JP7003521B2 - 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
前記トナー母体粒子が、少なくとも第1の樹脂及び離型剤を含有し、
前記凸部が、少なくとも第2の樹脂を含有し、
前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂又はビニル樹脂であり、前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である場合、前記第2の樹脂がビニル樹脂であり、前記第1の樹脂がビニル樹脂である場合、前記第2の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂若しくはビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントとが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記凸部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心と反対側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凹部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凸部の平均密度分布D1が、20~50個/μm2の範囲内であり、
前記凸部の平均密度分布D1と前記凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2が、10~100の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
[基準面の取得方法]
走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像に含まれるトナー粒子について、トナー母体粒子表面の曲面にそったプロファイルを抽出し、当該曲線にフィッティングする。その曲線が直線になるように断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を、撮影画像面に直交する方向に拡張した面を基準面とする。
前記第1の樹脂を含有する第1の樹脂粒子を含有する第1の樹脂粒子分散液を調製する第1工程と、
前記第1工程で調製した分散液に凝集剤を添加して昇温し、前記第1の樹脂粒子を凝集・融着させて凝集粒子を形成する第2工程と、
前記第2工程で調製した分散液に、少なくとも離型剤粒子を含有する離型剤粒子分散液を添加し、前記凝集粒子と前記離型剤粒子とを凝集・融着させて前記凝集粒子を成長させる第3工程と、
前記第3工程における前記凝集粒子の成長を停止させる第4工程と、
前記第4工程で調製した混合液を、前記離型剤粒子の融点より10~20℃高い温度で1時間以上保持する第5工程と、
前記第5工程で調製した混合液に、前記第2の樹脂を含有し、体積基準のメジアン径(D 50 %径)が50~550nmの範囲内にある第2の樹脂粒子を少なくとも含有する第2の樹脂粒子分散液を添加し、前記凝集粒子の表面に前記第2の樹脂粒子を融着させる第6工程と、を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明のトナーにおいては、トナー母体粒子が表面に凸部を有することで、トナー母体粒子と感光体等の他の部材との接着面積が小さくなるために、他の部材への付着性を低減させることができ、低温定着性を保ったまま耐フィルミング性を向上させることができる。
また、トナー母体粒子が表面に凹部を有することで、当該凹部に外添剤が入り込むことで、現像器内の高強度の撹拌による外添剤の遊離が抑制される。また、凹部に外添剤が入り込むことで、トナー母体粒子とキャリア粒子との衝突や、トナー母体粒子同士の衝突による衝撃力を外添剤が直接的に受けることが抑制され、外添剤の埋没も抑制される。これにより、トナーの帯電性能が安定し、現像性及び転写性の悪化が抑制でき、画像濃度安定性が向上したと推察される。
さらに、凸部の平均密度分布D1と凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2が10~100であることで、凸部が感光体とブレードとの間で引っ掛かり、トナーすり抜けが抑制される。また、D1/D2が上記範囲内にあることで、連続出力時にトナーに機械的ストレスがかかった際に凹部内に存在する外添剤が凸部上に移動して、トナーの流動性及び帯電性を長期にわたって安定化させることができる。また、凸部に移動した外添剤の一部がトナーから遊離して、感光体とクリーニングブレードとの当接部近傍で静止層を形成するために、外添剤すり抜けも抑制でき、長期間にわたって高クリーニング性を維持することができるものと推察される。
前記トナー母体粒子が、少なくとも第1の樹脂及び離型剤を含有し、
前記凸部が、少なくとも第2の樹脂を含有し、
前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂又はビニル樹脂であり、前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である場合、前記第2の樹脂がビニル樹脂であり、前記第1の樹脂がビニル樹脂である場合、前記第2の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂若しくはビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントとが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記凸部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心と反対側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凹部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凸部の平均密度分布D1が、20~50個/μm2の範囲内であり、
前記凸部の平均密度分布D1と前記凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2が、10~100の範囲内であることを特徴とする。
[基準面の取得方法]
