JP2000081727A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

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JP2000081727A JP35762698A JP35762698A JP2000081727A JP 2000081727 A JP2000081727 A JP 2000081727A JP 35762698 A JP35762698 A JP 35762698A JP 35762698 A JP35762698 A JP 35762698A JP 2000081727 A JP2000081727 A JP 2000081727A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦帯電性、転写効率等に優れたトナーを粒
度分布及び物性に関して再現性良く製造することのでき
るトナーの製造方法を提供することにある。 【解決手段】 リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液と
を混合して得られるリン酸カルシウム塩類を含有する水
系媒体のpHを4.0乃至6.0に調整し、該水系媒体
中に、重合性単量体組成物を分散させ、該粒子に含まれ
ている重合性単量体を重合してトナー粒子を生成し、該
水系媒体のpHを1.0乃至3.0に調整して、リン酸
カルシウム塩類を溶解した後にトナー粒子を分離すると
いう工程を有するトナーの製造方法であって、得られた
トナーのフロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定さ
れる円形度が0.970以上1.000未満であること
を特徴とするトナーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真,静電記
録,静電印刷、あるいは、トナージェット記録等に用い
られるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法とは米国特許第2,297,
691号明細書等に記載されている如く、多数の方法が
知られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の
手段で感光体上に電気的潜像を形成し、該潜像をトナー
を用いて現像し、必要に応じて紙の如き記録材にトナー
画像を転写した後、加熱・圧力或いは溶剤蒸気等により
定着し複写物を得る方法である。トナーを用いて現像す
る方法或いはトナー画像を定着する方法としては、従来
各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセスに
適した方法が採用されている。
【0003】近年、電子写真法に対し、高速複写化、高
画質化、さらにカラー化が求められている。
【0004】一般にトナーを製造する方法としては、熱
可塑性樹脂中に染料及び顔料の如き着色剤及び荷電制御
剤のような添加剤を溶融混合し、均一に分散した後、微
粉砕装置及び分級装置により粉砕及び分級を行なって所
望の粒径を有するトナーを製造する方法、すなわち粉砕
法が知られている。
【0005】この製造方法(粉砕法)によれば、かなり
優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわち
トナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着
色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置
で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要請か
ら、樹脂着色剤分散体を十分に脆くせざるを得ないた
め、この分散体を実際に高速で微粉砕する際に、広い粒
径範囲の粒子群が形成され易く、特に、比較的大きな割
合の過度に微粉砕された粒子が、この粒子群に含まれる
という問題が生ずる。更に、このように高度に脆性を有
する材料は複写機等において実際に現像用に使用する
際、更に微粉砕化ないし粉化を受け易い。
【0006】さらに、これら粉砕法によるトナーにおい
ては、ワックスの如き離型剤を添加する場合に制約があ
る。すなわち、離型剤の分散性を十分なレベルとするた
めには、樹脂との混練温度において、ある程度の粘性
を保つ必要があること、離型剤の含有量を約5重量部
以下にすることなどである。このような制約のため、粉
砕法によるトナーの定着性には限界がある。
【0007】また、この混練−粉砕法においては、着色
剤等の固体微粒子を樹脂中に完全に均一分散させること
は簡単ではなく、分散の度合によってはトナーの組成に
分布が生じ、トナー現像特性の変動をきたす場合もあ
る。さらに、一般にトナーによって形成した画像の解像
度、ベタ部均一性、階調再現性等はトナーの特性、特に
その粒径に依存する割合が大きく、小粒径粒子ほど高品
質の画像が得られるため、最近のプリンタや高画質複写
機等は、小粒径トナーを使用することが多い。しかしな
がら、粉砕法によってトナー粒子を小粒径化するには粉
砕機の能力によって、体積平均粒径で5.0μm程度が
限界である。
【0008】これに対して、少なくとも重合性単量体を
有する重合性単量体組成分を懸濁重合し、同時にトナー
粒子を得るトナーの製造方法(以後、重合トナー)が提
案されている(特公昭36−10231号公報)。この
懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(さら
に必要に応じて重合開始剤,架橋剤,その他添加剤)を
均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、
この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相(例え
ば水相)中に適当な撹拌機を用いて分散し同時に重合反
応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るもの
であり、上記粉砕法トナーで説明した項目の制約がな
く、種々の利点があるため、最近特に注目されてきた。
【0009】すなわち、このトナーの製造方法は、粉砕
工程を全く含まないため、トナー材料に特に脆性は必要
なく、またトナー破断面への着色剤等の露出が生じてい
ないトナーを得ることのできる製造方法である。更に、
重合トナーでは、トナー粒子内に離型剤成分を内包化で
きるため、離型剤の含有量を粉砕法トナーに比較して増
加させることができる。また着色剤の分散性も重合性単
量体中に他の添加剤と共に均一に溶解あるいは分散でき
るため、特に問題になることもない。さらには、分散・
造粒条件によって所望の粒径及び粒径分布コントロール
が可能なため、小粒径トナー化に対応できる利点を有す
る。
【0010】しかしながら、この様な重合トナーも、以
下に述べる様な解決すべき問題点を有している。
【0011】すなわち、重合トナーにおいては、種々の
材料を重合性単量体系へ溶解あるいは分散させ重合性単
量体組成物として水系媒体中へ懸濁分散させるわけであ
るが、原材料の組合せや条件等によって重合性単量体組
成物粒子を安定に懸濁造粒し、さらに粒子合一の発生し
ない安定した条件で重合反応を完結させることは、技術
的に必ずしも容易ではない。
【0012】特に近年は、電子写真技術を応用したシス
テムが従来の事務処理用複写機のみならず、カラー化及
びコンピューターの出力としてプリンターという分野で
急激に発展していることもあり、種々のシステムのプロ
セス構成が多様化し、それに伴って要求されるトナーの
物性も、従来からのポイントであった粒度分布,流動性
及び摩擦帯電性のみならず、トナー形状,トナーの表面
性等の制御まで細かく要求される様になってきている。
【0013】このため、重合トナーの懸濁造粒・重合安
定性は、単に生産性のみならず、トナー物性に与える影
響が非常に大きく重要な要素であり、不安定な懸濁造粒
・重合条件は、粒子合一・凝集を発生させ、粒度分布,
摩擦帯電性を著しく損ない、その結果として粒子形状・
表面状態の制御が不可能となる。
【0014】従来、懸濁造粒の安定性,重合中の粒子の
合一防止、生成粒子の粒度分布のシャープ化等の目的で
は、多くの提案がなされている。例えば、特開昭57−
42052号公報における分散剤とアニオン界面活性剤
併用で粒度分布を制御する方法、特開昭57−4164
9号,特公平1−55643号,特開平6−73101
号,特開平7−165847号公報等における水相重合
禁止剤添加での粒度調整方法など多数提案されている。
しかし、前者は界面活性剤が残留する等の欠点があり、
これによってトナー粒子の摩擦帯電性が不安定となり、
トナー粒子の現像特性が著しく低下する。後者は、副生
乳化重合微粒子除去が可能等の利点はあるが、それ以上
に微粒子として問題のあるマイクロサスペンション粒子
の削減には効果がないという問題があり、このマイクロ
サスペンション粒子の存在は、現像でのトナーの目詰り
や摩擦帯電の不均一を誘発し易いという欠点を有する。
【0015】一方、分散安定剤を改良し、前記重合トナ
ーの有する問題を解決しようという提案も数多い。例え
ば、特開平9−54457号,特開平7−49586号
公報等で代表される様に、一旦、生成した分散安定剤を
酸で可溶化後、アルカリで再析出させてアルカリ下で所
望の分散安定剤を得、これを使用して粒度分布のシャー
プな重合トナー粒子を得る方法等の提案があるが、トナ
ー粒子形態、表面性等までを含めた制御が要求される現
在、この提案では不十分であり、要求される物性全てを
満足できるものではない。
【0016】また、特開平7−301949号公報にお
いては、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶
液を混合することにより、直接、分散媒中にリン酸カル
シウムを生成する方法が記載されている。この方法は優
れた方法であるが、該公報に記載されている処方により
水系媒体を製造した場合には、水系媒体のpHは10程
度になる。この様なpHを有する水系媒体中において、
重合性単量体、着色剤及び荷電制御剤等を含有している
重合性単量体組成物の分散造粒を行うと、着色剤、荷電
制御剤等がアルカリに分解、溶解及び変性しやすいた
め、トナー粒子の製造に要する時間や温度等によって
は、着色剤、荷電制御剤等の添加剤が分解、溶解又は変
性してしまい、所望の荷電制御性や着色力を有するトナ
ー粒子を製造することは困難になる。また、着色剤、荷
電制御剤等の添加剤が部分的に溶解すると、重合性単量
体組成物粒子の均一な分散が阻害され、微粒子が増加し
たり、粒子凝集が発生したりするため、得られるトナー
粒子の粒度分布が不均一なものになりやすい。特にアル
カリに弱い着色剤、荷電制御剤等の添加剤では、分解、
溶解又は変性が激しく、使用できないものもある。よっ
てアルカリ性を有する水系媒体中で、物性及び粒度分布
