JP6834356B2 - 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
この時、トナー母体粒子をコア・シェル構造とすることで、トナー母体粒子表面に結晶性樹脂を存在させないことが提案されているが、結晶性樹脂とシェルとの相溶により、耐熱保管性の悪化や、付着性が増してトナー流動性の悪化が起きてしまっていた。また、コア粒子よりも溶融しづらいシェル層を均一形成することで、ワックスがトナー表面へと出にくくなり、特に高速定着時には薄紙の定着ベルト分離性が十分ではなかった。
一方、クリーニング性、現像性、及び転写性の観点から、ビニル変性ポリエステル樹脂によってトナー母体粒子表面に凸部を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、結晶性樹脂を含有するトナーとしては満足いくものではなかった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.トナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母体粒子が、少なくともトナー母体粒子前駆体の表面に複数の凸部を形成してなり、
前記トナー母体粒子前駆体が、ビニル樹脂と結晶性樹脂と離型剤とを含有し、
前記凸部が、ビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂により形成され、かつ、
前記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子に含まれる樹脂全体の質量に対して、3〜20質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記凸部の平均長辺長さが、100〜300nmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記トナー母体粒子前駆体表面における前記凸部の平均間隔が、20〜100nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子前駆体に内包され、前記トナー母体粒子前駆体表面及びトナー母体粒子表面に露出していないことを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂が、ビニル系重合セグメントを5〜30質量%の範囲内で含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
少なくとも前記トナー母体粒子前駆体の平均円形度を、0.890以上とし、かつ、
前記トナー母体粒子前駆体の表面に、前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂を付着させて前記凸部を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明は、図1に示すように、ビニル樹脂101aからなるトナー母体粒子前駆体11に結晶性樹脂101bを含有させ、凸部12を構成する樹脂に、ビニル系重合セグメント102aとポリエステル系重合セグメント102bが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂を用いている。そして、本発明では、コア粒子をシェルで完全に被覆する一般的なコア・シェル構造ではなく、トナー母体粒子前駆体の表面に凸部が断続的に存在し、トナー母体粒子前駆体の表面が凸形状となっている。一般的なコア・シェル構造のように、コア粒子にシェル層を均一被膜するのではなく、断続的な凸形状とすることによって、耐熱性を保ちつつ、ワックスのしみ出しを阻害しない構造とすることができ、定着ベルト分離性に優れる。
しかしながら、凸部を断続的な形状にするだけでは、結晶性樹脂がトナー母体粒子前駆体の表面に露出してしまい、耐熱保管性や流動性が満足いくものではなかった。
そこで、凸部を形成する樹脂として、ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂の構成単位にビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を含有させることで、トナー母体粒子前駆体表面の結晶性樹脂の存在比率を低減するに至った。その結果、耐熱性及び流動性が良好となる。このことは、内側に、トナー母体粒子前駆体と同樹脂のビニル樹脂部がより配向しやすく、外側に、トナー母体粒子前駆体と異樹脂のポリエステル樹脂部が配向しやすくなり、結晶性樹脂の分散性への影響が減った、と推測している。加えて、ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂のビニル樹脂部の相溶により、凸部がトナー母体粒子前駆体から脱離しにくく、定着性、耐熱性、流動性及び耐久性を確保することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子に含まれる樹脂全体の質量に対して、3〜20質量%の範囲内で含有されていることが、低温定着性に優れ、また、耐熱性及び転写性が良好となる点で好ましい。
前記凸部の平均長辺長さが、100〜300nmの範囲内であることが、流動性や低温定着性を阻害しない点で好ましい。
前記トナー母体粒子前駆体表面における前記凸部の平均間隔が、20〜100nmの範囲内であることが、定着時における離型剤のしみ出しを阻害しない点で好ましい。
前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子前駆体に内包され、前記トナー母体粒子前駆体表面及びトナー母体粒子表面に露出していないことが、十分な耐熱性及び流動性が得られる点で好ましい。
前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂が、ビニル系重合セグメントを5〜30質量%の範囲内で含有することが、凸部がトナー母体粒子前駆体表面から脱離しにくく耐久性が向上し、かつ、結晶性樹脂のトナー母体粒子前駆体表面への露出を防止し、十分な耐熱性及び流動性が得られる点で好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、トナー母体粒子を含有し、前記トナー母体粒子が、少なくともトナー母体粒子前駆体の表面に複数の凸部を形成してなる。さらに、前記トナー母体粒子前駆体が、ビニル樹脂と結晶性樹脂と離型剤とを含有し、前記凸部が、ビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂により形成されている。また、前記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする。
本発明に係る凸部の平均長辺長さは、100〜300nmの範囲内であることが好ましい。
凸部の平均長辺長さは、例えば、走査型電子写真顕微鏡(以下、SEMという。)「JSM−7401F」(日本電子(株)製)にて10000倍観察を行った時のSEM画像データにおいて、凸部及び非凸部を目視で確認し、個々の凸部について輪郭線を描き、この輪郭線を2本の平行線で挟んだとき、2本の平行線の距離が最大となる部分をいう。測定では、トナー母体粒子5個について、長辺の長さ30nm以上の凸部を20個測定し、その平均値を本発明に係る凸部の平均長辺長さXとした(図3参照。)。
前記トナー母体粒子前駆体表面における前記凸部の平均間隔は、20〜100nmの範囲内であることが、定着時における離型剤のしみ出しを阻害しない点で好ましい。