走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像に含まれるトナー粒子について、トナー母体粒子表面の曲面にそったプロファイルを抽出し、当該曲線にフィッティングする。その曲線が直線になるように断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を、撮影画像面に直交する方向に拡張した面を基準面とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記凸部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.5μmの範囲内であることが好ましい。これにより、耐フィルミング性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記凸部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.3μmの範囲内であることが好ましい。これにより、耐フィルミング性をより向上させることができる。
また、本発明においては、前記凹部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.5μmの範囲内であることが好ましい。これにより、画像濃度安定性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記凹部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.3μmの範囲内であることが好ましい。これにより、画像濃度安定性をより向上させることができる。
また、本発明においては、前記凹部の平均密度分布D2が、0.2~5.0個/μm2の範囲内であることが好ましい。
また、本発明においては、前記トナー母体粒子表面における前記凸部同士の平均間隔が
、0.02~0.20μmの範囲内であることが好ましい。これにより、低温定着性を良好にできるとともに、耐フィルミング性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記外添剤が、個数平均一次粒径が70~160nmの範囲内の大径シリカ粒子を含むことが好ましい。これにより、クリーニング性及び画像濃度安定性を向上させることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、表面に凸部及び凹部を有するトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、トナー母体粒子が、少なくとも第1の樹脂及び離型剤を含有し、凸部が、少なくとも第2の樹脂を含有し、凸部の平均密度分布D1が、20~50個/μm2の範囲内であり、凸部の平均密度分布D1と凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2が、10~100の範囲内であることを特徴とする。
本発明で用いられるトナー粒子の平均円形度は、例えば、0.940~0.980の範囲内であることが好ましい。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、例えば、体積基準メジアン径(D50%径)で3~10μmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係るトナーの軟化点は、例えば、90~115℃の範囲内であることが好ましい。トナーの軟化点がこの範囲内であると、好ましい低温定着性が得られる。
本発明に係るトナー母体粒子は、第1の樹脂及び離型剤を含有するトナー母体粒子前駆体の表面に、第2の樹脂を含有する凸部が複数形成されて構成されている。また、トナー母体粒子前駆体には、凹部が複数形成されている。
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により倍率10000倍で撮影された画像に含まれるトナー粒子について、トナー母体粒子表面の曲面にそったプロファイルを抽出し、当該曲線にフィッティングする。その曲線が直線になるように断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を、撮影画像面に直交する方向に拡張した面を基準面とする。得られた基準面に対して、トナー母体粒子の中心と反対側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、後述する方法で測定される長辺の長さが0.05~2.0μmのものを凸部とする。また、得られた基準面に対して、トナー母体粒子の中心側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、後述する方法で測定される長辺の長さが0.05~2.0μmのものを凹部とする。
本発明に係る凸部の長辺の長さの平均値は、他の部材との付着性を低減して耐フィルミング性を向上させる観点から、0.1~0.5μmの範囲内であることが好ましく、0.1~0.3μmの範囲内であることがより好ましい。
すなわち、凸部の長辺の長さは、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データにおいて、凸部を目視で確認し、個々の凸部について輪郭線を描き、この輪郭線を二本の平行線で挟んだとき、二本の平行線の距離が最大となる部分をいう。この測定を、長辺の長さが0.05~2.0μmの範囲内である凸部100個について行い、その平均値を本発明に係る凸部の長辺の長さの平均値とした。
本発明に係る凸部の平均密度分布D1は、20~50個/μm2の範囲内であり、好ましくは25~45個/μm2の範囲内である。これにより、トナーの他の部材への付着性を低減できるとともに、感光体表面とクリーニングブレードとの間で凸部が引っ掛かることでトナー粒子のすり抜けをより確実に抑制することができる。
すなわち、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データにおいて、トナー粒子20個について、長辺の長さが0.05~2.0μmの凸部の個数を測定し、各トナー粒子の表面積の単位面積あたりの個数(個/μm2)の平均値を算出し、これを本発明に係る凸部の平均密度分布D1とした。
本発明に係る凸部同士の平均間隔は、例えば、0.02~0.20μmの範囲内であることが好ましい。これにより、トナー母体粒子表面上で凸部が偏在せず、ある程度均一に存在している状態とすることができる。よって、定着時のトナー溶融を阻害せずに低温定着性を向上させることができるとともに、凸部による他の部材への付着性を低減できるので耐フィルミング性に優れ、トナー粒子のすり抜けをより確実に抑制することができる。
すなわち、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データにおいて、対象の凸部から最も近い順に4個の凸部をピックアップし、対象の凸部の外周から4個の凸部の外周までの最短距離をそれぞれ測定し、それらの平均最短距離を算出する。ここで、上記凸部の長辺の長さの測定において、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データに描かれる輪郭線を凸部の外周とする。そして、平均最短距離の算出を、トナー母体粒子5個について、それぞれ長辺の長さが30nm以上の凸部20個に対して行い、計100個の凸部の平均最短距離の平均値を、本発明に係る凸部同士の平均間隔とする。