において安定したトナー粒子を製造するためには、厳し
く製造条件を管理する必要があり、更に用いる着色剤、
荷電制御剤等の添加剤も制限されていた。
【0017】特公平3−76749号公報では、重合中
の粒子の合一が無く、安定した懸濁系で均一な粒径分布
を得る目的で、アニオン性ポリマー含有重合性単量体組
成物を、窒素原子をもつ有機基を有する分散安定剤と無
機酸とを含有する水系媒体中で分散、重合する提案がな
されている。これはかなり有効であるが、窒素原子含有
分散安定剤の除去時に、強アルカリを使用するため、上
述の如き点がやはり問題となっていた。
【0018】この様に、重合トナーの製造方法におい
て、造粒時及び重合時の粒子合一がなく、反応を通して
粒子が安定した状態で存在し、生成したトナー粒子が常
に安定して再現性の良いシャープな粒度分布と、均一な
摩擦帯電能を有し、トナーの形状及び表面状態が制御さ
れており、更にはトナー原材料として使用できる原材料
が制限されないという条件を全て満足する有効な製造方
法は未だ見い出されていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題を解決したトナーの製造方法を提供することを目的
とする。
【0020】すなわち、本発明の目的は、トナーの製造
方法において、さらに詳しくは重合トナーの製造方法に
おいて、水系媒体中に懸濁造粒した重合性単量体組成物
が粒子として常に安定して分散し、重合反応中の粒子合
一が発生しない再現性の良いトナーの製造方法を提供す
ることにある。
【0021】さらに本発明の目的は、生成するトナー粒
子が常に安定で再現性良くシャープな粒度分布と均一な
摩擦帯電能を有するトナーの製造方法を提供することに
ある。
【0022】さらに本発明の目的は、生成するトナー粒
子の形状あるいは表面状態を常に再現性良く制御するこ
とができるトナーの製造方法を提供することにある。
【0023】さらに本発明の目的は、トナー粒子の原材
料として使用できる原材料が基本的に制限されないトナ
ーの製造方法を提供することにある。
【0024】さらに本発明の目的は、画像濃度が高く安
定で、カブリのない画像特性に優れたトナーの製造方法
を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、リン酸塩水溶
液とカルシウム塩水溶液とを混合して得られるリン酸カ
ルシウム塩類を含有する水系媒体のpHを4.0乃至
6.0に調整し、該水系媒体中に、少なくとも重合性単
量体、着色剤、カルボキシル基を有する極性重合体又は
極性共重合体及び重合開始剤を有する重合性単量体組成
物を分散させ、重合性単量体組成物の粒子を生成し、該
水系媒体中で、該粒子に含まれている重合性単量体を重
合して、トナー粒子を生成し、該水系媒体のpHを1.
0乃至3.0に調整して、リン酸カルシウム塩類を溶解
した後にトナー粒子を水系媒体から分離するという工程
を有するトナーの製造方法であって、得られたトナーの
フロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定される円形
度が0.970以上1.000未満であることを特徴と
するトナーの製造方法に関する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。
【0027】本発明に用いるリン酸カルシウム塩類は、
水系媒体中で重合性単量体組成物に対する分散剤として
の役割を有する。
【0028】一般的に分散剤として考えられる物質とし
ては、無機分散剤として、リン酸カルシウム、ヒドロキ
シアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウ
ム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸
バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられ
る。有機分散剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラ
チン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセ
ルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デン
プンがあり、これらを水相に分散させて使用される。
【0029】これら分散剤は、水系媒体中で均一に分散
して液滴として存在している重合性単量体組成物粒子同
士の凝集を防止し、さらにこれら液滴表面に一様に吸着
することにより、該液滴を安定化していると考えられ
る。これらの分散剤は、液滴中の重合性単量体の重合反
応終了後に酸、アルカリ処理や、熱水洗浄等を通して可
溶化され、トナー粒子から分離される。しかしながら、
分散剤として使用できる上記物質の中には、トナー粒子
表面からの完全除去がその物質の溶解性,分子量,粘性
等の理由で困難な場合も多く、さらにトナー粒子の組成
によっては、強アルカリ処理,熱水洗浄等の工程で着色
剤,荷電制御剤の一部が分解,溶出したり、熱変性が発
生したりするため、トナー粒子の表面性,摩擦帯電性等
が損われ、トナーの現像特性等が著しく低下する場合が
ある。
【0030】また、無機分散剤の中には、凝集作用が強
いため、液滴の重合反応中に粘度変化等が発生して液滴
としての安定性が低下した時に、逆に液滴の凝集・合一
などの不安定現像を促進させるものもあり、分散剤の選
択は容易ではない。
【0031】本発明において分散剤として用いられるリ
ン酸カルシウム塩類は、前述の様な不具合を発生させ
ず、酸処理・水洗浄のみで容易にトナー粒子表面から除
去することができるため、分散剤としてい有効である。
また酸処理・水洗浄で除去できるために、着色剤,荷電
制御剤等の分解・溶出も発生せず、熱変性も考慮する必
要もない。
【0032】ここで述べるリン酸カルシウム塩類とは、
リン酸カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水
素カルシウム,ヒドロキシアパタイト及びそれらの複数
の混合物であり、これらの塩類の結晶の大きさ,結晶凝
集物の粒径,酸に対する溶解度等の効果を考慮すると、
ヒドロキシアパタイト及びリン酸カルシウムが好まし
く、その中でもヒドロキシアパタイトが最も好ましい。
【0033】このリン酸カルシウム塩類は、リン酸塩水
溶液とカルシウム塩水溶液とから水系媒体中でリン酸カ
ルシウム塩類を生成させて使用する方法が、凝集物の発
生がなく、均一な微粒子結晶が得られるため分散剤とし
て使用する場合、最も効果があり、安定した懸濁状態が
得られる。粉末状のリン酸カルシウム塩類をそのまま用
いる場合、粉体として強い凝集体となってしまい易いた
め、凝集体として粒径が不均一であり、水相への分散は
かなり難しい。更にリン酸カルシウム塩類を水系媒体中
で生成させる方法の利点としては、リン酸カルシウム塩
類と同時に副生する水溶性の中性塩類が、重合性単量体
の水中への溶解防止効果と水系媒体の比重を大きくする
効果とを有することである。
【0034】用いるリン酸塩水溶液としては、リン酸ナ
トリウム水溶液が好ましく、カルシウム塩水溶液として
は、塩化カルシウム水溶液であることが好ましい。又、
リン酸ナトリウム水溶液は、pH10〜14であること
が好ましい。更に、真球状のトナーを得るためには、酸
を用いてpHを調整すること無しに、リン酸塩水溶液と
カルシウム塩水溶液とを混合して得られる水溶液のpH
が、7〜14であることが好ましい。
【0035】本発明におけるリン酸カルシウム塩類生成
時のpH調整について説明する。
【0036】pH9.0乃至14.0の水系媒体中で、
重合性単量体、着色剤、荷電制御剤等を含有している重
合性単量体組成物の分散造粒を行うと、着色剤、荷電制
御剤等がアルカリに分解、溶解及び変性しやすいため、
トナー粒子の製造に要する時間や温度等によっては、着
色剤、荷電制御剤等が溶解してしまい、所望の荷電制御
性や着色力を有するトナー粒子を製造することは困難で
ある。また、水系媒体中で着色剤、荷電制御剤が部分的
に溶解すると、重合性単量体組成物の均一な分散が阻害
され、微粒子が増加したり、粒子凝集が発生したりする
ため、得られるトナー粒子の粒度分布が不均一なものに
なりやすい。よって水系媒体のpHが9.0〜14.0
という条件においては、物性及び粒度分布において安定
したトナー粒子を製造するためには厳しい製造条件の管
理が必要であり、困難であった。
【0037】また本発明者等の検討によると、水系媒体
のpHに応じて、水系媒体に含まれている分散剤である
リン酸カルシウム塩類の界面が帯電することがわかっ
た。リン酸カルシウム塩類の界面は、アルカリ性領域で
ネガ帯電、中性領域で等電位点、酸性領域でポジ帯電を
示すことがζ電位を測定することで確認された。
【0038】本発明においては、リン酸カルシウム塩類
を生成するにあたって、その水系媒体のpHを4.0乃
至6.0、好ましくは4.5乃至5.8に調整すること
により、物性及び粒度分布において安定したトナー粒子
を容易に製造することが可能となった。
【0039】本発明の製造方法にでは、pH4.0乃至
6.0を示す水系媒体中における造粒、重合工程時に、
重合性単量体組成物に含有されるカルボキシル基を有す
る極性重合体又は共重合体が親水性であるため、これら
は液滴の外殻に偏在し、他の組成物を包み込む様に存在
する。こうして得られたトナー粒子は、所謂コア/シェ
ル構造をとり、安定した摩擦帯電能を発現する。
【0040】しかしながら、水系媒体がアルカリ性であ
る場合には、分散剤の界面がネガに帯電しているため
に、ネガ性のカルボキシル基を有する極性重合体又は極
性共重合体は電荷的に反発するため、極性重合体又は極
性共重合体成分が安定して外殻に存在しにくく、重合中
に液滴同士の凝集等が発生し、粒度分布、粒子形状及び
表面性、摩擦帯電能等が制御しにくく、トナーの製造に
おいて再現性が悪くなりやすい。
【0041】トナー粒子がコア/シェル構造をとってい
ることは、トナーの断層面を調べることにより確認する
ことができる。具体的には、常温硬化性のエポキシ樹脂
中にトナー粒子を十分分散させた後、温度40℃の雰囲
気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニ
ウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施
した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄
片状のサンプルを切り出し、そのサンプルを透過型電子
顕微鏡(TEM)で測定することによりトナーの断層形
態を確認することができる。後記の実施例で得られたト
ナー粒子は、コア/シェル構造をとっていることが確認
された。
【0042】従って、本発明ではリン酸カルシウム塩類
を生成するに当って、その水系媒体のpHを4.0〜
6.0(好ましくはpH4.5〜5.8)に調整し、重
合性単量体,着色剤,カルボキシル基を含有する極性重