凸部の平均間隔は、10000倍観察のSEM画像データにおいて、個々の凸部から近い順に4個の凸部をピックアップし、その凸部の外周から外周までの最短距離の平均を、凸部の間隔とした。測定では、トナー母体粒子5個について、長辺の長さ30nm以上の凸部を20個測定し、その平均値を本発明に係る凸部の平均間隔Yとした(図3参照。)。
まず、凸部は、トナー母体粒子前駆体表面に凸部を形成してトナー母体粒子を形成する工程において、SP値(溶解パラメータ値)の差が少ないスチレン・アクリル樹脂部(ビニル系重合セグメント)の相溶が進行する一方、SP値の差が大きいポリエステル樹脂部(ポリエステル系重合セグメント)の相溶が進行しにくくなることによって形成されている。その結果、トナー母体粒子前駆体の表面にポリエステル樹脂部がメインとなる凸部が形成されている(図1参照。)。
そして、凸部の平均長辺長さ及び平均間隔の制御手段としては、(ア)樹脂構成、(イ)凸部用樹脂の粒径、(ウ)凸部用樹脂の量、(エ)凸部用樹脂を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度、(オ)凸部用樹脂の融着時間(トナー母体粒子の平均円形度)が挙げられる。
(ウ)凸部用樹脂の量については、凸部用樹脂の量が増えるほど、凸部の長さが長くなり、凸部間隔は狭くなる。具体的には、凸部用樹脂であるハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー母体粒子の全樹脂量中、5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(エ)凸部用樹脂を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度については、当該平均円形度を高くすることで、凸部を形成しやすくなる。具体的には、トナー母体粒子前駆体の平均円形度は、0.890以上であることが好ましい。
(オ)凸部用樹脂の融着時間については、当該融着時間を長くするほど、トナー母体粒子の平均円形度と凸部用樹脂投入前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度の差が大きくなり、凸部の長さが短くなる。具体的には、凸部用樹脂の融着時間は、10〜180分の範囲内が好ましく、さらに30〜120分の範囲内が好ましい。
凸部の平均高さは、40〜120nmの範囲内であることが、耐熱性を確保でき、また、外添剤の効果を阻害しにくく、帯電性が安定する点で好ましい。
凸部の平均高さは、10000倍観察のSEM画像データにて、トナー母体粒子10個について、長辺の長さ30nm以上の凸部を20個ピックアップし、トナー母体粒子表面から、凸部の頂点を2本の平行線で挟み、2本の平行線の距離が最大となる部分を凸部の高さとし、その平均値を本発明に係る凸部の平均高さとした。
トナー母体粒子前駆体表面における凸部の平均分布密度は、8〜25個/μm2の範囲内であることが、耐熱性と定着ベルト分離性が両立できる点で好ましい。
凸部の平均分布密度は、10000倍観察のSEM画像データにて、トナー母体粒子10個について、1平方ミクロンメートル当たりの長辺の長さ30nm以上の凸部の数を計測し、その平均値を本発明に係る凸部の平均分布密度とした。
なお、凸部の数について、境界線上に存在するものはカウントしないものとする。
図1に示すように、本発明に係るトナー母体粒子前駆体11は、ビニル樹脂101aと結晶性樹脂101bと離型剤(図示しない)とを含有する。
以下、トナー母体粒子前駆体11を構成する結着樹脂(ビニル樹脂101a、結晶性樹脂101b)を、トナー母体粒子前駆体用樹脂(101)(又は、樹脂(101))ともいう。
<ビニル樹脂>
本発明に係るビニル樹脂は、少なくともビニル系単量体を用いた重合により得られる樹脂である。非晶性のビニル樹脂として、具体的には、アクリル樹脂、スチレン・アクリル共重合体樹脂などが挙げられる。中でも、非晶性のビニル樹脂としては、スチレン系単量体とアクリル系単量体が重合したスチレン・アクリル系樹脂であることが好ましい。これにより、フィルミングの発生を抑制できるという効果が得られる。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体に含有される結晶性樹脂は、トナー母体粒子に含まれる樹脂全体の質量に対して、3〜20質量%の範囲内で含有されていることが好ましく、特に5〜15質量%の範囲内が好ましい。3質量%以上であると、定着性が良好で、20質量%以下であると、トナー母体粒子前駆体表面、及びトナー母体粒子表面での存在量が増えすぎることによる耐熱性の低下を防止でき、また、電気抵抗の低下に伴う転写不良も防止できる。
具体的には、フーリエ変換赤外分光分析装置を用いて全反射法(ATR法)により吸収スペクトルを測定したとき、少なくとも吸収波数が690〜710cm-1(P1)、1190〜1220cm-1(P2)の範囲内に吸収極大ピークを持ち、690〜710cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P1)と前記1190〜1220cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P2)の比の値(P2/P1)が、0.02〜0.2の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.1の範囲内が特に好ましい。
P2/P1を、0.02〜0.2の範囲内にすることで、トナー母体粒子前駆体表面、及びトナー母体粒子表面への結晶性ポリエステル樹脂の露出を防ぐことができ、十分な耐熱性と流動性が得られる。また、0.1未満にすることにより、流動性がさらに向上する。
前記690〜710cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P1)と、前記1190〜1220cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P2)の比の値(P2/P1)は、フーリエ変換赤外分光装置(例えば、Themo Fisher製Nicolet380)を使用して、全反射法(ATR法)で得られた吸収スペクトルのピーク強度比より求めることができる。
まず、試料としてトナー母体粒子0.2gをペレット成形機(SSP−10A:島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して、直径10mmのペレットを作製した。
ATR測定は、ダイヤモンド結晶を用い、分解能4cm-1、積算回数32回の条件で行った。さらに、得られたATRスペクトルを機種の補正手法に基づいて、ATR補正を行ったスペクトルのピーク強度比から数値を規定した。
吸収波数690〜710cm-1の範囲内に、吸光度が1番目に小さくなる立下りピーク点(以下「第1立下りピーク点Fp1」という。)と、吸光度が2番目に小さくなる立下りピーク点(以下「第2立下りピーク点Fp2」という。)との間に、吸光度が最大となる最大立ち上がりピーク点Mp1があり、第1立下りピーク点Fp1と第2立下りピーク点Fp2とを結ぶ線分をベースラインとする。そして、最大立ち上がりピーク点Mp1から横軸に向けて垂線を引き、ベースラインとの交点における吸光度と、最大立ち上がりピーク点Mp1における吸光度との差分の絶対値を、最大立ち上がりピーク点Mp1の高さP1とする。
吸収波数1190〜1220cm-1の範囲内に、吸光度が1番目に小さくなる立下りピーク点(以下「第1立下りピーク点」という。)と、吸光度が2番目に小さくなる立下りピーク点(以下「第2立下りピーク点」という。)との間に、吸光度が最大となる最大立ち上がりピーク点があり、第1立下りピーク点と第2立下りピーク点とを結ぶ線分をベースラインとする。そして、最大立ち上がりピーク点から横軸に向けて垂線を引き、ベースラインとの交点における吸光度と、最大立ち上がりピーク点における吸光度との差分の絶対値を、最大立ち上がりピーク点の高さP2とする。