本発明に係る凹部の長辺の長さの平均値は、0.1~0.5μmの範囲内であることが好ましく、0.1~0.3μmの範囲内であることがより好ましい。これらの数値範囲は、その内側に外添剤が入り込む程度の大きさとして適しており、また、トナー粒子に機械的ストレスがかかったときに凹部の内側に入り込んだ外添剤が移動できる程度の大きさとして適している。これにより、トナーの長期間にわたる帯電量を安定化し、画像濃度安定性を向上させることができる。
すなわち、凹部の長辺の長さとは、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データにおいて、凹部を目視で確認し、個々の凹部について輪郭線を描き、この輪郭線を二本の平行線で挟んだとき、二本の平行線の距離が最大となる部分をいう。この測定を、長辺の長さが0.05~2.0μmの範囲内である凹部20個について行い、その平均値を本発明に係る凹部の長辺の長さの平均値とした。
本発明に係る凹部の平均密度分布D2は、0.2~5.0個/μm2の範囲内であることが好ましい。
すなわち、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像データにおいて、トナー粒子20個について、長辺の長さが0.05~2.0μmの凹部の個数を測定し、各トナー粒子の表面積の単位面積あたりの個数(個/μm2)の平均値を算出し、これを本発明に係る凹部の平均密度分布D2とした。
本発明に係る凸部の平均密度分布D1と凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2は、10~100の範囲内であり、好ましくは20~70の範囲内である。これにより、凹部の内側に入り込んだ外添剤が凸部に移動してトナーの帯電量を安定させ、かつ凸部に移動した外添剤の一部が遊離して感光体とクリーニングブレードとの当接部近傍で静止層を安定して形成することで、外添剤のすり抜けをより確実に抑制することができる。
トナー母体粒子前駆体は、少なくとも、第1の樹脂としての結着樹脂と、離型剤と、を含有する。
以下、トナー母体粒子前駆体を構成する結着樹脂を、トナー母体粒子前駆体用樹脂ともいう。
ここで、トナー母体粒子前駆体の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
具体的には、トナー母体粒子前駆体を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
なお、乳化凝集法でトナー母体粒子を製造する場合には、湿式で作製していることから、上述の界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散する工程を省略することができる。
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
トナー母体粒子前駆体用樹脂としては、例えば、ビニル樹脂を含有することが好ましく、ビニル樹脂及び結晶性樹脂を含有することがより好ましい。
一方、非晶性樹脂とは、上記と同様の示差走査熱量測定を行った際に得られる吸熱曲線において、ガラス転移が生じたことを示すベースラインのカーブは見られるが、上述した明確な吸熱ピークが見られない樹脂のことをいう。
本発明に係るビニル樹脂は、少なくともビニル系単量体を用いた重合により得られる樹脂である。非晶性のビニル樹脂として、具体的には、アクリル樹脂、スチレン・アクリル共重合体樹脂等が挙げられる。中でも、非晶性のビニル樹脂としては、スチレン系単量体とアクリル系単量体が重合したスチレン・アクリル系樹脂であることが好ましい。これにより、フィルミングの発生をより確実に抑制できるという効果が得られる。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体に含有される結晶性樹脂は、例えば、トナー母体粒子に含まれる樹脂全体の質量に対して、3~20質量%の範囲内で含有されていることが好ましく、特に5~15質量%の範囲内が好ましい。3質量%以上であると、定着性が良好で、20質量%以下であると、トナー母体粒子前駆体表面、及びトナー母体粒子表面での存在量が増えすぎることによる耐熱性の低下を防止でき、また、電気抵抗の低下に伴う転写不良も防止できる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
トナー母体粒子前駆体用樹脂のガラス転移点(Tg)は、例えば、40~60℃の範囲内であることが好ましい。
また、トナー母体粒子前駆体用樹脂の軟化点は、例えば、80~130℃の範囲内であることが好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体用樹脂は、例えば、乳化重合法で調製されることが好ましい。乳化重合は、水系媒体中にスチレン、アクリル酸エステル等の重合性単量体を分散し重合することによって行うことができる。水系媒体に重合性単量体を分散するためには分散安定剤を用いることが好ましく、また、重合には重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
重合性単量体を水系媒体中に分散して乳化重合法によりトナー母体粒子前駆体用樹脂を調製する場合には、分散した液滴の凝集を防ぐため、通常、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選択される分散安定剤を用いることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。なお、分散安定剤は、着色剤やオフセット防止剤等の分散液にも使用できる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の重合に使用される重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチル等の過酸化物類;2,2′-アゾビス(2-アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′-アゾビス-(2-アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4′-アゾビス-4-シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール-2,2′-アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、例えば、0.1~5.0質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体用樹脂の製造においては、上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤を添加しても良い。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる際に、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体に含有される離型剤としては、例えば、ワックスを挙げることができる。
