ステップs5の洗浄工程では、冷却後の水性媒体中に含まれるトナー粒子を洗浄する。トナー粒子の洗浄は、分散剤および分散剤などに由来する不純物類を除去するために実施される。分散剤および前記不純物類がトナー粒子に残留すると、得られるトナー粒子の帯電性能が不安定になるおそれがある。また空気中の水分の影響によって帯電性が低下するおそれがある。
トナー粒子の洗浄は、たとえば、混合物に水を加えて撹拌して水洗することによって行うことができる。トナー粒子の水洗は、導電率計などを用い、混合物から遠心分離などによって分離される上澄み液の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行うことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留を一層確実に防ぎ、トナー粒子の帯電性能をさらに均一にすることができる。
水洗に用いる水は、導電率が20μS/cm以下の水であることが好ましい。このような水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。またこれらの方法のうち、2種以上を組合わせて水を調製してもよい。トナー粒子の水洗は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄水の温度は特に制限されないけれども、10℃以上80℃以下であることが好ましい。
〔分離工程〕
ステップs6の分離工程では、洗浄後のトナー粒子を含有する混合物からトナー粒子を分離し、回収する。水性媒体からのトナー粒子の分離は、たとえば、濾過、吸引濾過、遠心分離などによって行うことができる。
ステップs6の分離工程の後にステップs5の洗浄工程を行う場合、たとえば、分取されたトナー粒子を水洗することによってトナー粒子の洗浄を行うことができる。トナー粒子の水洗は、導電率計などを用い、トナー粒子を洗浄した後の洗浄水の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行うことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留を確実に防止することができ、トナー粒子の帯電性能をさらに均一にすることができる。
〔乾燥工程〕
ステップs7の乾燥工程では、洗浄後のトナー粒子を乾燥させる。トナー粒子であるトナー粒子の乾燥は、凍結乾燥法、気流式乾燥法などによって実施できる。ステップs7においてトナー粒子が乾燥されると、トナー粒子の製造を終了する。
〔外添剤添加工程〕
ステップs8の外添剤添加工程では、得られたトナー粒子に、外添剤を外添する。外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などの無機微粉末が挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましい。処理剤は2種以上を併用してもよい。このような外添剤は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対し2重量部以下が好適である。
外添剤は、一次粒子の個数平均粒径が10〜500nmであることが好ましい。このような粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮され易くなる。またこのような粒径の外添剤を用いることによって、凸部山頂の平均間隔が100nm以上500nm以下の凹凸を形成することによる外添剤の脱離防止効果が発揮されるので、小粒径トナーの流動性向上、およびキャリアのスペント防止の効果が図れる。
このようにトナー粒子に外添剤が外添されるトナーは、そのまま1成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して2成分現像剤として使用することができる。2成分現像剤として使用する場合、キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
また磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは30〜50μmである。さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)に例をとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。また2成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
(実施例)
以下に実施例、参考例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔水の調製〕
以下の実施例、参考例および比較例において、水性媒体調製用の水およびトナー粒子の洗浄用の水には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この洗浄水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス株式会社製)を用いて水道水から調製した。水の導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、アズワン株式会社製)を用いて測定した。