結晶性を示すとは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
含有量が、5質量%以上であれば十分な低温定着性が得られ、30質量%以下であれば帯電性の低下によるトナーの飛散を抑えることができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示す樹脂をいう。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トナー母体粒子前駆体用樹脂のガラス転移点(Tg)は40〜60℃の範囲内が好ましい。
また、トナー母体粒子前駆体用樹脂の軟化点は、80〜130℃の範囲内が好ましい。
トナー母体粒子前駆体用樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の軟化点(Tsp)は、以下のようにして測定された値である。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体用樹脂は乳化重合法で作製されることが好ましい。乳化重合は、水系媒体中にスチレン、アクリル酸エステルなどの重合性単量体を分散し重合することによって得ることができる。水系媒体に重合性単量体を分散するためには界面活性剤を用いることが好ましく、また重合には重合開始剤、連鎖移動剤を用いることができる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の重合に使用される重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチル等の過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、0.1〜5.0質量%の範囲で添加するのが好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体用樹脂の製造においては、上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤を添加しても良い。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン及びメルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂を水系媒体中に分散し乳化重合法により重合する場合は、分散した液滴の凝集を防ぐために通常、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選択される分散安定剤を用いることができる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。なお、分散安定剤は着色剤やオフセット防止剤等の分散液にも使用できる。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体に含有される離型剤としては、ワックスを添加することができる。
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスの含有比率は、トナー母体粒子前駆体用樹脂全量に対して2〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%の範囲内、さらに好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
図1に示すように、本発明に係る凸部12は、ビニル系重合セグメント102aとポリエステル系重合セグメント102bが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂により形成されており、前記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする。
以下、凸部を構成する樹脂(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)を、凸部用樹脂(102)(又は、樹脂(102))ともいう。
<ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂>
本発明に係るハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂とは、スチレン・アクリル系重合体等から構成されるビニル系重合セグメントと、非晶性ポリエステル樹脂から構成されるポリエステル系重合セグメントとが、両反応性単量体を介して結合した樹脂である。
ビニル系重合セグメントとは、芳香族ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られる重合体部分をいう。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、5〜30質量%の範囲内でビニル系重合セグメントを含有することで、凸部の脱離が起きにくく、耐久性が向上する。また、トナー作製時に、凸部同士での合一が起こりにくく、結晶性樹脂がトナー母体粒子前駆体表面に露出しにくく、凸部としての十分な効果を得ることができる。
(式中、R1及びR2は水素原子、メチル基又はエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2の整数である。)
このような不飽和脂肪族ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、炭素−炭素二重結合の存在によってポリエステル樹脂の親水性が増大するため、水系媒体中における乳化凝集法でトナー粒子を製造する場合に、ポリエステル樹脂セグメントがトナー母体粒子前駆体に対して外側、すなわち水系媒体側へ配向する効果が大きくなり、トナー母体粒子前駆体の表面に凸部が形成しやすくなる。また、本発明においては、一般式(A)で表される不飽和脂肪族ジカルボン酸を重合反応に用いる場合は無水物の形態で用いることもできる。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂は、低温定着性の観点から、ガラス転移点が50〜70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃の範囲内であり、かつ、軟化点が80〜110℃の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−12elに規定された方法(DSC法)によって測定された値であり、前述のトナー母体粒子前駆体用樹脂と同様の測定方法で測定することができる。
また、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、前述のトナー母体粒子前駆体用樹脂と同様の測定方法で測定することができる。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の四つが挙げられる。