なお、本発明において、離型剤の融点は、トナーの示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)を行うことにより求めることができる。示差走査熱量測定には、例えば、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いることができる。
測定は、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温し、5分間200℃で等温保持する1回目の昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却し、5分間0℃で等温保持する冷却過程、及び、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する2回目の昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によって行う。上記測定は、離型剤3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットして行う。リファレンスとして空のアルミニウム製パンを使用する。
上記測定において、1回目の昇温過程により得られた吸熱曲線から解析を行い、離型剤成分由来の吸熱ピークのトップ温度を、融点(℃)とする。
本発明に係る凸部は、少なくとも第2の樹脂としての凸部用樹脂を含有する。凸部用樹脂としては、例えば、トナー母体粒子前駆体用樹脂にポリエステル樹脂が用いられる場合にはビニル樹脂等を含有することが好ましく、トナー母体粒子前駆体用樹脂にビニル樹脂が用いられる場合にはビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントとが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂等を含有することが好ましい。
凸部用樹脂は、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂とは、スチレン・アクリル系重合体等から構成されるビニル系重合セグメントと、非晶性ポリエステル樹脂から構成されるポリエステル系重合セグメントとが、両反応性単量体を介して結合した樹脂である。
ビニル系重合セグメントとは、芳香族ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られる重合体部分をいう。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、5~30質量%の範囲内でビニル系重合セグメントを含有することで、トナー母体粒子からの凸部の脱離を起きにくくすることができ、トナー母体粒子の耐久性を向上させることができる。また、トナー調製時に、凸部同士での合一を起こりにくくさせることができるとともに、トナー母体粒子前駆体表面に結晶性樹脂を露出させにくくすることができ、凸部としての効果を十分に得ることができる。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂は、低温定着性の観点から、例えば、ガラス転移点が50~70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~65℃の範囲内であり、軟化点が80~110℃の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、例えば、次の(A)~(D)の四つが挙げられる。
式(i):1/Tg=Σ(Wx/Tgx)
(上記式(i)中、Wxは、単量体xの質量分率を表し、Tgxは、単量体xの単独重合体のガラス転移点を表す。)
なお、本発明においては、両反応性単量体はガラス転移点の計算に用いないものとする。
本発明に係るハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を構成するポリエステル系重合セグメントを調製するために用いる樹脂は、多価カルボン酸単量体(誘導体)及び多価アルコール単量体(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって得られるものであることが好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための両反応性単量体としては、ポリエステル系重合セグメントを形成するための多価カルボン酸単量体又は多価アルコール単量体と反応し得る基と重合性不飽和基とを有する単量体であれば良い。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等を用いることができる。本発明においては、両反応性単量体として、アクリル酸又はメタクリル酸を用いることが好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
上記した芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤の添加タイミングは、特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後であることが好ましい。
上記した芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて、着色剤、荷電制御剤等を含有していても良い。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性体、顔料、染料等を任意に使用することができる。
荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
外添剤は、上記したトナー母体粒子の表面に付着される。外添剤としては、公知の無機微粒子や有機微粒子、滑材などを用いることができる。使用する外添剤は、一種でもそれ以上でも良い。また、形状に関しては、球状の外添剤だけではなく、ルチル型酸化チタンに代表される針状のものの他、不定形状、紡錘形状、金平糖状のものなど、制限なく用いることができる。