合体又は極性共重合体及び開始剤を少なくとも含有する
重合性単量体組成物を該水系媒体へ分散造粒し、重合性
単量体組成物粒子を得ている。
【0043】ここでpHが4.0よりも低い条件では、
分散剤であるリン酸カルシウム塩類が急激に可溶化する
ため所定の分散剤濃度を維持することができず、分散剤
として使用する領域として好ましくない。
【0044】本発明におけるpH調整方法としては、例
えば、塩酸,硫酸,硝酸,リン酸の如き水溶性無機酸が
用いられる。これらの無機酸は必要に応じて水で所定濃
度に希釈して使用しても良い。添加量はリン酸カルシウ
ム塩類が生成してきた時に、あるいはリン酸カルシウム
塩類が安定生成した後にpH4.0〜6.0(好ましく
はpH4.5〜5.8)で最終的に安定する様に、所定
濃度の無機酸を適宜調整して添加すれば良い。好ましい
水溶性無機酸の添加量は、1価の水溶性無機酸を用いる
場合には、リン酸塩水溶液中のリン酸塩1モル当り0.
3〜0.9モルであり、2価の水溶性無機酸を用いる場
合には、リン酸塩水溶液中のリン酸塩1モル当り0.1
5〜0.45モルであり、3価の水溶性無機酸を用いる
場合には、リン酸塩水溶液中のリン酸塩1モル当り0.
1〜0.3モルである。
【0045】さらに好ましいpHの調整方法としては、
リン酸塩水溶液に所定量すなわりリン酸カルシウム塩類
が安定生成した後のpHが4.0〜6.0(好ましくは
pH4.5〜5.8)になる様な添加量の無機酸を予め
添加し、次いでカルシウム塩水溶液を加えてリン酸カル
シウム塩類を生成する方法が良い。この場合の無機酸の
添加量も上記の範囲であることが好ましい。
【0046】またpH4.0〜6.0の領域におけるリ
ン酸カルシウム塩類の界面電荷は、ポジ帯電で安定して
いる。この条件下ではポジ帯電の分散剤粒子は、ネガ性
のカルボキシル基を有する極性重合体又はその共重合体
を含む重合性単量体組成物表面に安定した静電気力をも
って吸着するため、重合性単量体組成物の造粒及び重合
における凝集・合一が防止され、生成トナー粒子のシャ
ープな粒度分布が再現性良く達成される。さらに生成ト
ナー粒子においては、上述した如く、ネガ性極性重合体
又は極性共重合体がトナー粒子表面に常に安定して偏在
し、コア/シェル構造をとるため、摩擦帯電性に優れた
トナー粒子が得られる。
【0047】また、このpH領域において造粒した液滴
は、重合反応終了時まで荷電的に安定して水中に分散し
ているため、生成トナーの形状はかなり真球に近いもの
が安定して再現性良く得られ、分散剤濃度、重合性組成
物構成、特にカルボキシル基を有する極性重合体又は共
重合体の分子量,添加量,着色剤種及び量等での若干の
変化はあるものの、フロー式粒子像分析装置(FPI
A)で0.970以上1.000未満の円形度を有す
る。また、この様にして生成したトナー粒子は、造粒、
重合工程を通して安定しているため従来問題となってい
た反応槽内の汚れ、付着等も非常に少なく、生産効率の
上からも大きなメリットを有する。
【0048】一般に円形度の優れた真球に近い形態をも
ち、表面がなめらかなトナー粒子は、摩擦帯電能に優
れ、帯電が安定のため、トナー特性として電子写真シス
テムにおける転写性に優れる特徴を有する。
【0049】また得られたトナー粒子は、重量平均粒径
で3〜10μmの粒径を有していることが好ましく、高
画質化のためには、4〜9μmの粒径を有していること
が好ましい。
【0050】適用する電子写真システムによって、トナ
ーに要求する特性は、それぞれ異なるが、本発明におい
ては、トナー粒子の形態,表面性を真球に近い状態で常
に安定して製造できるため、高転写性が要求される電子
写真システムに合致したトナー粒子を提供できる。
【0051】尚、トナーの製造において造粒工程前の水
系媒体のpHを7近辺の中性領域に調整した場合には、
得られるトナー粒子の形状が真球状から外れたものとな
る。
【0052】本発明において生成したトナー粒子は、そ
のままではリン酸カルシウム塩類を表面に吸着した状態
であるため、生成したトナー粒子を含有する水系媒体の
pHを1.0〜3.0に調整し、リン酸カルシウム塩類
を完全に溶解せしめ、トナー粒子をろ別し、さらに水洗
を繰り返して乾燥しトナー粒子を得る。
【0053】ここで、リン酸カルシウム塩類のpHに対
する溶解性は、pH3.0〜4.0を境界領域として低
pHの酸性領域において急激に可溶化し、pH3以下の
強酸性領域で100%可溶化されるため、トナー粒子か
ら分散剤粒子を完全に除去するためにはpH1.0〜
3.0での酸処理が必要である。
【0054】なお酸処理では、アルカリ処理と異なり、
トナー組成物中の着色剤,荷電制御剤等が分解、溶解及
び変性することがなく、トナー特性に大きく影響するこ
とはない。
【0055】本発明に使用される重合性単量体として
は、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−
エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル
酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2
−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸
エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;
その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリ
ルアミドの如き単量体が挙げられる。これらの単量体は
単独、又は混合して使用し得る。
【0056】また、本発明における重合性単量体組成物
には、カルボキシル基を有する極性重合体、又は、極性
共重合体が添加される。
【0057】本発明に使用できるカルボキシル基を有す
る極性重合体、極性共重合体を以下に例示する。
【0058】アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カ
ルボン酸、その他不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無水
物を単量体とする単重合体、又は、上記の如き単量体と
スチレン系単量体との共重合体、不飽和ポリエステル、
飽和ポリエステルが挙げられる。
【0059】カルボキシル基を有する極性重合体、極性
共重合体のうち好ましいものとしては、スチレン−メタ
クリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ス
チレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体
及び、以下に列挙するようなアルコール成分と酸成分よ
り製造される不飽和又は飽和ポリエステルが挙げられ
る。
【0060】ポリエステルは、全成分中45〜55モル
%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分
であることが好ましい。
【0061】アルコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘ
キサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式
(I)で表わされるビスフェノール誘導体;
【0062】
【外1】 〔式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x,y
はそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は
2〜10である。〕
【0063】また式(II)で示されるジオール;
【0064】
【外2】 のジオールが挙げられる。
【0065】全酸成分中50mol%以上を含む2価の
カルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸又はそ
の無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸の如きアルキルジカルボン酸又はその無水物、ま
たさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基
で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジ
カルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
【0066】さらに、アルコール成分としてグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテ
ルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリ
メリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸が挙げられ
る。
【0067】好ましいポリエステル樹脂のアルコール成
分としては前記式(I)で示されるビスフェノール誘導
体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニ
ルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸の如きジカルボン酸類が挙げられる。架
橋成分としては、無水トリメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸、ペンタエリスリトール、ノボラック
型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルが好まし
いものとして挙げられる。
【0068】これらの極性重合体あるいは、極性共重合
体は、安定したコア/シェル構造を有するトナー粒子を
製造する為に5〜50mgKOH/gの酸価を有してい
ることが好ましい。より好ましくは10〜35mgKO
H/gの酸価を有していることが良い。
【0069】これらの極性重合体あるいは極性共重合体
は、重合性単量体100重量部に対し1〜35重量部用
いられることが好ましく、5〜20重量部がさらに好ま
しい。35重量部を超えると、高粘度すぎて造粒が不安
定である。
【0070】重合開始剤としては、2,2’−アゾビス
−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シク
ロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビ
ス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、
アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系
重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケ
トンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネ
ート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペ
ルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペ
ルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシ
ド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−
t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリ
ス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化
物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩、過
酸化水素が使用される。
【0071】重合開始剤は重合性単量体100重量部に
対し0.5〜20重量部の添加量が好ましく、単独で又
は、併用しても良い。
【0072】また、本発明では分子量をコントロールす
るために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良
く、好ましい添加量としては重合性単量体100重量部
に対し0.001〜15重量部である。
【0073】好ましく用いられる架橋剤として、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体で
ある芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレー
ト、トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリルレ
ート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、
テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−
ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン性カ
ルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニ
ルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの
如き全てのジビニル化合物及び3個以上のビニル基を持
つ化合物が単独又は混合物で用いられる。
【0074】本発明においては、トナーの帯電性を制御
する目的でトナー粒子中に荷電制御剤を添加することが
できる。
【0075】負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸
系化合物、含金属モノアゾ系染料化合物、スチレン−ア
クリル酸共重合体、イミダゾール誘導体、スチレン−メ
タクリル酸共重合体(N、N’−ジアリール尿素誘導
体)が挙げられる。
【0076】正荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂
肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモ
ニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如
き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホス
ホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、
トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レー
キ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、
燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン
酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化
物)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、
ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキ
サイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズ
ボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシル
スズボレートの如きジオルガノスズボレート類;これら
を単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることがで
きる。
【0077】本発明において用いられる分散剤は、前述
の様に、リン酸カルシウム塩類であり、具体的には、リ
ン酸カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素
カルシウム,ヒドロキシアパタイト及びそれらの複数の
混合物である。この分散剤は重合性単量体100重量部
に対し0.2〜20重量部を使用することが好ましい。
【0078】これら分散剤の微細な分散の為に、重合性
単量体100重量部に対し、0.001〜0.1重量部
の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散剤の所
期の作用を促進する為のものであり、その具体例として
は、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫
酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル
硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラリウル酸ナ
トリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウ
ムが挙げられる。
【0079】本発明に用いられる離型剤ならびに低エネ
ルギー定着成分としては、パラフィン・ポリオレフィン
系ワックス及び、これらの変性物、例えば、酸化物やグ
ラフト処理物の他、高級脂肪酸、およびその金属塩、ア
ミドワックス、また、エステル系ワックス、例えば、3
級または/及び4級炭素を有し、2官能以上のアルコー
ル化合物または、カルボン酸化合物から得られる多官能
ポリエステル化合物、1級または/及び2級炭素を有
し、2官能以上のアルコール化合物またはカルボン酸化
合物から得られる多官能ポリエステル化合物及び3級ま
たは/及び4級炭素を有し、モノ官能のエステル化合物
などがあげられる。
【0080】本発明のトナーの製造方法においては、離
型剤は、重合性単量体100重量部に対し1〜40重量
部、より好ましくは3〜35重量部使用するのが好まし
い。更に好ましくは、5〜30重量部使用するのが好ま
しい。
【0081】トナーの着色剤としては、例えば黒色顔料
として、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチ
レンブラックが挙げられる。
【0082】マゼンタ用顔料としては、赤口黄鉛、モリ
ブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾ
ロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッ
ド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカル
シウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3
B、カーミン6B、マンガン紫、ファストバイオレット
B、メチルバイオレットレーキ、ローダミンレーキ、ア
リザリンレーキ、ベンガラ、キナクリドン、C.I.ピ
グメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、1
8、19、21、22、23、30、31、32、3
7、38、39、40、41、48、49、50、5
1、52、53、54、55、57、58、60、6
3、64、68、81、83、87、88、89、9
0、112、114、122、123、163、20
2、206、207、209;C.I.ピグメントバイ
オレット19、C.I.バイオレット1、2、10、1
3、15、23、29、35が挙げられる。
【0083】シアン用顔料としては、C.I.ビグメン
トブルー2、3、15、16、17;C.I.バッドブ
ルー6;C.I.アッシドブルー45、インダンスレン
ブルー、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレー
キ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、
アーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ク
ロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マ
ラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーン
Gが挙げられる。
【0084】イエロー用顔料としては、ナフトールイエ
ロー、ハンザイエロー、黄鉛、カドミウムイエロー、ミ
ネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、パーマネ
ントイエローNCG、タートラジンレーキ;C.I.ピ
グメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、
11、12、13、14、15、16、17、23、6
5、73、83、93、97、120、127、17
4、176、180、191;C.I.バットイエロー
1、3、20が挙げられる。中でも耐光性に関して、
C.I.ピグメントイエロー93が好ましい。
【0085】これらの顔料は、定着画像の光学濃度を維
持するために必要な量が用いられ、樹脂100重量部に
対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量
部の添加量が好ましい。
【0086】着色剤として使用される染料としては、以
下のものが例示される。
【0087】マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベ
ントレッド1、3、8、23、24、25、27、3
0、49、81、82、83、84、100、109、
121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソル
ベントバイオレット8、13、14、21、27、C.