(1)ポリエステル系重合セグメントを形成するための未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、両反応性単量体とを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、両反応性単量体と未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させる重合工程を経ることにより、ポリエステル系重合セグメントの末端にビニル系重合セグメントを形成させることができる。この場合、ポリエステル系重合セグメントの末端のヒドロキシ基と両反応性単量体のカルボキシ基とがエステル結合を形成し、両反応性単量体のビニル基が芳香族系ビニル単量体又は(メタ)アクリル酸系単量体のビニル基と結合することによってビニル系重合セグメントが結合される。上記合成法の中で(A)の方法が最も好ましい。
式(i):1/Tg=Σ(Wx/Tgx)(式(i)において、Wxは単量体xの質量分率、Tgxは単量体xの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性単量体はガラス転移点の計算に用いないものとする。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び両反応性単量体のうち、両反応性単量体の使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記の4者の全質量を100質量%としたときの両反応性単量体の比率は0.1〜5.0質量%であることが好ましく、さらに、0.5〜3.0質量%の範囲内が好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための両反応性単量体としては、ポリエステル系重合セグメントを形成するための多価カルボン酸単量体又は多価アルコール単量体と反応し得る基と重合性不飽和基とを有する単量体であればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などを用いることができる。本発明においては両反応性単量体として、アクリル酸、又はメタクリル酸を用いることが好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレンなど及びその誘導体が挙げられる。
前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、及びメルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
本発明に係るハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を構成するポリエステル系重合セグメントを作製するために用いる樹脂は、多価カルボン酸単量体(誘導体)及び多価アルコール単量体(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものであることが好ましい。
上記多価アルコール単量体は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の構成単位を含有することで、結晶性樹脂との相溶をコントロールでき、結晶性樹脂がトナー母体粒子前駆体表面に露出することを抑えることができる。
トナー母体粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどを用いることができる。
本発明に係るトナー母体粒子中には、荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
本発明で用いられるトナー粒子の平均円形度は0.940〜0.980の範囲内であることが好ましい。
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50%径)で3〜10μmの範囲内のものであることが好ましい。
本発明のトナーの軟化点は、90〜115℃の範囲内が好ましい。トナーの軟化点がこの範囲であるときに、好ましい低温定着性が得られる。
軟化点の測定は、前述の方法、すなわち、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により測定することができる。
本発明に係るトナーの製造方法は、少なくとも前記トナー母体粒子前駆体の平均円形度を、0.890以上とし、かつ、前記トナー母体粒子前駆体の表面に、前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂を付着させて前記凸部を形成することを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法において、トナー母体粒子前駆体の平均円形度を0.890以上とすることを特徴とする。
具体的には、トナー母体粒子前駆体を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
なお、乳化凝集法でトナー母体粒子を製造する場合には、湿式で作製していることから、上述の界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散する工程を省略することができる。
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
本発明に係るトナー母体粒子を製造する方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
本発明に係るトナー母体粒子を乳化凝集法によって製造する場合の、トナー母体粒子の製造例を具体的に示すと、
工程(1):トナー母体粒子前駆体用樹脂(101)からなる樹脂(101)粒子の分散液を調製する工程
工程(2):凸部用樹脂(102)からなる樹脂(102)粒子の分散液を調製する工程
工程(3):トナー母体粒子前駆体用樹脂(101)粒子の分散液に含有される樹脂(101)粒子を凝集することでトナー母体粒子前駆体を形成する工程
工程(4):凸部用樹脂(102)粒子を、水系媒体中でトナー母体粒子前駆体に融着させてトナー母体粒子を形成する工程
を経て、トナー母体粒子が形成される。
工程(1)では、樹脂(101)及びワックスが含有されたワックス含有樹脂(101)粒子の分散液を調製する。
ワックス含有樹脂(101)からなる樹脂粒子の分散液は、水系媒体で乳化重合することにより、調製することができる。
樹脂(101)粒子の分散液中の樹脂(101)粒子の粒径は、体積基準のメディアン径が50〜500nmの範囲内であることが、凸部の平均長辺長さ及び平均間隔を上述した範囲に制御できる点で好ましい。
例えば、上述した界面活性剤を使用することができる。
工程(2)では、凸部用樹脂(102)からなる樹脂(102)粒子の分散液を調製する。
凸部用樹脂(102)からなる樹脂(102)粒子の分散液とする方法としては、具体的には、例えば、機械的方法により粉砕し、界面活性剤を用いて水系媒体中で分散する方法、有機溶媒に溶解した凸部用樹脂(102)溶液を水系媒体中に投入、分散し、水系媒体分散液とする方法、樹脂(102)を溶融状態で水系媒体中と混合し、機械的分散方法により水系媒体分散液とする方法及び転相乳化法等が挙げられるが、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
トナー母体粒子に、着色剤が含有される場合、着色剤粒子分散液を調製する工程を経ることが好ましい。
具体的には、着色剤粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
工程(3)では、樹脂(101)粒子の分散液に含有される樹脂(101)粒子を凝集することでトナー母体粒子前駆体を形成する。
この工程(3)においては、樹脂(101)粒子に、必要に応じて、荷電制御剤及び着色剤粒子などのその他のトナー構成成分の粒子を凝集させることもできる。