走査型電子顕微鏡を用いて倍率3万~5万倍でトナーの写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、写真画像におけるトナー粒子表面に存在する外添剤について二値化処理し、外添剤粒子の任意の100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒径とする。
本発明に係るトナーの製造方法は、第1の樹脂粒子を含有する第1の樹脂粒子分散液を調製する第1工程と、第1工程で調製した分散液に凝集剤を添加して昇温し、第1の樹脂粒子を凝集・融着させて凝集粒子を形成する第2工程と、第2工程で調製した分散液に、少なくとも離型剤粒子を含有する離型剤粒子分散液を添加し、凝集粒子と離型剤粒子とを凝集・融着させて凝集粒子を成長させる第3工程と、第3工程における凝集粒子の成長を停止させる第4工程と、第4工程で調製した混合液を、離型剤粒子の融点より10~20℃高い温度で1時間以上保持する第5工程と、第5工程で調製した混合液に、少なくとも第2の樹脂粒子を含有する第2の樹脂粒子分散液を添加し、凝集粒子の表面に第2の樹脂粒子を融着させる第6工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明に係るトナー母体粒子を乳化凝集法によって製造する場合について説明する。
第1工程では、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子を含有するトナー母体粒子前駆体用樹脂粒子分散液を調製する。また、必要に応じて、調製した当該トナー母体粒子用樹脂粒子分散液と、着色剤粒子を含有する着色剤粒子分散液とを水系媒体中で混合する。
第1工程で使用するトナー母体粒子前駆体用樹脂粒子分散液は、重合性単量体を水系媒体中で乳化重合させることにより、調製することができる。
また、本実施形態では第3工程において離型剤粒子を添加するが、これとは別に、トナー母体粒子前駆体用樹脂の重合工程において離型剤を導入しても良い。
樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50%径)は、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA-150」(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定することができる。
着色剤粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50%径)は、電気泳動光散乱光度計「ELS-800(大塚電子社製)」で測定することができる。
第2工程では、上記第1工程で調製した分散液に凝集剤を添加して昇温し、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子を凝集・融着させて凝集粒子を形成する。
ここで、結晶性樹脂はトナー内部に微分散させることで低温定着性を効果的に発揮することができる。
凝集粒子の体積基準のメジアン径(D50%径)は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって測定することができる。
第3工程では、第2工程で調製した分散液に、少なくとも離型剤粒子を含有する離型剤粒子分散液を添加し、凝集粒子と離型剤粒子とを凝集・融着させて凝集粒子を成長させる。
離型剤粒子分散液に含有される離型剤粒子としては、上記した離型剤を使用することができる。
第4工程では、第3工程における凝集粒子の成長を停止させる。
第5工程では、第4工程で調製した混合液を、離型剤粒子の融点より10~20℃高い温度で1時間以上保持する。これにより、トナー母体粒子前駆体の表面に複数の凹部を形成することができる。
また、凹部の平均密度分布D2は、第3工程における離型剤の添加量で調整することができる。
第6工程では、第5工程で調製した混合液に、少なくとも第2の樹脂粒子を含有する第2の樹脂粒子分散液を添加し、凝集粒子の表面に第2の樹脂粒子を融着させる。これにより、トナー母体粒子前駆体の表面に複数の凸部を形成し、トナー母体粒子を調製することができる。
すなわち、第5工程にて凹部を形成した後、水系媒体(反応液)中に凸部用樹脂粒子分散液を投入し、凸部用樹脂粒子をトナー母体粒子前駆体に付着させる。その後、pH調整剤により水系媒体(反応液)のpHを調整して融着させる。
次に、反応液(水系媒体)の上澄みが透明になった時点で凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させる。さらに、昇温を行い、80~90℃の範囲内の状態で加熱撹拌する。
なお、第6工程において、トナー母体粒子前駆体に凸部用樹脂を融着させる融着時間は、10~180分間であることが好ましく、さらに30~120分間であることが、凸部の長辺の長さの平均値及び凸部同士の平均間隔を上記範囲内に制御できる点で好ましい。
凸部用樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定器LA-750(HORIBA製)によって測定することができる。
(ウ)凸部用樹脂の添加量については、凸部用樹脂の添加量が増大するほど、凸部の平均密度分布D1が大きくなり、凸部同士の間隔が狭くなる。具体的には、凸部用樹脂としてのハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、例えば、トナー母体粒子の全樹脂量中、5~20質量%の範囲内であることが好ましい。
(エ)凸部用樹脂を添加する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度については、当該平均円形度を高くすることで、凸部を形成しやすくなる。具体的には、トナー母体粒子前駆体の平均円形度は、例えば、0.890以上であることが好ましい。
(オ)凸部用樹脂の融着時間については、当該融着時間を長くするほど、トナー母体粒子の平均円形度と凸部用樹脂投入前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度の差が大きくなり、凸部の長辺の長さの平均値が短くなる。具体的には、凸部用樹脂の融着時間は、10~180分間が好ましく、30~120分間がより好ましい。
上記第6工程の後、水系媒体からトナー母体粒子を濾別して、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程と、洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程と、さらに必要に応じて、乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程とを経てトナー粒子を製造することができる。