I.ディスパースバイオレット1、C.I.ベーシック
レッド1、2、9、12、13、14、15、17、1
8、22、23、24、27、29、32、34、3
5、36、37、38、39、40;C.I.ベーシッ
クバイオレット1、3、7、10、14、15、21、
25、26、27、28、C.I.ダイレクトレッド
1、4;C.I.アッシドレッド1、C.I.モーダン
トレッド30が挙げられる。
【0088】シアン用染料としてはC.I.ダイレクト
ブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アッ
シドブルー9、C.I.アッシドブルー15、C.I.
ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、
C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリ
ーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベー
シックグリーン6が挙げられる。
【0089】イエロー用染料としては、C.I.ソルベ
ントイエロー9、17、24、31、35、58、9
3、100、102、103、105、112、16
2、163;C.I.ディスパースイエロー3、42、
64、82、160、201、224が挙げられる。
【0090】これらの染料は、樹脂100重量部に対し
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の
添加量が好ましい。
【0091】なお、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行
性に注意を払う必要があり、前記着色剤を好ましくは表
面改質、たとえば重合阻害のない疎水化処理を施したほ
うが良い。特に染料系やカーボンブラックは、重合阻害
性を有しているものが多いので使用の際に注意を要す
る。染料系を表面処理する好ましい方法としては、これ
ら染料の存在下に重合性単量体をあらかじめ重合せしめ
る方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添
加する。また、カーボンブラックについては、上記染料
と同様の処理のほか、カーボンブラックの表面官能基と
反応する物質、たとえば、ポリオルガノシロキサンなど
で処理を行っても良い。
【0092】本発明においてpHの調整に用いられる水
溶性無機酸としては、前述の如く塩酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸等が用いられる。またアルカリ物としては、水酸化
アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリ
ウム、リン酸ナトリウムの如きアルカリ物及びその水和
物又はその水溶液が用いられる。なお、これらの物質は
必要に応じて希釈し、特定濃度の水溶液として使用する
ことができる。
【0093】本発明に使用できる外添剤としては、例え
ば、アルミナ,酸化チタン,シリカ,酸化ジルコニウ
ム,酸化マグネシウムの如き酸化物の他に、炭化ケイ
素,チッ化ケイ素,チッ化ホウ素,チッ化アルミニウ
ム,炭酸マグネシウム,有機ケイ素化合物が挙げられ
る。
【0094】さらに、上記微粉体は疎水化処理されてい
ることが、トナーの帯電量の温度や湿度の如き環境依存
性を少なくするため及びトナー粒子表面からの遊離を防
止するために好ましい。この疎水化処理剤としては、例
えばシランカップリング剤,チタンカップリング剤,ア
ルミニウムカップリング剤の如きカップリング剤、シリ
コーンオイル,フッ素系オイル,各種変性オイルの如き
オイルが挙げられる。
【0095】これら公知の外添剤の中では、帯電安定
性,現像性,流動性,保存性向上のため、シリカ,アル
ミナ,酸化チタンあるいはその複酸化物を選ぶことが好
ましい。なかでも、シリカが、出発材料あるいは温度等
の酸化条件により、ある程度任意に、一次粒子の合一を
コントロールできる点でより好ましい。かかるシリカと
しては硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化に
より生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと
称される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から
製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である
が、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が
少なく、またNa2O,SO3 2-等の製造残滓の少ない乾
式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、
製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタ
ンの如き他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物
と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の
複合微粉体を得ることも可能でありそれらも用いること
ができる。
【0096】外添剤の添加量は、トナー粒子100重量
部に対して、トナーの帯電量の安定化、かさ密度の安定
化、高湿下での放置安定性を高めるために0.1〜3重
量部添加することが好ましく、これら外添剤は複数種組
合せて使用することができる。以下に、さらに別個に組
合せて使用することが好ましい外添剤について述べる。
【0097】転写性および/またはクリーニング性向上
のために一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が
50m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子
をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例
えば球状シリカ粒子,球状ポリメチルシルセスキオキサ
ン粒子,球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0098】更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ス
テアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き
滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸
ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸化チタン粉
末、酸化アルミニウム粉末の如きケーキング防止剤、あ
るいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸
化スズ粉末の如き導電性付与剤、また、逆極性の有機微
粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いるこ
ともできる。
【0099】さらに本発明の製造方法によるトナーは、
磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。こ
の場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもでき
る。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料
としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如
き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或はこれ
らの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシ
ウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマ
ス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタ
ン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及び
その混合物が挙げられる。
【0100】これらの磁性体は平均粒子が2μm以下、
好ましくは0.1〜0.5μmのものが好ましい。トナ
ー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対
し20〜200重量部、特に好ましくは樹脂成分100
重量部に対し40〜150重量部が良い。
【0101】また、10kエルステッド印加での磁気特
性が保磁力(Hc)20〜300エルステッド、飽和磁
化(σs)50〜200emu/g、残留磁化(σr)
2〜20emu/gのものが好ましい。
【0102】本発明の製造方法によるトナーは、通常一
成分及び二成分系現像剤として、いずれの現像剤にも使
用できる。
【0103】たとえば、一成分系現像剤として、磁性体
をトナー中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像
スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、磁性ト
ナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。また、磁性体
を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード
及びファーブラシを用い、現像スリーブにて強制的に摩
擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめることで搬送
せしめる方法がある。
【0104】一方、一般的に利用されている二成分系現
像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キ
ャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用され
るキャリアとしては特に限定されるものではないが、主
として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、クロム元素からなる単独及び複合フェライトや、キ
ャリアコア粒子を樹脂でコートしたものが用いられる。
飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点か
らキャリア形状も重要であり、たとえば球状、扁平、不
定形などを選択し、更にキャリア表面状態の微細構造、
たとえば表面凸凹性をもコントロールすることが好まし
い。樹脂コートキャリアとしては、一般的には、上記無
機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、キ
ャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする
方法が用いられているが、キャリアのトナーへの負荷を
軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉
砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらに
は、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中
にて懸濁重合せしめ真球状分散キャリアを得る重合キャ
リアを得る方法なども利用することが可能である。
【0105】キャリアコア粒子の表面を樹脂の如き被覆
材で被覆する系は、特に好ましい。被覆する方法として
は、被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布し
キャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法
等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0106】キャリア表面への被覆物質としてはトナー
材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレ
ン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ
化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジ
ターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブ
チラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基
性染料及びそのレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉
末などを単独或は複数で用いるのが適当であるが、必ず
しもこれに制約されない。
【0107】上記化合物の処理量は、一般には総量でキ
ャリア100重量部に対し0.1〜30重量部、好まし