なお、上記工程(1)では、樹脂(101)粒子が離型剤を含有するものであるとしたが、上記工程(1)において、離型剤を樹脂(101)粒子に含有させずに、離型剤のみを含有する粒子分散液を別途調製し、工程(3)において、離型剤のみを含有する粒子分散液を、樹脂(101)粒子分散液に混合させてもよい。
トナー母体粒子前駆体は、結晶性樹脂粒子とビニル樹脂粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成される。
ここで、結晶性樹脂はトナー内部に微分散させることで低温定着性を効果的に発揮することができる。また、前述の通り、結晶性樹脂はトナー母体粒子前駆体表面及びトナー母体粒子表面には存在して欲しくない。そのため、結晶性樹脂は凝集剤添加前後、もしくは反応系が所望の温度に達した時点、といったトナー母体粒子前駆体が成長する前に投入することが好ましい。
工程(3)において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム及びリチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン及び銅などの二価の金属塩;鉄及びアルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム及び硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
工程(4)においては、樹脂(102)粒子を、水系媒体中でトナー母体粒子前駆体に融着させて、トナー母体粒子前駆体表面に複数の凸部を有するトナー母体粒子を形成する。
具体的には、工程(3)にて、トナー母体粒子前駆体が、所望の粒子径まで成長し、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.890以上となったところで、工程(3)の水系媒体(反応液)中に樹脂(102)粒子の分散液を投入し、樹脂(102)粒子をトナー母体粒子前駆体に付着させる。その後、pH調整剤により水系媒体(反応液)のpHを調整して融着させる。
次に、反応液(水系媒体)の上澄みが透明になった時点で凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させる。さらに、昇温を行い、80〜90℃の範囲内の状態で加熱撹拌する。
なお、トナー母体粒子を形成する工程において、トナー母体粒子前駆体に樹脂(102)を融着させる融着時間は、10〜180分の範囲内が好ましく、さらに30〜120分の範囲内であることが、凸部の平均長辺長さ及び平均間隔を上述の範囲内に制御できる点で好ましい。
洗浄工程及び乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。すなわち、上記熟成工程にて所望の平均円形度まで熟成した後、例えば遠心分離器などの公知の方法により、固液分離し洗浄を行い、減圧乾燥にて有機溶媒を除去し、さらにフラッシュジェットドライヤー及び流動層乾燥装置など公知の乾燥装置にて水分及び微量の有機溶媒を除去する。乾燥温度は、トナーが融着しない範囲であれば良い。
外添剤添加工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、ビニル樹脂粒子分散液Aを調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製したビニル樹脂粒子分散液Aを固形分換算で300質量部と、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を90℃にて溶解させた混合液と、を添加した。
スチレン 243.0質量部
n−ブチルアクリレート 45.5質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 45.5質量部
メタクリル酸 33.1質量部
n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 130.0質量部
循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を78℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、非晶性ビニル樹脂粒子分散液Bを調製した。
上記第2段重合により得られた非晶性ビニル樹脂粒子分散液Bに、さらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム6.0質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、81℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 354.8質量部
n−ブチルアクリレート 143.2質量部
メタクリル酸 52.0質量部
n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル樹脂(1)粒子の分散液(ビニル樹脂粒子分散液(1))を調製した。
前記「ビニル樹脂粒子分散液(1)」の作製における第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行って「ビニル樹脂粒子分散液(2)」を調製した。
スチレン 624質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
(結晶性ポリエステル樹脂の作製)
下記モノマーを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
テトラデカン二酸 440質量部
1,6−ヘキサンジオール 173質量部
次いで、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、重量平均分子量(Mw)が20500、酸価が22.1mgKOH/g、融点(mp)が75.2℃、であった。
次に、得られた結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性樹脂粒子分散液を調製した。当該分散液中の結晶性樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が160nmであった。
(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製)
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 59.1質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 281.7質量部
テレフタル酸 63.9質量部
コハク酸 48.4質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、ビニル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。得られたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)が24000、酸価が16.2mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。また、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)のハイブリッド率(ビニル系重合セグメントの質量部/ビニル系重合セグメントの質量部+ポリエステル系重合セグメントの質量部)は、表1に示すとおりである。