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用しても良い。
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部と、イオン交換水3000質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込んだ。これを80℃に加熱した後、樹脂粒子(a1)の分散液42質量部(固形分換算)、スチレン(St)195質量部、n-ブチルアクリレート(BA)91質量部、メタクリル酸(MAA)20質量部及びn-オクチルメルカプタン4.0質量部からなる混合液に離型剤としてベヘン酸ベヘニル111質量部を80℃において溶解させた単量体混合液を添加した。その後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、1時間混合、分散させて、乳化粒子(油滴)を含有する分散液を調製した。
樹脂粒子(a1′)の分散液に、過硫酸カリウム(KPS)8質量部をイオン交換水150質量部に溶解させた開始剤溶液を添加した。この系に対し、80℃の温度条件下において、スチレン(St)339質量部、n-ブチルアクリレート(BA)120質量部、メタクリル酸(MAA)32質量部及びn-オクチルメルカプタン8.1質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却することにより、体積基準のメジアン径(D50)が168nmである、水系媒体中に離型剤を含有した非晶性樹脂(スチレン・アクリル樹脂)の微粒子が分散された非晶性ビニル樹脂粒子分散液(A1)を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム5.0質量部及びイオン交換水2500質量部を入れ、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体、及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n-ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ-t-ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 50.2質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 249.8質量部
テレフタル酸 120.1質量部
ドデセニルコハク酸 46.0質量部
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の添加量を2.3質量部に変更した以外は同様にして、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B2)を調製した。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B2)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、100nmであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の添加量を1.9質量部に変更した以外は同様にして、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B3)を調製した。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B3)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、300nmであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の添加量を1.7質量部に変更した以外は同様にして、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B4)を調製した。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B4)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、500nmであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の添加量を2.5質量部に変更した以外は同様にして、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B5)を調製した。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B5)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、80nmであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の添加量を1.5質量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B6)を調製した。ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B6)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、550nmであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(b1)を、非晶性ポリエステル樹脂(b2)に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B7)を調製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B7)中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、220nmであった。
すなわち、撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、下記組成のモノマーと、下記組成のモノマーの合計100質量部に対して0.25質量部のジオクチル酸スズとを投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、1時間反応させた。5時間かけて220℃まで昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(b2)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(b2)の重量平均分子量は18000、酸価は17.8mgKOH/gであった。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 249.8質量部