〔凸部山頂の平均間隔〕
電子顕微鏡(商品名:VE−9500、株式会社キーエンス製)によって10,000倍の倍率でトナー粒子を写真撮影し、トナー粒子の撮影写真において、算出対象であるトナー粒子の中央部を設定した。次いでこの撮影写真に、中央部を通り、かつ算出対象であるトナー粒子の撮影像に含まれる長さ3μm(写真上において3cm)の直線を引き、その直線上に存在する凸部山頂の個数をカウントした。凸部山頂の個数をカウントした結果から、無作為に抽出した100個のトナー粒子について凸部山頂の平均間隔を求め、さらにこの値の平均から、実施例および参考例のトナーに含まれるトナー粒子全体の凸部山頂の平均間隔を得た。
〔体積平均粒径〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、STM社製)によって超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製した。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
〔結着樹脂および水溶性分散剤の重量平均分子量および個数平均分子量〕
結着樹脂および分散剤の重量平均分子量Mwおよび個数平均分子量Mnは、以下のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)に、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、結着樹脂または水溶性高分子分散剤を乾燥して得た試料の0.25重量%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
〔結着樹脂のガラス転移点(Tg)〕
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)として求めた。
〔外添剤の一次粒子の個数平均粒径〕
外添剤から無作為に取り出したそれぞれ100個の粒子を透過型電子顕微鏡観察によって20000倍に拡大して観察し、画像解析によって一次粒子の粒径を測定した。得られた測定値から個数平均粒径を算出した。
〔酸価〕
日本工業規格(JIS)K0070−1992に記載の電位差滴定法に準拠して行った。
また結着樹脂として、表1に示すポリエステル樹脂A〜Eを用いた。同様に、分散剤として、表2に示すスチレン−アクリル酸共重合体a〜cを用いた。
Figure 0004861202
Figure 0004861202
(実施例1)
結着樹脂としてポリエステル樹脂Aを88部用い、着色剤(商品名:KET.BLUE111、大日本インキ株式会社製)5部、離型剤(商品名:HNP−10、日本精蝋株式会社製)5部、および帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)2部とともにヘンシェルミキサーにて3分間混合分散し、トナー原料を得た。得られたトナー原料を、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて溶融混練分散し、トナー組成物の樹脂混練物を調製した。二軸押出機の運転条件は、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分300回転(300rpm)、原料供給速度20kg/時間とした。
分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体aを100部(固形分量)用い、900部の水とともに混合して、分散剤の濃度が10重量%である水性媒体を調製した。
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製の混合容器に、以上のようにして調製した樹脂混練物100部と水性媒体(分散剤濃度10重量%)550部とを投入し、5気圧(5atm)の加圧下で混合容器内の混合物の温度が120℃になるように加熱しながらロータステータ式撹拌手段で10分間撹拌混合し、トナー粒子を生成した。このときのロータステータ式撹拌手段におけるロータの回転速度を8000rpmとした。
前述のようにしてトナー粒子を生成した後、加熱を停止し、生成したトナー粒子を含む混合物を撹拌しながら混合物の温度が20℃になるまで冷却した。このときのロータステータ式撹拌手段におけるロータの回転速度を毎分8000rpmとした。
次いで、導電率0.5μS/cmの水(温度20℃)を混合物に加えてトナー粒子の洗浄を行った。トナー粒子の洗浄は、混合物に水(導電率0.5μS/cm)を加え、水の添加量によって固形分量が10%になるように調製したあと、タービン型撹拌翼を用いて撹拌翼の回転速度を毎分300回転(300rpm)として30分間撹拌することによって行った。この洗浄操作を、撹拌後の混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行った。
洗浄後の混合物から遠心分離によってトナー粒子を含む固形分を分取した。分取した固形分を凍結乾燥させ、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒径は7.2μmであり、凸部山頂の平均間隔は273nmであった。