くは0.5〜20重量部である。
【0108】これらキャリアの平均粒径は10〜100
μm、好ましくは20〜50μmを有することが好まし
い。
【0109】特に好ましい態様としては、Cu−Zn−
Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系
樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の組み合せ、例えばポ
リフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタクリレート
樹脂;ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチル
メタクリレート樹脂;フッ素系共重合体とスチレン系共
重合体;を90:10〜20:80、好ましくは70:
30〜30:70の比率の混合物としたもので、0.0
1〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティン
グし、250メッシュパス、400メッシュオンのキャ
リア粒子が70重量%以上ある上記平均粒径を有するコ
ートフェライトキャリアであるものが挙げられる。該フ
ッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフル
オロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例
示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリ
ル酸2−エチルヘキシル(20:80〜80:20)、
スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル
酸メチル(20〜60:5〜30:10〜50)が例示
される。
【0110】上記コートフェライトキャリアは粒径分布
がシャープであり、本発明のトナーに対し好ましい摩擦
帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果
がある。
【0111】本発明におけるトナーと混合して二成分現
像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー
濃度として、2重量%〜15重量%、好ましくは4重量
%〜13重量%にすると通常良好な結果が得られる。ト
ナー濃度が2重量%未満では画像濃度が低く実用不可と
なり、15重量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せ
しめ、現像剤の耐用寿命を短める。
【0112】さらに、該キャリアの磁性特性は以下のも
のが良い。磁気的に飽和させた後の1000エルステッ
ドにおける磁化の強さ(σ1000)は30乃至300em
u/cm3であることが必要である。さらに高画質化を
達成するために、好ましくは100乃至250emu/
cm3であることがよい。300emu/cm3より大き
い場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。
30emu/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減
少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0113】本発明に係るトナーの製造方法の一形態を
以下に示す。
【0114】重合性単量体中に、カルボキシル基を有す
る極性重合体又は極性共重合体,離型剤,荷電制御剤,
着色剤,重合開始剤,その他の添加剤を加え、メディア
型ミル等によって均一に溶解あるいは分散せしめた単量
体系組成物を準備する。一方で、リン酸塩水溶液とカル
シウム塩水溶液とを混合してリン酸カルシウム塩類を生
成するに当り、該リン酸カルシウム塩類を含有する水系
媒体のpHを塩酸,硫酸,硝酸の如き水溶性無機酸の希
釈液にてpHを4.0〜6.0に調整する。pH調整で
は、希釈した酸は二液混合によってリン酸カルシウム塩
類が生成した後で添加しても良く、あるいは二液混合前
のリン酸塩水溶液中あるいはカルシウム塩水溶液中にあ
らかじめ添加し、その後カルシウム塩水溶液あるいはリ
ン酸塩水溶液を混合してリン酸カルシウム塩類を析出さ
せても良い。このリン酸カルシウム塩類の生成はホモミ
キサー,ホモジナイザーの如き分散造粒機中で生成せし
めることが有利であるが、別に生成せしめておいたリン
酸カルシウム塩類の水系分散液を分散造粒機へ投入して
も良い。
【0115】この様にしてpH調整したリン酸カルシウ
ム塩類を含有する水系媒体中に、前述の単量体系組成物
を投入し、分散せしめ造粒する。その後はpHと分散安
定剤であるリン酸カルシウム塩類の作用により単量体系
の粒子状態は安定に維持され、且つ単量体系の粒子の沈
降が防止される程度の撹拌を行うことで重合反応の進行
に伴っての粒子凝集・合一もなく、安定して重合され
る。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の
温度に設定して重合を行う。
【0116】また重合反応後半に昇温しても良く、更に
トナー定着時の臭いの原因等となる未反応重合性単量
体,副生物等を除去するために反応の後半又は終了時に
一部、水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成し
たトナー粒子はリン酸カルシウム塩類を除去するため
に、前述の塩酸,硫酸,硝酸の如き水溶性無機酸をさら
に添加してpHを1.0〜3.0として所定時間処理を
し、充分に水洗後トナー粒子を濾別して回収し、乾燥及
び必要に応じて分級することによりトナー粒子を得る。
【0117】懸濁重合法においては、通常単量体系組成
物100重量部に対して、水300〜3000重量部を
分散媒として使用するのが好ましい。
【0118】本発明で用いたそれぞれの測定方法につい
て以下に述べる。
【0119】(1)トナー粒子の粒径及び粒度分布の測
定 測定装置としてはコールターカウンターTA−II型
(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分
布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−
1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、
電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶
液を調製する。
【0120】測定法としては前記電解水溶液100〜1
50ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに
測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電
解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、
前記コールターカウンターTA−II型により、アパー
チャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40
μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平
均分布を求める。
【0121】これら求めた体積平均分布、個数平均分布
より、重量平均粒径D4及び個数平均粒径D1を得る。
【0122】このD4,D1の値より粒度分布幅としてD
4/D1を計算し、生成トナー粒子の凝集・合一の判断基
準とする。すなわち、D4/D1値が大きくなればトナー
粒子は二次凝集体を形成している、又は合一気味であ
り、D4/D1値が1.0に近づけば単分散の粒度分布に
近づくと判断できる。
【0123】(2)トナー粒子の摩擦帯電量 摩擦帯電量は常温/常湿(23℃/60%)の環境条件
下にトナー及びキャリアを一昼夜放置した後、ブローオ
フ法に基づき、次の要領で帯電量を測定した。
【0124】図1はトナーの摩擦電荷量を測定する装置
の説明図である。摩擦帯電量を測定しようとするトナー
とキャリアの重量比1:49の混合物を50〜100m
l容量のポリエチレン製のビンに入れ、5〜10分間手
で振盪した後、該混合物(現像剤)の約0.5〜1.5
gを、底に500メッシュのスクリーン3のある金属製
の測定容器2に入れ金属製のフタ4をする。このときの
測定容器2全体の重量を秤りW1(g)とする。次に、
吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁
体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整
して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態
で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去
する。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とす
る。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)と
する。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW
2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(μC/g)
は下式の如く計算される。
【0125】
【外3】
【0126】(3)フロー式粒子像分析装置(FPI
A)での円形度の測定 本発明における円形度とは、粒子の形状を定量的に表現
する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東
亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−100
0を用いて測定を行い、下式より得られた値を円形度と
定義する。
【0127】具体的な測定方法としては、容器中の予め
不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤
として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォ
ン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.
1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音
波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度
を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナー
粒子の形状を測定する。
【0128】
【外4】
【0129】本発明における円形度はトナー粒子の凹凸
の度合いの指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合
1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は
小さな値となる。
【0130】(4)酸価の測定 本発明におけるカルボキシル基を有する極性重合体又は
極性共重合体の酸価は以下の方法で求められる。
【0131】極性重合体又は極性共重合体2〜10gを
200mlの三角フラスコに秤量していれ、更にこの中
にメタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50
mlを加えてトナーを溶解させる。そして、0.1%の
ブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合試薬を
用い、予め標定された0.1M−水酸化カリウム/エタ
ノール溶液で滴定し、水酸化カリウム/エタノール溶液
の消費量から次の計算で酸価を求める。
【0132】酸価(mgKOH/g)=KOH(ml)
×f×56.1/試料重量(g) (上記式中fは、0.1M−水酸化カリウム/エタノー
ル溶液のファクターである)
【0133】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、これは本発明をなんら限定するものではない。なお
以下の配合における部数は、特に説明のない場合は重量
部である。
【0134】〔実施例1〕イオン交換水1000重量部
に、工業用グレードのリン酸ナトリウムで調製した0.
1M−リン酸ナトリウム水溶液(pH=11.7)51
0重量部、及び塩化カルシウム水溶液添加後のpHが
5.2となる様に1M−塩酸を適当量投入し、60℃に
加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を
用いて12000rpmにて撹拌した。塩酸滴下後の水
溶液のpHは11.5であった。これに工業用グレード
の塩化カルシウムにて調製した1.0M−塩化カルシウ
ム水溶液75重量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム
塩類であるヒドロキシアパタイトを含むpH=5.2の
水系媒体を得た。尚、塩酸でpHを調整することなく
0.1M−リン酸ナトリウム水溶液510重量部と1.