テレフタル酸 82.5質量部
フマル酸 32.0質量部
ドデセニルコハク酸 32.0質量部
離型剤としてベヘン酸ベヘニル(融点73℃)450質量部、ラウリル硫酸ナトリウム50質量部及びイオン交換水3500質量部を80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラクスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積基準のメジアン径(D50)が180nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(W1)を調製した。
離型剤としてパラフィンワックス(HNP-9、日本精鑞社製、融点75℃)450質量部、ラウリル硫酸ナトリウム50質量部及びイオン交換水3500質量部を80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラクスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積基準のメジアン径(D50)が170nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(W2)を調製した。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー及び精留塔を備えた反応容器に、ドデカン二酸200質量部及び1,6-ヘキサンジオール102質量部を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に昇温し、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。その後、触媒としてTi(OBu)4を0.3質量部投入した。さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を190℃から6時間かけて240℃に上昇させた。さらに、240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂(c1)を得た。
イオン交換水250質量部にn-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8質量部を混合溶解させ、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)50質量部を入れてホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)により10分間分散させた。その後、超音波分散機で20分間分散処理することにより、シアン着色剤粒子を含有する水系分散液を得た。得られた分散液にさらにイオン交換水を添加して、固形分を20質量%に調整することにより、着色剤粒子分散液(Cy1)を調製した。得られた着色剤粒子分散液(Cy1)中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、121nmであった。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、第1の樹脂としての非晶性ビニル樹脂粒子分散液(A1)416.2質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)33.6質量部(固形分換算)、及びイオン交換水2000質量部を投入した。その後、150rpmでの撹拌下、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH(25℃換算)を10に調整した。
上記トナー1の調製において、第1の樹脂として添加される非晶性ビニル樹脂粒子分散液(A1)の添加量、離型剤粒子分散液の種類及び添加量、粒子成長停止後の温度及び保持時間、第2の樹脂として添加される樹脂粒子分散液の種類及び投入量を、表Iに記載のとおりに変更した以外は同様にして、トナー2~17、19~22、28、31~35を調製した。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、第1の樹脂としての非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B7)350.4質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)33.6質量部(固形分換算)、離型剤粒子分散液(W1)43.2質量部(固形分換算)、及びイオン交換水2000質量部を投入した。その後、150rpmでの撹拌下、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH(25℃換算)を10に調整した。
上記トナー2の調製において、大径シリカ粒子の個数平均一次粒子径を65nm、70nm、170nm、190nmに変更した以外は同様にして、トナー23~26を調製した。
上記トナー2の調製において、小径シリカ粒子の添加量を1.6質量部とし、大径シリカ粒子を添加しなかった以外は同様にして、トナー27を調製した。
上記トナー1の調製において、第1の樹脂として添加される非晶性ビニル樹脂粒子分散液(A1)の添加量、離型剤粒子分散液(W1)の添加量を表Iに記載のとおりに変更するとともに、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)を添加しなかった以外は同様にして、トナー29を調製した。
上記トナー1の調製において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液(A1)の添加量を表Iに記載のとおりに変更するとともに、離型剤粒子分散液(W1)を添加せずに粒子成長反応を継続した以外は同様にして、トナー30を調製した。
上記のようにして調製した各トナーについて、下記の各評価を行った。評価結果を表IVに示す。
複合機「bizhub PRESS(登録商標) C1070」(コニカミノルタ株式会社製)の定着装置を、加熱ローラーの表面温度(定着温度)を110~180℃の範囲で変更することができるように改造した。当該複合機に上記トナーをそれぞれ装填して評価を行った。
複合機「bizhub PRESS(登録商標) C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用いて常温常湿環境(25℃、50%RH)において画素率が5%の画像をA4版上質紙(64g/m2)に100万枚画像形成を行った。その際、所定枚数の画像形成を行うごとに、ベタのテスト画像を出力し、トナーフィルミングが生じることに起因する画像濃度のスジムラの発生の有無を目視にて確認した。下記基準に従って評価し、◎、○及び△を合格とした。