次に、得られたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が98nmであった。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 500μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が64nmであった。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 250μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が205nmであった。
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 30.0質量部
n−ブチルアクリレート 7.8質量部
アクリル酸 3.8質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 6.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 65.0質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 310.0質量部
テレフタル酸 70.0質量部
コハク酸 52.8質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、ビニル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A2)を得た。得られたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量(Mw)が25000、酸価が16.3mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。
また、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A2)のハイブリッド率は、表1に示すとおりである。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A2)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が108nmであった。
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 340.0質量部
テレフタル酸 66.9質量部
無水マレイン酸 27.5質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、ビニル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A3)を得た。得られたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A3)の重量平均分子量(Mw)が17000、酸価が15.1mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が62℃であった。また、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A3)のハイブリッド率は、表1に示すとおりである。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(A3)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径が120nmであった。
下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 59.1質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 281.7質量部
テレフタル酸 63.9質量部
コハク酸 48.4質量部
撹拌下で、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.4質量部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にてさらに5時間反応を行った後、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂(B)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が27000、酸価が18.0mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。
非晶性ポリエステル樹脂(B)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B)を調製した。分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子(B)は、体積基準のメディアン径が99nmであった。
カーボンブラック(キャボット社製、リーガル330) 100質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンSC) 15質量部
イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)により10分間予備分散した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行いブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分を15質量%に調整することによりブラック着色剤粒子の水系分散液(1)を調製した。
得られたブラック着色剤粒子の水系分散液(1)中の着色剤粒子の体積基準のメディアン径を、マイクロトラックUPA−150(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 100質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK) 10質量部
イオン交換水 400質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、ウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15%に調整して離型剤粒子の分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメディアン径を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置 LA−750((株)堀場製作所製)にて測定したところ、220nmであった。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、ビニル樹脂粒子分散液(1)を441質量部(固形分換算)、結晶性樹脂粒子分散液を45質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)及びイオン交換水200質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11に調整した。
さらに、着色剤粒子分散液40質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム40質量部をイオン交換水40質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において15分間かけて添加した。5分間放置した後、90分かけて85℃まで昇温し、85℃に到達後、粒子径の成長速度が0.02μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメディアン径が6.0μmになるまで成長させた。6.0μmに到達したところで撹拌速度を調整して、粒子径の成長を止めつつ、トナー母体粒子前駆体の平均円形度が0.945になるまで粒子の融着を進行させた。