得られたトナー粒子100部に、1次粒子の個数平均粒径が12nmであるシリカ(日本アエロジル株式会社製)2部と、1次粒子の個数平均粒径が80nmであるシリカ(テイカ株式会社製)0.5部とを外添して、実施例1のトナーを得た。
(実施例2)
結着樹脂をポリエステル樹脂Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。実施例2のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は5.0μmであり、凸部山頂の平均間隔は123nmであった。
(実施例3)
結着樹脂をポリエステル樹脂Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。実施例3のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は3.9μmであり、凸部山頂の平均間隔は109nmであった。
参考例1
分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、参考例1のトナーを得た。参考例1のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は9.1μmであり、凸部山頂の平均間隔は375nmであった。
参考例2
結着樹脂をポリエステル樹脂Bに変更するとともに、分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、参考例2のトナーを得た。参考例2のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は6.5μmであり、凸部山頂の平均間隔は231nmであった。
参考例3
結着樹脂をポリエステル樹脂Cに変更するとともに、分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、参考例3のトナーを得た。参考例3のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は5.5μmであり、凸部山頂の平均間隔は176nmであった。
(比較例1)
結着樹脂をポリエステル樹脂Dに変更するとともに、分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。比較例1のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は185.0μmであり、凸部山頂の間隔が100nm以上500nm以下である凹凸はトナー粒子表面に形成されていなかった。比較例1のトナーは、トナー粒子の体積平均粒径が大きすぎたので、画像評価を行わなかった。
(比較例2)
結着樹脂をポリエステル樹脂Bに変更するとともに、分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。比較例2のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は97.8μmであり、凸部山頂の間隔が100nm以上500nm以下である凹凸はトナー粒子表面に形成されていなかった。比較例2のトナーは、トナー粒子の体積平均粒径が大きすぎたので、画像評価を行わなかった。
(比較例3)
結着樹脂をポリエステル樹脂Eに変更するとともに、分散剤をスチレン−アクリル酸共重合体cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。比較例3のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は42.8μmであり、凸部山頂の間隔が100nm以上500nm以下である凹凸はトナー粒子表面に形成されていなかった。比較例3のトナーは、トナー粒子の体積平均粒径が大きすぎたので、画像評価を行わなかった。
(比較例4)
結着樹脂をスチレンアクリル樹脂(ガラス転移温度62℃、重量平均分子量32000、Mw/Mn=2.7)に変更したこと以外は実施例1と同様に処理を行い、比較例4のトナーを得た。比較例4のトナーに含まれるトナー粒子の体積平均粒径は7.2μmであった。
実施例、参考例および比較例のトナーを用い、凹部平均個数、透明性、外添剤の付着強度、キャリアのスペントの発生、およびクリーニング性について以下のようにして評価した。ただし凹部平均個数、外添剤の付着強度、キャリアのスペントの発生、およびクリーニング性の評価は実施例および参考例のトナーについてのみ行った。
〔凹部平均個数〕
電子顕微鏡(商品名:VE−9500、株式会社キーエンス製)によって10,000倍の倍率でトナー粒子を写真撮影し、トナー粒子の撮影写真において、算出対象であるトナー粒子の中央部を設定した。次いでこの撮影写真の中央部に、1μmの正方形を描き、その範囲内に存在する凹部の個数をカウントした。無作為に抽出した100個のトナー粒子について凹部の個数を求め、実施例および参考例のトナーに含まれるトナー粒子全体の凹部の平均個数を得た。凹部の平均個数が、トナー粒子表面1μm当り4個以上の場合を○と評価し、3個以下の場合を×と評価した。
[透明性]
実施例および参考例のトナーと、体積平均粒径50μmのフェライトにスチレン−メタクリル酸フルオロアルキル共重合体をフェライト100部に対して0.5部被覆したキャリアとを、トナー濃度が2成分現像剤全量の5%となるように混合し、実施例および参考例のトナーを含む2成分現像剤を製造した。