0M−塩化カルシウム水溶液75重量部を混合した際の
水溶液のpHは10.1であった。
【0135】一方、 スチレン 160部 n−ブチルアクリレート単量体 40部 飽和ポリエステル樹脂(重量平均分子量=約15000、酸価=20mgKO H/g) 10部 銅フタロシアニン顔料 10部 ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 2.5部 マイクロクリスタリンワックス(m.p=65℃) 35部 上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊
機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶
解、分散した。これに、重合開始剤2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重
合性単量体組成物を調製した。
【0136】前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物
を投入し、60℃,N2雰囲気下でおいて、TK式ホモ
ミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合
性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹
拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合
反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、
塩酸を加えヒドロキシアパタイトを完全に溶解させ、ろ
過,水洗,乾燥してトナー粒子を得た。
【0137】次いで同処方,同製造条件にてトータルと
して10回繰り返してトナー粒子を得、その都度、粒度
分布幅(D4/D1),摩擦帯電能,FPIAにおける円
形度,転写効率の各項目を測定し、それらの値の平均値
及び標準偏差SD値を求めた。この結果、各項目におい
て平均値が好ましい値を示し、標準偏差が小さく良好な
結果が得られた。又、反応槽の汚れに関しても問題の無
いものだった。
【0138】また得られたトナー粒子と、45〜50μ
mの粒径の銅−亜鉛フェライト粒子の表面をアクリル樹
脂でコートすることにより製造されたキャリアをトナー
濃度が6重量%となるように混合し、二成分現像剤を調
整した。この現像剤を用いて、フルカラー複写機CLC
−700(キヤノン製)を用いて、画像形成を行なった
ところ、カブリ、画像スジ、中抜けなどの画像欠陥の抑
制された優れた画像が得られた。
【0139】更に同処方で、例えば50〜60℃で造粒
後、同温度で3〜7時間重合を行ない、更に70〜90
℃へ昇温して、反応時間が合計10時間になるようにし
て重合を行なう等の種々の反応シーケンス(温度と時間
の組み合わせ)に従って、重合を行ない、トナー粒子の
重合転化率、生成分子量分布などを変化させた場合に
も、粒度分布、摩擦帯電能に関して優れたトナー粒子が
得られた。
【0140】〔実施例2〕1M−塩酸の滴下量を変えて
生成するヒドロキシアパタイトを含む水系媒体のpHが
4.2になる様に調整した以外は全て実施例1と同様に
してトナー粒子を得、さらにトータルとして10回、こ
の製造を繰り返してトナー粒子を得、各項目での平均
値、標準偏差を計算した。
【0141】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さく良好な結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0142】〔実施例3〕1M−塩酸の滴下量を変えて
生成するヒドロキシアパタイトを含む水系媒体のpHが
5.8になる様に調整したこと、及び銅フタロシアニン
顔料10部の代わりにCIピグメントイエロー13を1
0部使用した以外は全て実施例1と同様にしてトナー粒
子を得、さらにトータルとして10回、この製造を繰り
返してトナー粒子を得、各項目での平均値、標準偏差を
計算した。
【0143】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さく良好な結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0144】〔実施例4〕加える1M−塩酸の滴下量を
変えて生成するヒドロキシアパタイトを含む水系媒体の
pHが4.8になる様に調整したこと、及び銅フタロシ
アニン顔料10部の代わりにマゼンタ用顔料のキナクリ
ドン7.5部を使用した以外は全て実施例1と同様にし
てトナー粒子を得、さらにトータルとして10回、この
製造を繰り返してトナー粒子を得、各項目での平均値、
標準偏差を計算した。
【0145】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さく良好な結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0146】〔比較例1〕イオン交換水710重量部
に、試薬グレードのリン酸ナトリウムを加えて調製した
0.1M−リン酸ナトリウム水溶液(pH=10.4)
460重量部を加えて、さらに1級試薬の塩化カルシウ
ムにて調製した1.0M−塩化カルシウム水溶液70重
量部を徐々に加えてリン酸カルシウム塩類を有するpH
=10.0水系媒体を得た。この水系媒体を用いて懸濁
重合を行なうこと以外は、実施例1と同様にトナー粒子
を得、更にトータルとして10回、同条件にてこの製造
を繰り返してトナー粒子を得、各項目での平均値、標準
偏差を計算した。各項目の標準偏差が大きく、同処方、
同条件で製造を繰り返した場合の生成トナー粒子の安定
性、再現性が実施例に比べ劣ることがわかった。
【0147】反応槽の汚れに関しても実施例に比べ劣る
結果が得られた。
【0148】更に実施例1と同様にして、種々の反応シ
ーケンス(温度と時間の組み合わせ)に従って、重合を
行なった。その結果、特に低重合転化率に比較的高温度
で長時間反応させた場合に、生成粒子の凝集体が発生し
やすく、反応槽内の汚れ、付着なども増加し、粒度分布
の幅がかなり大きくなり、摩擦帯電能が不安定なトナー
粒子が得られた。
【0149】〔比較例2〕生成トナー粒子の酸洗浄時の
pHが3.8であったこと以外は全て実施例1と同様に
トナー粒子を得、さらにトータルとして10回、この条
件にて製造を繰り返してトナー粒子を得、各項目での平
均値、標準偏差を求めた。この場合、摩擦帯電量,転写
効率の平均値が低く、各項目全てにおける標準偏差が大
きいため、生成トナー粒子の安定性、再現性が劣ること
がわかった。
【0150】また反応槽の汚れに関しても実施例に比べ
劣る結果が得られた。
【0151】〔参考例1〕加える1M−塩酸の滴下量を
変えて生成するヒドロキシアパタイトを含む水系媒体の
pHが6.8になる様に調整した以外は全て実施例1と
同様にしてトナー粒子を得、さらにトータルとして10
回、この製造を繰り返してトナー粒子を得、各項目での
平均値、標準偏差を計算した。
【0152】この結果、実施例に比べトナー粒子の円形
度及び転写効率の平均値が若干劣るものの、他の項目の
平均値及び標準偏差に関しては、良好な結果が得られ
た。
【0153】〔実施例5〕イオン交換水1000重量部
に、工業用グレードのリン酸ナトリウムで調製した0.
1M−リン酸ナトリウム水溶液(pH=11.7)51
0重量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミ
キサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpm
にて撹拌した。これに工業用グレードの塩化カルシウム
にて調製した1.0M−塩化カルシウム水溶液75重量
部を徐々に添加し、その後これに1M−塩酸を適当量滴
下しヒドロキシアパタイトを含有する水系媒体を得た。
塩化カルシウム水溶液滴下後の水溶液のpHは10.2
であり、塩酸滴下後の水系媒体のpHは5.5であっ
た。
【0154】一方、 スチレン 160部 n−ブチルアクリレート 40部 C.I.ピグメントイエロー93 7.5部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル 9部 (モノマー重量比=85:5:10 重量平均分子量=約57000、酸価=32mgKOH/g) ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 5部 マイクロクリスタリンワックス(m.p.=65℃) 45部 上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサーを用い
て、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これ
に、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)9部を溶解し、重合性単量体組成物を
調製した。
【0155】前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物
を投入し、60℃,N雰囲気下において、TK式ホモ
ミキサーにて10000rpmで22分間撹拌し、重合
性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹
拌しつつ、60℃において2時間反応させた。ここで、
前記と同様に調製した分散媒を700重量部加え、さら
に、60℃において8時間反応させ、重合反応終了後、
冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、
ろ過,水洗,乾燥してトナー粒子を得た。
【0156】次いで、同処方、同製造条件にてトータル
として10回繰り返して、トナー粒子を製造し、実施例
1と同様に各項目での平均値、標準偏差を計算した。
【0157】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さく良好な結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0158】また得られたトナー粒子100重量部に対
して、シリカ微粒子(BET比表面積300m2/g)
を1重量部添加し現像剤を調製した。この現像剤を用い
て、非磁性一成分現像システムのカラープリンターキヤ
ノンレーザーショットLBP2030(キヤノン製)を
用いて、画像形成を行なったところ、カブリ、画像ス
ジ、中抜けなどの画像欠陥の抑制された優れた画像が得
られた。
【0159】〔実施例6〕水系媒体のpHを硝酸を用い
てpH4.3に調製すること以外は、実施例5と同様に