次いで、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)54質量部(固形分換算)を90分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、粒子径の再成長抑制のために塩化ナトリウム15質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた水溶液を添加し、トナー母体粒子の平均円形度が0.961になるまで粒子の融着を進行させた。その後、2.5℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、35℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子を得た。
得られたトナー母体粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製)により回転翼周速40mm/sec、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を25質量部に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を75質量部に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を15質量部に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を120質量部に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)をハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)をハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー6の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度を0.960とした以外はトナー6と同様に製造した。
トナー7の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を108質量部とし、当該ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度を0.930とした以外はトナー7と同様に製造した。
トナー7の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を37質量部とした以外はトナー7と同様に製造した。
トナー6の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を108質量部とした以外はトナー6と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)をハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度を0.890とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を除き、かつ、昇温温度を85℃から90℃に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を除いた以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)をビニル樹脂粒子分散液(2)に変更した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、昇温温度を85℃から80℃とし、メディアン径が6.0μmまで成長させた後、トナー母体粒子前駆体の平均円形度が0.870にてハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)108質量部を90分かけて投入した以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)をハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B)とした以外はトナー1と同様に製造した。
トナー1の製造において、ビニル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B)400質量部と、離型剤粒子分散液40質量部とした以外はトナー1と同様に製造した。
上記で作製したトナー1〜20のそれぞれに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤1〜20をそれぞれ製造した。
上記で得られたトナー母体粒子について、凸部の平均長辺長さ、凸部の平均間隔、凸部の平均高さ、及び、凸部の平均分布密度をそれぞれ測定した。測定方法は、上述したとおりである。測定結果を下記表2に示す。
トナー母体粒子表面における結晶性ポリエステル樹脂の存在量(表面CPes量)を確認するため、上記で得られたトナーについて、フーリエ変換赤外分光分析装置(Themo Fisher製Nicolet380)を用いて全反射法(ATR法)により吸収スペクトルを測定したときの、690〜710cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P1)と1190〜1220cm-1の範囲内の吸収極大ピーク高さ(P2)の比の値(P2/P1)を測定した。
具体的には、試料としてトナー0.2gをペレット成形機(SSP−10A:島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して、直径10mmのペレットを作製した。
ATR測定は、ダイヤモンド結晶を用い、分解能4cm-1、積算回数32回の条件で行った。さらに、得られたATRスペクトルを機種の補正手法に基づいて、ATR補正を行ったスペクトルのピーク強度比から数値を規定した。
<低温定着性>
複写機bizhub PROC6501(コニカミノルタ株式会社製)を、定着装置をニップ領域での圧力及び定着用ヒートローラーの表面温度を100〜210℃の範囲内で変更することができ、かつ、プロセス速度(ニップ時間)を変更できるように改造し、上記各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
トナーから製造した現像剤それぞれについて、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの上質紙Npi 128g/m2(日本製紙社製)上に対し、トナー付着量が8g/m2のベタ画像を出力する定着実験を、定着器のニップ圧が238kPa、ニップ時間が25ミリ秒(プロセス速度480mm/s)の条件で、設定する定着温度を100℃から200℃まで5℃ずつ上げる変更を行いながら繰り返し行った。
各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、上記ベタ画像に荷重をかけるように折り機で折り、0.35MPaの圧縮空気を吹き付けた。折り目部分を、下記評価基準にしたがってランク評価した。
5:全く折れ目なし
4:一部折れ目に従った剥離あり