この2成分現像剤を複写機(商品名:MX−4500FN、シャープ株式会社製)に充填し、OHPシート上にトナー付着量1.7mg/cmとなるように、画像サンプルを作製した。この画像サンプルについて、濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて、HAZE値を測定し、透明性の指標とした。HAZE値は小さい程、透明性がよいことを示している。
◎:極めて透明性が高い。15以下。
○:良好。20以下。
×:カラートナーとしての実用性に欠ける。25以上
[外添剤の付着強度]
50mLビーカーに秤量したトナー2.0gに0.2重量%トリトン水溶液(ポリオキシエチルフェニルエーテル)を加え、スパチュラで穏やかに撹拌し、トナーを水溶液に充分に濡らした。このトナーおよび水溶液を、超音波式ホモジナイザ(商品名US−300T、株式会社日本精機製作所製)を用い、出力40μAにて4分間処理し、トナー粒子から外添剤を脱離させた。このとき、ビーカー中のトナーおよび水溶液が40℃以下となるように、ビーカーを氷水に浸して処理を行った。処理後、3時間静置してトナーを沈降させ、次いで上澄み液を捨てて純水50mLを加え、スパチュラでなじませた後、5分間スターラーによって撹拌した。撹拌後、口径1μmのメンブレンフィルタを使用して吸引濾過し、トナーをビーカーに戻した後、再度50mLの純水を加えて、5分間スターラーによる撹拌、吸引濾過を行った。充分に濾過した後、40℃の恒温槽にて一晩乾燥させ、蛍光X線測定によって外添剤由来の特性元素の蛍光強度を測定し、超音波処理前後の変化量から下記式を用いて外添剤の付着強度を算出した。
付着強度=(処理後の蛍光強度)/(処理前の傾向強度)×100(%)
外添剤の付着強度についての評価基準を以下に示す。
◎:非常に良好。付着強度が70%以上。
○:良好。付着強度が65%以上70%未満。
△:実使用上問題なし。付着強度が60%以上65%未満。
×:実使用不可。付着強度が60%未満。
[キャリアスペント]
前述と同様の2成分現像剤をVIBRATING MIXER MILL(三田村理研工業株式会社製)で30分撹拌した後、キャリア表面を界面活性剤水溶液で洗浄し、固体中炭素分析装置(商品名:EMIA−110、株式会社堀場製作所製)にてキャリア表面の炭素増加割合を測定した。炭素増加割合が大きいほど、キャリアがトナーによって汚染されている度合が大きい。キャリアスペントについての評価基準を以下に示す。
◎:非常に良好。炭素増加割合が0.05%未満。
○:良好。炭素増加割合が0.05%以上0.10%未満。
△:実使用上問題なし。炭素増加割合が0.10%以上0.15%未満。
×:実使用不可。炭素増加割合が0.15%以上。
[クリーニング性]
前述と同様の2成分現像剤を複写機(商品名:MX−4500FN、シャープ株式会社製)に充填し、A4判の記録用紙上に、印字率が5%のチャートを1万枚連続印字した。その後、感光体表面にフィルミングが発生しているか否かを目視によって確認した。フィルミングが発生していない場合、クリーニング性が良好(○)であると評価した。フィルミングが発生していた場合、クリーニング性が不良(×)であると評価した。
実施例、参考例および比較例のトナーにおける結着樹脂の酸価、分散剤の酸価およびトナー粒子の体積平均粒径、透明性、ならびに実施例および参考例のトナーにおける凸部山頂の平均間隔、凹部平均個数、外添剤の付着強度、キャリアのスペントの発生、およびクリーニング性の評価結果を、合わせて表3に示す。
Figure 0004861202
表3から、本発明のトナーは、流動性およびクリーニング性に優れ、小粒径であることが判る。
本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。

Claims (4)

  1. 結着樹脂と着色剤とを含むトナー粒子と、外添剤とを含む電子写真用トナーの製造方法であって、
    酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である結着樹脂と、着色剤とを含むトナー組成物の溶融混練物を、酸価が238mgKOH/g以上のスチレンアクリル酸共重合体からなる水溶性分散剤を含む水性媒体中で乳化させ、凸部山頂の平均間隔が100nm以上500nm以下の凹凸が形成されるトナー粒子を得る工程と、
    得られたトナー粒子に、外添剤を外添する工程とを含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  2. 結着樹脂が、ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 前記トナー粒子に形成される凹凸の凹部は、トナー粒子表面に1μm 当り平均4個以上形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 前記トナー粒子の体積平均粒径が、3μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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