して、トナー粒子の製造を行なった。さらにトータルと
して10回、この製造を繰り返してトナー粒子を得、実
施例1と同様に各項目での平均値、標準偏差を計算し
た。
【0160】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さく良好な結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0161】〔比較例3〕1M−塩酸の滴下量を変えて
水系媒体のpHを3.3に調整する以外は、実施例5と
同様にして、トナー粒子の製造を行なった。さらにトー
タルとして10回、この製造を繰り返してトナー粒子を
得、実施例1と同様に各項目での平均値、標準偏差を計
算した。
【0162】この結果、分散剤であるヒドロキシアパタ
イトが可溶化し始めるpH領域であるため、生成トナー
粒子の粒径が製造ごとに不安定であり、粒度分布幅はブ
ロードとなり、円形度、摩擦帯電量、転写効率の平均値
も低くなった。又、標準偏差も大きくなり、トナー粒子
の製造安定性、再現性が劣るものであった。
【0163】以上の実施例、比較例に関する評価は次の
ようにして行なった。
【0164】(1)トナー粒子の製造再現性の評価 同じ処方、同じ製造条件の下で10回繰り返してトナー
粒子を作製し、各々の生成トナー粒子について粒度分布
幅(D/D),摩擦帯電量,FPIAでの円形度,
転写効率を測定後その標準偏差SDを求め、再現性のパ
ラメーターとした。
【0165】
【外5】
【0166】本パラメーターでは、数値が小さいほど、
粒度分布幅,摩擦帯電量,円形度転写効率のばらつきの
少ない製造再現性の優れたトナーの製造方法であること
を示す。
【0167】(2)トナー粒子の転写効率の測定 各実施例及び比較例において製造されたトナー粒子10
0重量部に対して、シリカ粒子(BET比表面積300
2/g)を1重量部添加して現像剤を調製した。通常
環境下において、この現像剤を用い、定着器を取り外し
たキヤノンレーザーショットLBP2030(キヤノン
製)で画像形成を行なった。この時の感光体ドラム上に
形成されたトナー像(画像濃度1.4)を透明な粘着テ
ープで採取し、その画像濃度(D1)をマクベス濃度計
又はカラー反射濃度計(Color reflecti
on densitometer X−RITE404
Amanufactured by X−Rite C
o.)で測定する。次に再度トナー像を感光体ドラム上
に形成し、トナー像を記録材へ転写し、記録材上に転写
されたトナー像を透明な粘着テープで採取し、その画像
濃度(D2)を同様に測定する。得られた画像濃度(D
1)及び(D2)を用いて下式より算出する。
【0168】 転写効率(%)=(D2/D1)×100
【0169】(3)反応槽汚れに関する評価 同じトナー処方、製造条件の下で10回繰り返してトナ
ーを製造し、その時の反応槽の汚れを目視で観察し、以
下の基準で評価した。 A:10回の繰り返し製造において問題なし。 B:10回の繰り返し製造においてほぼ問題なし。 C:繰り返し製造において次第に汚れる。 D:その都度、反応槽が汚れる。
【0170】
【表1】
【0171】
【発明の効果】本発明によれば、造粒・重合安定性及び
再現性に優れたトナー粒子を製造することができる。さ
らに、生成したトナー粒子は、粒度分布,摩擦帯電性,
その粒子形態及び表面制御,転写効率の上で安定性及び
再現性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの摩擦電荷量を測定する装置の説明図で
ある。
【符号の説明】 1 吸引機 2 測定容器 3 導電性スクリーン 4 フタ 5 真空計 6 風量調節弁 7 吸引口 8 コンデンサー 9 電位計
フロントページの続き (72)発明者 鵜飼 俊幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA15 AB06 CA04 CA08 CB11 EA05 EA07 EA10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液と
    を混合して得られるリン酸カルシウム塩類を含有する水
    系媒体のpHを4.0乃至6.0に調整し、 該水系媒体中に、少なくとも重合性単量体、着色剤、カ
    ルボキシル基を有する極性重合体又は極性共重合体及び
    重合開始剤を有する重合性単量体組成物を分散させ、重
    合性単量体組成物の粒子を生成し、 該水系媒体中で、該粒子に含まれている重合性単量体を
    重合して、トナー粒子を生成し、 該水系媒体のpHを1.0乃至3.0に調整して、リン
    酸カルシウム塩類を溶解した後にトナー粒子を水系媒体
    から分離するという工程を有するトナーの製造方法であ
    って、 得られたトナーのフロー式粒子像分析装置(FPIA)
    で測定される円形度が0.970以上1.000未満で
    あることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 リン酸塩水溶液に水溶性無機酸を滴下し
    た後、カルシウム塩水溶液を加えて、水系媒体のpHを
    4.0乃至6.0に調整することを特徴とする請求項1
    に記載のトナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液と
    を混合した後、水溶性無機酸を滴下して水系媒体のpH
    を4.0乃至6.0に調整することを特徴とする請求項
    1に記載のトナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 該水溶性無機酸の滴下量が、1価の水溶
    性無機酸を用いる場合は、リン酸塩水溶液中のリン酸塩
    1モル当り0.3〜0.9モルであり、2価の水溶性無
    機酸を用いる場合は、リン酸塩水溶液中のリン酸塩1モ
    ル当り0.15〜0.45モルであり、3価の水溶性無
    機酸を用いる場合は、リン酸塩水溶液中のリン酸塩1モ
    ル当り0.1〜0.3モルであることを特徴とする請求
    項2又は3に記載のトナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 該水溶性無機酸が、塩酸、硫酸、硝酸及
    びリン酸よりなるグループから選択される水溶性無機酸
    であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記
    載のトナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 該リン酸塩水溶液と該カルシウム塩水溶
    液とを混合して得られる水溶液のpHが7.0乃至1
    4.0となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    かに記載のトナーの製造方法。
  7. 【請求項7】 該リン酸塩水溶液と該カルシウム塩水溶
    液とを混合して得られる水溶液のpHが9.0乃至1
    4.0となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    かに記載のトナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 該重合性単量体組成物を分散する前のリ
    ン酸カルシウム塩類を含有する水系媒体のpHを4.5
    乃至5.8に調整することを特徴とする請求項1乃至7
    のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. 【請求項9】 該リン酸カルシウム塩類が、ヒドロキシ
    アパタイトであることを特徴とする請求項1乃至8のい
    ずれかに記載のトナーの製造方法。
  10. 【請求項10】 該重合性単量体が、スチレン系単量
    体、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類か
    らなるグループより選ばれる単量体を少なくとも1種有
    していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載のトナーの製造方法。
  11. 【請求項11】 カルボキシル基を有する極性重合体又
    は極性共重合体が、 i)飽和ポリエステル;ii)不飽和ポリエステル;i
    ii)不飽和カルボン酸、不飽和二塩基酸、不飽和二塩
    基酸無水物のいずれかを単量体とする単重合体;iv)
    不飽和カルボン酸、不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無
    水物からなるグループより選ばれる単量体とスチレン系
    単量体との共重合体;から選ばれる極性重合体又は極性
    共重合体であることを特徴とする請求項1乃至10のい
    ずれかに記載のトナーの製造方法。
  12. 【請求項12】 カルボキシル基を有する極性重合体又
    は極性共重合体は、重合性単量体100重量部に対し
    て、1〜35重量部用いられることを特徴とする請求項
    1乃至11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  13. 【請求項13】 カルボキシル基を有する極性重合体又
    は極性共重合体は、重合性単量体100重量部に対し
    て、5〜20重量部用いられることを特徴とする請求項
    1乃至11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  14. 【請求項14】 カルボキシル基を有する極性重合体又
    は極性共重合体は、5〜50mgKOH/gの酸価を有
    することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記
    載のトナーの製造方法。
  15. 【請求項15】 カルボキシル基を有する極性重合体又
    は極性共重合体は、10〜35mgKOH/gの酸価を
    有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに
    記載のトナーの製造方法。
  16. 【請求項16】 該トナー粒子の重量平均粒径が、3〜
    10μmであることを特徴とする請求項1乃至15のい
    ずれかに記載のトナーの製造方法。
  17. 【請求項17】 該トナー粒子の重量平均粒径が、4〜
    9μmであることを特徴とする請求項1乃至15のいず
    れかに記載のトナーの製造方法。
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