3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
1:折れ目に従った大きな剥離あり
上記のランク3以上の定着実験のうち、最も定着温度の低い定着実験における定着温度を定着下限温度とした。なお、定着下限温度が120℃以下である場合が優良、120℃を超え125℃以下である場合が良好として判断され、125℃を超える場合は、不合格と判断される。
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT−2000」(セイシン企業社製)を用い、室温で600回振とうした。その後、蓋を開けた状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下において2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定した。送り幅1mmとなる振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(A)によりトナー凝集率を算出した。
式(A):トナー凝集率(%)=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
なお、トナー凝集率が10質量%未満である場合が優良、10質量%以上20質量%以下である場合が良好として判断され、20質量%を超える場合は、実用上使用不可であり、不合格と判断される。
トナー15gをプラスチック容器(アズワン社製)に入れ、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT−4000」(セイシン企業社製)を用い、室温で1800回振とうした。次いで、トナーを300メッシュ(目開き45μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、再び、前述の振とう機にセットし、振動の強さをレベル10に設定して、2分間振動させた。篩を通過したトナーの質量が12g以上である場合が優良、9g以上である場合が良好として実用的問題のないものと判断され、9g未満の場合は不合格と判断される。
複写機bizhub PROC6501(コニカミノルタ株式会社製)で用いられている現像器に、現像剤を投入し、単体駆動機にて600rpmの速度で3時間駆動させた。そこで、現像器内の現像剤をサンプリングし、トナーの粒度分布をマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて測定した。現像器投入前のトナーと比較して、2.5μm以下のトナー増加率(質量%)を算出し、耐破砕性を評価した。増加率が高いほど現像器内での破砕が発生しやすいことを表す。増加率が1%以下である場合が優良、3%以下である場合が良好で、実用に適したトナーであるといえる。3%を超える場合は不合格と判断される。
複写機bizhub PROC6501(コニカミノルタ株式会社製)の改造を使用し、常温常湿環境(温度25℃、湿度50%RH)において一晩放置して調湿した記録材「金藤85g/m2T目」(王子製紙社製)上に、常温常湿環境(温度25℃、湿度50%RH)において、上ベルトが195℃、下ローラが120℃となる定着温度で、トナー付着量4.0g/m2の全面ベタ画像を、先端余白を8mmとして出力する試験を、先端余白を7mm、6mm・・・と1mm単位で減少させるよう変化させながら、紙詰まり(ジャム)が発生するまで繰り返し行った。紙詰まり(ジャム)が発生しなかった最小の先端余白を調査し、最小の先端余白が小さい方が定着分離性に優れることを示す。3mm以下である場合が優良、5mm以下である場合が良好で合格とする。5mmを超える場合は不合格と判断される。
具体的には、トナー14は、結晶性樹脂がないため、定着性が悪い。
トナー15は、凸部用樹脂粒子分散液を用いておらず、凸部形状がないため、結晶性樹脂の表面露出が多く、耐熱性及び流動性が悪い。
トナー16は、凸部用樹脂がビニル樹脂であるため、凸部形状がなく、定着性及び耐熱性が良くない。また、トナー母体粒子前駆体の表面を完全に被覆しているため、定着ベルト分離性が悪い。
トナー17は、平均円形度が低いうちに凸部用樹脂粒子分散液を投入しているため、凸部形状とならずに、トナー母体粒子前駆体の表面を完全に被覆した構造に近くなる。そのため、定着ベルト分離性が悪く、また、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出が多くなる。
トナー18は、凸部の樹脂組成により結晶性樹脂の凸部用樹脂への相溶化が起きており、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出が多く、定着ベルト分離性が悪い。
トナー19は、凸部用樹脂がハイブリッドされていないため、凸部の脱離が起きやすく、耐久性が低い。また、結晶性樹脂の凸部用樹脂への相溶化が起きており、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出が多く、定着ベルト分離性が悪い。
トナー20は、トナー母体粒子前駆体用樹脂がビニル樹脂ではないため、トナー母体粒子前駆体用樹脂と凸部用樹脂との相溶化が起きやすく、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出が多く、定着ベルト分離性が悪い。
11 トナー母体粒子前駆体
12 凸部
101 トナー母体粒子前駆体用樹脂
102 凸部用樹脂
101a ビニル樹脂
101b 結晶性樹脂
102a ビニル系重合セグメント
102b ポリエステル系重合セグメント
X 凸部の平均長辺長さ
Y 凸部の平均間隔
Claims (6)
- トナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母体粒子が、少なくともトナー母体粒子前駆体の表面に複数の凸部を形成してなり、
前記トナー母体粒子前駆体が、ビニル樹脂と結晶性樹脂と離型剤とを含有し、
前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子前駆体に内包され、前記トナー母体粒子前駆体表面及びトナー母体粒子表面に露出しておらず
前記凸部が、ビニル系重合セグメントとポリエステル系重合セグメントが結合してなるハイブリット非晶性ポリエステル樹脂により形成され、かつ、
前記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記結晶性樹脂が、前記トナー母体粒子に含まれる樹脂全体の質量に対して、3〜20質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凸部の平均長辺長さが、100〜300nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー母体粒子前駆体表面における前記凸部の平均間隔が、20〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂が、ビニル系重合セグメントを5〜30質量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
少なくとも前記トナー母体粒子前駆体の平均円形度を、0.890以上とし、かつ、
前記トナー母体粒子前駆体の表面に、前記ハイブリット非晶性ポリエステル樹脂を付着させて前記凸部を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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