〇:連続プリント枚数が100万枚に至るまでにトナーフィルミングによる軽微な画像濃度のスジムラが生じるものの、70万枚に至るまでには生じない
△:連続プリント枚数が70万枚に至るまでにトナーフィルミングによる軽微な画像濃度のスジムラが生じるものの、50万枚に至るまでには生じない
×:連続プリント枚数が50万枚に至るまでにトナーフィルミングによる画像濃度のスジムラが生じた
上記耐フィルミング性の評価において100万枚の画像形成を行った後、トナーすり抜けについて目視で確認し、下記基準に従って評価した。◎、○及び△を合格とした。
○:トナーすり抜けは認められるが、実用上問題なし
△:トナーすり抜けは認められるが、何とか実用化可能
×:トナーすり抜けは認められ、実用上問題あり
上記耐フィルミング性の評価において100万枚の画像形成を行った後、外添剤すり抜けに起因する感光体の傷及びハーフトーン画像について目視で確認を行い、下記基準に従って評価した。◎、○及び△を合格とした。
○:感光体表面に目視で認められる目立った傷の発生はなく、ハーフトーン画像にも感光体傷に対応する画像不良の発生は認められない(実用上問題なし)
△:感光体表面に目視で、軽微な傷の発生が認められるが、ハーフトーン画像には感光体傷に対応する画像不良の発生は認められない(実用可能)
×:感光体表面に目視で、明確に傷の発生が認められ、ハーフトーン画像にも当該傷に対応する画像不良の発生が認められる(実用上問題あり)
上記耐フィルミング性の評価において100万枚の画像形成を行う前後において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」上に100mm×100mmサイズの画像濃度60%のハーフトーン画像をそれぞれ出力した。
〇:反射濃度差が大きい方の値が0.04を超え、0.07以下
△:反射濃度差が大きい方の値が0.07を超え、0.10未満
×:反射濃度差が大きい方の値が0.10以上
Claims (9)
- 表面に凸部及び凹部を有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母体粒子が、少なくとも第1の樹脂及び離型剤を含有し、
前記凸部が、少なくとも第2の樹脂を含有し、
前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂又はビニル樹脂であり、前記第1の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である場合、前記第2の樹脂がビニル樹脂であり、前記第1の樹脂がビニル樹脂である場合、前記第2の樹脂が非晶性ポリエステル樹脂若しくはビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントとが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記凸部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心と反対側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凹部は、以下の方法で得られる基準面に対してトナー母体粒子の中心側に向かう方向に0.03μm以上離間する部分に対応する箇所であって、かつ、当該箇所の輪郭を二本の平行線で挟んだときにその距離が最大となる部分の距離を長辺の長さとして、前記長辺の長さが0.05~2.0μmである箇所であり、
前記凸部の平均密度分布D1が、20~50個/μm2の範囲内であり、
前記凸部の平均密度分布D1と前記凹部の平均密度分布D2との比の値D1/D2が、10~100の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
[基準面の取得方法]
走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で撮影された画像に含まれるトナー粒子について、トナー母体粒子表面の曲面にそったプロファイルを抽出し、当該曲線にフィッティングする。その曲線が直線になるように断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を、撮影画像面に直交する方向に拡張した面を基準面とする。 - 前記凸部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凸部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.3μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凹部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凹部の長辺の長さの平均値が、0.1~0.3μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凹部の平均密度分布D2が、0.2~5.0個/μm2の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー母体粒子表面における前記凸部同士の平均間隔が、0.02~0.20μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記外添剤が、個数平均一次粒径が70~160nmの範囲内の大径シリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記第1の樹脂を含有する第1の樹脂粒子を含有する第1の樹脂粒子分散液を調製する第1工程と、
前記第1工程で調製した分散液に凝集剤を添加して昇温し、前記第1の樹脂粒子を凝集・融着させて凝集粒子を形成する第2工程と、
前記第2工程で調製した分散液に、少なくとも離型剤粒子を含有する離型剤粒子分散液を添加し、前記凝集粒子と前記離型剤粒子とを凝集・融着させて前記凝集粒子を成長させる第3工程と、
前記第3工程における前記凝集粒子の成長を停止させる第4工程と、
前記第4工程で調製した混合液を、前記離型剤粒子の融点より10~20℃高い温度で1時間以上保持する第5工程と、
前記第5工程で調製した混合液に、前記第2の樹脂を含有し、体積基準のメジアン径(D 50 %径)が50~550nmの範囲内にある第2の樹脂粒子を少なくとも含有する第2の樹脂粒子分散液を添加し、前記凝集粒子の表面に前記第2の樹脂粒子を融着させる第6工程と、を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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